吉良吉影が雛見沢にやってきたようです
- 247: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:33:22.51 ID:s1J4wEtl0
- 次の日―
いつものように梨花ちゃんが登校する。しかし横には―沙都子の姿は無かった
圭一「沙都子はどうした?風邪か?」
圭一はやはり聞いてくる。
もう私には迷う必要が無かった。
梨花「悪い叔父に…さらわれてしまったのです」
魅音「そ、それって…」
梨花「……」
圭一「そ、それ聞いたことあるぜ…確か変な叔父がいて、昔出て行ったとか…」
魅音「な、何で知ってるの?圭ちゃん」
梨花「(記憶も随分とハッキリしているようね。これは随分と運が良かったわ)」
- 249: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:36:32.12 ID:s1J4wEtl0
- 早人「それで…どうやったら、沙都子を救えるんだ?」
梨花「(早人?予想外に食いついてくるわね)」
梨花「とりあえず児童福祉相談所に行って様子を見てもらうわ。そこで沙都子が虐待を認める…それでいいでしょう?」
早人「無理だよ…」
梨花「え?」
早人「そういう時、叔父のプレッシャーに負けて、口聞かぬ人形になっちゃう時だってあるよ」
梨花「そ、それはそうだけど。でも」
早人「僕に任せて。絶対に助けられる方法。今なら考えられる気がする…」
- 255: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:45:06.93 ID:s1J4wEtl0
- 早人の頭の中には、既に叔父を捕まえるだけの作戦が出来上がっていた
その作戦は一つ、早人が杜王町で酷使した一つの特技、『盗撮』である…ッ!
何とかして沙都子の家にビデオカメラを仕掛ける、そうすれば
虐待を行う叔父の姿は目に見える
盗聴器を仕掛けてもいい。
怯えきった沙都子の声、怒鳴り狂う叔父の声、それらを拾うことが出来る…ッ!
しかし、早人にはそれを言い出せない一つの杞憂…
それは単純な一つ…。
それは、『それが犯罪だ』ということである。犯罪の片棒を仲間に担がせる。
その事実は彼が初めて作ることの出来た仲間への、明確な侮辱だとさえ彼は感じえたのだった
梨花「(何を考えているかわからないけど…確かに。沙都子を救うための方法を選ぶには無策過ぎたわね
早人を待つ…この子…何か出来るような気がする…)」
- 259: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:50:10.22 ID:s1J4wEtl0
- 放課後
早人「…」
圭一「わかったのか?早人…」
早人「いや、ごめん…、何も無いよ。電話しよう。いや、電話してもらう。知恵先生に…ッ」
圭一「…そうだな。いや、確かに、虐待が認められない可能性もあり、それにより虐待が加速する場合もある
少し待つのは、充分いい策だったと思うぜ」
早人「ごめん…」
圭一「謝るなよ。それに謝るなら、仲間と一緒に考えず自分一人で考えたってことだぜ」
早人は躊躇した
早人はまだ、それを決断するには若すぎたのだろうか
早人「(いや、自分一人で仕掛ける、やっぱり、犯罪を犯させるだなんて…出来ない…
やるッ…僕一人でやってみせるッ…)」
いや、早人は決断していた!自分一人で、かの沙都子を勇敢にも救うと決断した!
一目見るならば、なんと勇敢な決断だろうか…しかし、彼は知らなかった、その決断が、雛見沢の無言のルールに逆らう決断だということを…
- 261: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:55:14.71 ID:s1J4wEtl0
- 知恵「そ、そんな…」
知恵先生は躊躇した。信じられない、いや信じたくないといった風な顔だった
知恵「連絡します。先生が北条さんに対する虐待、絶対にやめさせます」
梨花「(知恵がここまで言い切るのは初めてね、大丈夫…やっぱり、記憶は残っているわ
サブリミナルのように、全員の深層心理に…)」
しかし、僕はその次の作戦を実行しなくてはならない
早人「じゃあ、僕はもう帰るよ」
圭一「そうか…、よし、じゃあ魅音!梨花ちゃん!
今からこれが失敗した時の策を考えるぜ!早人、お前にも宿題だ!」
早人「…うん」
梨花「早人…」
早人「な、何?」
梨花「何か僕に隠し事はありますですか?」
早人「!……無いよ」
- 281: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 22:46:16.58 ID:AOlHaVxi0
- 恐らく児童福祉相談所の人が来るまでは、少し時間がある
興宮から車で来る、おおよそ20分と考える
ここから家まで20分、走れば…10分!
