( ^ω^)ブーンが心を開くようです
- 27: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:20:11.79 ID:cEpGzgeR0
この話を聞いてブーンは、はて?と頭にハテナマークを浮かべた。
『影』を倒す力を持つ者……クーとしぃ以外にいったい誰が?
( ^ω^)「クーさん」
川 ゚ -゚) 「ん?」
小声でクーに話しかける。
( ^ω^)「クーさんとしぃさん以外に誰が『気』を使えるんだお?」
川 ゚ -゚) 「ああ、それならそこにいるじゃないか」
クーが声で示したのは、まだ少しだけ険悪ムードなモナーとぃょぅ。
川 ゚ -゚) 「それと、ここに」
そして、ブーン自身。
そうか。モナーとぃょぅ、そして自分を合わせて5人か。
そういえば前にも聞いたっけ、「他の『気』の使い手は仕事中」と。
モナーとぃょぅも『気』を使えるとは知らなかった。いったいどんな風に使うんだろう?
ぼーっと2人のことを見ていると、狐が「さて、次だが」と会議の続きを進行し始める。
- 29: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:21:54.50 ID:cEpGzgeR0
狐「次は『影』が突然消える現象についてだが…」
(=゚ω゚)ノ「あ、ちょっと待ってほしいょぅ。もうひとつ言うことがあったょぅ」
狐「ん? なんだい?」
ぃょぅがその場に立ち上がる。
(=゚ω゚)ノ「ラウンジ教、という団体を知ってますかょぅ?」
なんか厳格な老人「聞いたことがあるのう。全国に広がる宗教団体らしいが」
狐「公安の方でもマークされてるみたいだけどね。それがどうかしたのかい?」
(=゚ω゚)ノ「公安関係者から聞いたんですが、どうも不穏な動きをしているようなんだょぅ」
狐「不穏、とは?」
(=゚ω゚)ノ「以前は麻薬関係で調べられていたけど、最近は公安の中でも武器・爆発物関係の部署が動いているようだょぅ」
( ´∀`)「ラウンジ教が革命でも起こすとかモナ?」
(=゚ω゚)ノ「それはわからないょぅ。
けど、世界中の組織の中でも、テロリストや革命派などとコンタクトをとっているらしいょぅ」
- 32: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:23:54.18 ID:cEpGzgeR0
狐「ふむ……頭に入れておこう。どうも気になるな。詳しい調査を頼めるかい?」
(=゚ω゚)ノ「予算が下りれば。『赤坂』と並行して調査するとなると、けっこうなお金がかかりますょぅ」
役人顔の男「おいおい、あまり予算の無駄遣いはしないでくれ。特別会計から横流ししている資金にも限界があるんだから」
狐「それはわかってますよ。無駄な所は切り詰めていきます」
メイド喫茶や学校の教室を作ったりしているのに、それはあまり説得力がないような気がする。
何にしろ、ブーンもまた「ラウンジ教」という団体のことを覚えておくことにした。
もしかしたら、これから自分を狙うのは、各国の組織ではなく彼らかもしれないから……
狐「よし、次の議題は――」
そうして会議は続く。
眠い目をこすりながら、ブーンは必死に会議の内容にくらいついていくのだった。
- 34: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:25:42.56 ID:cEpGzgeR0
※
夜の11時。良い子なら寝る時間。悪い子ならこれからが本番。
ブーンは自分の部屋にて、仕事の準備を始めていた。
服装はいつもの黒ジャケットと黒いGパン。
持っていくものは、水と食料と通信機。
あまり持ち物が多くなる動きが鈍くなるので、最低限のものだけを持っていくように言われている。
( ^ω^)「よし……行くお」
ブーンは全ての準備を終えると、最後に深呼吸した。
これから仕事。気を引き締めないと。
(´・ω・`)「行くのかい?」
と、急にショボンの声が聞こえて、ブーンは「おお!?」と大きな声をあげた。
('A`)「んん? なんだあ?」
ドクオも起きてしまった。仕事着を着ているブーンの姿を見て「お、行くのか」と感心ありげに言った。
- 35: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:28:01.48 ID:cEpGzgeR0
