( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 181:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 16:59 FPPc7XLWO
エピローグ
その後今北村の入口に無事に帰還したブーン達は、毒男の母を筆頭に村人達から感謝の念と共に迎えられた。
そしてその日の晩は盛大に宴が開かれたのだが、魔獣の封印が確認され、
ブーン達が引き上げようとしたあの時には既にタカラとのーの姿はどこにもなかった。
毒男曰く、自分達に謝礼の言葉は相応しくないから先に失礼する、とのこと。
ただ、タカラは「お前達が生きている内にまた遊びに行ってやるから覚悟しとけw」、と言っていたとか。
これらの伝言を聞いた皆は不思議そうな顔をしたがすぐに、何とも面白い連中だ、と笑い合った。
ついでにモララーが再び出会った、自称探検家の変な兄弟もいつの間にか行方を眩ませていた。
まあ、彼等は彼等で今もまたどこかを旅しているはずだ。
そして再び夜が明け、皆はそれぞれの生活へと戻っていった。
- 182:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:02 FPPc7XLWO
それから数ヶ月の時が経った。
ブーン達によって、被害を最小限にくい止められた今北村は現在平和そのものであった。
誤爆によって抉れた地面や、戦車のキャタピラの跡等はブーン達の十八番である地均しで元通りになり
役目を果たし、本来の姿である球形へと戻った退魔の器―――キルサタンは村の宝として厳重に管理され
魔獣ギコ・フッサールを封じた封魔器は村の森に新たに建てられた祠に奉られたという。
- 183:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:04 FPPc7XLWO
そして、ある一軒の素朴な木造の家の居間にて――
(*゚ー゚)「平和ね…」
遺跡を出た後、どこへ行くあてもなかったしぃは、この村で暮らすことにした。
事件の終結後の翌日にはすぐに気力が回復し、今では村の子供達の世話等を引き受けているという。
川 ゚ -゚)「こういう村での生活も、なかなかいいものだろう」
いつ、また同じ事態が発生するかわからないことを警戒して、クーも暫くの間村に留まることを決めた。
あれほどブーン達を目の敵にしていたしぃも、クーに対しては心を許している。
因みにクーと同じ理由で時折里帰りしてくるようになった毒男とは上手くやっているようだ。
- 184:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:07 FPPc7XLWO
そして二人のそばには、薪を担いだ一人の男。
| ^o^ |「私も今日の仕事は以上です」
川 ゚ -゚)「うむ、お疲れ様」
かつてクー達と対峙したブームくんだが、今では村の住人であり
この木造の家を三人で共有していた。
守るべきモノがなくなった今、これからはこの村を護っていくとのことらしい。
| ^o^ |「我が従兄弟がいないのが非常に残念ですが…それは仕方ありません」
かつての祠にいた巨人は忽然と姿を消し
ブームくんの従兄弟のゆうたろうは、ブームくんによって埋葬された。
その時の彼がどんな心境だったのかは誰も知らない。
川 ゚ -゚)「…まあ何にせよ」
(*゚ー゚)「平和が一番」
| ^o^ |「ですね」
今北村の災難が終息した後は観光客が目立つようになったが
村を護るこの者達が目を光らせている限りは誰一人として村を汚すことはないだろう。
- 185:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:16 FPPc7XLWO
モララーが造り上げたドラゴン型戦闘機・SK-7319の残骸はギコ達が所属する軍が村から撤去してくれた。
それはモララーの手によってほぼ完全に修理されたが、流石にそんな危険な兵器をただ一人の人間が管理するのはあまりにも問題があったために
軍が管理することとなった。
…まあ当然といえば当然だが。
しかしモララーにしかロックが解除出来ぬように造られているため、モララーが申し出れば軍はすぐに使用許可を出してくれた。
彼が使う目的は大体見当がついているということも、すんなりと許可がおりる理由の一つだが。
