( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ

6: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/12(月) 23:54:27.72 ID:acxZr2450








( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ



         ───第九話 『親友』───  
         
         
         




7: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/12(月) 23:55:56.96 ID:acxZr2450

(;^ω^)「あ……」

ツンの背中を見送った後、程なくして大切なことを思い出した。
僕と彼女にとって、大切な思い出の桜の木。
それが来週、工事でなくなるということを。

ツンは知っているのだろうか?
回覧板を見ていたのなら、知っているかもしれない。
知っていたからあそこにいたのか、それはわからない。

でも、公園へと駆け出していた時にあった焦りは、もうなかった。
あの時は、あの木がなければ僕は何も思い出せないと、
前に歩き出せない気がしてならなかった。

代わりに僕の心を支配したものは、寂しさ。

さっきまであんなに喜んでいたのに、僕の心はあっという間に寂しさに支配された。



10: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/12(月) 23:58:27.57 ID:acxZr2450

あの桜があったから、ツンと出会えた。

あの桜があったから、思い出を作れた。

あの桜があったから……思い出せた。

僕とツンにとって、あの桜は本当に大切な存在だった。
それが倒されるというのだ。
「悲痛」と言っても過言じゃない。

すでに工事は来週。
決定前に倒される案が出ていたのを知っていたとしても、
僕にそれを止めることなどできなかっただろう。

仕方がない。この町の将来の為だ。

そう考えても、寂しさは当然拭い切る事はできなかった。



13: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:01:03.42 ID:bwRL/xL50

( ^ω^)「お…?」

丁度自宅の前に差し掛かった時、一台の車が近づいてくるのが見えた。
見慣れたはずの車のライトは、星の明かりしかないこの道ではとても眩しかった。

( ^ω^)「うおっまぶしっ」

目を細め、ぼんやりと見えるその車体には見覚えがあった。
あれは弟者さんの車だ。
どうやらこちらに向かってきているらしい。
こんな時間に何の用事だろうか?

僕に気付いたらしい弟者さんはライトを弱め、僕の横に停車させた。

(´<_` )「こんばんは、ブーン君」

( ^ω^)「弟者さん、こんばんはですお」

車から降りた弟者さんは、パンパンに膨れた紙袋を提げていた。

( ^ω^)「こんな時間にどうしたんですかお?」



16: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:03:22.22 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「母者に頼まれてな」

言って、提げていた紙袋を広げてみせる。
中には大根や人参、玉ねぎ等がこれでもかと詰められていた。

(´<_` )「引越し祝いと、先日の挨拶のお礼だ」

( ^ω^)「おっ わざわざすみませんお」

(´<_` )「田舎はこういうことにはうるさいからな」

弟者さんはそう言うと、ニっと笑って袋を足元に置いた。
野菜を目いっぱい詰め込まれた紙袋は、なんとも頼りなさげだ。
布の方がすぐ破れてしまうんだな、そんなことを思った。

(´<_` )「ところで、ブーン君はこんな時間に何を?」

( ^ω^)「ちょっと近くの公園に行ってたんですお」

僕の言葉を聞くと、弟者さんは少し考えるようなそぶりを見せ、すぐに顔を上げた。



19: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:07:28.59 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「ああ、あの桜がある公園か」

( ^ω^)「そうですお、今日はお花見だったんですお」

(´<_` )「なるほど、そいつはいい」

それを話して、その時の事を思い出す。
つい最近知り合ったばかりとは思えないほどに、仲のよい友達の事。

大切な記憶を思い出した事。

桜の運命のこと──。


どうやらそれが顔に出てしまっていたらしい。
すぐに弟者さんがそれに気付いた。

(´<_` )「そのわりには、あまり楽しそうな顔をしてないな」

( ^ω^)「それが…」

ツンに言えなかった分、ひとまず弟者さんに話してみることにした。

………。
……。
…。



20: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:09:04.24 ID:bwRL/xL50

親友からのメールを確認し、携帯を閉じる。
どうやら彼女は吹っ切れたらしい。

私にはそれが嬉しくもあり、複雑でもあった。

川 ゚ -゚)「ふぅ…」

軽く、ため息をつく。


──私は、ブーンが好きだ──


よく言ったものだ。

川 ゚ -゚)「少し…発破をかけすぎたかな…」

まだ早かったのかもしれない。
でも最近の彼女の姿は、とても悩み苦しんでいるようで、見るに耐えなかった。



22: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:11:25.30 ID:bwRL/xL50

本来はさっぱりしている彼女の性格らしいと言えばらしいが、
あの性格は正直羨ましい。

ツンは、私にない物をたくさんもっている。
よく彼女が私にそう言うが、そっくり言葉を返してやりたかった。

様子からして、私が言いたい事が伝わったのは間違いないだろう。

しかし……。

私はどうなんだ?

