( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 382: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:14 WdLaI3ZVO
だがそれでも煙の中に一つの陰が見える。
( ・∀・)「…さて、今度は僕の番かな」
モララーは何かを取り出す。
それは現代の銃とは異質の、灰色をした大型の銃。
( ・∀・)「昔親父が使ってたレーザー砲だ。
フルパワーで撃つ為には足りないものがあるのだが…今は十分だろう!」
モララーはその大きな銃身を持ち上げる。
( ・∀・)「ttp:レーザー、起動せよ」
その命令と同時に銃身が前方へと伸びる。
そして銃全体が光に包まれ、やがて光は銃に吸収されるかのように消える。
と同時に『ttp:レーザー』なる銃の各部分から発光。やがてその光は銃口へと集まる。
( ・∀・)「『大事な時に使え』って昔親父に言われたけど今は本当にそんな状況なのかな…
ましてそれで友人を撃つなんてな…
初めは使う気になれなかった。でも使う事がきっと君の為なんだろう……許せ」
彼は銃のトリガーを思いっきり引いた。
その瞬間、銃口に集まっていた光が一気に噴出。
モララーが普段使用する光線銃を遥かに凌ぐほどの極太のレーザーがショボンめがけて発射された。
ショボンが地を這い避けようとした時には既にレーザーに飲み込まれていた。
- 383: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:21 WdLaI3ZVO
だが手榴弾、巨大レーザーを受けながらもショボンはまだ息があり起きあがろうとする。
その身体に赤く大きな物体が降り注いだ。
( ゚∀゚)「…俺は今ものすごい勢いで泣きたい。
今までこれほど悲しく思ったことはきっと、ない。
……………」
ジョルジュはサラマンダーを高く掲げていた。その赤い刃からは炎が高くあがっている。
それは煉獄の炎と言っても過言ではないほど強く燃えさかっている。
その天井に届くほどの炎は刃から分離。
やがて巨大な火炎竜と化し飛び込むかのようにショボンへと墜落する。
( ゚∀゚)「…お前を救いたいと思っていたらこんなことも修得した。
救いたいってのに攻撃するのって矛盾してるよな。
おかしいよな、ショボン…」
- 385: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:10 WdLaI3ZVO
火炎竜に身を焦がされ倒れているショボンに、今度は黒き物体が迫る。
( ^Д^)「…正直な話、人間に情が移るなんてことは初めてだ。
魔界で好き勝手に暮らし、遊び半分に戦い続けていたらこんな気持ちは生まれなかったろう。
ありがとうな。あと…ごめんな」
タカラが持つバシリスクからは今までにない、どす黒い光。
それはやがてブーン達の三倍の高さはあると思えるほどの黒光の大蛇へと姿を変える。
( ^Д^)「これが俺の限界…いや、限界を越えた魔力の結晶だ」
大蛇を象った魔力の化身はその大きさからは想像出来ない速度でショボンへ近付き、噛みつくかのように先端から衝突。
文字通りショボンを飲み込むように突き抜けていく。
やがて最後の尾の部分が命中。
大蛇は役目を終えたかのように消えた。
- 387: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:14 WdLaI3ZVO
(;´・ω・`)「僕としたことが……
……こうなったら……ここにいる者全て………道連れに…」
これだけの攻撃を受けてなおもショボンは立ち上がる。
強大なる魔力を抱えた人間所以か。
或いは憎しみが自らを鞭打っているのか。
それは解らない。
だが彼は今自らの命諸とも全てを終わらせようとしている。
(;´・ω・`)「体内に眠りし全ての魔力よ、破滅の力と化し暴走せよ…!!」
ショボンは焦げ痕だらけの腕を高く掲げる。
同時に彼の頭上に黒い球体が形成され、それは回転しつつ次第に大きくなる。
(;^Д^)「まずいな…
あれを落とされたら間違いなく防ぎきれない」
- 388: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:19 WdLaI3ZVO
(´・ω・`)「…もう終わりにしよう…
君達も、僕も、全ての幕を閉じようじゃないか」
あの強大な力に対抗できる手段はないのか?
