( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 873: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:21 rycUU2YxO
5-chapter4(1)
現在、夜空に在するはギコ・フッサールのみ。
戦車が破壊された為に砲撃は止んだが、同時に敵の姿も消えて訳がわからずにいた。
ミ,,゚Д゚彡「…誰もいなくなっちまったぞ」
不満そうに呟き、今北村を見下ろす。
そして、牙を剥いた。
ミ,,゚Д゚彡「…先ずはこの辺り吹っ飛ばすか」
両腕を合わせ、魔力を溜め始める。
- 874: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:32 rycUU2YxO
その時だ。
「ちょっと待てや!」
ミ,,゚Д゚彡「…!?」
どこからか、聞き覚えのある声。
「死神やけど武器は鉄槌――
大地を壊す悪党共には、正義の鉄槌下すんや!」
妙な台詞と共に声の主がフッサールの前に現れる。
(*゚A゚)「自然破壊は許さんがな!
森の番人にして影のアイドル…のーちゃん再び参上や!」
ミ;,,゚Д゚彡「…何がしたいのかよくわからん」
どう見てもここは空です。本当に(ry
- 875: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:34 rycUU2YxO
(*゚A゚)「(あ…しもた、ここ森やない!)」
ようやく気付いたのーだが、それは口に出さない。
彼女は瞬時に現れた鉄槌・クラッシュを構えたまま叫ぶ。
(*゚A゚)「…そんなことはどうでもええ、猫さんの相手はもういっぺん自分や!
今度は一気に終わらせたる!」
ミ,,゚Д゚彡「…俺も先程までとは違う、覚悟しとけ。
それからな…」
(*゚A゚)「何や?」
ミ,,゚Д゚彡「俺は猫じゃない」
言うなり、フッサールはのーへ接近。
二度目の戦闘が始まった。
- 876: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:45 rycUU2YxO
一方、地上には内側から破壊された小型戦車が二台あり
その傍らで二人の男と二匹の不思議生物が唖然としていた。
(*゚ー゚)「……」
そして彼等の目の先には神秘的な杖を持った女性。
予期せぬ人物の突然の出現に、戸惑いを隠せないギコ達。
さらに少し離れた位置ではつーが退屈そうにこの様子を眺めている。
(,,゚Д゚)「お前はいつかの…何か知らないけど凄い女!」
ようやくギコが我に返り、叫ぶ。
対し、しぃは
(*゚ー゚)「そういえば貴方達とは会ったことあったね。
…でも今回は貴方達の命の恩人なんだから少しは感謝してほしいな」
(,,゚Д゚)( ><)「はあ…有り難うございます」
- 877: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:54 rycUU2YxO
( ><)「で、そんな貴女が何でここに?」
彼女は杖を器用に回転させ
(*゚ー゚)「先祖の使命を果たす為…って言えばいいのかな? それ以上聞かないでよ。
てか貴方達はもうどっか避難してて頂戴」
(;,,゚Д゚)「…お、おう」
( ><)「退散です!」
((゚∀゚∩∩゚∀゚))「りょうかいだよ!」
ギコ達はすぐさま近くの森へと身を隠した。
それを確認したしぃはつーの方を向く。
(*゚∀゚)「おいおーい…今度は何ですかぁ?」
(*゚ー゚)「『万一、魔獣が復活した際には何としても再び封印せよ』
…と我が先祖の墓所に記されていました。それを果たしにきただけです。
貴女からは恐ろしく禍々しい力を感じる…魔獣を復活させたのは貴女?」
つーは首を横に振る。
(*゚∀゚)「違うよ。私はそいつを叩きのめしたいだけさ」
(*゚ー゚)「…言い方悪いけど私と目的は同じね。
どう? 私に協力してくれない?」
- 878: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 18:59 rycUU2YxO
つーは「んー」と唸り、考える素振りを見せる。
次に返ってきた言葉は
(*゚∀゚)「無理な話だよ。だって――」
(*゚ー゚)「!」
つーの左手には三本の黒い刃が握られ――
(*゚∀゚)「あいつは私の獲物だからね!
