( ^ω^)ブーンが心を開くようです

  
6: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:14:26.29 ID:9ucnnUMl0
  
第4話

( −ω−)「……お?」

目が覚めた。
まぶたを開けると、目の前にさっきと同じ白い天井があった。
見慣れない風景に一瞬驚いたが、すぐにここがさっきと同じ部屋だということを思い出して、ふぅ、と息をついた。

どうやらまた眠ってしまったらしい。

ξ゚听)ξ「あ! 起きた!」
(´・ω・`)「ブーン! 大丈夫か!?」
('A`)「やれやれ……ようやくお目覚めですかい」

突然視界に現れる、3人の顔。
ツンとショボン、ドクオがベッドの横に立ち、こちらを見下ろしていた。

( ^ω^)「……お? ここはどこだお?」

(´・ω・`)「何やら大きいビルの中だよ。君の肩の怪我を治すために、クーという女性に連れてきてもらったんだ」

( ^ω^)「肩の怪我かお?」

ブーンは右肩を触ってみた。痛くない。切られた時はあれほど痛かった肩の傷は、もうほとんど塞がっていて治りかけていた。



  
8: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:16:01.31 ID:9ucnnUMl0
  

(´・ω・`)「どうしてそんなにも回復が早いのかはよくわからないけど……とにかくよかったよ、ほんとに」

ショボンは気が抜けたかのように、近くの椅子に座り込んだ。これまで自分を心配してばかりだったのだろう。
ブーンはなんだか申し訳なくなり、「ありがとうだお」とお礼を言っておいた。ショボンは小さな笑みを返してくれた。

ξ゚听)ξ「よかったわ、本当に……心配したんだから……」

('A`)「ツンのやつ、お前が運ばれる時もこの部屋で寝てる時も、ずっと傍にいたんだぜ?」

ξ////)ξ「ちょ、ちょっとドクオ!」

( ^ω^)「そうなのかお? ツン、心配かけてすまなかったお」

ξ////)ξ「友達として心配だっただけだからね!!」

ブーンとドクオ、ショボンの3人は笑った。それはあんな事件があった後になって初めて浮かべた笑みだった。



  
9: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:18:01.71 ID:9ucnnUMl0
  
コンコンと、ドアがノックされる音がした。

川 ゚ -゚) 「お話中の所、すまない。入っていいだろうか?」

(´・ω・`)「あ、どうぞ」

ショボンが声をかけると、ドアが開いた。入ってきたのはあのすごく強い女性だ。
後ろにはスーツを着た男性と女性もいる。
ブーンはスーツを着た女性を見て、「あっ!」と声をあげながら指差した。

