( ^ω^)ブーンが心を開くようです
- 31: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 00:53:31.45 ID:IBS2W5mv0
※
狐「彼がやってきてから、『アンノウン』の調査は順調に進み始めた。
彼は様々なところに顔が利いたんだ。だから、他の組織や機関に協力を願うこともできたし、必要なデータも揃わせることができた」
それでも、『アンノウン』に対する対策はなかなか進まなかったらしい。
『アンノウン』に対して物理的な攻撃は一切効かない。銃も剣もミサイルも効かないのだ。
狐「けど、ある日の出来事で『アンノウン』に対して非常に有効な物が見つかった」
('A`)「それは……なんです?」
狐「刀――いや、正確に言えば『クー君が使う』刀、だよ」
- 35: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 00:55:44.93 ID:IBS2W5mv0
※
そもそも『気』というのはそれほど珍しいものではない。
人間の身体は多かれ少なかれ、『気』がその表面を覆っている。自然界にある様々な『気』から自分の身を守るために。
私と他人との違いは、その『気』を自在にコントロールできるかできないか、にあるのだ。
コントロールできる人間は非常に稀だ。
例えば中国では気功の達人なんて人がたまにいるが、彼ら全員が『気』の使い手というわけではない。
時にはただの催眠術師だったりする。テレビで紹介されているのはだいたいがこういう偽者だ。
見分け方は簡単だ。『気』は密度が増すと光を帯びる性質を持っている。
だから、使い手が『気』を出したとされる場所が光っていれば、本物というわけだ。
ただ、これは使い手にしか見えないもので、そうではない人には見分けなんてつかない。
これが『気』の存在の証明の難しさであり、一般的に広まっていない理由でもある。
また、人間同士では何の作用もしないという性質もその理由のひとつだ。
『気』が見える人は、大抵は精神病だとか頭が変になった人と見られることが多い。
かくいう私も『気』の使い手だが、そのことを公言したことはなかった。
そんなことをすれば、周りから変な目で見られるだけだし、大体『気』が使えるからといって何のメリットもないのだ。
ようは「耳を自分の意志で動かせる」からと言って、何の役にも立たないと一緒。
時々『気』を他人に注ぐことでその人の『気』を充填し、疲労回復などの治療が出来る人(かなり特殊な例であり、『気』が使える人の中でも特に珍しい)もいるが、自分はそんなことはできない。
何の役にも立たないことを自慢気に言って、何の役に立つ?
- 37: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 00:58:17.32 ID:IBS2W5mv0
しかし、その『気』が『アンノウン』に対して有効だと判明してから、状況は一変した。
きっかけは偶然の出来事だった。
ある日、『アンノウン』に取り憑かれた男性を保護し、『天国』の一部屋で保護観察を行っていた。
しかし、突然『アンノウン』が暴れ出し、鍵がかかっていた鉄の扉を破壊、脱走しようとした。
それを制圧するために、私は近くにあった鉄の棒で対抗した。物理的攻撃が効かないと分かっていながらも。
『アンノウン』が男性に襲い掛かり、今にも殺そうとしていた時。
必死になっていた私は、無意識に剣道でやっている調子で打ち込みを入れた。
すると、どういうわけかそれが当たり、『アンノウン』を消滅させたのだ。
私は呆然とその場に立ち、『アンノウン』に攻撃を与えた鉄の棒を見た。
見ると、鉄の棒全体に淡い光が漂っている。
その時の私は、無意識に『気』を鉄の棒に張り巡らせていたらしい。幸運なことだ。
ただ、驚いたのはそれだけじゃない。
『アンノウン』に倒した時に現場にいたのは、私を含めて4人。
残りの3人が、なんと私の『気』の光を見ることができたのだ。
_
(;゚∀゚)「……」
(*;゚ー゚)「……」
(*;゚∀゚)「……」
その3人が、ジョルジュ、しぃ、つーだった。
※
- 39: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:00:35.02 ID:IBS2W5mv0