僕は学校を出、全速力で家までの道を飛び出した。
理想はこうだ。
児童福祉委員の人が家に上がりこむ、
当然その時、玄関に鍵はされていないし、沙都子も叔父も委員の人の話に集中するだろう
僕はその間に、渇いた息を殺し、廊下に盗聴器をしかける。出来ればビデオだが…これはさすがに無理だ。
僕は背も小さいし、何より廊下に仕掛けた所で意味は無い
盗聴器を仕掛ければ、とりあえずそこから脱出する。
そして後は福祉委員の人が帰った後、盗聴器の音を拾う道具で、ひたすら虐待の瞬間を待つ…
虐待の瞬間の音を拾えたことを確認すれば、直ぐに家に帰り福祉委員に電話をかける…
これで救える…沙都子を…初めての仲間を…
- 282: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 22:51:14.32 ID:AOlHaVxi0
- 家に帰り時計を見る、2時43分…。まだ10分しか立っていない、これは随分と調子よく行きそうだ
走る最中にシュミレートした通り、最短の手順で準備をする。
盗聴器と…音を拾う機械。そのたった二つ。両方ともかなりの小ささで、ポケットに入れて持ち運べそうだ
「…ん?」
ふとその時、盗聴器に書いてある妙な落書きに気付いた
注意深くその文字を読み取る
違う、落書きだが、これは文字。書いてある文字は―
『川尻早人』
僕の名前だ、そうかこれ…元は電子紙電話みたいな遊具だったっけ
さすがにこれはマズい、僕は近くのマジックを取り、名前が見えないようにその文字を完璧に消す
- 286: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:10:35.95 ID:AOlHaVxi0
- 僕、川尻早人は、全ての盗撮器具を買って集めた訳じゃないし、そもそも小学生にそんな金は無い
だから、ディスプレイを使っていないものの一部には、自分で、何かしらの遊具を改造し作った盗撮器具もある
改造元の遊具があるとしたら、当然中にはこういうイレギュラーもあるわけで
「よし…」
僕はマジックを机の上に置く
行こう。もう家の中で2分も使ってしまった。
行ってきますの一言と共に玄関を出、僕は力強く自転車のペダルを漕ぎ出した
- 287: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:13:09.21 ID:AOlHaVxi0
- 沙都子の家、いやここは北条家と名づけさせてもらおう。僕は北条家に到着した
玄関には、自動車が一台。間違い無い―児童福祉委員会の車だ
僕は恐る恐る玄関に近づく。
初めて女の子の家に入るんだったら、もっとロマンチックな入り方が良かったな
そんなくだらないことを考えながら、玄関を開ける。そーっと、音は出ない―
- 289: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:16:03.45 ID:AOlHaVxi0
- 沙都子「はい、はいですわ」
鉄平「いやいや、仲良し家族ですよ、ねー」
沙都子「そうですわ…私と鉄平さんは…とっても仲良しなんですわ…」
2分前
鉄平『あれは間違いねえ、福祉委員会じゃ』
沙都子『…福祉?』
鉄平『(ギョロッ)』
沙都子『ち、違うのですわ!沙、沙都子はそんなもの、呼んでないですわ!信じて…』
鉄平『(ニカーッ)』
沙都子『!!』
鉄平『ワシら、仲良し親子じゃ。なー……』
- 291: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:19:36.06 ID:AOlHaVxi0
- 沙都子「はいですわ…、はい…、わかってましてよ…、はい…」
鉄平「確かに誤解される要素はあったかもしれませんなぁ」
くじけてはいけない。
これはにーにーが帰ってくるまでの試練…助けを求めることなんて、許されない…
にーにーが帰ってくるまでに、強くなる、その試練…
『悟史は戦ったわ!』
えっ…誰の声…?
どこか聞き覚えのある…
「ということは、虐待は無いんですね」
鉄平「ああ、そうですよ、とっても仲良しなんですわ」
何か…大切なことを…
いや…
- 293: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:22:50.72 ID:AOlHaVxi0
- 沙都子「私は…!!」
鉄平「!!」
「どうか……なさいましたか……?」
何で…こんなところに…
「どうされましたか?」
沙都子「(早人ッ!!)いや、何でもありませんことよ…」
早人「(…沙都子に見つかった…いや、他の人達は気付いていない…)」
早人「(盗聴器は仕掛けた。これで、もう後は聞くだけ…)」
「今日は、話を聞かせてもらえて、ありがとうございます」
鉄平「いやいや、こちらこそ!」
- 296: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:26:06.67 ID:AOlHaVxi0
- 鉄平「沙都子…おどれ途中…」
沙都子「(ビクッ)」
鉄平「(いやいや…飴と鞭飴と鞭…)今日は、よう頑張ったのう、沙都子…」
沙都子「……当然でしてよ…」
沙都子をその時支配していたものは、暴力とは違う、また別の恐怖だった。
