( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 133: ◆wAHFcbB0FI :11/17(金) 07:37 nGCiZ0IFO
第三話 ( ^ω^)ブーンは正真正銘の財宝ハンターのようです
洋館での戦いから約一年が過ぎた。ブーン達は仕事を依頼されたときはそれに励み、暇なときは適当に時間を潰したりここぞというときの為に霊刀の手入れや筋トレをしたりと、要は以前と同じく他愛のない日々を過ごしていた。
そんなある日のことである。
- 134: ◆wAHFcbB0FI :11/17(金) 07:41 nGCiZ0IFO
( ゚∀゚)「いいか、今日は凄い話がある」
ジョルジュの発言にブーンと毒男は身を乗り出す。
('A`)「何だ? 宝くじで三億円でも当たったのか?」
( ^ω^)「多分違うお」
( ゚∀゚)「ああ、宝くじとかそんなチャチなもんじゃねぇ」
( ^ω^)「しかし今日は何時になくmjな雰囲気だお」
( ゚∀゚)「それを言うな。とりあえずこれを見てみろ」
ジョルジュはそばにあった昨日の新聞を開く。そこには一つの大きな記事があった。
('A`)「あっ、これは昨日の新聞だな。知ってるぞこれ、遺跡がどうのこうのっていう記事だろ?」
( ゚∀゚)「そうだ。昨日この2L国の最北端である北亜島で古代遺跡が発見された。そこまではもう知ってるよな?」
(; ^ω^)「知りませんが何か?」
世間知らずなブーンに二人は呆れたがブーンはそんな空気も気にせずのんきにトーストをかじっている。
('A`)「…新聞嫁」
( ゚∀゚)「全くだ。いつも意味もなくチラシの裏ばかり見てるからお前はそうなんだ!」
(; ^ω^)「そんなイミフなことしないお」
- 135: ◆wAHFcbB0FI :11/17(金) 18:24 nGCiZ0IFO
( ゚∀゚)「話戻すぜ。その遺跡はブルーピラミッドというらしく、中には常識では考えられない程の凄い財宝が眠っているという噂なんだが、中に入るのは危険と判断され現在は警備員が入口をガードしているという」
('A`)「なるほど、警備員使ってまで入口封鎖してるぐらいなら絶対に何か秘密があるな。しかも財宝の噂まで流された日には俺達も黙っちゃいれないね」
ジョルジュはそこで案を出す。
( ゚∀゚)「そう思うだろ? そこで俺の考えだが…」
( ^ω^)「長くなりそうだから三行キボンヌ」
少し考えてからジョルジュは言う。
( ゚∀゚)「遺跡侵入
財宝入手
俺達最強」
( ^ω^)('A`)「半ばイミフだが把握、そしておkwwwww」
つまり、危険とされている古代遺跡ブルーピラミッド、その最深部にあるという財宝を自分達で持ち帰る。警備員がいるくらいだから相当危険視されているに違いない。だが俺達はそこへ行く。折角だから自分達の力を世に見せてやろう、ということのようだ。全く異議なし…だったのだが。
- 137: ◆wAHFcbB0FI :11/18(土) 18:21 giiNCcMdO
( ^ω^)「それはいいとしても一つ問題があるお」
( ゚∀゚)「何だ?」
( ^ω^)「北亜島は2L国の最北端です。歩いて行けるような所ではありません。当然旅費が必要です」
そう、資金の問題。最北端の島となればやはり飛行機やフェリーを使わなくてはならないだろう。それには言うまでもなく金が絡んでくる。
('A`)「まあ一応それぐらい金はあるけどな」
確かにブーン達はこれでもなかなかの大金を持つやり手なのだが仕事依頼、つまり収入が入る回数は常に不安定な為出来ることなら費用は最小限に抑えたいところだ。
- 138: ◆wAHFcbB0FI :11/18(土) 18:25 giiNCcMdO
( ^ω^)「さて、how much?」
( ゚∀゚)「今教えてやろう。旅費はな……0円」
(; ^ω^)(;'A`)「ちょwwwwおまwwwwww」
訳のわからないことを言うジョルジュに二人は食ってかかる。
( ^ω^)「何馬鹿なことを言ってるお!真面目に考えるお!」
('A`)「気でも狂ったのか?」
だがジョルジュは先程のブーンのときのように平然と答える。
( ゚∀゚)「落ち着け、俺は正気だし馬鹿でもない。まあ利口でもないがな。理由を教えるから地下へ来い」
( ^ω^)('A`)「地下と言えば…」
三人は事務所の地下室へ降りる。この地下室は意外にも広く、そしてモララーが居候している部屋…なのだが三人は地下室を特に必要とせず、長期滞在は全く気にも留めていない。その為最近はモララーの住処となりつつあるのだ。
- 139: ◆wAHFcbB0FI :11/18(土) 18:30 giiNCcMdO
( ^ω^)「…という訳でやってきました地下室入口」
( ・∀・)「やあ。話はジョルジュから聞いてるかな?」
('A`)「北亜島潜入
金かかる
だが本人曰わく旅費0円」
( ・∀・)「三行説明乙」
本題に移る。
( ^ω^)「で、旅費0円っていうのはどういうことだお?」
( ・∀・)「まあとりあえずこれを見てくれたまえ」
モララーはそう言って地下室の明かりをつけ、三人を部屋へ入れた。そこにあったのは…
- 140: ◆wAHFcbB0FI :11/19(日) 17:46 Pax1Gj5DO
(;'A`)「げっ、どうやったらこんな物造れるんだよ…」
(; ^ω^)「君は本当に人ですか?」
なんと地下室にあったのは機械仕掛けの大きな竜だった。しかもちゃんと動いている。
( ・∀・)「まあこういうことだ。一年ぐらい前からこつこつ造り上げた代物であり…」
(;゚∀゚)「いや、苦労話はいいからwwwwww」
( ・∀・)「こいつなら北亜島まで一瞬…とまではいかなくてもそう長くかからないだろう」
これならば北亜島まで難なく飛ぶことが出来る。ブーンと毒男は納得したようだ。
- 141: ◆wAHFcbB0FI :11/19(日) 20:21 Pax1Gj5DO
だが、ブーンはこれ程の物を見せられるとどうやって造ったかを知りたくなる性格だった。
( ^ω^)「これはどうやって造ったんだお?」
( ・∀・)「…君達はあの石像を覚えているかな?」
約一年と二カ月前、四人は石像に追われるハメになった。並大抵の攻撃は通用せず、最終的にモララーの作った最強の爆弾と普通の人間には不可能なブーンの飛行能力という、非常に現実離れした連携攻撃によって何とか粉砕したのだ。
('A`)「ああ、俺達が死にかけたアレね。それがどうした?」
( ・∀・)「僕はあの後石像の残骸を調べた。すると実に興味深い物質を見つけてね、それを使ってこの竜を造ったんだ。要するにそれがこいつの核、いわゆる心臓部分だね」
( ゚∀゚)「つまりそれが石像が動いていたからくりだったんだな」
( ・∀・)「そういうこと。因みに飛ぶだけでなく地面を掘ったり海に潜ったりも出来る」
(;゚∀゚)「やるなwwww」
( ・∀・)「まあ、まだ攻撃命令とかは出来ないけどね」
(;'A`)「いや、飛べる時点で十分上等だって」
三人はモララーの恐るべき科学力にただ呆然とするしかなかった。
- 142: ◆wAHFcbB0FI :11/19(日) 20:25 Pax1Gj5DO
( ゚∀゚)「と、まあこういう訳で旅費は0円だ。理解したな?」
( ^ω^)('A`)「把握した」
(;゚∀゚)「…もうどっちでもいいよ」
こうしてブーン達は初の遺跡侵入の計画を立て始めるのだった。
('A`)「何かこのごろ俺達悪の道に突き進んでる希ガス」
(;゚∀゚)「そこは気にするな」
- 143: ◆wAHFcbB0FI :11/20(月) 08:06 qDmOcIK6O
数日後のある夜。
四人は早くも北亜島へ飛び立とうとしていた。
( ゚∀゚)「思ったんだが…これどうやって外に出すんだ?」
( ・∀・)「大丈夫。この転移装置を使えばね」
モララーは持っていたリモコンのボタンを押した。すると途端に機械竜が消えた。
( ・∀・)「外に出るよ」
四人が外に出るとなんと先程まで地下室にあったはずの機械竜がそこにいた。
(;゚∀゚)「お前って本当に凄いよな」
( ^ω^)「モララーはどう考えても二十二世紀から来た未来人です。本当にありがとうございました」
( ・∀・)「ねーよwww」
( ゚∀゚)「なるべく急ぐぞ。他にも俺達のような奴がいるかもわからんからな」
('A`)「(そんな奴他にいないと思うけどな)」
四人は機械竜に乗り込む。
( ・∀・)「準備おk、発進!」
モララーが操縦席のレバーを引くと機械竜は翼を広げ凄いスピードで空へ飛び立った。助走等はいらないようだ。
- 144: ◆wAHFcbB0FI :11/20(月) 19:58 qDmOcIK6O
( ^ω^)「うはwwwwwガチで空飛んでるお!」
子供のようにはしゃぐブーン。正確には翼で飛ぶというより翼に取り付けてあるジェットで飛んでいるようだ。
( ゚∀゚)「これで墜落なんかしたらこの世とさよならだ。まあそれを覚悟の上で乗ってる訳だが。大丈夫だろうな?」
( ・∀・)「ああ、ちゃんと往復分の燃料入れてあるから。任せといて」
下手をすれば生きて帰れないかもしれないのにモララーにはえらく自信があった。
( ・∀・)「やっぱさ、古代遺跡に進入って響きはいいよね。何というか…いや、何でもない」
('A`)「(モララーにしては珍しい発言だな。こいつも遂に俺達みたいに堕落したかwww)」
数年前まで地下室で開発に没頭していただけのモララーにしては確かにこんな発言は珍しかった。いくら天才科学者といえど朱に交われば朱くなるのだろう。いい意味かどうかは別としてだが。
- 145: ◆wAHFcbB0FI :11/22(水) 06:35 J8YXuEjmO
しばらくして
( ・∀・)「もうすぐ北亜島へ到着するよ」
(; ^ω^)「ちょwwwまだ一時間しか経ってないお」
( ・∀・)「それだけこの機械竜の飛行速度が速いってことだね」
(;゚∀゚)「(ここまでくるともはや作者がはしょったとしか考えられんな)」
そこは気にしないで頂きたい。
('A`)「おい、見えてきたぞ」
( ^ω^)「おっおっ、綺麗な景色だお」
四人がモニターを見るとそこには雪で覆われた美しい北亜島の姿があった。
( ・∀・)「着陸するよ」
機械竜は弧を描くように夜空を廻りながら目立たない位置に着陸した。四人は外へ出る。
(; ^ω^)「…これは予想以上に厳しい環境だお」
今は夜であり、しかも雪が積もっている為気温がかなり低いのだ。
- 146: ◆wAHFcbB0FI :11/22(水) 06:40 J8YXuEjmO
( ゚∀゚)「確認。武器は持ったか?」
( ^ω^)「持ってるお」
('A`)「つうか武器無しで突入とか自殺行為だしwww」
四人は自分達の武器の確認をした。問題なし。
( ゚∀゚)「貴重品は?」
('A`)「ねーよwww」
( ゚∀゚)「それでいい。落としたりしたら面倒だしな」
むしろない方が普通なのだが。
( ゚∀゚)「次、道具等は?」
( ・∀・)「僕だね。ちゃんとあるよ」
モララーは持ってきた道具一式を見せた。
( ゚∀゚)「上出来だ。で、食料は…」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)「ねーよwwwwww」
四人は肝心(?)の食料を忘れたようだ。
(;゚∀゚)「まあいいよな。なんとかなるよな」
だがここ北亜島には人は住んでいない。普段は無人島だ。無論コンビニ等もない。現在北亜島にいる人間は恐らくブーン達四人と警備員だけだろう。
( ^ω^)「とりあえず進むお。そのうち食料も手に入るお」
さて、この先本当に大丈夫なのだろうか…
- 147: ◆wAHFcbB0FI :11/23(木) 09:18 vNQJa+nBO
着陸した場所が森だった為まずは森の外へ出る道を探すことになった。真夜中の為辺りは真っ暗であり、当然懐中電灯が必要だった。
( ・∀・)「懐中電灯なら持ってるから大丈夫だよ」
四人は辺りを照らしながら進んでいた。
するとどこからか何かの声が聞こえてきた。
「…に…くても……て…すれば…よ!」
( ゚∀゚)「おい、何か聞こえないか?」
声に気付いたジョルジュが聞く。
('A`)「確かに聞こえるが…ここって無人島じゃないのか?」
そのとき何かが茂みから飛び出してきた。
(;゚∀゚)「おいおいいきなり敵か?」
(; ^ω^)「不意打ちかお!」
- 148: ◆wAHFcbB0FI :11/23(木) 09:29 vNQJa+nBO
だがそうではなかった。
((゚∀゚∩「なおるよ!」
(; ^ω^)「…はい?」
四人が戸惑っているとさらに懐中電灯にもう一つの陰が現れる。
∩゚∀゚))「ぎゃくむきだよ!」
('A`)「何だ? 変なのが出てきた…」
二匹の奇妙な生物は納得いかないように再び言い出す。
((゚∀゚∩「もういちどいうよ! なおるよだよ!」
∩゚∀゚))「ぎゃくむきだよ!」
((゚∀゚∩∩゚∀゚))「どんなにくるしくてもおいしいものたべてうんこしたらなおるよ!」
(; ^ω^)「どうなってるお、ジョルジュが増殖したお」
(;゚∀゚)「ねーよwwww」
突然現れた奇妙な生物に四人が振り回されているとモララーが立て札を見つけた。
( ・∀・)「立て札があるってことは昔は誰か住んでたのかな…読んでみるか」
((゚∀゚∩「なおるよ!」
( ・∀・)「五月蝿い。えーと、『この森は[なおるよ!]の生息地です。大人しいですが持っている食物を奪うと襲ってくるので絶対にやめましょう』だって。なおるよってこいつらのことか」
なおるよという生物を見ると確かに魚を持っている。案外狩りは得意らしい。海で捕ったのだろうか。
( ^ω^)「ってことはここはスルーが正解だお。あの魚欲しいけどここは我慢だお」
先に進もうとするブーンに毒男が待ったをかける。
('A`)「おい、最後まで立て札読もうぜ。遺跡について何かわかるかもしれない」
毒男は続きを読み始めた。
('A`)「『また、この北亜島には…』文字がかすれてて読みづらい…これ何て読むんだ? …さいたま?」
(; ・∀・)「何 だ っ て ? …ごめん、僕先行ってる。森の外で待ってるから」
そう言うなりモララーは凄い速さで森の外へと姿を消した。
- 150: ◆wAHFcbB0FI :11/23(木) 22:26 vNQJa+nBO
(;゚∀゚)「…あいつ、そのさいたまとやらが苦手なんだな」
( ^ω^)「そういえば前にもそんな様なこと言ってたお」
((゚∀゚∩「さいたまもこのもりにいるよ!」
∩゚∀゚))「ほかにもいろいろいるよ!」
二匹のなおるよがそう言うと同時に茂みからまたも何かが飛び出してきた。
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいたまさいたま!」
それはさいたまさいたまと連呼するこれまた奇妙な生物だ。ついでに何故か三匹一緒のようだ。
(; ^ω^)「もしやこれが…?」
((゚∀゚∩「これがさいたまだよ!」
もはや意味不明である。
- 151: ◆wAHFcbB0FI :11/23(木) 22:29 vNQJa+nBO
('A`)「なるほどねぇ…何か同じようなのばかりで頭痛くなってきた」
(; ^ω^)「全くだお、ジョルジュが六人(ry」
(#゚∀゚)「ビキビキ」
(; ^ω^)「ま、待て話せばわか(ry」
(しばらくお待ち下さい)
デュクシデュクシ
アッ-!
