(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです

13: ◆sEiA3Q16Vo :06/01(金) 08:30 LSJqcRGeO


第1話・しらないひと



開け放たれた窓から、初夏の熱さを含んだ風が入り込む。
純白の、清潔感溢れるベッドに、酷く憂鬱な顔をした男が横になっていた。

('A`)「……………」

(*゚ー゚)「兄さん、リンゴ剥けたよ」

その男に、学生服で身を包んだ少女が綺麗に切り分けたリンゴを差し出す。

('A`)「ん? あぁ、悪いな」

(*゚ー゚)「兄さんも人が良すぎるよ、猫を助けて車に撥ねられるなんて」

('A`)「バーサーカーに吹っ飛ばされるよりゃマシだ」

(*゚ー゚)「……何それ?」

('A`)「……気にすんな」

バツの悪そうな顔で、男は楊枝でリンゴを刺すと口に運ぶ。その時、病室の扉をノックする音が響く。

『診察で〜す』

(*゚ー゚)「あ、は〜い」

扉ごしに軽い調子で声が掛り、少女は備え付けの椅子から立ち上がると扉に駆け寄った。



14: ◆sEiA3Q16Vo :06/01(金) 08:31 LSJqcRGeO






(*゚∀゚)「……………」

オーケィ、落ち着けアタシ。

この時代のドクオは、ドクオであってドクオじゃない。アタシの事は知らないはずなんだ。

……知ってるわけ……ないんだ。

だから、変に慌てず、冷静に行動すれば良いんだ。

あ〜……もどかしい。

まぁ、こんな所で悩んでも仕方ないや、とにかく落ち着いて診察すれば良いだけなんだからさ。

(*゚∀゚)「診察で〜す」

アタシは扉をノックし、努めていつもと同じ声で呼び掛ける。

『あ、は〜い』

……………。

鈴みたいに可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。

予想外だ。

どうしよう。いや、頑張れ私。
いつものポジティブシンキングで行こうじゃないか。

冷静に、落ち着いて。

ビィクール、ビィクール。

(*゚∀゚)「失礼しま〜す」

('A`)「あ」

前言、撤回。

(*;∀;)「ドクオォォォオッ!」

扉が開き、アイツの顔が見えた瞬間、アタシは走り出していた。



18: ◆sEiA3Q16Vo :06/02(土) 00:36 o/v5+SjSO


……やっと会えた。

何かミシミシ聞こえるけど気にしちゃ駄目だよね。

『……肋骨が……肋骨が……』

何か聞こえてくるけど、気のせいだよね。

やっと会えたんだ。

ずっとずっと待ってたんだ。

少しでもこの温かさを感じていたい。あの時と同じ温かさが欲しい。

それぐらいの我儘は……許してくれるよね。

ねぇ、ドクオ。

アンタはアタシを知らないよね。

それでも良いんだ。

今、アンタが居てくれる。
それだけで良いんだ。

ねぇ、ドクオ。

もう一度、アタシの名前を呼んで欲しい。

もう一度――














(*'A`)(オッパイが……うはwwwwおkwwwww)



19: ◆sEiA3Q16Vo :06/02(土) 00:56 o/v5+SjSO


(*'A`)(あ〜柔らけぇ……)

突如として自らの胸に飛び込み、むせびなくナースと、胸に当たるナイスミドルな感触にDOUTEIの彼の顔は紅潮していく。

(*;∀;)「ど〜ぐ〜お〜」

恥も外聞も泣く、泣き叫ぶナースの艶やかなうなじ。
背中から腰にかけてのライン。

動き易さを考慮してあり、なおかつボディのラインがボンッキュッバキューンでエロシチズムなファンタジスタ。

これぞ神が自らの手でその技巧を惜しみ無く追求し造り上げ、この世に遣わした白衣のエンジェル。

乳! うなじ! 尻! 後何かエロそうな響きのアレ!
DOUTEIの彼のサーチングアイはその神の産み出した美の化身を余す所なくねぶり、噛み砕き、むしゃぶりつくす様にぶるあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!











(* ー )「兄さん」

(;'A`)そ









(#)A`)「……声に出してた?」

(*゚ー゚)「途中から」



26: ◆sEiA3Q16Vo :06/04(月) 21:59 552I+6jFO


(*゚ー゚)「それよりも兄さん、この人知り合いなの?」

(#)A`)「いや、心当たりは無いんだが」

腕を組みながら問い詰める少女に、ドクオは頬を撫でながら答える。
相も変わらず、つーはドクオの衣服を鼻水と涙で汚している。

(*;∀;)「あう〜……」

(#)A`)「あの……」

(*;∀;)「なんだよ〜……」








(#)A`)「どちら様で?」













(*;∀;)「ぐぉああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

つーは駆け出した。
病室のドアを破り駆け出した。








(#)A(#)「何だったんだ、一体」

(*゚ー゚)「……さぁ?」

病室に取り残された二人は、顔を見合わせ首を傾げるのだった。



28: ◆sEiA3Q16Vo :06/06(水) 17:14 IV6gIbwzO


まっさらなシーツが風になびく。

(*゚∀゚)「ドクオのアホ〜……」

抜けるような青空の下、つーは病院の屋上で手摺に掴まり、足下に広がる病院の中庭を見下ろしていた。
腰の曲がった老人がベンチに腰掛け、車椅子に乗った少年がそれを押す両親と談笑している。