( ^ω^)「なら…僕が止めてみせるお!」
(;゚∀゚)「ブーン!? 大丈夫なのか!?」
( ^ω^)「僕の霊刀の力なら止められるかもしれないお!」
ブーンが今までセラの力を発動させなかった理由、それは――――
( ^ω^)「…力を維持するのが難しくてまだ完全に使えないんだお…
みんなを傷つけたくなかったんだお…」
持ち主であるブーンだけでなく周りの者にも被害が及ぶ危険性。
彼はそれを恐れていた。
だが
( ^ω^)「…でも、もうこれを使うしかないんだお!!
セラ、能力起動!!」
声と同時にその白く光る霊刀が、力を解放した。
- 389: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:29 WdLaI3ZVO
ブーンが下したセラの能力起動宣言。
それにより刃を覆う白い光が一層強くなる。
それは黒い光を放つバシリスクと対をなす光景とも言える。
( ^ω^)「……後は…」
ブーンは全身に力を入れる。光はますます強くなり―――
やがてそれは電光へと姿を変える。
同時に、反動がブーンを襲う。
(; ^ω^)「ぐっ…負けないお!」
(´・ω・`)「…終わりの時は近い。
……3」
霊刀の力に耐えることが出来なければ能力の発動は失敗に終わる。
ブーンの持つセラは特に強力な能力を持つが為に持ち主への反動も大きいのだ。
だが今それを冒すことは絶対に許されない。
これは一度きりの機会。
( ^ω^)「僕は…今倒れる訳にはいかないんだお!
死ぬのは…ショボンを止めてからだお!!」
(´・ω・`)「……2」
叫びと同時に高く掲げたセラの刃に稲妻が纏い、轟音をあげる。
( ^ω^)「…確かにもう終わりだお」
(´・ω・`)「…1…?」
( ^ω^)「でも終わらせるのは全てじゃない…
終わらせるモノは只一つ…」
その瞬間。
ブーンは右手に力を込めてセラを一振り。
( ゚ω゚)「君を狂わせた悪しき心だお!!!」
(;´゚ω゚`)「があぁぁぁぁぁぁ!!」
―――巨大な稲妻が嵐のようにショボンへと降り注いだ。
- 390: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:41 WdLaI3ZVO
ショボンが放とうとした最期の一撃は主であるショボンが倒れコントロールを失った為に発動することはなかった。
(; ゚ω゚)「はぁ…
もう倒れそうだお」
ブーンは力を使い果たし、地面に座り込む。
…と、その時。
(;´゚ω゚`)「……僕はとんでもないことを…しようとしていたみたいだ…」
(;゚∀゚)「おい…お前、生きてるのか?」
だがその身体は全身が焼け焦げ、至る所から血が流れ出ている。
もはや瀕死状態のショボンは倒れたまま話し続ける。
(;´゚ω゚`)「僕は魔界の人間…けど君達には何の罪もなかった…
…でも僕は感情を押さえきれず君達を襲ってしまった…
僕がどうかしていたんだ…済まない」
ショボンは正気に戻っていた。
(; ^ω^)「ショボン…君は悪くないお。
君の過去の心の傷に気付かなかった僕達の責任だお」
(;´゚ω゚`)「許して貰えなくてもいい…
…でも君達は本当にいい友人だった。
僕の為にここまでしてくれて…ありがとう…」
(; ^ω^)「…」
(´゚ω゚`)「…し…まれか…る……が…る……ら…」
(; ^ω^)「ショボン…?」
(´゚ω゚`)「…君達のような『普通の人間』に…生まれてきたいよ…」
途切れ途切れではあったが、最期の言葉ははっきりと聞こえた気がした。
ショボンの表情は、人生に満足したかのように安らかだった。
- 392: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:29 7RpyPqyyO
――その後。
ブーン達はその場でショボンを埋葬した。
泉のすぐそば、石塔から少し距離を置いた場所。
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)「……」
皆声を出すこともなく、泣くこともなかった。放心状態だった。
ブーン達は静かに黙祷を捧げ、その場をあとにしようとする。
