ξ゚听)ξツンと星空と海風のようです

152: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:52:52.26 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM6:00―

携帯のアラームが鳴る。

( つω-)「お? ……もう、起きる時間だお」

目を擦りながら、体を起こすと、ベッドの脇の窓にかかってるカーテンを開く。
朝の日差しが寝起きのブーンの目に飛び込んできた。

( うω<)「……眩しいお」

それで目が覚めたブーンはのそのそとベッドから降りると大きく伸びをした。

( ´ω`)「うーん、まだ夢でも見ている気分だお」

そういって携帯を手にとり画面を見ると、顔面がいきなり土砂崩れを起した。

(*^ω^)「でも、やっぱり夢じゃないお! 」



154: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:54:19.52 ID:3Ia+C9II0
ブーンの手にした携帯の画面には、しぃのはにかんだ笑顔が待ち受けに設定されていた。

昨日の別れ際に頼んで撮らせてもらった、しぃの笑顔。
それは、昨日の出来事がちゃんと現実だったことを示す証拠だった。

『……私も、ブーンが好き。だから私を、ブーンの彼女にしてください』

あの時のしぃの言葉が頭の中でリフレインする。

(*^ω^)「……」

そして、その後、触れたしぃの唇の感触がプレイバックする。

(*^ω^)「こうしちゃおれんお!! 早く学校行くお!!! 」

こうして、ブーンは普段からは考えられないほどのスピードで身支度を整えると
すぐさまリビングに降り朝食を済ませ、洗面所に駆け込む。

(*^ω^)「やっぱり、男子たるもの常に清潔でなくてはイカンお! 」

そして普段の5倍の時間を掛け念入りに歯磨きと洗顔をした。



―時刻・AM7:30―

(*^ω^)「行ってきますおーーー! 」

全ての準備を終えたブーンは普段より30分早く家を飛び出した。



156: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:56:49.79 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM7:50―

ξ゚ー゚)ξ「〜♪ 」

暖かい春の心地よい日差しを浴びながら、ツンは鼻歌交じりに通いなれた道を行く。

目の前の大通りと交差する十字路を左に曲がれば、いつものコンビニはすぐ近く。
ツンは一度だけ腕時計で時刻を確認する。

待ち合わせは8:00。いつも通り5分以上前に到着する。

ξ゚ー゚)ξ「〜♪ 」

そのまま、ご機嫌な表情で十字路を左折すると、いつも通りに後ろから声を掛けられる。

('A`)「よう、相変わらず時間に正確だな」

横断歩道を渡って早足で追ってきたドクオはツンに並ぶ。

ξ゚听)ξ「あらドクオ、オハヨ。アンタも早いわね」

('A`)「まぁな。朝ブーンを待ちながら缶コーヒーを飲むのは日課だからな」

ξ゚听)ξ「アンタねー、サラリーマンのおっさんじゃあるまいし」

('A`)「うるせーな。冬の寒さの中で飲む、ホットの缶コーヒーの旨さも知らずに頭ごなしに否定すんな」

そんな事を話しながらコンビニに到着すると、二人の目の前には信じられない光景があった。



158: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:59:40.18 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「ツン、ドクオ。遅いお」

('A`;)「……」

ξ;゚听)ξ「……」

すぐにドクオはポケットの中の携帯に、ツンは腕時計に視線を落とし時刻を確認する。

【AM7:52】

('A`;)「……」

ξ;゚听)ξ「……」

二人は絶句する。いつも遅れてくる、早くても時間ジャストが精一杯。
時間前に来たことなんて一度も無い。

そんなブーンが二人を待っている姿なんて、ここ10年以上見た覚えが無い。

( ^ω^)「お? 二人とも鳩が水鉄砲を喰らったような顔してるお」

('A`;)「……」

ξ;゚听)ξ「……なんでアンタがこんな時間に? 」

二人にブーンの間違いに突っ込む余裕なんて無い。
それほど、衝撃的な出来事だった。

( ^ω^)「実は、朝一で二人に伝えたい事があったんだお! 」



159: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:01:07.80 ID:3Ia+C9II0
ブーンの言葉に、二人は体を硬直させる。

('A`;)(『あの』ブーンがそこまでして伝えたいこと……)

ξ;゚听)ξ(『あの』ブーンが早起きまでして私達に言わなきゃならないこと……)

( ^ω^)「実は……」

ξ;゚听)ξ(絶対に、いい話なわけが無い!!! )('A`;)

ブーンが口を開いた瞬間、二人は同時に耳を塞いで声を上げた。

ξ∩゚听)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        ブーンの余命が半年なんて話、聞こえない! 』('A`∩)

(;^ω^)「ちょ、二人とも何を訳の分からんこと、言ってるんだお? 」

ξ∩゚听)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        身内に不幸があったなんて話、聞こえない!! 』('A`∩)

(;^ω^)「二人とも落ち着くお! 」

ξ∩゚听)ξ『聞こえない! 聞こえない! 聞きたくない!! 』('A`∩)

二人はそのまま回れ右をすると学校に向かって早足で歩き始めた。

(;^ω^)「ちょ、いいから聞いてくれお! 」

ブーンは二人の腕を掴むと無理やり耳から引き剥がす。



160: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:04:12.07 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「別に、僕の余命が半年とか、身内に不幸があったなんて話じゃないお! 」

ブーンの言葉に二人は耳を塞ぐのを止める。

('A`)「……じゃあ、なんだよ」

ξ゚听)ξ「アンタが私達より先に来てまで話したい事ってなによ? 」

(;^ω^)「実は……」

そこまで口にして、ブーンは口篭もる。

(;^ω^)(いざ、言うとなると言いづらいお)

