( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:18:34.03 ID:81lxEDVB0



   メリー                            クリムゾン スマッシュ!

                                   ∧,,∧  
   ∧ ∧  【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
  ( ^ω^)                           ゞ,,  つ
  と   つ                            ミ  ミ
 〜(__)                             し`J



          第一章  遠い地を目指したハジマリ


 
        其の四 「黒い水の中でおやすみなさい、だお」



234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:19:50.34 ID:81lxEDVB0


 《 蒼季 60節 》



 照りつける眩しい太陽、そして夏虫のやかましい鳴き声がこだまする雑木林。
その間に伸びた広く長い砂利道の上を、僕等は並んでテクテク歩いていく。

落とした視線を上げ、日差しの眩しさに目を細めながら見渡せば、
真上に昇った太陽に照らされる遠景は揺らいでいた。

その延長線上にある空は透き通った青でありながら、底の見えない深い色をしている。
不思議とひっぱられるような感覚があって、このまま空さえ飛べそうな気がした。
けれど、そんな思いは空を旋回する大きな鳥が打ち消した。

鷹かトンビか、翼を広げて空を泳ぐ姿からその判断はつかないが、
僕はその姿を見て羨ましいと思ってしまったから。



237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:21:28.35 ID:81lxEDVB0

(*゚∀゚)「どうした? 急に立ち止まって」

そんな事を考える僕の足は、気付けば止まっている。
なんでもないと答えてから慌てて前行く影を追いかけた。

目的地は緩やかな傾斜がつづく道の先、山の反対側にあり。
その山頂からは、視線で形を追ってしまう入道雲が顔を出していた。


 蒼季も後半に入っている。この頃がいちばん暑くなる時季だ。

現に空気は熱気にあふれて、立ってるだけでもどんどん体力気力を奪っていく。
喉はすぐに水分を欲し、気を抜くと頭が呆けるのに加え、溜まった疲労で結構辛いものがある。
けれど山頂から見えたあの海の存在が心を奪い、自然と疲れさえも薄れさせていた。

そうして数え切れない数の木々を追い越し、うねる山道を抜け。
ゆっくりと風の匂いが変わっていくのを感じつつ、
胸の鼓動と歩みが早まる旅路の最中のこと。



240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:23:06.24 ID:81lxEDVB0


彡,;'∀`ミ「えへ、えへへ…」



(;^ω^)「フサ?」

(*゚∀゚)「どうした、頭逝かれたか?」

彡,;'∀`ミ「ああつーちゃん、今日もかわいいから」

(;*゚∀゚)「…あ? 何をいきなり」

彡,*'∀`ミ「つーちゃあああああああああん!」

(;*゚∀゚)「な!?」



241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:24:15.02 ID:81lxEDVB0


三 ∧,,∧    ∧ ∧
三 彡*'∀ミ  (∀゚*;) 
三 彡つ つ  (つ |つ=ニフ


           ン?

   ↓    ∧ ∧
  ∧,,∧   (゚∀゚*)
 彡*'∀ミ  (つと|


        ・・・・

        ∧∧
  ↓    (。。*)
 ∧,,∧   | |


       ダイジョウウブカ オマエ

        ∧ ∧
       (。。*;)
  ↓    | と|

 モウダメポ



243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:26:21.49 ID:81lxEDVB0

 とうとうフサは熱にやられたのか、気が狂ったように叫びつつ倒れた。
その様はよく言えば燃え尽きる前の蝋燭、普通に言えばきがくるっとる。

まあそれはともかく。
ただでさえ長毛に覆われて暑そうなのに、一人歩き続けていたから当然といえば当然だ。
というわけで、僕等は木陰に避難し休憩をとる事にしたのだが…。

