(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです

35: ◆sEiA3Q16Vo :06/07(木) 22:53 8WVjmRmfO


第二話・はやりのひと



(´_ゝ`)「ドリル」

(´<_`)「ドリル」

(´_ゝ`)「合体」

(´<_`)「合体」

(´_ゝ`)「紅蓮羅顔」

(´<_`)「救連螺顔」

(´_ゝ`)「おっぱい」

(´<_`)「おっぱい」

(´<_`)「アニキ」

(´_ゝ`)「呼んだ?」

(´<_`)「ちげーよ」



『診察だよ〜』



(´_ゝ`)『は〜い』(´<_`)



36: ◆sEiA3Q16Vo :06/07(木) 22:55 8WVjmRmfO


中々ドクオに会う機会に恵まれない。どうしよう。



どうしようも無いから、誰かに相談してみたいと思う。
とりあえずドクターは当てにならないから、診察ついでに患者の皆にそれとなく相談してみる。

先ずは流石の兄者にでも相談しよう。変態だけど、まぁドクターよりはマシ……だと思う。

多分。

この時間なら、弟者も居るだろうから都合が良いや。

二人共、彼女居ないだろうけど。

むしろ妹に聞いた方が良いのかもしんないや。
しかし、ここまで来たなら贅沢は言えないから仕方ないので諦める。

(*゚∀゚)「診察だよ〜」



『は〜い』



……頑張ろう。

アタシは密かにそう決意すると、扉を開いた。



38: ◆sEiA3Q16Vo :06/08(金) 20:42 BAKaQSViO


案の定、二人は病室に備え付けのテレビと向き合っていた。内容は良く知らないが、兄者曰く『ドリル』と『おっぱい』と『グラサン』で成り立っているアニメらしい。



なんのこっちゃ。



まぁ、人の趣味をとやかく言うのは止めておこう。

趣味は個人の自由だ。

(*゚∀゚)「んじゃ、点滴するからテレビ消して」

(#´_ゝ`)「何を言うか! 今が肝心のシーンなんだ! 点滴なぞ後にしろ!」

(´<_`*)「兄者、乳揺れシーンだぞ」

(;´_ゝ`)「何ィイィィィッ!!! クソ、見逃したじゃないか。だから点滴なぞ後に――」



(*゚∀゚)「うりゃっ」


ブヅッ


(;゚_ゝ゚)「ハア゙ッオ!」

(゚<_゜;)「兄者ああああぁぁぁぁぁっっ!!!」



あれ? デジャヴ?

とりあえず、ムカついたから無理矢理点滴を始める。

(*゚∀゚)「どーせ録画してるんだから良いでしょ、別に」

(´_ゝ`)「リアルタイムで見る事に意義がある」

(´<_`)「それだけは譲れない」

(*゚∀゚)「アホだろ、お前等」



39: ◆sEiA3Q16Vo :06/08(金) 20:43 BAKaQSViO


悪態を突きながら、つーは点滴が落下する量をバルブを捻り調整する。

挿し込んだ針が動かないか確認し、満足がいったのか口元を緩め、一度頷く。

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、我ながら完璧だね〜」

(´_ゝ`)「まぁ完璧で当然だな」

(´<_`)「確かに」

(*゚∀゚)「うっさい」

水を差す二人の言葉に、眉根を寄せながら憤慨する。

(´<_`)「ときに、何か俺達に言いたい事でもあるのか?」

(*゚∀゚)「アヒャ? 何で分かったの?」

(´<_`)「勘」

(*゚∀゚)「成程」

(*´_ゝ`)「このおっぱいで14歳とか、ねーよwwwww」












(´<_`)「兄者の事は置いといて、何か悩みでもあるのか?」

(*゚∀゚)「ん〜……そうなんだけどね〜……」

窓に持たれ掛り、つーはうつ向きながら頬をポリポリと掻く。

(*゚∀゚)「ん〜……」

腕を組み、天井を仰ぎ、口元を歪ませながら何度も唸る。

(*゚∀゚)「まぁ、何と言うか、恋愛に勘しての話なんだけどさ」

(#)_ゝ`)「恋話ktkrwwwww」

(´<_`*)「wktkwwwww」



(*゚∀゚)「まぁ、童貞のアンタ達に聞いてもどうかと思った」



(#)_ゝ`)『…………』(´<_`)