(*゚ー゚)「え、え? なんですか?」

( ^ω^)「さっきこの部屋にきた人かお? さっきの言葉はどういう意味だったんだお?」

(*゚ー゚)「え? 今日はこの部屋に来たの、初めてですけど……」

女性が戸惑いながら答えた。



  
11: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:21:26.07 ID:9ucnnUMl0
  

初めて?
そんな、おかしい。
確かに自分の横に立って「げしゅたるとケーキ」がどうとか「パプテマス・シロッコ」がどうとか言っていたはずだ。

夢だった?
あんなリアル夢があるのか? 
それにこの女性とまったく同じ顔をしているのもおかしい。
自分はこれまで一度も会ったことがないのに。

('A`)「ブーン、お前、この人を知ってるのか?」

( ^ω^)「……いや、たぶん人違いだお。すまなかったお」

釈然としない思いを抱えながらも、ブーンはひとまずこの場は引き下がることにした。

女性は、気にしないといった表情で微笑んだ。



  
15: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:24:07.27 ID:9ucnnUMl0
  
(*゚ー゚)「いえ……私はしぃと言います。はじめまして、ブーンさん」

(´・ω・`)「この人が君の傷を治してくれたらしいよ」

( ^ω^)「そうなのかお? それはありがとうございますだお」

ブーンが頭を下げると、しぃは照れたように頬を赤くした。どうやら照れ屋なようだ。

川 ゚ -゚) 「私はクーデレ。クーと呼んでくれ」

( ^ω^)「あなたは……確か、僕達を助けてくれた人かお?」

川 ゚ -゚) 「ああ。だが、助け切れなくてすまなかった。私の力不足だ」

( ^ω^)「そんなことないお。クーさんがいてくれたから、なんとか助かったんだお」

川 ゚ -゚) 「ふ……まあ、そういうことにしておこう」

クーはあの時に見た服ではなく、TシャツとGパンというかなりラフな格好をしていた。
他の2人に比べたらなんだか違和感がする。彼女自身は気にしていないみたいだけど。



  
16: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:26:44.86 ID:9ucnnUMl0
  
「で、だ」と最後に男が喋りだした。

男「私はここの団体の長をやらせてもらっている。
  名前は……そうだな、まあ『狐』とでも呼んでくれ」

( ^ω^)「狐かお? どうして狐なんだお?」

狐「ここで働いている者は、みな私のこと『所長』と呼ぶんだが、君達からそう呼ばれるのも変だしね。『狐』でかまわないよ」

川 ゚ -゚) 「この人の本名は公にできないんだ。まあ、我慢してくれ」

( ^ω^)「わかったお、狐さん」

狐という男性は、くたびれたスーツにぼさぼさ頭と、なんだか冴えない中年のような格好をしている。
えらい人という感じはしないが、たぶん偉いんだろう。

狐は近くにあった丸椅子に座り、しぃを前へと誘導する。
しぃはブーンの横に立つと、肩を少し触ってきた。



  
17: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:29:52.34 ID:9ucnnUMl0
  
(*゚ー゚)「痛みはありますか?」

( ^ω^)「いや、もうないお。ほとんど治ってるお」

(*゚ー゚)「そうですか、よかった。こんなに早く治せたのは初めてで、逆に不安だったので……」

(´・ω・`)「話の腰を折ってすまないけど、少しいいですか?」

しぃが肩から手を離すと同時に、ショボンが話の間に入ってきた。

(´・ω・`)「よくわからないんだけど、どうしてそんなに早くブーンの傷が治ったんですか? 
      それに僕達を襲ってきた変な黒い奴のことも、あなた達は知っているみたいですし……」

ショボンの疑問ももっともなことだろう。
ブーンの傷は包丁で切られたものであり、かなりの出血をしていた。
なのにたったの数時間でほとんど完治にまでもっていけるこのしぃという女性はいったい何なのか? どういう方法で治したのか?

