( ^ω^)ブーンがあの世で死んだようです

961: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 20:36:03.56 ID:IUUzAZMB0
  
ーーー病院ーーー

昼下がり。
バタン、と扉の閉じる音がして、刑事たちが外に出て行った。

ξ゚听)ξ「……あの世の人にやられたーなんてこと、説明できるわけないじゃない」

質問攻めを受けたツンは、ただただ深く息を吐いた。


男の言葉通り、ツンは無事に発見され、救急車で病院に運ばれる次第となった。
そして今、彼女はベッドに横たわっている。
家族も、もうすぐやってくるらしい。

まだ、腕や脚に痛みが残る。

ξ゚听)ξ「……ブーン」

ツンが思い出すのは、ブーンの殺気立った言葉の数々。
殺す、と。確かに彼はそう言った。
死んでもなお、殺そうとしているのだ。

ξ゚听)ξ「勘違い、勘違いなのに……」

ツンがそう呟いたところで、誰かが聞いてくれるわけでもない。



974: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 20:44:52.21 ID:IUUzAZMB0
  
ーーー公園ーーー

('A`)「で、俺らはどうすればいいんだろうな」
(´・ω・`)「……さて、ね」

二人がいるのはいつかの公園。

ツンの事件を二人は知らない。
事件自体は報道されたものの、被害者の名前までは公開されなかったのだ。

('A`)「なんつーか、これでよかったのかな、とか思うのよ」
(´・ω・`)「それはどうして?」
('A`)「しぃは死にたかったんだろ? それが叶ったんだから」
(´・ω・`)「……僕は、一時の気の迷いだったんだと思う。彼女は病気だったんだよ」
('A`)「病気ねえ……お」

('A`)「ギコじゃねえか!」
( ,,゚Д゚)「……」

口を半分、だらしなく開いたまま歩いていたギコはドクオの大声に、わずかに首を傾けた。



990: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 20:50:47.33 ID:IUUzAZMB0
  
( ,,゚Д゚)「……」
('A`)「心配したぞ、電話にもでないから」
( ,,゚Д゚)「……あぁ、うん」
(´・ω・`)「しぃのことは……」
( ,,゚Д゚)「いや、もういいんだ」

晴れやかな顔をつくり、ギコは首を振った。

( ,,゚Д゚)「あいつは、天国に行ったらしい」
('A`)「天国……」
( ,,゚Д゚)「ブーンと一緒にいた奴が言ってたよ」
(´・ω・`)「……ブーンと、会ったのか」

( ,,゚Д゚)「まあな」

ギコが事の顛末を話す。



11: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 20:59:19.18 ID:IUUzAZMB0
  
('A`)「……そうか」
( ,,゚Д゚)「よかったんだよ。あいつは天国にいけたんだ」
('A`)「……」

ギコが無理をしていることぐらいは、一目でわかる。

(´・ω・`)「……ブーンは、やっぱりツンのことを」
('A`)「ああ、そうだそうだ。思い出した」

('A`)「昨日俺、ツンを見たんだよ」
(´・ω・`)「どこで?」
('A`)「お前たちとわかれてから、繁華街でな……ツン、おっさんとラブホに行ってたよ」
( ,,゚Д゚)「マジかよ」
('A`)「ああ。もう早いの何の。会ってすぐにラブホ」
( ,,゚Д゚)「援交ってやつか……ツンが」
(´・ω・`)「ブーンがツンを恨んでるのと関係あるのかな」
('A`)「あるに決まってるだろ」
( ,,゚Д゚)「でも、その話を聞く限りはツンが悪者だよな……ブーンが恨みすぎてるような気もするが」



23: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:12:14.09 ID:IUUzAZMB0
  
(´・ω・`)「殺したいんだよね……ブーンは、ツンを」

('A`)「つかあの事件、被害者はツンだったのかよ」
( ,,゚Д゚)「ブーンは、もう一人の自分が殺そうとしたとかどうとか」
('A`)「あーもう、だんだんややこしくなってねえか?」
(´・ω・`)「解決に向かっていないのは事実だね」
('A`)「……」

(´・ω・`)「ブーンがツンを殺しにかかったとしたら、ツンは今、危ない状況にあるということだよね」
('A`)「……」
( ,,゚Д゚)「俺、わからねえよ」

( ,,゚Д゚)「このままツンをほっといてブーンに殺されるのを待つか、ツンを守って、ブーンをいつまでも苦しませるべきなのか」
('A`)「結局は、その二択か……」
( ,,゚Д゚)「今のドクオの話を聞いた以上、俺はツンを守る気にはなれん」



25: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:21:07.35 ID:IUUzAZMB0
  
(´・ω・`)「守る、守らないってほど大層なことはできないだろうけど、僕はブーンに人を殺してほしくもないし、ツンを死なせたくもない」
('A`)「……もうさ、埒があかねえから」

