( ´ω`)と('A`) が死にたいようです
- 23: 1 :2006/10/15(日) 01:30:11.23 ID:dyrwzmm10
- ( )『とりあえず会おうぜ。明日の昼、VIP公園で』
ドクオにそう言われ、ブーンは昼のちょっと前に公園についた
待つこと数分
(;^ω^)(ドクオ遅いお)
('A`)「・・・ブーン、か?」
( ^ω^)「!ドクオかお!?」
ブーンがワクワクして振り向いたそこには、
予想通りのキモヲタがいた
( ^ω^)「テラキモスwwww」
(♯'A`)「てめー人のこと言えるのかよwwwwww」
- 24: 1 :2006/10/15(日) 01:31:06.85 ID:dyrwzmm10
- ドクオはネットの中のドクオと何ら変わりも無く、ブーンはほっとした
実はイケメンだったらどうしようなどと思っていたのだが、どうやらいらぬ心配だったようだ
二人はとりあえず落ち着いて話せる場所と、ドクオの家に行くことになった
普通のマンションの十階 1002号室
エレベーターも付いている割と最近出来たらしいこのマンションは、白を基調とした落ち着いた建物だった
見かけ上、特に大富豪ってわけでもなさそうだったが、働かないでこれだけの暮らしが出来ているのなら、やっぱり裕福なのだろう
ドクオは無言で家に入った。ブーンは一応「お邪魔しますお」と声をかけたが、誰もいないようだった
- 25: 1 :2006/10/15(日) 01:32:05.37 ID:dyrwzmm10
- ドクオの部屋で二人、コーラを飲みながら今後のことを話した
('A`)「まず、聞いておきたいことがある」
(;^ω^)「・・・なんだお」
('A`)「お前、本当に死ぬ気あるか?」
( ´ω`)「あるお・・・決意は固いお」
( ´ω`)(これ以上生きていても、僕は何も出来ないお。かーちゃんに迷惑かけるだけだお)
( ´ω`)(死ぬのは怖いけどドクオも一緒だし・・・)
- 28: 1 :2006/10/15(日) 01:33:30.71 ID:dyrwzmm10
- ('A`)「で、いつ死にたい?」
( ´ω`)「いつでもいいお」
('A`)「今日でもか?」
( ^ω^)「明日プリキュア入るから明日以降にしてくれお」
('A`)「お前死ね」
- 29: 1 :2006/10/15(日) 01:34:23.18 ID:dyrwzmm10
- ( ´ω`)「冗談はさておき」
ドクオは持ってきたポテチをむしゃむしゃ食べながら、ブーンを疑いの目で見た
( ´ω`)「僕はいつでもおkだお。でも、痛いのはイヤだお」
(;'A`)「お前わがままだなー」
ドクオはため息をついた
('A`)「じゃあ、俺と一緒にこのマンションから飛び降りよう」
(;´ω`)「ええ!ブーンは高いところ苦手だお・・・」
('A`)「俺が目隠ししてやるから大丈夫だろ」
( ´ω`)「それならなんとかなりそうだお」
- 31: 1 :2006/10/15(日) 01:35:48.67 ID:dyrwzmm10
- いつ死ぬ?の問いには、あれこれ言い合って結局明後日になった
身辺整理とか色々あるから、妥当な所だろう
明後日の朝、ドクオのマンションの屋上で待ち合わせ
そしてすぐに・・・・・・
話が終わるとブーンはすぐさま家に帰ることにした
( ^ω^)「それじゃドクオ、またメッセで会うおー」
('A`)「おう、またなー」
なんだか普通の友達の会話みたいで、ブーンは少し複雑な気持ちになった
- 33: 1 :2006/10/15(日) 01:36:33.91 ID:dyrwzmm10
- ブーンは家に帰るとさっそく部屋を片づけ始めた
(;´ω`)(汚いお・・・最後くらいキレイにするお)
エロ本をおしみながらしばり、服をまとめて段ボールに入れ、フィギュアもいビニール袋に押し込み、いつでも捨てられるように準備万端にした
( ´ω`)(かーちゃんが部屋の掃除しなくてすむようにするお)
ブーンは自分の物を片っ端からゴミとしてまとめた
もう何も惜しむ物は無い どうせ明後日には自分はいなくなるんだ
- 36: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:37:31.89 ID:dyrwzmm10
- 本棚の本を整理していると、小学校時代のアルバムが出てきた
このころは楽しかった 家族も和気あいあいとしていて、友達もいて、毎日ゲームしたり外で遊んだり、
( ´ω`)「・・・」
(;`ω′)(もう後には引けないお・・・・ドクオもいるんだお)
ブーンはくじけそうになった心を、なんとか立て直した
- 38: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:38:14.32 ID:dyrwzmm10
- ( ´ω`)(ここも掃除するお)
ブーンが机の引き出しを引っ張り出し、中身を全てゴミ袋へ空けた
が、そこに、何か光る物を発見した
( ´ω`)(なんだお・・・?)
それは、針金で作った、ゆがんだ花のカタチをしたヘアピンだった
- 39: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:39:10.44 ID:dyrwzmm10
- (;゚ω゚)(これは・・・・・・!)