そして、自分達を襲ってきた『それ』はいったいなんだったのか? 正体も目的も不明なままでは気持ちが悪い。

クー達が何か知っているようなのは、『それ』と戦っていた時のクーの落ち着きぶりを見れば分かる。



  
18: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:34:39.24 ID:9ucnnUMl0
  
狐「ふむ……」

狐が息をついて、頭を掻き始めた。話をすべきか迷っているのか、それとも何を話せばいいのか考えているのか、どちらとも取れる表情だった。

狐「……そうだね。あんな事態に遭遇した後だ。知りたがるのはよくわかるよ」

(´・ω・`)「なら、教えてもらえるんですか?」

狐「うーん……私はこういうことを話すのは苦手なんだよね。クー君、お願いできるかな? 適当に話しといて」

どうやら少しは話してもらえるようだ。

話を振られたクーは、数秒黙って考える素振りを見せた後、静かに口を動かし始めた。

川 ゚ -゚) 「……そうだな、まず、ここ最近になって頭部がない死体が発見されていることは知っているか?」

ξ゚听)ξ「前にショボンが話してたやつじゃない?」

(´・ω・`)「そうだね……12月に入って4名、頭部がなくなったままで発見されている」

('A`)「それがどうかしたんすか?」

川 ゚ -゚) 「それの犯人……いや、人ではないから『原因』と呼ぼうか。その『原因』が、君達が遭遇した黒い物体だ」

( ^ω^)「あれがかお……」

ブーンは呟き、あの黒い物体が痴漢男の頭を消滅させたシーンを思い出した。
それと共にあの時の恐怖が蘇ってきて、手が震えてくるのを感じ、両手を布団と下に隠した。



  
19: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:38:31.27 ID:9ucnnUMl0
  

クーは話を続ける。

川 ゚ -゚) 「私達はあれを『影』と呼んでいる」

(´・ω・`)「『影』……黒くて正体不明だからですか?」

狐「そうそう! いいネーミングセンスだろう? 私が付けたんだ!」

狐が誇らしげに言うのを、クーが怒りの色を含めた目で制した。
狐はばつが悪そうに黙りこくり、頭を伏せた。

上司に対してもこの態度。
クーという女性は自分の感情を隠さないタイプなのかもしれない。

('A`)「まあ、英語混じりのカタカナで変な名前をつけられるよりはわかりやすいっスよ」

ドクオがすかさずフォローを入れると、クーは気を取り直したかのようにブーン達に向き直った。



  
20: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:41:14.35 ID:9ucnnUMl0
  

川 ゚ -゚) 「とにかく、名前は『影』という。
      こいつの正体についてはまだよくわからないんだが……この『影』が原因となっての事件は、実はこれまでにも多くあった」

ξ゚听)ξ「多くって……頭がなくなった死体が見つかりだしたのはここ最近ですよ?」

川 ゚ -゚) 「これまでの『影』は交通事故や転落死など、もっと間接的な方法で人を殺していたんだ。
      だが、最近になって直接『人の頭を消す』という行為に出るようになった」

(´・ω・`)「そういえば、原因不明の交通事故が増えていると、聞いたことがあるな。それが『影』のせいだったのか……」

川 ゚ -゚) 「そういうことだ」

クーが頷くと、ショボンは「む〜」とうなり、何か考え始めた。
こういう時のショボンは、いつも真実を見抜いたり、言い当てたりしている。何か分かったことでもあったのだろうか?

(´・ω・`)「そうか……話の筋は読めてきましたよ」

川 ゚ -゚) 「と、いうと?」

(´・ω・`)「あなたたちはその『影』を調査し、あわよくば倒すために設立された組織……じゃないですか?」

ショボンの言葉に、クーは驚きの表情を浮かべた。ショボンの言葉が当たっていたのだろう。



  
23: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:43:34.01 ID:9ucnnUMl0
  
川 ゚ -゚) 「鋭いな……確かにそれも目的の内に入っている」

(´・ω・`)「それも? 他にも目的があるっていうんですか?」

(*゚ー゚)「『影』の存在自体は、数年前から確認されていました」

ショボンの疑問はスルーされ、しぃがクーの話を引き継ぐ形で話を進めた。
それは何かを隠したがっているかのように見えたが、ブーン達はとにかく、しぃの話を聞くことにした。

(*゚ー゚)「最初は数体でした。しかし、ここ半年間で『影』の出現が頻繁になってきたんです。
    そのために、私達の組織は『影』の正体と増殖した原因を調べ、なんとか殲滅させようとしています」

『影』を減らすための組織。
しぃの話曰く、今はそれほど人員が多くないけれども、ひとつの会社ぐらいの規模はあるらしい。



  
25: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:46:11.86 ID:9ucnnUMl0
  

('A`)「うーん……」

今度はドクオがうなり声をあげた。何かが引っかかっているのだろう。
ショボン同様、ドクオもこういう話は得意だ(ゲームで鍛えたのだろうか?)。ライトノベルという小説もよく読むし、話の筋をつかむのがうまい。
数学でいえば、文章問題が得意なタイプだ。