早人「やった…やったぞ…。あとは…」
『ガーガーガー、三連戦も今日で終了し…』
早人「よし、聞こえる…これはテレビの音だな…」
後は待つ…ひたすら…
- 298: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:29:47.24 ID:AOlHaVxi0
- 鉄平「むぅ…(何かよくわからんがムカつくのぉ…、通帳を探せないからか、
それともあのガキを殴れない状況だからかのぉ…)」
鉄平は既に、沙都子をストレス解消用のサンドバッグのように感じていた
殴る必要が無くても、殴らなければそれはやはりムカつくのだ
麻雀でもするか…いや、そんな気も起こらない
夕方に沙都子を買い物に行かせて、その隙にでも通帳を探すか
いや、あんなことがあった手前、酒や煙草は買わせられないし、そもそも重い荷物が持たせられない
鉄平「(ムカつくのぉ…いっちょあのガキ脅してくるか…)」
- 300: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:32:13.42 ID:AOlHaVxi0
- そう重いながら鉄平は立ち上がるが、その時、地面に一つのビデオを発見する
「ロッキー」
鉄平「たまには、映画もいいかもしれんのぉ…」
早人「(くっ…さっきからちんたらちんたら映画を見て…
何も無いのが一番いいんだけど、それでもやっぱりじれったい…)」
- 304: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:35:46.68 ID:AOlHaVxi0
- 午後5時半
圭一「う〜ん、やっぱり児童相談所に直談判の方向かぁ」
魅音「そうだね、とりあえずはその方向で」
梨花「僕も頑張るのです」
圭一「それにしてもすごいなぁ、梨花ちゃん。俺達が悩んでいるところに、様々な案を飛び立たせて」
梨花「みー。圭一も考えれば出てたと思う策ですよ」
圭一「この、嬉しいこといってくれるじゃねーか」
圭一が梨花の髪の毛をわしわしと撫でた
魅音「それじゃあ帰ろうか。とりあえず、明日。……明日もする必要が無いのが一番いいんだけど…」
圭一「…そうだな」
梨花「きっと明日は普通に部活出来るのです」
圭一「そうだよな。大丈夫さ。梨花ちゃんには予言じみたところがあるから
この予言もきっと当たる!」
- 305: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:40:10.13 ID:AOlHaVxi0
- 羽入「梨ぃー花ぁー」
梨花「どうしたの?」
羽入「これからどうするのですか?吉良に加え、鉄平まで…」
梨花「今日は兵隊を増やすわ。もしかしたら、一番の兵隊になるかも…」
羽入「だ、誰ですか?」
梨花「入江京介よ」
羽入「入江…ですかぁ…」
梨花「スタンドの強さは精神の強さよ。…彼の精神に宿る、深い悔恨と決意…!
きっと強くなってくれるわ」
羽入「僕は絶対に無いと思うのです」
梨花「それに…最低限スタンドのことは教えないと、一番火中なのになんだか可哀想でしょう?」
- 312: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:55:40.26 ID:AOlHaVxi0
- 午後6時10分
一瞬も油断していない
自分の中では既に、24時間が立っている程、僕の精神は何時間をもの時間を越えてきた
その間に聞けたものは、せいぜいロッキーのテーマと、字幕を見なければよくわからない言語のみ…
その時だった
ガシャン!
沙都子「あ、あーっ!す、すみませんですわ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」
鉄平「さぁ〜とぉ〜こぉーッ!!よくもワシの家の皿を…!!」
- 313: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:57:26.83 ID:AOlHaVxi0
- ドッドッドッ!!
早人「う…うわっ…」
ドガッ!バキッ!
早人「そ、そんな…こんなに簡単に…」
鉄平「壊すんやったら、男はもっと派手に壊すもんじゃあッ!!」
バリーン!バリバリーン!
早人「う…う…」
鉄平「その皿捨てとけ!」
沙都子「はい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
- 316: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:59:09.50 ID:AOlHaVxi0
- 早人「……」
ピーンポーン
鉄平「動くなよ。だらずが…。…ハイ、北条です…」
早人「……」
早人「ハッ…、ぼ、呆然としてしまった…あ、あの迫力に…でも、早くいかなきゃ!」
6時11分…もう学校は終わっている…。
ここから一番近い家、圭一さんの家に…ッ!!
早人「えっ…」
あの男…一体どうしてこんな所を歩いて…
- 317: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:01:08.21 ID:yF9pCiHu0
- お父さん(川尻浩作)…!
こんな所、家から会社までの道じゃないぞ…?
