( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

413: 事実は小説よりも奇なり、のようです :2008/02/02(土) 00:49:27.88 ID:i//Ye5Nj0
事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったものだ。

   『……ね。ドクオ君。ドクオ君なんでしょ?
    分かるよ。キミのことなら。息遣いだけでも、分かる』

('A`)「……」

電話の向こうの彼女の声は相変わらずで。
だから俺は、何の理由もなく泣きたくなった。

   『ね。元気……してるのかな。私は、相変わらずだよ。
    あの頃と、何も変わってない』

どれくらい黙って電話を握りしめていただろう。
半分以上灰になったタバコが、灰皿代わりのビールの空き缶の上で危ういバランスを保っている。
行き場に困った視線が、目の前のディスプレイに浮かぶ文字列を捉えた。

「先月彼女に振られた25歳無職童貞が安価でイタ電(128)」

我ながら、下らないスレタイだ。

(*゚ー゚)『ふふっ……ドクオ君。
     あんまり夜更かししてヘンな掲示板ばっかり見てたら、眼、悪くなっちゃうよ。
     ――じゃ、ね。身体、気をつけてね』

電話が切れる、ぶつり、という音は、いつもよりも名残惜しげに聞こえた。

惜しくなんかない。別れを惜しむいとまも、ない。
俺は俺で、彼女は彼女で。お互いまだ人生は長いし、やることだってたくさんある。
それに、なにより――安価電話の相手は、まだ10件も残っているのだから。



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