('A`)「早く言え」

(*^ω^)「……(ええぃ! 男は度胸だお! )実は、僕に彼女が出来たんだお! 」

ξ゚听)ξ「……はぁ? 」

('A`)「……今日は4月1日じゃねーぞ? 」

意を決して言い切ったブーンの言葉を二人は軽く流した。

ξ゚听)ξ「アンタそんな、くっだらない冗談の為に私達より早く来たの? 」

('A`)「あー、馬鹿らしい。そんな下らないネタの為にモーニングコーヒー飲み損ねたのかよ」

二人は相手にするのも馬鹿らしいといった態度で、再び学校に向かって歩き始めた。



162: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:07:33.85 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「ちょ、二人とも! 冗談でもネタでも無いお! 」

ξ゚听)ξ「ドッキリがやりたいなら、しっかり仕込みなさいよ。思いつきで言われても引っかからないわよ」

(;^ω^)「だから、違うお! 」

('A`)「あー、そうかい。今度そのゲーム貸せよな。フルコンプしてからでいいからよ」

(;^ω^)「二次元じゃねーお! ちゃんと三次元の女の子だお! 」

必死で説明するブーンの話を、二人は学校に向かいながら聞き流す。

そんなやり取りをしながら三人が登校していると、前方の交差点にしぃがいるのをツンが見つけた。

ξ゚听)ξ「あら、しぃじゃない。登校中に会うなんて珍しいわね」

いつもなら、しぃは三人より先に教室にいることが多い。
登校中に会うのはブーンが時間通りに来た時に限り、偶然会うくらいだった。

(*゚ー゚)「……うん。今日は一緒に行こうと思って待ってたから」

('A`)「待ってたのか?なら、連絡してくれたら俺らも早く来たのに」

ξ゚听)ξ「でも、急に一緒に行こうなんて、どうしたの?」

(*゚ー゚)「えっと、ね。……その、ツンちゃんとドックンには、ちゃんと話しておきたいことがあって……」

しぃは、ゴニョゴニョと消え入りそうな声でツンの質問に答える。



164: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:11:23.91 ID:3Ia+C9II0
(*////)「えっと、その、あのね。……私ね。……えっと、ブーンとね」

(*^ω^)「まぁ、こういうことだお」

ブーンは顔を真っ赤にしているしぃの左に並ぶと、左手でしぃの右手を握る。

ξ;゚听)ξ「……」

('A`;)「……」

(*////)「……」

(*^ω^)「……しぃと付き合う事になりましたお」

二人のリアクションを待つブーン。恥ずかしさのあまり真っ赤になって俯くしぃ。

そして、あまりに急な話に言葉を失うドクオとツン。

ξ; 凵@)ξ「……」

('A`;)「……」

(*^ω^)「二人とも、どうかしたかお? 」

(*////)「……ドックンもツンちゃんも、なんか言ってよー」

何も言えずブーンとしぃの顔を見比べるツンとドクオに、しぃはますます顔を赤くして俯く。



166: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:13:44.06 ID:3Ia+C9II0
その硬直を打ち破ったのはツンだった。

ξ゚听)ξ「そ、そっかー! ブーンおめでとう。よかったじゃない、可愛い彼女が出来て」

(*^ω^)「ありがとうだお。結婚式には呼んであげるお」

ξ゚听)ξ「それは、それまでに、しぃに捨てられなければの話でしょ」

(;^ω^)「そ、それは否定できんお」

ブーンに皮肉を言ったツンは今度はしぃに話しかける。

ξ゚听)ξ「しぃ、これから大変よー。コイツ、馬鹿で、ズボラな上に、空気読めないんだから」

(*゚ー゚)「そうだねー。ちょっと決断間違ったかもね」

(;^ω^)「女の子は言うことに容赦が無いお」

ξ゚听)ξ「何言ってるのよ、これでも遠慮してあげてるんだから、感謝しなさい」

(*゚ー゚)「そうだよー。二人でメールしてる時とか、ツンちゃんもっとスゴイんだよー? 」

Σ(;^ω^)「そうなのかお? 」



168: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:15:42.40 ID:3Ia+C9II0
ξ゚听)ξ「あら、しぃも実はすごいわよ」

(;゚ー゚)「わー、ツンちゃんそれ言っちゃだめー」

ξ゚ー゚)ξ「えー、どうしようかなー」

女性陣はそんな事を話しながら学校へ向かい、
取り残されたブーンはため息をつきながら呟く。

(;^ω^)「ふぅ、女の子って分からんもんだお」

('A`)「……」

( ^ω^)「お? ドクオ、どうかしたかお? 」

何も答えないドクオにブーンは、改めて聞き返す。

('A`)「……ん。なんでもねーよ」

(*^ω^)「さては、僕に彼女が出来て嫉妬してるんだお」

('A`)「……本気で言ってるのか? 」

ブーンの軽口にドクオの雰囲気が変わる。
どことなく怒気を含んだ雰囲気にブーンは少し戸惑う。

(;^ω^)「ど、どうしたんだお? ドクオ。冗談に決まってるお」

('A`)「……そうか。ならいい」



170: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:17:27.04 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「……ホントにドクオどうしたんだお?様子がおかしいお」

ドクオの様子がおかしい事を、ブーンは問いただす。

('A`)「なんでもねーよ。おら、せっかく早く来たのに遅刻したら最悪だ。行くぞ」

そういって、ドクオは歩き始めた。

( ^ω^)「うーん。やっぱり、おかしいお」

しばらくブーンは首をひねる。

( ^ω^)「まぁ、気のせいだお」

結局、答えの出ないまま考えることを放棄したブーンは三人の後を追って学校へ向かった。






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