( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです
- 317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:12:01.38 ID:81lxEDVB0
怒り暴れるつーちゃんと逃げ回るフサ。
ふたりの暴動とも言える行為が、周囲に被害を充ニ分に与えた頃。
< オ、オレハ・・・ボウドウ・チガ・・カラ
爪;'ー`)y‐「これやるから、頼むからもう勘弁してくれ」
(*゚∀゚)「そ、それは…!!」
差し出されたのは吉宗と文字が刻印された包丁。
つーちゃんはそれを見た瞬間、ミミとしっぽをピンと立て動きを止めた。
なにやらけっこう名高い一品のようだ。
そうして機嫌をよくしたつーちゃんを連れ、僕等はその場をそそくさと逃げ出した。
僕はさっき何かがひっかかっていたのだが、頭から抜け落ちた物は帰って来ない。
まあその内思い出すだろう、と考えている間に港に到着。
(´・ω・`)「ちょっと待ってて」
ミメ"Д゚彡「おう」
- 320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:14:04.53 ID:81lxEDVB0
(´・ω・`) …
ミメ"Д゚彡 ?
(;´・ω・`)「あの…お願いだからもう問題起こさないで…ね?」
ミメ"Д゚彡b「オフコース」コレイジョウ ボコボコニサレタラ シヌカラ
そうして、ショボはテイキセンって物に乗るのに予約がどうこう言い残し、
一軒の張り紙だらけの家の中に入っていった。
ちなみに家の屋根の部分には、船券販売と書かれた看板が掛けられ。
壁に貼られた紙を見れば、格安、予約割引、キャンペーン実施、などなど
よくわからない言葉がたくさん羅列されていた。まあどうでもいいけど。
ミ,,゚Д゚彡「おーすげえ、船がイパーイあるから」
( ^ω^)「あのでっかい船がないお」
(*゚∀゚)「だなぁ」
- 323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:16:41.40 ID:81lxEDVB0
防波堤を越えると、海上には木造の橋がいくつか、沖合いへ向け伸びていた。
そこにはロープで繋がれた小船が、ところ狭しと並んで停泊している。
なんだか興味を惹かれて、僕等はその桟橋の一つへ向かった。
ミ,,゚Д゚彡「うひゃー透き通ってら!」
( ^ω^)「お、なんか居たお!」
(*゚∀゚)「はしゃぎ過ぎて落ちんなよ」
(;^ω^)「それとフサ、なんか毛についてるお?」
ミ,;゚Д゚彡「…塩の結晶だ」ソウイエバ クルマエ アラッテナカッタカラ
歩くたびにギシギシと音を立てる橋の上。
辺りには、白い大きな鳥が変わった声で鳴きながら、海の上を飛んでいる。
そうして僕等は談笑しつつ、海辺の雰囲気を満喫していた。
すると、そこへ船が一隻到着し、見知らぬ二人組みが降りてきた。
- 325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:18:13.06 ID:81lxEDVB0
(,,・Д・)「ん? おろ、同族ハケーン」
ミ,;゚Д゚彡「あ、どもっす」
人が4人並んだら目一杯の細い橋の上。
彼等はこちらをみると立ち止まり、声をかけてきた。
どうやらフサと同じ『ギコ族』の人らしい。短毛種みたいだけど。
(,,メД゚)「ここらじゃ見ない顔だな、なんか用かゴルァ」
ミ,;゚Д゚彡「え? 用って…なんで?」
(,,メД゚)「は? …ああ、なんだもしかしてお前さん、ここは初めてか?」
ミ,,゚Д゚彡「そうだけど…」
(*゚∀゚)「なんか不味かったか?」
(,,メД゚)「いや、別に不味いってこたぁねーぞゴルァ、
ただこの橋はうちの連れが停泊する場所だからな、気になっただけさ」
- 328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:20:19.71 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「あー、それは失礼を」
(,,・Д・)「ニャハハ、だから別に悪かないって」
(,,メД゚)「それよりお前さんがた、これから海に出るつもりか?」
ミ,;゚Д゚彡「うーん…多分」
(,,メД゚)「そうか…まあ、胸に留めておく程度でいいけどよ、
今日明日に海に出るなら気をつけたほうがいいぞゴルァ」
ミ,;゚Д゚彡「どうゆうこと?」
(,,メД゚)「今この港には嵐野郎が来てるらしい
もしも噂どおりなら…危ない目に合う、かもしれない」
(*゚∀゚)「嵐野郎?」
- 331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:22:19.12 ID:81lxEDVB0
聞くと、ある男が行く先は、常に荒れ事が付き纏う事から、
その男はそう呼ばれるようになった、といった話で。
その人が今ここ、房津港に訪れているらしい。
それだけではいまいち意味がわからないと、問い詰めてはみたものの、
彼等はkwskは知らんと言って豪快に笑い、町中へ消えてしまった。
…フサもそうだけど、ギコ族というのは適当な性格がデフォなのだろうか。
ミ,;-д-彡「…わるかったね」
(*゚∀゚)「ブーン、それは違うぞ」
(;^ω^)「お?」
(*゚∀゚)「こいつは馬鹿なだけだ」
( ^ω^)「なるほど」
ミ,,゚Д゚彡 え?