(li Д )')「……さ、さあ…そろそろしゅっぱつだぁ…」

(*-∀-)=3「そういうのはせめて一人で立てるようになってから言え」

しばらくして。

つーちゃんに毛を刈られたおかげもあってか、
少し回復してきたようで一安心するも束の間。
どうやら今度はいつまでも休んでいるのが不服なご様子で。

(,; Д )')「…だいじょうぶ…だいじょぶ…だいじょおぶ……さあ逝こう」



246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:28:04.50 ID:81lxEDVB0

(;^ω^)「無理すんなお」

(,;TДT)「待ってるから、海が俺をまってるんだから……」

もうはってでも先を進もうという勢いだった。
凄い情熱だ、でもそれなら僕の背に乗ればいいものを、
それは断固として拒否するもんだから、もう手に負えない。

(*゚∀゚)「焦らなくても海は逃げねえって、それより」

(,;゚Д゚)「で…も…」

(♯゚∀゚)「しつけえ、ちょっと寝てろ!」

♯)゚д゚):∵ブベラッ

(メ Д )「…」

(;^ω^)ウゴカナクナッタ

(*゚∀゚)アヒャ♪



249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:30:01.97 ID:81lxEDVB0

(*゚∀゚)「さて、んじゃちょいと道を変えるか」

(;´・ω・`)「この炎天下じゃ同じ事を繰り返しそうだもんね…」

( ^ω^)「でもどうするんだお?」

(*゚∀゚)「あの山の上から見たかんじだと、確かここらは」

(メ Д )つ「う…う…み……」

(;´・ω・`)「うわっ」ゾンビ!?

(* ∀ )「浅かったか」チッ



/      ゲシッ ゲシッ                   
   オラオラオラ!               ガスッ 
    チョ、マッt 
 ガッシ! ボカ!  アシハヤメt              
      シヌッテ          アヒャヒャヒャヒャ
\                            



252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:32:08.50 ID:81lxEDVB0


(´;ω;`)「こわいよう…」

( ^ω^)「大丈夫、なあに」カエッテ タイセイガ ツク


そうして、フサが気を失っている間に確認した結果。

森をまっすぐに迂回すれば恐らく海に出るだろうという事で。
フサが目を覚ますのを待ち、充分に体を休めた後。

目的地である港町へと続く一本道を外れ、
木々が視界を遮る中へと進んでいったのだった。



256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:33:50.91 ID:81lxEDVB0




             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 <チャオ ソレッラー
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           蒼季 60節




258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:34:21.28 ID:81lxEDVB0

(,,゚ω゚)「あーなんか落ち着く」

(;^ω^)「その顔やめろお」

まるで色を失くしてしまったような深い森の中。
心地よい涼しさを含んだそよ風がやさしく吹いて、深く息を吸いこんだ。
冷たい空気が体中に染み込み、溶け込んでいく。

(;´・ω・`)「ぼ、僕はあんまり…こういう雰囲気は苦手だよ…」

(,,゚Д゚)「涼しくっていいじゃない」

(;´・ω・`)「でも薄暗くて…なんか怖いよ…」

(,;゚Д゚)「でかい図体して情けない猫だなぁ」

(;´・ω・`)「うわ!! なんか居る!?」アソコノ クサムラ!

(,,゚Д゚)「ただの鳥だから」

(;´・ω・`)「痛っ! ひいいい!?」イマ アシヒッパラレタ!

(,;゚Д゚)「ちゃんと下見てないと危ないぞ」ネコガ ネッコニヒッカカル



263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:36:03.04 ID:81lxEDVB0

段差だらけの中、石ころと低い草木が更に行く手をはばむ。
そんな道無き道をぼくらは手探りで進んでいく。

(*゚∀゚)「ほいほいっと」

同じ様な景色がつづき、立ち止まって見渡すと方向をすぐに見失ってしまう。
つーちゃんはショボから降りて、迷わぬようにと木に包丁で印をつけながら歩いていた。
ちなみに最初はバツ印とかだったのが、段々とレベルアップしていく。

(;^ω^)「…題名、木々に群がる鳥…?」

いまや僕等の通り過ぎた木々には芸術的な絵の数々が描かれ。
ちょっとした美術館のようになっていた。

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、なんか楽しくなったきた」

(;^ω^)「なんだおこの精度は、すごすぎるお」

(*゚∀゚)「今度は一本まるまる使って彫刻でも作るか」

(;^ω^)「意外な趣味だお」ムシロ メザメ?