- 186:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:18 FPPc7XLWO
( ・∀・)「さて、今日は何をやろうかな…」
そのモララーはブーン達の居候をやめ、正式な科学者として軍に所属していた。
無論、ブーン達とも時々連絡を取り合っている。
給料は多く、しかも自由に開発や研究が出来るために彼も今の自分の立場を気に入ったらしい。
( ,,゚Д゚)「モララー、どうだ?」
( ・∀・)「うん…思ったんだけどね、たまには武器ではなく
皆が快適な生活を送れるような便利なモノや、
普段武器造ってるのに矛盾するかもしれないけど平和的なモノの開発もするべきじゃないかな」
ギコ達ともそれなりに仲良くなった。
魔獣との戦いで最後は何もしなかった連中だが、
まともな準備もしていなかった割にはよく頑張った、ということで丸く収まった。
- 187:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:22 FPPc7XLWO
( ><)「流石はDr.モララーです、何でも造れる自信があるんですね!」
( ・∀・)「ハハハ、では早速アイデアを考えようk…」
((゚∀゚∩「なおるよ、さいたまさいたま!」
∩゚∀゚))「どんなになやんでも、おいしいものたべてあたまはたらかせればひらめくよ!」
この二匹の不思議生物も相変わらずギコ達と一緒である。
(# ・∀・)「五月蝿ぇ…」
言いかけて、しかし止まる。
なおるよの内の一匹は、軍の料理係が作ったと思える
差し入れのオムライスを乗せた皿を持っていた。
( ・∀・)「…済まないな」
モララーはそれを口にしつつ、ふと考えに耽った。
( ・∀・)「(そういえば…今度しぃとも仲直りしようかな)」
いずれ、彼はDr.モララー或いはマッドサイエンティスト・モララーとして
数々の発明品を作り出すこととなる……かもしれない。
- 188:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:24 FPPc7XLWO
現世ではない、あの暗い空の世界では――
(*゚∀゚)「…それで結局アンタ達と人間数人でフサやっつけちゃったんだ?」
( ^Д^)「正確には死んでねえけどな」
タカラとのーは、この数ヶ月適当に魔界で過ごし、
そして今は土産話のようなものをつーに話したりしていた。
因みにタカラは現在も時々ブーン達のいる現世へ『遊びに』行っている。
- 189:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:27 FPPc7XLWO
(*゚A゚)「まあ、今回はええ経験になりましたわ。
魔界の人間やない、現世の人間のことがようわかったんやから」
(*゚∀゚)「うんうん、やっぱり人間って面白いだろ?」
(*゚A゚)「人間は面白くて…そんでもってええ方々や」
(*゚∀゚)「…え?」
( ^Д^)「……」
予想しなかった答えに沈黙が流れる。
変なことを言ってしまった、とのーは思ったのか
(*゚A゚)「…ぼちぼち自分は森に戻りますわ。
先輩、また今度会いましょうや」
引き留める言葉もないまま、のーは黒い硬質な翼を広げて魔界の暗い空へ飛び去っていった。
(*゚∀゚)「…あいつどうしたんだ?」
( ^Д^)「知らん」
- 190:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:39 FPPc7XLWO
( ^Д^)「話変えるけどよ…お前にも結構優しいとこあるのな」
(*゚∀゚)「ん?」
何に対して優しいと言われているのかわからなかったつーだが、すぐに理解。
(*゚∀゚)「…さあ、どうだろうね」
魔界で生まれ、しかし不幸にも育てる者がいない人間の子供達。
そしてつーには、初めから親など存在しない。
その共通点が、彼女の心に響いたのかもしれない。
(*゚∀゚)「まあ魔王さんが言うには他の子供達は無事にやってるようだし、一安心ってとこだね」
- 191:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:41 FPPc7XLWO
( ^Д^)「そいつは良かったな…じゃあ俺も井戸行って酒飲んでくr」
(*゚∀゚)「ちょっと待て」
( ^Д^)「な、何だ?」
微かだが、殺気が感じられる。
(*゚∀゚)「今更だけど…アンタ私の暗黒石盗んだろ?」
(;^Д^)「ちょ…盗んでなんかねえよ、お前が勝手に落としてったんだよ!