ブーンが好き、というのは嘘じゃない。
でも私が好きなのは、記憶の中のブーンであって、今のブーンじゃない。

……でももしかすると、今のブーンに惹かれているかもしれない。

確信は、もてない。



24: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:13:49.15 ID:bwRL/xL50

川 ゚ -゚)「これじゃ立場が逆転だな…」

苦笑し、呟く。
結局、ウジウジと悩むのは私の方だったか。

私はよく、色々と考え込む性格だった。
突拍子もなく話を振られると、どうしていいかわからなくなる。

告白された時もそうだ。ツンは私が軽くあしらってるなんて言ってるが、
されたら内心驚いている。女なら当然だと思う。
どうしていいかわからず、とりあえず断ると言ってるだけだ。
まぁ付き合う気がないのは確かだけど…。

ツンに合わす顔が、ない。

でも合うと、約束をした。

私はツンに会わないといけない。

私もツンに、応えなくてはいけない。

しっかりしろ、クー。



26: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:15:53.83 ID:bwRL/xL50

その時、携帯が鳴った。
手に取り、開く。

ツンからの着信だ。どうやらついたらしい。
深呼吸をし、電話に出た。

『クー? ついたよ』

川 ゚ -゚)「ああ、今下に…」

『待って、窓開けて』

川 ゚ -゚)「窓?」

『いいから』

言われるままにカーテンを開き、窓を開けた。
私の部屋は二階にある。

窓から顔を出し、下を覗くと…ツンがこちらを見上げていた。



27: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:17:20.77 ID:bwRL/xL50

川 ゚ -゚)「…上がってこないのか?」

ξ ゚听)ξ「このままでいいわ」

携帯はまだ持ったまま。
顔を合わせ、電話で話す。なんとも変な絵だ。

少し見つめ合った後、ツンが携帯を持った手を下ろし、通話を切った。
私もそれに合わせて携帯を閉じる。

ξ ゚听)ξ「ねぇ、クー?」

川 ゚ -゚)「どうした?」

部屋から漏れる頼りない明かりと、月と星の幻想的な光を浴びた彼女は──。


ξ ゚ー゚)ξ


綺麗だった。



30: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:20:48.88 ID:bwRL/xL50

ξ ゚ー゚)ξ「私も、ブーンのことが好き」

はっきりと、少し前の私と同じ言葉を発した。
真っ直ぐに、私を見て。
二階にいる私に、はっきりと聞こえる声で。

川 ゚ -゚)「……そうか」

それはわかっていた。
ツンは思い出の中のブーンのことが好きだった。
再会の約束が果たされるのを、ずっと信じ続けていた。
そしてその思い出の彼が実際にここへ戻ってきたのだ。
好きじゃないという方がおかしい。

でも……わかっていたのに…なぜこんなに胸が締め付けられるのだろう。

ツンの声と正反対な頼りない、掠れた声で、
「そうか」と言う事しか出来なかった。



33: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:23:19.14 ID:bwRL/xL50

その間も、ツンは私を真っ直ぐに見つめていた。
離れていても、はっきりとわかる。
まるで、星の光を反射させたような、綺麗な瞳で、真っ直ぐに。
今の私の瞳は、きっと曇っているだろう。