(´・ω・`)「気をつけてきなよ。僕達は何もできないけど……君が無事に戻ってくることを祈ってるよ」
('A`)「俺も祈ってるぜ〜。くはぁ〜、ねみぃ〜」
ドクオの祈りは当てにならないな、とブーンは苦笑した。けど気持ちは伝わった。
2人に挨拶をすませ、ブーンは部屋の外へと出た。
( ^ω^)「……気合を入れるお」
いつも以上にやる気が出てきたような気がする。
おとといより昨日の方が、昨日より今日の方が、自信が持てるようになってきた。
彼らを守るための戦い。自分の日常を取り戻すための戦い。
きっと、やり遂げてみせる。
- 36: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:29:44.50 ID:cEpGzgeR0
夜のビルの廊下は相変わらず暗い。
足元もよく見えず、注意して歩かないと何かにつまずいてしまいそうだ。
ブーンはてくてくとエレベータに向かって歩き続けた。
(*゚∀゚)「あ、君、行くんだぁ」
( ^ω^)「おわはぁ!」
また急に後ろから声がして、ブーンはその場で転びそうになった。
後ろを振り向いてみると、パジャマ姿のつーがいる。
どうも今日は突然声をかけられることが多いな、まったく。
(*゚∀゚)「行くんだねぇ、行くんだねぇ」
( ^ω^)「そうだお……戦いに行くんだお」
(*゚∀゚)「そうかぁそうかぁ。よろしく言っといてねぇ、色々な人にぃ」
( ^ω^)「色々な人かお? 誰だお?」
(*゚∀゚)「色々な人だよぉ。色々いるんだからぁ」
- 38: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:31:11.37 ID:cEpGzgeR0
きゃっきゃっと笑うつー。
いつものごとく意味のわからない言葉ばかりだったけれども、なんだか今はつーと話していることが楽しい。
彼女はものすごく無邪気で繊細だ。
言葉に気をつけないとすぐに機嫌を悪くしてしまう。
けど、楽しい時は本当に楽しそうな顔をしてくれる。そしたら自分も嬉しくなる。
そして、そんな時にふと思う。こんな笑顔を守ることも自分のやるべきことなんだと。
( ^ω^)「じゃあ、行ってきますお」
(*゚∀゚)「おーおー。行ってらっしゃい〜」
つーが手を振って見送ってくれた。
その挨拶は、今までのどんなものよりも暖かく感じられた。
- 40: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:32:50.83 ID:cEpGzgeR0
※
ドルルルルゥと表現するしかないバイクの音が響いている。耳をつんざき、頭の奥を揺さぶるような音だった。
何回乗っても、この音には慣れることができない。バイクと自分はとことん相性がよくないのだろうか?
バイクは首都高を100キロ近いスピードで飛ばしていた。
( ^ω^)「今日はどこだお?」
川 ゚ -゚) 「近くだ。2、3体出るようだから、用心しておけ。まあ私がいるんだ。安心しておけばいい」
( ^ω^)「わかったお」
いつものクーからのお言葉をもらい、ブーンはバイクの上で精神集中を行った。
今日はいつも以上に気合が入っている。光の速さで『影』をやっつけて、さっさとビルに戻ってベッドインしてしまおう。
目指せ! 睡眠3時間!だ。
- 41: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:34:57.00 ID:cEpGzgeR0
バイクはぐんぐんとスピードを増し、目的地へは1時間ほどでたどりついた。
今日の仕事場は、大きな廃工場だった。
なんでも国が国家事業のための工場を作ったはいいものの、5、6年前の不況のせいで早々につぶれてしまい、そのまま放置されているとか。
しかも外国人窃盗グループの根城にされている可能性があり、よって『影』は彼らを狙うかもしれないという報告があがっている。
ブーンはバイクを降りて、廃工場全体を見渡してみる。
どうにも嫌な感じだ。
作業場らしい無駄に広い空間がひとつ、鉄骨が無数に絡み合ったジャングルジムのような場所がひとつ、クレーンなどの機材も多数ある。
障害物が多くあり、『影』と戦う際にはこのことも考慮に入れないと