266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:38:09.29 ID:81lxEDVB0

そんなこんなで時間は流れ、やがて不思議な匂いが鼻をくすぐった。
第一印象は臭い、でも不思議と不快には思わない、そんな空気だった。

( ^ω^)「なんだおこの」

(´・ω・`)「潮のにおいだ…」

(,,゚Д゚)「しお?」

(´・ω・`)「うん、これは海の匂い、つまり…もう海が近いって事だよ」

ショボは珍しく冷静な様子で、どこか自慢気に言うと、自ら前にでて先行し始める。

僕等は返事のかわりに小さく歓声を漏らした。

色々と情けない子だったけど、この落ち着き払った様子。
やはり旅の先輩は違うものだなと感心していた。

(*´・ω・`)♪

だが、その背を見れば尻尾がぴんと上を向き、歩みに合わせて楽しそうに揺れている。
うん、体はとても正直だね、僕等はニヤニヤしながらその背を追いかけた。



270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:39:41.54 ID:81lxEDVB0

 それからもうしばらくして。
潮の匂いは更に強まり、風はまとわりつくような湿気を帯び始めると、
はるか前方、木々の隙間に光が見える、待ちわびた出口のようだ。

近づけば近づくほど、どこからか紙袋を潰すような音が定期的に響いてくる。
不思議に思いながら足取りは軽く、早足で森を抜けると一気に視界が開けた。


日差しは相変わらず眩しく、目の前には一面みどりの草原が広がっている、
好き放題に伸びた雑草は風にあおられ、緑の中に白いさざ波を作った。


その先には赤色レンガの積み重ねられた大きな塔があり、
横に付いたいくつものプロペラがそれぞれゆっくりと回っている。


みどりの中にぽつんと存在するそれはまるで、
ここへ置き去りにされてしまったような、儚くも哀しげな印象を受けた。



273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:41:20.20 ID:81lxEDVB0

(,,゚Д゚)「…」

(*゚∀゚)「…」

けれど、それ以上に。
この先のあまりの光景に言葉を失って、風の中、僕等はその場で立ち尽くしていた。

ずっと聞こえていた音はますます強くなり、すぐ奥から聞こえてくる。
僕等は感極まったまま、確かめるように音のする方へ向かうと草原が途切れ、
前にはゴツゴツとした岩肌がむき出しの崖があった。