(再開)
(;#)ω(#)
( ゚∀゚)「紛らわしいしさっさと進んだ方がよさそうだな」
∩゚∀゚))「それがいいよ!」
色々あったが三人はモララーを追うことにした。
('A`)「(しかし何でモララーはこんな奴が駄目なんだろう…よくわからんがあまり触れない方が良さそうだな)」
毒男がそう思って歩きだそうとした、そのとき。
- 152: ◆wAHFcbB0FI :11/23(木) 22:36 vNQJa+nBO
(; ^ω^)「ぼ、僕も先行ってるお。このままだと死にそうだお」
ブーンは青ざめた顔で言った。
('A`)「ちょwwww復帰早いなwwwww」
( ゚∀゚)「どういうことだそれは?」
(; ^ω^)「後ろを見ればわかることだお。僕はもう先に逃げるお! また会おう!」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーーーン
( ゚∀゚)「? 逃げる?」
ジョルジュは疑問を抱きながら後ろを向く。
( ゚∋゚)「……」
そこには人間に似た何かがいた。恐ろしく力が強いことが一目でわかる程の筋肉、戦意を奪われてしまいそうな威圧感。
(;゚∀゚)「(本当にこの森は不思議生物盛り沢山だな…)」
(;'A`)「おい、どうするんだ?」
(;゚∀゚)「どうするって…やることなんて一つしかないだろ?」
相手は今にも襲ってきそうだ。
('A`)( ゚∀゚)「エ ス ケ ー プ !」
毒男とジョルジュも逃げ出した。
残るは…
( ゚∋゚)「……」
((゚∀゚∩∩゚∀゚))「…とりのこされたよ!」
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいたま!」
この後これらの生物がどうなったかは別の話である。
- 154: ◆wAHFcbB0FI :11/25(土) 20:35 OKCedAE7O
一足先に森を抜け出したモララーは夜の銀世界の中ブーン達が来るのを待っていた。
(; ・∀・)「(僕はあいつ…さいたまだけはどうしても苦手なんだよね…ブーン達早く来い…)」
しばらくすると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーーーン
( ^ω^)「ブーン参上!」
( ・∀・)「やっと来たな」
だが毒男とジョルジュの姿はない。
( ・∀・)「なあブーン、あの二人は?」
ブーンははっと我に返る。
(; ^ω^)「…置いてきちゃったお。何せ変な筋肉野郎に襲われたから逃げるのに必死だったんだお」
( ・∀・)「ちょ、お前なぁ…」
モララーが言い出す前にブーンは言い返す。
( ^ω^)「五十歩百歩だお。最初に逃げたのはモララーだお」
(; ・∀・)「あ…あれは僕にとってこの上ない非常事態だったからな!(畜生、僕が押されるとは…)」
( ^ω^)「馬鹿め、結局の所逃げたのに変わりないお!(うはww日頃の報復だおwww)」
(# ・∀・)「(このまま終わってたまるか!)…少なくとも僕と君の頭脳には天と地の差があるよ。お前が馬鹿だ!」
(# ^ω^)「(ビキビキ)最初に逃げたチキンのくせにやかましいお!」
(# ・∀・)「黙れ、それこそ五十歩百歩だ!」
………
(;゚∀゚)「…何やってんだこいつら」
(;'A`)「さあ…?」
ある意味激しい戦いをしていたブーンとモララーは毒男とジョルジュが追いついた後もしばらく気付かなかったという…。
- 155: ◆wAHFcbB0FI :11/25(土) 21:05 OKCedAE7O
数分後
(;゚∀゚)「気付くの遅杉だってのに」
( ^ω^)( ・∀・)「正直すまんかった」
ようやく収まった二人。
( ・∀・)「そういえば、三人ともどうしてこの場所がわかったの?」
とりあえず遺跡を探すべく歩きながらモララーは問う。
( ^ω^)「こんなに雪が積もっててしかも他に人がいなければすぐにわかるお」
ブーンはそう言って足下を指さす。足跡がはっきりと残っていたのだ。
( ・∀・)「成る程」
( ゚∀゚)「しかし、なおるよ達置いてきちまったな」
('A`)「今頃あいつらはきっと…仕方ない、それが野生の生物の掟だ」
さらに数分後
('A`)「俺達は遂に目的の場所を見つけたぞ」
当てもなく歩き回ったのが幸いしたのか、今四人の目の前にあったのは透き通るような水色の巨大な四角錐。それはブルーピラミッドとしか言いようがなかった。
( ^ω^)「ようやく見つけたお。
( ・∀・)「遺跡そのものが大きなクリスタルみたいだな」
( ゚∀゚)「見とれてる場合じゃない。先ずは入口を探すぞ」
四人は警備員を警戒しつつ、一旦ブルーピラミッドから離れた位置で少しずつ場所を変えながら双眼鏡で入口を探した。
非常に効率が悪かった。
- 156: ◆wAHFcbB0FI :11/26(日) 12:38 Z+L2hsRgO
が、しばらくして
( ◎ω◎)「おっおっ、入口ハケーン!」
双眼鏡を覗いていたブーンは声をあげた。
( ゚∀゚)「おお、あったか!」
( ◎ω◎)「ついでに警備員っぽい人も二人いるお」
( ゚∀゚)「まあここまでは想定の範囲内だな」
( ^ω^)「堀江乙」
問題はどうやって入るか。ジョルジュが考えているとブーンが声をあげた。
( ^ω^)「じゃあ早速殴り込むお!」
('A`)( ・∀・)「よっしゃ、レッツfighting!」
(;゚∀゚)「待て待て待て待て! 早まるな!」
無謀な行為に出ようとする三人をジョルジュは慌てて止めた。
- 157: ◆wAHFcbB0FI :11/26(日) 12:39 Z+L2hsRgO
( ゚∀゚)「お前ら落ち着け。確かに俺も殴り込みは好きだが、こんな所で争い起こして面倒なことになんかしたくないだろ?」
('A`)「…確かに」
( ゚∀゚)「それに相手がさっきみたいな奴だったらどうするんだ。首が千切れ飛ぶぞ」
( ゚∋゚) ←さっきの奴
(; ^ω^)「そう思うとゾッとするお」
問題の場所に入る前に命を落としては本末転倒ではないか。ジョルジュはこれでも統率力というものが強いのだ。
( ゚∀゚)「そんな訳だから出来ることなら戦いは避けたい。少し様子を見よう」( ^ω^)「把握した」
ブーンは再び観察を始めた。
- 158: ◆wAHFcbB0FI :11/26(日) 20:32 Z+L2hsRgO
一方、二人の警備員は何か話していた。
(,,゚Д゚)「あーあ、俺達何でこんな所で突っ立ってないといけないんだろうな」
( ><)「わかんないです!」
(,,゚Д゚)「だよなぁ…てかこんな所に誰が来るんだよ? 俺達が見張る意味なんか絶対ないって。そう思わないか?」
( ><)「全くです!」
ひたすら不平を吐く一人とそれに対し適当に反応を示すもう一人。
(,,゚Д゚)「でも給料もらうにはこうする他ないんだよな…」
( ><)「…」
(,,゚Д゚)「…」
沈黙。それだけが数十分続いた。
( ◎ω◎)「…」
ブーンもまた彼等から目を離さなかった。この気温の中で長い間じっとしているのは辛いものである。
- 159: ◆wAHFcbB0FI :11/26(日) 20:34 Z+L2hsRgO
数十分後
(,,゚Д゚)「暇なので今から講義を開きます」
(;><)「ちょ、講義って何ですか! コントですか!」
いいか、みんな
(゚д゚)
(|y|)
(;><)「みんなって誰ですか?」
(;,,゚Д゚)「やめた。虚しすぎる」
( ><)「大体こんな所でそんなことをする理由がわかんないです! 傍らから観ててかなり痛いです!」
(;,,゚Д゚)「いや…これでも俺は昔高校の教師をやっていた時期があったからな。あまりに退屈でまたやりたくなったのだ」
( ><)「呆れました…見張り交代まであと半月です!」
(,,゚Д゚)「つまりそれまで頑張れと」
( ><)「そうです!」
(,,゚Д゚)「ツマンネ…」
- 165: ◆wAHFcbB0FI :11/27(月) 20:03 3cvtVmqxO
さて、この会話の一部始終を見ていたブーン。
(; ◎ω◎)「あの人達は一体何なんだおwww明らかにやる気ないおwwww」
その後
( ^ω^)「い…今見ていたことをありのままに話すぜ(ry」
ブーンは観察結果を他の三人へ伝えた。
('A`)「ちょwww張り合いねぇwwww」
( ・∀・)「これはもういけるなwwwww」
三人が口々に言い合う中ジョルジュは結論を出した。
( ゚∀゚)「ここは交渉で行く。ついてこい」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)「仕方ない…把握」
四人は遺跡入口へ向かう。
- 166: ◆wAHFcbB0FI :11/27(月) 20:07 3cvtVmqxO
( ゚∀゚)「あのーすいません」
(;,,゚Д゚)「ちょwww人来たwwww」
(;><)「予想GUYです!」
来る人なんかいない、とタカをくくっていた警備員二人は驚きを隠せなかった。四人は警備員に頼み込んだ。
( ^ω^)「中に入れて欲しいお」
(,,゚Д゚)「悪いがそれは無理だ。絶対に入れるなって上に言われてるからな」
やはりこの手の反応だ。だが四人も諦めない。
( ゚∀゚)「そこを何とか…」
( ><)「駄目です!」
('A`)「頼むよ、そのためにはるばるAA町から来たんだから」
四人は必死で頼み続けた。すると警備員から先程とは違う返事が来た。
(,,゚Д゚)「そこまで言うなら特別に入れてやる。後悔するなよ…」
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「おっ!」
勝った、と四人は思った。
- 168: ◆wAHFcbB0FI :11/29(水) 16:59 96qb1ftTO
(,,゚Д゚)「…と言いたい所だが、そうすると俺達給料もらえないんだよね。やっぱ無理」
(#゚∀゚)「(こいつ…)」
なんていい加減な警備員だ。本当に政府から派遣された者なのだろうか。
しかしこのままでは中に入れない。するとジョルジュはある手段を思いついた。
( ゚∀゚)「(…今あいつら給料がどうとかって言ってたよな。…仕方ない、あの技を使うか)」
(; ^ω^)「ジョルジュ、何をするつもりだお?」
ブーンは警備員に聞こえぬよう小声でそっと聞いた。ジョルジュもそれに応じて小声で返す。
( ゚∀゚)b「金 で 心 を 汚 し て し ま え」
(; ^ω^)「(え?)」
- 169: ◆wAHFcbB0FI :11/29(水) 17:10 96qb1ftTO
ジョルジュは何を思いついたのか、無言で懐から札束を取り出し、警備員二人に握らせた。警備員は互いに顔を見合わせた後頷いた。
(,,゚Д゚)「…よしわかった、通れ」
( ><)「どうぞです!」
( ゚∀゚)「おう、恩に着るぜ」
どうやらジョルジュの考えた作戦は成功したようだ。当然これが政府にバレればお互いにただでは済まない訳だが。
四人は早速遺跡へ入ろうとしたが、警備員が再び四人を呼び止めた。
(,,゚Д゚)「ちょっと聞きたいことがある。さっきこの遺跡の裏で発煙筒の煙があがってたんだがそれもあんたらがやったのか?」
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「…?」
突然の予期せぬ質問に四人は戸惑う。
( ゚∀゚)「…俺達は知らないぞ? たった今ここに来たばかりだし」
(,,゚Д゚)「そうか…(こいつら以外にも誰かいるのかな…)呼び止めて悪かった。頑張ってな」
( ゚∀゚)「…」
色々と事があったが、四人は何とか遺跡への侵入に成功したのだった。
- 170: ◆wAHFcbB0FI :11/29(水) 17:16 96qb1ftTO
(; ^ω^)「しかしジョルジュの大盤振る舞いには恐れ入ったお」
('A`)「全くだな、俺には出来ない」
ピラミッド内の最初の通路を進みながらブーン達はそんなことを話していた。
( ゚∀゚)「財宝の為ならあれぐらいくれてやるさ。まあ出来ればあんなことはしたくなかったけどな」
( ・∀・)「取り敢えず、さっきのジョルジュの行動は絶対に他に漏らすなよ」
だが、しばらくするとジョルジュは突然真剣な様子で話し始めた。
( ゚∀゚)「さて、ここからが本番だ。しかも急ぐ必要がある」
( ^ω^)「why?」('A`)( ・∀・)「(おいおいwwww)」
未だ状況が掴めていないブーンにジョルジュは言う。
( ゚∀゚)「いいか、入口の裏で発煙筒の煙があがっていたって警備員が言ってたよな?」
( ^ω^)「聞いてたお」
ジョルジュはさらに続ける。
( ゚∀゚)「俺が思うにこれは発煙筒で警備員の気を引き、その隙に入口へまわって中へ侵入ってパターンだ。要するに…」
('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「既に先客がいるってことだ」
- 171: ◆wAHFcbB0FI :11/29(水) 17:18 96qb1ftTO
(; ^ω^)「ちょwww一人でおkwwwww」
ブーン以外の三人は既に見当がついていたようだ。
( ・∀・)「こんな所へ足を踏み入れる度胸があるくらいだ、その人はそれなりに自信があるんだろう。かなり厄介な相手になると思うよ」
('A`)「だから急ぐべきなんだ。おk?」
( ^ω^)「把握したお」
四人は長い通路を走り出した。
- 172: ◆wAHFcbB0FI :11/29(水) 17:55 96qb1ftTO
四人がしばらく走り続けていると緑色の大きな扉を発見した。そしてそばには看板が立ててあった。
ブーンが看板を読もうとするが…
(; ^ω^)「ちょwwwww読めねぇwwwwww」
看板には見たこともない文字が刻まれていた。
( ・∀・)「成る程、古代文字か…ここは僕の出番だね」
モララーは古文書を取り出し、ページを開いた。
( ・∀・)「ちょっと待ってね…………おk、把握した」
(;'A`)「早いなおい…」
モララーはほんの数十秒で古代文字を解読してしまったようだ。
( ・∀・)「まあこの手作業には随分と慣れてるからね。じゃあ読むよ」
モララーは古代文字を読み始めた。
- 174: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 15:38 2+C/X9LPO
( ・∀・)「『この先、聖なる泉への道』」
( ^ω^)「泉…? ここって遺跡じゃないのかお?」
('A`)「さあ…?俺だって知らん」
( ゚∀゚)「きっとここの最深部には泉があって、そこに財宝もあるんだと思うぞ」
まだ途中なのにもかかわらず三人は自分の思ったことを口々に言い始めた。
(; ・∀・)「…続き読んでおk?」
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)「正直すまんかった」
モララーは続ける。
( ・∀・)「『様々な試練が待ち受けているが、その全てに打ち勝たなくては泉へ辿り着くことは許されない。勇気のある者は扉をくぐるがよい』と書いてあるね。ここまでだ」
- 175: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 15:40 2+C/X9LPO
数秒の沈黙。そして…
( ゚∀゚)「これは…実 に 面 白 い」
最初に切り出すのはやはりジョルジュ
('A`)「泉だか何だか知らんがこりゃ受けて立つとしか言いようがないよな?」
( ^ω^)「当たり前だお! 僕達に不可能はないお!」
続いて毒男とブーンも威勢のいい台詞を言う。皆興奮で腕が震えていた。
( ゚∀゚)「血湧き肉踊るとはこういうことだな…我が同志よ、行くぞ!」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)「合点承知!」
四人は勢いよく扉を開けた。
- 177: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 23:23 2+C/X9LPO
中の空気は外よりもいっそうひんやりとしている。
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「……」
扉の奥はまたも長い通路だった。四人は今その通路を進んでいる。やはり辺りは暗い為懐中電灯がないと何も見えない。
( ゚∀゚)「試練とやらはこの後からってことか。wktk」
しかしこの期待や余裕はどこから来ているのだろうか。
- 178: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 23:24 2+C/X9LPO
しばらく進むと何故か少し明るい部屋へ出た。火の灯った蝋燭が所々に置いてある。一体誰がつけたのだろうか。
( ^ω^)「おっおっ? 前に誰かいるお」
( ゚∀゚)「な、何だって?」
ブーンの前方には確かに人影がある。どうやら二人いるようなのだが…
( ´_ゝ`)「OK、ブラクラゲット」
(´<_` )「流石だな兄者」
この二人、明らかに様子がおかしい。四人は彼等を観察するが、四人が目の前にいるにもかかわらず相手は何かに熱中していて全く気付いていないようだ。
(;゚∀゚)「えーっと、片方が手に持っているのは……なっ、ノートパソコンだと!?」
(; ^ω^)「てか、それ以前にこの人達は一体何なんだお? 」
( ・∀・)「少なくともここの関係者とかではなさそうだけど…」
- 179: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 23:38 2+C/X9LPO
あまりにも意外な光景を見てしまい、呆然とする四人。だが、それでも
(;゚∀゚)「あのー、あんたら誰ですか?」
非常に言いづらい雰囲気の中ジョルジュはノートパソコンを開いている二人へ訪ねた。
( ´_ゝ`)「何だ、また誰か来たぞ」
二人はノートパソコンを閉じ、四人の方へ向く。
(´<_` )「むしろこっちはこの建物が何なのかあんたらに聞きたいんだが…」
( ゚∀゚)「ここは遺跡。俺達はこの奥へ用があってな。そっちは?」
- 180: ◆wAHFcbB0FI :11/30(木) 23:43 2+C/X9LPO
ジョルジュがそう言うと相手も事情を話し始めた。
( ´_ゝ`)「俺達は奇妙な生物が生息する森を一目見ようと思ってこの島へ来た。それで探しているうちに気付いたらいつの間にかここへ来ていたのだ」
( ´_ゝ`)(´<_` )「こんな所へ迷い込むなんて流石だよな俺ら」
(; ^ω^)「…」
確かにある意味流石だとブーン達も思った。
(;'A`)「(この人達大した装備もしてないな。ということは警備員と戦ってもないはず…つまりこの遺跡が世に知れた時には既にここにいたってことか。恐るべし方向音痴…)」
(´<_` )「で、それから何日かここにいる訳だ」
( ゚∀゚)「! (これは使えるぞ!)」
ジョルジュは何かを思いついたようだ。
- 183: ◆wAHFcbB0FI :12/02(土) 22:24 Q5f63MBoO
( ゚∀゚)「なあ、数日ここにいたってことは食料とか結構持ってるよな? 森の場所教えてやるからあんたらの食料少し分けてくれないか?」
( ^ω^)「おっ、食料フラグktkr!」
( ゚∀゚)b「(まあ任せとけって)」
ジョルジュの出した交換条件に対し相手は
( ´_ゝ`)「OK、食料ならまだ大量にあるからな。やるよ」
( ゚∀゚)「(よし、成功だ)」
相手は荷物から大きな袋を取り出し、ブーン達へ渡す。見た目は結構大きい。
( ゚∀゚)「よっしゃ、食料確…」
- 184: ◆wAHFcbB0FI :12/02(土) 22:28 Q5f63MBoO
ジョルジュはそう言いかけて止まった。
それもそのはず、中身は大量のう〇い棒だったのだ。
(; ^ω^)「ちょwwwwwこれが食料…? もっとまともな物はないのかお?」
(´<_` )「すまぬがこれだけだ。だが俺達もこれで数日間生活してきたんだから特に問題はないはずだ。駄菓子も捨てたものじゃないぞ?」
(;'A`)「(いや、どう考えても問題ありありだろwwwww)」
だが今は文句を言っている場合ではない。恐らくブーン達とこの二人以外にも誰か他の人物が遺跡内にいるはずなのだ。こんな状況では何であれ食料をくれるのは有り難かった。
- 185: ◆wAHFcbB0FI :12/02(土) 22:34 Q5f63MBoO
( ^ω^)「…取り敢えず食料をくれてありがとうだお。ところで、他に誰か来なかったかお?」
すると相手は意外な返答をした。
(´<_` )「ああ、確か物騒な物を色々持ってるような姉ちゃんがついさっきここを通って行ったような」
( ・∀・)「何だそりゃ…僕みたいだな」
( ´_ゝ`)「丁度そのとき俺達はPCやってたからよくわからなかったのだ。因みに姉者のことではないぞ」
(;'A`)「(そんな事聞いてないっての。つうか姉者って誰だよwwwww」
しかしこうなるとこれ以上話している余裕もない。四人は相手に森の場所を教え、すぐにその場をあとにした。
( ´_ゝ`)「…さて、場所もわかったことだし俺達も引き返すか」
(´<_` )「そうだな兄者」
- 186: ◆wAHFcbB0FI :12/03(日) 16:59 NXuXReqzO
再び暗い通路。ブーン達はただ進み続けた。すると下り階段を見つけた。階段の先は懐中電灯を使っても先が見えない程の真っ暗闇だ。
( ^ω^)「おっ、階段だお」
( ゚∀゚)「やっと冒険らしくなってきたな」
四人は下の階へ降りる。するとそこには…
( ゚∀゚)「これは予想GUYだな…」
- 187: ◆wAHFcbB0FI :12/03(日) 17:05 NXuXReqzO
そこはまるで遊園地にある巨大迷路の入口を彷彿とさせる、二つの壁に挟まれた道だった。恐らくここから先は一筋縄では行かせてくれないようだ。
('A`)「ん? 待て、地図が貼ってあるぞ!」
( ゚∀゚)「どれどれ?」
毒男が入口前の壁に貼ってあった地図らしき物を指さすが、モララーはそれを真っ向から否定した。
( ・∀・)「使えないよこの地図。どこが現在地かわからないし所々穴が開いてる。これは手探りで頑張れってことだね」
('A`)「やっぱそんなに楽な話はないか」
- 189: ◆wAHFcbB0FI :12/03(日) 18:21 NXuXReqzO
仕方なく手探りで進むことにした四人だが、入って少し進んで右に曲がった所ですぐに壁に突き当たってしまった。
('A`)「もしや出口はないとか?」
( ゚∀゚)「ねーよwwwwwwどこかに抜け道みたいなものがあるだろwwwwww」
( ^ω^)「でもそんな所ありそうにないお」
三人が言い合っているのを尻目に、モララーはじっと壁を見つめていた。そしてモララーは言い出す。
( ・∀・)「成る程、これはよく調べろってことだよ。壁とかをね!」
モララーはそう言うなり目の前の壁に勢いよく蹴りを入れた。するとその部分の壁が後ろに倒れ、そこに道が現れたのだ。
( ゚∀゚)「はー、これわかるチビッコは賢いなあ」
四人とも成人男性です。本当にありがとうござ(ry
- 192: ◆wAHFcbB0FI :12/04(月) 23:07 0T2qurKtO
四人が現れた道へ入ると倒れた壁は自然と持ち上がり、やがて先程のように道を塞いだ。
( ゚∀゚)「どういう仕掛けなのかはわからんがわざわざ元に戻す所とか結構凝ってるな」
( ^ω^)「ともかくこれで道は開けたお。この先もこんな様なのかお?」
実際、後も壁を蹴っては道を見つける…の繰り返しだった。
- 193: ◆wAHFcbB0FI :12/04(月) 23:13 0T2qurKtO
また、どうしても倒れる壁が見つからないときは
( ゚∀゚)「毒男、モララー、いつものアレ任せた」
('A`)( ・∀・)「把握した!」
壁を爆弾でぶち抜いて進んだ。何とも豪快な手段だ。
( ・∀・)「(あ、でもそんなことするくらいなら初めから壁を登って壁の上を歩いた方が楽…それじゃつまらないか)」
…だが四人は後ろの壁に誰かが潜んでいることに全く気付かなかった。
???「(…予想通り。どうやら遂に来たようね。ちょっと様子見てみようかな)」
- 195: ◆wAHFcbB0FI :12/04(月) 23:17 0T2qurKtO
('A`)「おい、出口っぽいぞ」
四人はようやく迷宮の出口にたどり着いたようだ。
(; ^ω^)「と言ってもこれは一体どうしろと」
出口の前で、ブーンよりも二回り程大きな石像が道を塞いでいるのだ。約一年前のあの出来事が四人の脳裏をよぎる。
(;゚∀゚)「石像には嫌な思い出しかないぜ。まさか、動いたりなんかしないよな?」
不安がる四人。だがそれに対し追い討ちをかけるかのようにその石像が動きだし、襲ってきたのだ。
- 197: ◆wAHFcbB0FI :12/05(火) 23:43 6x5VMnqvO
(; ^ω^)(;'A`)(;゚∀゚)(; ・∀・)「…死亡フラグktkr」
四人の後ろでは何者かがこの様子を見ていたが当然四人はそんなことには気付かない。
