( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

789:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 21:21 K2x46ptzO
  

5-chapter3(2)


今北村・上空


魔獣と死神の戦いは依然として続いていた。

(*゚∀゚)「さて、次は何が来るのかなー?」
ミ,,゚Д゚彡「単体の力での攻撃は通用しない…ならば」

かまいたちと氷柱を同時に放つ。
真空の刃が冷気を纏った氷柱を砕きつつ夜空を駆け、霰を交えた小さな嵐となりつーへと迫る。

(*゚∀゚)「賢いなぁ…しかし甘いぞ小僧!」

いたずらっぽく声をあげると同時に瞬間移動術を用い霰を回避。
次に現れた位置はやはりフッサールの背後。
すぐさまロストを振るが―――

ミ,,゚Д゚彡「お見通しだ!」

両腕の鋭い爪で刃を受け止める。

ミ,,゚Д゚彡「お前…見抜かれているにも関わらず、何故決まって背後から現れる?」
(*゚∀゚)「そりゃ…背後から近付いてズバっとやりたいっていう本能なのかな?」
ミ,,゚Д゚彡「馬鹿な話だ…ならそいつを出来なくしてやろうか!」



790:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 21:32 K2x46ptzO
  

と、その時だ。

「待つお!」
(*゚∀゚)「んー?」

つーには確かに聞き覚えのある声。
だがここは村の遥か上空。
ただの人間がいるはずが―――

( ^ω^)「これ以上好き勝手にやらせはしないお!」

いた。
全身から眩い光を放ち空を漂うブーンが空中という名の戦場へ足を踏み入れたのだ。

(;*゚∀゚)「え? 何?
     私幻術か何かに引っかかってるの?」

これには流石のつーも驚きを隠せない。
そんな彼女をブーンは無視し

ミ,,゚Д゚彡「人間…? 何故だ?」
( ^ω^)「答える義務はないお。
      そして魔獣ギコ・フッサール…覚悟するお!」

言葉と同時に高速タックルをぶち込もうとするが――

ミ,,゚Д゚彡「…っと」

フッサールはそれをいとも簡単に回避。

(; ^ω^)「おっととと…ストップだお!」

対し、ブーンは空中静止。
どうやらブーンはそれなりに飛行能力を使いこなせているようだ。

ミ,,゚Д゚彡「スピードは速いが狙いが甘い……所詮は人間か」
( ^ω^)「なら何回でもやってやるお!」

再びフッサールへ狙いを定めて迫るが
その勢いは突如前方から向かってきた黒い刃によって止められた。

(; ^ω^)「うお!? 危なーい!」

下降し、刃を回避。
そして反射的に刃が飛んできた方を向き

(; ^ω^)「あちゃー! あの人の存在忘れてたお!」



791:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 21:39 K2x46ptzO
  

そこには左手に黒い刃を数本持ち、ブーンを見下ろしているつーの姿。
一時混乱に陥った彼女であったが、状況の理解と立ち直りも早かった。

(*゚∀゚)「アーヒャヒャヒャ!
     こんな所まで何しに来たのかなぁ?」
( ^ω^)「…魔獣を退治しにだお」
(*゚∀゚)「魔獣…フサのことかい? そりゃあ駄目ってもんだよ」
ミ;,,゚Д゚彡「(だーから変な呼び方すんなって)」

左手の刃を放り投げる。
それは攻撃の合図だ。

( ^ω^)「(…来るお)」
(*゚∀゚)「フサを殺るのは私だから。悪いけど邪魔するなら死んでもらうよー。
     …目標、前方の人間!」
ミ;,,゚Д゚彡「いやだから(ry」

命令と同時に刃はブーンの方を向き一斉に動き始める。
ブーンはそれを回避。



792:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 21:56 K2x46ptzO
  

(; ^ω^)「これはいきなりまずいかもわからんね」

いくらかわしても折り返して執拗に迫ってくるのだ。
この魔光刃なるものを止めるには刃自体を破壊するか、刃を指揮しているつーを黙らせる必要がある。
だがまともな武器を持たない今のブーンに、魔光刃を止める術はない。

(; ^ω^)「どうすりゃいいお…」

夜空を駆け回り、刃から逃げ続けるが魔光刃は動きを止めることはない。
振り向いて確認する余裕はないが、背後からの風切音がその恐怖の刃の存在を証明していた。

( ^ω^)「お…?」

逃げ回りながら、ふとつーとフッサールが目に入る。

(*゚∀゚)「アーヒャヒャヒャ!
     どこまで逃げられるかなぁ?」
ミ,,゚Д゚彡「ひでえことしやがるなお前…」
(*゚∀゚)「その酷い所が私のチャームポイントですから♪」

