( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

753: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 20:45 2pzXPzNkO
  

5-chapter2


今北村・入口付近

異変の元凶が倒れたことにより村を覆っていた黒雲は晴れていた。
が、村人とごく一部の村外の者達は安堵することはない。
村の遥か上空に見慣れぬ二つの影が見えるからだ。

( ´_ゝ`)「ときに弟者、宙を飛んでいる二つの内の一つはもしや魔獣ギコ・フッサールではないか?」
(´<_` )「信じたくもないが…そうだろうな」

遠距離も見ることが出来る双眼鏡を二人は代わる代わる覗いていた。

(´<_` )「村に封印されていた『強大なる何か』とはあいつのことって訳か。
      もし、奴が暴れるようなことがあれば世界の未来は闇だな」
( ´_ゝ`)「言うまでもない」



754: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 20:48 2pzXPzNkO
  

そこに

J('ー`)し「あの…貴方達はこの村の人ではないようですが…
     今は一体どんな状況なのでしょうか?」
( ´_ゝ`)「む、貴方は村の人か?」

毒男の母だ。

J('ー`)し「何だか胸騒ぎがしてならないのです」

二人は重々しく口を開いた。

(´<_` )「…取り敢えず今言えることは、もうこの村は危険であるということだ」
( ´_ゝ`)「俺達も、そして貴方達も避難するべき状況なのかもしれない」

すると彼女は思い出したような表情で問う。

J('ー`)し「まさか、村の祠に封じられていた魔獣が…」

二人は黙って肯いた。



755: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 20:52 2pzXPzNkO
  

J(;'ー`)し「やはり…」

最悪の予想が的中。
しかし―――

J('ー`)し「…ですが、私は避難はしません」

彼女はきっぱりと言い切った。

(;´_ゝ`)「な…なんと!?」
(´<_`;)「貴方正気か?
      このままでいたら間違いなく…」
J('ー`)し「私だけではありません。村人全員が最悪、この村と運命を共にする覚悟です。
     それに、今私の息子が戦っているんです。息子を見捨てる訳にはいきません。
     力にはなれなくても、息子や一緒に戦っている息子のお友達の無事を祈ることは出来ます」

その強い意志は決して揺らぐことはない。
それを察したのか、二人は顔を見合わせて肯き

( ´_ゝ`)「…ならば部外者である俺達にも祈らせてもらおうか」
(´<_` )「この村と貴方の息子の無事を、な」
J('ー`)し「あ…ありがとうございます!」



756: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 20:54 2pzXPzNkO
  

この兄弟は知っていた。
魔獣ギコ・フッサールは村どころか世界を壊す程の、破壊神の如き力を持っているらしいということを。
だが村人達は諦めることも恐れることもせず、
村の為に戦う救世主達の健闘を祈っているのだ。

( ´_ゝ`)(´<_` )「本気で言おう…この村の人達、流石だな」

二人は同時に心の底からそう思った。



757: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 20:56 2pzXPzNkO
  

今北村・祠入口


ブーン達はタカラの空間移動により祠から抜け出していた。

( ^Д^)「どうだ、俺だって空間移動とか出来るんだぜ?」
( ^ω^)「百も承知だお」

が、クーだけがこれに興味を示す。

川 ゚ -゚)「いやしかし、魔界の者達は実に不思議な術を使うものだな。
     そんな術が使えたらいいな…と本気で妄想していた時期が私にもあった」
('A`)「(ちょwww意外な過去発覚wwwww)」
( ^Д^)「まあぶっちゃけると空間移動や次元移動が出来るのは俺やつーぐらいだけどな」
(*゚A゚)「ついでに自分もでっせ」
川 ゚ -゚)「成る程…」

そう言うとクーは真剣な表情へと戻る。

川 ゚ -゚)「そのつーのことだが…皆、あれを見ろ」

皆は言われるがままにクーが指差した方を向く。



758: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:04 2pzXPzNkO
  

上空。
村の入口からも見える二つの影がそこにあった。

( ^Д^)「随分と派手にやってるみてえだな」
( ^ω^)「思ったんだけど、このままつーに任せとけば勝手に終わらせてくれるんじゃないかお?」
ξ゚听)ξ「その前にこの村が壊滅しちゃうでしょ!」

戦いが目的のトラブルメーカーであるつーに全てを任せることは出来るはずもなく、むしろ村に被害をもたらさずに事が終息する期待は0。
安直な考えは命取りである。
それに加え

川 ゚ -゚)「…相手が空にいるとなると、我々は手も足も出せない」
( ・∀・)「隊長ー、指示は?」
( ^ω^)「ちょwwwwww」

その隊長と言われた男は

( ゚∀゚)「ふっふっふ、俺にいい考えがあるぜ!」

不敵に笑いながら言い放った。

( ^ω^)「おっ!マジかお!」

果たして攻略の糸口は―――



759: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:10 2pzXPzNkO
  

今北村・上空

暗い夜空の中、灰色の魔獣と漆黒の死神が対峙。
魔獣は背に隠していた灰色の翼で、死神は黒く大きな翼で滞空している。
死神の大鎌と魔獣の両腕がぶつかり合い、互いに弾かれるように離れ、そして再び接近し―――
何度も繰り返された後に鍔迫り合いとなる。

