( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

129:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 16:10 wMz060/ZO
  

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ブーンと周りの者達はタカラが取り出した何かを手に取り、興味深そうに眺めていた。
それは少し前にタカラが拾った黒い不気味な宝石だった。

( ^ω^)「…これが一体何になるんだお?」
( ^Д^)「それは『暗黒石』といってな、魔力とは違った闇の力が凝縮された石だ。
     さっきここで拾ったんだが、多分つーの野郎が落としていったんだろう」
(*゚A゚)「それ、自分も知っとる。
    口にポイすると力が湧いてくるモンやな」

どうやら人間でいう、栄養ドリンク剤等の類いのようだ。

( ^ω^)「…それで、これをどうしろと?」
( ^Д^)「簡単だ、飲み込めばいい」
(; ^ω^)「な…なんと!」

ブーンも、ようやく事を理解する。
この暗黒石なるモノをブーンが口にし、その力で気力回復を試みるという。
飲み込むというのは、文字通り口に入れろという意味でとって良いようだ。



130:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 16:28 wMz060/ZO
  

( ^Д^)「で、何が賭けなのかっていうと…」
( ^ω^)「僕に使いこなせるかどうかってことかお?」
( ^Д^)「そうだ」

魔界の住人のように、体内に闇の力を宿す者ならば何の問題もなく暗黒石の力を蓄えられるらしいのだが
ブーンのような純粋な人間がその力を制御出来るかどうかは全くわからない。

( ^ω^)「それでも…もうやるしかないんだお」

ブーンは意を決したように、手にした暗黒石を目の高さまで持っていく。

('A`)「ブーン、お前…」
( ゚∀゚)「…やるのか?」

皆の視線がブーンへ集中する中―――

( ^ω^)「……やってやるお!」

ブーンはその黒く不気味に輝く石を口に入れ、飲み込んだ。



131:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 16:31 wMz060/ZO
  

( ^ω^)「お…」
('A`)( ゚∀゚)ξ゚听)ξ「……」
( ^Д^)川 ゚ -゚)( ><)(*゚A゚)「……」

暫しの間、戦車の砲撃音だけが鳴り響く。

やがて一分程時が経つ。
そろそろ来るか、と皆が思った時だ。

(; ^ω^)「お!?」

ブーンの身体が、黒い光を放つ。

('A`)「ブーン!?」

それはみるみるうちに強くなり、ブーンを夜の闇に溶け込ませた。

(; ^ω^)「…ッ!」

続いて、体内にどす黒い何かが流れ込んでくるような感覚。
これが闇の力か、と直感で判断する。

(; ^ω^)「ぐっ…!」

さらに、何かに締め付けられるような痛みが全身にじわじわと襲いかかる。
人間という小さな器に、本来納まらない力が入り込んできているのだ。
これはその代償なのだろう―――



132:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 16:34 wMz060/ZO
  

(; ゚ω゚)「うわぁぁぁぁぁ!?」

もはや自身の状況を判断出来なくなる程の苦痛。
先程までの痛みは全身を切り刻まれるような鋭い痛みへと変わり、その勢いは止まる兆しを見せない。

(; ゚ω゚)「もう…限界だお…」

やはり人間である自分には耐えきれないのか、という考えが頭をよぎる。

(; ゚ω゚)「耐えきれなかったら…僕は今度こそ死ぬのかお?」

頭の中が真っ白になり、意識が飛びそうに―――

(; ゚ω゚)「――違う…そんなんじゃ駄目だお」

死にかけていた自分に期待を寄せ、蘇らせてくれた者達。
視界は真っ暗だが、今自分の目の前で見守ってくれている。
今もまた、自分に期待を寄せて。

――救ってもらった命を、無駄にするのか?
――皆の期待を裏切るのか?

意識が朦朧とする中で自分自身に問いかけ――

(# ゚ω゚)「僕は、必ずやってみせる…
     僕がやらなくてどうするんだおーー!!」

力を振り絞り、心の中で強く自分自身に叫んだ。



133:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 16:37 wMz060/ZO
  

その心の叫びと同時に、短く、しかし長い時間が終わった。

( ^ω^)「お…?」

全身の痛みが、何事もなかったかのように消えていた。
続いて、身体の底から無限の力とも言えるような、凄まじい何かが湧き上がってくるのを感じられた。

( ^ω^)「……!」

そして視界も見えてくる。
皆が自分に視線を集中させているのがわかる。
先程までと同じ光景だが、何かが違った。
それは自分に目を向けている皆の、驚きを隠せないと言いたげな表情。



134:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:10 wMz060/ZO
  

(;'A`)「こ…こりゃ超能力ってレベルじゃねえぞ!?」

皆の視界に入っているブーンは人の姿を保ちながらも、人間とは幾らかかけ離れていた。
その右腕は神々しい輝きを放ち、対照的に左腕は禍々しく不気味に輝く。
そして彼の背からは、どういう訳か太陽のように明るく輝く翼が堂々と生えていた。
まるで天使と悪魔を足して二で割ったような、異様な姿。