眩暈がするような高さの崖の上。
そこに立った瞬間、それを見た瞬間に、全身に電気が流れる。
体中の毛が逆立つような感覚と共に、耳がぺたんと後ろに寝そべった。

あえて言葉にすれば、それは足元まで続く色違いの空だった。

視野に収まりきらない青空は、中心で色の溶け合う事無く上下に割れて線を作り、
途切れた下の部分が真っ直ぐに目下足元へと伸びている。

どんなに目を凝らしても先なんてまったく見えない。



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:42:59.76 ID:81lxEDVB0

この先には果てなんか無いんじゃないかと思えて。
もしかしたら、これが世界そのものなんじゃないか、なんてロマンチックな事も思った。

自分が今まで居た場所がいかに閉鎖されていたのかよくわかる。
どんなに広い場所でも、どんなに遠くを見たって、山があった。
色とりどりな山々に囲まれていた。

別にそれが嫌だとか言うわけじゃないけれど。
だからだろう、単純に目の前の光景が信じられなかった。
こんなに広いのに、こんなにも単純な色しかない世界があるなんて。

(;´・ω・`)「ど…どうしたの? 固まっちゃって…」

と、そんな感動する僕等に対し、ショボはあまり感心がないのか、
相変わらず空気のよめない事を言ってくる。僕は軽く舌打ちした。

(;´・ω・`)「え…あ、あの…」イマ チッ ッテ

( ^ω^)「これ見て、ショボは凄いと思わないのかお?」キノセイ キノセイ



279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:45:34.99 ID:81lxEDVB0

(;´・ω・`)「うん…ぼく海辺で育ったし、こういうのは見慣れてるから…」

(;^ω^)「ふむ」

(´・ω・`)「それより山の景色のほうが凄いと思うけどなぁ…」

( ^ω^)「ないわー」

(*゚∀゚)「まあ、普段みる物が違けりゃそうだろうな」

( ^ω^)「そんなもんかお」

(*゚∀゚)「そんなもんさ」

と、僕等がそんな話をする間もフサは一人呆けたまま、
じっと波打つ空を見つめていた。

(,,゚д゚)「すっげぇ…」 

やがて搾り出すような声でそれだけ言うと小さく溜息をつき、
一呼吸おいてから、くしゃくしゃな笑顔で誰にともなく呟いた。



「これが…海なんだ」



281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:46:15.59 ID:81lxEDVB0




             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 <ソンデモッテ
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           蒼季 60節




282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:46:59.16 ID:81lxEDVB0

それから、そろそろ先を行こうとショボが切り出した。

言われて視線を横にむけると、ゆっくりとカーブを描く湾岸沿いの遠い先。
山の中腹から海辺までを埋め尽くすような建物群が見えた。

港町、房津。

内陸と水上をむすぶ唯一の交易の町で、この大陸の名そのままに呼ばれる。
聞いた話では、よい温泉がある事でも有名らしい。
たしかに遠目ながら、湯気のような白いモヤがそこかしこから上がっているのがわかる。

そうして僕等はショボに色々訪ねながら町へと向かって海沿いに歩き出した。

( ^ω^)「さっきの赤い塔はなんだお?」

(´・ω・`)「あれは灯台だよ、夜になるとあそこが光って
      船が迷わないようにと目印になるんだ」

(,,゚Д゚)「あれの横についてるなんか変な、回ってたやつは?」

(;´・ω・`)「詳しい部分はしらないけど…風を受けてあれが回ることで
       光を出せるようになる仕組みなんだって」



284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:48:11.72 ID:81lxEDVB0

(,,゚Д゚)「…中の人が回してるんじゃないのか」

(;´・ω・`)「え…? いや人は居ないと思うよ」

(,;゚Д゚)「なにぃ!? 誰も住んでないの?」

(;´・ω・`)「う、うん…」

(,,゚Д゚)「勿体無いなぁ…あんな立派な家なのに」

(;´・ω・`)「家じゃないよ」

( ^ω^)「あ! 船だお!!」

(;*゚∀゚)「ん、んん? なんか縮尺おかしくねえかあれ?」

(,,゚Д゚)「そうなの?」

(*゚∀゚)「だってよぉ、家があのサイズだろ……んで船がこれくらいだから…」



286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:50:15.50 ID:81lxEDVB0

( ^ω^)「しかし、なんかカッコいい船だお」

(,,゚Д゚)「Nice boat」

(*゚∀゚)「ぶち殺すぞ」アト ソウカンガエタヤツ アトデ ウラマデコイ

(´・ω・`)(…あれ、なんだろこの喪失感)

(;*゚∀゚)「うーん、5、60bは軽くありそうだ」

(,,゚Д゚)「ふーん」

(,,゚Д゚)「…」


ミ,;゚Д゚彡「でかっ!!」


Σ(;´・ω・`)(毛が生えた!?)



289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:52:44.05 ID:81lxEDVB0

ミ,;゚Д゚彡「ええ…なんでそんなに、てか平気なのかそれ」

(´・ω・`)「う、うんと、陸と違って場所とかを選ぶ必要がないし…
      とにかく大きいほうが物を運ぶのに都合がいいからね」

( ^ω^)「すごいお」ヨク ワカランケド

(;´・ω・`)「…いや…むしろ、この位置からあんな豆みたいなのを見て
       目測できるつーさんの方が凄いと思う」


(*゚∀゚)アヒャ?