一人勝ち以外はお断りなのさ!」
それらをしぃ目掛けて投げつける。
(*゚ー゚)「そんな下らない理由で……?」
対し、しぃは何かを呟いた。
同時に、彼女を護るかのように薄い光の壁が現れ――
(*゚ー゚)「はっきり言うけど…バッカじゃないの?」
(*゚∀゚)「おー?」
魔光刃は光の壁に触れると同時に消滅。
黒い刃が全て破壊されると、光の壁も消滅した。
- 879: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 19:24 rycUU2YxO
だが、つーは
(*゚∀゚)「アヒャヒャ…アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
口の端を吊り上げて笑い出し――
(*゚∀゚)「いいねぇ、人間のくせにそんなことするなんてなかなか戦いがいがある! ワクワクしてきたよ!」
そしてしぃを指差し
(*゚∀゚)「決めた!
フサもアンタも私がぶっ倒す!」
(*゚ー゚)「へぇ…でも私を殺すのはやめてほしいわ。だって――」
しぃの目の色が変わる。
(*゚ー゚)「その前に貴女が死んじゃうから」
今度はこっちの番、と言わんばかりに杖を振りかざす。
杖先から、かつてブーン達と対峙した時よりも破壊力・速度を増した雷がほとばしり、つーへ迫る。
- 880: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 19:28 rycUU2YxO
だが
(*゚∀゚)「おっと!」
命中する直前に標的であるつーの姿が消えた。
(*゚ー゚)「…?」
「人間にしちゃ合格、と言いたい所だけど――」
消えた相手の声がどこからか聞こえ、戸惑うしぃ。
それが背後からのものと気付いた時には既に遅く――
(*゚∀゚)「ほらよっ…と!」
(;*゚ー゚)「…ッ!?」
つーの鋭い回し蹴りが、しぃを容赦なく突き飛ばした。
- 881: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 19:56 rycUU2YxO
つーはしぃを見下ろしながら
(*゚∀゚)「アンタ、戦いってもの自体にまず慣れてないね。
使命がどうとか言う前にもっと修行したまえよ!」
(*゚ー゚)「まだよ…倒れるのは貴女…!」
言いながら、しぃは立ち上がる。
(*゚∀゚)「へぇ…じゃあ教えてやらないといかんね。戦いの厳しさってものを!」
地を駆け、しぃへ拳を叩き込もうと――
(*゚∀゚)「…?」
突如、上から光を帯びた矢のようなものがバラバラと降ってきた。
それらは地に落ちると同時に光を失い、消滅。
(*゚ー゚)「なっ…?」(゚∀゚*)
突然の事態に両者共後退し、呆然としてこの様子を眺めている。
続いて降ってきたのは銀色の弓。
さらに
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
悲鳴。
直後、弓が地に落ちる前に何者かが急降下し―――
(; ゚ω゚)「ヘールプミィィィィィ!!」
(*゚∀゚)「あっ、間抜けな人間!」
(*゚ー゚)「! あの時の盗賊!」
嘲笑・侮辱的発言が飛ぶ中、ブーンは弓をキャッチ。
そして墜落に近い形で着地した。
- 883: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:12 rycUU2YxO
彼は着地(?)の衝撃でそのまま地に転がる。
その手には銀色の弓。
(; ^ω^)「あいたたた…何とか弓は無事だお」
やがて起きあがるが、二人の女に白い目で見られていることに気付く。
(*゚∀゚)「…何やってんだ?」
(;*゚ー゚)「……」
(; ^ω^)「えっと、それは――」
- 884: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:15 rycUU2YxO
(数分前)
( ^ω^)「全く、もっと主役らしいことは出来ないもんかお…」
そんなことをぼやきつつ、ブーンは地上を見回しながら低空飛行を続けていた。
その時だ。
( ^ω^)「お?」
地上で雷が荒れ狂い、黒い影がそれを回避しているのが見えた。
そのすぐ近くには、スクラップと化した小型戦車。
( ^ω^)「もしやあそこに奴が…よし!」
ブーンは弓形態のキルサタンを構え