( ^Д^)「これはまさか…光と闇の融合!?」

聞き慣れぬ単語を発するタカラ。

川 ゚ -゚)「光と闇…どういうことだ?」
( ^Д^)「昔魔王さんに聞いたことがある。
     暗黒石と対になる聖なる石を合わせると、本来以上の恐るべき力を発揮するという。
     その石とは恐らく…あいつの体内にある『聖石』とやらだったんだ」



135:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:17 wMz060/ZO
  

詳しいことは全く解らないが、要はブーンの体内にあった聖石と今口にした暗黒石が新たな力を導き出したということらしい。
ブーンが回復し、さらにはフッサールに対抗する力を身につけたのだから
今はどうでもいいことを考え執着している場合ではない。


ξ゚听)ξ「…にしてもブーンがあんなになるなんて、何かアンバランスねぇ」

半ば呆れ気味なツンに対し

川 ゚ -゚)「何を言う、アレはアレで良いではないか」
(*゚A゚)「アレや、敢えて言わせて頂くとかっこええわ」
(;゚∀゚)「お前等会話成り立ってねえぞ…」



136:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:19 wMz060/ZO
  

( ^ω^)「これが、光と闇の両方の力…」

その感覚を確かめるように自分の腕を見つめるブーン。

( ^ω^)「うん…負ける気がしないお」
('A`)「え?」
( ^ω^)「感じるんだお。身体の底から限りなく力が湧いてくるのを…
      今なら何が相手でもいける気がするお!」

翼を広げる。
それは夜の闇を明るく照らさんとばかりに一層輝きを増した。
そして深呼吸の後―――

( ^ω^)「いくお、のーちゃん!」
(*゚A゚)「!? えーと…はい!」

唐突に呼ばれ、思わず素直な返事をするのー。
だが返事をした時には、既にブーンは数十メートルの高さまで飛んでいた。

(*゚A゚)「速くなったなぁ…そんでもって相変わらずせっかちや」

追従するようにのーも再び飛翔を始める。



137:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:24 wMz060/ZO
  

( ^Д^)「なーんかあいつらいい感じだな」
('A`)「…羨ましい」

戦場には似合わない言葉を漏らす毒男。
その毒男をジョルジュが怒鳴りつける。

(#゚∀゚)「何を言うかぁ!
     あいつらは戦いに行ったんだぞ! それに対して羨ましいとは何だ!」
ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)( ^Д^)( ><)「(あ、やっぱり頼れ――)」
(#゚∀゚)「それに大体、あの子はおっぱいが足りない!
     俺が理想とする女性とは言い難いんだよ!」
ξ;゚听)ξ川;゚ -゚)(;^Д^)(;><)「(…ないな)」
(;'A`)「誰もそんなこと聞いてねえよ馬鹿…」

