( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

828:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:19 C642pMl6O
  

5-chapter3(4)


未だ戦場である上空。
そこに突如竜型戦闘機が出現したのだ。
その動きは戦闘機のものとは到底思えず、蛇のように全身をうねらせながら空を漂っている。

(*゚∀゚)(*゚A゚)ミ,,゚Д゚彡「…何かデカいのキター!」

戦闘中であった三人が声を揃えて叫ぶ。

( ・∀・)「(ハハハ…まあ、そりゃビビるわな)」

コックピット内のモララーはこの様子にまずは満足。



829:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:24 C642pMl6O
  

そして

( ・∀・)「目標、魔獣ギコ・フッサール。基本攻撃システム作動」

レバーを引く。
同時に機械竜の頭部からビーム砲が現れたかと思うと、照準をフッサールへ合わせ、発射。

ミ,,゚Д゚彡「ッ!?」

もはや高速といえるビーム攻撃を、しかし同じく高速である回避運動で凌ぐ。

( ・∀・)「(今のを避けるってことは…つーのように攻撃が通らない訳ではないな)」

どうやらフッサールは魔力を備えてはいるものの、つーのように魔力のない攻撃を無力化する力はないらしい。

( ・∀・)「(ならば攻撃あるのみ!)」

続け様にビーム砲を発射。
だが全てかわされる。

ミ,,゚Д゚彡「ちっ…あいつ俺だけを狙ってきやがる!」



830:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:33 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(速いな…流石は大魔獣といったところか)
     …ならこれはどうだ!」

操縦席のスイッチを押す。
腹部から複数の小型ミサイルが顔を出し、一斉に発射。

ミ,,゚Д゚彡「何だありゃ…?」

自分にとって得体の知れない物体を前に首を傾げるが、しかしそれが自分に迫っているとわかり急旋回。
だがミサイルは異様な程に大きく軌道を変え、フッサールを追い回す。

ミ;,,゚Д゚彡「何だよあれ…! こっち追いかけてきやがる!」
( ・∀・)「(自動追尾ミサイルだ。お前でも簡単には避けれまい。
     …さあ、どうする?)」

モララーは口先だけで小さく笑い、しかし油断せずモニター越しで様子を伺う。



831:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:36 C642pMl6O
  

と、その時だ。

( ・∀・)「!?」

ミサイルが標的に命中することなく、突然空中爆発を起こしたのだ。

ミ,,゚Д゚彡「…?」

フッサールが破壊した様子ではない。
となれば――

( ・∀・)「…奴か」



(*゚∀゚)「危ないとこだったんじゃない?
     そんなんで死ぬなよー?」

ミサイルを破壊した張本人が姿を現す。
その右手にはミサイルを切断したと思われる大鎌。

ミ,,゚Д゚彡「…お前何してんだよ? 俺は敵だぞ?」
(*゚∀゚)「そう、敵。
     だから私がアンタを仕留めるの。それを妨げる奴もね」
ミ,,゚Д゚彡「…面白い奴だ」

一方のーは機械竜が自分を標的にしていないと判断。
安心したのか、ブーンと同じく地上へと避難していた。

機械竜とつー、そしてフッサールの三つ巴の戦いだ。



832:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:40 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(つーの介入は想定の範囲内だよ。
     …問題は彼女をどう振り切るかだな)」

流石のSKも、つーに有効であるような攻撃手段は持ち合わせていない。
だが、ここでの標的は、フッサールただ一体。

( ・∀・)「(次は…直接攻撃といくか)」

ペダルを踏む。
同時に機械竜は身をうねらせながら突進。

ミ,,゚Д゚彡「こっちに来た!?」
( ・∀・)「(こいつの武器はビームやミサイルだけじゃないぞ)」

SKはドラゴンを模して製作されたゆえ、爪や牙までもが取り付けられている。
だがそれらは飾りではなく、戦闘機同士でのドックファイト(今の相手は生物だが)に備えて相手に致命的な一撃を叩き込むよう鋭利に造られた凶器だ。



833:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:42 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(にしてもこれは操縦するの難しいね…)」

機体の操縦・移動を足下のペダルとハンドルで、爪を備えた両前足の操作をレバーで、基本武器であるビーム砲とその他武器の使用は各種スイッチで行わなくてはならない。
相手の出方に応じてその都度手のポジションを変える必要があるゆえ
機械操作に慣れているモララーでもこの操縦は厳しいものになりそうだ。

( ・∀・)「(まさか使うことになるとは思ってなかったしな……だが、ここは腕の見せ所!)」

接近と同時に爪を振り上げ、高速で振り下ろす。

ミ,,゚Д゚彡「ッ!」

対し、フッサールは受け身の体勢をとり爪を両腕で阻む。
ギリギリと金属が摩擦するような音が鳴り響いた。



835:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 18:50 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(鉄製の鋭利な爪を腕で防ぐとは…速いだけでなく堅いな)」
ミ,,゚Д゚彡「この…化け物が…!」