- 42: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:36:32.90 ID:cEpGzgeR0
( ^ω^)「クーさん、どうですかお?」
川 ゚ -゚) 「ふむ……今は気配を感じないな。本部に連絡してみよう。
本部、【クール】と【ピザ】だ。応答してくれ」
クーが胸元のマイクに声を吹き込む。
が、おかしい。いつもの『はーい』という狐の能天気な声が返ってこない。
受信機は、砂嵐のようなザーという音が鳴り響かせるだけだった。
川 ゚ -゚) 「ん? おかしいな。電波状態が悪いのか……?」
( ^ω^)「ツン? 応答してくれお」
今日もサポートに回っているであろうツンに呼びかけてみるが、やはり返事がない。
ブーンはポケットから携帯電話を取り出してみる。『圏外』の文字が明るく浮かび上がっていた。
おかしい。ここは街中だ。いくらなんでも携帯が『圏外』になるなんて……
- 45: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:38:20.60 ID:cEpGzgeR0
川 ゚ -゚) 「む……『影』の気配だ」
( ^ω^)「お? 早いお。まだ2時間も時間があるお」
川 ゚ -゚) 「待て。この気配は大きすぎる。まさか……」
クーの顔色が徐々に変わってくる。
疑問からあせりの色へと。
川 ゚ -゚) 「ちっ! ブーン、行くぞ!」
( ^ω^)「ま、待ってくださいお!」
クーが廃工場の中へと走り出す。ブーンは驚きながらもそれについていった。
中は外見以上にひどいありさまだった。
鉄骨が散乱し業務用の工事用具が放置され、砂埃もひどい。
くしゃみが際限なく出そうになるのを我慢し、ブーンは必死でクーに着いていった。
- 47: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:40:31.22 ID:cEpGzgeR0
川 ゚ -゚) 「む……やはりか」
立ち止まるクー。
その目の前で、外国人らしき男達が固まって気絶していた。
報告にあった窃盗集団なのだろう。
死んでいないということは、『影』に襲われていないということか?
( ^ω^)「また、ですかお」
川 ゚ -゚) 「そのようだ……『影』の気配もない。いったいどういうことだ」
( ^ω^)「……」
考えてみるが、やはりわからない。
『影』の気配がいきなり大きくなり、そして消える。
誰かが『影』を倒したとでも言うのか?
いや、『気』を操れる人なんてそういない。
『VIP』以外だと『赤坂』のギコぐらいしか……
- 49: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:41:54.99 ID:cEpGzgeR0
川 ゚ -゚) 「む!」
と、クーがいきなり動いた。
横に飛び、こちらを巻き込むようにして倒れこむ。
ドサリという音と共にしたたかに背中を打ちつけたブーンは「な、なんだお?」とクーに問いかけようとした。
だがその前に地面に飛び散った火花の音が響き渡り、背筋を凍らせた。
じ、銃弾?
川 ゚ -゚) 「走れ! ブーン!」
( ^ω^)「お?お?」
すぐに起き上がったクーに引っ張られて、ブーンは体勢を崩しながら走り出す。
向かっているのは工場の中。
床に転がる鉄骨を飛び越え、背中から聞こえる銃弾の着弾音を耳にいれつつ、ブーンは必死で走る。
- 51: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:43:47.39 ID:cEpGzgeR0
だがクーをつかんでいた手に衝撃が走り、思わずブーンは彼女の手を離してしまった。
川 ゚ -゚) 「ブーン!」
なんだ? 今のは?
よく見えなかったが、何か紐のようなものが自分の手首に当たったような……
川 ゚ -゚) 「いまそちらに……! くっ!」
クーがこちらに来ようとする。しかし銃弾の嵐が自分とクーの間に注ぎ込まれて、仕方なくブーンとクーはそれぞれ別の場所に身を潜める。
ブーンは鉄骨の下に隠れた。クーはトタン板の後ろに身を潜めたようだ。
と、クーの居る場所から銃弾の着弾音が次々と鳴り響く。クーを狙っているのか?