('A`)「会うか、ツンと」
( ,,゚Д゚)「それも一手か、でも男だけで会いに行くのか?」
('A`)「……確かに、それは怪しすぎるな」
(´・ω・`)「クーにも連絡しようよ。それで上手くいくはず」
('A`)「……だな」

( ,,゚Д゚)「そうと決まれば、行こうぜ」
(´・ω・`)「うん」

3人は公園を後にする。

・・・

・・





27: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:26:28.17 ID:IUUzAZMB0
  
ーーー病院ーーー

ツン母「ツン」
ξ゚听)ξ「……何?」

見舞いに来ていた母親が、ツンに呼びかける。

ツン母「荒巻さんが来たわよ」
ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「わかった。お母さん、一度出て行ってくれない?」
ツン母「……」

ツンの母親はしばらく彼女を見下ろしていたが、やがて黙って歩き去っていった。

代わりに、中年男が入ってくる。



30: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:36:18.23 ID:IUUzAZMB0
  
/ ,' 3「……」
ξ゚听)ξ「昨日は、ごめん」
/ ,' 3「大丈夫なのかい?」
ξ゚听)ξ「うん……まだちょっと、体のあちこちが痛いんだけどね」
/ ,' 3「そうか……」

ξ゚听)ξ「……ねえ」
/ ,' 3「ん?」
ξ゚听)ξ「見られちゃってたみたい」
/ ,' 3「何が?」
ξ゚听)ξ「昔、その……練習してたとき」
/ ,' 3「ああ、デートの?」
ξ゚听)ξ「……うん」
/ ,' 3「誰に?」
ξ゚听)ξ「ブーンに」
/ ,' 3「……なんでそんなこと、今更わかったんだい?」
ξ゚听)ξ「そ、その……ちょっと、ね」
/ ,' 3「……言ってることが、よくわからないよ」
ξ゚听)ξ「そ、そう、そうだよね……」



34: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:46:18.42 ID:IUUzAZMB0
  
ξ゚听)ξ「でも、後悔してる……練習のこと」
/ ,' 3「デートの?」
ξ゚听)ξ「はっきり言わないで……あんなこと、しなきゃよかったのかな、って」
/ ,' 3「まぁ……どうなんだろうね」

/ ,' 3「そういうのに疎い子が好きな男もいれば、自分を引っ張ってくれる子が好きな男もいるよ」
ξ゚听)ξ「そういうことじゃなくて……いや、そういうことなのかもしれないけど。なんか、今になってみるとそんなことに必死になってた自分が馬鹿みたいに思えちゃって」
/ ,' 3「……なるほど」
ξ゚听)ξ「もっと他に、努力すべきことがあった気がする……」
/ ,' 3「後悔先に立たず、だよ」
ξ゚听)ξ「わかってる……でも、後悔する……」



38: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 21:55:14.69 ID:IUUzAZMB0
  
ーーーあの世ーーー

( ・∀・)「貴方の恨んでいる相手はツンとかいう少女ですよね」
( ゜ω゜)「そうだお」
( ・∀・)「少女の家、知ってますか?」
( ゜ω゜)「知ってるお」
( ^ω^)「どうするつもりだお?」
( ・∀・)「いえ、少し、住居侵入でも」
( ^ω^)「……は?」
( ・∀・)「今、彼女の家族も病院にいるでしょうし、家は無人のはずです」
( ^ω^)「どうやって中に入るお?」
( ・∀・)「直接家の中に現れればいいじゃないですか」
( ^ω^)「……」



63: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 22:36:45.53 ID:IUUzAZMB0
  
( ゜ω゜)「僕も行くお」
( ・∀・)「かまいませんよ」
( ^ω^)「僕も行くお」
( ・∀・)「同じく」

( ^ω^)「ところで」
( ・∀・)「はい?」
( ^ω^)「あんたは誰なんだお?」
( ・∀・)「……」

( ・∀・)「今更そんな質問ですか」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「さて、私は誰なんでしょうねえ」

男はひょうきんな声をだした。
まるで自嘲するようでもある。



67: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 22:43:03.72 ID:IUUzAZMB0
  
( ・∀・)「気付いたらここにいた。何もかもが刷り込まれていた。仕事は貴方のような人の魂を潰すこと」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「これで満足ですか?」
( ^ω^)「よく、わからないお」
( ・∀・)「要約してみました。といっても、これ以上詳しく説明する術もありませんが」
( ^ω^)「……ということは、何も知らないのにこの仕事を続けているのかお?」
( ・∀・)「そういうことですね。私の頭に入っている知識は全て虚構の可能性すらあります」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「何にしても、貴方の気にすることではありません」
( ゜ω゜)「早く行くお」

( ・∀・)「わかりましたよ」
( ^ω^)「……」

・・・

・・





70: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 22:50:04.67 ID:IUUzAZMB0
  