地上班はどこか調子が狂ったままスタンバイへと入るのだった。



138:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:26 wMz060/ZO
  

( ,,゚Д゚)「しっかし、いつまでこうしてりゃいいんだろうなあ…」
((゚∀゚∩「がんばるよ!」

戦車による砲撃をしつつ愚痴をこぼすギコ。
自分達のしていることは時間稼ぎに過ぎず、いつやられるかも時間の問題。

だがその時、モララーから通信が入る。

『…ギコ、聞こえるか?』
( ,,゚Д゚)「おう、聞こえるぞ」
『ちょっと空を見てみるんだ』
( ,,゚Д゚)「何だ…?」

様子を伺うべく出入口から顔を出す。
魔獣のいる方角へ目を向けると、太陽のように輝く何かが飛翔しているではないか。

(;,,゚Д゚)「ちょ…アレ何?」

慌てて双眼鏡で見る。
その先には、信じがたい姿のブーンが。

( ,,゚Д゚)「へぇ…復活したと思ったら、良いとこだけかっさらうつもりか」

思わず苦笑。
そして希望を篭めた声で

( ,,゚Д゚)「一時中断だ」
((゚∀゚∩「りょうかいだよ!」

そして通信機に向かい

( ,,゚Д゚)「…そっちも今は撃つなよ、誤爆すっから」
『言うまでもない』



139:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:29 wMz060/ZO
  

ミ,,゚Д゚彡「…!」

フッサールは自分の目の前にいる、変わり果てた相手を睥睨する。

ミ,,゚Д゚彡「まだ来るか…次こそバラバラに引き裂いて殺してやる」

強い殺気を全身から噴き出しつつ唸る。
対し、ブーンはそんなフッサールを見据えながら静かに言い放つ。

( ^ω^)「魔獣ギコ・フッサール…出来ることなら大人しく封印されてほしいお」
ミ,,゚Д゚彡「馬鹿かお前。
      俺の快楽は破壊そのもの―――」

言葉を発しつつ右腕を向け

ミ,,゚Д゚彡「それを邪魔するお前等人間共を放っておけるかよ!」

今にも攻撃を仕掛けて来そうなフッサールを、ブーンは哀愁の篭もった目で見つめる。

( ^ω^)「なら…爪の借り、返すお。
      そして今度は僕から言わせてもらうお」

拳を握り締め、彼の目の色が変わる。

( ^ω^)「一気に終わらせるお」



140:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:33 wMz060/ZO
  

言葉を終えるのとほぼ同時に、ブーンの姿が消える。
だが、次の瞬間―――

ミ;,,゚Д゚彡「なん、だと!?」

それは最早、高速というレベルではない。
目視すら許さぬ速度で、ブーンがフッサールの目の前へ急接近していた。
そして彼が次に行う動作は―――

( ^ω^)「…ッ!」
ミ;,,゚Д゚彡「ギャ…!?」

同じく目視不可能な速度である打撃が、フッサールの胴体を捉えた。



141:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:35 wMz060/ZO
  

ミ;,,゚Д゚彡「お前、一体―――」
( ^ω^)「答える前に、まだまだいかせてもらうお」

両腕を軽く掲げる。

聖なる力を得た右腕
禍々しき力を得た左腕

その両腕の先から、透明な巨大な刃が現れる。

( ^ω^)「ッ!」

両腕をクロスさせ、それを解くと同時にフッサール目掛けて刃が放たれる。

ミ;,,゚Д゚彡「ガッ…!」

目に見えぬ二つの巨大な刃が空を走り、フッサールの強固な両腕の皮膚をザックリと裂いた。
それは一瞬の間の出来事。
直後、少量だが虹色の血液が流れ出る。

ミ,,゚Д゚彡「お前…本当に人間か?」
( ^ω^)「僕は人間…
      けど今は人間の力を越えた、救世主という名の化け物なのかもしれないお」



142:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:37 wMz060/ZO
  

言い終わるなり、ブーンの姿が再び消える。

ミ,,゚Д゚彡「…ッ!」

もうその手は喰わない、と言わんばかりにフッサールは左方へ飛ぶ。
空であろうが地上であろうが、その灰の翼の羽ばたきから生み出される速度は高速。
空という広大な空間を、とてつもない速さで翔るフッサール。

だが

ミ,,゚Д゚彡「!?」

突如、フッサールの動きが止まる。
――否、それは背後から止められていた。



143:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:39 wMz060/ZO
  

(*゚A゚)「改めてこんばんは…っと」

フッサールの背から生えた灰色の翼を、待ち構えていたのーの両手がしっかりと掴んでいた。

ミ#,,゚Д゚彡「お前…!」

抵抗を試みるが、翼を掴まれているので思うようにいかない。

(*゚A゚)「ええからじっとしとき…」

翼を掴んだまま腕を持ち上げ―――

(*゚A゚)「おりゃっ!」

そのまま力任せに投げ飛ばす。
それによって、フッサールの小さな身体が減速することなく飛ぶ。



144:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:41 wMz060/ZO
  

だが、のーが投げつけた先は何もない空間。

ミ,,゚Д゚彡「ッ!」

自由になった翼を広げ、空中でピタリと身を止める。
そして体勢を整えようと―――

ミ;,,゚Д゚彡「!?」

突如、フッサールの身が大きく突き飛ばされる。

( ^ω^)「どうだお…!
      たとえ不死身でも痛みは感じるはず…だから大人しくしてほしいと言ったんだお」

ブーンが無防備なフッサールへ、神速ともいえる速度で突進を繰り出したのだ。

(*゚A゚)「猫さんがボールのようや…
    自分達めっちゃ極悪やな―――」

呟きながら、フッサールが飛ばされた方へ目を遣る。



145:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:42 wMz060/ZO
  

ミ#,,゚Д゚彡「ガルル……」

数メートル離れた位置に、牙を剥いて唸るフッサールの姿があった。
その両腕は五色の光を纏っており
その発光は今までのものよりさらに強い。

(*゚A゚)「アレって…やばいんとちゃう?」

再びあの破壊の光弾を放つつもりだ。
今のブーンでも、まともに受ければその身は跡形もなく散るだろう。

( ^ω^)「…慌てたら負けだお」

ブーンは静かに呟き、拳に力を入れる。

( ^ω^)「…やられる前にやるお」

言葉と同時にブーンの姿が消え、次の瞬間フッサールの目の前に現れる。

(;*゚A゚)「ちょ…あかん!」

少し前の光景がのーの脳裏に浮かぶ。
これでは再び同じ運命を辿ることに―――



146:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:44 wMz060/ZO
  

( ^ω^)「(…大丈夫、ちゃんと考えてるお)」

ブーンは以前しぃが再生魔法を試みる際、精神を集中させていたことを思い出していた。
フッサールの精神が揺らぐように攻撃を叩き込めば、光弾の生成を阻止出来るかもしれない。
そう感じたブーンは、フッサールの急所(?)である頭部に狙いを定め右手を突き出す。

