( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

732: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:26 MtSIMgnjO
  

第五話 大魔獣と救世主


それは魔法陣の中心に立っている。
それは世界を破滅へ導く力を持つ。
それは遥かなる時を経て今再びこの地へと姿を現した。

( ・∀・)「これが…これが大魔獣?」
ξ゚听)ξ「信じられない、というか…」
川 ゚ -゚)「……」

皆は予想外、という様子で魔法陣の中央を見つめている。
想像していた姿とは大きく異なっていたのだ。



733: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:32 MtSIMgnjO
  

それは獣のようであり、しかし人のようでもあった。

ミ,,-Д-彡「……」

灰色の毛皮で全身を覆い二本足で立つ、人型の猫と例えるのが最も適切か。
身長は人間の子供よりやや高い程度だが、その全身からは強いオーラが感じられる。

ミ,,゚Д゚彡「……?」

やがて魔獣と思われるそれはゆっくりと目を開き、不思議そうに辺りを見回す。

ξ゚听)ξ「一体どうしたのかしら?
      それ以前にあれが本当に魔獣なの?」
( ・∀・)「恐らく自分の状況がまだ把握出来ていないんだ。
     それと長い間封印されていた故にある程度力を失い、あのような姿になってしまったんだろう」
ξ゚听)ξ「なら一安心ね」

安堵の溜め息をつくツンを否定するようにモララーは続ける。

( ・∀・)「君は腐っても鯛という言葉を知らないのか?
     例えかつて程の力はないにしても、魔獣であることに変わりはない。油断は出来ないよ」



734: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:40 MtSIMgnjO
  

声に気付いたのか、魔獣はモララー達の方を向き、近付いてきた。
対し、皆は警戒体勢を取る。
すると

ミ,,゚Д゚彡「…お前達、ここは一体どこだ?」
(;'A`)ξ;゚听)ξ川;゚ -゚)「な…なんと!」
( ・∀・)「お前…喋れるのか?」
ミ,,゚Д゚彡「一応な。それと質問に質問で返すのはどうかと思うが」
( ・∀・)「…言ってくれるじゃないか」

どうやらそれなりの知能を持っているらしく、
人間の言葉を理解しまた人間の言葉で意志疎通が出来るようだ。

( ・∀・)「ここはお前が封印されていた場所。今は村だけどね」
ミ,,゚Д゚彡「フウイン…? 何だそりゃ、食えるのか?」
( ・∀・)「…自分が封印されていたことがわからないのか?」



736: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:45 MtSIMgnjO
  

すると相手は頭を掻きながら

ミ,,゚Д゚彡「俺の名は『ギコ・フッサール』。かつて人間相手に大暴れしたことがある。
      他は全く思い出せない…」
( ・∀・)「記憶喪失…これも封印の影響か」
ミ,,゚Д゚彡「よくわからんが、多分それっぽい」

だが、そんなほのぼのとした会話もここまでだった。
フッサールは大きく欠伸をすると

ミ,,゚Д゚彡「…さて、俺は今凄く暴れたい気分だ。
      そんな訳でちょっくら行ってくる」

出口へ歩きだそうとする。

( ・∀・)「ちっ、結局そうなるのか!」
川 ゚ -゚)「させてなるものか!」
ξ゚听)ξ「絶対に外へは出さないわよ!」
('A`)「世界の危機だもんな」

人間四人はフッサールの前に立ちふさがる。



737: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:50 MtSIMgnjO
  

外は村だ。
我が物顔で暴れられてはひとたまりもない。止めなければ。
…だが

ミ,,゚Д゚彡「何故に俺の邪魔をする…退け」

言葉と同時に右腕を掲げる。
轟音と共に生成されるは、白き雷。

( ・∀・)「あれって確か…」

聖白刀、別名セラ。
今フッサールが放とうとしているものは、まさにそれの力だ。

ミ,,゚Д゚彡「…ッ!」

右腕を振り下ろす。
解放された雷は出鱈目に宙を飛び回った後、四人へと迫る。

(; ・∀・)「――――!」

言葉をあげる間もなく、雷は四人を薙ぎ払い、消えた。
気絶し、倒れる四人。
それを見下ろすフッサール。

ミ,,゚Д゚彡「これでも手加減したつもりだ、悪く思うな」

吐き捨てるように言うと、再び出口へと歩き出す。
しかしそれを呼び止める者がいた。



738: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:54 MtSIMgnjO
  

(*゚∀゚)「ねえ、君?」

つーだ。
雷を目の当たりにしておきながら、怯むことなく彼女は声をかける。

ミ,,゚Д゚彡「…何だお前は?
      人間ではないようだが」
(*゚∀゚)「あったりー! よくわかったねえ!」
ミ,,゚Д゚彡「それぐらいわかる。
      で、お前は一体何が目的だ? 邪魔するようなら先程の人間のようになってもらう」
(*゚∀゚)「アヒャ! さっきの雷かい?
     やりたければどうぞ!」
ミ,,゚Д゚彡「…なら邪魔と判断する!」

