( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

559:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 18:16 MZZYAuQhO
  

4-chapter12


現世でのいざこざの中、もう一つの別世界である魔界の様子は普段と変わらないようだ。
その世界にある城に住む魔界の支配者の元に、とある魔界の住人が訪れていた。

( ^Д^)「今日も魔界は問題なしだ」
(-_-)「(実際は問題アリアリだと思うけどなぁ……)」

玉座の間にいるのは下半身が宝箱である妖怪、タカラと魔界を支配する王。
最低限の規約はあるものの、魔界の住人は皆自分のやりたいことを好き勝手にして無駄に時間を費やす。
その為言うまでもなく治安は悪いのだが、それがこの世界の常であり、誰もがそれを受け入れているのだ。

( ^Д^)「敢えて言わせて頂くが、俺は今凄い退屈だ」
(-_-)「じゃあ現世に行ってつーちゃんでも探してきたら?」
( ^Д^)「どこにいるのかも解らないのにあんな広い世界を探せと?」
(-_-)「ですよねー」



560:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 18:23 MZZYAuQhO
  

特にすることもないということで、あれからタカラはずっと魔界で戯れていた。
外見からは想像もつかないが、彼は昔から魔界の住人の中でも上位の部類に君臨していた為久々に現世から戻った後でもすぐに他の連中に受け入れられた。

( ^Д^)「退屈で仕方ねえから城下に戻って酒飲んでくるわ」

そう言ってタカラがドアを開けて玉座の間から出ていこうとした、その時だった。

(; ´∀`)「魔王様!
      たたた、大変モナ!」
(*゚A゚)「非常事態でっせ!」
(;^Д^)「なっ!?何だお前等?」

向こう側からそのドアが開けられ、何者かが玉座の間に入ってきたのだ。
一人は現世にも見られる一般的な格好の男。
もう一人は何か毛皮のような長い茶色い布切れらしきものを纏った、不思議な雰囲気を漂わせる多分女性っぽい女だ。

(*゚A゚)「多分女性っぽいって何や多分女性っぽいって」

…すまぬ。



561:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 18:26 MZZYAuQhO
  

( ^Д^)「てかお前等一体誰だよ…」

タカラの質問はスルーされ、二人は魔王の元へ駆け寄る。

(-_-)「ありゃ…モナー君にのーちゃん?
    どうしたんだいこんなに慌てて」

モナーと呼ばれた男は言う。

( ´∀`)「いえ、それが…現世にて異変が発生しているらしいのですモナ」

のーと呼ばれた女性が続ける。

(*゚A゚)「噂では黒い雲がある村を覆ってしまってティウンティウンティ(ry らしいんですわ。
    村の名は今北村言うらしいでっせ。これは明らかに人間業ではなくこっちの方のおえらいさんか悪い奴のやることですなぁ」
(-_-)「本当かいそれは…?」
( ´∀`)「恐らく間違いありませんモナ」



562:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 18:30 MZZYAuQhO
  

魔王は暫し思案し、そして再び口を開く。

(-_-)「まさかとは思うけどつーちゃんが何かやらかしたのかな…?」
(; ´∀`)「…つーちゃんがですかモナ? でも確かにつーちゃんなら悪戯感覚でやりそうモナ」
(*゚A゚)「流石はつー先輩…やることが大胆や」

よくわからないがどうやらのーはつーの後輩分に当たる存在のようだ。

(;-_-)「いや、感心してる場合じゃないから!
     いずれにせよ現世の人間に迷惑をかける訳にはいかないから、異変を沈めないとまずい訳だけど僕が出る幕でもないしな…」

珍しく悩む魔王。
無理もない。自分の失態で万一現世が滅んだということになれば魔界の王として住人に示しがつかないからだ。
とそこへ

( ^Д^)「なあ…俺が今からそこ行って来ようか?」

この一体の妖怪がさりげなく立ち上がった。



563:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 19:01 MZZYAuQhO
  

(-_-)「タカラ…?」
(*゚A゚)「貴方がタカラはん…話は先輩から聞いておるんや」
( ^Д^)「俺って結構有名だなー。
     さっきも言ったように、俺今凄い退屈だから行ってきてやるよ。つーが相手なら尚更だ」

