( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

586: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 17:24:31.54 ID:shPMD9Zv0
ξ゚听)ξ「どうぞ。お願いします」

小学校の通学路で配られているのはキリスト信者がつくった薄い絵本。古いイギリスの絵本作家が書くような画風。
赤いランドセルをもった四つ下の新入生達は不思議そうにその薄い絵本を見ていた。
わたしは目を細めてその薄い絵本――パンフレットと例えても良いかもしれないものを見る。
それが結構グロテスクな所まで描いてあり、こんなものを小学生に見せるなよと思った。

ξ゚听)ξ「どうぞ」

そういって肩までの髪を染め、ゆるいパーマをかけた40代くらいの女は、ひとりの新入生にそれを渡した。
結構血とか出ているから、渡すのは止めてくれないだろうか。
どうせ明日には先生達から苦情がきてこれなくなるから、さっさと配ってしまおうって魂胆だな。

(*゚ー゚)「ねぇ」

わたしの家と四件となりの女の子が、信者に声をかけた。
わたしは止めようと思ったが、やはり大人相手には少しそんな事はいいにくい。すこし躊躇していた。

(*゚ー゚)「なにを信じるの? これ」
ξ゚听)ξ「主よ」

にっこりと笑うパーマをかけた女。もっと薄い口紅を選んでこいよと少し思った。真っ赤な唇。まるで血みたい。
その笑いとは対照的に、黄色い帽子に瞳を隠して少し、わずか口元をあげた新入生。
――正直な話、それは小学一年生が見せられる不気味さではなかった。

(*゚ー゚)「しんじて、ひとを生き返らせるなら、しんじてあげる」

そしてその子は一回手にとったパンフレットのような薄い絵本を女に突き返す。
わたしも女も、その場に固まった。足が土に吸い付けられたみたいに、わたしは動けなかった。
あの子の赤いランドセルにつく、鈴がチリンチリンと鳴っていたのが耳に入った。赤いランドセルがやけに赤く見えた。



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