( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

540:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:22 YP5WDwsuO
  

4-chapter11(3)


さて、こちらは左ルートの毒男、モララー、クーの三人。

('A`)「何か広い所に来たぞ…ここに鍵があるのか?」
( ・∀・)「多分ね」

三人もまた進むうちに、広い空間を発見していた。
先程と同じく、今のところ敵の姿はない。

川 ゚ -゚)「鍵とは…あれのことか?」

クーが指差した先には青い大きな鍵が半ば壁に埋め込まれてあった。

('A`)「おっ、あれだきっと!
    さっさと持ってこうや」

案外楽にいけそうだな、と言い合う毒男達。



541:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:25 YP5WDwsuO
  

と、その時だ。

???「ちょっとストップです」
???「鍵は渡しません」

どこからか妙にかしこまった言葉が発せられる。

( ・∀・)「…やっぱり番人みたいなのがいる訳か。どこにいる?」

するとそれに応えるかのように三人の前方に二つの影が降り立つ。

|  ^o^ |「どうも」
| ^o^ |「我々は二つの鍵の内の一つを守る番人です」

その姿は人間。だが互いにそっくりで見分けがつかないほどだ。



542:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:29 YP5WDwsuO
  

川 ゚ -゚)「何だ…?」
|  ^o^ |「私の名はブームくん」
| ^o^ |「いとこの、ゆうたろうです」
('A`)「ちょwwww意味わかんねぇwwwww」
( ・∀・)「いや、一つわかることがあるよ。
     鍵は渡さないと言った訳だから僕達にとっては敵ということだ」
| ^o^ |「そういうことです」

モララーの冷静な判断に相手の内の一人もまた妙に礼儀正しく反応を返す。

川 ゚ -゚)「貴様等は一体何者だ? 見たところ人間のようだが。そして何故私達の邪魔をする?」
|  ^o^ |「そうですね…確かに我々は人間です。
       しかし、『元』人間と言った方が正しいでしょう」
('A`)「元人間…?」

543:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:32 YP5WDwsuO   

予想もしない言葉が飛んできた。

| ^o^ |「我々は現世に生きる普通の人間でした。
      ところがある日、不慮の事故により二人揃って突如現世を去りました」
|  ^o^ |「しかし、どういうわけかある時突然、この鍵の番人という形で再び蘇ったのです」

モララーは二人の話を聞いて、

( ・∀・)「ふむ…『転生』か」
('A`)「テンセイ…? それ食えるのか?」
( ・∀・)「ねーよwwwww
     …『転生』というのは生まれ変わることだ。
     科学的にもまだ全く解明されていないことなんだが、こいつらの言ったことが本当ならば恐らくそれで死後に再び肉体を手に入れたのだろう」
| ^o^ |「その通りです」

相手は怪しい笑みを絶やさずに応える。



545:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:35 YP5WDwsuO
  

|  ^o^ |「次に我々が何故貴方達の邪魔をするのかという質問ですが…
       我々は何故蘇ったのか、そして何の為にここにいるのかは我々にもわかりません」
| ^o^ |「ですが一つわかることは、これは全うしなくてはならない使命だということです」
('A`)「そうか…なら話し合いで何とかなる相手じゃねえよな…」

そこまで言うと突然、毒男は相手の内の一人に斬りかかる。

('A`)「だったら力尽くだ! 俺達は今急いでるんでな!」
|  ^o^ |「物分かりがいいのか単純なのか…避けます」

相手は即座に身をかわす。
しかし相手はその際に何かを落としたことに気付かなかった。

('A`)「(何だこれ…?)」

それは奇妙な色の液体の入った小さな瓶。
一体それは何なのか全くわからないが、毒男はとりあえず危険なものと判断し相手に気付かれる前に密かにそれを自分の懐に隠す。



546:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:37 YP5WDwsuO
  

| ^o^ |「正直なところ、負ける気がしません」
|  ^o^ |「同じく。何故なら…」

ブームくんは懐から小さな瓶を取り出した。

('A`)「(あれはさっきの…?)」

それは先程落とした瓶と似ていた。

|  ^o^ |「こっちには秘密兵器があります」
| ^o^ |「相手に晒した時点で秘密ではないと思います」
('A`)「うん、俺も今そう思った」


…数秒の沈黙が続き、再びブームくんが口を開いた。

|  ^o^ |「これは私が長期間かけて作り上げた身体強化薬です。
       作り方は…」
| ^o^ |「長ったらしい説明はやめてください」
(;'A`)(; ・∀・)川;゚ -゚)「……」

敵、と言っておきながら相手からは全く気迫が感じられない。
まるで妙なコントを見ているような感覚だ。



547:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:42 YP5WDwsuO
  

|  ^o^ |「…そろそろいきます。この薬の力で私は強化され、貴方達は破滅的な状況に陥ることになるでしょう。
       さらには…」
| ^o^ |「さっさとしてください」
|  ^o^ |「わかりました」