???「(さて、どうやって切り抜けるのかしら?)」
( ・∀・)「待て、落ち着こう。相手はこっちより少し大きい程度、こっちは四人だから頑張れば倒せる」
( ゚∀゚)「そうだな、落ち着いて対処すれば大丈夫だ。トラウマなど忘れろ、全員戦闘準備だ!」
四人はそれぞれ武器を取り出す。ブーンは聖白刀、毒男は林緑刀、ジョルジュは炎赤刀を構え、霊刀を持たないモララーは光線銃を構えた。
- 198: ◆wAHFcbB0FI :12/05(火) 23:45 6x5VMnqvO
( ゚∀゚)「一斉攻撃だ!」
ジョルジュの合図で四人は石像に攻撃を仕掛ける。三人は霊刀で斬りかかり、モララーは離れた位置で三人に当たらぬよう石像を狙って光線銃を発射する。攻撃は効いているようだが相手はなかなか倒れない。
( ・∀・)「(これは粉砕した方が早いかもね)三人とも離れて。毒男と僕でこいつを潰す」
('A`)「おk」
三人は石像から離れる。その後モララーと毒男は相手の反撃よりも早く荷物から手榴弾を取り出し、石像めがけて投げつけた。
- 199: ◆wAHFcbB0FI :12/05(火) 23:47 6x5VMnqvO
それらは石像の足下で爆発、激しい爆音とともに爆風が石像を包み込む。
( ・∀・)「僕が独自に作ったこの手榴弾の威力には我ながら驚くね」
余裕な表情を見せるモララー。が、その表情はすぐに消えた。
(; ・∀・)「…これは何というか、相当堅いな」
石像にはヒビ一つついていなかった。そして石像はそのまま四人めがけて体当たりを仕掛けてきた。
(;゚∀゚)「やべぇ、これじゃあの時と同じパターンじゃねえか!」
(; ^ω^)「避けるお!」
四人は体当たりをかわしてはすぐに体勢を整える。が、石像の動作は見た目とは裏腹にとても早く避けるだけで精一杯だ。すぐさま相手は殴りかかってくる。
- 200: ◆wAHFcbB0FI :12/05(火) 23:53 6x5VMnqvO
???「ちょ、随分と苦戦してるようね。…これを試してみるか…」
様子を見ていたこの人物は、荷物から何かを取り出し、壁の後ろから石像の方へと投げつけた。
壁|つ●
(; ^ω^)「お? 何か飛んできたお」
(;゚∀゚)「これは…爆弾だ、退避しろ!」
四人は訳がわからないまま後ろへ退く。爆弾はすぐに爆発、避けることの出来なかった石像は一瞬にして崩れ去った。
未だ状況が掴めない四人。
(; ^ω^)「…何が起きたのか全く理解出来ないお…」
(; ・∀・)「僕も今はこれほど強力な爆弾は持ってないよ」
(;'A`)「むしろあんな爆弾は見たことない」
(;゚∀゚)「じゃあ誰が…ってまさか!」
- 202:◆wAHFcbB0FI :12/06(水) 23:06 aYnyQnmPO
???「そう、そのまさかよ」
(;'A`)「(どこかで聞き覚えのある声だ…俺達が以前会ったことのある人なのか?)」
四人は声が聞こえた方を向いた。そこにいたのは…
ξ゚听)ξ「やっほー」
( ω )三^ ^
( A ) 三' `
(゚∀゚)
( ・∀・)「…取り敢えずジョルジュにこっち見るなと言っておこうか」
- 203:◆wAHFcbB0FI :12/06(水) 23:11 aYnyQnmPO
四人は信じられないというような表情をした。
そこには見覚えのある独特な(?)髪型をした女性が立っていたのだ。かつてブーン達に度々仕事を依頼してきた人物、ツンだった。
(; ^ω^)「ちょwwwww何でツンさんがこんな所に…」
ξ゚听)ξ「ツンでいいわよ。それから、ここに来た理由っていうのは…」
ツンが言い終わる前にジョルジュがからかうように言い出した。
( ゚∀゚)「わかったぞ、俺達に憧れて財宝探ししたくなったとかそんなことだろwwwww」
ξ;゚听)ξ「…! べ、別にそんなことじゃn(ry」
( ゚∀゚)「誤魔化さなくたっていいよ。洋館破壊を依頼された時も俺達が財宝目当てだとわかってて敢えて洋館内の調査を許可したり、普通なら危険が伴う爆破のときだってわざわざ近くで見たいとか言ってれば大体わかるよ」
( ^ω^)「何というか分かりやすい性格だお」
初めこそ驚いたものの、どうやら四人は読んでいたようだ。
- 204:◆wAHFcbB0FI:12/06(水) 23:18 aYnyQnmPO
('A`)「それにあんたがさっき使った爆弾だけど、あれって自分で作った物だろ?」
ξ゚听)ξ「…どうしてそれを?」
毒男に続きモララーがいつもの軽い口調で説明する。
( ・∀・)「それはね、僕と毒男は四人の中でも特に爆発物には詳しいから。
この二人ですら見たことのない爆弾だった訳だよ。普通に売られていない物ならそれは独自に作ったっていう理屈だ」
('A`)「しかしあれほど威力のある爆弾作るぐらいだし相当な努力をしたんだろうな。あんたなかなか出来るね」
ξ゚听)ξ「そう、とある武器商人から買った物を分解して自分なりに改良してみたの。
にしても普通に危険物の買える今の世の中って怖いのね」
- 205:◆wAHFcbB0FI:12/06(水) 23:22 aYnyQnmPO
…さて、色々と話が逸れたが本題へ戻る。
( ゚∀゚)「…で、あんたはこれからどうするんだ?」
ξ゚听)ξ「どうするって…先進むけど」
( ゚∀゚)「ですよねー」
笑いながらそう言った後ジョルジュは再び口を開いた。
( ゚∀゚)「もしよかったら俺達と組まないか?」
ξ゚听)ξ「…え?」
突然の提案に戸惑いを隠せないツン。
( ゚∀゚)「だってほら、こんな所まで一人で来るなんて相当なもんだぜ? さっき毒男があんたはなかなか出来るって言ってたけど実際そんなチャチなレベルじゃないと俺は思う訳」
( ・∀・)「下手したら毒男よりも有力かもね」
('A`)「ちょwwwwヒデエwwwwww」
むしろ自分で爆弾を改良する時点でモララーといい勝負だ。
( ^ω^)「それに、僕達にとっても仲間は多い方が心強いお」
ξ゚听)ξ「(仲間、か…)わかったわ、ここから先は共に行きましょう。べ、別に貴方達と一緒がいいとかいう訳じゃないんだからね!」
まさに偶然で意外なことだが、こうして新たに仲間が出来たのだった。
- 206:◆wAHFcbB0FI:12/07(木) 23:21 Lkgoak0SO
ξ゚听)ξ「しかし警備員がいたのに発煙筒一つで簡単に侵入出来たわ。案外ちょろいものね」
( ゚∀゚)「やっぱり遺跡の裏に発煙筒仕掛けたのもあんたか…
よくよく考えたら何で俺はあんな奴等に百五十万も金払ってんだorz」
ξ;゚听)ξ「…」
(; ^ω^)「(ジョルジュそんなに金出してたのかおwwwww)」
さて、迷路状のフロアを突破したブーン達はあんなことやこんなことを話しながら先へ進んでいた。人数が増えたこともありいつの間にか緊迫感というものがほぐれていた。
( ^ω^)「またもや下り階段だお」
( ゚∀゚)「これで地下二階か。面白くなってきたかもな」
その先、一本道が続く。すると何やら水の流れ落ちる音が聞こえてきた。
- 207:◆wAHFcbB0FI:12/07(木) 23:24 Lkgoak0SO
('A`)「…何か音がしないか?」
ξ゚听)ξ「するする」
皆が注意しつつ辺りを見回すと、自分達の立っている足場の下で大きな音を立てて水が流れ落ちている、つまり滝だ。
遺跡の、しかも地下にあるとは到底思えないような美しい光景だが落ちれば即死は確実だろう。
ξ゚听)ξ「何か綺麗な景色ね」
(; ^ω^)「でも僕は怖いお」
助走があれば何故か空を飛べるブーンだが、こういうものにもまた何故か弱かった。
( ゚∀゚)「じゃあ下を見なければ問題なし」
(^ω^)
( ゚∀゚)「こっちも見るな」
いつまでも見とれている訳にもいかないので、ブーン達は先へ進むことにした。
- 208:◆wAHFcbB0FI:12/07(木) 23:30 Lkgoak0SO
すると広い空間に突き当たった。そこにはまたも大きな滝。
ジョルジュやブーンはもしやこれが例の泉なのかと一瞬考えたがすぐにその考えを断ち切った。
( ゚∀゚)「落ち着け…この滝壺が泉なんてことはないはずだ。こんな簡単に終わる訳がない!」
ξ゚听)ξ「泉? 何それ?」
( ・∀・)「そうかそうか、ツンも流石に古代文字は読めなかったか」
モララーは入口の扉前の看板に刻まれていた古代文字についてをツンに説明した。
ξ゚听)ξ「成る程、そんな意味があったの…今までずっとスルーしてきたから全くわからなかったわ」
( ^ω^)「その泉に遺跡の財宝があるかもしれないってことだお」
しかし、この滝の広間で行き止まりになってしまっているのでこれではどうにもならない。さっきのように壁を調べてもみたが何も見つからない。
- 209:◆wAHFcbB0FI:12/08(金) 23:06 ypk3purtO
が、その時毒男が何かに気付く。
('A`)「何かこの滝怪しくね?」
( ゚∀゚)「? どう見ても普通の滝だと思うが……アッー!」
滝をよく見てみるとどうだろう、裏に通路が見える。
ξ゚听)ξ「やっぱりこの場所はフェイクだった訳ね」
( ゚∀゚)「まあそういうことだが…あそこにはどうやって入るんだ? この滝に突っ込んだりしたら死ぬぞ」
この水圧にはブーン達も耐えきれないだろう。
- 210:◆wAHFcbB0FI:12/08(金) 23:09 ypk3purtO
( ・∀・)「(ここは頭を使うんだ…何かいい方法は…)」
しばらく無言で考えていたモララーはふと辺りを見回す。すると、丁度部屋の隅に人一人が入れそうなくらいの長い土管らしきものを見つけた。
( ・∀・)「…これだ! これを使えってことだ!」
何か閃いたモララー。
( ・∀・)「ジョルジュ、あの土管っぽい物をこっちまで持ってきてくれ」
(;゚∀゚)「え…ああ」
ジョルジュは言われるがままに持ち前の怪力で土管のような物を滝前まで引きずってきた。
(; ^ω^)「ちょwwwww何をする気だおwwwwww」
( ・∀・)「君達はただ見てればイインダヨー」
( ^ω^)「グリーンダヨ!」
- 211:◆wAHFcbB0FI:12/08(金) 23:20 ypk3purtO
( ・∀・)「それをそのまま滝に半分だけ差し込んでくれ」
( ゚∀゚)「半分って…こうか?」
ジョルジュはモララーに言われた通り土管を滝へ半分の位置まで押し込んだ。するとどうだろう、土管に水が阻まれて丁度土管がトンネルのようになったのだ。
( ・∀・)「これでよし。後はもうわかるよね?」
四人は一斉に言った。
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)ξ゚听)ξ「くぐれ!」
(; ・∀・)「…その通り。命令形なのは変だがいい答え方だね」
土管はあまり大きくなかったために一人ずつくぐらなければならず多少時間がかかったが、それでもなんとか滝の広間を抜けることができた。
( ・∀・)「余談だけど今みたいな方法で滝を抜ける方法は実際にあるらしいよ」
(;゚∀゚)「ちょ、らしいって…実の所どうなんだ?」
( ・∀・)「知らんがな」
さて、実際はどうなのか…
- 212: ◆wAHFcbB0FI :12/10(日) 23:33 4u+IPPm+O
その先の通路を歩きつつブーンは疑問を抱いていた。
( ^ω^)「何であんなところに土管なんかがあったのか気になってしょうがないお。それも、まるで用意されていたかのようだったお」
それに対しモララーがあっさりと答える。
( ・∀・)「それはね、あれが最初に書いてあった『試練』の一つだからだよ」
(; ^ω^)「意味がわからないお…」
モララーはそこで足を止める。他の四人も止まる。
- 213: ◆wAHFcbB0FI :12/10(日) 23:39 4u+IPPm+O
( ・∀・)「この世界には完璧な人間など存在しない。そして、その完璧でない人間が創り出すものにも完璧なものはないんだ。
例え魔力とか霊力とかが絡んでいたとしてもこの遺跡だって人間が創り出したものだ。必ず何かしら欠けている所がある。さっきの滝だって通れないように見えて、でもちゃんと通れただろう?
少し違うかもわからないけど、さっき森で出会ったなおるよの『どんなに(ry』に近いと言えばわかるかな?」
人間が作ったからといってあのように簡単にわかるような場所にヒントを用意するのはいかがなものなのか。ブーンは再度本題を問う。
(; ^ω^)「土管が置いてあったのは?」
( ・∀・)「試練を突破する為の『道具』。
いくら頑張っても材料がなければ料理は作れない、それと同じことだ。先へ進む方法がわかってもそれを実行する為の道具がなくては進めない。この遺跡を作った奴も無理なことはさせないつもりだったんじゃない?」
- 214: ◆wAHFcbB0FI :12/10(日) 23:49 4u+IPPm+O
ならば滝以外の所は一体どうなのか。今度はジョルジュがモララーに聞く。
( ゚∀゚)「…それじゃ石像は何だったんだ? あんなの普通じゃどうにもならないぞ?」
( ・∀・)「ここでは取り敢えず先に進めればいい訳だ。言い方は悪いが『逃げるが勝ち』と言うのが妥当。
よってさっきの石像の場合は本来なら『先へ進む為の手段だけを考えて行動する』のが正解だ。戦いで全てを決定すればいいって訳じゃないんだよ」
モララーはそこまで言うと深く溜め息をついた。
( ・∀・)「場所が場所だしね、今はここまで。またいつか話してあげるよ」
そう言ってモララーは再び歩きだした。
( ゚∀゚)「…何時かって何時」
( ・∀・)「さあね」
- 215: ◆wAHFcbB0FI :12/11(月) 21:56 ZhtTVOFlO
さらに進むとやがて二つ目の扉が見えてきた。何故か所々壁に掛けられた蝋燭のおかげでもう懐中電灯は必要なかった。
( ゚∀゚)「…? 扉の前に何かある」
ブーン達が目にしたのは、銀色の箱のような物だった。近づいてよく見てみるとそれが宝箱だとわかったのだが、どう考えても怪しい。
それはまるで何かを待ち構えているかのようだ。
- 217: ◆wAHFcbB0FI :12/11(月) 22:01 ZhtTVOFlO
すると毒男が真っ先に宝箱へ駆け寄る。
('A`)「これは…間違いない」
そう言いつつよくよく調べもせずに宝箱に手をかけようとする毒男に他の四人は待ったをかける。
(;゚∀゚)「お前もう大概にしとけwwwwwww」
ξ゚听)ξ「これはきっと何かの罠よ」
(; ^ω^)「一年前のことを忘れたのかお?」
('A`)「ああ、アレね」
そう、一年前に毒男はノコノコと偽の宝箱に手を出そうとして見事に罠にハマってしまっている。結局欲というものに支配されてしまっているのだろうか。
( ・∀・)「もう駄目だなこりゃwwwww金で心が汚染されてるよwwwwww」
('A`)「ちょwwwwヒデエwwwww」
- 218: ◆wAHFcbB0FI :12/11(月) 22:04 ZhtTVOFlO
だが毒男はそれでも手を引っ込めようとはせず、やがてこう言い出す。
('A`)「心配すんな、こいつは大丈夫だ。もしこれで俺がお前等に迷惑かけたらAA町に帰った後でバーボンでも何でも奢ってやるよ」
(; ^ω^)「ちょwwバーボンはショボンから奢ってもらうおwwwww」
毒男は何時になく自信ありげだ。
( ゚∀゚)「妙に自信満々だな。どうかしたのか?」
('A`)「ああ、それはな…」
続けて毒男は言い放った。
('A`)「…この宝箱には見覚えがあるんだよ!」
そして毒男は宝箱を勢いよく開けた。
- 219: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:35 kJkj2XiMO
…だがこの時点ではまだ何も起こらない。
( ^ω^)( ゚∀゚)( ・∀・)ξ゚听)ξ「…」
宝箱の中に見えたのは真っ暗闇。何故か底は見えない。
('A`)「さあ早く出て来いよ!」
毒男がそう言うと、それに応えるかのように宝箱の暗闇から二本の人の手のようなものが出てきた。そして次に暗闇の中から出てきたのは何かの頭と身体……
すなわち人間でいう上半身だけが出ている状態。
- 220: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:38 kJkj2XiMO
(; ^ω^)(;゚∀゚)(; ・∀・)ξ;゚听)ξ「アッー!」
四人はこの時やっと声をあげた。だがそれは目の前の奇妙な光景に驚いた訳ではない。ブーン達には、宝箱から上半身だけ姿を出しているこの生物に見覚えがあったのだ。
そして、それが今自分達の目の前にいる。
- 221: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:44 kJkj2XiMO
その宝箱はやがて喋り出した。
( ^Д^)「よう、久々だなお前等!」
他の四人がただただ呆然としている中唯一毒男だけが反応を返す。
('∀`)「やっぱりお前か! 会いたかったぞ!」
( ^Д^)「俺もだ、また今度酒飲みに行こうぜ!」
('A`)「ちょwwwww展開早杉wwwwww」
そう、この宝箱は一年前ブーン達が洋館から持ち帰った宝箱に潜んでいた妖怪(?)、タカラだった。どんな理由なのかは謎だが何故か毒男と仲がいい。
恐らく彼がタカラにバーボンハウスを紹介したことや、互いに大の酒好きだということで気が合うのだろう。
- 222: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:48 kJkj2XiMO
(; ^ω^)「…で、何で君がこんな所にいるんだお?」
ようやくいつもの調子を取り戻したブーンが、皆が一番気になっていることを聞いた。
( ^Д^)「ここで待ち構えていればお前等が来ると思ったんだよ。要はお前等に用があるってこと」
( ゚∀゚)「俺達に用…? 何の用だ?
お前ならテレポートでAA町に来るぐらい出来るんじゃね?」
するとタカラは意外な発言。
( ^Д^)「それは…面白そうだから」
('A`)「ちょwwwwwでもお前らしいな」
- 223: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:53 kJkj2XiMO
タカラは切々と話し始めた。
( ^Д^)「正直な所俺は何も食わなくても全然平気だし、並大抵のことでは死ぬことはない。…酒はないとちょっと辛いけどな。
でもそれだけやって生きてるようじゃこの世に居たって面白くないだろ? かといって冥界へ戻るのもそれはそれで退屈だし」
ξ゚听)ξ「(冥界って本当にあったんだ…)」
( ^Д^)「まあそんな訳で俺はここでお前等を待っていた。
お前等となら楽しくやれそうだと思ってな…そしてお前等はここへ来た」
- 224: ◆wAHFcbB0FI :12/12(火) 23:57 kJkj2XiMO
そこまで言うとタカラはきっぱりとこう言ってきた。
( ^Д^)「単刀直入に言わせていただく。俺を楽しませろ」
(;゚∀゚)「…それって要するに俺達がお前を仲間にしろと?」
( ^Д^)「ま、そういうことだな。もしお前等が何かと戦うようなことがあったら俺も参戦するからそこは心配するな。
というか、むしろそれが面白いんだがな」
('A`)「よしわかった、俺が保証するぜ!」
( ^Д^)「それでこそ同志だ、これからもよろしく頼むな!」
こうしてまたも偶然出会ったタカラは半ば強引にブーン達と共に行くことになった。
(;゚∀゚)「ちょwwwこれ何てRPG?」
- 230:◆wAHFcbB0FI:12/16(土) 23:55 ShsVHOsoO
( ^ω^)「そう言えば警備員がいたのにどうやってここまで来たんだお?」
取り敢えず色々と気になることがあったブーンはタカラを質問攻めにしていた。
( ^Д^)「俺はこれでも妖怪だからな、姿消したり壁すり抜けるぐらいお手のものだ。試しにやってみようか」
タカラは壁に自分の右手を伸ばした。するとタカラの右手は壁の中に入り、腕を引くと再び出てきた。
( ^ω^)「おっ、凄いお!」
ξ゚听)ξ「まるで手品ね」
( ・∀・)「成る程、妖怪の力は伊達じゃない訳か」
拍手喝采だった。
と、ここでジョルジュが思い出したように聞く。
( ゚∀゚)「なあ、俺達がここに来るまでに他に誰かここを通ったりしなかったか?」
タカラは少し申し訳なさそうに答えた。
( ^Д^)「実を言うと俺もちょっと前に来たばっかだったから何とも言えないんだが、少なくとも俺がここに来てからは他には誰も来てないぞ」
取り敢えず一安心、とブーン達はほっとした。
- 231:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:00 b27t4qXIO
だがそれもつかの間だった。
( ^Д^)「そんなことより、次の場所で戦いが起こる希ガス」
(; ^ω^)「ちょ、よくそんなことがわかるお。これも妖力とかそういうものなのかお?」
( ^Д^)「勘だけどな」
(; ^ω^)「ちょwwwww」
こういうことを勘で判断されても困る。
だが目の前にこのような扉があるとなるとやはり次の部屋には何かが待ち受けているのかもしれない。怪しいと言えば確かに怪しいのだ。
( ゚∀゚)「みんな、念のため突入準備な」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)ξ゚听)ξ( ^Д^)「把握」
全員の準備が完了したことを確認するとジョルジュは重い扉を開けた。
- 232:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:06 b27t4qXIO
扉を開けた先にあったのは広い空間。
長椅子がいくつか並んでおり部屋の入口から真っ直ぐ敷かれた古びた赤い絨毯。
部屋の奥には祭壇らしきもの。
まるでどこかの教会のようだ。
(; ^ω^)「もう意味がわからないお。
何で地下遺跡の中に迷宮や滝や教会が出てくるんだおwwww」
('A`)「これらには何かしら深い意味があるはず。きっと造り上げた奴に関係があるんじゃないか?」
ブーンと毒男がこの遺跡の意味を推測していたその時だ。
ξ゚听)ξ「待って、あそこに誰かいる…人間?」
皆はツンが指さした方を一斉に見る。
(*゚ー゚)「…(気付くの遅っ)」
言うなればモララーと同年齢と思える程の、杖を持った女性が半ば呆れた表情で祭壇の前からブーン達を見つめていた。
あれ程わかりやすい場所にいたのに何故部屋に入ってすぐに気付かなかったんだろう、とブーン達も自分達の注意力の無さを反省した。
- 233:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:10 b27t4qXIO
( ゚∀゚)「おい、あんたがこの遺跡の支配者か何かか?」
(*゚ー゚)「…まあそんなところね」
ジョルジュが訊ねるとその女性は手短に答えた。彼女の目からはブーン達に対する敵意が感じられた。
遺跡を護っている向こうからしてみれば遺跡荒らしの類はこの上ない敵なのだろう。
(*゚ー゚)「私の名は『しぃ』。この遺跡の護り手です」
しぃは持っていた杖を手で器用に回しながら言った。
( ・∀・)「…(しぃ、か)」
とはいえ、やはり通してもらわねばならない。
( ^ω^)「僕達はこの先に用があっt」
(*゚ー゚)「遺跡荒らしにここから先へ進む資格はない。帰りなさい」
ブーンが言い終わる前に拒絶の言葉を浴びせるしぃ。
(; ^ω^)「ちょwwwwww人の話は最後まできk」
(*゚ー゚)「だが断る、帰りなさい」
(# ^ω^)「uzeeeeeee!」
- 234:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:14 b27t4qXIO
その後ブーン達は必死で彼女を説得したりもしたのだが…
('A`)「頼む、先に行かせt」
(*゚ー゚)「だが断る、帰りなさい」
( ゚∀゚)「金やるかr」
(*゚ー゚)「だが断る、帰りなさい」
( ^Д^)「ここで帰ったら面白くn」
(*゚ー゚)「妖怪は尚更帰r(ry」
何が何でも通すつもりはないらしい。
ξ;゚听)ξ「…少しは何か違うこと言いなさいよ」
(*゚ー゚)「そっちこそ何故そんなにしつこいの?」
納得いかないようにしぃは聞く。
( ゚∀゚)「これは俺達の一種の挑戦だ。
ま、こんな所でずっと引きこもって何もしないでいるあんたにはわからないだろうよ」
(*゚ー゚)「遺跡荒らし共の考えなどわかってたまるもんですか」
(#゚∀゚)「(こいつまじuzeeeeeee!!)」
見かけとは裏腹に随分とタチの悪い女だ。それに、この冷静かつ嫌みったらしい性格は気のせいか誰かに似ている…
- 235:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:22 b27t4qXIO
と、しぃは突如真面目な口調で語り始めた。
(*゚ー゚)「私はね、この遺跡を護らなくてはならない人間なの。何故かっていうとこの先にあるという泉に先祖の墓があると思われるから」
思われる…? 何だこの曖昧な台詞は。
護り手のくせに先のことは知らないのか?