( ^ω^)「これで空から不意打ちしてやるお!」
例え瞬間移動をする相手であっても、気付かれぬ内に先手を取れば一撃で大人しくさせることが出来るかもしれない。
( ^ω^)「僕は天才かもしれんねwwwww」
- 885: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:18 rycUU2YxO
…だが。
(; ^ω^)「…これどうやって撃つんだお?」
弓など使ったことがないブーンには無論使用方法もわからない。
まして、敵に向けて放つはずの矢が見当たらない。
( ^ω^)「そういえばクーが使ってた時は…」
弓を引き絞ると同時に光の矢が現れ、それを相手へと放っていたことを思い出す。
( ^ω^)「試しにやってみるお!」
弓を引いてみる。
それで確かに光の矢は生成されたのだが――
(; ^ω^)「しまった、矢を落としたお!」
使い方がわかっても、弓術の素人であることは変わりない。
続けざまに矢を落とし、さらには――
(; ^ω^)「アッー!」
なんと弓本体を手放してしまった。
(; ^ω^)「早く拾わないとまずいお!」
ブーンは落下する弓を回収をするべく急降下していった。
- 886: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:21 rycUU2YxO
( ^ω^)「――で、急降下してるうちに速度が制御出来なくなって墜落、今に至る訳だお」
(*゚∀゚)「…結局の所、私に不意打ち仕掛けようとしたのが悪い訳ね」
強敵を簡単に倒すチャンスを逃した。
ショックは大きい。
(; ^ω^)「最悪だお…っていうか」
ブーンは血相を変え
(; ^ω^)「しぃ! 何でお前がいるんだお!」
(*゚ー゚)「何を今更…大体、それはこっちの台詞よ」
両者睨み合う。
(*゚∀゚)「(知り合い?)」
- 887: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:27 rycUU2YxO
(*゚ー゚)「以前貴方達が持っていた霊刀には魔獣の魔力と強い霊力が封じられていたはず。
その内の一人である貴方がここにいて、今魔獣が存在しているとなると…貴方が魔獣を復活させたのね!」
鋭い視線をブーンにぶつけるしぃ。
( ^ω^)「僕は悪くないお、全てあの悪霊のせい…」
言いかけて、ブーンは口を閉じる。
確かに魔獣を復活させたのは今回の異変を起こした張本人であるモララエルだ。
だがブーンの心の中に、ある別の考えも浮かび上がる。
( ^ω^)「(…僕達が霊刀に注意を払っていればこんなことにはならなかったかもしれないお)」
霊刀を復活の場に揃えてしまったのは紛れもなく自分達。
どれか一本でもなければ今頃戦いは終息し、何事もなく済んでいたに違いない。
( ω )「(僕達はとんでもないことを引き起こしてしまったのかもしれないお…)」
- 888: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:42 rycUU2YxO
( ω )「申し訳ないお…よくよく考えたら僕達にも非がある気がするお」
(*゚ー゚)「……!」
(*゚∀゚)「(おっ)」
膝を正し、しぃに頭を下げるブーン。
何の因果で彼女がここにいるのかはわからない。
だが、村だけでなく世界にまで広がりかねない災厄を自分達が作り出したのであれば、それは彼女にも
さらにはこの世界の生物全てに関わってくる問題だ。
(*゚ー゚)「…謝って済むなら警察はいらないよ」
冷たく言い放つしぃ。
( ω )「……」
(*゚ー゚)「自分のしたことがどれほどの――」
( ω )「なら死んででも詫びるお!」
(*゚ー゚)「(そんなことしたってどうにもならないのに…)」
呆れたように溜息をつく。
- 889: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:46 rycUU2YxO
(*゚ー゚)「…なら、行動で示して頂戴」
( ω )「それはやっぱり死を以て償えということかお?」
(*゚ー゚)「…馬鹿」
彼女はうなだれているブーンを見据えながら
(*゚ー゚)「反省したのなら私に協力すること。
早い話が魔獣倒すのを手伝って下さいな」
( ^ω^)「…ほうほう?」
ブーンは少し安心した表情を見せる。