散歩…。僕の父は、どちらかと言えば会社帰りには何処にもいかないタイプだったのに…
そんなことは関係が無い、早く圭一さんの家、僕が目指すのは
そこ
待て、くそ、やはり、何か、危険な、臭い…
僕は結局、父さんが通り過ぎるまで、林の影で待つことにする
何かしらの、嫌な予感が胸を覆う
「す、すいません」
「間違いってなんじゃい…なめとんのか。ここはな、24時間前は空き家だったんじゃ、そんな所に
誰が郵便を送ってくんのや、おらんやろ!」
「すいませんでしたー!」
「全くもって…なめとる…」
トットットッ
何だ…?僕のお父さん、あんなどうみても火中の人間のいる方向に歩いていくぞ、
正常な人間なら普通遠回りになってでもUターンする…。まるで、回りが見えていないかのようだ…
- 318: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:05:00.59 ID:yF9pCiHu0
- 見られている…
この感覚が、今日一日中、私をずっと縛っている
警察と、富竹の組織―大体見当は付いている。警察はスタンドで行動する分あまり問題がないが
肝心なのは富竹の組織…
またしても強力なスタンド使いと戦うかもしれない。
そして、それならば、見ているのは、スタンド…
小此木「こちらに気付いているようだな」
鷹野「面白いじゃない、くすくす。あそこからここまで、何100メートルとあるのよ。わかりっこ無いわ」
- 319: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:08:26.47 ID:yF9pCiHu0
- 鉄平「おい」
吉良「……」
鉄平「おい、聞いとんのかコラァ」
吉良「聞いている。失せろ」
鉄平「あーん!?なんやとぉーッ!!」
早人「うわっ…やっぱり…!」
鉄平がお父さんの首根っこを掴む
10秒程で落としてしまいそうな強い締め方だ
吉良「そうか…見ている人間は…」
鉄平「何をよくわからんことを言っとるんじゃい!おいおい!!」
- 322: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:13:20.71 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「富竹か…う…やはり殺しておけばよかった…」
小此木「富竹を疑ってますね」
鷹野「くすくす、案外当たっているかもね」
吉良「(手を…出せない…こんなクソにも…。…私は…監視されている…)」
ガチャッ
沙都子「そ、その…もしかして、にーにーからの手紙で…」
鉄平「なんじゃい、今取り込み中じゃ」
沙都子「ご、ごめんなさいごめんなさい…」
- 325: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:17:12.40 ID:yF9pCiHu0
- ガチャリ
鉄平「おら、本当に落とすぞ」
吉良「彼女の名前は?」
鉄平「彼女ぉー?誰じゃ、沙都子のことか」
吉良「ああ、沙都子ちゃん、子供から話は聞いている。随分と私の子は気に入っているみたいだったが」
鉄平「なんじゃい、PTAの話なんて聞きたくも無いわ」
吉良「あの子…綺麗な手をしてますよね。
わたしは…‥子供のころ‥…レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』ってありますよね……あの絵‥画集で見た時ですね‥…
あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる『手』
‥…あれ…初めて見た時……なんていうか…‥その…‥下品なんですが…フフ…勃起しちゃいましてね…‥」
鉄平「!?な、なんじゃい今…」
吉良「汚い手で私に触るな」
ドウン!
鉄平「あがっ!!」
小此木「やった、これでクロだぜ!」
- 328: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:20:38.99 ID:yF9pCiHu0
- 富竹「くそ…僕の『フラッシュ』に偵察をさせていたが…まさか本当に…」
吉良「見る…聞く…撮る…そう奴は言っていたな…私の犯行の瞬間、撮りたいんだろう?
撮るんだったら…『光る』だろう…この、暗さ、圧倒的な夕方に…」
吉良「そこを捕まえる!キラークイーン!」
ブチッ
富竹「うぐっ…」
小此木「三佐!富竹二尉のスタンドが!!」
鷹野「えっ…?ジ、ジロウさん!」
吉良「死ね…」
富竹「うっ、うぐっ!!」
- 332: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:24:50.91 ID:yF9pCiHu0
- 富竹「う、うわあああーっ!!」
ブチブチッ
吉良「フン…これで私は、『自由』だ!何だって出来る!」
小此木「三佐、どうやら敵は富竹二尉以外の監視がいるとは思ってないようだぜ
俺達は完全にバレてない…。三佐、おい三佐!?」
鷹野「ジ…ジロウさん…」
吉良「フゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜ッッ!!自由!私は自由だ!元々…監視されている状況こそ怪しいとも言えど!
こうなってしまうと更に元の平穏が恋しくなる!
まだ警察が見張っているだろうが…元々室内相手には無力!スタンドも見えないし、私を立件することは完全に不可能だ!」
- 334: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:28:43.42 ID:yF9pCiHu0
- 早人「あ…あいつは誰なんだ!!僕の…パパじゃない!!」
キィィ〜、ガチャッ
沙都子「ひ、ひぃ、許してください許してください…」
吉良「ふふ…特に君をどうしようという訳じゃないよ」
沙都子「叔父さん叔父さん叔父さんすいませんすいません」
吉良「何だぁ、コイツ、目がクソにでもなっているのか?どうやら私のことを叔父だと思い込んでいるようだな…」
吉良「まぁ、心底、同情するよ。まさか虐待されているだなんてな。
幼い頃の虐待は、後々に深いひずみを残すということが心理学的にも知られている」
沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
吉良「そうだな、コーヒーを汲んでくれ」
- 337: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:31:16.03 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「ふふ、おいしいよ、随分と君はコーヒーをくむのが上手だね」
沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
吉良「おいおい、謝りなんかいらないぜ」
吉良「!!」
私の視線の端に、この部屋にはあってはならないもの!!