※
狐「『気』が『アンノウン』に対して有効だと分かり、クー君たちは早急に『気』の使い手を捜し始めた。
その頃になると、ジョルジュのおかげで様々な機関に協力を仰げたから、探すのは難しくなかった。
けど、先にあげた4人以外に見つかった使い手は、たったの1人だった」
( ^ω^)「……ぃょぅさんや、モナーさんかお?」
狐「いや、その頃の2人はまだこの世界には入ってなくてね。あくまで調査範囲は自衛隊やその親族などしか広げられなかった」
(´・ω・`)「だけど、僕達が知っている人ではもう使い手はいないはずですけど」
狐「それは当たり前だよ」
狐がひとつ息を吐いた。これから重大なことを告げることを予期させる間だった。
狐「その人の名前は『ツイン照美』。ジョルジュの妹で、18歳の女の子だった……今も彼女の時は18歳で止まったままなんだから」
※
- 41: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:02:39.38 ID:IBS2W5mv0
※
その子はとても素直で明るく、まっすぐな生き方をしている女の子だった。
⌒*(・∀・)*⌒「あ、クーさん、こんにちは。お元気ですか?」
「ああ、元気だ」
⌒*(・∀・)*⌒「よかった。クーさん、なんだかうれしそうですね」
「そうか?」
⌒*(・∀・)*⌒「ええ。だって私と喋ってくれるんですもん」
私のような人当たりの悪い相手に対してでも、その瞳をまっすぐに向け、決して逸らそうとはしない。
世の中の綺麗汚いも知らず、ただ漫然と時を過ごしている高校生――でもなく、世の中を必死で見つめていこうとする姿勢をもった、綺麗な心の持ち主だった。
彼女が『気』の使い手だと分かった時、私達の間で――この頃になると『アンノウン』対策に加わっている者はかなり増えていた――、彼女に協力を仰ぐべきかどうか話し合われた。
- 42: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:04:42.69 ID:IBS2W5mv0
普通の女子高生をこんな場に連れてきていいのか?
けど、人員は圧倒的に足りない
何かあった時の責任は誰が取るのか?
そんなことより『アンノウン』に国を滅ぼされる心配をしろ
賛否両論が入り混じった。
無論、妹をそんな危険な場に連れてきたくはない、と考えるジョルジュは最後まで反対していた。妹思いなのだ。
そうして何日間も話し合われた末、結論は「本人の意志に任せる」という所で落ち着いた。
彼女に事情を話し、『気』を実際に見せて、1週間ほど返答を待った結果。
ツイン照美という名前は、『非常勤公務員』として『天国』に登録されることとなり、私の仲間は5人となった。
それから、私達は『アンノウン』の討伐のために全力を注いだ。
『気』と武器は相性があり、私は特に刀との相性がよかったので、『アンノウン』と戦う時は刀を使用した。
他の4人も、色々な武器を試していき訓練を重ねた結果、相性の良い武器が決定した。
ジョルジュが拳銃。
つーが棒。
照美が盾。
そして、しぃが『気』による治療という、非常に珍しい使い手となった。
- 44: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:06:58.59 ID:IBS2W5mv0
普段の討伐は、それほど難しくはなかった。
『気』の使い手が5人もいる上に、『アンノウン』自体それほど強くはなかったのだ。
攻撃が当たれば、一撃で消滅させられるような相手。ジョルジュの拳銃なら1秒とかからない。
私が『アンノウン』の気配を掴み(私が1番気配察知能力に長けていた)、その場所に急行して『アンノウン』に憑かれた人を発見し、5人で力を合わせて討伐する。
そんな日々が毎日続いた。
嫌な日々ではなかった。
忙しかったけれども、5人一緒に戦えば何も不安なことはなかった。
私達は仲間だった。絆で強く結ばれていた。
それを示すかのように、私達は公私共に一緒にいた。
それぞれの誕生日が近くなれば、ささやかながらも派手な誕生日パーティを開いたり、
ジョルジュの進めで『カラオケ』というものに初めて行き、自分が音痴なのだと思い知らされたり、
照美の高校での成績が芳しくないので、みんなで協力して照美に勉強を教えたり(ジョルジュはあまり成績がいいとはいえなかった)、