ミ,,゚Д゚彡「!」

フッサールもまた光を纏った腕を振り上げ、頭部に迫る拳目掛けて爪を繰り出した。

( ^ω^)「おっ…!」
ミ,,゚Д゚彡「ガルル…!」

神々しく輝く拳と、五色の光を纏った爪がぶつかり合う。

(# ^ω^)「くっ……!」

ブーンの右腕からは血が流れているが、彼は力を緩めることをしない。
爪が拳に食い込んでいるのを感じる。
ジンジンとした痛みを覚えるが、ブーンはさらに力を入れる。

(# ^ω^)「おぉぉ!」

何も考えず、ただ強く、渾身の力を篭めて腕を押し込んでいく。



147:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:46 wMz060/ZO
  

ミ;,,゚Д゚彡「な…何故だ!?」

少しずつではあるが、フッサールが押されていた。
その焦りからか、両腕の光が弱まりかけている。

(# ^ω^)「…予想通りっ!」

ブーンは空いている、禍々しい力を得た左手で攻撃を仕掛ける。

ミ,,゚Д゚彡「おのれ…!」

フッサールは反射的に後方へ下がり、その横殴り気味の打撃を回避すると同時にブーンとの距離をとる。
瞬間、両腕の光が再び甦る。

(; ^ω^)「馬鹿な、一瞬で精神力が回復した…!?」
ミ,,゚Д゚彡「訳の解らんことをゴチャゴチャと…
      これは俺の力であって、俺とお前等人間共との差なんだよ!」

力強く吼え、ブーンへ両腕を向ける。



148:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:48 wMz060/ZO
  

(*゚A゚)「(あかん…けど今や!)」

フッサールから五メートル程離れた位置。
背後に回り込んでいたのーは柄を伸ばしたクラッシュを振り上げ、そのままの位置からフッサール目掛けて―――

ミ,,゚Д゚彡「…わかってるんだがな」
(;*゚A゚)「なっ…!?」

突如、フッサールが振り返る。見抜かれていた。
慌てて攻撃を止めようとするが、間に合わない。

ミ,,゚Д゚彡「邪魔すんじゃ…」

フッサールはクラッシュの鉄塊部分を片腕で掴み―――

ミ,,゚Д゚彡「ねぇぇっ!」

軽く振り回し、上方へと放り投げた。
無論、柄を掴んだままであるのーはクラッシュと共に飛ばされる。

(;*゚A゚)「うわっ!?」

クラッシュの柄を元の長さに戻し、翼を展開。
だが、彼女が体勢を整えようとしたときには、既にフッサールの両腕が彼女に向けられていた。

ミ,,゚Д゚彡「先ずはお前からだ、吹っ飛べ!」
(; ^ω^)「や、やばいお!」

フッサールの両腕から生成された、あらゆる存在をも粉砕する光弾が無防備なのーに牙を剥く。



149:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:50 wMz060/ZO
  

三度目の大爆発。

その爆発はのーを容赦なく包み込んだと見える。
まだ煙が薄らぐことはない。
だが爆発を引き起こしたフッサールはそれを軽く見据えるのみで、既に関心は別に移っていた。

ミ,,゚Д゚彡「…次だ」

そう言いつつ、ブーンがいるであろう位置に目を遣る。
だが、そこに彼の姿はない。

ミ,,゚Д゚彡「…?」

自分に恐れをなして逃げたのか?
周囲を見回すが、煙があるだけだ。

ミ,,゚Д゚彡「……」

改めて煙を見据える。
とりあえず片方は跡形もなく消えただろう、とフッサールは確信する。



150:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:53 wMz060/ZO
  

だが、事実は大きく違った。

ミ;,,゚Д゚彡「な…何だと」

煙の中から現れたのは、光輝く大きな翼を纏うように我が身に包んだブーン。
その背後では、のーが呆然とした表情で未だ滞空していた。
爆発が起きる寸前、ブーンは一瞬でのーの前まで飛翔したのだ。

(*゚A゚)「…何が起きたん?」
( ^ω^)「この翼が、爆発のエネルギーを取り込んで吸収したんだお」

フッサールの方を向いたまま言葉を発する。

( ^ω^)「これで、借りは返したお?」

戦場には似合わぬ、優しい笑みを浮かべてみせる。



151:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:55 wMz060/ZO
  

そんなブーンとは対照的に、怒りを露わにするフッサール。

ミ#,,゚Д゚彡「何故だ! 何故俺の力が人間などに止められる!」

翼を羽ばたかせ、ブーンへと迫る。

( ^ω^)「お…止めた方がいいお?」
ミ#,,゚Д゚彡「五月蝿ぇぇっ!」

怒りに身を任せ、横殴り気味に爪を繰り出そうと――

( ^ω^)「…『反射』」

ブーンが言葉を発するのと同時に、彼を包む翼が眩い白い光を放ちながら展開。
そして次の瞬間

ミ;,,゚Д゚彡「…ッ!?」

フッサールの中心で、突如爆発が発生。
その爆発はフッサールが引き起こしたものと全く同じだった。
まるで、先程の光景を鏡に映しているかのよう。



152:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:57 wMz060/ZO
  

(*゚A゚)「えっと…今のは?」

先程から全く状況を理解出来ずに首を傾げるのー。

( ^ω^)「僕も詳しくは言えないけど
      要はさっき吸収した力を、今度は逆に放出したんだお」
(*゚A゚)「はー、ようわからへんけど凄いってのはわかる」