片方は小柄な、しかし内に強大なる力を秘めた生物
もう片方は命を持たぬ戦闘兵器
そして前者に加勢するかのように攻撃を加える『魂だけの存在』

(*゚∀゚)「なーに手こずってるのさ?
     こういうのは早いとこカットしちゃうのが一番だよ!」


右手に持つ大鎌を機械竜の右腕へ振り下ろす。
が、それは硬質な音を立てるも傷を付けるだけに留まる。

(*゚∀゚)「へぇ…驚いたよ。
     人間の産物の中にもロストが貫けないものがあるなんてね」
( ・∀・)「(特殊合金で造り上げたボディだ。簡単には壊せまい!)」

内心ガッツポーズを取りたい気分だが、相手の数はこちらより多く
しかも想定不可能な攻撃手段を何かしら持っているはず。
油断は出来ない。



836:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 19:44 C642pMl6O
  

ミ,,゚Д゚彡「だが…これで殴ったりするのは無駄とわかった。
      …いくぞ!」
(*゚∀゚)「わお、It's showtime!」

フッサールは両腕に体内の魔力を溜め始め、次第に両腕が白い光に包まれていく。

( ・∀・)「(白ってことは…雷か)」

いくら特殊合金で固めているとはいえ、雷をまともに受ければショートの危険がある。

( ・∀・)「(今度はこっちが避ける番か!)」

ペダルを踏み、SKを急上昇させる。
直後、元いた位置を雷が通過。

ミ,,゚Д゚彡「逃げきれるものか!」

さらに火炎竜、氷柱、真空刃が混ざり、連撃は続く。
だが

( ・∀・)「はいはい怖いのは雷だけ、炎氷風全て門前払いね」

SKの特殊合金の前に、雷以外の攻撃は全て無力化され――

( ・∀・)「そして雷は回避!」

絶妙な操縦で雷を避けていく。

ミ;,,゚Д゚彡「あいつ強いぞ…!」

悔しがるフッサール。
そこへ、つーがさり気なく囁いた。

(*゚∀゚)「ねえフサ、思ったんだけど蛇は使わないの?」



837:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 19:46 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(戦闘能力が高いだけでなく案外賢い…普通に攻めていては勝てないな。
     ならばこうしてみるか)」

再び自動追尾ミサイルの発射スイッチを押し、数発のミサイルを打ち込む。

ミ,,゚Д゚彡「またか!」
(*゚∀゚)「よっしゃ、ぶっ壊す!」

フッサールが回避運動に移る前に、つーがミサイル破壊に動く。
それを見て安心し動きを止めるフッサール。

( ・∀・)「(作戦通り)」
ミ,,゚Д゚彡「…!?」

次の瞬間、フッサール目掛けて黒い巨大な弾丸が迫っていた。
機械竜の頭部は真っ二つに割れ、中からは主砲が顔を出している。

そして、爆発。



838:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 19:49 C642pMl6O
  

( ・∀・)「(これでどうよ?)」

煙が立ち上る。
――が

( ・∀・)「…!?」

ガクン、と機体が揺らぐ。

( ・∀・)「…右ウィングに雷?」

幸い、機能は停止していない。
しかしモララーは全てを理解した。
煙の中に影が蠢くのを。
そいつが雷を放ったのだと。

ミ;,,゚Д゚彡「……」

煙が晴れるとそこには、皮膚の一部を焦がしながらも依然としてフッサールが存在していた。

( ・∀・)「(どうやって凌いだ? ……あれは!?)」

フッサールの周囲には、翼を生やし空を漂う三匹の黒い大蛇。
だがそれらは実体を持っておらず、黒い光が蛇を象るという形で存在している。

ミ,,゚Д゚彡「やはりこいつを使うのは少しキツいな…」

それは先程まで使われずにいた、邪黒刀―――バシリスクの能力だ。



839:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 19:53 C642pMl6O
  

( ・∀・)「成る程、耐久力に優れたあの蛇を防御に使い、軌道をずらしたという訳か。
     しかしオリジナルは飛行可能なんだな……空飛ぶサーチスネークとは厄介な話だよ全く」

奇妙な愚痴をこぼしつつ、しかしモララーは納得。
先程までフッサールはあのような知的な防御手段はとっていなかった。
やはりつーが何か吹き込んだのだろう。

( ・∀・)「(けど…これはガチで厄介だぞ…!)」

フッサールがあのような防御手段を修得してしまい、さらにつーの妨害もあるとなると、もはや生半可な攻撃は通用しないに等しい。

( ・∀・)「(ミサイルも残り少ないしな…)」

ここからは慎重にいこう、と決める。



840:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 20:05 C642pMl6O
  

( ・∀・)「……」

モララーは機械竜を宙に停滞させ、待ちの状態に入る。
相手の出方を伺い、それに応じたカウンターを放つ戦法をとるつもりだ。

ミ,,゚Д゚彡「おい、つー!」
(*゚∀゚)「何かな?」
ミ,,゚Д゚彡「先に奴を倒してからお前を倒す、今はデカいアレをやるぞ」
(*゚∀゚)「何を今更」
ミ,,゚Д゚彡「つまり…奴をどう攻めるか、お前が決めろ」
(*゚∀゚)「アヒャ-! なんか軍師さんみたい!」
ミ,,゚Д゚彡「グンシ…?」
(*゚∀゚)「そう、魔界軍師って呼ばれてる、お偉い方が私達の世界にはいるのさ!」
ミ,,゚Д゚彡「よくわからないが…どうする?」
(*゚∀゚)「んー…」