吉良「…盗聴器…!!」
早人「は、はやく、大石さんに、奴は…悪魔だ!!」
- 345: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:36:16.49 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「(くそっ…組織のか…それとも早人…?
好きだと言ってたし、あいつなら盗聴もやりかねないかも…)」
吉良「マジックで塗った後…多分、名前を消したか…」
沙都子「ビクビク…」
吉良「もう一杯」
沙都子「は、はい!」
吉良「組織のではないな。元はラクガキがしてあったか名前が書いてあったってことだ。
まさか盗聴器に身元を特定されかねないものは残すまい。
そうすると…この雛見沢で組織以外に盗聴器を持っている可能性のあるもの…」
吉良「多分何処かの遠距離で録音している…テープがついて無いからな
何処か遠くからここで起こった音を聞き録音している…」
- 347: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:40:54.44 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「そして私が気付いたことにも気付いただろう…つまり、次の行動
第三者に、そのテープを譲渡する!!」
沙都子「お持ちしました…」
吉良「君は…」
沙都子「は、はい!」
吉良「虐待を受けているのか?」
沙都子「受けていません仲良し家族本当に仲良し家族です」
吉良「クロ…だな…」
吉良「最後は壊れたテープレコーダーみたいだけど、君は実に可愛かったよ…」
ドウンッ!!
吉良「早人が盗聴したのは虐待を突き止めるためと考えれば辻褄が合う
やはり…早人…。まだ半信半疑なのは自分だが…とりあえずここは決めてかかるべきだろう…
あんなものを警察に渡されれば、私の平穏な生活への夢は……瓦解する…」
- 353: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:46:35.48 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「警察に渡すとすれば考えられるのは、単独犯として、この近くの電話ボックス、
前原圭一の家、そして川尻家か…
そして複数犯だと、『部活メンバー』とやらの状況から、
園崎家か古手家など、家の中からここの音を聞いていた可能性がある…」
早人が一人でやれるか…?いや、複数でも出来ないな…
ああ見えて意外と根性があるのかもしれない
吉良「最初に調べるのは…」
今、今と決めよう。ただいま6時13分。今、早人が警察に連絡したとする
警察が来るのは、最速でも6時33分!
それまでに、早人、奴を絶対に…殺す
吉良「最初に調べるのは…私の家だ…
器具を動かすのは恐らく重い、早人はそこにいると考えるのが一番簡単だ…」
- 355: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:50:06.11 ID:yF9pCiHu0
- 「も、もしもし!大石さんに代わってください!
はい!はい、川尻早人と言います!」
「ンッフッフ、どうかしましたか?」
「犯人がわかりました…犯人は、僕が一番よく知る人物…」
「川尻浩作…」
「本当ですか!その根拠は…?」
「無理です。いえません、恐らく今僕は追われている
それはつまり時間が無いってことなんです。
…でも、根拠なら端的にいえます。僕が今持っている録音テープに、全てがあります!」
「わかりました。取りに行かせましょう。場所は…」
「あっ、多分覆面パトカーの方がいいと思います」
「わかってます。熊ちゃんにいかせます、それで場所は…」
- 358: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:54:16.83 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「しのぶ!」
しのぶ「ハイ、ハイ、あなた」
吉良「早人は来なかったか?」
しのぶ「昼間に一度来たけど、それ以降来てないわよ」
吉良「(すると…今日の内に虐待を知って、それをすぐに録音するために走ってここまで来たか…)」
私は早人の部屋に入る
吉良「(色々あるが、大概ダンボールだな…、盗聴セットをセットしたような形跡は無い…
ダンボールの中を見る…が、子供が隠れられるような場所は無い
大体、ここまでパトカーがこれたとしても、帰り道で破壊されたら終わりなんだ…こんな簡単な待ち合わせ場所は選ばない…)」
- 359: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:58:14.05 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「すると、『部活メンバー』とやらの家!」
しのぶ「どうしたの?電話の子機なんて自分の部屋に持っていって…」
吉良「うるさい、用事だ」
吉良「(くそ…あと15分。一応電話をしてみるか…それで何かわかるかもしれない。馬鹿正直な親がいるとか…)」
吉良「(まず…前原家)」
プルル、ガチャッ
圭一「ハイ、前原です」
吉良「(チッ…こいつか)そちらに家の早人はあがっていないか?」
圭一「いないですよ、まだ帰っていないんですか、ど…」
吉良「ああ、さよなら(ガチャッ)」
吉良「(チッ…かばっている可能性は大きい、あまり意味は無いか…?)」
- 361: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:01:04.67 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「園崎家…」