攻撃の吸収と、吸収した攻撃の反射。

これもまた光と闇、双方の力の融合によって導き出された不思議な力なのだろう。



153:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 17:59 wMz060/ZO
  

(*゚A゚)「せやけど…一つええかな?」
( ^ω^)「何だお?」

彼女は晴れていく煙を見据えながら呟く。

(*゚A゚)「猫さんがおらへん」
( ^ω^)「……え?」

フッサールの力を逆に利用しての攻撃は他の何よりも強力だったものの
今まで幾多の攻撃にも大した痛手を受けなかったフッサールが、それ程度で力尽きるとは考えられない。
信じがたいが、そもそも奴は不死身だ。

ならば、奴はどこだ?
二人は恐る恐る辺りを見回すが、問題の灰色の姿はどこにも見当たらない。

(; ^ω^)「…ってことはまさか」
(*゚A゚)「そのまさかやな」

二人は顔を見合わせ

( ^ω^)「急がないと!」(゚A゚*)

言葉と同時に降下を始めた。



154:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 18:02 wMz060/ZO
  

地上では、混乱が起きていた。

ミ#,,゚Д゚彡「……」

空にいたフッサールが、墜落するような形で突然地上へと降りてきたのだから。
正確には先程の爆発返しによって爆風に叩きつけられるように落下してきたのだが、それでもフッサールは立ち上がっていた。

(;'A`)「……!」

小柄な体型からは到底想像出来ないおぞましい威圧感に、毒男は声も出さずにたじろぐ。
彼だけではない。その他の者達も、フッサールが放つオーラに気圧されて何も出来ずにいた。
わかんないですに至っては、いつの間にか姿を消してしまっている。

川 ゚ -゚)「(見たところ奴は墜落の衝撃を少なからず受けているな。
     ならばすぐには襲って来ないはず。この間に何か――)」



155:◆wAHFcbB0FI:06/14(木) 18:09 wMz060/ZO
  

その時、怒鳴り声が響き渡る。

(#゚∀゚)「おい! お前等何ビビってやがる!
     地上は俺達の担当だろうが!」
('A`)ξ゚听)ξ( ^Д^)川 ゚ -゚)「!」

皆は声の主―――ジョルジュの方を向く。
やがてそれは決して怯むことのない、ジョルジュの不屈の精神に対する畏敬の篭もった視線へと変わった。
それを見て、ジョルジュは口調を和らげて言う。

( ゚∀゚)「ブーン達がここまでやってくれたんだからよ。
     今度は俺達が頑張る番だろう?」

対し、皆は黙って頷く。

最早言葉は要らない。
皆は答えを既に見つけ出し、そして皆同じ答えなのだから。

それを見たジョルジュは力強い声で宣言する。

( ゚∀゚)「よし…俺達も戦えるってことを教えてやろうじゃないか! いくぞ!」

返事が唱和され、皆一斉に疾駆を開始する。
目標は、魔獣ギコ・フッサール。



158:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 14:52 FPPc7XLWO
  

ミ,,゚Д゚彡「ガルルル…!」

ジョルジュ達が迫るのを見て、フッサールも四肢を繰り出し疾駆を始める。
二足歩行をやめたその姿は猫と呼ぶには大きく、虎と呼ぶにはやや小さいが
全身から噴き出す強いオーラが、ただの獣でないことを証明していた。



159:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 14:53 FPPc7XLWO
  

初めに前に飛び出したのは、皆の中でもずば抜けた機敏性を持つクー。
その右手には銀色の刀。
ブーンが気絶した際、いつの間にかしっかりと回収していた。

川 ゚ -゚)「…いくぞ、忌々しき魔獣よ」

言葉と同時に地を蹴り、疾風の如く飛び込んでいく。

川 ゚ -゚)「ッ!」

一瞬の隙を突き、フッサールの両足目掛けて斬撃を放つ。
が、それは両足を切断することなく、
硬質な音と共にフッサールの身を後退させるのみに留まる。



160:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 14:55 FPPc7XLWO
  

ミ,,゚Д゚彡「それ程度で俺を倒す? 笑わせんな」
川 ゚ -゚)「…やはり駄目か」

すぐさまバックステップで距離をとる。
それと入れ替わりに、人間ではない何かがフッサールへと迫った。

( ^Д^)「よぉ、化け物」

鉄のような爪を備えた手甲を両腕に装着し、戦闘態勢をとったタカラだ。

( ^Д^)「この姿形見れば単細胞のお前でもわかると思うが
     俺は人間じゃねえから、人間の分際でどうのこうのなんて言葉は聞かねえからな。
     そんな訳で喰らっとけ!」

