( ^ω^)ブーンの住む世界が大変なことになっているようです

91: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 16:15:04.23 ID:t5AZgBpS0
( ^ω^)「ドクオ……誰かいるお」
('A`)「多分クラスの奴らだ。うかつに動けないな。能力によっちゃ負ける」
( ^ω^)「脳みそは食べられたくないお」
('A`)「……ん?あの頭は……おい、羅鋳枯雨(ライコウ)、不良のお前が、生き残ってるとはな」
(■σ■)「ばれてんのかよ……まあいいや、ザコだろ?お前らも。クラスの奴らの味噌はみーんな俺の腹の中だ」
('A`)「全部……喰ったのか?」
(■σ■)「全部じゃねぇよ、こいつは生かしてやった」
(´ε`)「あ、あのぅ〜ぼくはですねぇ〜、戦いとかそういう」
(■σ■)「まずお前がいって奴らの手の内を暴いてこい」
(´ε`)「でもぉ〜そんなことしたら」
(■σ■)「ぶっ殺すぞッ!」
(´ε`)「……わかったよ」



92: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 16:15:28.73 ID:t5AZgBpS0
ライコウの下っ端は、ゆっくりと二人に近づいてきた。

('A`)「奴の能力をまず暴かないとやばいな」
( ^ω^)「うわっぁ!11!!11!戦うの怖いお!もう脳みそなんて食べたくないお!」
('A`)「うるせぇ、勝つことだけ考えろ。負けたら死ぬぞ」
( ^ω^)「アウアウ……」
(´ε`)「それ」

下っ端が、右手の薬指を折り曲げた。
しかし何処にも変化は見られない。
ブーンは心配してドクオを見たが、
ドクオはまだ相手の技の観察を続けていたので安心した。

('A`)「お前、能力がないんじゃないのか?」
(´ε`)「もう発動してるよぉ〜。そぉ〜っれ!」

異常な速さだった。
人の動きとは思えない俊敏さ、力の強さ。
ブーンの目には、自分の腹に深々とささる拳が見えただけだった。



93: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 16:15:50.75 ID:t5AZgBpS0
( ^ω^)「ぐはっ……痛い…お」
('A`)「大丈夫かっ!……筋肉増強、だな」
(´ε`)「見破っても遅いよぉ〜」

目の前で、ドクオがボコボコにされている。

('A`)「ゆ、指が動かない……グハッ」
(´ε`)「しんじゃぇぇぇ!ッヒヒヒ」
( ^ω^)「このままじゃやばいお……」

ブーンが下っ端に指を向けた。
左手の人差し指を。

(■σ■)「そうはさせねぇぜ!くそ野郎がぁ!」

ライコウの指が曲がった。
同時に、体の異変を感じた。



94: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 16:16:15.29 ID:t5AZgBpS0
( ^ω^)「……足が……うごかないお……あれ?」

ブーンの足は、5メートルほどで止まっていた。
刀でスパッと切りとられたかのような感じで。
しかし、切り口からは血も出ていない。自分の足も痛くはない。

( ^ω^)「どういう……?」
(■σ■)「俺の力はなぁ!空間を切り離すことができるんだぜぇ!ヒャヒャヒャ!」

( ^ω^)「手をずらせば良かったのに」

ブーンは、自分の感情がコントロールできなくなっていた。
ライコウが凍る。氷を投げつける。割れる。バラバラに、割れる。

('A`)「グハッ……ブーン……戦いを覚えた……ようだな」
( ^ω^)「いま助けるお」

そういえば、二つ目の能力をまだ使っていなかった。
ドクオしか目に入っていない奴を標的に、左から順番に指を折り曲げていった。
だが、指に違和感を感じたときに、下っ端は宙に舞っていて、
標的がドクオになってしまった。



95: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 16:16:49.41 ID:t5AZgBpS0
(´ε`)「!!」

下っ端の動きが止まった。
ドクオが、青白い光に包まれている。

('A`)「再生、だな。人体の自然治癒力を、限界まで高める……」
( ^ω^)「はぁ、はぁ。力を使いすぎたっぽいお。あとは……ドクオ―」
('A`)「まかせておけ。ヒュン」

下っ端の体が切り刻まれてゆく。
先ほどの勢いはもう感じなかった。
体の痛みが消えたドクオの「風」の力を前に、
白兵戦専用の能力は通用しなくなった。

('A`)「ブーン、大丈夫か?」
( ^ω^)「……大丈夫だお。あいつは?」
('A`)「生かしてある。精神操作で情報を聞き出したら脳はもらうけどな」
( ^ω^)「ライコウは―」
('A`)「お前のものだ。眠っている間に喰わせてやったよ。手に入る能力は相手が最初に持っていたものだけだがな」
( ^ω^)「……そうかお……」



127: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:30:58.92 ID:t5AZgBpS0
('A`)「で、奴の力はなんだったんだ?」
( ^ω^)「多分空間ずらしだお。……そういえば足をずらされてたお」