考える素振りを見せること五秒。
彼女の結論は――

(*゚∀゚)b「 突 撃 」
ミ,,゚Д゚彡「…突っ込むの?」
(*゚∀゚)b「アヒャヒャ♪」
ミ;,,゚Д゚彡「…まあ、お前がそういうなら」
(*゚∀゚)「それについてだけどね…」
ミ,,゚Д゚彡「…?」

つーはフッサールに何やら耳打ちした。



841:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 20:07 C642pMl6O
  

それが終わると同時に、つーとフッサールは機械竜へ正面から飛び込んでいく。

( ・∀・)「(…来たな!)」

レバーを引きビーム砲を、赤いスイッチを押し主砲を起動。
さらには他のレバーを操作し両前足の爪も攻撃態勢に。
無論、それらの武器の狙いは全てフッサールだ。

( ・∀・)「(荒技になるが…ここで一気に終わらせる!)」

SK-7319に搭載された複数の武器の同時使用。
並の反射神経では実行不可能なパワープレイだ。
だが

(*゚∀゚)「はい残念賞ー」
( ・∀・)「何だと!?」

前方にいるのはつーただ一人。
フッサールがいたはずの空間を、多数の攻撃が空しく通過していく。



842:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 20:13 C642pMl6O
  

( ・∀・)「どこだ奴は!」
「引っかかったな!」
( ・∀・)「!」

モニターをはさんで見る。

ミ,,゚Д゚彡「俺はここだ、喰らいやがれ!」

機械竜の丁度上―――
腕に魔力を溜めたまま機械竜に殴りかかろうとするフッサールの姿があった。

( ・∀・)「上から…か! ならこいつの出番だ!」

モララーは黄色いスイッチを思いっきり押し、同時に機械竜の背中部分が開く。
全身に電気を纏い、下半身が機械竜と同化している大型の人型ロボットが姿を現した。

ミ,,゚Д゚彡「何だ…?」
( ・∀・)「まだ甘いな魔獣よ!」

いつの間にか出現したゲームのコントローラーのようなものでモララーはそれの両腕を操作し――

( ・∀・)「100万ボルトチョップだ!」

電気を纏った巨大な右腕が、フッサールを殴り飛ばした。



843:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 20:20 C642pMl6O
  

ミ;,,゚Д゚彡「!?」

鉄による重い打撃と、強力な電撃がフッサールを痛めつける。

( ・∀・)「見たか!
     万が一の為にとして搭載しておいた防衛ロボット『GENE163-1425』通称『ジェネッタ君』!
     …本家のものとは用途が大分異なるけどね」

そこまで言うと彼は目の色を変え

( ・∀・)「今度はこっちからいくからな!」

コントローラーの黒いボタンを押し、ロボットは両腕に電気を溜め始める。
だがフッサールは動こうとしない。

ミ;,,゚Д゚彡「くっそ…」

下手に近づけば再びやられる。
その恐怖感が彼を縛りつけ、動かそうとしなかった。

( ・∀・)「(これは…いける!)」

つーの姿が見当たらないが、今は気にしないでおこう。
むしろチャンスと思わなくては。

( ・∀・)「攻撃準備完了…」

ロボットは標的を凝視。
そして――

( ・∀・)「行け…ディスチャージクラッシュ!!」

強烈な人工雷が、回避不能といえる程広範囲に広がり、そしてフッサールに牙を剥いた。



844:◆wAHFcbB0FI:04/16(月) 20:30 C642pMl6O
  

( ・∀・)「これを撃つとジェネッタ君は暫く操縦不能になる…その辺は本家と同じだね」

退避用スイッチを押し、ロボットを引っ込める。

( ・∀・)「それより…僕だけで倒しちゃったのかな…?」

それは安直な考えだった。
何故なら――

ミ;,,゚Д゚彡「………」
( ・∀・)「!」

魔獣は未だ存在していたからだ。
息が切れているが、その身にダメージはあまり見られない。

( ・∀・)「雷が効いてない…こいつ!」

必殺ともいえる攻撃が防がれた。
動揺は隠せないが、しかしそれは相手に悟られることはない。

( ・∀・)「だが相手もかなり弱っているはず…次こそ決める!」

再びSKの操作に移ろうとした、その時。

「みーつけた♪」
(; ・∀・)「…マジですか?」

女性の声が、自分のすぐ後ろから聞こえてきた。



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