吉良吉影が雛見沢にやってきたようです

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:02:08.24 ID:s1J4wEtl0
次の日の朝、7時に起きた私は居間で新聞を読んでいた

夜11時に寝て、毎日8時間は睡眠時間をとる。
どんな場所に来て、私がどんな私であろうと、私はこのスタイルを変えるつもりは毛頭無かった

「ご飯が出来たわ。早人を呼んできてちょうだい」

「早人。ご飯だ。おきなさい」

「うぅ…」

「早人」

「…」

くそっ…言うことを聞かないガキは少し腹が立つな…

「早人」

「うん、わかったよ」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:04:02.68 ID:s1J4wEtl0
私は多少彩りに欠けるご飯を黙々と食べる
見た目によらず、まあそれなりにはおいしい。それでも私の方が幾分かうまく作れるようだが

しのぶ「早人、今日は上級生の竜宮レナちゃんが迎えに来てくれるって言ってたわよ」

早人「…じゃあ、そうする」

吉良「それにしてもレナとはまた変わった名前だな」

しのぶ「本名は礼奈って話よ」

吉良「ふぅん、礼奈ね…」

(ピンポーン)

しのぶ「ほら来たわ。早人、行きなさい」

早人「行ってきまーす」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:05:33.85 ID:s1J4wEtl0
レナ「おはよー、早人君」

早人「…おはよう」

レナ「も、もう雛見沢には慣れたかな?かな?」

早人「…慣れる訳無いよ。まだ24時間も立ってないんだから」

レナ「わっ、わっ、ごめんなさい」

圭一「あっ、そいつかー、引っ越してきたっていう」

早人「おはようございます…」

圭一「いやー、俺は圭一!レナには気をつけろよ!お前みたいな年の子は、お持ち帰られるぜ!」

レナ「わっ、わっ、レナそんなことしないよ」

早人「僕は顔が怖いってよく言われるからね」

レナ「か、関係ないよ〜、早人君は私達の新しい仲間!」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:07:30.62 ID:s1J4wEtl0
梨花「羽入…」

羽入「何ですか?梨花」

梨花「前回、惨劇が起こった。いや吉良の手によって惨劇が『おこされた』のは、いつだったかしら」

羽入「今から、二日後の昼なのです。」

梨花「そうね、二日後、『何故か平日の昼に表れたあの男によって』殺された
   吉良が来るのはこれで二回目だわ。あの事件は、彼の気まぐれだったと思えるけど、
   それでも偶然ながら、今ここまであの時と同じことが起こってしまっている」

羽入「殺されるのは…」

梨花「レナ…ね」

羽入「…」

梨花「今日の部活、レナは今までのループのように不参加でしょうね。
   皆にレナのための宝探しを提案してみるわ。早人がいるから出来るかはわからないけど…いや、きっと受け入れられる
   次の日吉良がゴミ山の近くを通りがかった時、そこにはレナの姿は無い。惨劇なんて絶対におこらない」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:09:03.75 ID:s1J4wEtl0
『お譲ちゃん。あなた綺麗な手をしてますね』

羽入「それでも…まだ挑まなければならない惨劇があるのです」

梨花「あるわね」

梨花「私自身に起こった屈辱…」

『頬ずり…しても、いいですか………フウウウウウウウウ〜』

梨花「あの変態、絶対に投獄してやる。絶対にやってやるわ」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:11:29.90 ID:s1J4wEtl0
レナ「なんだか楽しいね、圭一君」

圭一「ああ」

その後、魅音と合流し、俺達は学校に到着した。
早人は最初こそ暗い奴に見えたが、打ち解けると直ぐに明るい奴になった。
俺達は騒がしい会話で早人を歓迎する。

学校に着くと、早人は知恵先生と共に職員室に消えていった

少しの間、時間が立つのをレナと喋りながら待っていると、

知恵「皆さ〜ん、静かに〜。転校生ですよ〜。」

早人だ。この教室に転校生として招かれるということは、

「いたっ」

そのままこの沙都子のトラップを受けることを意味するのであった。
都会育ち(に見える)早人には、少し痛そうだな!



