(*゚∀゚)の恋はリメンバーなようです

205: ◆sEiA3Q16Vo :08/05(日) 21:43 BntkIcOIO

第九話・ばーぼん

(´・ω・`)「やあ、バーボンハウスへようこそ。このテキーラはサービスだからまず飲んで落ち着いて欲しい」

呆然と入り口で立ち尽くす二人に、店の奥から穏やかな声が掛けられる。

(´・ω・`)「うん、兄なんだ。残念ながら僕の男の子への情熱は兄譲りなんだよ」

大仰に頷いてみせるも、彼の口元は緩み気味だった。
ABE「よぉ、お二人さん。仲良く散歩かい?」

(*゚∀゚)「アヒャヒャ……」

(;゚ー゚)「何でこの人がここに……」

阿部は腰掛ける丸椅子を回転させると、半身だけ振り返る。

つーは何とも言えない表情で乾いた笑い声を発し、しぃはつーの後ろに隠れる様に阿部を伺う。

ABE「おいおい、お嬢ちゃん。俺は間違っても女には手を出さないから安心しな」

(*゚∀゚)「問題はそこじゃないだろ、実際」

後ろに隠れたままのしぃを付き従え、つーは店の中にズカズカと大股で乗り込んで行く。

(*゚∀゚)「ショボン、説明しなよ。これはどういう事なのさ?」

カウンターの前に立ち、口元を緩めたままのショボンを半眼で睨む。



206: ◆sEiA3Q16Vo :08/05(日) 21:43 BntkIcOIO


(´・ω・`)「……どうもこうもないさ」

その視線をサラリと受け流し、ショボンは軽く肩をすくめる。

(´・ω・`)「偶然街中で出会った。ただそれだけだ。それだけの事で兄さんは僕だと気付いた」

(*゚∀゚)「……マジで?」

(´・ω・`)「マジで」

ABE「いい男ってのは、弟が成長しても直ぐ分かるもんだぜ」

(*゚∀゚)「何者だよ、あんた」

(´・ω・`)「仕方ないから事情を説明したら分かってもらえたよ」

(*゚∀゚)「普通なら病院を紹介するよね」

ABE「いい男ってのは、包容力も兼ね備えているんだぜ?」

(*゚∀゚)「もうあんたが病院行ってくれよ」

当然の様に話す二人に対し、つーは軽い眩暈を覚えた。

(*゚ー゚)「……何の話なの?」

唐突に滑り込んできた少女の言葉に、三人の視線が集まる。

(´・ω・`)「……誰?」

(*゚∀゚)「ドクオの妹」

ABE「あぁ、病院でよく見掛けるな」

(´・ω・`)「……へぇ〜、ドックンの妹ねぇ〜」

カウンターから身を乗り出したショボンの視線が、少女を頭から爪先へ何度も上下する。



207: ◆sEiA3Q16Vo :08/05(日) 21:45 BntkIcOIO


(*゚ー゚)「貴方も、兄さんの知り合いですか?」

自信よりも高い所から見下ろす視線を、逆に覗き込む。

(´・ω・`)「……話した?」

(*゚∀゚)「いや、全く」

(´・ω・`)「そうか……」

一度だけ視線を横にずらしつーに問掛け、再び少女へと視線を戻す。

ショボンに向けられるのは、疑問というよりも懐疑に近い感情だった。

(´・ω・`)「ここに連れてきたって事は、話すって意思表示かい?」

(*゚∀゚)「ドクオと違って勘が良いもん。時々向けられる疑惑の視線が痛かったよ」

苦笑しつつ言ったその言葉に、しぃの鼓動が僅かに高鳴る。

(*゚∀゚)「……そんな申し訳なさそうな顔しなくて良いって。アタシに責任があるんだからさ」

(´・ω・`)「全くだよ」

(*゚∀゚)「うっさい」

(´・ω・`)「さて、え〜っと…………」

つーの言葉を無視し、ショボンは少女に向けて口を開こうとするが、何故か言い淀み。

(*゚ー゚)「しぃです」

(´・ω・`)「……失礼。しぃちゃん、今から君に話す事は嘘偽りの無い真実の話だが、それは君の理解の範疇を超え、常識を覆し、世界へ向ける目が変わり、君の今後の人生に悪い影響を与える可能性がある」

