( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

896: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 17:37 VsIKGVqsO
  

5-chapter4(2)


ブーンとしぃは、相手の出方を伺うべく武器を構えたまま動かない。
対し、つーは後先を考えることなどせず

(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャ!」

狂ったように笑いながら大鎌を振り回し、ブーンへ迫る。
速度は高速。
だが彼女の性格からある程度出方が予想出来ていた為、焦ることはなかった。

( ^ω^)「これは…避けれるお!」

ブーンの身体が一瞬で光に包まれ

( ^ω^)「おわっと!」
(*゚ー゚)「え…飛んだ!?」

強く地を蹴ると同時に、ブーンは空中を漂っていた。
そしてそのまま空中で半回転。

(# ^ω^)「おらー!」

重力を利用し、一気に落下。
聖なる銀色の篭手を装着した両腕でつーへと殴りかかる。



897: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 17:43 VsIKGVqsO
  

だが

(*゚∀゚)「遅いよっ!」
(; ^ω^)「あっ!」

つーはバックステップで回避。
直後、彼女がいた位置にブーンは拳を下に突き出したまま落下。
が、ブーンは腕を痛めることも折ることもなく、すぐに起き上がる。

(*゚ー゚)「…大丈夫?」
( ^ω^)「ちょっと手が痺れたけど…これくらいどうってことないお!」

ブーンが拳を落とした周辺は、軽くへこんでいる。
未知の金属で出来ているらしいキルサタンは思いの外頑丈であり
今の落下の衝撃程度ならうまく扱えば防御も可能のようだ。

( ^ω^)「しぃ、初めに言っておくと奴の力は計り知れないお。
      何をしてくるかわからないから注意するお!」
(*゚ー゚)「わかったわ!」



898: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 17:57 VsIKGVqsO
  

再び身構える。

( ^ω^)「(やっぱり厄介な相手だお…)」

現在つーの姿は見えず、どこから攻撃が来るか特定出来ない。
すぐに姿を現さないということは、恐らく瞬間移動ではなくブーン達の目に映らぬよう姿を隠し、どこかで付け入る隙を狙っているのだろう。

( ^ω^)「(モララーが持ってた、目に見えない存在をも映すとかいうレンズがあれば…)」

本来姿が見えぬはずの幽霊と同じ原理なのだとブーンは思案するが、つーの行動は予測不可能であり
さらに並外れた戦闘能力や、人間には到底扱えない武器―――何から何まで謎。
ありふれた考えは当てはまらない可能性があった。



899: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:04 VsIKGVqsO
  

しぃもまた、相手の位置を把握すべく辺りを見回している。

( ^ω^)「…しぃは姿を消している幽霊が見えたりとかしないかお?」

人間にして魔力を操る存在であるしぃならば、姿を消している幽体を探し当てることが出来る可能性があったが――

(*゚ー゚)「ごめん…私でもそれは流石に出来ないみたいなの」

やはり魔力を持っているだけでは位置を見破ることは出来ないらしい。

( ^ω^)「まずいお…」
(*゚ー゚)「慌てちゃ駄目…手ならあるわ。
     貴方はどこから攻撃が来ても対処出来るよう警戒しておいて」

そう言うとしぃは目を閉じ、心を鎮めて精神を集中し始める。

(; ^ω^)「おっ…?」

ブーンには彼女が何をしようとするのか全く分からないが、
少なくとも今彼女に話しかけては駄目ということは判断出来た。

静寂。
それだけが続くかと思われた時だ。

(*゚ー゚)「!」

突如、しぃが目を開く。
すぐさま背後を向いて杖を振りかざし

(*゚ー゚)「そこね!」

雷が轟音と共に、一点へ飛び込んでいく。



900: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:10 VsIKGVqsO
  

その先には

(;*゚∀゚)「うわぁ!?」

つーがいた。
そして聞こえてきたのは彼女の悲鳴。

( ^ω^)「お!」
(*゚ー゚)「…いくら瞬間移動出来たり姿を消したり出来ても、出現と同時に叩かれたら避けられないよね。
     精神力と反射神経があればそれなりに手の打ちようはあるわ」

しぃは身構えたまま静かに言い放つ。

(*゚∀゚)「ちぃ…バレたかぁ」

雷を受けてフラつきながらも、つーはなお立ち上がる。
だが、魔力によって発生する雷はそれなりに有効であるようだ。

(*゚∀゚)「…にしてもその雷、私にとって相性最悪みたい。
     魔力で作られた攻撃ってこともあるけど、何より神聖な力とかそういうのが苦手なんだよねぇ…
     ちょっとばかり油断してたよ!」
(; ^ω^)「…え?」



