( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 775:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 17:57 YBRw7QytO
5-chapter3(1)
ジョルジュが考えた作戦とは、まず空にいる魔獣を何らかの手段で地へ誘導し、そこへ地上で待ちかまえている者達による爆弾の一斉爆撃で退治するというもの。
安直な上にかなり残酷だが、そんな理由で手段を選んでなどいられない。
( ゚∀゚)「相手を地に引きずり降ろす為にはこちらも空が飛べる奴が必要になる」
( ・∀・)「飛べる奴ねぇ…」
目には目を、歯には歯をということらしい。
それは最もだが自らの力で空を飛行することなど、普通の人間に許された行為ではない。
- 776:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:07 YBRw7QytO
だがジョルジュは
( ゚∀゚)「この中には飛べる奴がいる…よな」
(*゚A゚)ノ「はいはい、自分や!」
威勢良くのーが手を挙げて主張。
( ゚∀゚)「やっぱりな…
つーが飛べる訳だから、お前も同じことが出来ると思った俺は正しかった!」
( ・∀・)「(そんな理由かよ…)」
だが彼女だけでは駄目だ。
( ^Д^)「おいおい、あんなやばい奴の相手をのーだけにやらせるのは無茶ってもんだぜ?
因みに俺は無理だからな」
( ゚∀゚)「わかってるさそんなこと」
( ^ω^)「でも一体どうするんだお?」
- 777:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:13 YBRw7QytO
ブーンは何も知らないように言うが―――
('A`)「なあ、俺たった今あの出来事を思い出したんだが」
( ・∀・)「奇遇だね、僕もだよ」
二人が小声で囁き合っていたその時、突然ジョルジュがブーンの頭を殴る。
( ;ω;)「いきなり何だお!」
(#゚∀゚)「 ド ア ホ ウ が !!
お前昔に自分が何したか覚えてねえのか!?」
( ^ω^)「……あ」
(;゚∀゚)「『あ』じゃneeeeee!」
( ・∀・)「自分で言ってやったことなのに忘れるとか…」
('A`)「駄目じゃん」
かつてブーンが発動したあの力を目の当たりにしていた者達は
あまりに間の抜けているブーンに呆れ果てる。
- 778:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:18 YBRw7QytO
( ^ω^)「普段使わないから忘れてたんだお。もう大丈夫だお!」
ブーンは皆の中心に立ち
( ^ω^)「知らない人達に言っておくお。
僕は『飛べる』んだお!」
ξ゚听)ξ「…飛べるっていうのは文字通り空を飛ぶってこと?」
( ^ω^)「そうだお!」
数秒の沈黙の後
ξ;゚听)ξ川;゚ -゚)(;^Д^)(;*゚A゚)「な、何だってー!?」
タカラやのーが驚くのも無理はない。
ごく普通の人間である彼が飛行する力を持つと言うのだから。
- 779:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:25 YBRw7QytO
( ^Д^)「お前おかしいぞ!
何で飛べるなんて言い出すんだよ、お前は俺からもただの人間にしか見えないぞ!」
タカラのように魔力を持つ者は、目に映る者の魔力の有無が一目で把握出来る。
今タカラの目には、ブーンは魔力を持たない普通の人間として映っている。
よって彼は魔力で宙に浮かぶことも翼を生み出し飛翔する事も出来ないはずなのだが―――
( ^ω^)「そんなこと言われても、本当に飛べるんだお」
彼は確かに『飛べる』と言っている。
本人の様子からして、あまりの非常事態に頭がおかしくなったとは思えず
毒男やジョルジュ、モララーを見る限りでは嘘でもなさそうだ。
- 780:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:30 YBRw7QytO
タカラが首を傾げて色々と思案していると、ブーンは走る準備を始める。
まずは皆に自分の能力を証明するつもりらしい。
( ^ω^)「長い助走をつけてジャンプすると何故かそのまま飛べるんだお」
そう言って走り出そうとした時。
(;'A`)「おい…お前の身体光ってるぞ」
( ^ω^)「え?」
己の身体を見る。
全身が眩い光を放っていた。
(; ^ω^)「ちょ…僕はどうなるんだお?」
ξ゚听)ξ「何やってるのよ!
怪奇現象起こしてる場合じゃないわよ!」
(; ^ω^)「そんなこと言われたって…」
訳が分からない。
本人も含め皆困惑していたが
( ・∀・)「…この現象、どこかで見たことなかったかな?」
川 ゚ -゚)「…? 私は初めて見る光景だが」
( ・∀・)「うん、クーは知らないだろう。
けど、僕はやっぱり見たことあるよ。半月前にね」
半月前という言葉でジョルジュもピンとくる。
( ゚∀゚)「…! そうか、これはあの時の…」
- 781:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:33 YBRw7QytO
半月前、ブーン達は2L国最北端の島にある遺跡の最深部へと辿り着き、そこにあった泉の水を飲んだ。
その際ブーンだけが突如眩い光に包まれたのだ。
…が、光はすぐに消え、その後は何の影響も及ぼさなかった。
今ブーンは再び光を放っている。
その光はあの時とは違い消えることはない。
川 ゚ -゚)「世の中には妙なことも多いものだな」
( ・∀・)「しかし、この現象の影響がえらく謎めいている…一体何なんだ?」
再びブーンを観察しようとする。
だが、そこにブーンの姿はなかった。
( ・∀・)「あれ、どこ行った?」
( ^ω^)「こーこーだーおー!」
ブーンの声。
それは上から発せられたものだった。
- 782:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:36 YBRw7QytO
( ゚∀゚)「まさか…」
上を見上げる。
夜空に滞空するブーンの姿。
彼は地上へ降り立つ。
( ・∀・)「…っておい!
