( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

568: 季節はずれ :2008/02/02(土) 14:14:24.43 ID:2HotPAYC0
雪が降っていた。
枯れ木を暖めるように、地面を眠らせるように、しんしんと静かに降っていた。

('A`)「しかしなあ、些か季節外れだと思うんだが」

深く積もる雪を踏みしめて軒先から干し柿を吊していた縄を外しながら、そうぼやく。
分厚い軍手に包まれている手も、三重に靴下を履いている足も、寒気に切られそうなほどに冷たい。
窓から屋内を見やる。壁に掛けているカレンダーには10月と書かれていた。
雪国では良くあることかも知れないが、雪が降ることさえ稀なこの地方では本当に珍しいことだ。
ニュースでも何十年振りかの珍事だと騒がれている。

川 ゚ -゚) 「綺麗だから何だって構わないだろう!」

背後から聞こえた叫び声に驚いて干し柿を落としてしまった。
溜息を吐きながら屈んで拾い、そして立ち上がって背後を振り向く。
そこにはこんもりと盛った雪の上に仁王立ちになってこちらを見ている姉の姿があった。
雪には勇壮な鹿が精巧に掘られている。

('A`)「遊んでないで手伝ってくれよ、クー」

川 ゚ -゚)「はん、毎年食べられる干し柿と何十年かに一度の豪雪で遊ぶことと。
     どっちが大事だと思うんだ?」

('A`)「お前には柿はやらない。雪で作った柿でも食ってろ」

川 ゚ -゚)「そんな冷たいことを言わないでくれよ。そう、雪だけに!」

雪が降っていた。
地表を冷やしながら、風を凍らせながら、静かに雪が降っていた。



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