( ^ω^)悪意のようです
- 79: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:12:21.10 ID:ZgCYV95x0
- 三章
(´<_` )「遠いところ、わざわざご苦労様です」
( ∵)「いえ……そちらも、その、大変でしたね」
( ´_ゝ`)「……」
(-_-)(ビコさん、ちゃんとしてください)
( ∵)(うっせ、俺こういうの苦手なんだよ)
居間でテーブルを挟み、彼らは向かい合うように二人ずつ座っていた。
ドア側に兄者と弟者、その反対側に刑事二人。
(´<_` )「どうぞ」
(-_-)「あ、ご丁寧にありがとう御座います」
差し出された茶を見つめながら、
ビコーズは何度も「ふう」だの「はあ」だのと溜息を漏らしていた。
- 83: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:13:41.50 ID:ZgCYV95x0
- (-_-)「ちょっと、ビコさんウルサイです」
( ∵)「ん? あ、スマン……」
溜息もそうだが、ビコーズは先ほどから何分か置きに、
忙(せわ)しなく右手をピクピクとさせていた。
胸ポケットの煙草に手が伸びそうになったところを我慢しているのだ。
この部屋には灰皿が無く、住人が非喫煙者であることが明確だったためである。
( ∵)「すいません、昨日飼ってる鳥が逃げ出しまして。つい、心配から」
(´<_` )「そうなんですか……」
ここに来たこと自体にイラついていると思われないよう、適当な話題で誤魔化した。
- 85: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:14:54.37 ID:ZgCYV95x0
- (-_-)「それで本題に入りますが、消えて居なくなったと言うのはどういうことですか?」
(´<_` )「はい、通夜が終わった後に、一度自宅へ棺と共にツンを帰宅させたんです」
(-_-)「ええ」
(´<_` )「そしてそのまま交代で蝋燭の番をしていたんです」
(-_-)「と言うことは、どちらかが目撃をされたのですか?」
(´<_` )「それが……その……恥ずかしながら、私が途中で寝てしまいまして……」
( ∵)「まさか、その時に?」
(´<_` )「ええ。兄に起こされて、気付けばもぬけの殻でした」
(-_-)「お兄さんは何故お気づきになったのですか?」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「どうも何か物音がしたとかで目が覚めたそうです」
(-_-)「なるほど……戸締りは?」
(´<_` )「玄関の鍵は勿論掛けていました。窓も開けていませんでした」
(-_-)「そうですか……。お兄さんは何か思い当たること、ありませんか?」
( ´_ゝ`)「……」
(-_-)「あの……」
開かれているのかいないのか、
兄者はその細い目でヒッキーの顔を見つめると溜息を吐いた。
- 87: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:16:24.48 ID:ZgCYV95x0
- ( ´_ゝ`)「申し訳ありませんが、今日はこれでお引取りください」
(-_-)「え? ですが、まだ来たばかりでお話も……」
( ´_ゝ`)「これ以上居られると、そちらの方の煙草の臭いでツンの存在が消えてしまいそうだ」
そう言ってチラリと見たのはビコーズだった。
それに気付いたのか、ビコーズは気まずそうに目を伏せた。
(´<_` )「兄者。警察の方だって色々協力してくれようと……」
( ∵)「いや、いいです。こちらこそスイマセンでした。ほら、帰るぞ、ヒッキー」
(-_-)「……はい」
ビコーズは困った表情の弟者に一礼すると、そのまま上着を掴んで部屋を出て行った。
(-_-)「失礼しました」
(´<_` )「……いえ、こちらこそお力になれず、すみませんでした」
(-_-)「後は私たちに任せてください」
そしてヒッキーもそれに続くように部屋を辞した。
- 89: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:18:06.71 ID:ZgCYV95x0
- (-_-)「ふう……」
( ∵)「お疲れさん」
(-_-)「僕、少し無神経でしたかね?」
( ∵)「いや、良くやったさ」
(-_-)「……らしくないですね。ビコさんが褒めるなんて」
( ∵)「ヒッキー、多分あの兄さんの方なんかあるな。
もしかしたら、弟も一枚噛んでるか……」
(-_-)「え? なんかって……」
( ∵)「なんだお前、気付いて無かったのか」
(-_-)「え?」
( ∵)「やっぱお前はまだまだだな」
(-_-)「ちょっとビコさん教えてくださいよ」
( ∵)「ダメダメ。ゆきっつぁんも言ってただろ?
生まれたときは皆平等。だから偉くなりたかったら勉強しろって」
(-_-)「でも、ビコさんは勉強……あ、そもそも偉くなかったですね」
( ∵)「……お前、最近生意気になったよな」
コツコツと靴音を立てて遠ざかっていく二人。
その気配を探っていた弟者は、足音が聞こえなくなると玄関から離れ居間へと戻った。
- 94: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:19:29.40 ID:ZgCYV95x0
- (´<_` )「兄者、それじゃあ俺は仕事に行ってくるが……大丈夫か?」
( ´_ゝ`)「何がだ」
(´<_` )「いや、少し疲れているようだからな。
俺も早めに帰ってくるよう心がけるが、無理しないで休んでいるといい。
飯は冷蔵庫に一通り入れてあるからそれを食ってくれ」
( ´_ゝ`)「……ああ、スマン」
(´<_` )「なに、お互い様だ」
頬を緩ませると弟者は鞄を手に持ち、ゆっくりと部屋から出て行った。
そうして遠くにバタンという扉の閉まる音と、ガチャンという鍵の閉まる音を聞くと、
兄者は徐(おもむろ)に立ち上がった。
ふらふらと覚束(おぼつか)無い足取りで自らの部屋へと向かうと、
携帯を取り出して何処かへと電話を掛ける。
- 98: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:20:48.77 ID:ZgCYV95x0
- ( ´_ゝ`)「もしもし。ああ、俺だ。前に話していたことだが……ああ、そう、それだ。
……そうか、それは良かった。ん? いや、俺じゃないんだ。少し訳ありでな」
それだけ言うと終話し、兄者は回転椅子にどっかと腰掛け、ぼうっと天井を眺め始めた。
そして再び携帯の画面に視線を戻し、一枚の画像を呼び出した。
それは恥ずかしそうに頬を染めているツンの写真であった。
( ´_ゝ`)「嫌だと言いながらしっかり写真に納まるのは、なんともあいつらしいよな」
目を細めて微笑すると、兄者は画面が暗くなるまでそれを眺め続けた。
やがて画面が真っ暗になったころ、部屋にチャイムの音が響いた。
それを聞くと、兄者は俄に口をしっかりと閉じ、眦(まなじり)を決した。
( ´_ゝ`)「さて……行くか」
続
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