ブーンには何を言っているのかよく聞こえないが、様子からして彼女は本気で自分を殺そうとしているのだとブーンは悟る。
理不尽なことこの上ないが、これではいずれ―――



793:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:01 K2x46ptzO
  

その時。

突然ガラスが割れるような音が連続で響く。
ブーンはこの音に驚くことはなく、むしろ安心感を覚えた。

「もう大丈夫や」
( ^ω^)「おっ…ナイスフォローだお」

ブーンは空中で一時停止し振り返る。
そこにはブーンを護るような形でのーが位置していた。

(*゚A゚)「無理しちゃあかんって言われたやん」
( ^ω^)「失礼致しましたお」

その右腕に持つ鉄槌・クラッシュからは小さな煙が昇っていた。
魔光刃を粉砕した証拠だ。
一方、離れた位置ではつーとフッサールが呆気にとられている。

( ^ω^)「ざまあみやがれだおwwwwww」

攻撃された時点でもう戦闘は始まっているようなものなのに、ブーンは緊張感を持たずに小さくそう言った。

自分で攻撃を防いだ訳でもないのに。



794:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:04 K2x46ptzO
  

(*゚A゚)「…で、今後の戦い方やけど」
( ^ω^)「お?」

彼女はブーンが落ち着いたことを確認すると小声で囁く。

(*゚A゚)「自分が猫さんをやるんでブーンはんは先輩を何とかしといて欲しいんや」
(; ^ω^)「何故に僕が…普通逆だお?」
(*゚A゚)「この空気で自分が先輩と手合わせすんと後があかんのよ」

のーは先程、先輩であるつーの攻撃を妨害したようなものであり、それはつまりどういうことか申し上げると―――

( ^ω^)「やっぱり怖いという訳ですかそうですか」
(*゚A゚)「はい」



795:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:08 K2x46ptzO
  

怖いなどと言っている状況ではないのだが、これではどうしようもない為――

(; ^ω^)「…わかったお、もう好きにするお」
(*゚A゚)「ほっとしました!」

言葉と同時に再び翼を展開、彼女の身が動く。
徐々に速度をあげ、行く果ては標的であるギコ・フッサールの元。

(*゚∀゚)「は!? そういえば何でのーまでここに…?
     獲物盗られてたまるか!」

我に返ったつーがのーを追おうとするが

( ^ω^)「そうはいかないお!」
(*゚∀゚)「!」

ブーンが行く手を阻む。



796:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:12 K2x46ptzO
  

(*゚∀゚)「…アンタ、私の可愛い後輩に何吹き込んだのさ?」
( ^ω^)「あの子もこの世界が好きみたいだお。だから僕達に協力してくれるみたいだお」
(*゚∀゚)「へぇー…」

感心しているのか聞き流しているのかわからないが、やがて再び口を開く。

(*゚∀゚)「…ねぇ、私もあっちに混じりたいんだけど。まさかアンタ一人で私の相手するつもりかい?」
( ^ω^)「その通り、君の相手は僕だお!
      君には何の恨みもないけど、この世界ではあまり好き勝手にされちゃ困るんだお!」

言い放つブーンに少し唖然としたつーであったがやがて不敵な笑いを浮かべ

(*゚∀゚)「いいの? 死んでも謝らないよ?」
( ^ω^)「それこそこっちだって死ぬ気でいくお…!」
(*゚∀゚)「死ぬ気でねぇ…あの変な白い刀ないのにどう立ち向かうのか楽しみだよ!」
(; ^ω^)「あ」

重大なことを忘れていた。
魔力という名の並外れた奇妙な力を持つ彼女に、人間のブーンが対抗出来る唯一の武器である霊刀。
だが封印が解かれた今、頼みの綱であるそれはもはや存在しない。

(; ^ω^)「ち…ちょっとタイムだお!」

慌てるが、威勢の良い発言をしてしまった以上もう遅い。
つーは左拳を突き出し

(*゚∀゚)「ボッコボコにしてやんよ!」
(; ^ω^)「どうすんの俺?」



797:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:15 K2x46ptzO
  

ブーンから少し離れた、しかし同じ上空ではもう一つの戦いが始まろうとしていた。

(*゚A゚)「ども、猫さんの相手は自分でっせ」
ミ;,,゚Д゚彡「俺は猫じゃない…
       見た目からして、つーとやらの同類のようだな」
(*゚A゚)「自分は後輩みたいなもんや」
ミ,,゚Д゚彡「コウハイ?
      …よくわからないが、少なくともお前が俺を滅ぼそうというのはわかる」

