(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです
- 1: ◆sEiA3Q16Vo :05/31(木) 17:16 tKcMCkdEO
新しい生き方を願い。
強くなろうと誓いました。
猫は――
仲間を見付けました。
住処を見付けました。
恋人を無くしました。
猫は悲しみます。
とても悲しみます。
猫は悲しみます。
いつも涙を流します。
猫は――
ともがらを探します。
ともがらを見付けます。
同じで違うものを見付けます。
猫は――
(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです
- 2: ◆sEiA3Q16Vo :05/31(木) 17:17 tKcMCkdEO
――VIP市立総合病院。
市内最大の敷地面積を誇り、収容できる人数も同様に最大規模の病院である。
しかし、その病院は現在、存亡の危機に晒されていた。
即ち、従業員の数が圧倒的に足りない為だ。
入院患者の数が定員の十分の一にも満たない為、従業員に支払われる給金が追い付かず職場を去る者が後を絶たない。
結局の所、無駄に維持費がかかるだけとなり、閉鎖の一歩手前まで追い込まれてしまったのだ。
市が運営する為、閉院と言う事は無く、国からの補助金によって何とかやりくりしている状態だ。
そんな荒廃の色濃い病院に、一人の女が就任した。
(*゚∀゚)「働きたいんだけど」
从゚∀从b「おk、把握」
こうして、つーの第二の人生が始まるのだった。
ナース服、万歳。
- 3: ◆sEiA3Q16Vo :05/31(木) 17:18 tKcMCkdEO
(*゚∀゚)「暇だ」
つーは、一言そう呟くと机に広げた書類を横にずらし、出来たスペースに突っ伏す。
(*゚∀゚)「こんなあったかい日は寝るに限るよね」
窓から差し込む陽射しを浴びながら、彼女はゆっくりとまどろんでいく。
从゚∀从「そこで寝るという選択が何故出るんだ」
(*゚∀゚)「あ、高岡ドクター」
カウンターの向こう側から掛けられた言葉に、つーは顔を上げる。
そこには、白衣に身を包んだ妙齢の女性が仁王立ちしていた。
从゚∀从「ただでさえウチは人手が少ないんだ。せめて時間内はしっかり働け」
(*゚∀゚)「だって暇だもの」
从゚∀从「暇なら寝て良いってどんな職場だよ」
(*゚∀゚)「こんな職場」
从゚∀从「どんな職場だ」
(*゚∀゚)「こんな職場」
(´<_`)「無限ループって怖くね?」
从゚∀从「おぉ、弟者か。また兄貴の見舞いか?」
ブラリとカウンターに現れた男に、高岡と呼ばれた白衣の女性は振り返る。
(´<_`)「そんなとこです」
ひょろりとしたその男は、手に持った紙袋を持ち上げ、頷く。
- 4: ◆sEiA3Q16Vo :05/31(木) 17:19 tKcMCkdEO
(*゚∀゚)「何? またエロゲ?」
(´<_`)「いや、Fate」
(*゚∀゚)「ほぼエロゲじゃん」
从゚∀从「しかも今更かよ」
身を乗り出して覗き込もうとするつーに、弟者は袋からソレを取り出す。
(´<_`)「セイバーは俺の嫁」
そう言い残し、弟者の姿は通路へと消えて行った。
从゚∀从「まともな客は居ないのか、この病院は」
白衣の女性は腕を組みながら憤慨し、深々と息を吐き出す。
(*゚∀゚)「医者が医者だからね〜、アヒャヒャ」
从゚∀从「ほっとけ」
からかう様に笑うつーを半眼で睨むと、再び溜め息を突いた。
(*゚∀゚)「んじゃ、おやすみ」
从゚∀从「寝るなよ」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、暇だからさ〜」
从゚∀从「なら働けよ」
- 5: ◆sEiA3Q16Vo :05/31(木) 17:19 tKcMCkdEO
欠伸をしながら体を反らすつーに、高岡はこめかみを押さえながら呟く。
(*゚∀゚)「だから、やる事無いんだって。今の所」
ナース服の袖口を直しつつ、つーは言い、机の傍らにどけられた書類の束をカウンターの上にバサリと乗せる。
それを茫然と眺めながら、高岡は何度か目をしばたかせる。
从゚∀从「……あ〜そうかい」
諦めた様に、溜め息を突くのだった。
从゚∀从「流石の兄者はどうだ?」
(*゚∀゚)「現在の状態は問題なし。元気にブラクラ踏んでます」
从゚∀从「810号室の阿部さんは?」
(*゚∀゚)「術後の経過は良好。何か見舞いが来てました」
从゚∀从「急患のヒートさんは?」
(*゚∀゚)「意識戻って暴れてたんで、鎮静剤撃っときました」
从゚∀从「ん、了解」
それだけ言うと高岡は白衣を翻し、通路を歩き出す。
从゚∀从「あぁ、そうだ」
二、三歩進んだ所で、ふと気付いた様に立ち止まり、首だけ振り返る。
从゚∀从「下受けの診療所からこっちに一人回って来るから、応対頼んだぞ」
(*゚∀゚)「了〜解、空きの病室確認しとくよ」
从゚∀从「あ〜……患者の名前は確か……」
『ドクオって言ったな』
〜プロローグ・完〜
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