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:13:03.30 ID:s1J4wEtl0
沙都子「洗礼ですわー!これを乗り切らないと我がクラスの一員にはなれませんことでよー!」

圭一「おいおい、沙都子、それでもまだ俺の時と比べて優しすぎるぜー」

知恵「こぉら!北条さん!転校生相手に、また!」

沙都子「ごめんなさいですわー!」

早人「(えっ、何これ…)」

圭一「ん?早人の奴、呆然としてるぜ」

魅音「普通の反応だよ。圭ちゃんが異常すぎただけ」

圭一「この…」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:16:21.80 ID:s1J4wEtl0
その後、レナが呆然としながら椅子に座る早人に、親切丁寧にこのクラスの道理を教え込んでいた

俺は魅音に対して反論をするが、
心底、「ああトラップを喰らったらこの反応が普通なんだな」と思ってしまう自分が憎い

レナの方を見る。早人は食物連鎖か何かの話を聞くかのように熱心に話を聞いていた。

レナ「で、沙都子ちゃんは悪戯っ子で、」


魅音「早人も私達の部活、入るかねぇ?」

圭一「おいおい魅音、さっきまで黒板消しであたふたしてた奴だぜ
   そんな温室育ち、俺達にとっちゃカモになりすぎる…」

魅音「あはは、圭ちゃんも私も、あんまり温室育ちじゃないって言い切れないけどねー!」

圭一「正直な、ハハ」

というよりも、魅音が自分で部活に誘うのは珍しいな。



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:18:40.49 ID:s1J4wEtl0
レナが登校メンバーに早人を加えたのは、早く学校に溶け込ませるためだろうし、なんだかよくありそうなことの気もするが、
魅音が自分で部活に誘うだなんて、中々あることじゃない

魅音「で、どう?」

早人「は、はい」

そしてOKするのか
自ら死地に赴いたな少年…という風に、俺は早人に視線を送る

早人の後ろで、レナが笑っていた



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:21:09.41 ID:s1J4wEtl0
放課後

俺達は部活をする為に集まる、しかしそこにレナの姿は無かった
レナは具合が悪いからといって先に帰ってしまったのだ。

梨花「それで、レナの気に入るようなものを僕達で探してくるのですよっ」

圭一「いいのか?梨花ちゃん、あんまり新人歓迎っぽい種目じゃないぜ」

梨花「レナの奇行を知らずして、雛見沢住人は名乗れないのです」

圭一「それもそうだな。よし、行くぜ!」

羽入「梨花…」

梨花「勿論…危険もあるわ。たまたま、今日奴がレナを見かけたとしたら、自分の犯行現場を見た私達を皆殺しにする可能性がある」

羽入「えっ」

梨花「可能性の話よ。マジックじゃないんだから…そう簡単に人は消せないわ
   もう仲間の死を、黙認することなんて出来ない」



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:23:03.55 ID:s1J4wEtl0
くそッ、全く困った。川尻の奴、そんな大事な書類を転勤前の場所から持ってきていたとは
私はそんな物、当たり前だが全く知らないッ

しかもその発表が今日の夕方だと?
くそッ…どこにしまったかは正確にはわからないが…川尻が書類をしまう場所なら知っている。恐らくあそこ…

うん…っ?

あの影、女の子か…。あちらに向かってもゴミ山しか無いはずだ
手にもっているのは新聞紙で包んだ『何か』。ここがどこにでもある道路ならまさか刺身の盛り合わせ…とも考えられるが、そんな訳が無い

なっ…あれは…

吉良「…」

死体を切り裂く斧、いや、こういう場面には首を突っ込まないのが私が平穏に生きるための『方法』だッ…



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:25:43.49 ID:s1J4wEtl0
いや、死体を切り裂く…と可能性を見たが、それは…違うな
そんな訳が無い、何を言っているんだ、私は

ここは黙認しよう…。きっと材木を切り裂くようなもの…
秘密基地でも作っているのか?あちらに、いや、この際どうでもいい。

後ろ姿から顔がチラリと見えた。

竜宮…礼奈…

内心、時間に追われる川尻の生活を嫌に思っていた私は、
吸い込まれるようにその後ろをついて行った



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:28:05.82 ID:s1J4wEtl0
レナ「これも私の…幸せのため…」

幸せになる為なら、どれだけの努力でもする権利がある。
私はもう二人も殺したけど、ここから父と一緒に幸せな人生を歩みだせる。

その前に、私はこの死体を処理する必要がある。

こんな大きな死体を持ち運ぶことは出来ないから、幾つかに切り分ける必要がある。
死体を切ると言えば、男は気持ち悪がるだろうが、台所に立つ主婦は強いのだ
まな板の上に乗せた魚が生きていれば、魚が生きていてもその場で切り、料理する