ブーンは自分の足を見たが、左右どちらとも付いている。
どうやら元に戻ったようだ。

('A`)「使った能力は、持ち主が死ぬと消える」
( ^ω^)「そうなのかお……おなかすいたお、帰りたいおー」
('A`)「俺の家はもうみんなやられてたからな、お前の家族の生存を確認しにいこうか」
( ^ω^)「へ、変なこというなお……カーチャン……」

曲がり角、電柱の影。
いままでなんとも思っていなかったモノが、全て恐ろしく見えた。
車も人も通らない。
音無き街は、どこまでも不気味だった。

('A`)「みんなやられてるな」
( ^ω^)「……ウッ……ウッ……」
('A`)「泣くな。まだ周囲にお前の家族を喰ったやつがいるかもしれない」
( ^ω^)「ヒッグ………ウッ……」
('A`)「……いい加減にしてくれよ」

ドクオはブーンの家の冷蔵庫をあさり始めた。
どうやら食料は大量にあるようだ。



128: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:31:30.00 ID:t5AZgBpS0
('A`)「この家を起点に、俺達は行動することにしよう」
( ^ω^)「……そうしよう」
('A`)「ずいぶんとたくましくなったな」
( ^ω^)「戻さなきゃ」
('A`)「……?」
( ^ω^)「世界を元に戻さなきゃならないんだお。見るお」

ブーンがドクオに見せたのは、ドクオにもらった人口時計だった。
相変わらず表示されている橙色のデジタル数字。

('A`)「60万人……一日で半分か」
( ^ω^)「おとといに石が見つかったんだお」
('A`)「そうだが……それがなにか」
( ^ω^)「1日で60億人が120万人になっていたお」
('A`)「今日の朝はな」
( ^ω^)「でも……減り方が極端に少ない希ガス」

ブーンは当初から疑問を感じ続けていた。
いかにして1日の間に58億人近くが死んだのか。
そして、今日、なぜこんなにも極端に死者が減ったのか。



129: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:32:35.44 ID:t5AZgBpS0
疑問の解決に、必死だった。

('A`)「あのな、この世界には、ダイヤモンドってよばれてる魔法石がある。もちろん宝石とは違う方だ」
( ^ω^)「……」
('A`)「その石を喰うと……凄い力が手に入るんだ」
( ^ω^)「凄い力……?」

ブーンは思わず息をのんだ。

('A`)「『蘇生』と『乱反射』っていう二つの能力だ」
( ^ω^)「両方気になるお」
('A`)「『蘇生』は死んだモノだけでない。過去に存在していた全てのモノをよみがえらせるんだ」
( ^ω^)「そりゃ強そうだお」
('A`)「この能力は特別なんだ」
( ^ω^)「…何が特別なんだお?」
('A`)「俺もお前も、存在するものしか操作できない」
( ^ω^)「ふむふむ」

よくわからないが、頷くことは3本の指にはいるくらい得意だ。



130: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:32:55.71 ID:t5AZgBpS0
('A`)「『蘇生』はすでに存在していないものまで蘇らせる」
( ^ω^)「うん」
('A`)「だが、そんなことはできない。エネルギー保存やら質量保存やらで、蘇生させるにはどこからか持ってこなければならない」
( ^ω^)「つまり、命を蘇生させただけ誰かがどこかで死ぬ、ということかお?」
('A`)「ご名答。だが、世界の生物は数があまりにも数が多い。そこで役に立ったのが『乱反射』だ」
( ^ω^)「kwsk」
('A`)「『乱反射』は魔法によって生まれた効果を、拡大する能力だ」
( ^ω^)「拡大?」
('A`)「……つまり、ダイヤモンドを喰った奴は、微生物を大量に殺し、蘇生させているんだろう」
( ^ω^)「一気に何億もの命が死んでいくわけなのかお」
('A`)「そうだ。だが、そうそう簡単に人間ばかりに標的は定まらない」
( ^ω^)「といいますと?」
('A`)「絶対、ダイヤを喰った奴のそばには、俺とお前のように味方がいることになる」
( ^ω^)「……もう疲れたお。何でそんなにドクオは詳しいんだお?」
('A`)「俺の力はな、生まれつきだったんだ」
( ^ω^)「生まれつき……?」
('A`)「殆どの生まれつきの奴は、些細なことしかできないが、俺は違ったな」
( ^ω^)「?」
('A`)「人の心を読みとれる。そういうやつってテレビに良く出てるだろ」
( ^ω^)「透視ってやつかお」
('A`)「読心術だ。透視は物質の影になっている光を見通すちからだ」
( ^ω^)「ふーん……そういえばなんか変な匂いがするお……?」
('A`)「俺の話は(ryかよ」
( ^ω^)「静かにするお」



132: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:33:33.15 ID:t5AZgBpS0
カシャカシャ……ボッ……
何か怪しい物音がする。
寝室からのようだ。