人工(?)の鋭い爪でフッサールを引き裂こうと試みる。

ミ,,゚Д゚彡「…ッ!」

フッサールは再び二足で立ち上がり、両腕で爪をガード。
攻撃はやはり失敗に終わるが、しかしその腕からはほんの少量だが虹色の血液が流れ出た。

川 ゚ -゚)「(何なんだあの武器は…?
     私では傷一つ付けられなかったというのに)」



161:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 14:58 FPPc7XLWO
  

それを見たタカラは満足げに

( ^Д^)「闇の力で強化した、タカラ様愛用の引っ掻き爪!
     付喪神嘗めるなっての! プギャーwwww」

挑発しつつ、距離をとろうと試みる。
が、フッサールの反撃の方が早い。

ミ,,゚Д゚彡「魂だけの存在は…消えろ」

片腕に白い光を纏い、タカラの上半身目掛けて爪を繰り出す。
だが、タカラには鉄壁の防御手段があることをフッサールは知らない。

( ^Д^)「よっ…と」

タカラは素早い動作で宝箱に身を隠す。
直後、宝箱の蓋部分に白い爪が直撃。
が、それは内部のタカラまで攻撃を通さない。



162:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:00 FPPc7XLWO
  

ミ,,゚Д゚彡「何…?」

フッサールは攻撃が通らないことに納得がいかない様子。

そして攻撃を防御すると同時にタカラが再び上半身を出し、抉られた蓋部分を見ながら言う。

( ^Д^)「俺の宝箱にここまで傷を付けるとかやるじゃねえか。
     下手すりゃ壊されてたかもな」

いずれにせよ、大した効果をあげられないとタカラは判断し、後退。
それを追うフッサールの前に、白い煙が立ちはだかった。



163:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:02 FPPc7XLWO
  

(; ^ω^)「ちょ…皆何してるんだお!?」
(*゚A゚)「ただごとじゃないのは確かやな」

上空から降りてきたブーンとのーは、地上での様子を見て驚きを隠せないでいた。
そこへ、先程フッサールに攻撃を加えてきたタカラが現れる。

( ^Д^)「見ての通り、戦ってるんだがな」
(; ^ω^)「戦ってるって…危険だお!」

焦るブーンに対し、タカラは諭すように言う。

( ^Д^)「あのな、一つ言っておく。
     戦えるのはお前等だけじゃねえんだ。たとえ小さな力であっても、それが集まれば大きな力になる」
( ・∀・)「…それを今、僕達が証明する」

フッサールが地上に降りてきたことを知り、
戦車から降りてきたモララーが言葉を完成させる。



164:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:05 FPPc7XLWO
  

( ^ω^)「タカラに、モララー…」
( ^Д^)「まあ後は俺達で弱らせるから、お前は様子見てろ。
     それよりお前はあいつに止め刺す予行練習でもした方がいいんじゃねえの?」
(; ^ω^)「(予行練習って何だお)」

そう思いながらも、ブーンは彼等の言葉に甘えることに。
そしてタカラとモララー、のーは戦場へと向かう。


――これは、皆の総力を結集した戦いなのだ。



165:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:08 FPPc7XLWO
  

ミ;,,゚Д゚彡「!?」

突如発生した見慣れぬ白い煙の中で、フッサールは混乱していた。

ξ゚听)ξ「流石の魔獣も、攪乱はされるみたいね」

フッサール目掛けて煙幕弾を投げつけたツンが不敵な笑いを浮かべつつ言う。

ξ゚听)ξ「…今よ」

さり気ない合図と共にクーが飛び出す。
だが、先程とは一味違った。

川 ゚ -゚)「これならどうだッ!」

刀状であったキルサタンは、銀色のトマホークへと変化していた。
高い防御力を誇る相手に対抗するには、それをも破る攻撃をぶつけるのみ。
大きく振りかぶり、投擲。
銀色のトマホークが、回転しながら煙の中に飛び込んでいく。