プルルルルル、プルルルルル、プルルルル、ガチャッ
お魎「はい、ワシじゃ」
吉良「(ゲッ…ボケ老人…)そちらに、うちの早人は」
お魎「いない!(ガチャッ)」
吉良「くそ…。いや、これは確定。あんなもし隠しているなら、あんなボケ老人、嘘をつけるか不安すぎて電話口に出せない…」
吉良「次…」
私の手が止まる
吉良「古手家…」
- 363: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:04:02.78 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「(盗聴が部活メンバー全員による作戦なら…この家にあることも充分ありえる)」
しかし―
吉良「こいつと会話した所で、本当かどうかなんてわかりやしない
いや―人がいるかいないかぐらいならわかる…が。一応、電話するか」
プルルルルル、プルルルルル
梨花「もしもし、僕なのですよ」
吉良「私だ」
梨花「……くすくすくすくすくす」
- 366: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:11:08.65 ID:yF9pCiHu0
- ガチャン
吉良「早人は古手梨花の家…恐らく…1割。例えば早人が全員に盗聴を提案したら、
アイツはまず自分の家でやらせる気がする…。
いやしかし、奴は私に宣戦布告している身ッ!で…それは迂闊…いや、逆に…」
くそっ…
吉良「行くしかない…ここで行けば、電話をした場所は残り二つ、圭一の家と電話ボックスのみ
いやしかし、受け渡し場所を全く違う場所にする可能性もある。例えば…公園」
いや…複数犯ならそれは目立つ。しかし、公園の下にバッグを置き、その中にテープを入れる、それだけでも
私が阻害する方法は随分と限られる。
一応その場合でも方法は三つある
一つ目は、奇跡を起こしてテープを発見する
二つ目は、ここに来る前のパトカーを破壊する
三つ目は、ここに来た後のパトカーを破壊する
吉良「(一つ目は無いし…二つ目三つ目をやるにはまだ早すぎる…
ここは、無理にでも一つ目の可能性を増やす!)」
- 369: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:16:19.86 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「大体…残り13分。これで一つ目の方法に浪費する時間は9分、二つ目が4分、三つ目がせいぜい3分といった所か…」
梨花「どう思う?羽入。」
羽入「何をやったのかは見当もつきませんが、多分早人なのです。吉良が焦っているのです」
梨花「そうね、どう見ても余裕が無いって感じだったわ
私の家には何もないのに…くすくす」
羽入「吉良は、自分がグループで追い詰められていると思っているのです
でも大きな間違い、全ては早人一人なのです」
梨花「でも…来るのよね、吉良、ここに」
羽入「そうです、だから逃げるのです」
梨花「逃げる…?それもいいわね、くすくす」
- 371: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:20:15.30 ID:yF9pCiHu0
- 重厚なバイクの発進音が鳴る。古手梨花の家、私はそこを目指す
どこにでもあるようなボロい家、無駄に広い庭が私の無駄な想像力をかきたてる
スタンド攻撃…
今は監視されている感じは全くしない…
しかし、ここに、古手梨花の仲間のスタンド使いが、そう、富竹のようなスタンド使いが、何人といるかもしれない
キラークイーンを出す。戦闘準備は完了だ
一見何も無いように見えるこの庭、おそらく、この私を、誘っている…
私が庭にも家の中にも本当に何もないことをしるのは、その5分程後だった。
- 373: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:24:52.31 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「くそ…あのアマ!」
これで本気で、一つ目の作戦に使えるのはあと4分―
この程度の時間では何も出来ない
もう二つ目の作戦に移るか…。
確か雛見沢に入る道は一つ、あんなところをパトカーが入って来るんだ、直ぐにわかる
それを爆発させれば、私の暮らしに新たな平穏が帰ってくる…
圭一「で、大丈夫なのか?早人」
早人「大丈夫だよ。奴はまさかここにいるとは思わないよ
難しく考えすぎて、今頃雛見沢に入る唯一の道を必死にマークしてる頃だと思う」
圭一「それは大丈夫なのか?」
早人「ああ、覆面パトカーだよ、奴には絶対にわからない」
- 377: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:28:07.20 ID:yF9pCiHu0
- 圭一「ハハ、そりゃ傑作だなあ。お前、部活で大活躍出来るぜ」
早人「それ褒めてるのかけなしてるのかわからないよ」
圭一「ハハハ、そりゃそうだな」
圭一「で、警察が来るのはいつ頃だ?」
早人「大体6時33分って所だと思う。あと3分、多分奴は今頃来ないパトカーをずっと待ってる
あと3分ぐらいした後、手遅れって気付くんじゃないかな」
圭一「ハハハ、それくどいぜ」
- 379: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:31:29.04 ID:yF9pCiHu0
- ボソボソボソボソ…
圭一「ん?早人、何か言ったか?」
早人「え?別に何も」
ボソボソボソ…
圭一「な、何だこの……声!!」
バリン!