様々な考えがブーン達の頭をよぎる。
( ゚∀゚)「…まさかあんたもこの先どうなってるかわからないのか?」
(*゚ー゚)「そう、私自身も知らない。知っているのは…この遺跡の構築者、つまり私の祖先。
それから、この遺跡を護ることは先祖代々の風習。よって私は今ここにいる」
( ^Д^)「へぇ、じゃあ先祖代々ここを護っているって訳かい。ご苦労なこった」
するとしぃは侮蔑の目でタカラを睨んでこう言った。
(*゚ー゚)「妖怪の分際でなかなか頭の回転が早いようね。
それだけ物分かりがよければ妖怪も他の方々も引き返すべきだとわかったかしら? 」
- 236:◆wAHFcbB0FI:12/17(日) 00:30 b27t4qXIO
皆は、遂にキレた。
(#^Д^)「冗談じゃねえ! そこまで言われて分かりましたで済むかっつーの!」
(#゚∀゚)「全くだ! 本当なら手荒な真似はしたくないが
も う や っ ち ま え !」
ジョルジュとタカラが吐き捨てるように言うと他の者達は
(# ^ω^)(#'A`)(# ・∀・)ξ#゚听)ξ「 喜 ん で お k 」
頭に血が昇ったブーン達に対し、しぃは先程と表情を変えようとしなかった。
(*゚ー゚)「え? 私と戦っちゃっていいの? 下手したら死人出ちゃうよ?」
しぃはとんでもないことをさらりと言ってきたが、今のブーン達はそんなことで怯むわけがなかった。
(#゚∀゚)「うるせぇ! てめえは俺達を怒らせた!」
(# ^ω^)「覚悟するお!」
しぃは杖を構えて呆れつつ言葉を返す。
(*゚ー゚)「愚か者めが…
わかりました。大人しく引き下がらなかったことを後悔させてあげます!」
- 237:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 21:56 BZp8o2xOO
互いに随分と威勢が良いもののブーン側は五人+αなのに対し、しぃは一人。
人数的にはブーン達の方が有利なはずだ。
( ゚∀゚)「今度こそ出番だ! 存分に暴れようじゃないか!」
ジョルジュは炎赤刀を構える。それを見たしぃは少し驚きながら言う。
(*゚ー゚)「それは…伝説の霊刀サラマンダーね?」
予期せぬ反応にジョルジュは戸惑う。それはブーンや毒男も同じだった。
( ゚∀゚)「…? 何だそりゃ?」
( ・∀・)「炎赤刀の正式名称。まあ前者でも後者でもどっちでもいいと思うよ」
(;゚∀゚)「案外いい加減だな…」
- 238:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:00 BZp8o2xOO
( ^ω^)「霊刀を知っているのかお?」
(*゚ー゚)「それ位知ってるわよ…で、それも盗品かしら?」
馬鹿にするような口調。
(#゚∀゚)「うるせぇ、こいつは俺達の努力の結晶であって…」
( ・∀・)「まあ正確には幽霊から奪ったものだけどねwwwww」
(*゚ー゚)「やっぱりwwwwww」
(;゚∀゚)「余計なことを言うな!!!」
こんな状況でも味方を煽るモララーは一体何なんだ、と誰もが思った。
- 239:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:04 BZp8o2xOO
( ゚∀゚)「まあいい。今から力を嫌と言うほど見せてやる…炎よ、巻き起これ!」
ジョルジュがそう言うなり、突然炎赤刀から炎が噴き出し、轟音を立てながら刀の周りを取り巻き始めた。
( ・∀・)「! これは凄い!」
ξ゚听)ξ「ちょ、どういうことかkwsk」
戦いの最中であるにも関わらずモララーは説明を始めてしまった。
( ・∀・)「伝説の五色霊刀にはただ単に霊力が宿っている訳ではないんだ。それぞれの霊刀には色ごとに強力な『大魔獣の力』が封じられているんだよ」
- 240:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:18 BZp8o2xOO
元々五色霊刀は古代の大魔獣の魔力と霊力を封印したものだが、霊刀の魔力を最大限に発揮するためには持ち主の強い精神と多大な熟練が必要なのだ。それらを全て持ち合わせ、刀に認められた者にだけ五色霊刀は真の力を見せるのだ。
この、ジョルジュの持つ炎赤刀、正式名称サラマンダーに封じられた力は『発火能力』。刀から炎を生みだし、敵をそのまま斬りつけたり、炎を飛ばして攻撃することができる。
( ・∀・)「…つまり霊刀が『大魔獣の力』を発揮するようになるということは、霊刀が持ち主を認めたことを意味する。
…まさか今まで素手がメインだったジョルジュがここまで使いこなせるとは思ってもみなかったよ」
モララーの説明にブーン達は感心した。
ξ゚听)ξ「へぇ、随分とためになったわ」
( ^ω^)「そう言えば僕もそんなことが出来るお!」
('A`)「俺もだ。いつの間にか使えるようになってた」
( ^Д^)「俺もだ。何だかよくわからなかったんだがそういう意味があったんだな」
( ・∀・)「じゃあ三人とも霊刀を使いこなせている。おめでとう」
(;゚∀゚)「…つうかお前等もう少し緊張感持て」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)ξ゚听)ξ( ^Д^)「正直すまんかった」
- 241:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:24 BZp8o2xOO
(*゚ー゚)「…随分と凄いことやりそうじゃない」
しぃは全くその場を動こうとせず、ただ平然としている。まるで、どこからでもかかって来なさいと言わんばかりだ。
( ゚∀゚)「ああそうさ。余裕ぶっこいて火傷したって知らないからな! 行け!」
ジョルジュが命令すると炎赤刀を取り巻いていた炎はまるで意志を持ったかのように刀から離れ、しぃめがけて飛び込んでいく。
(*゚ー゚)「…ならばその炎、火傷一つせずに防いでみせましょう」
しぃは目を閉じて何やら呟いた。すると…
(;'A`)「おいおい、何か出てきたぞ!」
なんとしぃの前に薄い光の壁が現れ、ジョルジュの持つ炎赤刀が発した炎は光の壁に阻まれ相殺された。
(;゚∀゚)「な…何だと!?」
(*゚ー゚)「はい、宣言通り火傷一つしてません。
では次はこっちからいきます」
- 242:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:27 BZp8o2xOO
しぃは手に持っていた杖を振りかざす。それと同時に杖の先から雷が発射された。狙いはジョルジュ。
(;゚∀゚)「あぶねぇ! こいつ本当に人間かよ!?」
瞬速の速さで飛んできた雷をギリギリでかわしたジョルジュが言った。恐らく運が良かったのだろう。
(*゚ー゚)「どう見ても人間です。本当にありがとうございました」
軽く言い返すしぃ。するとまたもモララーが口を出す。
( ・∀・)「うん、確かにしぃは人間だよ。でも彼女は普通の人間じゃなくて、言うなれば『魔法使い』ってとこだな」
(; ^ω^)(;'A`)(;゚∀゚)ξ;゚听)ξ「な、何だってー!!」
- 243:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:33 BZp8o2xOO
魔法と言う言葉自体は誰もが知っていた。だが、それを実際に使う者などブーン達は今まで見たこともなかった。
もっともブーン達の持っている霊刀にも魔力が封じられているのだが、それはあくまで霊刀の力。それに対し、しぃは自身で攻撃から防御まで自由に魔法を使いこなすことが出来る。相手は一人とはいえ油断出来なくなってきた。
(*゚ー゚)「どうしたの? 打つ手なし?」
しぃは杖を振り回しながら言ってきた。
( ゚∀゚)「打つ手なら…あるぜ! その杖を奪ってしまえばいい!」
ジョルジュはしぃの持っている杖に目を向けつつ言い放った。
( ^ω^)「その手があったお!」
ξ゚听)ξ「あの杖が魔法の動力源ってことね」
- 244:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:35 BZp8o2xOO
だがしぃは尚更呆れた表情を見せるばかりだ。
(*゚ー゚)「…貴方達やっぱり愚かね」
(#゚∀゚)「黙れ!」
ジョルジュはしぃの方へと走りだそうとした時だ。
( ・∀・)「駄目だ! そんなんじゃ勝てないぞ!」
モララーの声に気付いたジョルジュは止まる。
( ゚∀゚)「どういうことだ?」
するとモララーは驚くべきことを言い出した。
( ・∀・)「しぃは生まれつき杖なんて使わなくても魔法が使えるんだよ。だからいくら杖を取り上げても攻撃を止めるのは無理」
(*゚ー゚)「…? 妙に詳しいのね」
- 245:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:39 BZp8o2xOO
そう、詳し過ぎる。
モララー自身は魔法を使える訳ではない。確かに彼は様々な強力な武器を作ったりはするが、相手の心を読むような超能力などは持っていない。
なのに何故ここまでわかってしまうのか。
モララーは続ける。
( ・∀・)「話はそれるけど、君は小学生ぐらいのときに突然失踪したっていう子だろ?」
しぃはその言葉を聞いた途端表情を変えた。
(;*゚ー゚)「な、何でそんなことを知っている!?」
モララーはその表情を察するとそらきたとでも言わんばかりに話し続ける。
( ・∀・)「ほら、図星。どうやってここまで来たかは知らないけど今ここで生き延びてる訳だ。もっと言わせていただくとすれば、君は当時から既に魔法が使えこなせてたはず」
(;*゚ー゚)「だから何で知ってるの!? 貴方一体何者?」
( ・∀・)「さあ、誰でしょうねぇ。あとさ、もう一つ言わせてよ」
(*゚ー゚)「…何?」
モララーは笑みを浮かべながら
( ・∀・)「 隙 あ り 杉 」
と言った。
(;*゚ー゚)「!」
- 246:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:41 BZp8o2xOO
しぃは慌てて後ろを向いた。視界に入ってきたのは自分に斬りかかろうとする赤、緑、白の刀を持った三人の男。
そう。ブーン、毒男、ジョルジュの三人だ。
( ゚∀゚)「…何かよくわからんがGJ!」
(*゚ー゚)「…ここまで酷いとむしろ見事だと言いたくなるわ」
( ^ω^)「殺すようなことはしないからその辺は安心して欲しいお」
三人は一斉にしぃに斬りかかった。
攻撃せずに待機していた者達はその様子をじっと見ていた。
( ・∀・)「…ま、こういう戦い方も時には必要なのだよ。覚えておくといい」
ξ;゚听)ξ「(本当にそうなのかなぁ…)」
( ^Д^)「(これが人間の戦い方か。面白ぇwwwww)」
- 247:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:45 BZp8o2xOO
しぃは三人が斬った所から血を流して倒れてはいるが、死んではいないようだ。先程ブーンが『殺しはしない』と言った通り、三人は急所を避けて多少手加減して攻撃したらしい。
( ゚∀゚)「さて、相手は気絶してるしこの隙に先へ進むか」
だがジョルジュがそう言ったのも束の間だった。
(*゚ー゚)「…これくらいでは…私は死なない…」
(;'A`)「え!? こいつ立ち上がるの早杉!」
なんとしぃがヨロヨロしながらも起き上がり、そのまま何かを呟き始めた。途端にしぃの身体が光に包まれる。
( ・∀・)「ふむ。これはもう元の木阿弥だな」
モララーはそう言って溜め息をついた。
( ゚∀゚)「どういう意味だそれは」
( ・∀・)「ヒント 回復呪文」
(; ^ω^)「それはつまりどういうことかというと…」
(*゚ー゚)「…こういうことよ」
- 248:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:47 BZp8o2xOO
そこには傷一つ負っていないしぃの姿があった。流血は止まり傷口も完全に塞がっている。
(;^Д^)「ナンテコッタイ」
(;゚∀゚)「こいつは強いなんてレベルじゃねぇぞ!」
魔法を使うなんてとんでもない難敵が立ちはだかってしまったものだ。
例え人数で勝っていても相手は雷を自由に操れる。この時点で十二分危険な相手。
また、攻撃が通っても相手が死なない限りすぐさま魔法で再生してしまう。
かといって殺すわけにもいかなかった。無益な殺生は出来る限り避けたいし、自分達の都合で殺人など出来るはずもない。
どうしたらいい?
- 249:◆wAHFcbB0FI:12/18(月) 22:50 BZp8o2xOO
だが、今ここは戦場。考えている途中であっても相手は黙って待っていてはくれなかった。
(*゚ー゚)「そろそろチェックメイトといきますか」
しぃは杖を高く掲げると呪文を唱え始めた。バチバチと音を立てながら次第に杖の先に巨大な光の玉が形成されていく。
ξ;゚听)ξ「…ねぇ、これっていわゆる絶体絶命ってやつ?」
(;゚∀゚)「だな。何か方法はないか?」
('A`)「宝箱に入ったタカラを盾にするってのは?」
だがタカラは首を横に振った。
(;^Д^)「駄目だ。あれだけ強い魔力を用いての攻撃は俺でも防ぎようがない」
(; ^ω^)「ガチでやばいお! 僕達はここで死ぬのかお?」
そんな中モララーだけがしぃの方を睨んでいた。モララーはそのままの姿勢でブーン達に言う。
( ・∀・)「…僕はちょっと前に言ったよ。『人間に完璧などない』とね」
モララーが言い終わるかどうかという時だ。
(*゚ー゚)「遺跡荒らし共、自分達の欲深さをあの世で反省するがいい!」
次の瞬間、杖の先から電光が走り、ブーン達に極太の稲妻が落とされた。衝撃で設置されていた長椅子は全て消し飛び、床の絨毯は燃え上がった。
- 254: ◆wAHFcbB0FI :12/21(木) 23:20 RfvJ/ZYFO
先程まで教会のようだった空間はもはや廃墟と言っても過言ではないほどだ。
一瞬にしてこの様になった原因はたった一発の稲妻。まだ煙の立ち上る中その稲妻を放った張本人は立っていた。
(*゚ー゚)「…(私は今人と妖怪を殺した。 …でも私は間違ってなんかいない。これでいいのよ…」
だがそれで終わることはなかった。
「おいおい、勝手に殺したことにしないでくれよ」
(*゚ー゚)「!」
その声は先程自分が殺したはずの人物のものだった。
( ・∀・)「君も随分と凶悪な魔法を使うものだな」
煙の中から現れたのは橙色をしたドーム状の光。その中にいたのは五人の人間と一体の妖怪だった。
- 255: ◆wAHFcbB0FI :12/21(木) 23:23 RfvJ/ZYFO
( ・∀・)「君の攻撃は僕のバリア装置で止めさせてもらったよ」
モララーが手に持っているのは一つのボタンの付いた機械。これがバリアの動力源なのだろう。
( ^ω^)「お陰で僕達全員無事だお」
('A`)「いつもは嫌な野郎だが今日は素直に礼を言うぜ!」
これを見たしぃは再び杖を構え直す。
(*゚ー゚)「まだ生きていたか…それにしてもしぶとくそして厄介な者達ね。特に…」
しぃは杖の先をモララーに向ける。
(*゚ー゚)「そこの貴方。過去の私のことに詳し過ぎて気味が悪い」
しぃがそう言うなり、モララーは少し残念そうに…
信じられないことを言った。
( ・∀・)「おいおい、幼なじみに気味が悪いなんて言われるとは思わなかったよ」
- 256: ◆wAHFcbB0FI :12/21(木) 23:29 RfvJ/ZYFO
この一言で空気が凍りついた。
(; ^ω^)(;'A`)(;゚∀゚)ξ;゚听)ξ(;^Д^)「…は?」
(*゚ー゚)「貴方もしかして…」
モララーは改まって、
( ・∀・)「そうだよ。僕はモララー、現在居候中の科学者だ」
と言い放った。
(*゚ー゚)「…貴方があのモララーなの?」
( ・∀・)「そう。十七年ぶりだな」
ブーン達にしてみれば理解しがたいことだ。
(; ^ω^)「信じられんお…今日は偶然が多すぎるお」
- 257: ◆wAHFcbB0FI :12/21(木) 23:50 RfvJ/ZYFO
(*゚ー゚)「だったら証拠は?」
( ・∀・)「証拠というのはアレか。
…正直アレは書きたくないんだけどな」
モララーは紙とペンを取り出し何やら書き始めた。
『6 6-3 77-3ー
=7-4 2 4-3 8 2 6 2 4-2 2 8 3-2』
ブーン達が読んでみたものの何が何だか解らなかった。どうやら暗号か何からしい。
そしてそれをしぃに見せる。
(*゚ー゚)「…どうやら本当に貴方がモララーのようね」
( ・∀・)「だからそうだってさっき言ったじゃんwww何時から君はそんなに疑り深くなったんだい」
そんなこと知らない、としぃは切り捨てた。
- 258: ◆wAHFcbB0FI :12/21(木) 23:55 RfvJ/ZYFO
( ・∀・)「僕と君がまだ小学生時代のときに君が突然いなくなってね、君とは二度と会うことはないと思ってた。
…ここに来て君を見つけたときは正直驚いたよ」
(*゚ー゚)「…」
モララーが語る中しぃはただ黙っている。
( ゚∀゚)「成る程なー、モララーとしぃは幼なじみ、と。信じられないけどよくよく考えたら不思議でもないな」
確かにそうだ。先程ブーン達がしぃに会ったときの彼女の言葉遣いはどことなくモララーに似ていた。まだ二人が幼い頃にモララーの影響でも受けたのだろうか。
( ^Д^)「…だとするとモララーはその頃からあんな風だったと」
( ・∀・)「まあそういうことになる。はっきり言って自覚ないけどねwwwww」
- 259: ◆wAHFcbB0FI :12/22(金) 00:05 nKFWZhtsO
モララーは再びしぃの方へ向いた。
( ・∀・)「しぃは何故幼い頃にはるばるこんなところへ来たんだい?」
(*゚ー゚)「…もう一度言うけど、私がこの遺跡の創設者の子孫だから。
これはもう運命というもの。
私が末裔であるからには私がここを護る必要があるの」
するとモララーはくだらないものを見るような目でしぃをみつめた。
( ・∀・)「…勿体無いな」
(*゚ー゚)「? 何が」
( ・∀・)「だーかーらー、君のその生き様が勿体無いって言ってるの。おk?」
- 260: ◆wAHFcbB0FI :12/22(金) 00:16 nKFWZhtsO
( ・∀・)「君は護らないとどうとかって言ってるけど、そんなこと一体誰が決めたんだい?
アレか、先祖の幽霊が降臨なさって君に一生かけてここを護れとかそんなことでも言ったのか?」
(*゚ー゚)「…」
しぃは黙っているがモララーは気にせずに話し続ける。
( ・∀・)「まあ幽霊は僕も見たことあるから否定はしないけど…
でもさ、どうせなら楽しく人生やらないか? あいつらみたいにさ」
モララーはブーン達を指す。
- 261: ◆wAHFcbB0FI :12/22(金) 00:20 nKFWZhtsO
( ^ω^)「おっ、僕達かお?」
( ・∀・)「悪いが褒めてるわけじゃないからな」
(; ^ω^)「ちょwwwww」
モララーは再びしぃの方へ向き、なお話し続ける。
( ・∀・)「よく聞いて欲しい。こいつら…ブーン達は悪い奴等じゃない。
ブーン達はこういう、何というか冒険とかそういうことが趣味みたいなものなんだ。
当然普段は全うに生活してるし金や殺戮が目的でもない。だから通してやってくれないか?(まあツンとタカラはどうだか知らないけど)」
内心はどうであれモララーがここまで言ったのは初めてかもしれない。
( ゚∀゚)「(こいつ本当はいい奴なんだな)」
( ;ω;)「全俺が泣いた」
ξ゚听)ξ「ちょ、何泣いてるのよwwwwww」
( ;ω;)「だって…」
- 262: ◆wAHFcbB0FI :12/22(金) 00:24 nKFWZhtsO
だが彼等の意志はしぃには伝わらなかった。
(*゚ー゚)「…例え私の人生が間違っていようとも、私には貴方達が全うな人間には到底思えない。
モララーがこの者達に味方するのなら私は全力でモララーを正しい道に戻すまで!」
( ・∀・)「…僕は今までこれほど残念に思ったことはないよ。
お陰で…」
モララーは荷物から光線銃を取り出す。
そして銃口を静かにしぃへと向けた。宣戦布告だ。
( ・∀・)「例え殺しはせずとも僕は本気で君と戦わなくてはならない!」
しぃも再び杖先をモララーへ向けた。
(*゚ー゚)「ならば私も本気で貴方と戦わざるを得ないわ!」
( ・∀・)「僕が」
(*゚ー゚)「私が」
( ・∀・)「正義だ!!」(゚ー゚*)
……
(;'A`)ξ;゚听)ξ「…」
話についていけず呆然とする者や
(^ω^)(゚∀゚)
こっちを見る者、
( ^Д^)「ちょwwwwwwうはwwwwwww人間って面白ぇwwwwwwww」
何故か爆笑する奴もいた。
( ・∀・)「…ごめん、そろそろmjにいかせてもらうよ」
(*゚ー゚)「…私も同じ意見よ」
- 265: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 00:19 Z0GmuP9HO
モララーはそのままの姿勢でブーン達に言った。
( ・∀・)「頼みがある。しぃとは僕一人で戦わせて欲しい」
( ゚∀゚)「…わかった、行ってこい」
即答だった。
(; ^ω^)「ちょ、いいのかお?」
ブーンが慌てて止めるのを毒男が押さえる。
('A`)「…行かせてやれ。
あいつにも何かプライドみたいなものがあるんだろ」
( ^ω^)「把握したお…」
モララーとしぃ以外の者達は安全な所まで下がる。
ブーン達が見守る中、魔法対科学の戦いが始まった。
- 266: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 00:26 Z0GmuP9HO
( ・∀・)「ブーン達と同じだが僕は君を殺すつもりはない。
ま、お手柔らかにお願いするよ」
(*゚ー゚)「少なくとも黒焦げは覚悟しなさい」
そう言ってしぃはモララーへ雷を放つ。モララーはすぐさまバリア装置を作動させた。
雷は橙色のバリアによって弾かれる。
( ・∀・)「はいはい、効きませんですよー。
こっちからも…これは効くかな?」
モララーは一旦バリア装置を切り、すぐさま銃口をしぃへ向け光線銃の引き金を引いた。バリアを張ったままではモララー自身も攻撃出来ないのだ。
だがこれもしぃが作り出した光の壁で相殺された。
- 267: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 00:34 Z0GmuP9HO
(*゚ー゚)「効きません。もっと強い物使ったら?」
( ・∀・)「そうだろうな…まあこれは想定の範囲内だけどね」
モララーは策を考え始めた。
誰にも相談せず、ただただ考え続ける。
( ・∀・)「(…攻撃を当てるにはしぃが壁を張っていない時に攻撃しないといけない。
壁がないときというのは彼女が雷を発する時だけ…と。
つまり彼女が攻撃する時だけこっちの攻撃が通る…ってこれ何てボス戦?)」
だがモララーはバリア装置の電源を入れ直していなかった。
当然しぃがこれを見逃すはずもない。
(*゚ー゚)「覚悟!」
しぃはこの一瞬の隙を狙って雷を放った。
雷がモララーに迫る。
( ・∀・)「あ…しまった」
だがそれはモララーに命中する直前で爆発を起こし消えた。
どうやらギリギリの所でバリア装置を作動させたらしい。
( ・∀・)「不意打ちなんて君らしくないぞ?
随分と性格悪くなったんだな」
しぃは真面目な表情で返す。
(*゚ー゚)「この戦いに手段を選ぶ義務などないわ」
( ・∀・)「それもそうだな。
じゃあ続けようか」
- 268: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 00:36 Z0GmuP9HO
それからしばらくの間モララーはバリア内で光線銃を手に持ち、しぃは杖を構えたまま、両者とも睨み合いが続いた。
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)ξ゚听)ξ( ^Д^)「…」
ブーン達もまた、この戦いはいつ終わりを迎えるのかと思いつつこの様子を緊迫しながら見ていた。
(*゚ー゚)「…ッ!」
先に動いたのはしぃだった。呪文を唱え始め、杖の先に光が集まる。
( ・∀・)「(今だ!)」
モララーはバリア装置の電源を切る。
そして光線銃の銃口を素早くしぃへ向け引き金を引く、そのつもりだった。
- 269: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 00:42 Z0GmuP9HO
(*゚ー゚)「…遅い」
モララーが引き金を引くよりもしぃがモララーの光線銃を雷で粉砕する方が速かったのだ。
モララーの右手にあった光線銃は雷で吹っ飛んだ。
(; ・∀・)「これはびっくり」
モララーの足下には雷によって粉砕され煙を上げている壊れた光線銃があった。
そして光線銃を持っていたモララーの右手に痺れが生まれる。
(; ・∀・)「右手にビリビリきた…」
壊れた光線銃を回収しようとするが右手が思うように動かない。
(*゚ー゚)「…もうこれでわかったでしょう?