心と、同じように。

ξ ゚听)ξ「だから、ね?」

川 ゚ -゚)「……」

無言で、見つめる。
そうすることしか、できない。

ξ ゚听)ξ「クーが相手じゃ…自信ないけど…」

そう言い、苦笑する。
一度頭を下げ、そしてまた、顔をあげて、私を見た。


ξ ゚ー゚)ξ「負けないからね」



34: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:25:24.48 ID:bwRL/xL50

それは間違いなく、私が今までに見たツンの笑顔の中で、
最高の笑顔だった。

私には眩しすぎて、思わず目をそらしてしまう。

彼女は言葉を続ける。

ξ ゚听)ξ「クーに言われて、はっきりわかったの」

一言一言が。

ξ ゚听)ξ「言われるまで固まらなかったこの気持ち…」

心に響く。

ξ ゚听)ξ「思い出のブーンも、今のブーンも、全部ひっくるめて」

もう、顔を向けることすら、出来ない…っ

ξ ゚ー゚)ξ「ブーンが大好き!だから、負けないよ!」



37: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:27:07.83 ID:bwRL/xL50

瞬間、私の中で何かが弾けた。

川  -)「ツン…」

ξ ゚听)ξ「うん?」

川  -)「ちょっとそこに…いてくれないか?」

ξ ゚听)ξ「う、うん」

返事を聞いた直後、駆け出した。
普段ヒートに家の中で走るなと注意してるが、
今はそんなことを気にする余裕は、ない。

階段を駆け下り、すぐに玄関に出る。
靴も履かずに、そのままツンの元に。

外は少し、ひんやりとしていた。

家の裏に回り、ツンが視界に入る。

私の様子に、ツンは驚いているようだ。
構わずに、駆けた。



39: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:28:49.96 ID:bwRL/xL50

ξ;゚听)ξ「ク、クー?!うわっ!」

そのままの勢いで、ツンの胸に飛び込んだ。

川 ; -;)「うっ…ぅぐっ…」

構わず私は、ツンの胸の中で嗚咽をあげる。

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと?どうしたの?」

慌てながらも、私を受け止め、頭に手をやってくれた。

川 ; -;)「わからないんだ…」

ξ ゚听)ξ「? 何が?」

川 ; -;)「ほんとは…わからないんだ…今のブーンの事が本当に好きなのか!」

ξ ゚听)ξ「……」

川 ; -;)「結局…答えを出せないのは私の方なんだ……」



42: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:31:02.26 ID:bwRL/xL50

偉そうなことを言っておいて、自分はこれだ。
情けなさと、ツンに嘘をついた罪悪感。
そして、彼女のブーンが好きという言葉が、胸を締め付ける。

涙が、止まらない。

川 ; -;)「私は…ツンが羨ましい…」

ξ ゚听)ξ「えっ?」

川 ; -;)「どれだけ悩んでも…しっかりと自分で…答えを見つけて…」

ξ ゚听)ξ「クー…」

川 ; -;)「いつもそうなんだ……いつも…ウジウジ悩んで…
      流れに任せて…ちゃんと…決めれなくて…」
      
川 ; -;)「ぅっ…うぅ…」

彼女の胸の中で、言葉を紡ぐ。
今までずっと思っていた言葉を。
今までに見せたことのない、姿で。



45: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:33:17.11 ID:bwRL/xL50

ξ ゚听)ξ「ねぇ、クー…」

私を抱きしめ、優しく頭を撫でながら、ゆっくりと口を開く。

ξ ゚ー゚)ξ「私今、すっごく嬉しいよ」

震えが少し、止まる。

ξ ゚听)ξ「何度か、クーが何か悩んでるなって思った事はあるの」

ξ ゚听)ξ「確信がないし、お節介かなって思って言わないでいたけど」

ξ ゚听)ξ「それにいつか、クーから相談してくれるかなって、思ってた」

驚いた。
ツンがそんなことを…。

ξ ゚ー゚)ξ「やっと話してくれたね」

川 ; -;)「ツン…ごめん……ごめん…」



49: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:35:46.85 ID:bwRL/xL50
私は馬鹿だ。
ツンが私にするように、私も相談すればいい事だったんだ。


親友、なのだから。


ツンが気遣ってくれていたことなんて、まったく気付かないでいた。
知らずに、相談に乗って、クールを装って……。

本当に、馬鹿だ。

ξ ゚ー゚)ξ「謝らないで? 嬉しいんだから」

川 ; -;)「うん…ごめん…」

ξ ゚听)ξ「あー、また謝った」

あ……。

ξ ゚ー゚)ξ「ふふっ」

暖かい──親友の腕の中が。

暖かい──親友の笑い声が…。

………。
……。
…。



50: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:38:15.37 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「なるほどな…」

僕にとってとても大切な桜の木が、倒されてしまうことを話した後、
弟者さんは静かに呟いた。

( ´ω`)「そうなんですお…」

(´<_` )「俺からは残念だな、としか言えないが…」

言いながら、とても申し訳なさそうな顔をした。

(´<_` )「すまないな…力になれなくて」

( ^ω^)「弟者さんが謝ることじゃないですお」

そう。もう決まっている事なのだ。
誰かにどうこうできる事じゃない。

それに…。

( ^ω^)「それに、話を聞いてもらったおかげで、少し楽になりましたお」

(´<_` )「そう言ってもらえると、ありがたい」



53: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:40:07.15 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「しかし、ブーン君もなかなかスミにおけないな」

( ^ω^)「おっ?」

(´<_` )「ツンちゃんのことだよ」

( ^ω^)「?? ツンのこと?」

(´<_`;)「いや…わからないならいいが…」

わからないとはどういうことだろうか?
さっぱりだ。

(´<_` )「ブーン君は…」

( ^ω^)「?」

(´<_` )「ツンちゃんのことが好きなのか?」

え?

