( ^ω^)ブーン系で読みとくおとぎ話のようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:01:05.51 ID:OxQ1FTtzO
- むかーしむかし、ある所に若い夫婦が住んでいたそうな。
それはそれは、大変仲睦まじく、その仲の良さは大陸全土を震撼させるほど。
('A`)「じゃ、行ってくるぜ」
川 ゚ -゚)「もう帰って来んなよ」
冴えない顔の青年、ドクオが斧を肩に担いで、家を出ていきました。
春の暖かな風の中、涙を浮かべながら道を歩きます。
('A`)「あれで夜は凄いんだぜ」
ドクオの職業は、今、巷で大人気の木こりです。
――木こり。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:02:01.66 ID:OxQ1FTtzO
- 持てる力の全てを出し、斧を振るい、木々を薙ぎ倒す。
『ククク……俺を前にして無事立っていられると思うな……』
永遠の緑に立ち向かうその姿は、正しく勇猛果敢。
幼少の頃に封印された記憶を呼び覚まし、
まだかまだかと燻っていた小さな火を、業火に帰す。
人々はそんな木こり達を畏怖の念を込めてこう呼ぶ。
『ウッドバスター』
と。
――木こり。
――あぁ、木こり。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:03:03.30 ID:OxQ1FTtzO
- ('A`)「さーて、と」
作業場に着いたドクオは、早速近くの泉の畔で休みます。
歩くのはしんどいのです。人生のように。
斧を草の上に置いてドクオは寝転びました。
空には綿菓子のような白い雲が浮かんでいます。
('A`)「ふふっ、ちょっとセンチメンタル」
ドクオが風に流されて飛んでいる蝶々に質問しました。
( ゚д゚ )パタパタ
('A`)「ちょうちょさん、どうしてあなたはちょうちょなの?」
( ゚д゚ )「知らんがな」
('A`)「ですよねー」
蝶々は花を探しに、何処かに舞って行きました。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:03:56.72 ID:OxQ1FTtzO
- ('A`)「ねみい……」
川 ゚ -゚)「おーい」
ドクオが眠りに落ちようとした時、妻のクーの声が聞こえました。
(;゚A゚)「!?」
余りの不意討ち。
実力主義。年功序列。老後。終の在り方。
僕らは何故生まれて来たの。
様々な恐怖がドクオの精神と身体を蝕みます。
そう、ドクオはクーの尻に敷かれているのでした。
――サボっているのがバレたら、千分の一秒で三行半。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:05:07.78 ID:OxQ1FTtzO
- ドクオは咄嗟に身を起こして泉の水をすくい、
顔にバシャバシャとかけました。
そして斧を持ち、木々へと急いで駆け寄ります。
この間、約八秒と少し。中々の好タイムでした。
勢い良く斧を振り上げます。
カツーン、カツーン、KAT-TUN。
川 ゚ -゚)「凄い汗だな」
(;'∀`)「はははっ、自分自身って最強の好敵手だよな!」
川 ゚ -゚)「? あ、ドクオ、弁当作って来てやったぞ」
(;'A`)「――!」
その言葉を聞いたドクオの動きが止まりました。
天から聖なる光がドクオに降り注ぎます。
大いなる九階級の天使達が弁当箱を祝福しました。
('A`)(おお、神よ。私は貴方に感謝致します)
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:06:18.55 ID:OxQ1FTtzO
- ひとしきり神へと感謝を捧げたあと、ドクオは弁当箱を受け取りました。
ずっしりと重いこの中にクーの気持ちが篭っていると思うと、
変だな、涙が出ちゃう。
ドクオは今までクーから施しを受けた事など無かったのです。
(;A;)「ありがとう、本当にありがとう!」
川 ゚ -゚)「よせよ、照れるじゃないか」
(;A;)「クー! 愛してるぜ!」
勢い余って、ついドクオはクーを抱きしめちゃいました。
耳元に当たる生温い吐息。びしょびしょの服。
クーは心の底から思います。
川 ゚ -゚)(きめぇな……)
川 ゚ -゚)「あ」
クーはドクオの頭に蜂が止まっているのを見つけました。
それも刺されたら死ぬぜ系の大きな蜂です。
( ^ω^)ブーン
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:07:30.85 ID:OxQ1FTtzO
- 川 ゚ -゚)「やっべ」
(;A;)「!?」
自分の気持ちに素直なクーは、ドクオを両手で突飛ばしました。
きりもみ状態で飛んで行くドクオ。
地面に落ちた弁当箱から、ご飯が零れました。
(;'A`)「オー! ノー!?」
ちゃぽん。
吹っ飛ばされたドクオは泉にホールインワン。
それは命のホールインワンともいえます。
何故なら、この泉は底が無い事で知られているからです。
(;^ω^)「事件だお! 事件が発生したお!」
川 ゚ -゚)「助けて! 主人が……主人が! 足を滑らせてっ!!」
( ^ω^)「流石の僕でもそれは退くお」
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:09:31.16 ID:OxQ1FTtzO
- クーは恐る恐る泉に近寄ります。
すると、泉の中から綺麗な女神様が現れたではありませんか。
突然の事にクーも驚きを隠せません。
川 ゚ -゚)っd「写メ撮っとこ」
('、`*川「貴女が落としたのはこの金のドクオですか?」
問いかける女神様の手には金色に輝くドクオが掴まれています。
(*'∀`)ピッカーン!
川 ゚ -゚)「いや、違うな。もっとくすんでた」
('、`*川「そうですか。ではこちらの銀のドクオですね?」
そう言うと女神様は泉に手を入れ、可愛い銀髪の少女を出現させました。
从*゚∀从キラリン!
川 ゚ -゚)「ド……ク………オ………? 誰?」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:11:17.20 ID:OxQ1FTtzO
- ('、`*川「貴女は大変正直者です。
金のドクオと銀のドクオと普通のドクオを授けましょう」
(*'∀`)('A`)
川 ゚ -゚)「増えよったで! 増殖ばしよった!」
('、`*川「では、私はこれで」
川 ゚ -゚)「あれ? 銀は? 銀どこ行ったの?」
('、`*川「それはご覧の番組の最後に」
そう言い残し、女神は泉の中へと消えて行きます。
金と普通のドクオとクーと蜂が、呆然とその様子を眺めていました。
( ;ω;)「良い話だおー」
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:12:39.66 ID:OxQ1FTtzO
- ――――
夕焼けの下、オレンジジュースがこぼれたような道を、
二人のドクオ達とクーが歩いています。
三人の周りには蝶々と蜂が風の中を泳いでいます。
('A`)「弁当、すまなかったな」
(*'∀`)「俺、かっこよくね?」
川 ゚ -゚)「別に良いさ」
('A`)「でも……」
川 ゚ -゚)「これからは毎日作るから」
(;'A`)「!? 変な病気にでもかかったのか?」
失礼な、とクーは素っ気なく言って自分のお腹を優しく撫でました。
一瞬、笑顔だったのは夕闇が見せた錯覚なのでしょうか。
銀髪の少女が産声をあげるのは、もう少しあとの話。
――――
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/03(日) 02:15:21.73 ID:OxQ1FTtzO
- 第一話「木こりとオーノーと泉」
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