平坦に、抑揚を付けない喋り方ではあるが、その声には脅しを含む威圧感が含まれていた。

(´・ω・`)「後の人生を平和に過ごしたいのなら、その好奇心を抑えてあの扉から出れば良い。そうすれば万事泰平、世は事もなし」

阿部とつーは黙したまま、二人を見守る。



(´・ω・`)「……それでも……聞くかい?」

槍の様に鋭く研がれた視線が少女を射抜く。
少女の体は震え、今にも倒れてしまいそうだった。



――だが。



(*゚ー゚)「聞きます」

小さな体を支えながら、少女は決意を込めて、答えた。



211: ◆sEiA3Q16Vo :08/07(火) 22:57 onFSYjFCO


(´・ω・`)「良い答えだ」

少女の答えにショボンは満足そうに頷くと、カウンターの下に体を沈める。

(´・ω・`)「少し長くなるからね……オレンジジュースで良いかい?」

カウンターの下から現れたショボンの手には、オレンジがプリントされたパックと小振りのグラスが握られていた。

少女は一度首を縦に振ると、両手を膝の上に乗せ神妙な面持ちで背筋を伸ばす。

(´・ω・`)「そんなに緊張しなくても良いから、もっとリラックスしなよ」

パックをカウンター下に備えられた冷蔵庫にしまうと、ショボンは軽く腕を組み、背後の棚に背を預ける。

(*゚ー゚)「このままで良いです」

少女の声音は硬質な含みを持ち、その姿勢が崩れる事は無かった。



212: ◆sEiA3Q16Vo :08/07(火) 22:58 onFSYjFCO


(´・ω・`)「中々しっかりした子だ。ドックンも良い妹に恵まれたものだね」

誉めてはいるものの、ショボンは苦笑を浮かべている。

(´・ω・`)「そういえば兄さんにもしっかり話してなかったね」

ABE「あぁ、俺が聞いたのはさわり程度の話だったからな」

いつの間にか、阿部はカウンターの席から離れ、店の奥に何故か設置されているベンチに腰かけていた。

深く腰を下ろし、背もたれに両手を絡ませ、足を組む。

どこかの公園から持ち出したのか、古ぼけたベンチは塗装がはがれ、上に乗る阿部の重みで僅かにたわんでいた。

(´・ω・`)「じゃあ、兄さんも一緒に聞いてて貰いたい」

阿部から視線を外すと、ショボンの意識は自身の内側に向けられる。

記憶の糸を辿り、かつての出来事を思い出していく。



(´・ω・`)「始まりは、“かつての現在”から何年も後に起きた未来の話だ」

やがてショボンは口を開く。

目の前の少女が眉を潜めるのをいとわず、ただ事実のみを語り、綴っていく。

自身と、それを取り巻く世界に起きた出来事を。



216: ◆sEiA3Q16Vo :08/10(金) 11:03 VdLsy7I6O


――始まりは、唐突に。





大スクリーンでエロゲやってみたwwwwww

1 愛のVIP戦士 2007/02/16(金) 22:50:29.67 ID:egawjufs0

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スーパーバーチャルリアリティwwwwwww





( ^ω^)『コレやるしかなくね?』



――出会いも、唐突に。


('A`)『――問おう、お前が俺の肉便器か』

( ^ω^)『Exactly(そのとおりでございます)』



――育まれる友情。

( ^ω^)『セイバーは俺の嫁』

('A`)『殺すぞ、クソが』

(´・ω・`)『らめぇ』



――再開。



(*゚ー゚)『見えるぞ……神の路線が……』

('A`)『止めてやるよ……お前の野望をな……』

(´・ω・`)『らめぇ』



――襲撃と憎悪が渦巻き。



川 ゚ -゚)『ようこそ』

(*゚∀゚)『男の』

( ゚∋゚)『世界へ』

( ><)『う〜ん、マンダム』

(´・ω・`)『らめぇ』



217: ◆sEiA3Q16Vo :08/10(金) 11:04 VdLsy7I6O


――少年は戦う。



( ^ω^)『最近ふたりエッチで抜けねぇ』

ξ゚听)ξ『黙れよ』

(´・ω・`)『らめぇ』



――少年は抗う。



( ゚д゚)『抱いてくれ』

( ^ω^)『朝まで寝かせねぇ』

(´・ω・`)『らめぇ』



――自らと出会い。



(・W)『指の間が臭い』

( ^ω^)『この夏うぬらに会いたくなったわ』

(´・ω・`)『らめぇ』



―― /,'3



/,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3