901: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:14 VsIKGVqsO
  

ブーン達の前で、己の弱点をベラベラと喋るつー。

(; ^ω^)「(何考えてるんだお…?)」
(*゚∀゚)「あ、今私のこと『こいつ馬鹿だ!』って思ったね? 分かってないなー」
(; ^ω^)(;*゚ー゚)「……」

訳が解らない。
一体何を理解しろと言うのか。
だが、そんなことをブーンやしぃが思っていようが彼女はお構いなし。
人差し指を突き立て、

(*゚∀゚)「ハンデだよ、ハ・ン・デ!
     その方が面白いっしょ?」
(; ^ω^)「なっ…嘗めてるのかお?」
(*゚∀゚)「ご冗談を!
     『戦い』という最高の娯楽をマジにやらないでどうするのさ?」

嘲笑うかのように返答。
そして今度はしぃの方を向き

(*゚∀゚)「さあ、その力をもっと見せてごらんよ!」
(*゚ー゚)「…言われなくたってやってやるわよ。後悔させてあげる!」



902: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:21 VsIKGVqsO
  

雷を放つ。
それはもはや人間には回避不可能な速度。

(*゚∀゚)「アーッヒャッヒャッヒャ!」

だが、つーはそれすらも容易にかわしてしまう。
彼女の特権ともいえる瞬間移動術だ。
対し、しぃは慌てることなく

(*゚ー゚)「奴は後ろに現れるはずよ! 警戒して!」
( ^ω^)「え…本当かお?」

振り向く。

(*゚∀゚)「!」

丁度つーが後方から魔光刃を投げつけようとするところだった。

( ^ω^)「お! 遂に攻略法発見かお?」
(*゚∀゚)「気付くの早っ! とりあえず喰らっときな!」

投げられた計五本の魔光刃がブーン目掛けて飛んでくる。

( ^ω^)「もうびびらないお!」

鋭い突起物を突き出させた、銀色の篭手を装着した両腕で魔光刃に次々と打撃を叩き込み、刃を破壊していく。



903: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:23 VsIKGVqsO
  

(*゚∀゚)「やるなぁ」
( ^ω^)「まだまだだお!」

そのままつーへと殴りかかる。
が、やはり瞬間移動術によりかわされる。

( ^ω^)「今度はどこだお!?」
(*゚ー゚)「また、貴方の後ろよ!」

しぃがブーンの背後目掛けて雷を放つ。
確かに、そこにつーはいたが――

(*゚∀゚)「危ないっ!」

これならば命中する、と思っても一瞬のうちに回避される。



905: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 18:45 VsIKGVqsO
  

(*゚∀゚)「アーヒャヒャヒャ!」

二人の攻撃が途切れると、つーは嘲笑うかのように、
しかし半ば警戒した様子でそばにある木の上に姿を現した。
先程の雷が予想以上に強烈だったらしく、少し慎重になっているようだ。

(; ^ω^)「くそっ、どうすればいいお…」

これまで解っていることは、つーには魔力或いは聖なる力を持った攻撃をしないと効果がない。
そして聖なる力を持っている、しぃの放つ雷やキルサタンを用いた攻撃は効果抜群のようだが
命中しなければ意味がない。
ならば、それらをつーにぶつけられるように何かしら工夫する必要があり、それには―――

(*゚ー゚)「単体で攻撃しても駄目…ならば」

しぃはブーンの耳元に口を寄せ

(*゚ー゚)「貴方は何とかして相手の動きを止めて。そこに私が攻撃する」
( ^ω^)「動きを止める…どうやって?」
(*゚ー゚)「それは貴方の好きなように任せるわ。それから―――」
( ^ω^)「…えっ、そうなのかお!」
(*゚ー゚)「今までの行動を見た限りではね…それを計算に入れて上手いことやって頂戴」
( ^ω^)「把握!」



907: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 19:05 VsIKGVqsO
  

二人は木の上にいるつーへ目を向ける。
それを見たつーは笑いを浮かべ

(*゚∀゚)「さあ続きといこうか!」
(*゚ー゚)「そうね…こっちも貴女とは長々と戦ってる余裕はないから」

雷を放つが

(*゚∀゚)「無駄だってのに」

当然のように避けられる。
が、それは計算の内。

(*゚ー゚)「そう…!」

そしてつーが姿を現した時、彼女の目に入ってきたのは攻撃態勢に入ったブーン。

(*゚∀゚)「!?」
( ^ω^)「計画通りだお!」



908: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 19:28 VsIKGVqsO
  

どういう訳か、つーは瞬間移動で攻撃を回避した後、決まって相手の背後に現れる。
その理由までは解らずとも、しぃは既にそのパターンを掴み、ブーンにも密かに忠告していた。
これにより、ブーンはつーの出現位置を多少は特定出来たという訳だ。