そんなことを考えていた私は、背後に忍び寄る足音すら気付かなかった。
首筋をなぞる柔らかい手触り



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:32:25.62 ID:s1J4wEtl0
「ッ!」

その感触に驚き、背後を向こうとする私。
その感情を一つの声が制止する。不気味なほどにフランクな声だ。

「昔の日本刀ってのは…、それはすごくよく切れたものらしい」

「?…」

「切るって言ったら力任せにブン回すことを考えるだろ?
 でも違う。重さで、そのまま切る。切れ味がいいから、それで切れるんだ。すごい剣だろう」

「でも、人を何人か切ると…それで切れなくなっちまう」

川尻浩作…

「人間の油でね、切れ味が弱っちまうんだ」

短く立たせた髪型、川尻浩作の、何とも言えないニヤけ顔がこちらを見ていた



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:35:02.51 ID:s1J4wEtl0
初めて対面したあの日、私は彼を少し怖い人だなと感じた。
普通の人にはあまり感じない違和感。私はその違和感をこの川尻浩作に対して感じていた

私は躊躇無く包丁を身構える

男は、ピンク色というよりも赤い唇を動かし、言葉を発した

「そして君は、人間の油のついた包丁で、私に何をするつもりなのかな」

躊躇無く、包丁を川尻の腹に突き出す
鉄のような感触を空中で感じ、まるで超能力のように包丁の先が止まった

「敵意を持たないでくれ。敵じゃ無いんだよォーッ、君とは。言うなれば共犯さ」

「…」

「あらあら、僕は随分と嫌われちまったみたいだね。
 証明しようか。僕が君のパートナーになれる男だってことを」



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:38:02.40 ID:s1J4wEtl0
「何が目的なのかな…」

「君と付き合いたい」

「えっ…」

「こんな中年が、君のような十代に向けてその思いを伝えるならば、確かに何が目的かって話になる
 大丈夫だよ。君に怖いことはしないか…」

「何が目的ッ!!」

「人が喋っている時に話すなァァーッ!会話には会話で割り込めと学校で教わっているのかッ!」

「…」

「それでいい…喋らない君はとっても可愛いよ…」

川尻は頭上に死体を投げあげる。
死体は、まるで有名なマジシャンのマジックのように、音も無く消えていった



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:41:05.31 ID:s1J4wEtl0
「私の名前は『吉良吉影』私は今まで…何人もの女性の血でこの手を染めてきたが…」

男はゆっくりと私に近づく

「ウッ…」

「包丁で死体を切り刻んだことは無い。人間を切り刻むのが怖いから?そういう訳じゃあないッ」

「近寄らないで…」

「『死体』を切り刻んだことが無いんだ」

「ッ…」

「爪を切ってもらおうか。」

川尻浩作ではない、吉良吉影が。ボーリングの爪切りを懐から取り出した
喉の置くから嗚咽が漏れそうになるが、しかし、私は耐えた



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:44:01.80 ID:s1J4wEtl0
早人「宝物?」

圭一「そう、お前と一緒に学校に通う奴は、そういった可愛い、いやマニアックとも言うな。そういう物に目がない奴でな
   よくゴミ捨て場から、よくわからない物を拾って来るんだよ」

早人「犯罪じゃないんですか?」

魅音「そ、その辺はよくわかんないよね!アハハ!」

早人「…例えば」

魅音「例えば…う〜ん、そうだねぇ、この前だとケンタ君人形かな」

早人「えっ…?アレはあんまり可愛くないと思うけど…」

圭一「そういう奴なんだよっ!」

梨花「レナのセンスはわからないのです、にぱー☆」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:47:04.17 ID:s1J4wEtl0
「いい、いい調子だよ、じゃあ左手も」

このまま、この男のやりたいようにやられる
嫌だ。

助けを呼んでやる!!

「助けッ」

「キラークイーン!」

「うわッ…ぇ…ぁ…」

声が出ない。火薬の臭いが鼻をついた。
思えば、その臭いは私の喉から出ているようだ。
喉が…焼けるように痛い…

「続き…ほら、左手」

「…」

「左手だって言ってんだよォーッ!」

吉良が私の頬を左手でぶった
音にならない悲鳴が私の喉から漏れる

「ぁっ…あっ…」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:50:47.03 ID:s1J4wEtl0
「おいおいおいおい!!このままじゃ帰れないんだよッ!おいッ!」

ガンガンと容赦なく私の顔をぶつ手
その手は一発ごとに重みを増していく

「くそッ…ガキがッ…糞ったれ…」

それでも私は切らない。切ってたまるものか

ボコボコになった顔。それでも反抗の眼差しで吉良吉影を見つめる。すると吉良は突然、何かいいことを思いついた顔で私を見つめた

「いいだろう。君がそこまで言うのなら」

吉良は私の喉を掴み首を持ち上げた

「…爪切りなんて、『死んだ後でも出来る』…」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:53:02.23 ID:s1J4wEtl0
その時、ここに来て初めて気付く、何かしらの音
声 ― 部活メンバーの声だ!