私ももう攻撃したくないk…」
しぃがそう言いかけたその時、彼女に一筋の光線が命中し、彼女は倒れた。
- 270: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:23 Z0GmuP9HO
( ・∀・)「…君はあの頃から僕と性格が似ていたが全く変わってないな。すぐ油断する所とかね。
僕は二丁流の名手だから片っぽがやられてももう片っぽが生きてれば問題なしなんだよね」
いつの間にかモララーの左手にはもう一丁の光線銃が握られていた。
光線をまともに浴びたしぃだったがそれでも致命傷は避けたらしく、すぐに起き上がった。
(*゚ー゚)「…貴方こそ油断してるわよ。
だってこれ位の痛みなんてすぐに治療出来るんだから!」
しぃは再び何かを唱え始めた。
すると先程のように彼女は光に包まれ、みるみるうちに傷が癒えていった。
そう、回復呪文だ。
- 271: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:28 Z0GmuP9HO
(# ・∀・)「(予想は出来てたけど流石にこれは酷すぎだろ!
ドラクエに例えるとボスがベホマ使うようなものじゃないか!)」
怒りに満ち溢れそうになるが、そうなったところでどうにもならない。
もはや、互いに打つてなし。
いや、恐らくこちらの方が不利だろう。
最終的にモララーが考えた手段は…
( ・∀・)「今回は引き分けってことでどう?」
(; ^ω^)(;'A`)(;゚∀゚)ξ;゚听)ξ(;^Д^)「えぇ!?」
これにはブーン達もたまらない。
何しろモララーは普段は負けず嫌いで、
作れそうにないようなものであっても出来る限りの範囲で作り上げてしまう、いわば不可能を可能にするような人物。
そんな彼が停戦を申し出たのだ。
- 272: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:33 Z0GmuP9HO
(; ^ω^)「ちょっと待つお!
停戦まだ早いお!」
(;゚∀゚)「それにこれじゃ俺達も引き下がるってことになるぞ!」
だがわざとなのか、モララーは完全にスルー。何の反応も示さない。
(*゚ー゚)「何でまた負けず嫌いな貴方がそんなことを…?」
( ・∀・)「よくよく考えてみなよ。
お互いに攻撃しあって、それをバリアで防いで、
攻撃喰らったら回復…って延々とやってたらいつまで経っても勝負つかないぞ?
無駄な戦いはやめようよ?」
(*゚ー゚)「…確かに」
しぃは妙に納得した様子だ。
どうやら彼女も出来ることなら戦いは避けたいようだ。
- 273: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:40 Z0GmuP9HO
( ・∀・)「僕達は一旦帰って修行なりなんなりして君に勝てるよう努力する。
僕達はいつかまたここへ来るから、君は僕達を返り討ちに出来るよう頑張ってみる。これでおk?」
しぃはしばらく考えた後、
(*゚ー゚)「わかったわ、一時休戦ね」
モララーは返事はせずにただ頷いた。
そして…
( ・∀・)「…帰る前に君にこれを渡そうと思う」
モララーは荷物から赤い液体の入った瓶を取り出し、しぃに渡す。
(*゚ー゚)「これは…?」
( ・∀・)「それは『魔力増強薬』
万が一君と会う時の為に作ったものだ。
まあ気が向いたら飲んでくれたまえ」
(*゚ー゚)「…」
しぃは黙って頷く。
( ・∀・)「じゃ、またいつか」
そう言うとモララーはさっと部屋を出た。
(;゚∀゚)「あっ、おい!」
(; ^ω^)「待つお!」
ブーン達も慌ててモララーを追った。
(*゚ー゚)「…これはありがたく飲むべきなのかな?」
ブーン達が部屋から出たのを確認し、しばらくするとしぃは赤い液体を一気に飲み干した。
- 274: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:44 Z0GmuP9HO
一方、ブーン達
部屋にいるしぃの目が届かない位置にブーン達は立っていた。
扉が壊れた為、部屋との隔たりは扉のあった場所の周りの壁だけだ。
( ・∀・)「正直悪かったね」
当然モララーに対して非難の嵐だ。
(;゚∀゚)「お前こんなことして後どうするんだよ!
俺の百五十万円どうすんだ!!」
…それはジョルジュの独断行動なのだが。
(; ^ω^)「あの様子ならまだいけそうだったお!
諦めるの早いお!」
( ^Д^)「俺のwktkをどうしてくれる!」
ξ゚听)ξ「私の旅費払い損じゃない!」
('A`)「俺達五人の責任とれるんだろうな?」
だがモララーは澄ました顔でブーン達をおだてた。
( ・∀・)「取り敢えずちょっと静かにして欲しい。
そんでもって、このまま待ってみるんだ」
- 275: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:47 Z0GmuP9HO
数分後
( ・∀・)「もういいかな?」
モララーはそっと部屋を覗く。そしてブーン達の方を向いて笑いながらこう言った。
( ・∀・)b「僕の勝ちだ」
…勝った? どういうことなのか。
死人は出てないとはいえこちらが撤退した時点で既に引き分け或いは負けではないか。
ブーン達は恐る恐る部屋へと戻ってみる。
- 276: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 12:56 Z0GmuP9HO
(;゚∀゚)「こ…これはどういうことだ!」
ブーン達が見たのは長椅子の残骸に座り静かに寝息を立てるしぃの姿だった。
( ・∀・)「説明は簡単だ、さっきの薬は睡眠薬」
(; ^ω^)「…すると魔力増なんちゃらっていうのは?」
( ・∀・)「うん、『また』なんだ。済まない」
(; ^ω^)「ちょwwwwwおまwwwwww」
そうは言ってもモララーには詫びの念は全く感じられない。
(;^Д^)「(こいつ悪魔だ…
魔界の下手な悪魔よりずっと悪魔らしいぞ…)」
( ゚∀゚)「…で、これで先へ進めるという訳だが」
ξ゚听)ξ「でもあの子はどうするの?」
ブーン達が目の前で普通に話していてもしぃに目覚める気配はない。
なかなか強力な睡眠薬のようだ。
( ・∀・)「彼女なら2、3時間で目覚めるだろうから大丈夫だ。
というか、悪いけど下手に手を出して欲しくない。
彼女には今までの分ゆっくり休んでもらいたいんだ。
…例え敵対したって僕としぃは幼なじみだから」
- 277: ◆wAHFcbB0FI :12/24(日) 13:05 Z0GmuP9HO
…これは夢か?
何時もは人をからかう嫌な奴。
そんな奴が今自分達の前でこんなことを言っている。
それも大真面目にだ。
('A`)「こんなモララーを見るのは初めてだ。
帰る時嵐が来なければいいが」
( ・∀・)「いくら何でもねーよwwwwww
ま、でも僕にかかれば女を嵌めるなどちょろいもn(ry」
モララーはその直後ツンから強烈な蹴りを頂いたようだ。
- 279: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 15:45 dXy+SUe6O
難敵を退けたブーン達はさらに遺跡の奥へと来ていた。
ξ゚听)ξ「…なんか暑くない?」
( ^ω^)「全くだお。外はあれだけ寒いのに…お?」
次の部屋は溶岩の川が部屋を真っ二つに分けていた。暑くて当然だ。
さっさと先へ進んでしまいたいが、進路は溶岩の川で隔てられた向こう側。
落ちたら即死だし、第一橋がないので渡れない。
- 280: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 15:46 dXy+SUe6O
( ^ω^)「これは一体どうしろと言うんだお?」
ブーン達が部屋を散策していると、部屋の端に西瓜程の大きさの壷が幾らか置かれているのを見つけた。
そしてその向かい側に的のようなもの。
さらに、壷の横に立て札。そこには奇妙な文字。
もうやることは一つだった。
( ゚∀゚)「任せた」
( ・∀・)「把握」
何かの合図にすら見える、手短なやりとり。
( ・∀・)「…『当てろ』って書いてあるね。
『当てたら十秒以内に先へ進め』だってさ」
('A`)「それ何てスポーツテスト?」
- 281: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 15:54 dXy+SUe6O
この壷を投げ、溶岩の川の向かい側にある的に当てると橋が架かるという仕組みのようだ。
そして、一度架かった橋は約十秒で再びなくなるのだろう。
先程の迷宮と同じ仕掛けらしい。
溶岩の川の幅は見たところ約三十メートル、かなりの距離だ。
並の肩力では的の位置まで届くことすらままならないだろう。
だが、ここに一人の男が立ち上がった。
( ゚∀゚)「ならここは俺に任せとけや!」
そう、ジョルジュ。
彼の怪力ならば上手くいくかもしれない。
( ^ω^)「やっぱりここはジョルジュに任せた方が良さげだお」
( ^Д^)「頼もしいな。wktk」
( ゚∀゚)「まあ見てろって。いくぞ…」
- 282: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 15:57 dXy+SUe6O
ジョルジュは壷を一つ掴み、それを片手でいとも簡単に持ち上げた。
( ゚∀゚)「秘技億把囲スロウ!!!」
(; ^ω^)「ちょwwwwwおまwwwwww」
ジョルジュは力の限り壷を投げた。
壷は唸りをあげて溶岩の向こう側へ飛んでいく。
…が、それは的を大きくはずれ、横の壁に命中。
壷が割れる音だけが虚しく響いた。
- 283: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 16:07 dXy+SUe6O
( ・∀・)「…下手糞」
モララーが呆れた様子で煽った。
(#゚∀゚)「五月蝿ぇ」
( ・∀・)「惜しいって言った方が正しいかな?
ジョルジュは肩力は人間離れしてるってほどあるのにコントロールがなさ過ぎる。
君がもし野球のピッチャーとかだったら確実に途中交代させられるねwwww」
( ゚∀゚)「…そういうものか」
それも一理ある、と言って一旦落ち着いたジョルジュだったが…
( ゚∀゚)「…俺は物を投げる時には常に自分の信念に身を任せて…
あー、もう我慢出来ねぇ!」
おっぱい!おっぱい!
_ ∩
( ゚∀゚)彡
( ⊂彡
| |
し⌒J
ξ゚听)ξ「ちょwwwきめえwwwww
てかこれ何?」
('A`)「…ジョルジュの裏の趣味ってとこだな。
いつも見てて思うが、痛い」
眠っていた感情が久々に呼び覚まされたからなのか、ジョルジュは猛反論を試みる。
(;゚∀゚)「失礼な!
おっぱいは俺にとっての…」
だが悉く返り討ちにされた。
( ・∀・)「はいはいそれはよかったね。
さっさと二回目いってもらおうか」
(;゚∀゚)「…わかったよ。
やればいいんだろやれば!」
ジョルジュは地団太を踏んだ。
- 285: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 16:19 dXy+SUe6O
そんな訳で、二回目。
( ゚∀゚)「秘技億把囲ストレート!!」
( ^Д^)「さっきのとどう違うんだwwwwww」
今度はちゃんと的めがけて飛んでいった。
だが、ストレートと言いつつも途中で見事にカーブ。
結局、的に当たることはなく
その後の展開は言わずもがな。
( ・∀・)「下手糞」
(#゚∀゚)「uzeeeeee!!
だったらお前やってみろ!」
( ・∀・)「悪いけど、まださっきの痺れが完治してないからそれは無理。
大体自ら名乗り出たのは君じゃないか」
ジョルジュはついさっきの自分の行いを思い浮かべた。
(;゚∀゚)「(確かに元はと言えば俺が自ら引き受けたんだった…)」
そして結局
( ゚∀゚)「むしゃむしゃしてやった、
今は反省しているし後悔もしている」
ジョルジュは今まででこれほど自分の行いに後悔したことはなかった。
- 286: ◆wAHFcbB0FI :12/27(水) 17:09 dXy+SUe6O
( ゚∀゚)「こうなりゃ仕方ない…」
ジョルジュは残りの壷を全て寄せ集めた。
そしてその内の二つを掴み…
(#゚∀゚)「最終奥義
億 把 囲 ス ト ー ム ! !」
壷を二つ同時に力一杯投げては足下から再び掴み、また投げる…
( ^ω^)「どう見ても乱れ撃ちです。
本当にありがとうございました」
(#゚∀゚)「まだまだぁ!!!」
ガチャンガチャン、と壷の割れる音が部屋中を駆け巡る。
そして、ようやく…
('A`)「おい、当たったぞ」
ジョルジュの投げた最後の壷が見事向こう側の的に命中したのだ。
するとどこからどう出現したのか、
突然橋が架かった。
( ・∀・)「おk、もういいよ」
(;゚∀゚)「はぁ…流石にちょっと疲れた。
お前等俺に感謝しろよ!」
( ^ω^)「乙」
橋さえ架かれば後は簡単だ。
ブーン達は大急ぎで橋を渡り、さっさと先へ進んだ。
- 287: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 18:35 mQ5xHa2PO
今度は通路はなく、すぐに次の部屋につながっていた。
部屋には閉ざされた扉、その目の前にタイル。
その横にはやはり奇妙な文字が書かれた立て札。
モララーがこれを解読してみると…
( ・∀・)「これはちょっと面倒だな。
『黙って六十の時を過ごせ』
…以下はさっきと同じで、十秒以内に進めだってさ」
- 288: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 18:37 mQ5xHa2PO
これだけではモララーにはわかっても他の者にはよくわからない。
ブーンはモララーに訊ねる。
( ^ω^)「六十の時って何だお?」
( ・∀・)「恐らく六十分、要するに一時間のことだ。
つまり、あのタイルの上でそのまま一時間立ってろってことだと思う」
(; ^ω^)「ちょwwwww
某クソゲーかおwwwwwww」
だが途中で降りたりしたらまたやり直しのようだ。
ある意味最大の関門なのかもしれない。
- 289: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 18:47 mQ5xHa2PO
タイルは人一人が乗れるくらいのスペース。誰が乗るか決めることになった。
( ゚∀゚)「俺は無理だからな!
こんなじれったいことなんかやってられねぇ」
('A`)「俺も待つことは嫌いだ。
出来そうにない」
毒男は、自分は元々活発な人間の為こういうことには不向きだと主張した。
無論、毒男以上に活発なジョルジュは論外だ。
- 290: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 18:57 mQ5xHa2PO
( ^ω^)「僕は途中でドジ踏んでやり直しになったりしそうだから遠慮するお」
こんな理由でブーンも断った。
(;゚∀゚)「…こんなんじゃいつまで経っても決まらないぞ」
ξ゚听)ξ「じゃあ誰が乗るか多数決で決めましょう」
すると皆は一斉にタカラの方を見た。
(;^Д^)「ちょ、それはどういうことだ」
( ゚∀゚)「だってお前は俺達より時間の進み方とか気にならなさそうだし。
人間っていうのは何もしないでずっと待ってるってことが苦手な生物なんだよ」
( ^ω^)「そういうことだから頼むお」
確かにタカラはブーン達人間に比べて時間の感覚が違うのだ。
本来の一時間は、タカラにとって十分程度にしか感じない。
( ^Д^)「仕方ねえな…」
こうして、タカラが一時間タイルの上に居座ることになった。
- 291: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 19:10 mQ5xHa2PO
すると毒男は袋を取り出して皆に提案する。
('A`)「じゃあ俺達はこの間にさっき貰ったう〇い棒でもかじるか」
( ^ω^)「賛成だお!」
タカラ以外の五人は袋から駄菓子を取り始めた。
(;^Д^)「ちょ、待ちやがれこの鬼畜共!!」
だがそれは無視され、話はさらに深くなっていった。
ξ゚听)ξ「こんな所へ来るのにそんな食料しかないの?」
( ・∀・)「旅費0円だからって調子乗ってたら皆食料を忘れたみたいでさ」
ξ゚听)ξ「ちょwwww旅費0円って何wwwwww
一応缶詰めとか持ってきたけどよかったら食べる?
…い、いらないなら無理に食べなくてもいいのよ」
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「いただきます」
まあいらない訳がないのだが。
- 292: ◆wAHFcbB0FI :12/28(木) 19:14 mQ5xHa2PO
タカラ以外の五人は缶詰めやう〇い棒を食べながら、
こんな危険とも言える場所でエンジョイした。
そして、一時間後
(#^Д^)「ほらほら開きやがったぞ。
さっさとしやがれってんだ鬼畜共が」
( ^ω^)「把握」
ブーン達は再び扉が閉まる前に急いで進んだ。
タカラはえらく機嫌が悪いようだがそんなことは誰も気にしなかった。
- 293: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 15:54 CyQWqvCkO
その次の部屋も、前の部屋と隣り合わせだった。
だが、ブーン達はただ首をかしげるばかり。
(; ^ω^)「行 き 止 ま り ?」
そう、道がない。
部屋に入ったブーン達を迎えたのは壁と例の立て札だけだった。
- 294: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 15:57 CyQWqvCkO
( ・∀・)「とりあえず、まずはこれを解読してみるか」
今までのようにモララーは立て札に書かれた文字の解読を始めた。
だが、やがてモララーも首をかしげてしまう。
( ・∀・)「『よくぞここまでたどり着いた』
…これだけ?」
(;゚∀゚)「ちょwwwww
本当にそれだけなのか?」
( ・∀・)「そんなはずはない…
と言いたいところだが、本当にこれだけだ。ワケワカラン」
だとするとここが最深部なのだろうか。
だがこの部屋にあるのは壁と立て札ばかりで他は何一つない。
- 295: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 16:12 CyQWqvCkO
( ・∀・)「待った。こういうのは裏を見ると何かがわかるっていう…」
モララーは立て札の裏を覗く。
そして、得意げに続けた。
( ・∀・)「『…というのは嘘。↑へ行け』だってさ」
( ゚∀゚)「そういうことかwwwwww
ここを作った奴は結構お茶目な奴だったらしいな」
↑というのは上ということのようだ。
よって、この壁を登るとその先に道が続いているという結論となった。
- 296: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 16:15 CyQWqvCkO
だがそうとなるとまた別の問題が発生する。
(;゚∀゚)「どうやって登ったらいい!」
ジョルジュはモララーに助けを求める。
が、モララーも即座に首を横に振った。
( ・∀・)「僕だってタケ〇プターみたいなものなんて持ってないから。
他の方法考えないといかんね」
( ^Д^)「壁に足場付けて登るとか出来ないのか?」
(;゚∀゚)「ちょwwww
俺達泥棒じゃねえしwwwwww」
まあ、泥棒に近い集団というのが正解か。
- 297: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 16:23 CyQWqvCkO
よく見ると、壁の頂には杭のようなものが突き刺さっている。
('A`)「あれをうまく利用しろってことか?」
ξ゚听)ξ「(…! アレ使えばいいじゃない!)」
ツンは何を思いついたのか、荷物からワイヤーが巻き付けてあるようなものを取り出した。皆の視線が彼女に集まる。
(^ω^)(゚∀゚)
ξ゚听)ξ「こっちみるn(ry」
( ・∀・)「…で、何を始める気?」
ξ゚听)ξ「いいから黙って見てなさい」
そう言ってツンはそれを壁の上の杭に狙いを定め、ワイヤーを放った。
それは真っ直ぐ杭へ向かっていき、杭に巻き付く。
そしてそれを軽く引っ張り、落ちないことを確認する。
ξ゚听)ξ「…後はこれをつたって登ればよし…と」
( ゚∀゚)「何か随分と凄いもの持っちゃってるじゃねえか。
正直驚いたぜ」
ξ゚听)ξ「まあ俗に言うフックショットってところね。
作るの大変だったんだからこの借りは高くつくわよ」
( ゚∀゚)「わかったわかった。
ありがとうございますですよ」
ξ゚听)ξ「どういたしましてですよ」
変な会話だ。
( ・∀・)「(…僕だったらこれに攻撃機能とかも付けるけどね)」
何であれ、これで先へ進むことが出来た。
妙な対抗心を持ったモララーだが、
それをいちいち口に出すのは彼のプライドが許さなかった。
- 298: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 16:27 CyQWqvCkO
ブーン達が壁を登った先にはまたも大きな扉があった。
( ^ω^)「また何かいるのかお?
もう魔法とか使う奴は御勘弁だお」
('A`)「だからってここで諦める訳にもいかんだろうが」
ぼやいたところでどうにかなる訳ではない。
( ゚∀゚)「さあ、新たなる世界への扉を開こうじゃないか!」
( ・∀・)「何を今更ファンタジックなことを言っているんだ」
(;゚∀゚)「まあ確かにそうだが…
ブーンが若干及び腰だし緊張をほぐそうと思ってな」
( ^ω^)('A`)ξ゚听)ξ( ^Д^)「…」
皆は静まり返っている。これではむしろ逆効果だ。
( ・∀・)「残念、見事に白けました」
(;゚∀゚)「今は反省している。
…今度こそ開けるぞ」
( ・∀・)「(誤魔化しやがった)」
本日、反省と後悔をしてばかりのジョルジュであった。
- 299: ◆wAHFcbB0FI :12/30(土) 16:33 CyQWqvCkO
扉の先に、見上げるほど大きな二つの石像があった。
動いたり襲ってきたりはしないようだが、何かを思わせる威圧感を発している。
( ゚∀゚)「…どうやらこの次が最後の部屋のようだな」
だがブーン達はすぐに異変に気付く。
(; ^ω^)「…扉が壊されてるお!」
最深部へ続いているはずの、最後の扉は無残にも壁からはずれ、床に転がっていた。
(;゚∀゚)「どうやってここまで来たのか納得出来んが
この先に誰かいるってことだよな。
しかしなんて凶悪な壊し方だ…」
その元扉だったものはもはや原型をとどめておらず、あちこちがへこんでいる。
( ・∀・)「! これは…」
モララーが壊れた扉をよく調べてみると、所々が凍り付いているではないか。
嫌な予感が頭をよぎる。
( ・∀・)「この先にいるのはただ者じゃないな。
しぃの様に魔法を扱う者か、そうでなければ…
最後の五色霊刀の『氷青刀』、正式名称クラーケンを持つ者だ」
(; ^ω^)「mjd?」
( ・∀・)「こんな状況で嘘なんか突ける訳ないだろ」
(;'A`)「(むしろその台詞が嘘だな)」
いずれにせよ、ここで立ちすくんでいる場合ではない。
( ゚∀゚)「お前等準備はいいな?