(*゚∀゚)「……………」



42: ◆sEiA3Q16Vo :06/10(日) 15:41 SS/GJWg3O


(#)_ゝ`)「性交なんて都市伝説だろ、男は皆童貞なんだよ」

(´<_`)「兄者、それでは子供が産まれないぞ」

(#)_ゝ`)「子供はキャベツの中から産まれます」

(*゚∀゚)「それはねーよ」
(´<_`)「兄者、保健体育の授業はちゃんと受けたか?」

(#)_ゝ`)「あぁ、それなら――



――……保健体育。

それは、体育とは名ばかりの、羊の皮を被る魔性の授業科目。

ゆとり教育の余波が蔓延する昨今の世の中。若きティーンエイジャー達に必要な科目である。

『やれば できる』

昔の人間は、良い言葉を残したものだ。性交とは快楽を求める行為ではない。

自らの遺伝子。

自己が存在した証を後世に残す為の、神聖な行為なのだ。



43: ◆sEiA3Q16Vo :06/10(日) 15:42 SS/GJWg3O


――だが。

思春期を迎え、異性を意識し、性交と言う甘美な響きを持つ享楽への欲求は、抗う事は難しい。

間違った知識を身に付けたが為に、双方の後の人生を大きく狂わせる事も有り得てしまうのだ。

快楽と言う欲求に、人間が逆らうのは非常に困難だ。
一週間のオナ禁ですら上位テオ討伐の数倍に匹敵する。

大豆を食えば楽になるというプチ情報などメッシーナ師範代クラスの不必要さだ。

性交に必要なのは、確かな知識と、相手の今後を考える冷静な判断なのだ。

その為に、保健体育という授業は存在する。



(#)_ゝ`)「――訳なんだが、真面目に受けてると『あいつエロくね?』のレッテルを貼られかねないから寝てた」

(*゚∀゚)「とりあえずお前が馬鹿なのは把握した」

(´<_`)「スマン、兄者。フォロー出来ない」

(#)_ゝ`)「何だよこの空気」



44: ◆sEiA3Q16Vo :06/12(火) 21:58 vijjc4CmO


(#)_ゝ`)「あーあー、そーですよどうせ俺は童貞ですよ、絶対無職・ドウテイオーですよ」

投げ遣りにそう言うと、兄者は両手を頭の後ろで組み、立てた枕に持たれかかる。

(#)_ゝ`)「眠くなったから寝る」

フンと鼻を鳴らし、毛布を胸元まで持ち上げ固く目を閉じわざとらしくイビキをかく。

(´<_`)「ベタ過ぎるぞ兄者」

(#)_ゝ`)「ウルサーイ」

(´<_`)「時につー殿、中途半端に話が終わったのだが良かったのか?」

(#)_ゝ`)「突っ込みすらされなくなった件について」

(*゚∀゚)「……いや、大した事じゃないんだけどさ〜」

頭を掻きながら、つーはバツの悪そうな顔をし、中身が空になった点滴の袋を取り外す。

(´<_`)「相談というものは、事の大小は関係無いと思うぞ」

(#)_ゝ`)「おちんちんびろ〜ん」

(´<_`)「兄者」

(#)_ゝ`)「何だいブラザー」

(´<_`)「少し黙ってろ」



(#)_ゝ`)「……ハイ」



45: ◆sEiA3Q16Vo :06/12(火) 21:59 vijjc4CmO


(´<_`)「とりあえず状況の説明を頼む」

兄者を一喝した弟者は、視線をつーへ戻す。

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、あんまり上手く言えないんだけどね〜、相手はアタシの事を知らないんだよね」