(;^ω^)「ちょ、なんでそうなるんですかお」



54: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:41:58.17 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「いや、少し気になっただけだから、気にしないでくれ」

なんでそんな話になるんだろうか?

ツンのことが、好き?

僕にとってツンは思い出の女の子で。

この町での最初の友達で。

初めてできた女の子の友達で…。

……そういえば、僕は初恋もまだだった。

可愛い子だなと思ったことは前の街であったけど、
恋愛感情みたいなものは抱かなかった。
…と、思う。

ツンのことが好き?

確かに、ツンといると楽しい。
毎日一緒に学校に行って、一緒に帰ることが、楽しい。



56: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:44:00.67 ID:bwRL/xL50

でもそれが恋なのかは、わからない。
好きだったらきっと、ドキドキするもんじゃないか?
ツンといても、それはない。

だから多分、僕はツンに恋をしていないんだと思う。

( ^ω^)「ツンは友達ですお」

頭の中で出した結論を言葉にする。

(´<_` )「そうか 変な事を聞いてすまなかった」

( ^ω^)「全然構わないですお」

(´<_` )「これは…大変だな…」

ぼそりと、呟いた。

( ^ω^)「??」

(´<_` )「ただの独り言だ さて、そろそろお暇するとしよう」

弟者さんの言葉で、はっとする。
もうかなり遅い時間のはずだ。カーチャンが心配しているかもしれない。



58: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:46:07.69 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「付き合わせてすまなかったな」

( ^ω^)「いいですお お話を聞いてくれて、ありがとうですお」

(´<_` )「それは構わんさ 俺から聞いたことだしな」

言いながら、車に乗り込む。

( ^ω^)「それじゃ、気をつけてくださいお」

(´<_` )「ありがとう おやすみ」

( ^ω^)「おやすみなさい」

荒々しくUターンして帰っていく弟者さんを見送り、
足元に置いてある紙袋に目を移す。


──ツンちゃんのことが好きなのか?──


弟者さんの言葉が、頭の中で繰り返される。



60: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:48:29.17 ID:bwRL/xL50

僕もいつか、恋をする時がくるんだろうか?

いや、きっとその時は、くるのだろう。
健全な男…人間なら、くるのだろう。

その相手は、どんな子なのだろう。

( ^ω^)「恋…か…」

ぼそりと口に出し、少し恥ずかしくなった。
足早に野菜が積み込まれた袋をもちあ……。

(;^ω^)「おっ?!」

とんでもなく、重たかった…。

………。
……。
…。



62: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:50:46.34 ID:bwRL/xL50

ξ ゚听)ξ「ちょっとはスッキリした?」

川 ゚ -゚)「ああ…すまなかった」

ξ ゚ー゚)ξ「だから謝らないでってば」

川 ゚ -゚)「そうだったな…ははっ」

ひとしきり泣いた後、笑った。
親友と、二人で。

ξ ゚听)ξ「今度からは…」

川 ゚ -゚)「?」

ξ ゚听)ξ「今度からちゃんと、話してね?」

川 ゚ -゚)「ああ、もちろんだ」

ξ ゚ー゚)ξ「よくできました」

親友が、いつもより大人びて見える。



64: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:52:36.48 ID:bwRL/xL50

恋をすると、女は綺麗になる。

…その通りだと思った。

川 ゚ -゚)「ツン」

ξ ゚听)ξ「なぁに?」

川 ゚ -゚)「ありがとう」

ξ ゚ー゚)ξ「こちらこそ」

本当に、ありがとう。

私の大切な、親友。

ξ ゚听)ξ「でも……」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

ξ ゚ー゚)ξ「ブーンは渡さないからね」



67: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:54:27.31 ID:bwRL/xL50

悪戯っぽく小さく舌を出し、そう言う。
渡すも何も、まだ私は答えを出していない。

私はブーンのことが、好きなのだろうか?