早人「窓が割れ…ば、馬鹿な!」
吉良「苦労したよ、お前らの居場所を…探すこと…なッ」
早人「川尻…浩作!!どうして!」
吉良「土壇場で思い出したんだ。お前らの犯した、最大のミスッ!」
- 383: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:36:06.98 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「人間の中には、電話のワンコール目で…つい躊躇をするような人間が沢山いる
しかし前原圭一。お前は逆だったッ!お前はワンコール目であえて出るような人間だったッ!」
圭一「どうしてそれで…」
吉良「一階に両親がいるだろう…?私が二階の窓から入ってきたのもそれが理由なんだが
君は両親に電話を取られたら…バレると思った…」
圭一「……」
吉良「お前の両親は、二人は今楽しく遊んでいて、ここにいるということに、何のやましさも無い状況だと思っている…」
- 384: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:40:10.84 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「それは電話を取られたらいけないってことだよなァ?私が電話をかけることッ!
それがたとえ10%の可能性だったとしてもッ!早人のいる時間は、絶対に電話は全て取らないとならないッッ!!」
圭一「……」
吉良「これだけじゃ確信とは言えない…五分前…無言電話がかかってきただろう?あれは言うまでもなく私なんだが…
あの電話も、また取ったのはお前で、ワンコール目で取られた…
クサレ脳味噌でもない限り、絶対にわかる。二回電話をかければ…絶対にわかる…」
吉良「答え合わせは終わりだッ!!採点と行こうか!!」
圭一「う、うわあああああああああっっ!!」
ドガァァーンッッ!!
- 387: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:43:40.30 ID:yF9pCiHu0
- 早人「う…うぅ…」
吉良「泣いているのか?最後まで小うるさいガキだ」
早人「お前は…」
早人「パパじゃない!」
吉良「ああ、合っている、というよりも、見ればわかるだろう?」
吉良「私の名前は吉良吉影、吉良吉影だ…」
早人「吉良吉影…」
吉良「ああ…。それじゃあ、殺そうか」
早人「僕はまだ殺さない方がいい」
吉良「圭一を見習え、あんなにも簡単に死んでいったのに…」
早人「僕を殺すと、テープの位置は永遠にわからなくなる」
吉良「ッ!?」
- 389: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:46:18.81 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「もう一回言ってみろ…」
早人「このボケ老人が…試しに僕の体を調べてみるがいい。お前が期待するようなものは何も出ないぞ」
吉良「くッ…くそ…たわけた罠を」
ドカァァーン!
吉良「6時…32分…くっ…クソがっ…」
- 395: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:49:59.87 ID:yF9pCiHu0
- 私はバイクに飛び乗る、こうなれば、もうこの町を出るパトカーを探し破壊するしかない…
そんなこと出来るのか…くそっ…覆面パトカーだぞ…
吉良「…」
気がつくと、私は家にいた。6時35分。フルスピードで走りこの…家まで…
吉良「しのぶ…」
おかしい、返事が無い…
その時、私の足に何かが触れる
吉良「しのぶ!?」
- 397: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:54:01.41 ID:yF9pCiHu0
- それはしのぶだった。酷い汗だ。顔面も蒼白でゼェゼェと喘いでいる。
状態を見るに、電話をかけた後力尽きて倒れたようだ
吉良「どうした?」
しのぶ「あ…あなた、大丈夫、もう救急車は呼んだから…」
吉良「…」
朝にはあれだけ容態が良かったのに…どうみても急変だ
しかし、演技とは思えない。これはどう見たって発熱している
外にブルルと、救急車の止まる音がした。午後6時36分
- 466: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:18:53.31 ID:yF9pCiHu0
- 私は鍵をかけてしまったことを思い出し、玄関にドアを開けに行く
担架を持った救急隊員が私の前を抜けて行った
「ハイ、大丈夫ですよー!」
しのぶ「ありがとう…ございます…」
「はい、いっせーのーで!ハイ!」
私はその後姿を呆然と見つめる
あのテープはもう相手に渡っているのだろうし、もう何から何までどうでもよかった。
「はい、お父さんも救急車に入ってー!」
吉良「…」
「はい、早く、乗らないのなら出発しますよー!」
吉良「……」
違和感…
しのぶ「あなた…?」
- 467: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:21:22.73 ID:yF9pCiHu0
- 吉良「…」
しのぶ「そういえば…あなた…私を呼んでいたわね…
一体、何の用事…?『ただいま』も言わないし…」
吉良「隠し事…」
しのぶ「え?」
吉良「君は何か私に隠し事をしていないか?」
しのぶ「!!」
救急隊員「……?」
しのぶ「いや、何もしてないわ…」
吉良「そうか…」
吉良「行ってくれ、私は少し遅れて行く…」
この違和感の正体…
- 471: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:24:57.18 ID:yF9pCiHu0
- ブロロロロロロ、ピーポーピーポーピーポー…
しのぶ「ハァ…ハァ…」
「気を確かにして下さい、直ぐに助けます」
しのぶ「ハァ…ハァ…。…?