- 333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:24:11.96 ID:81lxEDVB0
……。
……。
その後、ショボと合流してからしばらくして、
港にとても大きな船が白い帆をあげてやってきた。
ミ,;゚Д゚彡「うおぉ…あれってあの時見たやつ?」
(*゚∀゚)「いや、違うっぽいな」
ちなみにその巨体ゆえ港に入る事ができないようで、沖合いに停泊している。
乗船するには案内の人に従い、小船で向かわなければいけないようだ。
さっそく僕等は、船と言うよりもボートに近いそれに乗り込み、
大海にそびえる巨大な塊を目指した。
(;*゚∀゚)「な、なんかフワフワして落ちつかねぇな…」
(;^ω^)「僕も…なんかちょっと怖いお」
ミ,;゚Д゚彡「それより、下がすげえ、ムチャクチャ高いぞ、落ちたら死ぬんじゃね?」
(;´・ω・`)「いや、高所ではあるけど……」
- 336: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:25:51.29 ID:81lxEDVB0
海面をのぞき込むと、海底は遥か下、ゴツゴツした岩が並んでいる。
水中はあまりに青く澄んでいて、底の様子がよく見える。
なんだか空から地上を見下ろしている気分だった。
そうして沖合いに辿り着き、船を見上げると。
年季を感じさせる船体は、黒みがかった茶色に白線の装飾が成され。
これまた更に見上げてしまうほどに高い高い柱が5本並んでいる。
柱はどれも 末 ← こんな形をしていて、
沢山のロープがその柱を支えるように伸びていた。
ショボが言うにはなんでも、この船は快速輸送船。
クリッパーを更に大型化した物だとなんやかんや息巻いて説明していたが、
ほぼ意味がわからないのでスルーしておく、そもそもどうでもいい。
(´;ω;`)「…ブーン、君ってたまに結構さりげなく毒舌だよね……」
( ^ω^)「そんなことないお?」
ミ,,゚Д゚彡「そうそう、腹黒いだけだもんな」ネコカブッテルシ ネコダケニ
(;^ω^)…
- 338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:28:17.24 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < ノリコメ ヤロードモ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
- 340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:30:20.95 ID:81lxEDVB0
やがて海に向かって階段がおろされ、他の乗客が次々に登って行く。
前に習い、早速乗り込んだ僕等を待っていたのは船長からの挨拶だった。
(長´д`)「皆様方、ほんじつは私ども自慢の船、
さくらんぼキッス号へようこそおいでくださいました」
ミ,,゚д゚彡「変な名前…」
(長♯´д`)「なんだと!!?」
ミ;゚Д゚彡「え、ごめんなさい」
(長´д`)「…ゴホン、えー、船と言うものは何かを象徴する存在であります
そしてこの船にかけられたのは童貞の呪い、そう、護るべきものです
こんな時だからこそ、そんな気持ちを忘れないで欲しい。
そして童貞すら守れない奴がいったい何を守れるというのか、そんな願いといっしょに
皆様方を安全確実かつ速やかにという」
(;*゚∀゚)「おい、とりあえずどこから突っ込めばいいんだ」
(長*´Д`)「え? じ、じゃあその…尿道に…お願いします///」
<ざわ…っ
- 341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:31:34.28 ID:81lxEDVB0