…………。

…………。


( ^ω^)「じゃ、町へ向けて出発だお!」

ミ,,゚Д゚彡「と、その前に…」



291: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:54:54.80 ID:81lxEDVB0

ミ,,゚Д゚彡「もっと海の近くに行ってみたいから!」

(´・ω・`)「うん、じゃあ……あそこにちょうど砂浜があるし、寄っていく?」

ミ,,゚∀゚彡「そーすんべ、そーすんべ」


………。

………。


ミ,;゚Д゚彡「ぶわっ! しょっぱ!! なんだこの水、こんな綺麗な癖して!」

( ゚ω゚)「ゲホッ、ゲホッ!! おぇ、思いっきり飲んじゃったお」

(´;ω;`)「ひぃぃ! 足の裏が熱い! 肉球が焼けるう!!」

(;*゚∀゚)「うーん、なーんか体がざらざらベトベトすんなぁ」

ミ,;゚Д゚彡「げ、 砂が毛に絡まってやがる!」



295: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:56:33.69 ID:81lxEDVB0

……。

……。


ミ,,゚Д゚彡「なんか…あれだね、こう、見てるだけの方が楽しいね、海」

(;^ω^)「そう思うお」

(*゚∀゚)「まあ、猫だしな、オレたち」

ミ,,゚Д゚彡「だよね」


ミ,,。。彡「…?」


ミ;゚Д゚彡「フサは犬だから!!」

(*゚∀゚)「クマー」


…。

…。



298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 21:58:01.69 ID:81lxEDVB0

ミ,;゚Д゚彡「ひ、人だらけ…」

(;^ω^)「壁だらけだお…」

そんなこんなで、木柵に囲まれた町中へと辿り着いた。

町中を見渡せば、石畳のでっかい通路を中心とした一本道が山の上まで伸びている。
その道沿いには木造の家屋が整列し、隙間にはいくつもの横道があって、
そこかしこにちらほらと人が歩いているのがも見えた。

(;^ω^)「ん、あのでっかい四角形の建物はなんだお?」

(´・ω・`)「倉庫か、造船所かなぁ」

ミ,;゚Д゚彡「へぇ…しかしなんだあの丸いの?」イエノマエニ オイテアル

そう言うフサの視線の先には、中央が膨らんだ円筒系の物体。
木が鉄の輪で縛られたような丸い箱が転がっていた。

(´・ω・`)「樽の事?」

ミ,,゚Д゚彡「樽ってのいうのか、あれ」

(´・ω・`)「うん、バラ荷を入れたりできる、運搬用の箱だよ
      基本的にはお酒とかを入れるのが多いみたいだけど」

ミ,,゚Д゚彡「ふーん…?」



301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:00:49.83 ID:81lxEDVB0

通りには二階建ての家が並んでいて、それらは一階部分がお店になっているのが大半で。
ずっと奥の港方面にはここへ来る前に見た、灯台に似た塔が頭一つ抜きん出てそびえ立っていたり、
逆に横方向に大きな倉庫があったりと、多種多様だった。

そしてそれ以外にも沢山の露店があって、その前を人と喧騒が飛び交い。
隅で輪を作り談笑する人、荷台を転がす動物、元気に走り回る子供、などなど。
なんとも活気に溢れていた。