楽しい日々だったと思う。仕事上の付き合いというには深すぎるほどの関係を私達は築き上げた。
ジョルジュが色々と考え出しては突っ走り、
つーがそれに賛同して一緒に走り、
しぃが後ろからそれを見て微笑み、
照美が慌てながらそれを追いかけ、
私がため息をつきながらツッコミ役に回る。
まるで、小学校時代からの旧友のような、そんな関係。
- 46: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:09:41.58 ID:IBS2W5mv0
中でもジョルジュは色々とハチャメチャなことを考え出したものだ。
クリスマスの時なんかは特にそうだった。
_
( ゚∀゚)「『天国』の建物で、こっそりパーティでもやらないか?」
その言葉聞いた瞬間、私は柄にもなく「はぁ?」と大きな声で聞き返してしまったものだ。
_
( ゚∀゚)「いやさ、ここってけっこう高いビルだろ? なら、星とか見えそうだし……面白いと思うんだけどなあ」
(*゚∀゚)「いい、いい! 私は大賛成!」
(*゚ー゚)「うーん、どうしようかなあ」
⌒*(・∀・)*⌒「私もいいなあ。ちょっとやりたいかも」
「いや、待て……さすがにばれたら減俸処分だけじゃすまないぞ? ここは色々と重要な書類もあるわけでな」
_
( ゚∀゚)「固いこと言うなってwww そんなだから、おっぱいもちょっと固くなるんだぞwww」
「貴様……殴るぞ」
_
( ゚∀゚)「冗談冗談www けどさ、たまにはこういうのも良いだろ? 息抜きだって、息抜き」
「どれだけ息抜きをすれば気が済むんだ。この前は会議をサボってカラオケに行ったくせに」
他にも競馬や競輪場に行ったりしている。この男は。
- 47: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:11:59.79 ID:IBS2W5mv0
- _
( ゚∀゚)「まあまあ。で、どうだい?」
「……ふぅ、私は知らないからな。責任はお前が被るんだぞ」
_
( ゚∀゚)「おkwww 把握www」
そうして、私達はジョルジュ発案の秘密クリスマスパーティは敢行された。
『天国』のビルは、都内とは少し離れた郊外に立てられている。都会というには十分な場所だが。
10階立てのビルは、周りに比べればまだ低い方だが、屋上に出れば少しは空に近くなる。
私達は屋上でバーベキューセットを広げ、そこで天体観測もしてしまおうと計画を立て、決行の日を待った。
そして、クリスマス当日。12月25日。
仕事が終わり、私達は一端家に帰るフリをして集合場所で集まり、『天国』のビルへともう一度向かった。
『天国』のビルには警備員が数人いるだけで、中はかなり暗かった。
あらかじめ拝借しておいた鍵を使って中に入り、屋上へと続く階段を上り続ける5人組。
_
( ゚∀゚)「いやあ、夜のビルってのも怖いもんだな」
(*゚∀゚)「なんか学校に行ってた時のこと思い出すなあ、ねえ、しぃ?」
(*゚ー゚)「そうだね」
⌒*(・∀・)*⌒「私も高校でこんなことやりたいなあ」
やめておけ、照美。きっと怒られるから。
純粋な少女にこんなことを吹き込んでおいていいのだろうか? と私は思いながら、階段を上り続けた。
- 49: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:15:24.40 ID:IBS2W5mv0
- と、不意に後ろに人の気配がして、振り向いた。
すると、1人の男が階段と廊下をつなぐ扉の前に立ち、こちらを凝視していた。
「……何してるんだい?」
小さな微笑を浮かべる中年と見られるその男。
5人組とその手に持つものを交互に見つめ、「ああ、そういうことね」と納得したように手を叩いた。
_
( ゚∀゚)「やべ、逃げろwww」
(*゚∀゚)「やっほーwww」
(*゚ー゚)「え? ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃん!」
⌒*(・∀・)*⌒「いけいけ〜」
先を歩いていた4人が逃げる。
逃げてもどうにかなるものでもあるまい? もう顔は見られているし、報告されれば自分達はきっと軍事法廷にでもかけられるだろう。いや、普通の裁判所か?