(*゚∀゚)「アーッヒャッヒャッヒャ! 堅い腕だねぇ!
     …にしても、こんなに楽しいことは百年前以来だよ!」

もはやこの状態の彼女に、祠内でブーン達に見せた情は欠片もなく
強き者との戦いだけを望む鬼神と化していた。

ミ,,゚Д゚彡「俺も久々に力を解放出来て…嬉しい!」

もはや戦いを楽しむ者同士として語り合う程だ。



760: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:13 2pzXPzNkO
  

ミ,,゚Д゚彡「だが…戦いというものは敵を倒してこそ面白いもの!」

フッサールは距離をとり、両手をつーへと向ける。
その両手はそれぞれ淡い光を放ち―――

ミ,,゚Д゚彡「これでどうだ!」

次の瞬間右手からは火炎竜、左手からは強い冷気を纏った氷柱が生成され、同時につー目掛けて発射。

(*゚∀゚)「一点への同時攻撃…ならやっぱりこうするか」
ミ,,゚Д゚彡「!?」

火炎竜と氷柱がつーの身体を貫く直前に、彼女の姿が消える。
結果、火炎竜と氷柱は虚空を通過。
つーの十八番ともいえる瞬間移動術だ。
そして彼女が次に現れる場所は―――

ミ,,゚Д゚彡「…後ろか!」



761: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:16 2pzXPzNkO
  

すぐさま振り向く。
予想した人物がそこにいた。

(*゚∀゚)「あれー? よくわかったね!」

言いながらも、つーは向かってくる。

ミ,,゚Д゚彡「気配を察知さえ出来れば相手の位置を把握することは容易い。
      そしてお前も後ろに気をつけるこったな」
(*゚∀゚)「!?」

突如、つーの背に熱気が走る。

(;*゚∀゚)「あっちちちち…! 熱い、熱いよ!」

余裕そうな悲鳴をあげるが、ダメージは大きい。
熱さで悶えながらも、彼女は状況を理解。

(*゚∀゚)「さっきの炎…だね」



762: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:20 2pzXPzNkO
  

主の命令で自由に操作出来る炎だということはジョルジュのサラマンダーが(といってもつーは名称を知らないが)証明していた。

フッサールはその力の本来の持ち主。
ならば彼が生み出す火炎竜も同等或いはそれ以上の力を持っていることは納得出来る。
自分が背後に現れることを想定し、先程の火炎竜をUターンさせ背後に回らせたのだろう。

(*゚∀゚)「(まさかここまで読むとはね…やるじゃん!)」

全身へ回っていた炎を振り払いながら彼女は思った。
身体を纏う黒いマントは所々焼き払われ、そこからは紺色の女性用のスーツが露出している。

ミ;,,゚Д゚彡「何だあいつ…
       炎喰らってなお耐えるとは…!」

フッサールはその様子を納得いかぬように眺めていた。



763: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:25 2pzXPzNkO
  

(*゚∀゚)「いけないね…これ修復するの時間かかるんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「…お前俺を嘗めてる?」

呆れながら問うフッサールに、つーはおどけながら

(*゚∀゚)「冗談冗談…事実だけど。
     ついでに言うとその炎はそこらのものとは違うみたいね」
ミ,,゚Д゚彡「その通り、魔力を変換したものだ。
      …人間でないとはいえ妙に詳しいな」
(*゚∀゚)「いやいやわかるよ、私に火傷を負わせた時点でね!」
ミ,,゚Д゚彡「お前一体どんな身体してやがる!?」

驚くのも無理はない。
強大な魔力を操る自分でさえ灼熱の炎には焼かれ、絶対零度には凍える。
大袈裟に言えば、強い魔力と人間並の知能を備えたことを除けば普通の獣同然。
なのにこいつは魔力を用いない攻撃は一切通用しないようなことを言い、それでいて魔力で生成された火炎竜を振り払った。



764: ◆wAHFcbB0FI :04/01(日) 21:29 2pzXPzNkO
  

やはり、何かおかしい。
ただ者ではない。

ミ,,゚Д゚彡「…俺の目にはお前は人間ではなく霊体として映っている。
      だが並の霊体では俺に太刀打ちすることすら出来ないはず。お前は俺と互角…或いはそれ以上の力を持つのかもしれない。
      …お前まさか、かつて俺と死闘を繰り広げた賢者の化身か?」

間の抜けた質問。
対し、つーは

(*゚∀゚)「…アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

彼女は狂ったように笑い

(*゚∀゚)「本日三度目の自己紹介!
     私は死神のつー! 悪戯と泥沼のように酷い戦いを好む異端者さっ!」
ミ,,゚Д゚彡「…よくわからんが、これほどの強さを持つ霊体だ。何か隠してるな?」

再び問う。
だが、対する彼女は満面の笑みを浮かべ

(*゚∀゚)「内緒!
     これは私と私の後輩、それからごく一部の方々しか知らない重大な秘密なの!」

と返すのだった。


戦いは、まだ続きそうだ。



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