ブームくんは瓶を唇に当てる。

川 ゚ -゚)「…ちょっとまずくないか?」
('A`)「かもな。もし本当に身体強化されたら…」
( ・∀・)「これは止めた方がいいのか…?」

言い終わる前にブームくんは瓶の中身を全て飲み干した。
だが途端にブームくんの様子に異変が起きる。

|  ^o^ |「味が何か変です。それに眠くなってきました」

するとゆうたろうは注意深く瓶を見て澄ました顔で答えた。

| ^o^ |「それは睡眠薬です」
|  ^o^ |「成る程、間違えましたか………」

言い終わるなり、眠気に耐えられなくなったのかブームくんはその場で眠りについてしまった。

(;'A`)「(こりゃあ俺以上の馬鹿だな…)」
( ・∀・)「( こ れ は 酷 い )」
川;゚ -゚)「(…これは幸運とみて良いのだろうか?)」



549:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:48 YP5WDwsuO
  

呆れ果てる三人。
だが敵はもう一人いる。

| ^o^ |「全く、彼の天然も何とかしないと…いえ、戯言失礼しました。
      仕方ありませんね…ここは私一人で相手になりましょう」
('A`)「まだ気を抜くなってことか…」
| ^o^ |「そうです。そして私は今すぐに戦う用意が出来ています」

言うなり、ゆうたろうは構えを取り接近してくる。

('A`)「手には何も持っていない…素手だな」
川 ゚ -゚)「となると接近戦は禁物…ならば!」

クーは、現在弓形態であるキルサタンを掲げる。
そして発光。

( ・∀・)「何が出るかな?」
川 ゚ -゚)「ランダムじゃないのだがな…」



550:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 00:54 YP5WDwsuO
  

発光の後に現れたのは銀色の長い鞭。

川 ゚ -゚)「この形態ならば素早く、かつ距離をおいた相手にも攻撃は当たるはず!」

対するゆうたろうは、それを興味深そうに眺める。

| ^o^ |「面白いですね。
      しかし、拳法を嘗めてはいけませんよ」

ゆうたろうは様子を伺いつつ、徐々に間合いを詰めてくる。

| ^o^ |「……ゆきます」

言葉と同時にゆうたろうは突如動きを早め、クーへ右拳を叩き込もうとしてくる。

('A`)「来るぞ!」
川 ゚ -゚)「…ッ!」

クーは鞭を振るう。
しかしそれは相手を捉えることはなく、ただ地面を打ちつけるだけに終わった。

| ^o^ |「私はここです」

声のした方を見る。ゆうたろうは高く跳躍し今まさにクーへ空中踵落としを放とうとしていた。

川 ゚ -゚)「! 蹴りか…?」

慌てて鞭を引き戻すが、間に合わない。

川 ゚ -゚)「(こちらも腕で受け止めるしかない…)」

避けるのを諦め、防御態勢をとる。
と、その時突如二筋の光線がゆうたろうを襲った。

|; ^o^ |「なっ――」

地面に落とされたゆうたろうは光線が放たれた方向を見る。
そこには二丁の光線銃を器用に回転させている男の姿があった。



552:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 01:05 YP5WDwsuO
  

|; ^o^ |「貴方は…?」
( ・∀・)「ハハハ…敵はクーだけじゃないんだよ?
     にしても君は遠距離での戦闘は大の苦手のようだね! でも僕は得意中の得意なんだよ!」

笑いながら続ける。

( ・∀・)「だから『マッドサイエンティスト』である僕が嫌と言うほどその差を味あわせてあげるよ!」
川 ゚ -゚)「ナイスフォローだ」
('A`)「しかし何故にマッドサイエンティスト?」

理由は謎だが、どうやら彼は『マッドサイエンティスト』という肩書きみたいなものが気に入ったようだ。
それはともかく、己の身体だけが武器であるゆうたろうに対し、モララーが十八番とする光線銃等、則ち遠距離攻撃は相性抜群だ。

( ・∀・)「ハハハ、我が銃にエネルギー切れはない! なんてね。
     実際それは嘘だけど。さあもっと撃ってやるぞ!」
|; ^o^ |「何て奴…」

立場の弱い相手には容赦のない、このモララーという男。
マシンガンの如く光線銃を連射、ゆうたろうの身体には一つ、また一つと火傷がその数を増していく。
だが

| ^o^ |「…これはピンチ以外のどんな状況でもありません。しかし、その攻撃だけでは私を絶命させることは不可能でしょう」

モララーは小さく舌打ち。

( ・∀・)「やっぱりね…そこは百も承知さ」



553:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 01:14 YP5WDwsuO
  

相手に止めを刺す為の決定的な威力。
モララーの所有する武器にはそれが欠けていた。
彼の所有する光線銃は長期戦に備えて低エネルギーで連射出来るように製造されている為、相手に致命傷を与えることは難しいのだ。