川 ゚ -゚) 「くぅ!」
銃弾の波が止んでいる間、クーはたまらずその場からさらに奥の部屋の中へと移動した。
鉄製のドアを盾にして、クーは銃弾が止むのを待つ。
- 52: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:46:01.34 ID:cEpGzgeR0
良い判断だが、このままでは離れ離れになってしまう。
( ^ω^)「クーさん!」
川 ゚ -゚) 「動くな! 今そちらに……くそ!」
クーがこちらに来ようとすると、弾は容赦なくクーの進行を阻止する。まるでこちらと合流させないかのように……
もしかして、それが狙いか? 自分とクーを引き離すことが?
ちゃんと考えている暇もなく、今度は自分の方に銃弾の嵐が向けられる。
鉄骨の隙間や眺弾で当たらないとも限らず、ブーンはクーから離れるようにしてその銃弾から逃げていく。
そこでブーンは思いついた。そうだ。『光障壁』なら銃弾でも大丈夫なんじゃないか?
ブーンは隠れ場所から身を露にして、銃弾の波の前に立つ。
精神を集中させ、自分の前に生じる『壁』をイメージする。
それに反応するかのように目の前に光の壁が現れ、自分に当たるはずだった銃弾を完全にガードしてくれた。
カンカン、という音と共に数個の弾が地面に落ちた。
- 53: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:47:51.06 ID:cEpGzgeR0
やっぱりだ。これならいける。クーと合流しないと!
「その技、やっかいだな」
後ろから声?
振り向こうとした瞬間、何かが自分の横を通り、カツという音が後ろの壁から発せられた。
振り返ると、何かが壁に突き刺さっている……手裏剣?
( ´_ゝ`)「恨みはない。だが、お前とは戦わなくてはならないのでな」
(´<_` )「そういうことだ。覚悟することだな。少年」
(;^ω^)「だ、誰だお!」
目の前の暗闇から声が聞こえる。姿はちゃんと見えないが、どうやら2人の男がいるらしい。
と、また何かが飛んできて、ブーンはとっさに身をかがめた。
カツカツという音が鳴り響き、壁に2つの手裏剣が突き刺さる。
- 55: ◆ILuHYVG0rg :佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:49:49.14 ID:cEpGzgeR0
なんだこいつら? どうして手裏剣なんて時代遅れなものを? 銃じゃないのか?
何にしろ、『光障壁』なら全部防げるはず……!
だがその前に一方の影がこちらに近づいてくる気配を感じた。
黒い影は何か棒状のようなものを持っており、それを振りかざしてこちらに向かってくる。
( ^ω^)(鉄パイプかお? そんなの『剣状光』で!)
ブーンは光の剣を手に出す。これならどんなものでも切れるはず。
鉄パイプを切り、相手の武器を破壊しようとした。
すぐに真っ白な光でできた剣が手に現れ、相手が振り下ろしてくる鉄パイプを受けると同時に切ってやろうとする。
そこで予想外のことが起こった。
キーン、という音が鳴り響き、電気が放電されたかのような光が生じた。
相手の武器が切れないのだ。
しかも、この男の武器は鉄パイプではなかった。攻撃を受けて初めて分かった。ただのロープだったのだ。
- 57 名前: ◆ILuHYVG0rg [>>54 似ているけど違うかな] 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 23:51:42.24 ID:cEpGzgeR0
( ^ω^)「な、なんで切れないんだお!」
( ´_ゝ`)「ち、受けるとはな。弟者!」
(´<_` )「わかっている、兄者」
ロープを持った男が一足飛びに退くと、また手裏剣が飛んできて、ブーンは『光障壁』を発生させてそれを防ぐ。
だが銃弾と違い、光の壁と手裏剣が当たった瞬間に光が生じた。
『剣状光』とロープが当たった時の光と同じだ。
これは……クーの竹刀を切ろうとした時と似ている。
もしかして、こいつら『気』の使い手か?
どうしてこんな所に『気』の使い手がいて、しかも自分を襲ってくるのか全然わからなかったが、
とにかくも自分の身を守るためだ。
ここは戦わないと!
ブーンは自分の手にある『剣状光』を強く握りなおした。
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