(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです

182: ◆sEiA3Q16Vo :07/30(月) 21:03 y4v9XCDIO


雑踏をくぐり抜け。

猫は歩きます。

足取りは奔放に。

気儘にのんびり歩きます。

猫の後ろに子猫が一匹。

抜き足差し足忍び足。

猫の後を追い掛けます。

猫は大きな道を外れ。

細い道を歩き出します。

道の先には一つのお店が。

猫はそこを目指します。

子猫は猫を追い掛けます。


その先には――



第八話・れっつつんでれ



183: ◆sEiA3Q16Vo :07/30(月) 21:04 y4v9XCDIO


昼夜を問わず、繁華街の通りは雑多な人混みで溢れ帰っていた。

歩くだけでも一苦労する人の波を、つーは悠々とすり抜けて行く。
踏み出す足の行く先が既に決まっているのか、足取りは淀みなく、規則正しく踏み出されている。

そんな人混みの中。

つーに向けて鋭い視線を送りながら波をくぐる少女がいた。

(*゚ー゚)「……………」

彼女は、つーが病院のロビーを通り抜けた際、何を思い立ったのかその後を追い始めたのだ。

時には電柱。

時にはポリバケツ。

時にはキャバレーの看板に身を隠しながら前を歩く背中を追い続けていた。

(;゚ー゚)「……一体どこに行くのよ……」

追った距離は、さほど長くはなかったが、この大量の人いきれの中で少女は軽い眩暈を起こしながらひとりごちる。

一定の距離を保ち、なおかつ気付かれないようにこの人混みを潜るのは思いの外、少女の体力を消耗させた。

(;゚ー゚)「あっ――」

眩暈で集中が切れた時、しぃの足はもつれ、倒れ込む。

受け身すら取れぬ状態で、あっと言う間に視界が地面で一杯になり――





(*゚∀゚)「ほいっと」

倒れる少女を抱き止めたのは、自身が追うはずの者だった。



185: ◆sEiA3Q16Vo :07/30(月) 21:48 y4v9XCDIO


(;゚ー゚)「なっ――」

(*゚∀゚)「危なかったね〜アヒャヒャ」

抱きつく形でもたれかかるしぃは、うろたえながらつーを見上げる。

(;゚ー゚)「な……何で?」

(*゚∀゚)「そりゃ、あれだけあからさまに着いて来られれば誰だって気付くって」

(;゚ー゚)「そうじゃなくて……何で助けたのよ?」

(*゚∀゚)「……アヒャ?」

少女の言葉に、つーの首が90度横に傾けられる。
眉根を寄せるわけでもなく、ただ素直に疑問に思っただけのその行為が、少女を更に狼狽させる。

(*゚∀゚)「ん〜……」

考え込む様に人差し指を口元にやり、徐々に眉根が寄っていく。

(*゚∀゚)「いや、助けるでしょ。普通なら」

さもありなんといった口振りでつーは結論を口にした。

(*゚ー゚)「……………」

(*゚∀゚)「……………」

流れる雑踏の中で、二人だけが切り取られた様に立ち止まり、向かいあっている。
片方は抱き止め、片方はしなだれかかる。

それは恋人同士の抱擁にも似て、歩き続ける人々は好奇の視線を向ける。

(*゚ー゚)「――ッ!」

(*゚∀゚)「アヒャ?」

それに気付き、しぃは突き放す様にしてつーの体から離れていった。



186: ◆sEiA3Q16Vo :07/30(月) 22:13 y4v9XCDIO


(*゚∀゚)「アヒャ……」

後頭部に手をやり、ポリポリと掻いた後。

(*゚∀゚)「……んじゃ、アタシは用があるから」

ばつの悪そうな顔のまま振り返り、そのまま雑踏に向けて歩き出す。

(*゚ー゚)「ねぇ」

しかし、それを後ろから投げ掛けられた言葉が引き止める。

(*゚∀゚)「ん?」

右足を踏み出したまま、首だけでつーは振り返る。

(*゚ー゚)「……どこに行くの?」

問掛ける少女の目は、依然鋭さを伴っていたが、そこには僅かばかりの好奇心がちらついていた。

その様子を確認すると、つーは悪戯めいた笑みを浮かべ。

(*゚∀゚)「ん〜、友達の所かな」

(*゚ー゚)「友達?」

(*゚∀゚)「そ、友達」

(*゚ー゚)「どんな人?」

(*゚∀゚)「変態」

(* ー )