僕等がキョロキョロと周囲に興味をひかれていると、
ショボは船の手配をしようと言い出し、よくわからないが歩き出した。

すると道の途中、布貼りの屋根の下から僕等を呼ぶ声があがった。
見ればそこにはモサモサしたしっぽを持つ、煙草をくわえたキツネ族の男がいた。

ミ,,゚Д゚彡「…ん?」

爪'ー`)y‐「そうそう、そこのモップみたいな兄ちゃん!」

ミ♯゚Д゚彡「誰がモップだ! ごるぁ!」

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、自覚してんじゃねーか」



304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:02:36.33 ID:81lxEDVB0

爪'ー`)y‐「まあまあそれより、ちょっと見ていかない?」

そんな誘いにほいほい乗って出店の一つに近づくと、
布が敷かれたテーブルの上には、キラキラ輝く金属の光物が並べられていた。

ミ,,゚д゚彡「おお、なんか綺麗だけど…なにこれ?」

爪;'ー`)y‐「なんだ? 物珍しそうな顔して、アクセサリーだよ知らんのか?」

(*゚∀゚)「装飾品、ってやつか」

ミ,;゚д゚彡「……食べ物をよく噛むこと?」

(;^ω^)「それは咀嚼」


爪'ー`)y‐「で、どうだい、そこの恋人にプレゼントでも!」

ミ,,゚д゚彡「……こい…びと?」



307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:04:01.21 ID:81lxEDVB0

爪'ー`)y‐「お? まーたとぼけちゃって! そこのでっかい猫に乗った子だよ!」

(;´・ω・`)「え…僕の?」

(*゚∀゚)∂「……?」

爪'ー`)y‐「ん、こいつは珍しい、よく見りゃつー族じゃないか!
      いや兄ちゃん! こんなべっぴんさん連れて憎いね!」

ミ,;゚Д゚彡「は? え?」

爪'ー`)y‐「それで、猫をお供にデートかい? いやー若いってのはいいねえ!」

(♯ ∀ )「…」

ミli゚Д゚彡「はっ!」マズイ オコッテル

ミ,;゚Д゚彡「い、いやいや違うから! そんなんじゃないから!」

爪'ー`)y‐「またまた、きみら港に行こうとしてるんだろ? それも目的は海に出る事と見た」

( ^ω^)「おお、よくわかったお」



308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:05:39.67 ID:81lxEDVB0

爪'ー`)y‐「おうよ、こんな商売やってるとな、自然と目がよくなる
      そんで二人っきりで船旅なんざしようってに何も無いわけないだろう?」

(;^ω^)「て、僕等の存在はスルーかお」

爪;'ー`)y‐「ありゃ? 喋ってる、てことは君は書本猫か! こらまた凄い組み合わせだな」

( ^ω^)「……お?」イマ ナンテ?

ミ,;゚Д゚彡「いやそれより、そんなんじゃないってのに」

爪'ー`)y‐「はっはっは、照れるなって! 男なら贈り物の一つや二つ、
      ぽんとくれてやるくらいの甲斐性なきゃ駄目だぞ」

ミ♯゚Д゚彡「照れてねえ! 誰がこんな」

(* ∀ )「…」ギロ

ミli゚Д゚彡「うっ…」



312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:07:04.16 ID:81lxEDVB0

爪'ー`)y‐「なんだ、ほんとに違うのかい?」

ミ,;゚Д゚彡「いや、その…」

(*゚∀゚)「その、なんだよ、言ってみろ」

ミli゚Д゚彡「え、ええええ…」ナニ コノ ジョウキョウ

(*゚∀゚)「…お、包丁もあるんだな」

爪'ー`)y‐「ん、なんだ? それ気に入ったの?」

(*゚∀゚)「…どれどれ」

ミli゚Д゚彡「ひっ!?」


<イヤー!!


(;^ω^)「????」

(´・ω・`)「ブーン、どうしたの?」



315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:08:59.18 ID:81lxEDVB0

(;^ω^)「お…いやさっき」


<テメエ! ニゲンジャネエ!!

<ギャーミセガーーー!!

<ヤメ アブナイカラ! ムシロ メイワクダカラ!

<アナタニ イッポン!!

<ウワッ ナンカトンデキタゾ!?

<ペロッ コレハホウチョウ!

<サナエ!? サナエーーーーー!!!


Σ(;^ω^)「ってなんか凄い事に!?」

(´;ω;`)「ひぃぃいい」アビ キョウカン


( ^ω^)「…」


(;^ω^)(あれ…? 僕は何を気にしてたんだっけ?)



316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:10:01.52 ID:81lxEDVB0






             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 <ソレカラ ドントコショ♪
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           蒼季 60節






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