(;・B・)「船長!? また発作が!」
(長*´Д`)「見て!みんな! 淫らなあたしを見て! 視線で犯して!!」
(♯・C・)「おい誰か! こいつつまみ出せ!!」
(長*´Д`)「そんないきり立って…じゃなくていきなりなんて!」
(;・D・)「挨拶はこれまでです! 皆様いったん部屋へとお戻りください!!」
(長*´Д`)「つまんじゃらめえええええええらめなのおおおおおお」
(♯・E・)「船長おおおおおおおおおおおおお!!」
以下、僕等は何事も無かったかのように行動を再開した。
(*゚∀゚)「さーてどうすっかね」
- 344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:33:24.08 ID:81lxEDVB0
ちなみに出航まではもう少し時間がかかるという事で。
僕等は船内の階段をおりた先、割り当てられた部屋を確認したり。
あたりを見て回ったり、ちょっとした探検気分でもう一度甲板へとやってきた。
「よーし、錨を上げろーー!!」
するとちょうど出航の時間になったらしく。
叫ぶ声に叫ぶ声が応えると、そこら中で人が慌しく駆け回り。
巻き戻された鎖がジャラジャラと音を鳴らしている。
続いて帆が一斉に下ろされ、頭上に白が広がった。
いよいよ出航だ、ワクワクテカテカ、胸が高鳴る。
ザザ、と波を掻き分ける音が響き。
船がゆっくりと動き始めると、風が徐々に強まっていく。
なんだかドキドキしてきた。
僕はこの思いを共有しようとフサへと向きなおした。
- 347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:35:22.99 ID:81lxEDVB0
けれど、興奮する僕を他所に、フサとつーちゃんの二人は甲板の端へと移動し、
手すりに体を預けて港の方を神妙な顔つきで眺めていた。
……多分、お別れを告げているんだと思う。
あまり見る事のない、二人のなんだかいい感じな様子。
これは邪魔をしたらいけない、僕はショボを連れてその場を離れることにした。
しかし、ショボはそんな二人を見るなり「あれ? どうしたんだろう」
とか言って側に行こうとしやがった、本当にアレな奴だ。
(;^ω^)「待てお」
(;´・ω・`)「え? なに? なんで?」
( ^ω^)「いいから…どっか行くお」
(;´・ω・`)「ええ…? じゃあ二人も呼ばないと」
- 350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:37:04.33 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「いや、遠慮しろって言う話だお」
(;´・ω・`)「遠慮…? なにに…?」
( ^ω^)(あー…なーんでわかんねーかなぁ、この莫迦は)
(;´・ω・`)…!
( ^ω^)?
(´;ω;`)ブワッ
(;^ω^)!?
(´;ω;`)「ご…ごめん…」ウウッ
(li^ω^)「お? あれ、え?」ドクシンジュツ?
- 353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:38:32.10 ID:81lxEDVB0
(´;ω;`)「そんな ひっく つもりじゃ ぐす なかったんだ…」
(li^ω^)「あわわ…! ごめん、ごめんだお、僕が悪かったお」
(´;ω;`)「……お、怒って…ない?」
(;^ω^)「もちのろんだお!」
(´;ω;`)「ほんと…?」
(;^ω^)「ほんとほんとも味の素だお! だから泣いちゃ駄目お! ダメダメお!」
(´;ω;`)「う…うん」
(;^ω^)((こやつ、侮りがたし…!!))
