( ・∀・)見つめているようです

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 01:58:16.56 ID:6qgF1rcw0
ケース・2


('A`)「ショボン、まだか?」

(´・ω・`)「もうちょい・・・もうちょっと行くと、良いポイントがあるんだよ」

('A`)「行ったことあるのか?」

(´・ω・`)「ないけど、クラスの友達から聞いたんだ。
     山に入って五分くらい走ったところに、川があるんだ。そこだよ」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:01:06.95 ID:6qgF1rcw0
('A`)「へえ、何が釣れるかな」

(´・ω・`)「うーん・・・鮎とか?」

('A`)「マジで?いいねえ」

高校生くらいに見える男が二人、軽トラックの車内で会話をしている。
運転しているのは、ショボンと呼ばれた青年だ。
運転免許は持っているのだろうか。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:03:03.44 ID:6qgF1rcw0
トラックの荷台には、釣竿が二本、その他のつり道具が入っていると思われるボックスが置いてある。
舗装されていない荒れた道を、山へ向かって走っている。

('A`)「・・・そういえば」

(´・ω・`)「ん?」

('A`)「ありがとな」

(´・ω・`)「は?」

('A`)「俺さ・・・・・あれだ。いじめられたんだよ。ってか、今も」

(´・ω・`)「・・・そうなんだ」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:05:04.25 ID:6qgF1rcw0
('A`)「俺、お前が転校してくるまでは、想像もできなかったよ。こうやって友達と釣りにいくなんて」

車の振動が激しくなってきた。
山道に入ったようだ。

(´・ω・`)「・・・まあ、いいんじゃない?いまこうやって友達と釣りに行けるんだから。
     お礼とか言わないでよ」

('A`)「だな。・・・それにしても、ひどかったなあ。いじめ」

(´・ω・`)「だからさ、もういいって」

('A`)「まあ聞いてくれよ。俺のいじめ体験。
   ある朝学校に行ったら、靴の中にさ、釘が入ってたんだ」

(´・ω・`)「釘?」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:07:13.72 ID:6qgF1rcw0
('A`)「そう、釘。めっちゃなげーの。普通さ、一発で気づくじゃん。
   つーか、そのまま靴はいても刺さらねーじゃん」

(´・ω・`)「確かに」

('A`)「でもな、あいつら、ああ、いじめっ子のことな。靴箱の横で、俺のこと見てんだよ。
   見下ろしてんだよ。で、言ってきたんだよ」


『分かってるよな?』


('A`)「釘たてて、靴穿いてやったよ。そしたらすっげーいてえの。足の甲まで釘が貫通してさ。
   あいつら、悶える俺見て腹抱えて笑ってんだよ」

(´・ω・`)「・・・」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:10:12.06 ID:6qgF1rcw0
('A`)「この間、そろそろ殺すとかなんとか言ってたな、あいつら。
   俺を殺して、なんの得があるってんだ、まったく」

(;´・ω・`)「・・・」

('A`)「でも、俺は負けなかった。なぜなら、俺はいいストレスの解消法があるからな」

(;´・ω・`)「・・・どんな?」

ショボンは、まっすぐ前だけを見て、彼の話に相槌を打っている。
目的の川は、まだ見えない。

('A`)「猫を、殺すんだよ。いたぶって、いたぶって、それで殺すんだよ」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:10:52.12 ID:6qgF1rcw0
(;´・ω・`)「・・・・・え?」

('∀`)「猫って、いろんな声出すんだよ。人間みたいだったり、意味不明だったり、いろんな声」

彼は、実に楽しそうな笑顔で話している。
川は、まだ見えない。

('∀`)「ひひ・・・いいよなあ、猫って。大好きだよ、俺」

(;´・ω・`)「ドクオ・・・・それはやばいよ・・・いくらなんでも」

('A`)「ショボン」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:12:00.03 ID:6qgF1rcw0
ドクオと呼ばれた青年は、急に笑いを引っ込め、運転席の友人に尋ねた。
声色が、今までとは違っている。

('A`)「クラスの友達から聞いたって、言ってたよな?」

(;´・ω・`)「・・・・・なに?」

('A`)「川の場所だよ。クラスの友達。知ってるか?」

(;´・ω・`)「な、なにを・・・・?」

('A`)「ウチのクラスの生徒な、全員が俺をいじめてたんだ。全員」

(;´・ω・`)「・・・」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:13:59.75 ID:6qgF1rcw0
ショボンの顔には、脂汗が浮かんでいる。暑さのためでは、ないようだ。

('A`)「俺と友達になったら、確実にそいつもいじめられる。
   でもショボン、お前はいじめられていない」

('A`)「なぜだ?」

川が、見えてきた。綺麗な小川だ。
水は光を映し、美しく輝いている。

(;´・ω・`)「そ、それは・・・ほら、あれだよ」

('A`)「俺は知ってるぞ」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:14:56.32 ID:6qgF1rcw0
(;´・ω・`)「・・・だから、さ、あのさ・・・」

('A`)「あいつらに、言われたんだろ?俺と友達になれって。そんで、俺を川に連れてこいって。
   友達から裏切られる苦しみを、俺に与えようと思ったんだろ」

('A`)「ついでに俺を、川で溺れさせようとでも、考えたんだろ」

('A`)「知ってるぞ」

川はもう、目の前だ。数人の青年が、川原でたむろっているのが見える。
にやけながら、彼らのトラックを見ている。

('A`)「お前はきっと、俺を殺した罪をかぶせるための、餌に使われる。
   あいつらは、お前を餌に使うんだよ」

(;´・ω・`)「・・・」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:16:18.03 ID:6qgF1rcw0
トラックは、速度を落とさない。砂利道を、さらにスピードを上げて疾走する。
川原で鉄パイプなどを持った青年たちは、それを不審な目で見ている。

(;´・ω・`)「・・・ドクオ、あ、足を・・・」

('A`)「だまれよ」

(;´・ω・`)「足をどけてくれ・・・このままじゃ・・・」

('A`)「だまれって言ってるんだよ」

ドクオはショボンの顔面を、肘で思いっきり殴った。
ゴキッ、という鈍い音が、車内に響く。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:19:35.89 ID:6qgF1rcw0
彼はショボンの足ごとアクセルを踏みしめていた。
ハンドルも奪い、青年たちに向かって、トラックを操る。
逃げ惑うクラスメイトを眺めながら、彼は考えた。

まずはあいつらを殺す。
一人ずつ轢いて、生きているようだったら、さらに轢く。
猫、ねこ、ネコ、違う、人、そう、あいつら。

あいつらだ。

('A`)「そして、お前を・・・」

鼻血を流して気絶しているショボンを一瞥して、つぶやく。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:20:18.75 ID:6qgF1rcw0
('∀`)「いたぶって、いたぶって、殺す」

口元には、あの笑みが戻っていた。

('∀`)「殺すんだよ」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 02:22:51.31 ID:6qgF1rcw0


川辺には、誰もいない。
原型を留めていない人間の死体がいくつか、転がっているだけだ。
人間ではない。

川を流れる水に、赤いものが混じっている。
人気は無い。

だが、何かが、見ていた。
この光景を、上空から、何かが見つめていた。



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