ツンが背中を押してくれた。
後は自分で、進むだけだ。


川 ゚ー゚)「その時は、私だって負けないぞ」


今この瞬間、ツンのような笑顔でいられただろうか。
きっと目は真っ赤で、ひどい笑顔だったに違いない。

でもそれでいい。
今の私は、それでいい。



68: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:56:21.81 ID:bwRL/xL50

ξ ゚听)ξ「じゃあ、そろそろ帰るね」

川 ゚ -゚)「ああ、気をつけてな」

ξ ゚听)ξ「また明日、学校でね」

川 ゚ -゚)「ああ、また明日」

私に背を向け、歩いて行く。
数歩進んだところで、立ち止まった。

「ねぇ、クー?」

背中を見せたままで、私の名前を呼ぶ。

川 ゚ -゚)「どうした?」

ツンが振り返る。

ξ ゚ー゚)ξ「私達、親友だからね! 何があっても!」

私も応える。

川 ゚ー゚)「もちろんだ!」

笑顔で。



70: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:57:55.93 ID:bwRL/xL50

lw´‐ _‐ノv「おかえり、お姉ちゃん」

川 ゚ -゚)「ん、あぁ、ただいま」

ツンを見送り家に入ると、シューが迎えてくれた。
もしかしたら、聞かれていたかもしれない。

lw´‐ _‐ノv「お風呂、沸いてるよ」

川 ゚ -゚)「ありがとう すぐに入るよ」

lw´‐ _‐ノv「うん お姉ちゃん、目がまっか」

……やっぱりか。
相当ひどい顔をしているのだろう。
早く顔を洗いたい。

苦笑しつつ、風呂場へ向かう。

lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃん」

すれ違い様に、シューが言った。



71: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 00:59:48.92 ID:bwRL/xL50

lw´‐ _‐ノv「なんか…きれい」

……。

川;゚ -゚)「こらっ からかうな」

私の声と同時に、トタトタと自室へ逃げていった。

ため息をつき、再度風呂場へ進む。


    ──なんか…きれい──
    
    
川 ゚ -゚)「ツンには…敵わないさ…」

相手がいない返事を、ぽつりと呟いた。

………。
……。
…。



75: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 01:02:25.95 ID:bwRL/xL50

少し遅くなってしまった。早足で歩く。

今日は本当に色々な事があった。

皆とお花見をしたこと。

クーとのこと。

そして、ブーンが思い出してくれたこと。

そのどれもが、私には最高の出来事だった。

もしクーがブーンを好きになって、ブーンがクーを好きになっても、
きっと受け入れることができると思う。

だって、そうなっても仕方ないくらい…
泣き止んだ後のクーの笑顔はとても眩しかったから…。

ξ ゚听)ξ「なるようになれ、かな」

私は私、なのだから。



78: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 01:05:06.44 ID:bwRL/xL50
そのうち、向かいから車が近づいてきた。
クーの家に向かう途中にもすれ違ったけど、
この辺を車で移動するのは、多分弟者さんだろう。

ξ ゚听)ξ「うおっまぶしっ」

私に気付いたのか、ライトを落として、スピードを緩めた。
どうやら停車するようだ。

(´<_` )「やぁツンちゃん こんばんは」

ξ ゚听)ξ「こんばんはー」

お兄さんとは正反対なしっかりした人。
ペニサスさんの彼氏さん。

(´<_` )「素直さんの家から帰る途中かな?」

ξ ゚听)ξ「ええ、そうです」

(´<_` )「なんなら家まで送るけど、乗っていくかい?」

少し考え。

ξ ゚ー゚)ξ「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」

乗せてもらう事にした。



79: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/13(火) 01:09:30.66 ID:bwRL/xL50

(´<_` )「お使いでね、ブーン君の家にいってたんだ」

ξ ゚听)ξ「そうなんですか」

ブーンの名前を聞いて、少し胸が高鳴った。
ブーンは今頃…お風呂かな?

私も早く入りたいな…。

(´<_` )「ツンちゃん」

ξ ゚听)ξ「え、あ、はい?」

急に呼ばれ、慌てて返事をした。

(´<_` )「ちょっと聞きたい事があるんだが…」

なんだろうか。そう言った弟者さんの表情は、真剣だ。
ブーンと関係があるんだろうか。

少し間をあけた後。

ξ ゚听)ξ「なんですか?」

少し緊張気味に、返事をした。

続く……。



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