一瞬、少女は凍り付いた。

そのリアクションに満足したのか、うんうんと一度頷くとつーは再び足を踏み出した。

(*゚ー゚)「……………」

少女は茫然とそれを見送り。



(*゚∀゚)「着いて来る?」
再度振り返った、つーのそんな言葉に耳を疑った。

(*゚ー゚)「……………」

少女は、自身に向けられた笑顔にしばしの間立ち尽くし。

(*゚ー゚)「……べ、別に着いて行く訳じゃないんだからね! ただ行き先が同じだけなんだから!」

自分を追い掛けてくる少女。

その赤面しながらも、行動が伴わない言葉に、つーは吹き出しそうになりながらも軽やかな足取りで雑踏に踏み出した。



186: ◆sEiA3Q16Vo :07/30(月) 22:13 y4v9XCDIO


(*゚∀゚)「アヒャ……」

後頭部に手をやり、ポリポリと掻いた後。

(*゚∀゚)「……んじゃ、アタシは用があるから」

ばつの悪そうな顔のまま振り返り、そのまま雑踏に向けて歩き出す。

(*゚ー゚)「ねぇ」

しかし、それを後ろから投げ掛けられた言葉が引き止める。

(*゚∀゚)「ん?」

右足を踏み出したまま、首だけでつーは振り返る。

(*゚ー゚)「……どこに行くの?」

問掛ける少女の目は、依然鋭さを伴っていたが、そこには僅かばかりの好奇心がちらついていた。

その様子を確認すると、つーは悪戯めいた笑みを浮かべ。

(*゚∀゚)「ん〜、友達の所かな」

(*゚ー゚)「友達?」

(*゚∀゚)「そ、友達」

(*゚ー゚)「どんな人?」

(*゚∀゚)「変態」

(* ー )



一瞬、少女は凍り付いた。

そのリアクションに満足したのか、うんうんと一度頷くとつーは再び足を踏み出した。

(*゚ー゚)「……………」

少女は茫然とそれを見送り。



(*゚∀゚)「着いて来る?」
再度振り返った、つーのそんな言葉に耳を疑った。

(*゚ー゚)「……………」

少女は、自身に向けられた笑顔にしばしの間立ち尽くし。

(*゚ー゚)「……べ、別に着いて行く訳じゃないんだからね! ただ行き先が同じだけなんだから!」

自分を追い掛けてくる少女。

その赤面しながらも、行動が伴わない言葉に、つーは吹き出しそうになりながらも軽やかな足取りで雑踏に踏み出した。



191: ◆sEiA3Q16Vo :08/01(水) 22:02 tYIPDHfsO


(   )「や、や、や、や、や〜らないか〜
あっ〜あ〜やらないか〜
うほっうほっやらないか〜」

奇怪な歌声が響く。

薄くぼんやりとした、頼りない明かりに照らされる屋内で、二つの影が浮かび上がっている。

『相変わらずだな』

奇怪な歌を口遊む影に、もう一つの影が笑いを含む口調で語りかける。
その影は椅子に腰かけているのか、歌う影よりも低い位置から声を放つ。

明かり浮かぶその影は、ガッシリとした体躯を持つ大柄な影だった。

(   )「何がだい?」

『全部さ。この店も、お前の歌もな……』

(   )「変わらぬ伝統、ってやつさ」

『成程な』

カラン、と澄んだ音が響く。

暗闇に目を凝らせば大柄な影が持つグラスの中の氷が溶け、崩れたのだと分かる。

(   )「しかし、良いのかい? 病院を抜け出したらまた怒られるよ?」

『なぁに、その時は謝って許してもらうさ』

(   )「まったく……担当の医者に同情するよ……」

『ところで……そろそろ明るくしてくれないか? 流石にこうも暗いと興奮しちまう』

(   )「はいはい、分かったよ」
影がと屈み込んだと思うと、足元からパチパチとスイッチを入れる音が聞こえてくる。

照明がそれに併せて明るさを増やす。





(´・ω・`)「これで良いかい、“兄さん”」



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「あぁ、これで良い」



196: ◆sEiA3Q16Vo :08/04(土) 01:51 iba8qY6kO




歩く。

歩く。

歩く。

背中を眺めながら歩く。
背中を見上げながら歩く。
背中を追いながら歩く。

(*゚ー゚)「……………」

黙々と、しぃはつーの背中を目印に歩き続ける。

(;゚ー゚)(話題が無い……)

つーが示し、目指す建物は目と鼻の先にあり、歩いて数分といった距離だった。

しかし、その僅かな筈の距離は、少女にとっては遥か彼方に佇む蜃気楼の様に見える。

つーの方から話題を振ってくる気配は無く、せめてこちらから何か話し掛けようかと考えたが、提供する話題が思い付かない。

(*゚ー゚)(それに……)

何故、目の前の女性は自身の名を知っているのか。
彼女の目的は何なのか。

幾つもの沸き上がる疑問が思考を停滞させ、少女の足取りを重くする。



197: ◆sEiA3Q16Vo :08/04(土) 01:52 iba8qY6kO


(*゚ー゚)(まだ……これだけしか進んでないや……)

思案に暮れ、重くなった足取りでは到着するまでに数分ではなく、十数分の時間を要する事になるだろう。

(*゚ー゚)(……あれ?)

ふと、少女は気付く。

自らの歩調は緩く。
歩く速度も同様に遅くなった。

そして、目の前を歩く女性は一度もこちらを振り返っていない。

しかし、二人の間に置かれた距離は歩き始めた時と変わらない。

(*゚ー゚)「……………」

少女は、歩く速度を上げた。

前を歩く背中がどんどん迫り、やがて自身と並ぶ。

(*゚ー゚)「……ふ、フン!」

少女は短く揃えた髪を外套の様に大きく翻し、追い抜き様にそっぽを向く。

(*゚∀゚)「……アヒャ?」

(*゚ー゚)「そ、そんなにゆっくり歩いてると置いてきますよ!」

顔を反らせているため、その表情まで伺えないが、辛うじて見える小振りの耳は真っ赤に染まっていた。

(*゚∀゚)(……やっべぇ、欲情しそうだよ)

物騒な思考のままつーは小走りで追い掛けると、目的の建物に辿り着きその扉を開――








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    (゚ー゚(゚∀゚*)





a.p2.ms ※取り逃し

第八話・完



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