( ^ω^)ブーンは( ФωФ)ロマネスクの葬式に行くようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:18:34.61 ID:7NS6KD+w0
- ロマネスクが死んだ。
一昨日まで鬱陶しい程に元気なじい様だった。
それがつい昨日、久々に出向いた11年前に退社した職場で
194段ある階段の一番上から足を滑らせて死んだ。
エレベーターもエスカレーターもなかった昔とは違い
その階段は現在セレモニーや避難訓練にしか使われておらず
ロマネスクは周囲の反対を押し切り無理やりその階段を利用し
気丈に振舞いながらやっとこさたどり着いた最上段で
ふと体を伸ばそうとしたときにバランスを崩し、それきりだったそうだ。
ロマネスクは、27段目まではしなやかに受身を取りながら転がった。
だが、28段目で右足首を酷く打ちつけたのを契機に、
ゴロゴロと、まるで普通の老人のように哀れに重力に引っ張られて行った。
階段の、一番下に横たわるロマネスクの姿は
小さくて、脆くて、それは道路に打ち捨てられた
ちっぽけな猫の死骸のようであった。
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:19:25.65 ID:7NS6KD+w0
- ( ^ω^)ブーンは( ФωФ)ロマネスクの葬式に行くようです
第一話
('A`)「じっさまー。その肉食わないんなら貰っていい?」
(*゚ー゚)「こら!ドクオ!お義父さんのおかず取っちゃ駄目でしょう?」
( ^ω^)「おっおっ。しぃさんいいんだお。若者がたくさん食べなくてどーするんだお。ほら、ショボンもこれ食べるお」
(´・ω・`)「んー…。貰っていいの?おじーちゃん」
( ^ω^)「ドクオもショボンも今や立派な正義のヒーローなんだから、遠慮しないで食べるお」
(*゚ー゚)「すいません。お義父さん…」
(,,゚Д゚)「あーなんだドクオ。ショボン。ほら、父さんの肉も食うか?」
('A`)「え?親父はいーや。」
(´・ω・`)「………。」
(*゚ー゚)「こらショボン!パパをシカトしちゃ駄目でしょ!」
(,,゚Д゚)「………。」
(*゚ー゚)「パパもこれ見よがしにコーンをのの字に並べないでいいから!」
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:20:00.34 ID:7NS6KD+w0
- (,,゚Д゚)「いいんだ…。お前らは俺がネットにはびこる悪を倒すサイバーヒーローだからって馬鹿にしてんだろ…。
だけどな…。俺は血まみれになって怪人を倒す親父の帰りを待つお袋の背中を見て決心したんだ…。
間違っても自分は愛する人にこんな思いなんてさせないってな!
例えそれがこんな中年太りの情けない、腕立てなんて一回も出来ない親父になろうとも俺は…っ!」
(*゚ー゚)「あなた…」
(,,゚Д゚)「しぃ…」
('A`)「それでも俺は一日中、家でパソコンに張り付いてる親父なんか嫌だよ」
(´・ω・`)「友達に自慢出来ない親父ぶっちぎりのNO.1だったよね」
『アーナタハーイーマードコデナニーヲシテーマースーカー♪』
(,,゚Д゚)「こらっ!家族の団欒中は携帯の電源を切っておけと何度…」
('A`)「しゃーねーじゃん、仕事のメールなんだから」
『イイノカイホイホイツイテキチマッテ…』
(´・ω・`)「あ、僕にも」
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:20:41.90 ID:7NS6KD+w0
- ('A`)「んー。地図、わかりづれぇなこれ。ショボンも同じ場所か?」
(´・ω・`)「そうみたいだね。一緒に行こうか」
('A`)「参ったなぁ。武器の改造まだ終わってねーっつーのに。今のままだと耐久度がいまいち…。でも、ピンク色のビームってとこは譲れねぇしなぁ…。
ったく。起動時のゆかりんボイスの許可は下りねーしよぅ」
(´・ω・`)「僕も今日はそんな気分じゃないんだけどなぁ。借りてるビデオ明日までなのに…。まぁ、仕事だししょうがないね。行こうかドクオ」
(*゚ー゚)「忙しないわねぇ。夕ご飯食べ終わってからじゃ駄目なの?」
('A`)「ごめんお袋。緊急なんだ。じゃ、いってくるよ」
(´・ω・`)「帰ったらお風呂入れるようにしといて。いってきます」
(,,゚Д゚)「頑張って来いよー」
(*゚ー゚)「気をつけるのよー」
( ^ω^)「必ず勝って来いおー」
(*゚ー゚)「もう。野菜だけ残してあの子ったら…」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:21:46.87 ID:7NS6KD+w0
- ( ^ω^)「しぃさん。ブーンもちょっと出かけてくるお」
(*゚ー゚)「あら。この時間からですか?」
( ^ω^)「お通夜なんだお」
(*゚ー゚)「あらそれは…。どなたのご不幸でしょう?」
( ^ω^)「杉浦ロマネスクだお」
(,,゚Д゚)「ロマネスク!?」
(*゚ー゚)「パパ知ってるの?」
(,,゚Д゚)「いや知ってるも何も…。親父をよく血まみれにしてた張本人だよ!猫怪人の…」
(*゚ー゚)「え?商売敵さんですか?」
( ^ω^)「二人ともとっくに退社したんだから、今はただのじい様二人だお」
(,,゚Д゚)「なんで親父がロマネスクの通夜に行かなきゃなんねーんだよ!大体あっちの会社の人間がたくさん来るんだから危ないだろうが!」
( ^ω^)「通夜の席で荒事を起こすようなことはあちらさんもしないお」
(,,゚Д゚)「だけどもし何かあったら…」