一方のブーンはこういう話は苦手で、内容についていくので精一杯だった。考えるより暗記する方がマシなタイプなのだ。

('A`)「ちょっと質問していいかな?」

川 ゚ -゚) 「お好きに」

('A`)「なんか引っかかるんだけどさ……この組織のスポンサーってどこなんっスか?」

川 ゚ -゚) 「……」
(*゚ー゚)「……」

不自然な沈黙。
まるで質問に答えるべきではない……いや、答えられないとでも言いたげな、そんな沈黙。



  
27: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:49:31.47 ID:9ucnnUMl0
  
ドクオは質問を続ける。

('A`)「こんな大きいビル持って、こんな綺麗な部屋があって……
   さっきこの部屋に来る途中、他の部屋も見たんスけど、スパコンがあったんスよね。
   普通の組織じゃあ、まずこんなお金はない。バックにいるのは何なのか……」

狐「聞かない方がいいよ、それは」

黙りこくるクーとしぃの代わりに、狐が答えた。

狐「聞けば、君達を帰すことができなくなる。
  小さな存在が大きい存在の維持のために消されてしまうのを、私達は見たくはないんでね」

('A`)「……」
(´・ω・`)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」

狐の重みのある言葉と、真剣味を帯びた目に気圧されて、ブーン達はその質問については深入りしなかった。
これは触れてはいけない話題なのだということを、肌で感じた。



  
29: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:53:31.38 ID:9ucnnUMl0
  
川 ゚ -゚) 「……まあ、それでだ、私達は『影』の殲滅の他にも目的がある」

緊張感が張り詰めた部屋の空気を変えようと、クーが再び話し始めた。

川 ゚ -゚) 「それがブーン君……君に関係があるんだ」

( ^ω^)「僕かお?」

ξ゚听)ξ「……ブーンがその『影』とかいうのをを倒したことと関係があるんですか?」

川 ゚ -゚) 「おおいに関係がある」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれお。『影』を倒したって……僕があんな化け物を倒したのかお?」

クーでも倒せなかったあの化け物を自分が?
そんなわけはない。自分は普通の高校生なのだから。

しかしそんな考えを否定するかのように、ショボンが冷静に言った。

(´・ω・`)「どうやら気を失ってしまって覚えていないようだけど、あの『影』を倒したのは君だよ、ブーン。何やら掌から光る弾みたいなものを出してね」

( ^ω^)「そうなのかお……」

ブーンは戸惑いつつも、気を失う前に感じた掌のあの暖かさを思い出して、なんとなく納得した。
あの暖かさは、ショボンの言う『光る弾』を出した時に感じられたものなのだろう。
いったい何なのだろうか? あの暖かさは?



  
31: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 00:57:36.95 ID:9ucnnUMl0
  
川 ゚ -゚) 「話を戻そう。私があの場所にいたのは、実は偶然ではない。これは元々予言されていたものなんだ」

('A`)「予言? なんだその、ゲームみたいなのは……」

(*゚ー゚)「それは私が説明しましょう」

クーの横にいたしぃが、落ち着いた口調で話を引き継いだ。

(*゚ー゚)「この予言は、もう何千年も前から存在しています。公にはされていませんが、聖書や仏法書、ギリシャ神話、日本の古代書物にも、似たような予言が存在しています。
    内容はかいつまんで言えばこうです。
    『世界が混乱に満ち、影が暗躍する時、人の子が世界を導く』」

(´・ω・`)「あれだね、ヨハネの黙示録みたいだね」

( ^ω^)「ヨハネの黙示録?」

ブーンは聞きなれない言葉に首をかしげた。
それに対しツンが少し怒った口調で答える。

ξ゚听)ξ「少しは勉強しなさい。ヨハネの黙示録は、キリストの弟子が書いたという、この世の終わりが記された文書よ。
    そこにはハルマゲドン……まあ世界の終わりみたいなものね。それが訪れる世界と、そこからの神様による新しい世界の誕生が書かれているわ」