恐らく次がラストだ、行くぞ!」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)ξ゚听)ξ( ^Д^)「おー!!」
ブーン達は扉が壊れて開いた穴をくぐり抜け、遂に遺跡最深部に到達した。
- 300: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:04 +h0IpDFMO
遺跡最深部。
そこには確かに透き通った水の湧き出る、何か不思議な力を感じられる泉があった。
その前に、墓のような小さな石塔が建てられている。
だがブーン達はそれらをそっちのけ。
彼等はある一点を見つめていた。
(; ^ω^)「…信じられないお」
(;゚∀゚)「嘘だろ…」
ブーン達の目の前に立っている人物。
先客がいることにまず驚きなのだが、ブーン達にはそのよく知っている人物が
ここにいるということが信じられなかった。
というか、信じたくなかった。
- 301: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:12 +h0IpDFMO
(´・ω・`)「…やあ」
ブーン達がよく知っている、友人とも言える人物、ショボン。
彼はブーン達に気付くと物悲しげな様子で挨拶をしてきた。
(; ^ω^)「いきなりやあと言われても困るお」
( ・∀・)「そんなことはどうでもいい。
何故に君がこんな所にいるんだい」
モララーが素っ気なく聞く。
それに応じて、ショボンも素っ気なく答える。
(´・ω・`)「それは…君達と同じさ」
ショボンは泉に目を向ける。正確には、泉の中央にある岩だった。
その平たい岩の表面に、緑色に輝く拳大の宝石がはめられている。
(´・ω・`)「この泉には、人間の内に秘められた力を覚醒させる力があるんだ。
その泉の力の源が、あの宝石なんだよ」
( ゚∀゚)「…随分と詳しいな」
(´・ω・`)「そこの墓に色々と書いてあるからね」
石塔に刻まれているのは今まで何度も見てきたあの奇妙な文字。
このときブーン達は悟った。
ショボンには古代文字が読めるということを。
- 302: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:16 +h0IpDFMO
(´・ω・`)「今、読んであげるよ」
ショボンは石塔に刻まれた文字を読み始めた。
(´・ω・`)「『この泉は、選ばれし人間の力を覚醒させる聖なる泉。
我が一族はこれを護り、後の世に残せ』
恐らくこれはこの墓に葬られた人物の遺言か何かだろうね。
最後はこうだ。
『世界を救いし英雄G・c-クロスここに眠る』」
その途端、タカラが畏敬の念と驚愕の感情が混じった口調で言う。
(;^Д^)「Gだと…?
まさかこれはあのGの墓なのか!?」
('A`)「何なんだよ、そのGとかいうのは」
( ^Д^)「Gというのは魔界最強の戦士の仮名だ。
俺よりもずっと以前から魔界にいるらしいんだが、
彼女の本名は魔界でも未だに謎のままなんだよな」
('A`)「(女性なのかそいつwwwwww)」
今はそれどころではないか、とタカラは話を打ち切った。
- 303: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:22 +h0IpDFMO
(; ^ω^)「そういえば、ショボンはどうやってここまで来れたんだお?」
外の警備員や石像、そして護り手のしぃだっていた。
また、様々な仕掛けもあった。
先程の扉を除いては破壊された形跡すらない。
なのにも関わらず、ショボンはブーン達よりも早くここにたどり着いていた。
それはブーン達が最も気になっていたことでもある。
すると
(´・ω・`)「それはね」
突然ショボンの姿が消えた。
(; ^ω^)「!? どこだお?」
…かと思うと今度はブーンの目の前に突如ショボンが現れた。
(´・ω・`)「…ということなんだ。済まない」
(; ^ω^)「それじゃ何だかわからんお…」
他の者達にもこの現象は理解が出来ない。
だがタカラには全てお見通しだった。
( ^Д^)「…透明化と持ち前の素早さを利用した、
『見せかけの瞬間移動』ってやつだ」
(´・ω・`)「君はわかるんだ? やるね」
( ^Д^)「まあ悪友に、似たようなことをする奴がいてな。
それに俺には姿を消した人間だって見える」
- 304: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:29 +h0IpDFMO
ショボンには自らの姿を一時的に他から見えなくするという
普通の人間が使うには到底不可能な奇妙な力を持っているらしい。
そう、飛行能力を持つブーンのように。
彼は元々素早い為、姿を消した上で移動し、
そしてすぐに姿を表せばちょうど瞬間移動したように見えるのだ。
だが、妖怪のタカラには姿を消している者の姿でさえも見えてしまう。
そんな彼からしてみればただ単に走って移動しているようにしか見えない。
彼にとっては非常に馬鹿らしい話だ。
(´・ω・`)「…さて、馴れ合いは終わりにしてそろそろ本題だ」
ショボンは持っていたライターで煙草に火を灯し、それを吸いながら続けた。
- 305: ◆wAHFcbB0FI :12/31(日) 21:33 +h0IpDFMO
(´・ω・`)「僕はあの宝石を入手する為にここに来た。
君達もまた同じ理由でここに来た。
だったら僕のすることは一つ」
途端にショボンから殺気が伝わってくる。
それを感じたジョルジュとモララー。
(;゚∀゚)「ば…馬鹿、やめろ!!」
( ・∀・)「…最悪な予感しかしない」
ジョルジュが止めるのも聞かず、ショボンは腰から青い光を放つ刀を引き抜き、
剣先をブーン達へ向けて構えた。
(´・ω・`)「君達をここで始末する」
- 310: ◆wAHFcbB0FI :01/04(木) 23:43 Vw6EmgN4O
( ・∀・)「やはり…君がクラーケンの持ち主か」
(´・ω・`)「そう、それが正式名称。
君達には言わないでいたけど僕が持っていたんだ」
氷青刀、クラーケン。魔獣の力が封じられた、最後の五色霊刀。
(;゚∀゚)「冗談じゃねえよ…
何で俺達がショボンと戦わなければならないんだ!?」
自分達が今まで親しくしてきた友人。
敵として死闘を行うことなど絶対にあってはならないはずだった。
だが、今その友人が自分達に刃を向けている。
悪い夢でも見ているのか?
―――答えは否だった。
- 311: ◆wAHFcbB0FI :01/04(木) 23:54 Vw6EmgN4O
(´・ω・`)「どうしたんだい?
まさか、ここまで来ておいて僕と戦うことが出来ないとか?」
一方ショボンには戦うことに対して全く躊躇いが感じられない。
ブーン達が黙っているのを見ると、ショボンは続けて言った。
(´・ω・`)「じゃあこう言ってみようか。
前に、あの巨大石像のあった土地の地下にあった財宝の一部を持ち出したのは……僕だ」
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「!!」
かつてブーン達が巨大な石像を破壊したとき
その石像のあった土地の地下で財宝が見つかった。
だがその地下の広さの割に財宝の量は少なかったのだ。
ブーン達は誰かが昔に持ち出したものと考えていたのだが。
(´・ω・`)「もっと言うと去年だったかな、
洋館にあった三つの宝箱の内の一つの中身を根こそぎ持ち出したのも…」
(;゚∀゚)「…お前だったのか」
ショボンは小さな笑みを浮かべた。挑発している様子だ。
(´・ω・`)「…戦う気になったかい?
いずれにせよ僕は今から君達に攻撃するつもりだ」
冷静な口調とは裏腹に殺気はますます強くなる。
彼の目は狂気に満ち溢れていた。
自らの目標とするものが欲しいあまり理性が劣り
邪魔をする者は誰だろうと見境なしに潰す。
もはや彼の思考はおかしくなっていた。
いつ、どこでこうなってしまったのかは解らない。
が、これが今の彼なのだ。
- 312: ◆wAHFcbB0FI :01/05(金) 00:07 sM4dOd0nO
(´・ω・`)「さあ、どうなんだい。
僕の前に立ちはだかり抗うか、それとも…」
ショボンが言いかけたそのときだ。
(´・ω・`)「!」
ショボンの顔面めがけて勢いよく拳が飛んできた。ショボンは僅かの差でそれを避ける。
(´・ω・`)「ブーン?」
( ω )「…僕には君の考えがわからないお」
ショボンにしてみればこういう反応は予想外だったのだろう。
(´・ω・`)「こっちこそ君が何を言いたいのかわからないな」
( ω )「人を殺めてまで財宝が欲しがる理由がわからないんだお!」
そういうなりブーンは床にうずくまる。
一瞬、意外そうな目つきをしたショボンだったが、すぐにまた先程の殺気が戻ってきた。
(´・ω・`)「…悪いけど、抗う気力がないならさっさと始末したいんだ。
君のことは忘れないよ」
ショボンはクラーケンを振り上げた。だがブーンは身構える様子もない。
そして、青い刃が無防備なブーンへ振り落ろされた。
- 313: ◆wAHFcbB0FI :01/05(金) 00:27 sM4dOd0nO
自分の友人が今、自分を殺そうとしている。
何故? 何故彼が何の躊躇いもなしに自分を? 意味が解らない。
でも理由は何であれ自分は彼と戦うなんて出来ない。友人だから。
だったらいっそこのまま…
( ω )「……お?」
痛みは全く感じない。
痛みの代わりに、ガン、という鈍い音。
その後ギリギリと何かがぶつかり合うような嫌な金属音。
( ^ω^)「…僕は…まだ生きてる?」
ブーンが恐る恐る頭をあげてみると、そこにはクラーケンを受け止めている炎赤刀―――サラマンダーがあった。
- 314: ◆wAHFcbB0FI :01/05(金) 00:32 sM4dOd0nO
クラーケンの持ち主は軽く舌打ちし、サラマンダーの持ち主はブーンに小さく笑いかける。
( ゚∀゚)「大丈夫か?
あんまり心配かけんなよ!」
彼は手短に言うと今度はショボンの方を向く。
( ゚∀゚)「…相手が友人だから戦いたくないなんて一言も言ってないぞ?
他の奴はどうだか知らんが少なくとも俺はお前が考えてる程お人好しな人間じゃないんだよ。
だから俺は今からお前と刀を交える」
( ^ω^)「……」
複雑な気持ちだ。彼は自分とは反対のことを言っている。
だが、ブーンにはむしろジョルジュの方が自分よりも正しい気がしてならなくなってきていた。
自分は『相手が友人だから〜』といって自分や他に言い訳していたのかもしれない。
- 315: ◆wAHFcbB0FI :01/05(金) 00:47 sM4dOd0nO
続いて、緑色の光をまとった刀を構えた毒男が前に出た。
('A`)「ショボン。
俺もブーンと同じだ。お前が何をしたいのかさっぱりわかんねえし、俺だってお前が敵になったなんてお断りしたいくらいだ。
だ か ら俺は全力でお前を止めてやるよ」
( ^ω^)「……」
友人とは戦いたくない。自分と同じだ。
けど、だからって自分のように弱気になんかなっていない。
毒男は自分よりも、大きな器なんだろうな、とブーンは思った。
( ^Д^)「正直な所、俺はどっちの味方でもない。
けどな、こいつらと付き合うのはそんなことがどうでもよくなるくらい面白いんだよね。
そんな訳だから俺は今もこいつらに付き合わせてもらうぞ」
何とも雑な理由だが、タカラには確かにブーン達に協力するという意志が感じられた。
そして、霊刀を持たないモララーとツンも前へ出る。
( ・∀・)「僕も元々は興味本位でブーン達に同行してきたものだ。
でも同行してきたからには何であれ僕はブーン達に協力するべきだと思うんだよ。
例え友人が敵だろうがね」
ξ゚听)ξ「遅れたけど初めまして。
私には貴方とブーン達の関係はわからない。
…いや、むしろ知らないでおいた方が今から心置きなく貴方と渡り合える」
( ω )「……」
みんな、自分のように弱気になっていない。
( ω )「(…もしかしたら僕の考えが甘いのかもしれないお)」
そして、何かを決意したかのようにブーンは立ち上がった。
- 316: ◆wAHFcbB0FI :01/05(金) 00:53 sM4dOd0nO
( ^ω^)「…みんな…よくわかったお」
彼は腰から白い光を帯びた刀を引き抜いた。
( ^ω^)「僕はもう迷わないお!
勝負だおショボン!!」
ブーンは刀の先を真っ直ぐにショボンへ向ける。
その真っ直ぐな刀先は、迷いを断ち切ったブーンをそのまま再現したかのようだ。
(´・ω・`)「やっとその気になったね。
6対1でいいよ。かかってきなよ」
白、青、黒、赤、緑。
全ての霊刀が集結した今、戦いが始まった。
- 318: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:28 +QGRPk85O
( ゚∀゚)「相手はショボン一人とはいえ、あいつは相当強いはず。
それに霊刀まで持ってるから、まともに戦うのは危険だ」
よってブーン、毒男、ジョルジュ、タカラが前衛。
霊刀を持たないモララーとツンは後衛となった。
( ^Д^)「これでいいのかねぇ…」
( ・∀・)「(多分)イインダヨ!」
( ^ω^)「グリーンd(ry」
- 319: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:35 +QGRPk85O
(´・ω・`)「…始めようか」
ショボンは吸っていた煙草を放り投げた。
それと同時にジョルジュはサラマンダーを振りかざす。
( ゚∀゚)「おらぁ、行ってこい!!」
刀から炎が巻き起こり、ショボンめがけて飛び込んでいく。
炎はしぃとの戦いの時よりも大きく、そして速い。
(´・ω・`)「おっと」
ショボンは素早く避ける。彼がいた位置を炎がかすめていった。
が、すぐさま次の攻撃が飛んでくる。それは真空の刃。
('A`)「…これこそ、霊刀の真の力か。
やっぱりただの刀じゃないんだな」
(´・ω・`)「これがサラマンダーとユニコーンの力…共に遠距離攻撃か。面倒だ。
6対1なんて言わなきゃよかったかな」
そう言いながらもショボンは真空波を易々と避けていく。
- 320: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:38 +QGRPk85O
林緑刀、正式名称ユニコーン。
刀からかまいたちや真空波を巻き起こすといった、風の力を持つ五色霊刀の一つ。
(´・ω・`)「単独で攻撃したって簡単に避けることが出来るよ」
( ゚∀゚)「ならもう一度いくぞ!」
再びジョルジュがサラマンダーを振りかざし、炎を飛ばす。
(´・ω・`)「無駄だって言うのがわからな…」
ショボンは言いかけて止める。
( ^ω^)( ^Д^)「僕(俺)達がいるのを忘れるな」
ちょうどブーンとタカラが霊刀で斬りかかってくる所だった。
(´・ω・`)「白と黒…セラとバシリスクとはね…」
ショボンは懐から大型のナイフを取り出し、片方をクラーケンで、もう片方をナイフでそれぞれを受け止めた。
だが、両手が塞がったショボンに炎が迫る。
- 321: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:45 +QGRPk85O
(´・ω・`)「悪いけど…
そのままじゃこの二人も巻き添えになるよ?」
(; ^ω^)「ちょ、やばいお」
だがジョルジュは不敵な笑いを浮かべ、
( ゚∀゚)「…曲がれ」
と、形無き炎に命じた。
その途端、ショボンめがけて真っ直ぐ飛び込んできた炎は右に曲がり、彼の後ろへ回り込んだ。
(;´・ω・`)「!? そんなことも出来るのか!」
( ゚∀゚)「たった一年でここまで使いこなせるなんて我ながら驚きだ!」
言うなれば、サラマンダーがジョルジュを持ち主として認めたのだろう。
( ゚∀゚)「ここからならブーン達にはぶつからねえよなー。
…突っ込め!」
炎は主の命令通りショボンの背後から飛び込んでいく。
(´・ω・`)「(…ちっ)」
ショボンは二人から離れ、後退する。それによりブーンとタカラも炎から避難した。
- 322: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:50 +QGRPk85O
( ゚∀゚)「まだまだ!」
執拗に飛び回る炎。
そしてそれをかわし続けるショボン。
さらに毒男の持つユニコーンの発した真空波が追い討ちをかけるが、それでも攻撃は命中しない。
彼の俊敏さはもはや人間レベルではなかった。
これを見ていたブーンとタカラ。
( ^Д^)「…そろそろ俺もやるか」
( ^ω^)「それはどんな能力なんだお?」
( ^Д^)「ちょっと危ないぜ。気をつけな」
タカラは邪黒刀を掲げた。
途端に刀を帯びていた黒い光が濃くなり、やがて光は黒い蛇を象る。
( ^Д^)「さっきの話からして、この刀は本当はバシリスクっていうみたいだな。
最初はよくわからずに使ってたけど、これがこの霊刀の力だ。
使うの何ヶ月振りかな…面白くなるといいな」
- 323: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:53 +QGRPk85O
邪黒刀、正式名称バシリスク。
魔の力を糧に黒き光の蛇を作り出す五色霊刀。それ故に人間には扱えない。
作られた蛇は魔力によって強さが比例し、強力なものは一撃で相手を死に追いやるほど。
その名の通り毒蛇だ。
( ^Д^)「てかこれってちょっとは手加減した方がいいよな…
殺したらお前等に何されるかわからんし」
(; ^ω^)「当たり前だお!
いくら何でも最悪のシナリオだけは絶対に駄目だお!」
(;^Д^)「(本当なら本気で戦い合いたいんだがな…)」
- 324: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 13:59 +QGRPk85O
ブーン達の間にも只一つ、絶対的規則があった。
それは、『人を殺してはならない』ということ。
自分達の財宝探しの妨害をする者
その財宝探しの最中に財宝を狙う他の者に襲われた場合。
戦闘になり、気絶させることまではあってもブーン達は決して相手の人間の命を奪うことだけはしなかった。
( ^Д^)「(じゃあまずは軽く…)おk、じゃ行ってこい」
タカラが命ずると、黒光の蛇は地を這うかのように目標へ迫っていく。
その速さはサラマンダーの発した炎に勝るとも劣らない。
(´・ω・`)「鬱陶しいことこの上ないな」
ショボンは一度に迫り来る炎や真空の刃、黒蛇をクラーケンで斬り払う。炎と真空波はかき消えた。
が、黒蛇は未だに消えることなくショボンを襲っていた。ショボンはクラーケンで黒蛇を受け止める。
(´・ω・`)「何だよ…
バシリスクの性格は相当悪いらしいな」
( ^Д^)「蛇は執念深いものなんだぜ?プギャーwwwwww」
(´・ω・`)「そうかい。でも」
ショボンは高く跳躍。このジャンプ力もまた常人を遙かにしのぐほどだ。
(´・ω・`)「見たところその蛇は宙を飛び回ることは出来ないようだね。
だったら僕が地にいなければいいわけだ」
- 325: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 14:04 +QGRPk85O
彼の言う通り、黒蛇は動きを止めた。
( ^Д^)「まあ確かにそうだな。
…けどそれはいつまで通用すると思ってるんだ?」
例えショボンが高いジャンプ力を持っていたとしても常に飛んだり浮遊できる訳ではない。
つまり滞空時間は長くなく、地に降りた所を狙えば攻撃は命中する。
だがショボンの目的は別にあった。
(´・ω・`)「解ってるよそんなこと。
…だからこうするのさ」
ショボンは両手でクラーケンを強く握り、急降下しつつ地にいる黒蛇めがけて力の限り振り下ろした。
先程よりも勢いのある一撃は黒蛇を真っ二つに斬り裂き、黒光の蛇は消え去った。
よく見ると、黒蛇がいた場所が凍り付いている。
( ^Д^)「そいつを倒した所で何も変わらない。
黒蛇は幾らでも作れるんだからな!」
(´・ω・`)「…じゃあ奥の手といくか」
その途端、ショボンは姿を消した。
- 326: ◆wAHFcbB0FI :01/07(日) 14:11 +QGRPk85O
(; ^ω^)「ま、またかお!」
こうなるとタカラ以外の者はまともに対処出来ない。
相手の位置が特定出来なければ攻撃することも防衛することも困難なのだ。
( ^Д^)「そんなことをしても無駄だ。
俺には見える」
するとタカラにだけ声が聞こえてきた。どうやら姿を消している間は本人の声等も人間には聞こえないようだ。
「君には見えるんだったね。
…でも、君以外には?」
(;^Д^)「…しまった! ブーン後ろだ!」
ブーン達には見えていないが、ショボンは既にブーンの背後に忍び寄っていた。
だが、例えタカラが位置を把握出来たとしてもそれをブーンが解らなくては避けようがない。
( ^Д^)「そうはいくかよ!」
これに気付いたタカラがショボンに近づこうとするが既に遅かった。
(; ^ω^)「ちょ、後ろって言ってもどこに…痛っ!!」
突如としてブーンの背から出血。そして倒れ込んだ。
- 334: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:06 56Dl4WmMO
(;゚∀゚)「ブーン!?
大丈夫か!?」
ジョルジュが倒れたブーンへと駆け寄る。だが、返事はない。
致命傷とまではいっていないようだが、どうやら気絶してしまったようだ。
(´・ω・`)「実に都合のいい力だよこれは。
持ち物や装備している武器まで消すことができるんだからね」
再び姿を現したショボン。その左手には血で染まったナイフ。
('A`)「お前…いつからそんなになっちまったんだ?」
(´・ω・`)「もともとそういう冷血な人間で、それが最近目覚めた、というのが答えかな」
それだけ言うとまたも姿を消した。
- 335: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:11 56Dl4WmMO
「…次は君の番だ」
そうは言っても姿が見えなくては誰が目標なのか解らない。
(;'A`)(;゚∀゚)「(…怖すぎる)」
いつ攻撃が来るか解らないこと程恐ろしいことはない。毒男とジョルジュは身構える。
( ^Д^)「(どうしたらいい…)」
ショボンの動作は常に速い為姿の見えるタカラであっても反応がどうしても遅れてしまう。
相手が動き始めた後では遅いのだ。
…だが
「じゃあいくy…ぐはぁ!?」
突然奇声をあげて倒れるショボン。
勿論、これもタカラにしか聞こえていないし、見えてもいなかった。
- 336: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:22 56Dl4WmMO
(;^Д^)「今のは一体何だ…?」
タカラが辺りを見回すと、聞き覚えのある笑い声。
( ◎∀・)「こういうことだよ、見えるんだなこれが!