今度は読まれないように心の奥底で囁いた。
- 356: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:40:38.39 ID:81lxEDVB0
それから、僕等がその場を離れてから少しして。
ここは船内、階段をおりた先にある、両側にドアが並ぶ細長い通路。
特に行く当てもなく、適当にぶらついていた僕等だったが、
何処からか、騒がしい声が聞こえてくる事に気付いた。
それに疑問をもって間もなく。
ギギ、何処からか軋む音が聞こえたかと思うやいなや、船が一度大きく揺れ。
続いて足元から湧き上がるような、籠もった低音が辺りを包んだ。
(((;´・ω・`)))「わ、わわわ、うわ!?」ヒィ
(((;^ω^)))「ななな!?」
僕等は咄嗟に身をかがめ、床に爪をたてて必死に堪えた。
壁のそこかしこからはギィギィと悲鳴が上がり、足元はあっちへこっちへ傾く。
やがて音は反響し、こだましながら揺れと一緒に遠ざかり、ゆっくりと消えていく。
- 358: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:42:15.06 ID:81lxEDVB0
(;゚ω゚)「……なんだお…今の」ビックリ シタ
(;´・ω・`)「いたた…わかんない」ドキドキ
(;^ω^)「って…またっ!?」
困惑する頭で何が起きたのかを考えるも、その暇も無いままにもう一度大きな振動。
それも今度はさっきよりも酷く、強い揺れが続いた。
地に足がついていない、上下左右にぐるぐると船体が傾くのを感じた。
(´;ω;`)「わー!! わー!!」
(;^ω^)「っ…ショボ、大丈夫かお!?」
(´;ω;`)「うあああんこわいよお!」
(;゚ω゚)「ほら、僕のしっぽに捕まっtギャース!!」
(;^ω^)「ちょ、強く噛みすぎだお!!」
(´;ω;`)「だって、だってええ!!」ガブガブギリギリ
( ;ω;)「痛い!! いたいいたいいたい!!」キレルキレル!
- 362: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:44:21.83 ID:81lxEDVB0
あちらこちらで悲鳴が上がり、そこら中で何かが暴れまわっているような騒音が聞こえる。
やがて、揺れも多少の収まりを見せ始め、おっかなびっくり立ち上がった。
( ;ω;)「止まっ…た…?」
(´;ω;`)「うっうっ…」
(;^ω^)「うう…しっぽきれてるんじゃないかお…」
(´・ω;`)「切れてないよ、きれさせたら大したもんだよ…」
( ^ω^)「黙れ」
(´;ω;`)「…ごめんなさい」
相変わらずギシギシと嫌な音が聞こえてくる中。
僕は全身から黒いもやを発しながらショボを睨んだ。
- 366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:46:10.62 ID:81lxEDVB0
それから少しして、周囲のどよめきもざわめきに変わり。
揺れもなんとか収まり一安心。落ち着いたところで、ずきずきと痛みが襲ってきた。
舐めて痛みを和らげたいところだが、どんなに体をひねっても届かない。
僕は歯形のついたしっぽを追い、その場でぐるぐる回っていた。
(♯;ω;)「ふー! ふー!」トドカナイ!
(;´・ω・`)(犬みたい…)
すると、奥のほうから船員さんが声を張り上げ駆けてきた。
「みなさん、こちらで誘導しますので落ち着いて甲板へ移動を!」
(;´・ω・`)「え!?」
(;^ω^)「何がどうなってんだお…」アウアウ
「そこの猫ちゃん達もおいで、ここに居たら危ないよ」
(;^ω^)「危ない? いったい何があったんだお?」
- 368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:48:11.97 ID:81lxEDVB0
「大丈夫、何でもないよ、ちょっと海が荒れてるから、このままじゃ出航できなそうなんだ
だから一度港に戻ってもらって、落ち着くのを待とうってだけだよ」
僕の問いかけに、船員は額に汗を浮かべ、引きつった笑顔でそう答える。
間違いなく、混乱が起きないようにする為の口上だった。
どうやら本当に不味い事になってるらしい。
( ^ω^)「……わかったお」
空気をよんだ僕はしっかりと頷き、笑顔でそう伝えた。
その人は少しほっとした様子で僕を見ると、向こうへ、と行く先を示した。
そんな船員の人達の努力あってか、現状ではそう酷いパニックは起こっていない。
通路には不安げな声が響き、嫌な空気が充満しているが、
それでも、どこか落ち着いた雰囲気で人々が列を作って歩いていく。
僕等もそれに習って人波に混ざって歩き出した。
こんな状況になっているというのに、不思議と僕の心は落ち着いている。
それどころか、不謹慎だろうけど、これは面白いことになったと喜ぶ自分が居た。
- 372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:50:11.29 ID:81lxEDVB0
と、そんな時だった。
(´・ω・`)「……あ、あの…」
ショボは、誘導を行っていた船員の前で立ち止まり。
おどおどと声をかけた、おいおい今度はなんだよもう勘弁してくれよ。
(;´・ω・`)「もしかして…この船、沈むんですか?」
(;・□・)「え゛――――――!? そそ、そそそそそんな事は!!」
(;^ω^)「わかりやすい反応すんなお」
(;´・ω・`)「だから、今避難してるんですよね……?」
(;・□・)「――――ちがうよ、ぜんぜんちがうよ」
(´;ω;`)「やっぱり!! きっと浸水してるんだ!! この船はもうすぐ沈むんだ!!