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:23:13.72 ID:7NS6KD+w0
- ( ^ω^)「止めても無駄だお。ブーンは行くって決めたんだお」
(,,゚Д゚)「本気か?親父…」
( ^ω^)「本気だお」
(,,゚Д゚)「…わかった。俺もついていく」
(*゚ー゚)「あなた!」
(,,゚Д゚)「大丈夫だ、しぃ。俺もこれでも現職のヒーローだからな。親父を守るくらいしてみるさ」
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:25:17.00 ID:7NS6KD+w0
- ( ^ω^)「ん?ギコも来るのかお?ちゃんと喪服着るんだお?」
(,,゚Д゚)「わぁってるよそんなこと」
(*゚ー゚)「わかりました。二人ともお気をつけて」
( ^ω^)「しぃさんにはいつも苦労をかけてすまないお。ついでと言っちゃなんだが準備を手伝ってくれるかお?」
(*゚ー゚)「はいお義父さん」
( ^ω^)「笛の音が聞こえる…出動要請だお!」
( ФωФ)「ふはははよく来たなブーン!ここが今日貴様の墓場となるのだ!」
( ^ω^)「この…世界の…平和は…ブーンが…守るんだお…」
( ФωФ)「今日はこれくらいで勘弁してやる!さらばだ!だがこれで終わりだと思うなよ!私は諦めな…
…ゃじ!おやじ!」
( −ω−)「ん…」
(,,゚Д゚)「起きろ親父。次の駅で降りるんだろ?」
( ^ω^)「お。もうついたのかお。すまないおギコ」
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:26:11.31 ID:7NS6KD+w0
- (,,゚Д゚)「いやそれよりも大丈夫か?腰は…」
( ^ω^)「平気だお。これでもお前よりは健康だお。今だって毎日100キロは走ってるお」
(,,゚Д゚)「いくら元ヒーローだからってあんまり無理すんなよ。年を考えろ年を」
( ^ω^)「お前は少しは運動しろお」
(,,゚Д゚)「わかってるよ。でも俺も仕事が忙しいんだって…あ、ほら、降りよう親父」
( ФωФ)「はっはぁ!この私のスピードについてこれるかブーン!」
( ^ω^)「BOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!」
( ФωФ)「面白い!実に面白いぞブーン!お前は素晴らしいな!益々この手で倒したくなる!」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:26:51.59 ID:7NS6KD+w0
- (,,゚Д゚)「えーっと。びっぷ公民館って…。あー。だいぶあるなぁ。タクシー拾ったほうがいいかもなこれは」
( ^ω^)「走っても間に合わないお?」
(,,゚Д゚)「俺がしんどい。タクシー拾うぞ親父」
( ФωФ)「どうしたブーン!貴様の実力はこんなもんじゃないだろう!」
( ^ω^)「ロマネスクこそ…!動きに切れがないお!ついにガタが来たかお?」
( ФωФ)「抜かせ!別に失恋のショックでさっきまで泣いてなぞいないわ!」
( ^ω^)「………。」
( ФωФ)「………。」
( ^ω^)「お前もかお…。」
(;ФωФ)「なっまさか貴様も…。」
( ^ω^)「………。」
(;ФωФ)「………。」
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:27:21.65 ID:7NS6KD+w0
- (,,゚Д゚)「ここがびっぷ公民館か…。なんか、思ったより小さいな…」
( ^ω^)「このたびはお悔やみ申し上げますお…」
( ・∀・)「ああ、こちらに記帳お願いします。えぇと、失礼ですが祖父とはどう言ったご関係で?」
( ´д`)「モナっ!?」
( ・∀・)「何親父。知り合い?」
( ^ω^)「やぁ。久しぶりだねモナー君」
( ´∀`)「来て…くださったモナか…そちらの方は?」
( ^ω^)「息子のギコだお」
( ´∀`)「ああ、例のサイバーヒーローの…」
( ^ω^)「おっお。ブーンはモナー君のライバルにするつもりで育てたんだけど、どこで間違ったんだか…」
( ´∀`)「いえ。彼にはこちらの息子が世話になってますモナ…」
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:28:06.24 ID:7NS6KD+w0
- (,,゚Д゚)「何!?てことが君がモララー君かっ!」
( #・∀・)「そーだよいつもてめーに邪魔される天才クラッカー様だよ!」
( ´д`)「こら!モララー!」
( ・∀・)「…っち」
( ^ω^)「ギコも落ち着くお」
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/02(水) 19:29:14.34 ID:7NS6KD+w0
- ( ´∀`)「あちらに酒もご用意しておりますので、終わりましたらどうぞ寄ってって下さいモナ。親父も喜びますモナ…」
( ^ω^)「酒ですかお…。それはありがたいお…」
( ^ω^)「告白…したのかお?」
(;ФωФ)「うるさい!お前に関係ないだろ!」
( ^ω^)「………。」
(;ФωФ)「な…なんだ…言いたい事があるなら言ったらどうだ…」
( ^ω^)「…今日さぁ。戦った事にして飲みに行かないお?」
(;ФωФ)「…きょ、今日だけだぞっ!」
ああ、しかし、あの日の酒は旨かったなぁロマネスク。
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