どうしたんだよ!」
( ^ω^)「何か知らないけど光に包まれた途端に助走無しで宙を浮遊出来るようになったんだお!」
光は彼の内に眠る未知なる力の覚醒の合図らしい。
ならば
( ・∀・)「あの時飲んだ水は…特定の人物が持つ力を引き出す効果があったってことか」
ξ゚听)ξ「その光はブーンが飛行を試みる際に発生する。
水を飲んだ時は飛ぼうとする意志がなかったからすぐに光が消えた…ってことでいいのかしら?」
( ^Д^)「でもなぁ…やっぱりあいつからは魔力とかそういうのが感じられねえ。
俺は飛べないからその件は…いや、気になって仕方ないが今は理屈がどうこう言ってる場合じゃねえよな」
- 783:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:39 YBRw7QytO
その後ジョルジュの指揮の下、役割分担は急速に進んだ。
飛行能力を持つブーンとのーが空中戦担当
ジョルジュとツンとタカラが地上で待ち構え、クーは弓で地上から援護射撃。
( ゚∀゚)「そしてモララー、お前には特別に指示を出す。
忙しくなるだろうがお前だけが出来ることだからな」
( ・∀・)「僕? どんな?」
( ゚∀゚)「いいか? それはな―――」
( ・∀・)「…わかった、要は攻撃の要ってことだね?」
( ゚∀゚)「まあ、そういうことになる。
じゃ、行動を開始してくれ」
( ・∀・)「…了解!」
言うなり、モララーはどこかへ走り去った。
(; ^ω^)「ちょ、あいつどこ行ったんだお?」
( ゚∀゚)「心配ない、すぐに戻ってくる」
( ^ω^)「一体何を任せたんだお…?」
- 784:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:42 YBRw7QytO
飛行準備を終えたブーンとのーは皆の前に立つ。
霊刀が消滅した為ブーンの武器は所持していたブラスナックルのみ。
毒男やツンから爆弾を譲り受けることも考えたが、重装備では飛行に支障が出る故に良い案とは言えなかった。
よって彼の身体能力が運命を左右することになる。
だが無理に戦い続ける必要はない。魔獣を地へ誘導さえ出来ればまずは良いのだ。
( ゚∀゚)「…しばらくお前達二人で戦うことになるが、危ないと思ったら無理せず一旦戻って来い。いいな?」
( ^ω^)「わかったお」
片方は輪状の鉄器を填めた拳を握り締め、自らに『飛行』したいという意志を示す。
同時に全身から眩い発光。いつでも飛行可能の合図だ。
(*゚A゚)「ほな、行きましょか」
もう片方は鉄槌・クラッシュを軽く振り回した後、構える。
そして黒い翼を広げ、羽ばたく。
- 785:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:46 YBRw7QytO
…が、その時
( ^ω^)「お…?」
彼女の翼がブーンの目にとまる。
色、形状共につーの翼とほぼ同等だが、しかし何かが違う。
( ^ω^)「(あれが翼なのかお…?)」
今、のーの背から生えたそれは翼の形状をとりながらも、一部が鉄のような骨格を持ち
硬質な漆黒の翼は羽ばたく度に金属が摩擦するような音を響かせる。
その不思議とも言える翼を前に、ブーンは疑問に思う。
( ^ω^)「(魔界の住人の身体は一体どんな構造になってるんだお?)」
- 786:◆wAHFcbB0FI:04/05(木) 18:50 YBRw7QytO
やがて翼をまじまじと見つめるブーンに彼女は気づく。
(*゚A゚)「…どないしたん?
自分の翼、気になるん?」
( ^ω^)「あ…いや」
ブーンの心情を悟ったのか
(*゚A゚)「…これには深い訳があるんや。あんまし気にせんといて」
( ^ω^)「……」
何か聞いてはいけないものを感じ、ブーンは口を閉じる。
(*゚A゚)「あ…すんまへん。けど今はほら、宙におる猫さんしばくことに集中した方がええと思うんや」
( ^ω^)「それもそうだお。
じゃあみんな…行ってくるお!」
力強く地を踏み、蹴る。
光を纏ったブーンの身体が空高く浮き上がり、そのまま高速で魔獣へと向かう。
(*゚A゚)「…せっかちやなぁ」
追従するようにのーも黒い無機質な翼を羽ばたかせ、飛翔。
二人の厳しい空中戦の幕開けだった。
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