今頃この下からはどんどん海水が迫ってきていて後ろの人は飲み込まれちゃうんだああ!!」
(;^ω^)「…もしかしてわざとやってるのかお?」
- 374: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:52:47.47 ID:81lxEDVB0
(´;ω;`)「さっきの揺れはきっと船底に穴があいた衝撃によるものだったんだ!
そして今のこの安定は海水が浸入している事による一時的なもの…っ!!」
(;・□・)「なな!? 何故そこまで知っているの!?」
(;^ω^)「あんたどんだけ動揺しやすいんだお」
<ざわざわ!!
<おい聞いたか今の
<ああ、まさか…
(;・□・)「く…こうなっては仕方ない…そうだよ、その通り…この船はもうじき沈む…
でもただでは済まさない!! こうなればみんな道連れだ!!」
( ^ω^)「なんでだお」
- 379: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:55:07.73 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「え、えええええええ!?!?」
<な、なんだと!? 貴様、ただの船員かと思えば…!!
(;^ω^)(ノリがいいなぁ)ドンダケー
( ・□・)「ふふ…助かる方法は一つ、このきのこを食べる事さ!」
(;´・ω・`)「そ、それはっ……(検閲削除対象の為、表示できません)」
(*・□・)「さあ、みんなで一緒にコイツをキメて、ヘブンズスイミングしよう!!」
(;´・ω・`)「そんな…!」
<ふざけるな!! 貴様等の思い通りにはさせんぞ!!
(li'ω`)「……この船…乗ってる奴にろくなのがいやがらねえ…」
- 380: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 22:57:10.90 ID:81lxEDVB0
( ・□・)「ふぅん! もう遅い!! 足元を見るんだね!!」
( ^ω^)「?」
( ゚ω゚)「ってほんとに海水迫ってきてるーーーー!!」
言われて見れば、いつの間にやら目下足元を水がさらさら流れている。
段々毛に染み込んできてめっさ冷たい。
しかもよく見れば、その水は黒く、墨のような色をしている事に気付いた。
(;´・ω・`)「つめたい!!」
(;^ω^)「…? なんだおこの水、変な色し」
(♯・□・)「これがぼくの闇の力だ!! ヒャダルコを喰らえ!!」
(♯゚ω゚)三つ「うるせえ黙ってろお!!」ネコパンチ!ネコパンチ!
三つ*・□・)「ああん、ぷにぷに!」ヌレテル ケド
<なんという
<…いいなぁ
<羨ましい
- 383: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:00:03.68 ID:81lxEDVB0
(♯゚ω゚)ノシ「ええい! いいから早く避難汁!!」シッシッ
( ・□・)「はい」
<はい
(´・ω・`)「はい」
<はい、ですが肉球の慈悲を
こうして、突然の避難と浸水によって。乗員は一時大パニックを起こしながらも、
どうにか混乱はおさまり、避難は再開され。
徐々に水位が上がっていく中、階段前にて僕は最後の一人を見届けた。
( ^ω^)「あとは僕等だけかお」
( ・□・)「うん、そうだね」
(;^ω^)「ふぅ…やれやれだお」
その頃になると、既に両足のつけねまでが黒い海水に沈んでいた。
僕にとってすれば顔を上げていないと溺れてしまう水位だ。
- 385: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:01:16.08 ID:81lxEDVB0
( ・□・)「いや、本当にありがとう、君のおかげで混乱も収まって、凄く助かったよ」
(*^ω^)「いやいや、おっおっお」
( ^ω^)「……」
(li^ω^)(あ…れ? ていうかなんで僕までここに残ってるんだお……?)