小学校の時、図工の時間に母の日のプレゼントを作った
みんな粘土で花瓶を作ったり、写真立てを作ったり、アクセサリーを作ったりして綺麗にラッピングもした メッセージカードも添えた
ブーンも母親にヘアピンを作ることにした
いつも長い髪を黒い髪ゴムでまとめていた母親に、カワイイ物を送りたかったのだ
だが、
(;^ω^)「失敗したお」
どうみても花とも言えないその物体に、ブーンは落胆した
- 40: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:40:20.76 ID:dyrwzmm10
- (;´ω`)(こんなの、かーちゃん喜ばないお)
ブーンはそのままラッピングもせず家に持ち帰り、引き出しに封印してしまった
( ^ω^)「かーちゃん、母の日おめでとうだお。これ、プレゼントだお」
仕事から帰った母親に、ブーンはメッセージカードだけ渡した
J( 'ー`)し「あらブーン、ありがとう。かーちゃん嬉しいよ」
(;^ω^)「ごめんだお、それしかなくて・・・」
J( 'ー`)し「そんなことないわよ。かーちゃんこれ、一生大事に持っているからね」
- 41: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:42:11.68 ID:dyrwzmm10
- ( ´ω`)(もう母の日なんて、何年も渡していないお)
ブーンがうつむくと、ふと涙がこぼれた
( ;ω;)(かーちゃん・・・ごめんなさいだお。ブーンはかーちゃんととーちゃんに迷惑ばかりかける悪い子だお・・・でも・・・でも・・・)
ブーンはヘアピンを握りしめ、嗚咽を漏らしながら涙をすすりあげた
( ;ω;)「やっぱり死にたくないお・・・・・・!」
- 43: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:43:29.19 ID:dyrwzmm10
- 翌々日
約束の朝、ブーンはドクオのマンションに来ていた
エレベーターと階段を使って屋上まで静かに歩く
本来ならば屋上は立ち入り禁止だが、今日にかぎってはなぜか鍵が壊されていた
ドクオがやったんだろう そんなこと容易に考えついた
ブーンが屋上のドアをあけると、すでにドクオが待っていた
- 44: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:44:31.42 ID:dyrwzmm10
- ( ´ω`)「待たせたお」
('A`)「いや、俺も今来た所」
ブーンはドクオの隣に行った
屋上にある金網の一部が大きく破けてある
おそらくこれもドクオが破いたのだろう
普段引きこもりのドクオやブーンが、この高さの金網を越えられるわけがない
ドクオの横には、工具が一式そろって置いてあった
('A`)「お前、昨日もおとといもネット来なかっただろ?逃げ出したんじゃないかって心配していたんだぜ」
( ´ω`)「ドクオ」
('A`)「何だよ」
( ´ω`)「・・・・もうやめるお」
- 46: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:45:10.69 ID:dyrwzmm10
- ('A`)「やめるって何だよ」
ドクオはハッと吐き捨てるように言った
('A`)「ここまで来て怖じ気づいたか?所詮、お前はその程度の覚悟しかなかったのかよ」
( ´ω`)「違うお」
(♯'A`)「じゃあなんだよ!」
静かな早朝に、ドクオの怒声が響き渡った
- 50: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:46:27.34 ID:dyrwzmm10
- ( ´ω`)「僕やドクオが死んだら、とーちゃんとかーちゃんのためにもなるお。でも、世の中はそんなに変わらないお。無駄死にになったらいやだお」
('A`)「・・・・・・」
('A`)「勝手に言ってろ、俺は一人でも逝く」
ドクオは金網をくぐり抜け、落ちるか落ちないかぎりぎりのところで立ち止まった
(;゚ω゚)「ドクオ、やめるお!」
(♯'A`)「こんな世の中、くだらなすぎて吐き気がするんだよ!みんなみんなみんなみんな!
クラスメイトはおろか、実の親でさえ腹割って話すどころか、ろくに会話もないんだ。
結局はみんな自分勝手なんだよ!自己中なんだよ!」
- 53: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:47:37.23 ID:dyrwzmm10
- ドクオはブーンの方へ振り返った
(♯'A`)「俺が死んで誰が悲しむ?誰が迷惑する?
中学の時はいじめられて、上靴は無くなるし机の中にノリがぬってあるし、鞄には泥水が入れられるし・・・
今のクラスには俺なんていないようなものだし、親だって葬式代さえだせば後は俺の面倒を見なくていいんだ!
俺なんか死んだ方がいいんだよ!」
息を荒げて叫ぶドクオに、ブーンはゆっくりと近づいた
( ´ω`)「ドクオ」
(♯'A`)「うるせえな!腰抜けは黙ってろ!」
( ´ω`)「ドクオが死んだら僕が悲しいお」
('A`)「!」
- 58: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:49:25.02 ID:dyrwzmm10
- ( ;ω;)「ドクオに会えて、ネットだけど話し聞いてもらえて嬉しかったお。
今までこうやって話せる人がいなかったから・・・自分と同じ境遇で同じ目線で、
同じ年で話せるってことが、こんなに楽しいことだったなんて知らなかったお」
ブーンは声をしゃくりあげ、下唇を噛んでこらえた
( ;ω;)「ブーンはドクオの友達じゃないのかお?」
('A`)「・・・」
( ;ω;)「ブーンは、まだこれからドクオと一緒に遊びたいお。
ネットだけじゃなくて、一緒にゲーセン行ったりアキバ行ったりプリキュア見たりしたいお。
普通の友達になりたいお」
( ;ω;)「どうせいつか死ぬんだお。そんなのいつでもいいんじゃないかだお?」
- 61: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:50:38.52 ID:dyrwzmm10
- ドクオの肩の力が抜けた
トモダチって何だ?
トモダチなんて形だけの偽善関係じゃないのか?
今までずっとそうだった 周りの奴らもみんなそうだと思っていた
でも、でも
( ^ω^)「ドクオ、帰るお」
ブーンはドクオに手を差し伸べた
涙でぐちゃぐちゃになりながらも、忘れずににっこりと笑った
ドクオも涙ぐみ、ブーンの手を掴もうとした
その時、
ドクオが足を滑らせ、ブーンの視界から消えた
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