目的の相手がいるかもしれず、退屈しのぎになれば一石二鳥であるとタカラは判断したのだ。

564:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 19:05 MZZYAuQhO   

(-_-)「じゃあ行ってきておくれ」
( ^Д^)「把握!
     …で思ったんだけどさ、その二人は一体誰だ?
     俺百五十年ぐらいずっと現世にいたからその間のことが分かんねえ」
(-_-)「ああ、それもそうだね」

魔王は二人に自己紹介するよう促す。

(*゚A゚)「自分はのーという者や。つー先輩にはお世話になってまんねん」
(-_-)「ぱっとしないかもしれないけど、のーちゃんも死神なんだよ」
( ^Д^)「成る程なぁ…」
(*゚A゚)「以後宜しくお願いしますわ」

のーはぺこりと頭を下げる。

( ^Д^)「(おいおい、本当につーの後輩かよ…)
     あまりつーみたくなるなよ?
     …でそっちの男は」
( ´∀`)「僕モナか?
      僕はモナーっていうモナ」
(-_-)「五年程前に魔界に来た人間だよ。今はつーちゃんの下僕だけどね」
(; ´∀`)「下僕と呼ぶのはやめて欲しいですモナ」
( ^Д^)「(魔界の人間、か…)」



565:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 19:11 MZZYAuQhO
  

タカラは忘れていなかった。
半月前、魔界の人間と戦ったあの日のことを。
行き当たりばったりに生きてきた自分が初めて味わった、本当に辛かった出来事を。

(-_-)「…どうしたの?」
( ^Д^)「いや、何でもないんだ…本当に何でもないからな!
     後、俺が戻ってきたら最上級テキーラを瓶十本分用意しておけ!
     じゃ、行ってくる!」
(-_-)「あ、ちょっと」

タカラは返事も聞かずに玉座の間を飛び出していった。

(-_-)「…現場も聞かずに行っちゃったよ。のーちゃん、場所分かるなら一緒に行ってやってくれるかな?」
(*゚A゚)「承知でっせ!」

のーは威勢良く言葉を返すとタカラの後を追っていった。



(-_-)「…さて、これで一安心かな?」
( ´∀`)「さあ…?」



566:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 19:29 MZZYAuQhO
  

同じ頃今北村祠・最深部にて


「…さっきから爆音が鳴り響いたり騒がしいな…まさかもう奴等が来たのか?」
(*゚∀゚)「そうかもしれないねぇ…wktk!」
「……」
(*゚∀゚)「そろそろ私も再出撃のスタンバイしなきゃね! アヒャヒャ!」

問題の人物は戦いに備えての準備をしていた。
だが追い詰められているという気分は全くなく、むしろ興奮でテンションが上がってきているようだ。



567:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:10 MZZYAuQhO
  

ブーン達が二手に分かれた場所である、巨大扉の前。
そこに皆は再び集結していた。

('A`)「こっちは結構やばかったのにお前等は無傷か」
( ゚∀゚)「戦ったら負けかなと思ってる」
川 ゚ -゚)「それはニートだ」
( ゚∀゚)「冗談冗談。でも鍵は入手したぞ」
('A`)「え…? 鍵はこっちにもあったぞ?」

鍵は二つ、鍵穴は一つ。

ξ゚听)ξ「どっちかが本物、と」
( ^ω^)「まさか失敗したら爆発とか…?」
( ・∀・)「それはないと思う」



568:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:13 MZZYAuQhO
  

とりあえず先ずは赤い鍵を差し込んでみる。

川 ゚ -゚)「…入ったな」
( ・∀・)「それだけではまだわからないよ」

鍵は鍵穴に差し込まれた。
しかし、鍵を回そうとしてもそれは回ることはなく、結局赤い鍵は扉を開くことはなかった。

( ・∀・)「……ね」
川 ゚ -゚)「成る程」


('A`)「つまりこっちが正解か」

続いて青い鍵で挑戦。
やはり鍵は鍵穴へしっかりと収まるのだが―――

('A`)「回らねえぇぇぇぇ!」

駄目だった。



569:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:15 MZZYAuQhO
  

最悪の事態。

(; ^ω^)「ここまで来ておいて引き返せとでもいうのかお?」
( ・∀・)「そんなはずはない!
     もしかしたらこの鍵穴はフェイクで他の鍵穴があるかもしれない。扉をくまなく調べてみようか」