「はぁ…あ…」

「何だ…往生際まで悪い…」

何かを喋ろうとすると、喉が切りつけるように痛かった。
それでも、言ってやらねばならない!

「自分より弱い者にしか暴力を震えない、卑怯者」

「餓鬼がッ!!」

「うわァッ!」

爆発する!
首元から体全体にかけて、熱い血と火薬の臭いが回った!



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:56:09.79 ID:s1J4wEtl0
地面には白い煙が立ち込めた
それは近くでなければ見えないほどの薄い煙だった

「餓鬼がァァーッ…そして、糞、新たな餓鬼が、このゴミ山に向かっている…」

私は煙の元から手首を拾い上げ、自分の頬にゆっくりとすり当てる

「君の罪、殺人、そして僕を罵倒したこと。今となってはその全てを恨んではいません。
 ただ今は…あなたが可愛い」

血のついた新聞紙を手に取りそれを爆発させる

「フゥゥ〜、礼奈さん、あなたを私の家へと迎え入れたい
 今すぐあなたと午後のティータイムでも楽しみたいが、そういう訳にもいかない、
 ただ心の奥では、喋らないあなたを想っています」

喋り終わるのが早いか遅いかという内にゴミ山の影の方に身を隠した



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 00:59:04.19 ID:s1J4wEtl0
圭一「ゴミ山ってこんな奥もあったんだなー、さすが梨花ちゃん、こんなの知ってるなんて偉い偉い」

梨花の頭をガシガシと撫でる圭一

梨花「にぱー☆、僕は偉いのですよ」

早人「僕はただのゴミ山に見えるけど」

圭一「いや、物は見ようだぜ、ただ今までの傾向から言って、顔のついている物を好むみたいだな」


ふむ、こんな所にどんな奴らが来るのかと思えば、あの時の少女―…古手梨花
私が犯行を犯す現場でも抑えようとしたのか?

好んでまでこんなゴミ山に来る理由…その理由が、この少女レナの共犯と言ったわけではないようだな
この程度なら会話の内容からわかる…



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:02:29.12 ID:s1J4wEtl0
梨花「羽入…レナがいないわ」

羽入「でも僕らが前回きた時、女の死体が入っていた場所には」

梨花「死体が入っていたの?」

羽入「(コク)」

梨花「……探して」

羽入「はい?」

梨花「吉良吉影を探すのよ。あなたを爆殺することは、彼には不可能だから
   発見して、適当にじゃれてるふりをして懐から手首を抜き出して。『吉良相手になら出来るはず。』私は全力で走り降りるから、
   あなたは空でも飛んで吉良から逃げて」

羽入「でも…」

梨花「…」

羽入「でもその後…追いつかれて、きっと殺されてしまうのです…
   梨花だけじゃなくて…全員…」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:05:17.25 ID:s1J4wEtl0
梨花「そうね…」

少し…わざわざこんなゴミ山くんだりまで来た明確な理由が気になるが、私が慣用することでも無い。
古手梨花もいる。彼女はよくわからないが…危険だ。ここは逃げた方がいいな。

ん?

梨花「…」

梨花「魅音に耳打ちするわ。帰るふりをして、警察に連絡してもらう
   早人がカメラを持っていたわね…いや、アレで取るのは不可能ね…でも」

梨花「今はそれしか無いわ。手を抜き取れとは言わない。探して」

羽入「そ、それなら…わかったのです」


クソッ…そういえば左手、まだ切れて無かった…
気になる…爪が、爪が揃わない…

爪切り…よし、あった。幸い私が隠れた近くにあった。やはり私は幸運だ

レナさん、今度は癇しゃくを起こさずに、ちゃんと切ってくださいね…、揃えて、揃えて



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:08:02.86 ID:s1J4wEtl0
うふふ…美しい…やはりあなたは…綺麗な手をしてますよ…