もうちょい僕達の力も信用してくれたっていいんじゃない?」
後ろに、ショボンの方へ光線銃を向け引き金を引いているモララーの姿があった。その右目には妙なレンズ。
(;゚∀゚)「何だそれは」
( ◎∀・)「目に見えないものをも見ることのできるレンズだよ。
まあアレだ、以前洋館で僕の先祖…あの馬鹿と戦った時に使った物の改良ver.と言えばいいね」
ショボンが他の者達に気を取られている間にこれを思いつき、試してみた所効き目があったらしい。
(;゚∀゚)「そんな便利な物があるならさっさとよこせっての!」
( ◎∀・)「生憎これは一つしかないから君達は勘で探るしかないね」
(;゚∀゚)「勘って言われてもな…」
大丈夫だよ、とモララーは返す。
( ◎∀・)「絶対に見破る方法があるはずだから」
('A`)( ゚∀゚)「…?」
毒男とジョルジュは解らない、という表情で顔を見合わせた。
- 337: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:33 56Dl4WmMO
( ◎∀・)「そういやブーンの治療をしないといかんね」
そういうなりモララーは別の白い光線銃を取り出しブーンへ向け…
引き金を引いた。
ξ;゚听)ξ「ちょ、気でも狂ったの!?」
( ・∀・)「いや、これで彼は治る」
( ´ω^)「うーん…」
…確かにブーンは立ち上がった。
( ゚∀゚)「おお、ブーン! 復活したか!」
仲間の復活を喜ぶジョルジュ。
('A`)「これでも田舎者な俺に今起きたことをkwsk」
( ・∀・)「これは…再生薬を元に作った回復用レーザーだ。
それ故に多量のエネルギーが必要になるんだけどね」
( ^ω^)「よくわからんけどおかげで傷も癒えたお」
(;'A`)(;゚∀゚)ξ;゚听)ξ(;^Д^)「もう凄いのなんの…」
ξ゚听)ξ「もう、おかげで寿命が縮んだじゃないの!」
( ・∀・)「そんなの引っかかる方が悪い。
この再生レーザーは遠距離治療だけでなく他人の意表をつくというサプライズな意味もあるんだからね」
ξ;゚听)ξ「(予測不能な奴…)」
そんなこんなでブーンは無事回復したが、ほっとしたのもつかの間だった。
- 338: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:38 56Dl4WmMO
(´・ω・`)「…やれやれ、熱かったじゃないか」
現在敵であるショボンもまた立ち上がったのだ。
皮膚が多少焦げているようだがあまり痛みは感じていないように思える。
( ・∀・)「ん? あまり効いてないみたいだね…パワー最大にして撃ったのに…
君は本当に人間か?」
(;゚∀゚)「(お前だって人間とは到底思えないぞwwwwww)」
(´・ω・`)「僕はどこからどう見たって人間だろう?
…ただの人間ではないけどね」
( ・∀・)「(これは何か裏があるな)」
戦いの途中だというのにショボンはまたも煙草に火を付け、それを吸い始めた。
- 339: ◆wAHFcbB0FI :01/10(水) 23:43 56Dl4WmMO
(´・ω・`)「君達は僕が姿を消すことができたり高いジャンプ力を持っていたりするのはどうしてだと思う?」
('A`)「…さっきも言ったようにお前がただの人様じゃないからじゃねえのか?」
荒っぽく毒男が答える。やはり先程のショボンの行為を許すことが出来ないのだろう。
だがショボンはそれは気にも留めず答える。
(´・ω・`)「そう、確かにそうだ。
けど、もう少し正確に言うと…」
次の瞬間、ショボンはとんでもないことを言い出した。
部屋にいる、他の誰もが信じられないことだった。
(´・ω・`)「僕は『魔界』から来た人間なんだ」
- 345: ◆wAHFcbB0FI :01/12(金) 23:43 VJDtd8QQO
(´・ω・`)「けど…忘れもしないあの夜。
その日は僕一人で店を営業していたんだが、閉店間際に一人の女性が店に来た」
――――バーボンハウスにて
(´・ω・`)「もう客もみんな帰ったし今日は店じまいするかな…ん?」
(*゚∀゚)ノシ「やっ」
(;´・ω・`)「や、やあ、ようこそバーボンハウスへ
(変だな、入口のドア開ける音がしなかったぞ。いつの間に…?)」
気付いたらいつの間にか彼女は店内にいた。
(*゚∀゚)「聞かなくても解ってるけど一応。
アンタがショボンだよね?」
(;´・ω・`)「なっ!?(こいつ何で僕のことを? 初めて見る顔なのに)」
- 346: ◆wAHFcbB0FI :01/12(金) 23:53 VJDtd8QQO
(*゚∀゚)「説明は要らないよ。
今は忙しいから用件だけ済ませるとしますかなー」
(´・ω・`)「用件?」
(*゚∀゚)「そ。初めに言っとくとまずアンタは魔界の人間なんだな―」
(;´・ω・`)「はぁ!? 僕はただの人間だぞ!?」
―――初めは僕だって信じなかったさ。
あまりにも唐突で、それに何の根拠もなかった。
むしろ信じない方が普通だったはず。
(*゚∀゚)「まあ信じないだろうね。記憶消されちゃってるし。
…だから今記憶を蘇らせてあげるよ!」
彼女の左手から紫色のガスのような球体が生み出された。
(;´・ω・`)「ちょ、やめ…」
(*゚∀゚)「んー、そんなこと言われてもこっちは魔王さんに言われてやってることだからこれは仕方ないことなんだよねー」
そう言うと彼女は左手をショボンへと向け
(*゚∀゚)「失われし記憶よ、今こそ主の元へと戻れ!!」
紫の球体を僕へと放った。
- 347: ◆wAHFcbB0FI :01/13(土) 00:14 CPi+kVYyO
僕にそれがまともに命中した。
けど痛くも何ともなかった。
(´・ω・`)「…?」
(*゚∀゚)「これでここも完了、と。
試しに私に思い出したこと言ってみなよー」
(´・ω・`)「僕はショボン
それから、魔界にて生まれ魔界で育つも幼い頃に現世へと飛ばされ現在に至る…
…何てことだ…次々と記憶が蘇ってくる」
これがもう一つの、僕の本当の記憶だった。
(*゚∀゚)「そうそう!
特技とかも思い出した?」
僕は記憶を頼りに姿を消せるかどうか試みた。
――――出来た。出来てしまった。
(*゚∀゚)「OKOK! 全て思い出したようだな!
んじゃ私忙しいから消えるよ!
アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
そして彼女は笑い声をあげながら消え去った。
何から何まであっと言う間の出来事だったよ。
- 348: ◆wAHFcbB0FI :01/13(土) 00:19 CPi+kVYyO
――――――――
ショボンは話終えると一息ついた。
(´・ω・`)「…とまあ、君達が知らないうちに僕にはこんなことが起きていた訳だ」
(;^Д^)「(そいつ…嫌な予感しか…いや、今は置いとこう)」
次第にショボンから憎悪の念が感じられてくる。
(´・ω・`)「でもその時、何ともいえない憎しみが沸き上がってきた」
(;゚∀゚)「ショボン、お前…」
一歩、また一歩とショボンは迫ってくる。
(´・ω・`)「僕は僕を現世へ捨て弄んだ魔界の奴等が憎い。
そういう風に思っていたらもう何 も か も が ど う で も よ く な っ て き て さ !」
- 352: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:11 MkHp0QHMO
ショボンはいきなりブーンへ飛びかかり、叩きつけるかのように力を込めてクラーケンを振り下ろす。
(; ^ω^)「…ッ!」
ブーンは反射的に持っていた聖白刀―――
セラでクラーケンを受け止める。激しい金属音が部屋いっぱいに鳴り響く。
(; ^ω^)「少しでも反応が遅れてたら今頃全身を真っ二つに斬られてたお…」
だがその憎しみに満ち溢れた強烈な一撃に、ブーンは衝撃でよろけそうになる。
(´・ω・`)「まだ持ちこたえる気か! 消え失せろ!」
すぐに二撃目が来る。
(; ^ω^)「ぐっ…」
ブーンはこれもセラで受け止める。しかし立て続けに放たれた二回の攻撃により手が痺れてきた。
ブーンのその歪んだ表情をショボンは見逃すはずもなく
(´・ω・`)「先ずは一人地獄送りだ!」
ショボンは止めの三撃目を繰り出そうとする。
(; ^ω^)「何て速いんだお!」
ガードしようとするが、腕が思うように動かない。
このままでは――――
- 353: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:17 MkHp0QHMO
(; ^ω^)「…?」
―――体は真っ二つになっていない。
それどころか何の傷も負っていない。
(;^Д^)「危ねえなぁ…見てられねえよ」
その青い刃は突如現れた黒光の蛇によって阻止されたのだ。
( ^Д^)「それよりお前…あんまり俺達を馬鹿にするな」
ショボンの前に黒蛇と、それを作り出した刀の持ち主が立ち塞がる。
- 354: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:22 MkHp0QHMO
対するショボンは小さく、だが狂ったような笑い声をあげる。
(´・ω・`)「そうか…そうだよな。
やっぱり魔界の住人から先に殺らないとな」
ショボンは目標をタカラへと変え襲いかかる。
( ^Д^)「俺は何もしてない訳だが。逆恨みされても困るんだよな」
(´・ω・`)「黙れ、宝箱!!」
ショボンはクラーケンでタカラに斬りかかろうとする。
( ^Д^)「そんな一辺倒なやり方じゃ俺は殺せない…行ってこい」
半ばやる気なさげにタカラはバシリスクを振り回す。
バシリスクから生み出された黒蛇は次々とショボンへと迫り、攻撃を妨害する。
(´・ω・`)「邪魔なんだよ!!
蛇共にはこれをくれてやる!!」
そう言うとショボンはクラーケンを振りかざす。
先程までただ斬るという、刀としてごく普通な使い方をされていたクラーケンがその時、力を放った。
- 355: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:33 MkHp0QHMO
一瞬、クラーケンから青くまばゆい光が放たれる。ただそれだけのように見えた。
その青い刃の発光が終わる。
先程までになかった光景だった。
(;^Д^)「何だそれ!
そんなことって有りうるのか!」
驚いたのはタカラだけではない。すぐ近くで見ていたブーン達や、少し距離を置いているモララーやツンでさえその光景が信じがたいものだとわかった。
バシリスクの作り出した黒光の蛇が、全て氷付けになっていたのだ。
光が凍ることなど普通なら絶対に有り得ないというのに。
凍った黒蛇は透き通っていて、これらはただの氷にも見える。
(´・ω・`)「霊刀に常識など通用しない。
…大体それが信じられないのなら僕やその宝箱は一体何なのさ」
トーンの低い笑い。そして
(´・ω・`)「さて…君達も蛇と同じ運命をたどってもらうよ」
- 356: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:40 MkHp0QHMO
氷青刀―――クラーケンに封じられた力
それは『対象物の凍結』。
力を解放したクラーケンに直接斬られる或いは周囲を取り巻く強い冷気に触れたものは大抵が氷付けになってしまうのだ。
(´・ω・`)「次は宝箱、お前だ」
いつの間にか黒い光がショボンの周囲を取り巻いていた。
どう考えても人間の為すことではない。
( ^Д^)「…お前、どうやら本当に魔界から来た奴のようだな。
ならやっぱり化け物は化け物同士で決着着けるべきだよな」
(´・ω・`)「僕をお前などといっしょにするな…ぶち殺す」
ショボンは高く跳躍。
そしてそのまま左掌から黒く不気味に光る球体を発生させ、タカラへ向けて発射する。
(;゚∀゚)「何なんだよあいつ…やってることが人間じゃねえ…」
(´・ω・`)「魔力を具現化しての攻撃だ…
もうナイフなんか使わないでさっさとぶち殺すぞ」
- 357: ◆wAHFcbB0FI :01/14(日) 23:54 MkHp0QHMO
(; ^ω^)「ちょ、タカラだけで大丈夫かお?」
心配するブーン。
だが、毒男はあまり心配していないようだ。
('A`)「…あいつなら大丈夫だろ?
以前お前等が言ってたことが正しければ」
それに応えるかのようにタカラは不敵に笑う。
( ^Д^)「…そんな攻撃効かねえよ。
中途半端な魔力変換など通用しない」
タカラは自分の下半身である宝箱へと身を隠す。
黒い球体はそれに命中するが全く通用しなかった。
(´・ω・`)「ほう…?」
攻撃が止んだ後再びタカラは宝箱の中から姿を現した。
( ^Д^)「俺の宝箱はダイヤより堅い。
魔力の籠もった攻撃なら通るが今程度のものなら耐えられるよう出来てるんだなこれが!」
( ゚∀゚)「そうか、タカラにはそれがあった!」
( ^Д^)「伊達に二百年宝箱やってるんじゃないぜ!」
タカラの下半身である宝箱は非常に堅く、さらに特殊な力で護られている。
その為強い魔力や霊力を用いた攻撃のみ通用し、そうでないものは一切遮断することが出来るのだ。
- 358: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 00:10 sDoOCjOVO
( ^Д^)「そんな訳だからさ、もっと強くして撃ちゃいいんじゃね?」
余裕な表情を見せるタカラ。
だが
(´・ω・`)「貴様の性格はあの時の女にそっくりだ…
もうキレちゃったかも解らないな…
なら冥土の土産に見せてやるよ。僕の限界突破を」
その途端にショボンが纏っていた黒い光が強くなる。それはたちまち彼を包み込み―――
- 359: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:20 sDoOCjOVO
そこから現れたのは黒い刀を持ったショボンの姿。
だが先程と様子が明らかに違う。腕の爪は鋭く尖り、その目は血のように赤い。
彼から感じられるのは先程以上におぞましいオーラ。
そして黒い刀は冷気を取り巻いている。どうやらこれはさらなる魔力を得て漆黒に染まったクラーケンのようだ。
ぱっと見ただけではバシリスクと殆ど見分けがつかない。
(´・ω・`)「…僕を本気にさせたのが悪いんだからな…死ね」
この変化を見たブーン達は何も言葉が出ない。
が、中でも驚きを隠せなかったのは意外にもタカラだった。
(;^Д^)「まずい…
これはガチで結構まずいかもしれんよ…」
( ゚∀゚)「まあどう見てもショボンが正気じゃないことはわかるが」
( ^Д^)「それだけじゃない。何というか…」
タカラは少し話しづらそうにブーン達に話し始めた。
- 360: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:28 sDoOCjOVO
( ^Д^)「あいつは魔界での記憶を取り戻し、この戦いで魔力も覚醒しちまってる。それどころか限界以上に魔力を備えてやがる。
あいつはもはや完全に『悪魔』だ。正直言ってあいつを止めるには……
………殺すしかない」
(; ^ω^)「な、何だってー!?」
タカラが言うには、ショボンはあまり魔力を制御出来ない身にも関わらず、自らの憎しみによって過度に魔力を生み出し、我が身に取り込んでしまったのだという。
そして魔力を押さえきることが出来ず暴走状態になっているらしいのだ。
( ^Д^)「…恐らくあいつは俺達を殺すまで―――いや、それだけに収まらないかもしれない」
( ゚∀゚)「…と言うと?」
( ^Д^)「もしあいつが今よりさらに多く魔力を解放なんかしたらあいつは俺達が手を打たなくても多分勝手に死ぬ。
…ただ、放っておくと死ぬまでにどれだけ破壊活動を起こすか解らない。最悪、この遺跡が吹っ飛ぶどころじゃすまないだろうな。
今あいつを止めるか、犠牲を覚悟でスルーかのどちらかだ」
- 361: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:37 sDoOCjOVO
誰も何も言えなかった。
ショボンは目を大きく開け、呻き声をあげながらも今は立ったまま行動を休めている、いつ再び動き出すかは解らない。
自分の手で友人を殺さざるをえないかもしれない最悪の状況だ。
だが放っておけば―――
( ω )「…なら…僕達が今すぐショボンを倒して楽にしてあげるのが彼にとっても一番いいのかもしれないお」
( ゚∀゚)「ブーン?」
( ^ω^)「だから、僕は今ショボンを止めるお!」
そうは言っても内心では彼を殺めることはしたくなかった。
(; ^ω^)「(僕の言ったことは正しいのかお?
どうすればいいんだお?)」
ショボンをこのまま放っておけば彼は死ぬまで苦しみつづけるのだろう。
だがこれで自分がショボンを殺してしまえば、それは紛れもなく自分の責任だ。
『殺さなくては友人を救えないのに殺したくない』
勝手な判断だ。他の皆は、そんなことは出来ないと言うかもしれない。
- 362: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:40 sDoOCjOVO
―――だが
('A`)「ブーン…本当は俺もそんなことはしたくないが、それがあいつの為になるのなら…
俺は何だってやってやるよ!」
( ゚∀゚)「…俺も丁度同じことを言おうと思ってたところだ。ブーン、お前がそう思うなら俺達も手を貸すぜ!」
( ^ω^)「毒男、ジョルジュ…」
この二人、ブーンの心情を把握していた。
幾年も共に働き、共に戯れ、そして共に戦ってきた。だからこそ互いに心が通じ合っているのだろう。
- 363: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:46 sDoOCjOVO
( ・∀・)「話は全て聞かせてもらったよ」
ξ゚听)ξ「同じく、聞かせてもらったわ」
いつの間にか、モララーとツンもブーン達のいる位置へと来ていた。
( ・∀・)「もうね、こうなっちゃ後ろの方で黙ってなんていれない。
僕だって一応ショボンとは君達と同じように友人関係に当たる。だから彼が苦しんでいるのならそれを解放してあげるのが友人である僕達の役目だろう?」
ξ゚听)ξ「こんなこと言うのも難だけど…これはきっと『運命』。
例え私が部外者でも、丁度そこに居合わせたのならもう戦いを避けることは出来ない。
だから貴方達が断ろうが、ここからは私も相手させてもらうわ」
ある日突然ブーン達と暮らすことになったモララー
かつては地均し屋に対してという意味での常連、今は行動を共にしているツン。
既に二人ともブーン達のよき同志――――『仲間』となっていた。
- 364: ◆wAHFcbB0FI :01/15(月) 23:53 sDoOCjOVO
( ^Д^)「お前等…いいんだな? 本当に。
俺も本当はショボンの奴を殺したくないんだが…」
タカラが戸惑いながらも念を押す。
かつて毒男達に連れられてバーボンハウスへと行ったことを思い出すとどうしても心が痛んだ。
こんな気持ちは彼にとって初めてだった。
( ^ω^)「僕は…いや」
返事は既に決まっていた。
( ^ω^)「僕達はもう心の準備は出来たお…全力でいくお!」
友を救う為、戦おう―――友と
そして終わらせよう―――この哀しき戦いを
悪夢の死闘、再開―――――
- 373: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:15 WdLaI3ZVO
初めに力を発したのは毒男の持つユニコーンだ。
('A`)「ユニコーン、能力起動!!」
本来そのようなかけ声は必要ないのだが、自然と言葉が出てくる。
(´・ω・`)「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
対するショボンはかまいたちを前に今までのように避けようとせず逆にこちらへ向かってきた。
身に纏った黒い光は一層強くなり時折バチバチと音を鳴らす。
彼は電気すらをも巻き起こしてしまったのだ。
- 374: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:23 WdLaI3ZVO
(´・ω・`)「そんなもの効くかぁぁぁぁぁ!!!」
(;'A`)「がっ……!!」
彼は一瞬のうちにかまいたちを突き抜け、毒男へ体当たりをぶちかました。
毒男は大きく吹っ飛ばされ、向かいの壁に強く叩きつけられる。
衝撃と電気が毒男を襲う。
(;゚∀゚)「馬鹿な、一撃であんなに…」
だがここで怖じ気付いてはならない。ジョルジュはモララーに指示を出す。
- 375: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:27 WdLaI3ZVO
( ゚∀゚)「おいモララー、毒男を治療しろ!」
( ・∀・)「合点承知!」
モララーは毒男を先程の白い光線銃で撃った。
('A`)「…」
意識は回復したものの、まだ完治はしていなかった。
先程の攻撃が多大なダメージを彼へ与えたのだろう。
( ・∀・)「仕方ない…もう一発だ!」
モララーは再び再生光線銃を毒男へ撃とうとする。
が、いくら引き金を引いても光線は発射されない。
(; ・∀・)「やばっ、エネルギー切れっぽい」
(;゚∀゚)「お前死亡フラグ立てんな!」
( ・∀・)「済まない。だがこうなると毒男はもう戦えないな…何とかしなければ」
毒男に駆け寄ろうとするモララーに
('A`)「俺はいいから……ショボンを……」
そう言うと毒男は気を失った。
気を失った毒男にその本人が近付いてくる。
――目標殺戮の為に。
- 376: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:28 WdLaI3ZVO
(´・ω・`)「…とどめだ」
その途端ジョルジュがショボンの前に立ちはだかる。
( ゚∀゚)「させるかってんだよ! サラマンダー能力起動!」
ジョルジュはサラマンダーから炎を発しさせる。
だがそれは以前のように宙を舞うことはない。
炎がサラマンダーの周囲を取り巻き始めたのだ。
- 377: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:31 WdLaI3ZVO
( ゚∀゚)「お前は炎を浴びせるぐらいじゃ倒れないだろうな。
本当に悪いが火炎斬りでも喰らっちまいな!」
(´・ω・`)「小癪な…!」
すぐさまショボンはクラーケンの力を起動。
冷気が刃の周囲を取り巻き始める。
炎に包まれた赤い刃と冷気を纏った黒い刃が交わり、鍔迫り合いの状態となる。
力は互角。だが次第にジョルジュの表情が険しくなる。
対するショボンは顔色一つ変えていない。
(;゚∀゚)「くそっ…なんて力だ!」
(´・ω・`)「霊刀を持ったところで所詮君は普通の人間だ。それ程度じゃ僕は殺せない」
ショボンはサラマンダーを払いのけ、よろけているジョルジュを斬ろうとする。
(´・ω・`)「今度こそ一人さよならだ、死んで地獄へ逝け」
(;゚∀゚)「くそっ、ここまでか…」
ジョルジュは思わず目を閉じる。
- 378: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 18:36 WdLaI3ZVO
…………
(;゚∀゚)「……(あれ? 俺生きてる?)」
ジョルジュが恐る恐る目を開けると、そこには転倒しているショボンの姿。
彼の右足にはワイヤーのようなものが巻き付けられている。これで誰かに引っ張られたようだ。
ξ゚听)ξ「ごめんなさい。でも犠牲は出来るだけ増やしたくないの。
だから貴方には誰も殺させはしない」
ツンはまだ起きあがれないショボンへ拳銃を向け次々と銃弾を撃ち込む。
( ・∀・)「なかなかうまいような」
狙いは正確。銃弾はショボンの右手と両足を撃ち抜いた。
(;´・ω・`)「ぐぅぅ、貴様ぁぁ!!」
ショボンは鋭い爪でフックショットを切り裂き、立ち上がる。
(´・ω・`)「足を撃たれたならこうすればいいんだよ!」
するとどうだろう。ショボンの身が宙に浮いた。
彼は宙に浮いたままツンへ向かって突進してくる。
これでは毒男と同じパターンだ。
- 380: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:05 WdLaI3ZVO
(; ^ω^)「ツン! 危ないお!」
ξ゚听)ξ「…なら」
ツンは荷物から手榴弾を取り出し向かってくるショボンへと投げつけた。
(;´・ω・`)「何っ!?」
予期せぬ爆発にショボンは思わず動きを止める。
それを見てチャンスと思ったのか、ツンはさらに次々と手榴弾を投げ込む。
ξ゚ー゚)ξ「そういやさっきのフックショットだけどね、生憎電気は通さないの」
どれだけ投げつけたのだろうか、爆発が休むことなく巻き起こる。
(;^Д^)「…人間って随分と恐ろしいもの造るんだな」
( ・∀・)「それよりも何だいこの光景は。イオグランデか?」
- 381: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:10 WdLaI3ZVO
手榴弾を全て使い切ったのか、ツンはしばらくして動きを止めた。
ξ゚听)ξ「これでも自己防衛ぐらいちゃんと出来るわよ。
それより自分の心配をしなさい」
(; ^ω^)「恐れ入りました…」
ξ////)ξ「べ、別に悪いとは言ってないんだから!」
( ^ω^)「ちょwwwwはいはいだおwwwww」
- 382: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:14 WdLaI3ZVO
だがそれでも煙の中に一つの陰が見える。
( ・∀・)「…さて、今度は僕の番かな」
モララーは何かを取り出す。
それは現代の銃とは異質の、灰色をした大型の銃。
( ・∀・)「昔親父が使ってたレーザー砲だ。
フルパワーで撃つ為には足りないものがあるのだが…今は十分だろう!」
モララーはその大きな銃身を持ち上げる。
( ・∀・)「ttp:レーザー、起動せよ」
その命令と同時に銃身が前方へと伸びる。
そして銃全体が光に包まれ、やがて光は銃に吸収されるかのように消える。
と同時に『ttp:レーザー』なる銃の各部分から発光。やがてその光は銃口へと集まる。
( ・∀・)「『大事な時に使え』って昔親父に言われたけど今は本当にそんな状況なのかな…
ましてそれで友人を撃つなんてな…
初めは使う気になれなかった。でも使う事がきっと君の為なんだろう……許せ」
彼は銃のトリガーを思いっきり引いた。
その瞬間、銃口に集まっていた光が一気に噴出。
モララーが普段使用する光線銃を遥かに凌ぐほどの極太のレーザーがショボンめがけて発射された。
ショボンが地を這い避けようとした時には既にレーザーに飲み込まれていた。
- 383: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 19:21 WdLaI3ZVO
だが手榴弾、巨大レーザーを受けながらもショボンはまだ息があり起きあがろうとする。
その身体に赤く大きな物体が降り注いだ。
( ゚∀゚)「…俺は今ものすごい勢いで泣きたい。
今までこれほど悲しく思ったことはきっと、ない。
……………」
ジョルジュはサラマンダーを高く掲げていた。その赤い刃からは炎が高くあがっている。
それは煉獄の炎と言っても過言ではないほど強く燃えさかっている。
その天井に届くほどの炎は刃から分離。
やがて巨大な火炎竜と化し飛び込むかのようにショボンへと墜落する。
( ゚∀゚)「…お前を救いたいと思っていたらこんなことも修得した。
救いたいってのに攻撃するのって矛盾してるよな。
おかしいよな、ショボン…」
- 385: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:10 WdLaI3ZVO
火炎竜に身を焦がされ倒れているショボンに、今度は黒き物体が迫る。
( ^Д^)「…正直な話、人間に情が移るなんてことは初めてだ。
魔界で好き勝手に暮らし、遊び半分に戦い続けていたらこんな気持ちは生まれなかったろう。
ありがとうな。あと…ごめんな」
タカラが持つバシリスクからは今までにない、どす黒い光。
それはやがてブーン達の三倍の高さはあると思えるほどの黒光の大蛇へと姿を変える。
( ^Д^)「これが俺の限界…いや、限界を越えた魔力の結晶だ」
大蛇を象った魔力の化身はその大きさからは想像出来ない速度でショボンへ近付き、噛みつくかのように先端から衝突。
文字通りショボンを飲み込むように突き抜けていく。
やがて最後の尾の部分が命中。
大蛇は役目を終えたかのように消えた。
- 387: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:14 WdLaI3ZVO
(;´・ω・`)「僕としたことが……
……こうなったら……ここにいる者全て………道連れに…」
これだけの攻撃を受けてなおもショボンは立ち上がる。
強大なる魔力を抱えた人間所以か。
或いは憎しみが自らを鞭打っているのか。
それは解らない。
だが彼は今自らの命諸とも全てを終わらせようとしている。
(;´・ω・`)「体内に眠りし全ての魔力よ、破滅の力と化し暴走せよ…!!」
ショボンは焦げ痕だらけの腕を高く掲げる。
同時に彼の頭上に黒い球体が形成され、それは回転しつつ次第に大きくなる。
(;^Д^)「まずいな…
あれを落とされたら間違いなく防ぎきれない」
- 388: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:19 WdLaI3ZVO
(´・ω・`)「…もう終わりにしよう…
君達も、僕も、全ての幕を閉じようじゃないか」
あの強大な力に対抗できる手段はないのか?