それにアレがなければあっちは終わってたかもしれねえ。お前には少しだけ感謝してるんだぜ?」
(*゚∀゚)「そう思うなら賠償として人間の生き血グラス十杯分を要求する」
( ^Д^)「ふざけんな、あんな臭いモンそんなに用意出来るか!」
(*゚∀゚)「仕方ないなぁ…アンタの苦手な奴は私が一番よく知ってるんだよ?」
( ^Д^)「苦手な奴? それって――」
(#゚;;-゚)「…今までどこ行ってたの」
いつの間にかタカラの背後に、古ぼけた箱に上半身を入れたようなスタイルの―――
要はタカラと同じような妖怪がいた。
Σ(;^Д^)「げっ…でぃ!?」
(#゚;;-゚)「私…寂しかった。
…ちょっと来てもらえる?」
(;^Д^)「ちょ…わかったから待てって!
落ち着け…アッー!」
- 192:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:46 FPPc7XLWO
突然何処かへ連れ去られた(?)タカラ。
一人残されたつーは、さも楽しそうに呟く。
(*゚∀゚)「さて…魔王さんが言うには、百年後ぐらいにまたあいつらが来るらしいんだよねぇ…
…こりゃ楽しくなりそうだよ、アヒャヒャヒャヒャ!」
笑いながら、タカラ達が行った方へ歩いていくのであった。
- 193:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:48 FPPc7XLWO
そして、ブーン達は―――
( ゚∀゚)「よく集まった!
…で、次の獲物を探す訳だが…」
( ^ω^)「おっおっ、wktk!」
魔獣との戦いで一時人間離れしていたブーンであったが、自らの意志で『力の解除』というものを試みたところ、両腕の発光も背中の翼も全て消えた。
ブーンが再び望めばその力は何度でも彼に力を貸すようであるが、恐らくもう使うことはないだろう。
それは本来人間が所持して良い力ではないのだから。
- 194:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:51 FPPc7XLWO
('A`)「もうさ、今回は旅行気分で楽しくやらねえか?
どっかの無人島行くとか…」
ξ゚听)ξ「私もそれに同感よ」
何故かツンも事務所に度々現れるようになった。
普段はどこか違う職場で働いているらしいが、
ブーン達が、遺跡や洞窟探索の計画を立てるなどと彼女に連絡を入れると決まって事務所へ飛んでくる。
何故そこまで執着するのかは謎だが、もしかしたら彼女もブーン達のように平凡な生活に飽きているのかもしれない…
何はともあれ、モララーがいなくなった後でも事務所はそれなりに騒がしかった。
- 195:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 17:56 FPPc7XLWO
それから会議らしきものが続いたが、いつもの如くなかなか考えはまとまらないまま夕方になった。
('A`)「結局こうなるのかよ…」
( ゚∀゚)「まあ、焦ることはない。
この時間ならもう開いてるだろうしバーボンハウス行こうや。シャキンの奴も喜ぶ」
と、そのとき。
( ^ω^)「今思ったことを言わせてもらうと…
僕は…北亜島に行きたいお!」
('A`)( ゚∀゚)ξ゚听)ξ「…え?」
皆、驚いた様子でブーンへと顔を向ける。
(;゚∀゚)「お前…旅費は?
それに、あんな寒い所に今度は何が目的で行くっていうんだ?」
( ^ω^)「モララーに頼めば旅費は問題なしだお。
それに、今度は財宝目当てじゃないお」
ブーンは心に強い意志を秘め、静かに言った。
( ^ω^)「…お礼を言いに行きたいんだお―――」
- 196:◆wAHFcbB0FI:06/16(土) 18:11 FPPc7XLWO
―――――
そしてその日の夜、ブーンは不思議な夢をみた。
それは薄らぐことなく、はっきりと頭に残った夢。
夢の中で、ブーンはいつか出会った誰かと言葉を交わした。
どこで会ったのか、ただそれだけが出てこなかったが
その夢ではあのときわからなかった相手の姿を把握することが出来た。
それは――――
( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです END
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