( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

805:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 20:55 JBcVSI1wO
  

5-chapter3(3)


夜空の遥か下方。
地上ではただ一人、ある場所へと駆け続ける者がいた。

( ・∀・)「(僕は特別足が速い訳ではない…小型ジェットでも持ってくればよかったかな…)」

ぼやいたところでどうにもならない。
今は急がねば。

( ・∀・)「(まず『アレ』の所まで戻ることが先だね。考えるのはその後だ)」

モララーは自分に任された行動に恐怖感を抱きながらも、微かに期待を膨らませていた。
自分はとんでもないくそったれ野郎だ、と彼は思う。

これからの行動は下手をすれば命を落とすことすらありうる。
それなのに、こんな軽い気持ちが混ざるなんてどうかしている。



806:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 20:57 JBcVSI1wO
  

( ・∀・)「(死を恐れなくなった…のかな?
     いつからこんな人間になったんだろう?)」

居候であった自分がいつの日からかブーン達と共に行動するようになり、時には彼等の仕事や冒険のようなものにもつき合うようになり――

思えば今までも何度か死の危険に晒されてきた。

意志を持つ巨大な石像。
荒れ果てた洋館で幽霊やゾンビに襲われ、とある遺跡では魔法を操るかつての幼なじみとも戦った。
自らの野心により邪悪な存在となった先祖の霊とも対峙し、そして―――



807:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 20:59 JBcVSI1wO
  

( ・∀・)「…ふぅ」

気付けば数十分走り続けていた。
現在、村の入口。

( ・∀・)「ここからが本番だな」
(´<_` )「おい、そこの青年」

村の入口前にいた二人が近寄ってくる。

( ・∀・)「貴方達は…う○い棒で生活してた人達!
     こんなところにまで来たのか」
(;´_ゝ`)「もはやそんなことはどうでもいい。
      何故、こんなときに村の中へいた?」
( ・∀・)「わかってるさ、今は村の中は危険だよ」
( ´_ゝ`)「だったら尚更だ。とっくに避難指示は出ているはず…」
( ・∀・)「わかってないなー」



808:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:06 JBcVSI1wO
  

モララーは呆れたような表情で諭すように二人に言う。

( ・∀・)「君達が逃げずここにとどまってるのは、村を危機から救おうとする者達が戦っているから。そうだね?」
(´<_` )「まあ…となると君はその中の一人か。
      で、何故に君だけが戻ってきた? まだ奴は存在しているはず…」

弟の方が双眼鏡を覗き込む。
すると彼はひどく驚いた様子で

(´<_`;)「なんと、人が飛んでいるぞ! しかも何故か知らんが美人な姉ちゃんに攻撃されて、しかもそれを全て避けている!」
( ´_ゝ`)「何っ、俺にも見せてみろ。どんな連中なのか気になる」
( ・∀・)「(あいつ派手にやられてるみたいだな…)」



809:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:10 JBcVSI1wO
  

( ´_ゝ`)「うはwwwwwこれビデオに撮影するべきじゃね?」
(´<_` )「OK、そろそろ問題の方を見てみるぞ」

弟は兄者と呼ばれた方から双眼鏡をひったくり、少し離れた方向を眺める。
そこにシュールな光景があったことは言うまでもない。

(´<_`;)「…何やってんだあいつら? 」
( ´_ゝ`)「どうした?」
( ・∀・)「…?」

双眼鏡を覗いた者の意外な反応。
これにはモララーも首を傾げる。

(´<_` )「魔獣と、先程とは違った可愛い姉ちゃんが睨み合ってる」
( ´_ゝ`)「なんと、流石だな」
(; ・∀・)「意味が解らない」



810:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:15 JBcVSI1wO
  

しかしこれはある意味不利な状況だとモララーは判断する。

( ・∀・)「(この人が言う様子じゃ魔獣とのーはずっと膠着状態だろうし
     ブーンがつーにフルボッコにされるのは恐らく時間の問題…
     …やっぱりここは僕が!)」