(´・ω・`)『らめぇ』



――そして……銀河へ。



(・W)『誰かを助けるのに……理由がいるかい?』

( ゚∋゚)『抱いてくれ』

川 ゚ -゚)『濡れた』

( ゚д゚)『今日の為に綺麗にしてきました』

('A`)『カウパー出ました』

(´・ω・`)『らめぇ』

/,'3 /,'3 /,'3 /,'3 /,'3



219: ◆sEiA3Q16Vo :08/10(金) 11:16 VdLsy7I6O


二人の少年は、会うべくして出会った。
作為があり、運命という安易な言葉では無く、確固たる意思の元で出会った。

日常を謳歌する少年は、己の命と菊門を狙う槍使い(性的な意味で)の導きを得て、自身の運命を知る。

破壊と暴虐の限りを尽し、破滅と終焉の戯曲を奏でる。

その調べに誘われ、未来より時を超えた使者が現れる。少年の運命を呪い、破滅を防ぐ為に世の理をねじ曲げる。

道徳と精神を瓦解し、カタルシスの咆吼が少年を襲う。

苦悩と煩悩。

愛欲と肉欲。

観劇と悲劇。

肉の闘争が暴虐の渦と化し、果てなき強欲が淫婦の杯を満たしていく。

流れ行く運命の中でも少年は少女を、少女は少年を。

互いの意思が交歓し、溶け合い、心を繋ぐ。



220: ◆sEiA3Q16Vo :08/10(金) 11:29 VdLsy7I6O


昏き瞳の翁は笑う。

化身の母は捕われ、涙を流す。

七つの頭。

七つの冠。

十本の角。

獸は右手を振るい。
手天の獸は天を呑む。

翁の槍は、母を撃ち。

獸の叫びが木霊する。

抗う者は立ち上がり、鉄の体を前に出す。
砕け、壊れ、擦れ、軋み、嘆き、疲れ、やがて果てる体を。

王の剣は翁を裂き。

王の剣は獸を貫く。

手負った獸は荒れ狂い、鉄の体を撃ち砕く。

少年は獸、獸は少年。

少年は走り、獸を穴に落とし込む。獸はもがき、踏み止まる。

やがて鋼の音が鳴り、全ては闇へと消えていく。

二人の少年も、獸も。

運命は変わり、破滅の戯曲はその幕を閉じた。



225: ◆sEiA3Q16Vo :08/12(日) 00:25 zxiCtsxoO


(´・ω・`)「……………」

手が伸ばされなかったグラスの中で氷が弾け、オレンジの液体が僅かに跳ねる。

それ以外に、その場で音を立てる者はいなかった。

(*゚ー゚)「……………」

(´・ω・`)「信じる、信じないは勝手だ。だけど、僕は事実のみ語ったよ」

自身を見上げる少女の視線をショボンは受け止める。

(*゚ー゚)「じゃあ……あなた達は未来からやってきたの?」

(*゚∀゚)「そゆこと」

(*゚ー゚)「未来で私が死んで……兄さんやあなた達がこの時代に来た……?」

(´・ω・`)「まぁその問題は解決したから君が死ぬ事は無くなるだろうけどね」
(*゚ー゚)「そんな話……」

(´・ω・`)「信じられないのは当然だろうね」

少女が言わんとした言葉を継ぎ、ショボンは苦笑混じりに答える。

(*゚ー゚)「……証拠は?」
(´・ω・`)「?」

(*゚ー゚)「その話が本当だと言う証拠は?」

(´・ω・`)「無いよ、そんな物」

あっさりと、ショボンは少女の疑問を切り捨てた。



226: ◆sEiA3Q16Vo :08/12(日) 00:26 zxiCtsxoO


(´・ω・`)「直接証拠となる物は、ほとんど廃棄したんだ。もし事が公になったら大変だからね」

(;゚ー゚)「……それじゃあ今の話は……」

(´・ω・`)「言ったはずだよ、信じる、信じないは勝手だとね」

突き放す様なショボンの言葉に少女は狼狽する。

(*゚ー゚)「……………」

つ、と少女の視線がつーへと向けられる。

(*゚∀゚)「嘘なら良いよね」

(*゚ー゚)「……え?」

すがる様なその視線に対して、突拍子もない奇妙な答えが返される。

(*゚∀゚)「アタシもこんな話が嘘ならどれほど良かったかと思うよ。……家も友達も全部無くなったからね」

薄暗い天井を仰ぎ、過ぎ去った未来を思い出す。
僅かに、つーの瞼の裏で赤い光景がフラッシュバックする。

(*゚∀゚)「でもね、一つだけ嘘であってほしくない話があるんだ」

天井から自らの両手に視線を落とし、つーは笑った。

自身の両手に残る、冷たく、硬い感触を。
その上から自身を見下ろした顔を思い出しながら。





『……ドクオに出会えた事は……嘘であって欲しくないよ……』



第九話・完



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