( ・□・)「名前を聞いてもいいかな?」
(;^ω^)「僕はブーン、文猫のブーンだお」
( ・□・)「へえ、あんたもNANAって言うんだ」
( ^ω^)「へえあんたもブーン? 同じ名前かお」ムシ ムシ
( ・□・)「でも、そっかあ…さすがは協会の書本猫だね…しっかりしてて」
(;^ω^)「お……きょうかい? しょぼん?」
( ・□・)「え? どうしたの?」
- 387: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:03:48.31 ID:81lxEDVB0
そうだ、ようやく思い出した。
ひっかかっていたのは、町でも言われたこの言葉だ。
考えてみたら、ショボにもそれっぽい事を何度か言われた覚えがある。
なんだかよく分からないからスルーしていたが、どういう事なんだろう。
(;^ω^)「その、しょぼんとか、きょうかいって」
(;゚ω゚)「なんなんだぐごぼぼぼぼぼぼっ!!」
(;・□・)「あ、沈んだ」
そこで、先まで穏やかな川のようだった水の流れに変化が起きはじめた。
水が白波をつくり、奥から奥から押し寄せてくる。
それも一つ波が迫るたび、水位が急激な勢いでぐんぐん上がっていく。
(li・□・)「こ…これって、まさか…っ」
(;゚ω゚)「ぶはっ! おおお、溺れ―――」
- 389: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:05:27.68 ID:81lxEDVB0
どうにか水面に顔を出そうとするも、波が邪魔してうまくいかない。
ちょっぴりみずからの最後を覚悟した。
(;・□・)「た、大変だ…っ、ブーン!! 行くよ!!」
(;゚ω゚)「ぶはっ、ちょ、まっ!」
(;・□・)「早く! …不味いんだよ! 急がないと!!」
(;゚ω゚)「おお、確かにまずいお!! ガチで死ぬお! 氏ぬじゃなくて死ぶぼぼぼぼ!!」
(;・□・)「あれ? どこ行った?」
ぼくと同じ名をした彼が、僕を探す。
どうやらこの黒い海水のせいで位置が分かり辛いらしい。
ならば、と僕はしっぽをピーンと伸ばした。
(;・□・)「あ、居た」
- 393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:07:09.34 ID:81lxEDVB0
(;・□・)「さあ行くよ! 鉄砲水が来る前に!!」
がしっ、としっぽが掴まれる。
(;;゚ω゚)(!!!!!!!!)
( ・□・)「ん?」
(lli゚ω゚)(くぁswでfrgtyふじこlp;@:!!!!!!!!!!!11)
そこは、先程ショボに激しく噛まれた部位。
痺れるような激痛が全身を走りぬけ、ビクンと体が跳ねる。
しかし、ここまだ水中、僕は声にならない悲鳴を閉口したまま叫び、じたばたと暴れた。
ちょ!!!!! ラスカル!!!!
みたいな声が聞こえた気がした。
いや、誰がラスカルやねん。
- 396: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:09:12.89 ID:81lxEDVB0
けどそれ以上に響く音があった。
それはまるで地鳴りのようで。
水中なのに、振動が体のあらゆる場所から伝わってくる。
嫌な予感、なんてもんじゃない悪寒が走る。
そして、物凄い圧力が全身に襲いかかった。
耳は何か凄い音がしたと思った瞬間になにも聞こえなくなった。
手足が踊るようにふりまわされ、抗う事は許されないままに流されていく。
黒い水は文字通り、僕を深い暗闇に沈め。
全身にぶつかる幾つもの衝撃の中で、僕の意識すらも飲み込んでいった。
第一章 終了
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