私は、なんとかこの場を切り抜けるための言い訳を探す。
しかし、どう言い訳をすれば、肉と野菜を持ってビルに忍び込む人間に免罪符が与えられるというのだ?
「気にしなくていいよ」
悩む私を前に、スーツ姿で微笑む男が言った。
「楽しそうで何よりだ。私も混ぜてほしいぐらいだよ」
「え、あの……」
「大丈夫。ここは見逃してあげるから、友達のところへ言っておいで」
「は、はあ……ありがとうございます」
私は訳のわからないまま、再び階段を上りだした。
男は微笑を残したまま、私を見送る目を逸らそうとしない。どうにも奇妙な人だ、この人。
- 51: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:17:34.06 ID:IBS2W5mv0
私が階段を上りきり、屋上にたどりつくと、ジョルジュ達はすでに屋上でバーベキューの用意を終えていた所だった。
見つかりそうだったというのに、この気楽さ……苦労するのは私ということか。
_
( ゚∀゚)「よ、遅かったな。なんとかなったみたいだな、その様子だと」
「ああ、見逃してもらえた。どうにも奇妙な男だったがな」
(*゚ー゚)「あの人は見たことがありますよ。確か防衛庁のキャリアの人だったはずですけど」
(*゚∀゚)「そんなことはどうでもいいじゃん。とりあえずクー、肉出して肉〜!」
「あ〜、わかったわかった。だからそう叫ぶな」
私達はさっそくバーベキューパーティを始めた。
楽しかったといえば楽しかった。
ジョルジュが焼肉のタレを飛ばしながら喋ったり、
つーがジョルジュと漫才を繰り広げたり、
しぃが酒に酔って倒れてしまったり、
照美が馬鹿みたいに笑って、ビルの警備員に気付かれないか冷や冷やしたり、
まあ、とにかく騒いだ。騒ぎすぎたというぐらいに騒いだ。
そうしてバーベキューパーティが終わると、今度は天体観測の時間だ。
とは言っても、望遠鏡を持ってきているわけでもなく、ただ屋上に寝転んで、都会の真っ暗な空を見上げるだけ。
星なんてほとんど見えなかった。5人一緒に寝転ぶとなんだか安心感のようなものが湧いてきて、私達は長い間ずっとそうしていた。
- 52: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:20:33.60 ID:IBS2W5mv0
⌒*(・∀・)*⌒「クーさん」
「なんだ?」
横で寝転んでいた照美が話しかけてきた。小声で。
⌒*(・∀・)*⌒「兄さんとつーさん、どう思います?」
「どう思う、とは?」
⌒*(・∀・)*⌒「なんだか良い雰囲気だと思いませんか? ほら」
照美に言われて、私は少し顔をあげてジョルジュとつーの様子を伺う。
2人はなんだかぼそぼそと言葉を交わしながら、少し近い距離で空を見上げていた。
⌒*(・∀・)*⌒「兄さんはつーさんのことが好きなんだと思うんだけどなあ」
「……そうなのか?」
⌒*(・∀・)*⌒「気付きませんでしたか? 普段からモーションかけてるみたいですけど……
つーさんもまんざらじゃなさそうだし、うまくいくと良いんだけどなあ」
私は照美のうっとりとした表情には何も返さず、ただ2人の様子だけを眺めていた。
言われれば、確かにジョルジュはつーと一緒にいることが多いような気がする。
仕事の中でも、2人はコンビネーションを組むことが多い。つーが突っ込んで、ジョルジュが後ろからサポート。そんな攻撃を何度も見てきた。
- 53: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:22:54.13 ID:IBS2W5mv0
……まあ仕事に支障がでないなら、かまわないか。
私はそう思うだけで、その場は何も考えずにいた。
別に2人が付き合おうが何をしようが、それは2人の勝手だ。私が割り込む必要なんかない。
ただ、この関係が続くことを願うのみだ。
天体観測はほどなくして終わり、私達は帰る用意をし始めた。