再び右腕を掲げ、白い雷を生成。
そして解放。
雷は轟音をあげてつーへ迫るが―――

(*゚∀゚)「うん、やっぱり―ー」

彼女は両手を前に突き出し

ミ;,,゚Д゚彡「――!?」

雷を受け止め、掻き消したのだ。



739: ◆wAHFcbB0FI :03/28(水) 23:59 MtSIMgnjO
  

(*゚∀゚)「さっきの見せてもらったけど、あの程度の雷なんざ私にとっちゃぬるい電気風呂みたいなもんだよ。
     その電気風呂程度の雷じゃ私は倒せないってこと」
ミ,,゚Д゚彡「……」

本気ではなかったとはいえ、自分の攻撃がいとも簡単に防がれたことに軽く驚愕を覚える。

(*゚∀゚)「…アンタ、今のが底力なんてことはないよね?
     私さ、強い奴と戦ってその精神を叩き潰すのが好きなんだよ。
     だからそんなに暴れたいっていうなら私が相手してあげるよ?」
ミ,,゚Д゚彡「…そういうことか。
      そう言われると俺も血が騒ぐ……受けて立とう」
(*゚∀゚)「盛り上がって参りました!」

何故か楽しげに言い合う二人だったが

( ^Д^)「 ち ょ っ と 待 て 」

当然のように邪魔が入る。



740: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:03 gvhR70wDO
  

(*゚∀゚)「何だよー、今から楽しくなるってとこなのに」
( ^Д^)「いやだってさ、そいつ自由にさせたら多分この世終わるぞ?」
(*゚A゚)「流石にそればかりはあかんと思うんやけど…」

現世の滅亡はタカラやのーでさえも恐れているようだ。
だが、二人がそれ以上に恐れていることは彼女の逆鱗に触れることであり―――

(*゚∀゚)「私が楽しめりゃそれでいいの!
     アンタらの出方によっては二人揃って消滅しちゃうかもよ?
     …それを踏まえて 何 か 質 問 あ る ? 」
(;^Д^)(;*゚A゚)「何でもないです大佐」
(*゚∀゚)「それでいいのだよ君達」

二人は呆気なく屈服した。



741: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:08 gvhR70wDO
  

こうなると二人の邪魔をする者はもはや存在しない。

(*゚∀゚)「じゃあここはちょっと狭いし外出ようかフサ君!」
ミ;,,゚Д゚彡「…勝手に変な呼び方するな」
(*゚∀゚)「だってその方が言いやすいし」
ミ;,,゚Д゚彡「…っておい、ちょっと待て…」

フッサールはつーに腕を掴まれ、そのまま彼女に引っ張られるように出ていってしまった。

( ^Д^)(*゚A゚)ポカーン

タカラとのーが唖然としていると

(; ゚ω゚)(;゚∀゚)「ああああああああっっ!!!」

モララー達よりも前に気絶していた二人が突然飛び起きた。
(*゚A゚)「どないしたんや二人共」
(; ゚ω゚)「包丁持って二足歩行する赤い猫に追いかけられる夢を見たお…」
(;゚∀゚)「奇遇だな、俺は自分そっくりな奴が包丁片手に追いかけてくる夢だった」
( ^Д^)「そりゃ何とも不幸な話だ」



742: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:10 gvhR70wDO
  

二人は悪夢の内容を簡単に説いた後

( ^ω^)「…てか、何でみんな気絶してるんだお?
      そういえば僕のセラがないお」
( ゚∀゚)「俺のサラマンダーもだ!」
( ^Д^)「ああ、それなら…」

タカラとのーは二人が気絶している間に起きたことを伝えた。
そして

(;゚∀゚)「おいおいおいおい!
     どうすんだよ、魔獣復活しちまったじゃねえかよ!」
(; ^ω^)「僕に言われても困るお。けど…?」

問題の魔獣の姿が見当たらない。

( ^ω^)「その魔獣はどうしたんだお?」
( ^Д^)「連れてかれた」
(; ^ω^)「おまwwww誰にだおwwwww」
( ^Д^)「見りゃわかるだろ」

二人は辺りを見回し、やがて気付く。
五月蝿い奴が一人いないことに。

( ^ω^)( ゚∀゚)
(; ^ω^)(;゚∀゚)「奴かぁぁぁぁぁ!」



743: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:14 gvhR70wDO
  

(#゚∀゚)「あいつ何やらかすかわかんねえじゃねえかぁぁ!!
     お前等見てたんなら止めろやぁぁぁ!!」

だが二人は

( ^Д^)(*゚A゚)「現世<自分の命」
(#゚∀゚)「お前等マジうぜぇ」

しかし今は責任を押しつけている場合ではない。

( ^ω^)「とにかくまずは他のみんなを起こすんだお!」
( ゚∀゚)「…そうだな、何かいい道具をモララーが持ってねえかな…」

ジョルジュはモララーの荷物を漁り始める。
やがて彼が取り出してみたものは、小型の銃。

( ゚∀゚)「ん…これって確か」
( ^ω^)「それだお!」

ブーンはジョルジュから銃を引ったくり、モララーへ向ける。

( ^ω^)「あのときの報復も兼ねて…起きろー!」

ズシャアン!