モララーは村を出て『あの場所』へ向かおうとする。

( ´_ゝ`)「青年よ、どこへ行く。
      同志達が戦っているのに逃亡か?」
( ・∀・)「…その逆だよ、これからさ」
( ´_ゝ`)(´<_` )「?」

頭に疑問符を浮かべる二人を放置し、モララーが向かった場所は村のすぐ近くにある、人気のない広い空き地。



811:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:20 JBcVSI1wO
  

そこには――

( ・∀・)「待たせたな…お前を使う時が来たよ」

目の前の巨大な機体にモララーは語りかける。
鉄製の鋭い爪と牙、銀色に輝くボディ。
加えて、ジェットを搭載した無機質な鉄の翼をその長い胴から生やし――
それはドラゴンを模した戦闘機だ。

( ・∀・)「お前を造っておいてよかったと思うよ」

モララーは専用のキーで入口を開き、薄暗いコックピットへ入る。
様々なスイッチやレバー、無論ハンドルもある操縦席へ座る。



812:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:23 JBcVSI1wO
  

( ・∀・)「全ウェポンロック、解除」

声と同時にモニターにロック解除を表す文字が表示され、続いて各兵器が正常であることを表す図が映される。

( ・∀・)「強力な武器にはロックをかけておいた…僕にしか動かせないようにね。
     ビーム砲なんかは来るときにも使ったけど、他は実際に使うのは初めてだからな…」

不安と期待に駆られながら、レバーを引く。

( ・∀・)「…よし、メインエンジン点火。翼のジェットもOKだね」

この機械竜に助走が必要という概念はなく、エンジンとジェット部分の異常さえなければすぐに発進可能。
機体が少しずつ宙に浮き―――

( ・∀・)「こういうのも難だが…最初で最後となろう、ドックファイトを楽しませてもらおうか。
     …頼むぞ、『SK(Sky Killar)7319』!!」

鉄の竜が、雄叫びと共に夜空へと舞い上がった。



813:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:31 JBcVSI1wO
  

さて、ブーンはというと空を翔つつ、隙を狙ってつーに殴りかかってみたりしたのだが、手応えはなく
実際効いている様子も全くない。
まさに悪足掻きではあったのだが――

(*゚∀゚)「…ッ!」

対するつーの攻撃は一つ一つに無駄がなく、且つ強烈だ。

大鎌が空を薙ぎ
拳が叩き込まれ
更に蹴りも混じる。
だが

( ^ω^)「危なーい」

ブーンはそれらを慌てず回避。
彼はつーの攻撃を避け続けていたのだ。
防戦一方だが、攻撃をかわす要領が身に付いてきている。

( ^ω^)「君の攻撃は大体把握したお。ある意味パターン入ったおwwwwww」


自分達の目的は魔獣ギコ・フッサールの撃墜。倒すべき相手はつーではない。
自分は彼女の足止めをし、のーを魔獣と一対一に持ち込ませてやればきっと上手くやってくれる。
この際、時間稼ぎだけに我が身を尽くそう。



814:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:36 JBcVSI1wO
  

そう思い、彼女と魔獣が戦っているはずの方角をちらと見る。
…そこにシュールな(ry

(; ^ω^)「ちょ、何やってんだおー!」

だがよそ見したのが間違いだった。

(*゚∀゚)「そこだっ!」
(; ^ω^)「あべしっ!」

つーの左拳がブーンの腹部に直撃。

(; ^ω^)「油断したお…」
(*゚∀゚)「まだまだいくよー!」

続いて回し蹴り。

(; ^ω^)「がはっ…」

ブーンの横っ腹を捉え、その身体が吹っ飛ぶ。
その吹っ飛んだブーンへ一瞬で接近し、大鎌・ロストを振り回すが――

(; ^ω^)「ッ! 危ないお!」

間一髪で回避。
拳や蹴り等の打撃ならまだしも、あの巨大な刃で身体を貫かれれば間違いなく即死だ。
あれだけは絶対に喰らってはならない。



815:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:45 JBcVSI1wO
  

(*゚∀゚)「上手いこと避けるなぁ。そんなアンタにゃ…」

つーは左手を掲げ、握る。
既に見慣れた光景、しかしその危険性をブーンは読みとる。

( ^ω^)「(あの動作の後に刃が出てきて……まずいお!)」

先程魔光刃を破壊してくれたのーだが、今度はそうはいきそうにない。
一時撤退を考えるが、今生成されようとしているあの恐怖の刃はいくら逃げても無駄だ。
何か、つーの気を引く手段があれば――

( ^ω^)「(……そうだお!)」

ブーンは突然血相を変えたように振る舞い、

( ^ω^)「あっ、あっちの方から生々しい血の臭いがするお!」
(*゚∀゚)「えっ、マジ? どこどこ?」

彼女は攻撃を中止し、背後や下方を見渡す。

(*゚∀゚)「ねぇ、どこに…!」

彼女が再び元の方を向いた時、ブーンは既にいなかった。
そこでようやく自分が騙されたことを悟る。

(*゚∀゚)「…私としたことが逃げられちまったよ」

手で髪を整え

(*゚∀゚)「まあいっか、次はあっちいってみよう!」

再び行動を開始した。



816:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 21:52 JBcVSI1wO
  

( ^ω^)「おっおっ、作戦成功だお」

ブーンは空を翔つつ地上に降りてくる。
その際、地にはこちらに弓を構えたクーと、それを慌てて止めるジョルジュ達が見えた。

川 ゚ -゚)「いや本当に済まない、敵に見えたからつい…」

ブーンが地に降り立つなり、クーがさも申し訳なさそうに謝ってきた。

(; ^ω^)「いや、射程範囲内に降りてきた魔獣を射るよう言われてるんだから、それくらいの警戒心は普通だお。
      (…とはいえ、地上から降りてきた僕は誤爆の危険にさらされていた訳かお)」

他の者達もブーンの身を案じて近寄るが、特に大きなダメージはないとわかり安堵。



817:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 22:34 JBcVSI1wO
  

( ゚∀゚)「戻ってきたってことはやっぱり苦戦を強いられているようだな」
(; ^ω^)「苦戦ってレベルじゃないお。つーの奴強杉だお」
(;゚∀゚)「そっちかよwwwwww」

何せ、彼女にはブーンの攻撃が全く通用しないのだ。

( ^Д^)「しかしお前も無謀なことしやがるよな。
     ただの人間があいつと殺り合うのは自殺行為以外の何でもねえよ」
( ^ω^)「やっぱりそんなもんかお」

だが、人間でないというだけでああまでなってしまうものなのか。

ξ゚听)ξ「…思ったんだけど、何でタカラやつーには人間の武器や身体の一部による攻撃が通用しないの?」
( ^Д^)「そいつは簡単な話。
     俺達は元々『魂だけの存在』だからだ」



818:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 22:53 JBcVSI1wO
  

魂だけの存在。
それはつまり肉体を持たぬということ。
肉体のないものに物理的攻撃が通らないのは肯けるが―――

( ^ω^)「それじゃタカラの入ってる宝箱は一体何なんだお?
      普通に触れることが出来るし、堅いお」

ブーンは宝箱の蓋を叩きながら言う。

( ^Д^)「俺の魂が魔界に存在するようになってすぐ、強い魔力に包まれた異様に堅い宝箱に憑いているだけのこと。
     宝箱に触れれたって宝箱の中身、つまり俺の魂にはお前等じゃ触れない」

どうやら、宝箱は本体とは別の存在でありそこから出ている上半身がタカラの魂らしい。

( ^ω^)「じゃあつーの場合は?」

タカラは頭を捻った後、口を開く。

( ^Д^)「実を言うと、俺もあいつのことはよくわかんねえ。
     魔界の他の連中と何かが違うってのは明らかだけどな。
     少なくとも、恐ろしい程の魔力を持った魂と俺は見てる」



819:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 23:02 JBcVSI1wO
  

( ゚∀゚)「じゃあ、幽霊は人間には絶対に倒せない訳か?」
( ^Д^)「そうでもない。大した力を持たない幽霊ならモララーが持ってるようなプラズマなんちゃらとかいうので潰せる。
     だが、俺とかつーみたいな強い魔力持った幽体には今言った幽霊に効くような攻撃にも耐性があって、結局魔力を用いた攻撃でないと当たりすらしねえ」
(; ^ω^)「毒男、把握したかお?」
('A`)「心配すんな、俺もよくわかんねえ」

いまいちよくわからないまま、この問答は終結した。



820:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 23:18 JBcVSI1wO
  

結論として、魔力を持つ者には魔力で対抗するのが最良の手段のようだ。

( ^Д^)「…今思ったんだが、のーに任せりゃいいんじゃね?
     あいつが持ってるでけぇハンマー、アレでドカーンと」
( ^ω^)「それが斯く斯くしかじかで…」

ブーンはのーがつーと対峙することを拒み、さらにはフッサールと何故か膠着状態に陥っていることを皆に説いた。
その瞬間

(#'A`)(#゚∀゚)ξ#゚听)ξ川#゚ -゚)(#^Д^)「何やってんだ馬鹿!」
(; ^ω^)「ちょ、僕に言われても困るお…」

やはり避け続けるだけでは駄目だ。
普通の人間である自分がつーと互角に戦うには魔力を持った武器が必要。ならば――



821:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 23:21 JBcVSI1wO
  

( ^ω^)「そこでクーに頼みがあるお。
      君のキルサタンを貸して欲しいんだお」
川 ゚ -゚)「…退魔の宝器を、か?」
( ^ω^)「上手く使いこなせるかどうかはわからないお。けど、今ならきっと僕に力を貸してくれると思うんだお」
川 ゚ -゚)「成る程…」

村の為に扱うのならば、使い手が誰であろうが力を与えるはず、と彼女は判断した。
魔力とは多少違うが、その強大な破邪の力は死神であるつーに対しても有効であることは間違いない。



822:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 23:24 JBcVSI1wO
  

川 ゚ -゚)「…よし、ではこれを君に渡そう」

クーは銀色の宝器をブーンへと差し出す。
『魔王殺し』の聖なる武器が、救世主に託された。

( ^ω^)「恩に着るお」
川 ゚ -゚)「使い方だが、自分がその時必要とする武器をイメージすればその形状へと姿を変える。
     化学兵器や銃のように弾を使うようなものは駄目だが、弓だけはOKだ」
( ^ω^)「把握したお」

そう言ってブーンは再び飛び立とうとする。
――が、それを止める者があった。



823:◆wAHFcbB0FI:04/12(木) 23:40 JBcVSI1wO
  

( ゚∀゚)「まあ、そう早まるなって」
( ^ω^)「ジョルジュ…? けど」
( ゚∀゚)「そろそろ俺達の同志がすっげぇモン引っ連れてくるからよ、お前は少し休め。
     つーは倒せないだろうが、魔獣ならそいつが倒しちまうかもな!」
( ^ω^)「何だおそりゃ…」

ジョルジュが言う『すっげぇモン』の正体がわからないゆえに不安である。
…そう思った時だ。

( ^Д^)「おい、ありゃ何だ?」
川 ゚ -゚)「む…ドラゴン…? しかも機械?
     メカドラゴンってやつか?」

夜空を何かが飛来。
皆はその姿を確認する。

( ゚∀゚)「そらきた…奴の最終兵器がな!」
ξ゚听)ξ「これは予想GUYね」
('A`)「恐れ入った」
( ^ω^)「あれは…モララーの機械竜だお!」

夜空の戦場に、巨大な機械竜が姿を現した。



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