すぐさましぃに睨まれ、慌てて気を引き締める。
- 890: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:52 rycUU2YxO
(*゚ー゚)「本当は貴方のことは嫌いだけど、目的が同じならここは力を合わせるべきだと思うの」
( ^ω^)「確かにそうだおね…」
(*゚ー゚)「…で、どうなの?」
彼女はブーンに問いかける。
だが、答えは既に決まっているようだ。
( ^ω^)「勿論やってやるお、こうなったからには誰と手を組んででも世界を護ってやるお!」
(*゚ー゚)「いいでしょう…貴方と手を組むのはこれが最初で最後だからね!」
もはやかつての対立など二人の中からは消え去り、
今同じ目的を果たすために動き出そうとしている――
- 891: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:56 rycUU2YxO
そして二人が次に目を向けた先は――
(# ^ω^)「つー! いい加減に邪魔するのはやめてほしいお! だから先ずは君から相手をするお!」
待ちわびた様子であるつーへと宣戦布告。
対し、つーは小さく欠伸をし
(*゚∀゚)「やっと始まる訳かい…全く、待ってる方の身にもなっておくれよ」
(*゚ー゚)「気になってたんだけど…何故貴女は攻撃せずに待っていたの?」
しぃの問いかけに、つーは口元をニヤリと歪ませ
(*゚∀゚)「だっていきなり殺っちまったら面白くないじゃん?
それともアレか、アンタらは死に急ぎたいのかなぁ?」
(*゚ー゚)「(何なのこの女は…)」
- 892: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 20:59 rycUU2YxO
命を賭けた戦いを享楽とするような発言や行動……
おかしい。おかしすぎる。
こいつは狂っている。
世界の危機だというのに、何故こんなにも笑っていられるのだろうか。
(*゚∀゚)「いつまでもこうしてると私の出る幕がなくなるんだよね。
まあ私ですら互角な訳だからあいつ一人じゃ無茶だろうけど」
(*゚ー゚)「…他にも誰かいるの?」
疑問符を浮かべるしぃにブーンが説明する。
( ^ω^)「『この世界のために』今魔獣と戦ってる良い子もいるんだお。
僕は時間稼ぎのためにここにいる訳だけど…その子一人じゃ厳しいと思うお」
(*゚ー゚)「…聞いた感じでは人間じゃなさそうね」
( ^ω^)「要は幽霊みたいなもんだお」
ブーンはこの状況でしぃを混乱させてはまずいと判断し、つーやのーが死神という存在であるらしいことは伏せておいた。
最も、魔法を扱うという常識外れな業を為す彼女ならば普通に存在を受け入れそうだが。
- 893: ◆wAHFcbB0FI :05/01(火) 21:05 rycUU2YxO
さておき、のーの力を見くびっている訳ではないが、彼女だけに任せるのはやはり少々不安だ。
ならば自分も助太刀すべきであり、そのためには――
( ^ω^)「君を黙らせることが先決になるお!」
(*゚∀゚)「へぇ…もう一度確認するけど、ごく普通の人間が私相手に何を出来るというのかなぁ?」
( ^ω^)「残念だけど――」
鋭い突起物を突き出させた篭手へと形状を変えたキルサタンを装着し
( ^ω^)「さっきまでの僕とは一味違うお!」
(*゚∀゚)「それは…あのときの女が持ってた面白い武器かな? おお怖い怖い」
軽くおどけてみせ、そして彼女の目付きが変わる。
それは獲物を狩る鷹のように鋭く、一睨みで戦意を奪われそうになるほど。
さらには威嚇するかのように、背に隠していた翼を広げ――
(*゚ー゚)「…え!?」
(*゚∀゚)「ならこっちも心置きなく戦えるというもの。
OK、二人まとめてかかってきな! アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
口の端を吊り上げて笑い、大鎌・ロストを構え直す。
( ^ω^)「いくお…しぃ!」
銀色の篭手を装着し、拳を握りしめるブーン
(*゚ー゚)「あっ…合点承知!」
神秘的なオーラを放つ不思議な杖を軽く振り回し、構えるしぃ。
つーとの三度目の戦いが幕を上げた。
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