皆は懐中電灯で扉を照らしつつ、別の鍵穴を探す。
――すると

ξ゚听)ξ「鍵穴はないけど最初に見た文字とはまた別の文を見つけたわ」
( ・∀・)「よしきた、早速解読だ」

モララーはいつもの古文書を使い文の解読を試みる。

( ・∀・)「『太陽と海、二つが合わさりしとき道は開かれん』と書いてある」
( ゚∀゚)「どういう意味だこれは?」
( ・∀・)「わからないねー。
     太陽が赤い鍵、海が青い鍵ということまでは直感でわかるが…」

その二つを試しても扉は開かなかった。
やはりこの二つの鍵では扉を開けることは不可能なのだろうか。



570:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:18 MZZYAuQhO
  

( ^ω^)「何も浮かばないから暫し鍵をいじって遊ぶお」
('A`)「はぁ?」

突然ブーンは二つの鍵を手に取り何やらいじり始めた。

( ^ω^)「こう合わせて…いや、むしろ…」

皆も為す術がないのでただこれを眺めているだけだ。

川 ゚ -゚)「(実に地味な遊びだな…)」
( ゚∀゚)「知恵の輪かwwwwww」
( ^ω^)「リアル消防時代、授業中に消しゴムと鉛筆を組み合わせて遊んでたことがあったお。
      この鍵を見てたら何故かそれを思い出したお」

何やら楽しそうである。
だが、他の者達がこの奇行を軽視する中注意深く観察する者もいた。

ξ゚听)ξ「…合わさりしとき…組み合わせる…?」
( ・∀・)「…それだ!」

途端にモララーは手を叩き声を上げる。



571:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:21 MZZYAuQhO
  

( ・∀・)「ブーン、鍵を貸せ。おかげで開け方が解ったぞ」
( ^ω^)「mjd?」

言われるがままにブーンは鍵をモララーに渡す。

( ・∀・)「よし。太陽と海を合わせるというのは…」

モララーは二つの鍵を同じ向きにして重ね、軽く力を加える。
パチンという音。

( ・∀・)「こういうことだったんだ!」

モララーの手にあったのは、二つの鍵が重なり、合わさった鍵だった。

川 ゚ -゚)「成る程な…合わせるというのは重ねるということだったんだな」
( ・∀・)「そうだね。じゃあ開けてみようか」

新しく出来た鍵を早速鍵穴に差し込む。
( ^ω^)「wktk」
( ・∀・)「今回は財宝目当てじゃないだろうに…まあいいか」

鍵は抵抗することなく回り、錠をはずす。
巨大な扉が重い音を立てて開いた。
これは稀に見る奇跡。

( ゚∀゚)「時には戯れるのも一つの手なんだな」
('A`)「だな。これからは迷ったときはとりあえず戯れてみるか」

何か変な方向に判断する者もいたが、道が開かれた以上は先を急ぐのみ。



572:◆wAHFcbB0FI: 02/20(火) 20:28 MZZYAuQhO
  

扉を抜けた先には広い空間。何故か壁には火の灯った蝋燭があった為懐中電灯は必要なかった。
部屋の向かい側にはさらに扉。ここは通過点に過ぎないようだ。

( ゚∀゚)「また扉かよ…こんな部屋さっさと進んじまおうや」

ジョルジュがそう言って向かいの扉に近付こうとし、ブーン達もそれに続こうとした時だ。

「アヒャヒャ…そんなに急いでどこに行くのさ?」

聞き覚えのある、高らかな笑い声。

( ・∀・)「…まいったねこりゃ」
( ゚∀゚)「またあいつか…」

コツ、コツ、とどこからか靴音が鳴り響く。
次第に音は大きくなり、それは前方からのものだとわかる。

( ^ω^)「……」

そして、ブーン達の前に立ちはだかる者が―――



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