( ^ω^)「なら…僕が止めてみせるお!」
(;゚∀゚)「ブーン!? 大丈夫なのか!?」
( ^ω^)「僕の霊刀の力なら止められるかもしれないお!」
ブーンが今までセラの力を発動させなかった理由、それは――――
( ^ω^)「…力を維持するのが難しくてまだ完全に使えないんだお…
みんなを傷つけたくなかったんだお…」
持ち主であるブーンだけでなく周りの者にも被害が及ぶ危険性。
彼はそれを恐れていた。
だが
( ^ω^)「…でも、もうこれを使うしかないんだお!!
セラ、能力起動!!」
声と同時にその白く光る霊刀が、力を解放した。
- 389: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:29 WdLaI3ZVO
ブーンが下したセラの能力起動宣言。
それにより刃を覆う白い光が一層強くなる。
それは黒い光を放つバシリスクと対をなす光景とも言える。
( ^ω^)「……後は…」
ブーンは全身に力を入れる。光はますます強くなり―――
やがてそれは電光へと姿を変える。
同時に、反動がブーンを襲う。
(; ^ω^)「ぐっ…負けないお!」
(´・ω・`)「…終わりの時は近い。
……3」
霊刀の力に耐えることが出来なければ能力の発動は失敗に終わる。
ブーンの持つセラは特に強力な能力を持つが為に持ち主への反動も大きいのだ。
だが今それを冒すことは絶対に許されない。
これは一度きりの機会。
( ^ω^)「僕は…今倒れる訳にはいかないんだお!
死ぬのは…ショボンを止めてからだお!!」
(´・ω・`)「……2」
叫びと同時に高く掲げたセラの刃に稲妻が纏い、轟音をあげる。
( ^ω^)「…確かにもう終わりだお」
(´・ω・`)「…1…?」
( ^ω^)「でも終わらせるのは全てじゃない…
終わらせるモノは只一つ…」
その瞬間。
ブーンは右手に力を込めてセラを一振り。
( ゚ω゚)「君を狂わせた悪しき心だお!!!」
(;´゚ω゚`)「があぁぁぁぁぁぁ!!」
―――巨大な稲妻が嵐のようにショボンへと降り注いだ。
- 390: ◆wAHFcbB0FI :01/19(金) 23:41 WdLaI3ZVO
ショボンが放とうとした最期の一撃は主であるショボンが倒れコントロールを失った為に発動することはなかった。
(; ゚ω゚)「はぁ…
もう倒れそうだお」
ブーンは力を使い果たし、地面に座り込む。
…と、その時。
(;´゚ω゚`)「……僕はとんでもないことを…しようとしていたみたいだ…」
(;゚∀゚)「おい…お前、生きてるのか?」
だがその身体は全身が焼け焦げ、至る所から血が流れ出ている。
もはや瀕死状態のショボンは倒れたまま話し続ける。
(;´゚ω゚`)「僕は魔界の人間…けど君達には何の罪もなかった…
…でも僕は感情を押さえきれず君達を襲ってしまった…
僕がどうかしていたんだ…済まない」
ショボンは正気に戻っていた。
(; ^ω^)「ショボン…君は悪くないお。
君の過去の心の傷に気付かなかった僕達の責任だお」
(;´゚ω゚`)「許して貰えなくてもいい…
…でも君達は本当にいい友人だった。
僕の為にここまでしてくれて…ありがとう…」
(; ^ω^)「…」
(´゚ω゚`)「…し…まれか…る……が…る……ら…」
(; ^ω^)「ショボン…?」
(´゚ω゚`)「…君達のような『普通の人間』に…生まれてきたいよ…」
途切れ途切れではあったが、最期の言葉ははっきりと聞こえた気がした。
ショボンの表情は、人生に満足したかのように安らかだった。
- 392: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:29 7RpyPqyyO
――その後。
ブーン達はその場でショボンを埋葬した。
泉のすぐそば、石塔から少し距離を置いた場所。
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)「……」
皆声を出すこともなく、泣くこともなかった。放心状態だった。
ブーン達は静かに黙祷を捧げ、その場をあとにしようとする。
- 393: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:30 7RpyPqyyO
( ^ω^)「……その前に水が飲みたいお。ちょっと泉の水を飲むお」
( ゚∀゚)「俺もだ…
つうかみんな飲んどけ」
( ^Д^)「…俺はイラネ。
聖なる泉って言うくらいだから俺が飲んだら消滅するかもしれん」
タカラとまだ気絶したままの毒男を除く者達は泉の水を飲んだ。
すると
( ・∀・)「…何か楽になってきた。疲れが取れたらしい」
ξ゚听)ξ「うん…
この泉にはリフレッシュ効果があるみたい」
( ^Д^)「なら毒男にも飲ませてやってくれないか?」
( ゚∀゚)「そうか! これで毒男も回復するな!」
ジョルジュは泉の水を汲み、それを気絶している毒男の口へとを流し込んだ。
('A`)「…? 俺どうしたんだ?」
( ^Д^)「おお、復活したか!」
毒男は無事回復した。
だがそうなるとまず話さなければならないことがあった。
- 394: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:34 7RpyPqyyO
('A`)「そうか…やはり…」
ショボンの最期を見届けることが出来なかった毒男。
('A`)「…今更とやかく言っても仕方ないよな…」
泉の水を飲んだ者達は皆同じように体力面でのみ回復した。
―――ただ一人を除いて皆同じ効果だった。
( ^ω^)「とりあえずこれを…」
泉の水を飲むブーン。
――と、その時。
(; ^ω^)「お…!?」
突然ブーンの身体が光に包まれる。
(;゚∀゚)「ちょ、何事だ!?」
…が、光が消えた後に現れたのは先程と何一つ変わっていないブーンの姿。
(; ^ω^)「…何が起きたのか全く解らんお」
(;'A`)「むしろ俺達が聞きたい」
( ゚∀゚)「おい、モララーは何か解るか?」
( ・∀・)「知らん」
理解不能な現象なので放っておくことにした。
- 395: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:38 7RpyPqyyO
結果的に、ショボンが持っていたクラーケンと、泉の中心にある岩の上の宝石は持ち帰ることになった。
特にクラーケンを持ち帰るのは辛いことだったが、このままにする訳にもいかなかった為だ。
因みに岩の上から宝石を取った途端、泉に水が湧き出ることはなくなり泉はすぐに朽ちてしまった。
( ゚∀゚)「…今度こそ帰るか」
( ^Д^)「そこは俺に任せろ」
タカラは指を前に突き出す。
すると目の前の空間が歪みはじめた。
( ^Д^)「この中へ入れば入口まで戻れる」
( ^ω^)「ちょ、実にファンタジックだおwwwwww」
- 396: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:41 7RpyPqyyO
…そして
( ゚∀゚)「入口まで戻った訳だが」
( ^ω^)「何か不思議な気分だお…
そういや警備員の人達は…」
ξ゚听)ξ「まさかとは思うけど…あの人達?」
そこにいたのは…
(,,゚Д゚)「よっしゃ、いくぞ」
((゚∀゚∩「あたっくだよ!」
何故かあのなおるよという、不思議な生物の姿もあった。
(;><)「冷たいです! 反撃なんです!」
∩゚∀゚))「ぶろっくだよ!」
足下にある雪を丸めて投げては障害物の陰に隠れ…
どう見ても雪合戦です。本当に(ry
(; ^ω^)「今凄いものを見た気がするお」
( ・∀・)「どうでもいいが 奴 等 は い な い だ ろ う な ? 」
モララーは注意深く辺りを見回す。
と、背後から…
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいたまさいたま!!」
(; ・∀・)「qあwせdrftgyふじこlp」
モララーは気絶した。
- 397: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:47 7RpyPqyyO
(,,゚Д゚)「…ん? あんたら戻ったか」
ブーン達に気付いた相手が言う。
( ゚∀゚)「まあ…取り敢えず生還したことだけ言っておく」
( ><)「気のせいか人数が増えてます!
あと何か変なのがいます!」
( ^Д^)「変なのって俺のことだよな…
まあ気にすんな!」
( ><)「そういうことにしておきます!」
ブーン達はあまり話すことはしたくなかったのだが、相手は一応ここの関係者なので適当に生還したことだけを伝えた。
- 398: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:50 7RpyPqyyO
( ゚∀゚)「あ、そうだ」
ジョルジュは何かを思い出したかのように荷物を漁りはじめる。
( ゚∀゚)「お前等に渡しておきたい物があってな」
そして取り出した物とは…
(;,,゚Д゚)「ちょ、それって宝石だよな?」
( ><)「しかも大きいです!」
そう、遺跡最深部にあった泉の宝石だった。
( ゚∀゚)「ちょっと訳ありでな、俺達が持ってると辛いからお前等にやるよ。
家宝にするなり売り飛ばして金にするなり好きにするがいいさ」
(,,゚Д゚)「いいのか…?
本当にいいのか? 後悔しないな?」
( ^ω^)「僕もそれでいいと思うお…」
('A`)「俺も」
- 399: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 12:58 7RpyPqyyO
他の者達も同じ答えだった。
それで本当によかったのか。
それは解らない。
辛いことを早く忘れたいという、単なる現実逃避なのかもしれない。
(,,゚Д゚)「…ありがとよ」
( ゚∀゚)「おう。じゃあ俺達はもう行くが…
タカラはどうするんだ?」
タカラは少し考える素振りを見せ、
( ^Д^)「俺はちょっと用がある所があるから少しここに残る」
('A`)「そうか…
縁があったらまた会おうな」
( ^Д^)「いや、絶対また会うと思う。
どんな形かは解らんが」
('A`)「だといいな」
こんなことを言いながらブーン達はタカラや警備員と別れた。
( ^Д^)「…まあ実のところ、用があるのはここじゃないんだけどな」
タカラはそう言うと先程のように空間を歪ませる。
(;,,゚Д゚)「ちょ…」
( ^Д^)「じゃあな」
そう言ってタカラはいなくなった。
そして空間の歪みも消える。
(,,゚Д゚)「…今の何?」
( ><)「わかんないです!」
((゚∀゚∩∩゚∀゚))「みすてりっくだよ!」
ヽ(゚∀゚)/─(゚∀゚)─(゚∀゚)|「さいたまさいt(ry」
- 400: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:00 7RpyPqyyO
しばらく歩いた後、ブーン達は機械竜で着陸した森へと戻って来た。
( ゚∀゚)「一つ聞きたいことがあるんだが」
ξ゚听)ξ「…何か?」
(;゚∀゚)「何か? じゃねえよwwwwwww
どう考えても行きの時より一人多いじゃねえかwwwwwww」
苦笑いをするも、その表情は暗い。
ξ゚听)ξ「そうね。
…で、それが何か?」
(;゚∀゚)「…いや、悪いとは言っていない。
全員乗れるのかっていう話であってな…」
ジョルジュがくどくどと話し始めた時には皆席に座っていた。
ξ゚听)ξ「普通に乗れるじゃない」
( ^ω^)「問題なしだお」
( ゚∀゚)「…ならいいんだ」
皆は気絶しているモララーを叩き起こす。
モララーは機械竜を発進させ、ブーン達は北亜島をあとにした。
( ・∀・)「もうこの島はこりごりなんだからな!」
- 401: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:09 7RpyPqyyO
因みにモララーが言うには、あの遺跡自体に不思議な言い伝えがあり、知人を引きつける力があったという。
事実ツンやタカラと会った。
そこまではよいのだが、結果的にその力が悪い結果を引き起こしてしまったのかもしれない。
AA町
ブーン達はツンと別れ、事務所へと戻ってきた。
( ^ω^)('A`)( ゚∀゚)( ・∀・)「……」
いつもならば目標の物を盗み意気揚々と塒へ引き上げる盗賊のように振る舞うブーン達だったが、今回ばかりは何もする気が起こらない。
理由は、目標を入手し損ねたからではない。
大切なものを失ったからだった。
ただ食事を取り、寝る。
それだけで数日を過ごした。
- 402: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:10 7RpyPqyyO
幾日か経過したある日。
( ゚∀゚)「…いつまでもこんなことしてる訳にはいかないな。
今から行かなくてはならない場所がある…
解ってるな? 行くぞ」
( ^ω^)('A`)( ・∀・)「…把握」
ブーン達は重い足取りである所へ向かう。
向かった先とは、今は亡き友人の店。
まだ昼なので裏口から訪問することにした。
- 403: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:12 7RpyPqyyO
(`・ω・´)「…おや、こんな時間に皆揃って何の用だね?
ショボンは数日前に店を出たきり姿を見せないんだが」
そこではその友人の兄が迎えてくれた。
( ゚∀゚)「…そのショボンについて話さなくてはならないことがあってな」
ブーン達は全てをシャキンに話した。
(`・ω・´)「…そうか、そんなことが…」
- 404: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:14 7RpyPqyyO
シャキンはとても複雑な気持ちだった。
(`・ω・´)「実を言うとショボンは私の本当の兄弟ではなかったんだ。
私が中学生時代に道で迷子になっていた子供を見つけてな、家に連れてきて長期に渡り肉親を捜したんだが結局その子供の母親はどこを捜してもいなかった。
そしてその子供からは何か不思議な力を感じた…」
('A`)「その子がショボンだったと言うわけか」
- 405: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:23 7RpyPqyyO
シャキンは黙って頷く。
(`・ω・´)「私はショボンが成人してから二人でバーボンハウスの営業を始めた。
このままの生活が普通に続くと思ったんだが、ある日を境にショボンは時折上の空になることが出てきた」
ブーン達はショボンの言葉を思い出していた。
彼の前に突然現れた女性。
その女性に宣告された信じられない事実。
失われた記憶。
(`・ω・´)「どうしたんだと言っても何も言わないから解らなかったんだが…
…そんなことがあったのか」
- 406: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 13:53 7RpyPqyyO
( ゚∀゚)「…そうそう、これだが」
話が一段落した所で、ジョルジュは主を失ったクラーケンをシャキンへと見せる。
刃の色は元の澄んだ青色へと戻っていた。
(`・ω・´)「これは…ショボンが持っていた刀だ」
( ゚∀゚)「そうだ…これはあんたが持っているべきだろう」
だがシャキンは首を横に振った。
(`・ω・´)「…これは、君達が使うべきだと思うな」
(; ^ω^)「何故に…」
(`・ω・´)「君達がショボンを止めたのだろう?
なら君達が使った方がショボンも浮かばれると思うぞ」
( ゚∀゚)「…わかった、俺達が責任を持って管理しよう」
ブーン達は自分達でクラーケンを厳重に管理することにした。
- 407: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:05 7RpyPqyyO
(`・ω・´)「君達のしたことは決して間違いではない。
…君達はむしろ正しいことをしたはずだ。
そんな君達ならどんな困難な事だって打ち破り成し遂げることができよう」
( ^ω^)「…困難を打ち破り、成し遂げる…かお」
自分達は今まで何をしてきたのだろう。
本来の仕事がない時どこかへ潜入し目標の物を探し出し戻る。
どう考えてもならず者のすることだ。
最悪の場合、盗賊行為。
だが、自分達はそれを承知の上で行動している。
そしてそれを認めている人も…いた。
(`・ω・´)「いつまでも落ち込んでいてはショボンに申し訳ないと私は思うな。
…私も辛いが…君達も堪えて欲しい」
- 408: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:06 7RpyPqyyO
( ゚∀゚)「…そうだな、これじゃ俺達らしくないな。
ショボンにも悪いよな」
( ^ω^)「解ったお…今日はもう帰るお」
バーボンハウスを出たブーンは…
( ^ω^)「僕は…何があっても負けないんだお!!」
…そう叫んだ。
- 409: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:08 7RpyPqyyO
――――――――
薄暗く、だが活気漂う雰囲気。
あちこちであがる叫び声。
それは狂喜のものか悲哀を意味するものか。
太陽は存在せず、無論星も見えない。
空に見えるのは赤く光る月だけ。
そんな異様な世界にある城の前に、タカラは来ていた。
( ^Д^)「ここに来るのめっちゃ久々だな…」
言うまでもなくそこはブーン達の住む世界ではない。
別の世界、所謂『魔界』だった。
タカラは城へ入る。
- 410: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:12 7RpyPqyyO
兵士A「おっwwお前タカラじゃねえかwwww久々だなwwwww」
槍を持った獣人のような生物が馴れ馴れしくタカラへ話しかける。
( ^Д^)「だな。ちょいと魔王さんに用があるんだが」
もう一人の獣人は笑いながら言う。
兵士B「お前なら顔パスなんだぜ? 通っていいんだぜ?」
( ^Д^)「サンキューな」
そんなこんなで早くもタカラは魔王らしき人物と対話。
(-_-)「あ…タカラ…久々だね」
あまり威厳が感じられないが、彼こそが『魔界』を支配する者。
( ^Д^)「まあ百年振りくらい? お前元気か?」
(-_-)「まあね…」
- 411: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:15 7RpyPqyyO
( ^Д^)「…と、そんなことはどうでもいいんだ。
急いでる訳じゃないんだが聞きたいことがある」
(;-_-)「(…僕が元気かどうかってどうでもいいことなの?)」
久々に会った挨拶を終え、本題。
(-_-)「で、何だいそれは…?」
( ^Д^)「つ ー の 野 郎 は 今 ど こ に い る ? 」
(-_-)「…知らない。だって彼女も君と同じでどこで何やらかすかわからないから…」
( ^Д^)「俺もかよwwwwwww
まあ実際そうだけどな」
- 412: ◆wAHFcbB0FI :01/21(日) 14:19 7RpyPqyyO
と、相手は何かを思い出したように続ける。
(-_-)「…そう言えばこの間モナー君が言ってたことには、『暇だから遊んで来る』とか言ってたらしいよ。
…だから現世じゃないかな?
しかしモナー君もご苦労なことだね」
( ^Д^)「現世か…俺さっきまでいたんだけどな…
それにあっちは広いから苦労しそうだ。
…まあいいや。今はもう休むことにする。じゃ、またな」
( -_-)ノシ
用を済ませたタカラは玉座の間から出て行った。
(-_-)「…百年も現世にいてそれでいきなり戻って…タカラも忙しいんだね。
そして彼女も一体何する気なんだろう…気になるよ」
彼は誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。
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