(*゚∀゚)「あ……」

その中で、つーは見付けた。

ぎこちなく杖を突き、歩道を歩くドクオの姿を。
傍らには彼の妹であるしぃが、かいがいしく付き従っていた。

(*゚∀゚)「う〜……」

その光景に、つーの頬はますます膨れ上がるのだった。

从゚∀从「仕事もしないで何やってんだお前は」

不意につーの後ろから声がかかる。振り返るつーの目には、屋上の入り口に立つ高岡の姿が写った。



29: ◆sEiA3Q16Vo :06/06(水) 17:15 IV6gIbwzO


从゚∀从「しかし、暑くなってきたな」

高岡は自分の襟元を手で扇ぎながらつーに歩み寄る。
太陽に照らされる屋上の気温は、まるで真夏のそれと錯覚させる。

白衣の下に着込んだタートルネックのセーターがその暑さを更に助長している。

(*゚∀゚)「脱げばいいじゃん」

从゚∀从「白衣にタートルネックのセーターはデフォだろ、常識的に考えて」

依然として襟元を扇ぎながらも、高岡は当然の様に言い放つ。

(*゚∀゚)「それだから婚期を逃すんだよね」

从゚∀从「ほっとけ」

舌打ちをしながら、高岡は白衣の内ポケットを探り、中から煙草を取り出す。

チラリ、と一度入り口の扉に張り付けられた禁煙の張り紙に目をやり。フンと一笑に伏すとくわえた煙草に火を点す。

从゚∀从y━・~「んで、何悩んでるんだ?」

手摺にもたれ、空に向けて紫煙を吐き出す高岡は、これでもかと言わんばかりに口元を緩ませていた。



30: ◆sEiA3Q16Vo :06/06(水) 21:56 IV6gIbwzO


(*゚∀゚)「別に……」

从゚∀从y━・~「ん〜? い〜からお姉さんに話してみ? ん?」

にやけた口元を崩さず、高岡は手摺に沿ってつーへとにじり寄る。

(*゚∀゚)「……言っても分かんないって」

高岡と共に近付いてきた紫煙を手で払いながら、つーは顔をしかめる。

从゚∀从y━・~「何だよ、お前と私の仲じゃないか」

ささやかなつーの抵抗に気付いた様子も無く、高岡は煙を肺に溜めると、思い切り吐き出す。

それに併せる様にして、つーは深く溜め息を突く。

(*゚∀゚)「……あのさ」

从゚∀从「うん」

手摺を掴み、うつ向きながらつーは言葉をつむいでいき、高岡は煙草を揉み消すと目を輝かせてズイと近寄る。

(*゚∀゚)「自分が好きになった人が、自分の事忘れてるっていうか、知らないって時、どうすれば良いかな」

从゚∀从「とりあえず襲え」

(*゚∀゚)「アンタに聞いたアタシが馬鹿だったよ」

盛大に溜め息を突くと、つーは空を仰ぎ、流れる雲を眺めるのだった。



31: ◆sEiA3Q16Vo :06/06(水) 22:12 IV6gIbwzO


从゚∀从「ま、こんな所でウジウジしてても仕方ないだろ。さっさと仕事に戻るぞ」

(*゚∀゚)「あ〜う〜……」

手摺にしがみ付こうとするが、それより一瞬早く高岡の腕が伸び、つーの襟首を掴み入り口へと引きずっていく。

从゚∀从「ま、何にせよ」

(*゚∀゚)「アヒャ?」

从゚∀从「少しは女らしさを磨く事だな、私の様に」

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、説得力の欠片も無いね〜」

从゚∀从「ほっとけ」

そんなやり取りをしながら、二人の姿は扉の奥に消えていく。





(*゚ー゚)「兄さん?」

('A`)「……ん、どうした?」

(*゚ー゚)「屋上なんか見上げて、どうかしたの?」

('A`)「いや……何でもない」

ドクオはそう言うと、見上げたままの首を戻し、再び杖を突きながら歩き出す。

('A`)(知り合い……じゃないはずだよな……)

(*゚ー゚)「兄さ〜ん」

('A`)「あぁ、今行く」



ドクオは歩き出そうとし。

もう一度、屋上を見上げ。



('A`)「名前……聞いてみるか」

一人、口の中で呟いた。



第一話・完



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