ミ;,,゚Д゚彡「ガ…ッ!?」

煙で見えぬが、フッサールの悲鳴が小さく響く。
それを耳にした皆は、油断なく煙を見据える。



166:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:22 FPPc7XLWO
  

ようやく煙が晴れてくる。
フッサールの右肩に、銀色のトマホークが突き刺さっていた。
刀よりも威力があり、且つ投擲による勢いが加わった結果だ。

( ゚∀゚)「やるな!」
川 ゚ -゚)「だが…問題はどう回収するかだ」

クーはキルサタン以外には何一つ武器を持っていない。
ゆえに、今彼女は何も出来ぬ状態だ。



167:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:28 FPPc7XLWO
  

その時、今度は毒男が前に出る。

('A`)「心配すんなクー、俺に任しとけ!」

言葉と同時に接近。

ミ,,゚Д゚彡「来るか…!」

痛手を受けていない左腕で毒男に攻撃を仕掛けるが、彼は素早い動きでそれらを次々と避けていく。

ミ,,゚Д゚彡「すばしっこい奴め…!」
('A`)「避けるのだけは得意って…どんだけヘタレなんだよ俺…」

そんなことを言いつつ

('A`)「隙ありなんだぜ?」

フッサールの右肩からトマホークを引き抜く。
その刃には虹色の血。
気味悪さに一瞬目を逸らすも、武器の変更を試す。
するとトマホークは再び刀となった。



168:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:35 FPPc7XLWO
  

('A`)「俺でも使えるとか…使い勝手良過ぎワロタwww」

毒男は再び迫るフッサールの攻撃を銀色の刀で防御しつつ距離をとる。

('A`)「ほらよ、取ってきたぜ?」

毒男はキルサタンを再びクーへと手渡す。

川 ゚ -゚)「む…恩に着る。
     しかし、お前何時からそんな器用なことするようになったんだ?」
('A`)「まあ普段してることがしてることだからな。
    かすめ取るくらいならお手のもの…」
川;゚ -゚)「お前まさか犯罪者か?」
(;'A`)「違う落ち着け、そして戦闘に集中しろ」



169:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:38 FPPc7XLWO
  

そんな会話がなされている時、フッサールに橙色の火炎球が直撃する。

( ^Д^)「どうだ? 人間なら一瞬で黒焦げになって死ぬ熱さだぜ?」

指先から火炎球を放ったタカラだったが――

ミ#,,゚Д゚彡「……」
( ^Д^)「…駄目か」

炎の中からフッサールが出てくる。
かなりの傷を負っているようだが、それでも戦意は喪失していないらしい。

ミ#,,゚Д゚彡「お前等人間共がいくら集まろうと!
      俺が負けることは有り得ないんだよ!」

両腕から白い光。
それは雷の前触れだ。



170:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:41 FPPc7XLWO
  

だがその時、突如銃声が鳴り響く。

ミ,,゚Д゚彡「!?」

フッサールの右腕に銃弾が命中。
それは鉄がぶつかり合うような鈍い音と共に容易に弾かれ、皮膚に傷一つつけなかったが
銃声と予期せぬ妨害によって集中力を崩され、光が消え失せた。

ξ゚听)ξ「どう…私の射撃力は?
      気を引くのには十分のようね」

フッサールが目を向けた先には拳銃を構えたツンの姿。

ミ#,,゚Д゚彡「!」

あまりにも小賢しい攻撃の連続に、フッサールはキレた。
その四肢を繰り出し、ツンへと接近。



171:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:44 FPPc7XLWO
  

ミ#,,゚Д゚彡「先ずはお前からだ!」
ξ゚听)ξ「そう…けど、ごめんなさいね」

言葉と同時に、フッサールの目の前で強烈な発光。

ミ,,゚Д゚彡「ッ!?」

至近距離からツンの閃光弾をまともに受けたフッサールは視界を奪われる。
そして目を閉じて光を回避したツンが言う。

ξ゚听)ξ「奴は今、目が見えない状態よ」

つまり今が絶好のチャンス。
そこに迫るは、槌状に変化したキルサタンを持つクーと、茶色の鉄槌を持ったのーだ。



172:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:49 FPPc7XLWO
  

川 ゚ -゚)「次こそ決める…準備はいいな?」
(*゚A゚)「OKや!」

二人は途中で分かれ、フッサールを挟むように構える。

川 ゚ -゚)「1…」
(*゚A゚)「2…」
川 ゚ -゚)「3!」(゚A゚*)


合図と共に、左右から同時に鉄槌による打撃を叩き込む。
フッサールは双方からの強烈な力によって弾き飛ばされ、地を転がる。
だが、まだフッサールの視力は回復していない。



173:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:53 FPPc7XLWO
  

( ゚∀゚)「次は俺達だ!」
( ・∀・)「…いくか」

ジョルジュは目の見えぬフッサールに接近し、モララーは少し前に出るだけで留まる。

( ・∀・)「これ、まだ試作レベルだけど魔獣相手に効くかな…」

彼が肩に担いでいるのは、灰色の大型の光線銃。

( ・∀・)「でも…やってみなくちゃわからないよね」

ジョルジュに当たらぬようフッサールに狙いを定め、トリガーを引いた。
同じく灰色の光線が発射され、避けられることもなくフッサールへと命中。
その途端、フッサールが固まったかのように動きを止める。



174:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 15:58 FPPc7XLWO
  

( ・∀・)「相手の身体を僅かの間だが硬化させて動きを止める。
     石化光線とでも言えばいいかな…ま、後はよろしく」
( ゚∀゚)「っしゃあ、俺の馬鹿力を見せてやらぁ!」

フッサールの元へ到着したジョルジュが、動きを封じられたフッサールの両足をがっちりと掴み、そのまま自ら回転を始める。
外見通りと言うべきか、フッサールの身体は思いの外軽く
回転が最高速度に達するまでもそう長くなかった。