- 393: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:30 7RpyPqyyO
( ^ω^)「……その前に水が飲みたいお。ちょっと泉の水を飲むお」
( ゚∀゚)「俺もだ…
つうかみんな飲んどけ」
( ^Д^)「…俺はイラネ。
聖なる泉って言うくらいだから俺が飲んだら消滅するかもしれん」
タカラとまだ気絶したままの毒男を除く者達は泉の水を飲んだ。
すると
( ・∀・)「…何か楽になってきた。疲れが取れたらしい」
ξ゚听)ξ「うん…
この泉にはリフレッシュ効果があるみたい」
( ^Д^)「なら毒男にも飲ませてやってくれないか?」
( ゚∀゚)「そうか! これで毒男も回復するな!」
ジョルジュは泉の水を汲み、それを気絶している毒男の口へとを流し込んだ。
('A`)「…? 俺どうしたんだ?」
( ^Д^)「おお、復活したか!」
毒男は無事回復した。
だがそうなるとまず話さなければならないことがあった。
- 394: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:34 7RpyPqyyO
('A`)「そうか…やはり…」
ショボンの最期を見届けることが出来なかった毒男。
('A`)「…今更とやかく言っても仕方ないよな…」
泉の水を飲んだ者達は皆同じように体力面でのみ回復した。
―――ただ一人を除いて皆同じ効果だった。
( ^ω^)「とりあえずこれを…」
泉の水を飲むブーン。
――と、その時。
(; ^ω^)「お…!?」
突然ブーンの身体が光に包まれる。
(;゚∀゚)「ちょ、何事だ!?」
…が、光が消えた後に現れたのは先程と何一つ変わっていないブーンの姿。
(; ^ω^)「…何が起きたのか全く解らんお」
(;'A`)「むしろ俺達が聞きたい」
( ゚∀゚)「おい、モララーは何か解るか?」
( ・∀・)「知らん」
理解不能な現象なので放っておくことにした。
- 395: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:38 7RpyPqyyO
結果的に、ショボンが持っていたクラーケンと、泉の中心にある岩の上の宝石は持ち帰ることになった。
特にクラーケンを持ち帰るのは辛いことだったが、このままにする訳にもいかなかった為だ。
因みに岩の上から宝石を取った途端、泉に水が湧き出ることはなくなり泉はすぐに朽ちてしまった。
( ゚∀゚)「…今度こそ帰るか」
( ^Д^)「そこは俺に任せろ」
タカラは指を前に突き出す。
すると目の前の空間が歪みはじめた。
( ^Д^)「この中へ入れば入口まで戻れる」
( ^ω^)「ちょ、実にファンタジックだおwwwwww」
- 396: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:41 7RpyPqyyO
…そして
( ゚∀゚)「入口まで戻った訳だが」
( ^ω^)「何か不思議な気分だお…
そういや警備員の人達は…」
ξ゚听)ξ「まさかとは思うけど…あの人達?」
そこにいたのは…
(,,゚Д゚)「よっしゃ、いくぞ」
((゚∀゚∩「あたっくだよ!」
何故かあのなおるよという、不思議な生物の姿もあった。
(;><)「冷たいです! 反撃なんです!」
∩゚∀゚))「ぶろっくだよ!」
足下にある雪を丸めて投げては障害物の陰に隠れ…
どう見ても雪合戦です。本当に(ry
(; ^ω^)「今凄いものを見た気がするお」
( ・∀・)「どうでもいいが 奴 等 は い な い だ ろ う な ? 」
モララーは注意深く辺りを見回す。
と、背後から…
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいたまさいたま!!」
(; ・∀・)「qあwせdrftgyふじこlp」
モララーは気絶した。
- 397: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:47 7RpyPqyyO
(,,゚Д゚)「…ん? あんたら戻ったか」
ブーン達に気付いた相手が言う。
( ゚∀゚)「まあ…取り敢えず生還したことだけ言っておく」
( ><)「気のせいか人数が増えてます!