| ^o^ |「ですから――」
( ・∀・)「……!?」

ゆうたろうは防御を解き、モララーへ突進。捨て身の攻撃だ。
モララーが光線銃で迎撃するも、相手が止まることはなく―――

| ^o^ |「…例え相性がよくとも――」
(; ・∀・)「がっ…」

モララーの胴部に横殴り気味の重い一撃。

| ^o^ |「(私の得意とする連続猛攻です)」

続いてアッパーを放つ。
モララーの身体が宙に浮く。

| ^o^ |「―――貴方に私は倒せない!」

ゆうたろうはその一瞬浮いた身体に、すかさず力を込めて正拳突きを叩き込んだ。

(; ・∀・)「がはっ…!?」
(;'A`)川;゚ -゚)「モララー!」

その瞬時による連続打撃を受けたモララーは強く地面に叩きつけられた。



554:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 01:18 YP5WDwsuO
  

| ^o^ |「遠距離攻撃が得意ならばその逆を突けばいいのです。
      貴方は遠距離武器に依存しているが故に接近戦には滅法弱い。要は私と正反対という訳です。
      さらに攻撃の威力では私の方が勝っています。それらを合わせた結果がこれです」
( ∀ )「……」

モララーは未だ地面に倒れたままでいる。
意識はあるものの、強烈な打撃を連続で受けた為に立ち上がることが出来ないようだ。

| ^o^ |「さて、止めといきます。何か言い残すことは?」

モララーは倒れたまま呟く。

( ∀ )「前に誰かが言ってたっけな…『油断は死を意味する』って」
| ^o^ |「成る程、己に対する戒めですか?」
( ∀ )「…そうだね。僕はさっきまで油断していて、結果はこれだし。
     けどさ…」

小さな笑み。そして

( ・∀・)「…同時に、君に対する警告でもあるのだよ!」
| ^o^ |「…?」

ゆうたろうは一瞬戸惑い、そしてすぐにそれを理解した。



555:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 01:43 YP5WDwsuO
  

川 ゚ -゚)「よく言ったぞモララー」

ゆうたろうの背後に、銀色の長い鞭を構えた女性。
突然の襲撃に、ゆうたろうは行動についていけない。

|; ^o^ |「…だがしかし! 鞭は至近距離では弱いはず!」
川 ゚ -゚)「甘い。性質にもよるが鞭にはこんな使い方もある!」

クーは鞭をピンと引き締めると、それを右手を中心に振り回す。
鞭はクーの右手に巻き付き、彼女はそれを強く握る。
そして

川 ゚ -゚)「喰らうがいい!」
|; ^o^ |「がああ…!?」

クーの鞭を纏った右拳による一撃はゆうたろうの腹部を直撃。

川 ゚ -゚)「キルサタンは材質一切不明だが生憎鉄よりは堅いようなのでな」

だがゆうたろうはそれに耐える。

|; ^o^ |「ま…まだ終わってはいません…」
「いや、もう終わりだ」
|; ^o^ |「なっ…!
      があああ!!?」

ゆうたろうが声の主の方を向いた時には、既にその相手が自分の腹部を貫いていた。

('A`)「…チェックメイト」

毒男は静かにユニコーンを引き抜いた。



556:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 02:04 YP5WDwsuO
  

三人の前に、ゆうたろうは多量の血を流して倒れている。
まだ息はあるが、そう長くは持たないだろう。

|; ^o^ |「お見事です…
      貴方達は私に勝った。よって鍵を貴方達へ渡しましょう」
('A`)「それよりお前…腹を貫かれてなお喋るか。
    普通なら即死しても不思議じゃないぞ?」
|; ^o^ |「私はこれでも一度死んで蘇った身ですから…」

そう言いながらも彼は今にも力尽きそうだ。

|; ^o^ |「私の敗因は…恐らく三人相手に単身で相手をしたこと…
      …いいえ、何であれ貴方達は私よりも勝っているのです。
      …あ、最後に…」

ゆうたろうは顔を三人へと向ける。

川 ゚ -゚)「何だ?」
|; ^o^ |「私のことは忘れて下さい。それから、ブームくんのことも。
      我々は所詮番人なのですから……」

それを最後に、彼の口が再び開くことはなかった。



557:◆wAHFcbB0FI: 02/18(日) 02:29 YP5WDwsuO
  

('A`)「…番人、か。何か後味の悪い戦闘だったな」
川 ゚ -゚)「とにかく…今は鍵を取って戻ることだ」

クーは壁にはめられた青い大きな鍵を手に取る。
一方、モララーは上の空。

( ・∀・)「……」
('A`)「どうした?」

言われて、モララーは溜息を一つ吐く。

( ・∀・)「いや…何というか、こいつらが可哀想に思えてしまってね。
     生まれ変わったと思ったら何かを護ったりと。誰が決めた訳でもないのに、ただそれだけに自分の全てを捧げるなんてな。
     いつかの僕の幼なじみだってそれに近かったろう?」
('A`)「…しぃ、か」

あの時の戦いがあってから、彼女は今どのような生活を送っているのか。
それは彼女を除いて誰にもわからない。

( ・∀・)「……」

モララーは亡骸の前にしゃがみ込むと、黙祷を捧げはじめた。
毒男とクーもまた状況を判断し、黙祷を捧げる。

もしも来世というものがあるのなら、自由に生きろ、という思いを込めて―――



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