緊張感のない会話。
だが次の瞬間、その雰囲気は破られる。

(*゚A゚)「御名答。
    けどそれは自分の為やなく…この世界の為や!」



798:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:19 K2x46ptzO
  

言葉と共に空を駆け、接近と同時にクラッシュを振りかぶる。

ミ,,゚Д゚彡「…悪いが、俺だってそう易々と死にたくはない」

両腕を前に伸ばし防御体勢をとる。
だがのーは攻撃を止めず――

(*゚A゚)「自分のクラッシュがそれ程度で止められるはずないわ!」
ミ,,゚Д゚彡「…ッ!」

鉄槌を、強固な両腕が受け止める。
その両腕に衝撃が走り、フッサールの表情が険しくなる。

ミ;,,゚Д゚彡「なんつー馬鹿力だ…」
(*゚A゚)「伊達に長年鉄槌握ってる訳じゃないんよ?
    まあ他にも色々あるんやけど。クラッシュの重量とかな」

次第に鉄槌が腕を押してくる。



799:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:22 K2x46ptzO
  

ミ,,゚Д゚彡「こいつも近付くのは危ないな…」

接近戦は避けるべきと判断したのか、フッサールは後退。

ミ,,゚Д゚彡「だが…これはどうか」

両腕に魔力を溜め、解放。
二つの火炎竜が発生、それは数メートル程の長さまで伸びた後一瞬で二つの円を描くような形でのーを包囲。

(;*゚A゚)「!? こんなの避けれへんって!」
ミ,,゚Д゚彡「避けれない、か。
      つーのように瞬間移動は出来ないようだな……喰らえ」

言葉と同時に火炎竜が、中心にいるのーへと飛び込む。
二つのそれは竜の形を崩し炎の塊と化して荒れ狂う。
先程つーに放ったものよりも威力は遥かに高いゆえ、容赦なくのーを焼き払うことだろう。



800:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:25 K2x46ptzO
  

その様子を目を細めてじっと見つめるフッサール。

ミ,,゚Д゚彡「これは耐えられないだろ…久々にやっちまったなー」

目を閉じ、口先だけで静かに笑う。
だが再び目を開いた時、目の前の光景に変化があった。

ミ;,,゚Д゚彡「こ、これは」

炎が弱まり、その内側に在するのは紛れもなくのー。
やがて炎が完全に掻き消されると、彼女の周囲には土の如く茶色い、光のバリアが発生していることがわかる。

(*゚A゚)「…自分は時空移動が出来ても、先輩のようにいきなり消えて違う位置に出現…なんて器用な真似は出来へん。
    そん代わりなのか、こんなことが出来る訳や」
ミ,,゚Д゚彡「ちっ…だが俺の攻撃は炎だけではない」

雷、氷柱、風。
それらを放つが―――

(*゚A゚)「こういうこと言うのはあかんと思うんやけど…全部無駄な努力や」
ミ;,,゚Д゚彡「何だと…!?」

全て茶色のバリアによって阻まれる。



801:◆wAHFcbB0FI:04/08(日) 22:28 K2x46ptzO
  

(*゚A゚)「…そう、こいつは対自然結界」

大地の力を具現化したようなそれは、風や雷等の攻撃を一切遮断。
ゆえにそれらを操るフッサールに対し、相性は抜群。

ミ,,゚Д゚彡「対自然なんて言われてもよくわからないんだが」
(*゚A゚)「なら簡単に教えたる。アンタの攻撃はほぼ通用せんっちゅうこった!」
ミ;,,゚Д゚彡「じ、じゃあ俺に勝ち目はないというのか!?」
(*゚A゚)「ふっふ…さあてな」

意地悪く笑ってみせる。

ミ;,,゚Д゚彡「畜生…」

人並みの知性を持つとはいえ、打開策を考える程の賢さは持ち合わせていないらしい。
自分の殆どの攻撃が通らない=勝ち目0と勝手に思い込み、そのまま夜空に停止してしまった。

(*゚A゚)「(…てか、初めからこうすりゃええって何で今まで気付かんかったんやろ?
    …で、これからどうすんの?)」

ジョルジュにはフッサールを地に降ろすよう言われたが、問題の相手が黙ってしまい動かない為
彼女も彼女でどうして良いかわからず、ただただ相手の出方を伺うのみとなった。


両者共に、どこかズレていた。



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