あなた、会いませんでしたか?私に…もしかしたら何処かで…」
「あっ、こいつを覚えとりますか、大した記憶力ですわ」
しのぶ「え…?」
「ワシは小此木って言いますん。いや、小此木っていう。
昼間の警官に見覚えがあるか?」
しのぶ「…、まさか…」
- 472: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:31:15.22 ID:yF9pCiHu0
- 午後6時15分
早人『ハァ…ハァ…』
しのぶ『早人…どうかした?そんなに息を荒げて…』
早人『これを…聞いて欲しい…』
しのぶ『テープ…?何よ、これ…』
早人『じきに…警察が取りに来る…
それまでに…それを…』
フラァ…
しのぶ『は、早人!何処へ行くの!もうこんな時間よ!』
しのぶ「私は止められなかった…そして、早人のその鬼気迫る様子に急用を感じその中を見た
第一声はあるはずの無い夫の、狂気に満ちた声…」
- 475: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:37:50.18 ID:yF9pCiHu0
- しのぶ「脅迫か何かのテープ、実際は何をしているのかはわからないけど、夫が小さな女の子を虐めていたのは明白だったわ
その後少し待って夫が帰って来たわ。私は嘘をつき、また夫が出てその直ぐ後、警察が到着…」
小此木「いい記憶力だねぇ、奥さん」
しのぶ「その時の警官が、どうして救急車に?」
小此木「コイツ救急隊員じゃ無いんやわ。山狗、雛見沢を暗躍する、秘密部隊の一人よ
そのテープ…内容は省略するけど、警察に取られるのも俺達は好くことじゃないし、
ガキの浅知恵で、最大の切り札を取られることも好かない…。
でも直ぐに、俺の能力でお前がテープを預かっていることを知ったぜ
警察になりすまして、それを強奪するのは、俺達にとって朝飯前…」
しのぶ「何?一体、家の夫は何の事件に巻き込まれているって言うのよッ!」
小此木「察しがいいねぇ…奥さん…」
- 479: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 19:03:04.55 ID:m40OG0rP0
- 小此木「最大の切り札とは、雛見沢に土足で上がりこみ勝手に暗躍してくれる死神…吉良吉影を封殺するための切り札ッ…」
しのぶ「誰よそれ…、私は知らないわ」
小此木「吉良吉影…ああ、今は"川尻浩作"と名前を変えている」
しのぶ「えっ!?」
小此木「聞くかい?奴の血塗られた半生…」
- 482: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 19:08:11.95 ID:m40OG0rP0
- しのぶ「そんな…」
小此木「そんな訳で俺達は、その少女を救うための正義の味方ということよ(数日したらに自分で殺すけどな)」
小此木「お前が彼女に手を出したら、このテープを警察に渡す。これでいい」
しのぶ「最初から警察に渡すのは?」
小此木「早人がそれをするのが不可能だと思ったから俺達が動いたんだよ」
しのぶ「成程…警察をも上回る…機関…」
とっさに、背筋に走る嫌な予感
しのぶ「あなた達…私をどうする気?」
- 484: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 19:26:04.58 ID:m40OG0rP0
- 小此木「その容態ですが、先ほど来たとき盛らせていただきました」
「ハハハハハ!」
えっ…今笑う所?
車内の空気が異様に包まれる
しのぶ「な、何よ…」
小此木「あんたは人質…あいつに軽率な行動を慎ませるための」
しのぶ「でもあいつは本当の私の夫じゃないんでしょ?…そんなの、人質になりっこないわ…」
小此木「言葉が悪かったな、あんたは信憑性、俺達の実力の『誇示』ッ…
奴に『俺達がお前のテープを盗む実力を持っている』と伝えるための信憑性ッ…!!
だからこそお前に、わざわざ薬を盛って、わざわざ救急車を呼ばせて、こんな面倒くさいさらい方はしない」
しのぶ「えっ…?さらうのッ…?」
小此木「当たり前だ、本当にちょっとだけ、やらせてもらうぜ!」
- 485: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 19:30:21.75 ID:m40OG0rP0
- 梨花「早人が…」
羽入「そう…早人が殺されたのです…そして、
早人が持っていたのは…これも絶望の上塗りですがっ…沙都子を詰問する吉良の声を盗聴したもの…」
梨花「盗聴?…あぁ、わかったわ。そういうことだったのね、早人
そして、テープは始末されて?」
羽入「いや、早人の策で、テープは始末されていないのです」
梨花「!!やったわッ!これで全部終わりじゃないッ!
吉良を出し抜いたわ!捕まえられる!立件出来る!」
羽入「でも…そううまくはいかなかったのです」
梨花「えっ…?」
羽入「小此木がテープを強奪したのです
テープを取りに行った熊谷は、道中で残念ながら…」
梨花「はっ…?え?
ど、どうして…あれさえあれば…直ぐに捕まえられるはず…」
羽入「わからないのです」
梨花「わからないって、そんな!」
- 487: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 19:31:54.74 ID:m40OG0rP0
- 梨花「(何がしたいの…?小此木…?
全然意味不明だわ…何…?)」
戻る/次のページ