744: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:19 gvhR70wDO
  

直後、モララーがフラフラになりながらも目を覚ます。
が、髪が爆発している。

( ゚∀゚)「あいつの髪がイオナズン起こしたwwwww」
( ^ω^)「うはwwwww大丈夫かおwwwwww」
(# ・∀・)「ああ、御陰様で何とか(こいつ、いつか絶対殺す)」

手で髪をとかしながら自分の荷物を漁り、やがて小型の機械を取り出し電源を入れた。

(# ・∀・)「目覚まし電波発生装置!
     これ使えばいいものの…それとも君のような Y E L L O W P I G には使い方がわからなかったのかな?」
(# ^ω^)「黄色い豚とは何だお!
      やんのか爆発頭が!」
(# ・∀・)「それはお前のせいだろうが!」

そんな二人に罵声による制裁が下る。

(#'A`)(#゚∀゚)ξ#゚听)ξ川#゚ -゚)「 喧 嘩 は や め ろ 」
(; ^ω^)(; ・∀・)「すいません…」
( ^ω^)「てかみんなもう起きたのかおwwwww」

目覚まし電波発生装置とやらの目覚まし電波はかなりのものらしい。



745: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:23 gvhR70wDO
  

やがて思い出したようにクーが口を開く。

川 ゚ -゚)「それはそうと、魔獣がいないではないか」
(; ^ω^)「それが斯く斯くしかじかで…」
(;'A`)(; ・∀・)ξ;゚听)ξ川;゚ -゚)「な、なんだってー!!」

ある者は驚愕し、またある者は俯く。
魔獣――ギコ・フッサールを野放しにするようなことになれば、世界は文字通り『終わる』。
自分達の力で鎮められる相手とは思えない。
それなのに、よくわからないトラブルメーカーが火に油を注ぐような真似をしてくれた。



746: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:29 gvhR70wDO
  

…だが

( ゚∀゚)「…なあ、俺達って今まで何回も死にそうになったよな?」
( ^ω^)「お?」
( ゚∀゚)「何度も死と隣り合わせになって、それでも俺達はしぶとく生きてきた訳だ。ゴキブリみたいにな」

妙な例えだが、しかし本人も、皆も笑いを浮かべることはない。

( ゚∀゚)「そりゃあさ、今度の相手はやばいってレベルじゃないだろうよ。
     …けどよ、だからって俺達に100%出来ないことなんてあるのか?」

魔獣が復活した以上、もう後へは引けない。
ならばどうするか。
――簡単だ。

( ゚∀゚)「…だから、今回も生き延びてやろうじゃねえか。
     相手が何だろうが関係ねえ。抵抗して、抗って、精一杯牙剥いてやろうじゃねえか!」

ジョルジュは声色を強めて言った。
何であれ、彼は誇り高き皆のリーダーであった。

そして皆の答えは―――



747: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:31 gvhR70wDO
  

( ^ω^)「…僕もそれには賛同だお。
      困難を打ち破り、成し遂げる…僕達は今そんな状況にぶち当たっているんだお」
('A`)「何もせずに死んでいく馬鹿などいてたまるか。
    俺だって霊刀がなくても…精一杯抵抗してやるよ」
( ・∀・)「そうだね。刀もろくに扱えない僕だって足掻くことぐらいは出来る」
ξ゚听)ξ「やる前から諦めたら、その時が本当に終わりね」
川 ゚ -゚)「私も最後の最後までお供させてもらおう。
     故郷、そして世界の為に…!」

皆、内に強い意志を秘めていた。



748: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:35 gvhR70wDO
  

( ゚∀゚)「決まりだな。
     …行こうか」

と、その時だ。

( ^Д^)「ちょっと待ちな!」
(*゚A゚)「自分達も協力しまっせ!」

先程まで黙っていたタカラとのーが口を開く。

( ゚∀゚)「お前等…?」
( ^Д^)「首を突っ込んだからには俺にも責任がある。それに、現世が滅んじゃ俺達だって困るんだ。
     だから…俺達にも手伝わせてくれよ」
(*゚A゚)「付き添いで来た言うても、居合わせたからにゃ自分だってやれる限りやりまっせ!」

ぶっきらぼうに言うタカラ、疲れを吹き飛ばし気合い十分なのー。
対照的ともいえるが、二人にも同じ一つの強い意志があった。



749: ◆wAHFcbB0FI :03/29(木) 00:38 gvhR70wDO
  

( ゚∀゚)「お前等…言ってくれるじゃねえかよぉ…」

ふっ、と笑うジョルジュ。
そして皆で手を合わせ、心を一つにし―――

一人の男が出陣の狼煙をあげた。

( ^ω^)「みんな…今度こそ行くお!」



さあ、始めよう。
世界の運命と自分達のこれからを賭けた、最後の戦いを。



戻るchapter2