('A`)「確かに似てるけど、あんなの、ただの聖書の中の空想物語だろ?」

(*゚ー゚)「はい。あれとはあまり関係ないのですが……まあ、それとは別に公にはされていない文書があったということだけ、知っておいてください」

しぃが歯切れの悪い口調で話すのは、きっとそれもまた知られてはまずいことだからなのだろう。
ブーン達は納得し、しぃの話の続きに聞き入った。



  
32: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 01:01:11.84 ID:9ucnnUMl0
  
(*゚ー゚)「最近のニュースはご覧になっているでしょう? 犯罪が爆発的に増加して、しかも『影』が人を襲っている。
    まさに『世界が混乱に満ち、影が暗躍』しています。
    それで、です。予言の通りなら、世界を導くという『人の子』が現れることとなります。それがいつなのか? そしてどこでなのか?
    いつなのかは、古代の文書を見れば分かっていました。今年の12月の上旬、つまり今ですね。
    だけど、どこに現れるかはまったく分からなかったんです」

川 ゚ -゚) 「だが最近……世界中にある情報が飛び交った」

(*゚ー゚)「それが……『人の子』は日本に現れる、ということなんです」

ブーン達はしぃの話に聞き入っていた。
ここまで聞けば、ブーンをなぜ彼らが連れてきたのか、どうしてこんな話をしているのか予想はついていたが、あえてそれは口にはしなかった。



  
36: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 01:05:06.14 ID:9ucnnUMl0
  
彼女の話は続く。

(*゚ー゚)「その情報の出所は不明でした。けど、もしかしたら日本に現れるかもしれない。
    私達は急いで調査を始めました。そして、ある人からの予言をもらったんです。
    その人は『人の子は【影】に襲われ、【影】によって目覚める』と告げ、現れるかもしれない場所もいくつか挙げたんです。
    それを元に私達は監視の目を光らせました」

川 ゚ -゚) 「で……私はあの町にいて、『影』に襲われていた君達を助け……ブーン君が正体不明の力を使ったから、君達をここに連れてきた、というわけだ」

( ^ω^)「……」
('A`)「……」
(´・ω・`)「……」

ξ゚听)ξ「……まるでドクオがやってるゲームみたいね」

ツンが呆れたように言うが、その言葉は案外的を射ていた。
ゲームみたいで、なんだか中学生が考える空想物語のような話。

けれども、信じるしかないというのがブーン達の共通認識だった。
なにせ実際に『影』に襲われたのだから。

今は彼女の話を信じるほかない。

しぃの話を無条件に信じるほか、今日の突然の出来事に対する答えが見つからなかったのだ。



  
38: ◆ILuHYVG0rg :2006/10/15(日) 01:08:36.44 ID:9ucnnUMl0
  
( ^ω^)「……なら、僕は『人の子』かもしれないのかお?」

ブーンは自分の胸に手を当て、眉をひそめつつ呟いた。

川 ゚ -゚) 「その可能性はある。だが、実際のところはわからない」

(*゚ー゚)「今日、予言された場所で『影』に襲われていたのは4名いました。
1人は行方不明。3人は無事。その中で正体不明の力を使ったのはブーンさんだけです」

狐「君である可能性は高い、ということさ」

狐が突然喋りだし、クーとしぃが後ろを振り返る。
狐は奇妙な笑みを浮かべて、椅子に座っていた。

狐「正直言って、君が『人の子』であるのは確実だと思ってる。他に襲われた3人は、部下に聞いた限りでは普通の人だったしね……」

( ^ω^)「……僕をどうするんだお?」

ブーンは狐に向かってそう言い、再び震えてきた手を布団の中に隠した。
『人の子』? 『世界を導く』? 意味がわからない。
自分はただの高校生で、孤児院で育った普通の引きこもりがちな子でしかない。
普通に学校に行き、普通に友達と喋り、普通に家に帰るだけ。

そんな生活を……『人の子』だか『予言』だか知らないが、そんなことで壊されたくはなかった。



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