_
( ゚∀゚)「まあ、こんなもんだろ。なんだか地面が焼け焦げてる気がするが……気にしない気にしないwww」
「ばれたら即減給だな」
まあ、『屋上でバーベキューをしてはいけません』なんてルールはないが。
_
( ゚∀゚)「気にすんなって。ルールだとかお偉いさんの意見ばっかりに従ってたら、何も見えてこないぜ」
その言葉を聞いた途端、ジョルジュが『天国』に送られてきた理由を思い出した。
確か、上司と酒の席で言い合いになったから、だったな。
私はふと、「……そういえば、なぜ『天国』に送られてまで、自分の意見を通そうとしたんだ?」と尋ねた。
_
( ゚∀゚)「ん? 何がだ?」
「上司と国防について言い争いを起こして、『天国』に送られたと聞いている。なぜ、そこまでして自分の意見を?」
他の3人はすでに階段のところで自分達を待っていた。きっと彼らには聞こえていない。
ジョルジュは、うーんと唸り始めた。
- 55: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:24:57.71 ID:IBS2W5mv0
- _
( ゚∀゚)「そう言われてもなあ。だってさあ、俺には俺の意志があるわけで……上司には上司の意志があるわけでさ。
どっちが正しいのかはわかんないけど、とにかく俺は俺の考え方を信じてたわけでさ」
「意味がわからん」
_
( ゚∀゚)「俺もわかんねえよwww とにかく、そうだな……
上司の意見に納得できれば、俺だって自分の意見を変えるさ。けど、あの時は俺の方が正しいと思ってた。そう信じてた。
俺は自分の信じたものを大切にしたい。色々な考え方を色々な方向から見つめて、そこから自分が正しいと思ったものを信じたい。
だから、俺はあそこで譲らなかったのさ」
「……そうか」
_
( ゚∀゚)「え? それだけ? 俺、けっこういい事言ったと思うんだけど?
『ジョルジュさん素敵〜、キスして〜、おっぱい揉んで〜』とか言ってくれないの?」
「あほか」
と大阪人のようなツッコミを返しつつ、私はジョルジュの言葉を反芻していた。
『自分の考え方を信じる』ということ。様々な考えを様々な方向から見るという生き方。
それはとても自由で魅力的な生き方だけれども、
逆にとても辛い生き方ではないだろうか? と私は思った。
※
- 56: ◆ILuHYVG0rg :2006/11/24(金) 01:27:42.09 ID:IBS2W5mv0
- ※
狐「彼らの活躍はめざましかった。
かつては『アンノウン』問題を『いるのかもわからないし、どうでもいい問題』としか思っていなかった内閣や国会議員、防衛庁のお偉方も、
実際に『アンノウン』を目にして、それを倒すクー君達を見て、考え方を改めた。人員が派遣され、『アンノウン』の研究を促進。
『天国』の中でも協力しようとする人が増えたし、彼らの仕事は成功していたと言ってもいいだろうね」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「なんだか似てるね」
('A`)「ん? 何に?」
(´・ω・`)「僕達に。仲間とかくだらないことをやったりとかさ。まあ、彼らと違って、僕やドクオは戦えないけど」
( ^ω^)「……でも、大事な友達だお」
(´・ω・`)「そうだね、ありがとう」
一息ついて、コーヒーを飲む。
苦い。ミルクの味が薄くなったように感じて、ブーンはひとつ咳払いをした。
狐「うん、確かに君達に似ているかもね。信頼関係とも言うべきものが、彼らの間にはあったんだ。
そのおかげで仕事も順調。全てが良い方向に向かっていると……そう思われていた。
けど、その中で事件は起こった」
( ^ω^)「事件……」
狐「始まりは、『アンノウン』の数が少なくなっているという調査結果が出たことだった」
※
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