(´<_`)「つまり一目惚れか?」

(*゚∀゚)「ん〜、厳密には違うけど、まぁそんな感じかな」

(#)_ゝ`)「とりあえず相手のスペックうp」

(*゚∀゚)「童貞、年下、妹付き」

(´<_`)「恵まれてそうで恵まれてない位置だな」

弟者は、つと顎に手をやり考え込む。しばし、沈黙が病室を包み込み、時計の秒針が進む音だけが響いていた。

(´<_`)「まぁ、何だ。まずは相手とコミュニケーションを取ってみたらどうだ?」

(*゚∀゚)「例えば?」

(´<_`)「最近の時事問題や、趣味等、話題は何でも良い。とにかく相手と会話する事が大事だな」

(*゚∀゚)「お〜、成程」

(#)_ゝ`)「弟者よ……いつからそんな真面目な人間になってしまったんだ」

(´<_`)「残念ながら産まれ付きだぞ、兄者」



(*゚∀゚)「……ま、とりあえず頑張ってみるよ」

(´<_`)「うむ、応援しているぞ、つー殿」

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、じゃまた来るからね〜」

手を軽く振りながら、つーは扉に向かう。

(#)_ゝ`)「おい」

そんなつーの背中に、兄者の声が掛る。

(*゚∀゚)「アヒャ?」



(#)_ゝ`)b「骨ぐらいは拾ってやるからな」

(*゚∀゚)b「アヒャヒャ、そーならない事を祈るよ」

互いに右手を突きだし合い、つーの姿は扉の向こうに消えていった。



48: ◆sEiA3Q16Vo :06/15(金) 01:33 Bn8FXjTeO


(´<_`)「……時に兄者」

(#)_ゝ`)「何だいブラザー」

(´<_`)「つー殿の事を“覚えて”いるか」

(#)_ゝ`)「いや、全く」

風が、カーテンを揺らす。

(´<_`)「……そうか」

諦観の表情で弟者はうつ向く。その様子を、兄者は申し訳無さそうに見ていた。

(#)_ゝ`)「すまない、弟者」

謝罪の言葉が、兄者の口を突いて出た。

(´<_`)「気にするな兄者。兄者は悪くないさ」

兄者ではなく、開かれた窓を眺めながら弟者は謝罪に答える。
表情こそ変化が見られなかったが、体の前で組まれた彼の手は、強く握り絞められていた。

(#)_ゝ`)「……………」

力が込められ白く変色し、微かに震える弟者の手を、兄者はただ見続ける。



49: ◆sEiA3Q16Vo :06/15(金) 01:34 Bn8FXjTeO


不意に、その手が開かれる。

顔を上げ、視線を弟者に向けると、彼は口元を軽く歪め苦笑していた。

(´<_`)「そろそろ母者達が来る時間だ」

(#)_ゝ`)「おぉ、もうこんな時間だったのか」

病室の壁に掛けられた時計に目をやり、兄者は大袈裟に驚く。
そんな兄者の姿に、やれやれといった様子で再び苦笑する。

(´<_`)「しかし、その前に」

(#)_ゝ`)「いつものテストだな」

弟者はズボンのポケットを探り、そこから一冊の手帳を抜き出し兄者と向き合う。

互いに神妙な面持ちで深呼吸を繰り返す。

視線で合図を交し、同時に大きく息を吸い込む。

(´<_`)「ワイン」
(#)_ゝ`)「パパウパウパウ」

(´<_`)「ストレイツォ」
(#)_ゝ`)「容赦せん!!」

(´<_`)「第三部」
(#)_ゝ`)「完ッ!!」

(´<_`)「モナリザ」
(#)_ゝ`)「不覚にも勃起」

(´<_`)「イタリア名物」
(#)_ゝ`)「アバ茶」

(´<_`)「僕の名前は」
(#)_ゝ`)「エンポリオ」



(´<_`)「パーフェクトだ兄者」

(#)_ゝ`)「感謝の極み」



鉄球走りは別物だ。



第二話・完



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