羽入「吉良!」

吉良「なっ」

梨花「羽入…!」

コイツは…古手梨花の…しまった…
急がなければならなかった…のに!でもまだ爪が…

梨花「何をしている!」

とっさに―私は、レナの手を近くの金庫の中に隠した!
元はきちんとしたダイヤルロックだったが、面にぽっかり穴が開いていて、今じゃ使えない、そんな廃品の金庫だ。

吉良「…」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:11:09.56 ID:s1J4wEtl0
梨花「浩作…」

早人「お父さん?」

圭一「なんだぁ?このおっさん…」

吉良「…」

吉良「爪切りの途中なんだ…話しかけないでくれ」

礼奈さん…君の手で、切ってもらいたかったが…

圭一「ハハハ、こんな所で爪切りとは変わってるなぁ、早人の父さんは」

吉良「いい村だな。雛見沢
   君も確か…最近引っ越してきたばかりと聞いている」

圭一「…?」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:14:03.33 ID:s1J4wEtl0
吉良「今まで住んだどんな所よりも、…空気が澄んでる。ひぐらしじゃなくても鳴き出したいような気分にさせてくれるもんだ」

圭一「ハハ、確かにそうだな。でもそれよりも先にするのは、息子に対しての奇行の弁解じゃないのか?」

魅音「ハハハハー」

吉良「…」

梨花「魅音…」

魅音「?」

梨花「(ボソボソ)…警察を呼ぶのです」

魅音「えー、確かに怪しいオヤジだけどさー」

梨花「そうじゃないのです!!」

圭一「?どうしたんだ?魅音。」

吉良「……」



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:17:12.96 ID:s1J4wEtl0
梨花「(駄目だ…ここで手首なんかを発見しても…マジックのように簡単にではないけど、
   奴は必ず『する』…。ここにいる全員を…殺す…)」

羽入「梨花…」

梨花「(わかってるッ!)」

吉良は、チラチラと梨花の方を見ながら言う

吉良「いやね、早人。天気があまりにも良かったから…」

吉良「雛見沢に書類を取りにくる…そんな用事があってね、
   ついつい…その途中に見つけた、よく日のあたりそうな、この『ゴミ山』に登ってしまった…」

早人「そ、そうなんだ。お父さん」

梨花「(見つけようとすれば…一瞬。あっ、この金庫何ですか?変なものが入っているのです
   それで…終わり…でも…)」

羽入「梨花…」



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:20:03.05 ID:s1J4wEtl0
梨花「じゃあ、レナの気になるようなかぁいいものを探すのです☆」

圭一「ああ、そうだな。この爪切りは、喜ばないぜ、おっさん」

吉良「………(プイッ)」

圭一「何だ…?あのおっさん。ちょっとせっかちだな…」

早人「…」

圭一「あ、あぁ、ごめん、早人」

梨花「(ここで小一時間物を探せば、奴はいつか会社に戻らざるをえない
    奴が去れば、金庫の中の手首を…)」

吉良「…」



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:25:41.11 ID:s1J4wEtl0
わかってないようだな…この場を支配出来るのは、私だッ…

私は金庫にゆっくりと近づく

吉良「…」

梨花「(今は私以外…誰も吉良を見ていない。
   でも金庫の直ぐ近くに魅音がいるわ。後ろをちょっと向けば、直ぐに吉良を…)」

吉良「フフフ…」

梨花「(えっ…?『笑い声』、どうして奴は!)」

私は金庫の中に流暢に手を入れ、そのまま彼女の手首を取り出した
そしてそれを見せ付けるように梨花の方に向ける

梨花「うっ…」

梨花「(魅音…くそっ、夢中になって探している・・・こっちを見て…)」

(いや…こっちを見ないで?)

吉良「♪〜♪」

私はそのまま手首を内ポケットに入れる。もうこれで彼女は安全だ

梨花「(くそ…こいつ最初から知っている…どう自分のことが知られようと今の状況、
    "いざとなったら全員殺せばいい"
    無い…躊躇が…全く。一応の自分の息子を含め、今から4人殺すかもしれないというのに…)」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/17(日) 01:29:09.18 ID:s1J4wEtl0
吉良「それじゃあ、私は帰らせてもらうよ」

圭一「おう、おっさん、会議には遅れんなよ!」

吉良「私はお前に言われるまでもなくわかっている」

圭一「げっ…絡みづらいオヤジ…!」

取り逃がした…

魅音「誰が優勝するだろうね」

圭一「いや、意外と早人かもしれないぜ」

千載一遇のこのチャンス…クソ…


吉良「(この吉良吉影…自分で言うのもなんだが…幸運に守られているような気がする…)」



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