ーーー病院ーーー

ツン母「ツン、今いいかしら?」

ちょうど話題も消化し終えて、沈黙していたところに、ドアの向こうから母親の声が聞こえてきた。

ξ゚听)ξ「何?」

ツンは少し大きめの声を出す。

ツン母「お友達が来てくれたわよ」
ξ゚听)ξ「友達……?」
/ ,' 3「おっと、じゃあ僕はおいとましようかな」
ξ゚听)ξ「ううん、一応、いてよ」

ξ゚听)ξ「入ってもらって」

数秒後、扉が開いた。



72: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 22:55:50.51 ID:IUUzAZMB0
  
川 ゚ -゚)「……どうも」

ξ゚听)ξ「……クー……って、後ろのむさいのは何?」
(´・ω・`)「大勢で押しかけてごめん。そんなに時間はとらせないよ」

('A`)「あ」
( ,,゚Д゚)「どうした?」

ドクオの目が荒巻に留まる。

/ ,' 3「?」
('A`)「……こいつだよ」

('A`)「こいつだよ! 昨日ツンとラブホに入っていったのは!」



76: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 23:03:04.40 ID:IUUzAZMB0
  
川 ゚ -゚)「ドクオ、声が大きい」

ξ゚听)ξ「あんた……見てたの?」
/ ,' 3「はっはっは、いやいや、誤解だよ」

サッと紅潮するツンと、笑う荒巻。

/ ,' 3「第一、僕たちは親戚なんだから」
('A`)「何……」
ξ゚听)ξ「そ、そうよ。この人は、私の叔父さん」
('A`)「近親相姦かよ!」
ξ゚听)ξ「違うわよ!」

/ ,' 3「……ツン、説明した方がいいんじゃないか?」
ξ゚听)ξ「こいつらに?」
/ ,' 3「うん」
(´・ω・`)「何か事情が?」
ξ゚听)ξ「う、うん……笑わないでよ……」



79: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 23:10:03.88 ID:IUUzAZMB0
  
ツンが恥ずかしげに話す事を一同、黙って聞いていた。
むしろ、黙るほかなかった。


川 ゚ -゚)「……なるほど」
('A`)「……」
/ ,' 3「まぁそういうわけなんだ。だから、うん、誤解だよ」

( ,,゚Д゚)「すげえな、お前」
ξ゚听)ξ「……何が?」
( ,,゚Д゚)「いや……俺にはそんな真似、できねえよ」
ξ゚听)ξ「私だって……でも、思い出の場所だったから」
( ,,゚Д゚)「ちくしょう、ブーンが羨ましいぜ……」
('A`)「いや、なんつーか、すまん」
ξ゚听)ξ「別にいいわよ……もう、どうでも」

ξ゚听)ξ「そうだ、ブーンのことなんだけどね」
(´・ω・`)「わかってる。僕たちもそのことについて聞きに来たんだ」



85: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 23:21:16.85 ID:IUUzAZMB0
  
/ ,' 3「……?」
(´・ω・`)「まず、謝らないといけないことがあるんだ」
ξ゚听)ξ「何?」
(´・ω・`)「この前、ブーンの日記が見つかったって言ったよね? あれ、嘘だったんだ」
ξ゚听)ξ「え……」
(´・ω・`)「ブーンが君を恨んでいるのを知ってね、少し聞き出そうとしてたんだ」

(´・ω・`)「ごめん」
('A`)「何も素直に白状しなくても……」
(´・ω・`)「隠していたくなかったんだ。それに、ツンは悪くないってこともわかったし」
ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「許さないっていっても、どうせ何も変わらないでしょ」
(´・ω・`)「……」
ξ゚听)ξ「ま、忘れてあげるわ」
(´・ω・`)「ありがとう」


(´・ω・`)「君を拘束したのは、ブーンなんだよね?」
ξ゚听)ξ「……うん」
(´・ω・`)「彼は君を殺したがっている」
('A`)「きっと、俺みたいに誤解したんだろうさ」
ξ゚听)ξ「……そう」

ツンは小さく頷いた。
仕方ないのかもしれない、と思ったのだ。



88: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/16(月) 23:30:25.56 ID:IUUzAZMB0
  
川 ゚ -゚)「ブーンはツンが死なない限り成仏できない」
ξ゚听)ξ「……」
( ,,゚Д゚)「誤解を解くって手段は無しなのか?」
ξ゚听)ξ「聞いてくれる雰囲気じゃなかった」
( ,,゚Д゚)「あいつ……」
('A`)「やっぱ壊れてんだな」
(´・ω・`)「ツンは、どうしたい?」

ξ゚听)ξ「私は……話したいけど」
(´・ω・`)「だよね……」

解決策など見つからず
時間だけが前へ進む。

・・・

・・





戻る次のページ