あと何か変なのがいます!」
( ^Д^)「変なのって俺のことだよな…
まあ気にすんな!」
( ><)「そういうことにしておきます!」
ブーン達はあまり話すことはしたくなかったのだが、相手は一応ここの関係者なので適当に生還したことだけを伝えた。
- 398: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:50 7RpyPqyyO
( ゚∀゚)「あ、そうだ」
ジョルジュは何かを思い出したかのように荷物を漁りはじめる。
( ゚∀゚)「お前等に渡しておきたい物があってな」
そして取り出した物とは…
(;,,゚Д゚)「ちょ、それって宝石だよな?」
( ><)「しかも大きいです!」
そう、遺跡最深部にあった泉の宝石だった。
( ゚∀゚)「ちょっと訳ありでな、俺達が持ってると辛いからお前等にやるよ。
家宝にするなり売り飛ばして金にするなり好きにするがいいさ」
(,,゚Д゚)「いいのか…?
本当にいいのか? 後悔しないな?」
( ^ω^)「僕もそれでいいと思うお…」
('A`)「俺も」
- 399: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:58 7RpyPqyyO
他の者達も同じ答えだった。
それで本当によかったのか。
それは解らない。
辛いことを早く忘れたいという、単なる現実逃避なのかもしれない。
(,,゚Д゚)「…ありがとよ」
( ゚∀゚)「おう。じゃあ俺達はもう行くが…
タカラはどうするんだ?」
タカラは少し考える素振りを見せ、
( ^Д^)「俺はちょっと用がある所があるから少しここに残る」
('A`)「そうか…
縁があったらまた会おうな」
( ^Д^)「いや、絶対また会うと思う。
どんな形かは解らんが」
('A`)「だといいな」
こんなことを言いながらブーン達はタカラや警備員と別れた。
( ^Д^)「…まあ実のところ、用があるのはここじゃないんだけどな」
タカラはそう言うと先程のように空間を歪ませる。
(;,,゚Д゚)「ちょ…」
( ^Д^)「じゃあな」
そう言ってタカラはいなくなった。
そして空間の歪みも消える。
(,,゚Д゚)「…今の何?」
( ><)「わかんないです!」
((゚∀゚∩∩゚∀゚))「みすてりっくだよ!」
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいt(ry」
- 400: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:00 7RpyPqyyO
しばらく歩いた後、ブーン達は機械竜で着陸した森へと戻って来た。
( ゚∀゚)「一つ聞きたいことがあるんだが」
ξ゚听)ξ「…何か?」
(;゚∀゚)「何か? じゃねえよwwwwwww
どう考えても行きの時より一人多いじゃねえかwwwwwww」
苦笑いをするも、その表情は暗い。
ξ゚听)ξ「そうね。
…で、それが何か?」
(;゚∀゚)「…いや、悪いとは言っていない。
全員乗れるのかっていう話であってな…」
ジョルジュがくどくどと話し始めた時には皆席に座っていた。
ξ゚听)ξ「普通に乗れるじゃない」
( ^ω^)「問題なしだお」
( ゚∀゚)「…ならいいんだ」
皆は気絶しているモララーを叩き起こす。
モララーは機械竜を発進させ、ブーン達は北亜島をあとにした。
( ・∀・)「もうこの島はこりごりなんだからな!」
- 401: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:09 7RpyPqyyO
因みにモララーが言うには、あの遺跡自体に不思議な言い伝えがあり、知人を引きつける力があったという。
事実ツンやタカラと会った。
そこまではよいのだが、結果的にその力が悪い結果を引き起こしてしまったのかもしれない。
AA町
ブーン達はツンと別れ、事務所へと戻ってきた。
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「……」
いつもならば目標の物を盗み意気揚々と塒へ引き上げる盗賊のように振る舞うブーン達だったが、今回ばかりは何もする気が起こらない。
理由は、目標を入手し損ねたからではない。
大切なものを失ったからだった。
ただ食事を取り、寝る。
それだけで数日を過ごした。
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