( ^ω^)「よくありすぎな演出でむしろ怖いお」
('A`)「人の気配だな
( ^ω^)「読心術ktkr」
('A`)「……」

ゆっくりと階段を上がっていく。

(´・ω・`)「キコキコ」

( ^ω^)「あいつっ……!!何やってるんだお……!」
('A`)「火をおこしているみたいだな」
( ^ω^)「魔法を使えばいいのに」
('A`)「奴も俺達も炎や熱やらって使えないだろ」
( ^ω^)「そうだったお……ショボン、なにやってるんだお?」

少し勇気を振り絞って妖しいショボンに話しかけてみた。
あの事件があって以来、ショボンは恐ろしい存在だった。



133: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:33:56.71 ID:t5AZgBpS0
(´・ω・`)「やあ、ようこそバーボン―」
( ^ω^)「ボクのウチだお」
(´・ω・`)「うん、済まない」
('A`)「何でこんなところに」
(´・ω・`)「食料を求めて、かな」
( ^ω^)「火興しはそのレトルトを暖めるためかお?」
(´・ω・`)「うん」
('A`)「敵意は無いのか?」
(´・ω・`)「争ってなんになるんだ。もともと戦者じゃないんだ」
( ^ω^)「せんじゃ…?なんだお、それ」
(´・ω・`)「僕らの間で広まった言葉だよ。戦いを好きこのむ人の事だ。ライコウとか」
('A`)「ああ、奴か」

ブーンは、奴の脳みそが胃の中に収まっていることを思い出した。
奴の能力はまだ試していない。残酷な興奮が体を巡った。

(´・ω・`)「ここに居るのか?」
( ^ω^)「裏山に体だけが残っているお」
(´・ω・`)「……そうか」



134: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:34:13.33 ID:t5AZgBpS0
少しの沈黙、まるでライコウに黙祷を捧げるかのような時間が過ぎた後、
ドクオが口を開いた。

('A`)「……一緒に行動しないか?」
(´・ω・`)「うほっ、いいおt」
('A`)「そうじゃない。協力をあおいでいるだけだ」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「(いいのかお……やつは危険な予感がするお)」
(´・ω・`)「そうだね。そうしよう」

ショボンの不気味な返事に、安堵と不安が脳裏をかすめていった。



135: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:34:28.71 ID:t5AZgBpS0

( ^ω^)「信用ならないお」
('A`)「奴は安全だ」
( ^ω^)「なぜそういいきるんだお」
('A`)「ライコウの様子を見ただろ。戦者はみんな狂っている。それに比べて奴は冷静だ」
( ^ω^)「そういう奴に限って裏切るんだお」
('A`)「小説じゃないんだから」
( ^ω^)「うはwwww厨房乙wwww」
(´・ω・`)「そろそろ寝ない?瞼が重いんだ」
('A`)「そうだな。見張りを一人選ぼう」
( ^ω^)「ボクがヤるお」
(´・ω・`)「じゃあ君に頼もう。何かあったら大きな音を出して起してくれ」
('A`)「やつは『音』を持っていない」
(´・ω・`)「じゃあこれあげるよ」

ショボンがブーンに手渡したのは、ぬちょぬちょとした気味の悪い物体だった。
ここまで呼んでくれたみなさんなら、なんだかお分かりだろう。

( ^ω^)「……もきゅもきゅ」

ブーンは、もうためらわなかった。
脳を食すという気持ち悪さよりも、新たな能力を手に入れることに喜びを見いだしていた。
いずれ、戦者になるともしらずに。



136: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:37:55.17 ID:t5AZgBpS0
(´・ω・`)「『音』は空気を細かく振動させちゃうアレだ」
('A`)「空気と違って範囲が自由じゃないが、威力は高い。音を最大限に出せばどうなるかくらいはわかるだろ」
(´・ω・`)「家とかで最大はやめてくれ。みんなつぶれて死んじゃうから」
( ^ω^)「わかったお」

夜の階段は、幽霊が怖かった。
もうそんなものは信じてはいない年だったが、
魔法が存在するのである。
もう魔王が居ても、神様がいても、幽霊が居てもおかしくない気がした。

( ^ω^)「やっぱりこわいおwww単独戦闘はムリスww」

無音の世界。
こういうものなのだろうか。
全く、空気の振動を感じない。

( ^ω^)「寂しいお……トーチャン、カーチャン……」

涙を流しながらの見張りは、辛かった。



137: ◆x4rswkGbI2 :2006/03/04(土) 21:39:40.24 ID:t5AZgBpS0
一日目  終了
( ^ω^)の能力「氷」「空間ずらしNew」「回復New」「音」
('A`)の能力 「筋肉増強New」「音」「精神操作」「風」「反射」「読心術」
(´・ω・`)の能力 「死」「空間破裂(首飛ばした技)」「音」
(◎―◎)「死」「融解」「???」
(■σ■) ―凍死―
(´ε`) ―衰弱死―
( ´_ゝ`)「???」
( ゚∀゚)「???」

21:38分現在の生存者 ― 46126名



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