(;゚∀゚)「(目ぇ回るな…けど、決めてやるぜ!)」
(#゚∀゚)「秘技、億把囲エアー・タイフーン!!」

どう見てもジャイアントスイングだろう、と突っ込む者は最早いない。

最高速度のまま手を離すと同時に、フッサールはただ遠心力によって回転しながら森へ突っ込んでいき、その身は強かに木に激突する。
衝撃で木は大きく抉れ、フッサールは力なく地面に落下。
視力は回復し、石化光線の効力も切れているはずだが、フッサールは動かない。



175:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:06 FPPc7XLWO
  

(;@∀@)「俺もう駄目…」
(; ^ω^)「ジ、ジョルジュ!?」

倒れるジョルジュに、ブーンが思わず駆け寄る。

('A`)「心配するな、ただ目回してるだけだ。
    それよりお前…今だぞ」
川 ゚ -゚)「彼のことは私達に任せろ。
     …だから、頼んだぞブーン」
( ^ω^)「お…わかったお」

ブーンは森の入口へと向かって歩き出す。
その右手に、戦いに終止符を打つための鍵を手にして。



176:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:18 FPPc7XLWO
  

ブーンは、入口辺りに倒れていたフッサールの前に立つ。
それに気付いたのか、フッサールは倒れたままブーンに目を遣った。

ミ;,,゚Д゚彡「…俺は…負けたのか…人間に?」
( ^ω^)「……」

途切れ途切れに言葉を発するフッサールを、ブーンは哀しげに見据える。

( ^ω^)「…これは、単なる結果だお。
      お前があれほど見くびっていた、微力な人間達が集まってお前に打ち勝った、ただそれだけのことだお」
ミ;,,゚Д゚彡「…人間も弱くはない…のか」

フッサールはゆっくりと瞼を閉じ、やがて静かに寝息を立て始める。
その姿は汚れを知らぬ子供のようにも見えた。



177:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:23 FPPc7XLWO
  

その様子を魅入ったように暫く見つめていたブーンは、意を決したように顔を上げる。

( ^ω^)「お前も…疲れたんだおね。
      …お休みだお」

ブーンは灰色のカプセルをフッサールの頭上へと持っていき――

( ^ω^)「強大なる大魔獣ギコ・フッサールよ、再び永き眠りにつくがいいお」

フッサールへと静かに落とした。

封魔器がフッサールに接触すると同時に、フッサールの身体が眩い光を帯び始め、
封魔器もまた同じく発光。
それが暫く続いた後、フッサールの身体は封魔器に吸い込まれるように消えていった。

( ^ω^)「……さよならだお」

ブーンの前には、封魔器が小さく音を立てて転がっているだけであった。



178:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:34 FPPc7XLWO
  

ブーンが森から出てくると、皆が迎えてくれた。

('A`)「ブーン、遂にやったんだな?」
( ^ω^)「…うん、確かに終わったお」

その言葉を聞いた皆はほっと息をなで下ろした後、歓喜の声をあけた。

ξ゚听)ξ「一時はどうなるかと思ったけど、これでこの村も世界も救われたのよね!」
( ^ω^)「…そうだお、遂に終わったんだお!」
( ゚∀゚)「しっかし、まだ信じられねえなぁ…俺達が世界を救ったなんてよ。
     (あーまだ目が…)」

毒男に支えられながら危なっかしく立ち上がるジョルジュだが、その表情は大きな使命を終えた後のように明るい。

( ・∀・)「何かこれで終わったのか考えたくもなるが…
     …今は素直に喜ぶべきなのかもしれないね」
川 ゚ -゚)「うむ、そうだな。
     しかし、私の故郷のために共に戦ってくれた皆には感謝しなければならんな。
     いずれ借りは返させてもらおう」
('A`)「なに、困った時はお互い様だって」
川 ゚ー゚)「お前が言うなw」
('∀`)「あ、てめぇwwwww」
( ^ω^)「(色々あったけど…きっとこれで良かったんだお)」



179:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:37 FPPc7XLWO
  

ブーン達が喜びを分かち合っている中、少し離れた位置にタカラとのーはいた。

( ^Д^)「何か最後は呆気ない気もしたけど」
(*゚A゚)「この世界が救われたんやからそれでええんや」
( ^Д^)「そういうこった。
     ところでお前…ブーンのことどう思うよ?」
(*゚A゚)「え…? そ、そりゃ…」

予想外の質問に戸惑うのーであったが

(*゚A゚)「ま、まあアレや、良き戦友と言うたとこや」
( ^Д^)「(ちぇっ、つまんねえの)
     まあ、とりあえず俺もこの世界が好きだから、良かったとでも言っておくか」
(*゚A゚)「自分もこの世界が大好きや!」

こちらはこちらで喜び合っていた。




この瞬間、今北村での事件は完全に幕を閉じた。

そして、世界の運命を背負って戦った者達を祝福するかのように夜が明けた―――



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