そして彼の腕に銀色の篭手は装着されておらず
代わりに銀色の、小型の分銅を長い鎖で繋いだような武器を手にしていた。

( ^ω^)「素早い相手の動きを封じるには…こうだお!」

ブーンはそれをつーの足目掛けて放つ。

(*゚∀゚)「…ッ!?」

突然の出方につーは対処出来ず、彼女の左足に鎖が絡みつく。
振りほどこうとするが――

( ^ω^)「ただの鎖なら君相手にこうは出来ないおね。
      でも、破邪の力を持つこの武器なら…当たり判定もアリな訳だお!」



909: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 19:38 VsIKGVqsO
  

ブーンは鎖をそのまま強く引く。
同時につーは足をとられ、すっ転ぶ。

(*゚∀゚)「…!ちょっとやばいかも…」

この状態では瞬間移動は出来ず、左足の自由を奪われていては起き上がることも出来ない。

( ^ω^)「しぃ、今だお!」
(*゚ー゚)「よくやってくれました!」

しぃは精神を集中させ、杖先に魔力を溜め始める。

(*゚ー゚)「禍々しき
存在よ…貴女を浄化します!」
(*゚∀゚)「くそっ…」

杖先に眩い雷の球が生成され、それは徐々に膨張していく。



910: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 20:27 VsIKGVqsO
  

その時だ。

(*゚∀゚)「…そうはいくかい!」

未だ起きあがれていないつーが右腕を掲げる。
手にしているものは、血のように赤い刃を持った大鎌。

(; ^ω^)「あれは!」
(*゚∀゚)「出番だよ…行ってきな!」

しぃ目掛けて投げつける。

( ^ω^)「しぃ、避けるお!」
(*゚ー゚)「…ッ!?」

ブーンの声に気付いたしぃが攻撃を中断し、バックステップで回避。
直後、彼女の目の前を巨大な赤い刃が通過。
つーは攻撃が中断されたことを確認すると

(*゚∀゚)「戻れ!」

大鎌はブーメランのように回転しつつ、独りでにつーの元へと戻る。

(*゚∀゚)「どうだい…私の戦友は。可愛い奴だろ?」
( ^ω^)「安心するのは早いお!」

つーの左足には未だ銀色の鎖が絡みついている。
だが

(*゚∀゚)「ん? それがどうした?」

高速で大鎌を振り下ろし、そこから生まれるのはやはり赤い刃。
それは彼女の足元へ飛んでいき、鎖の中間地点に突き刺さる――

(; ^ω^)「なっ…馬鹿な!」

鎖が、切断された。



911: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 20:32 VsIKGVqsO
  

(; ^ω^)「これは一体どういう…」
(*゚∀゚)「その鎖よりも私のロストの方が強い、ただそれだけのことだよ」

途切れた鎖を振りほどきながらつーが言う。
未知の金属で作られたキルサタンの強度に勝る破壊力を持つ大鎌・ロスト。
これもまた、未知の金属で出来ているのだろうか。

(; ^ω^)「…これはどうすりゃいいお」

二つに切断されたキルサタンを藁にも縋る思いでしぃに見せる。
しぃはそれを暫し眺め

(*゚ー゚)「私なら直せるかも…貴方は暫く避け続けて!」
(; ^ω^)「…把握!(また避けるのかお…)」



912: ◆wAHFcbB0FI :05/03(木) 20:42 VsIKGVqsO
  

しぃは精神統一をはじめ、彼女を護るようにブーンが立ち上がる。
つーはそれを見据えながら

(*゚∀゚)「武器が壊れるとは不運だね全く!」
( ^ω^)「確かに…
      けど、君の攻撃は大体把握してるお!」

避けるだけならば今までのノウハウに従って回避運動を繰り返せばいい。
そう思ったときだ。

(*゚∀゚)「ところが、そうでもないんだなこれが! アーッヒャッヒャッヒャ!」
( ^ω^)「!?」

突然高笑いを発するつー。

(*゚∀゚)「見せてあげるよ、こいつの本当の姿を。『ロスト・ツインエッジ』…!」

大鎌を空高く放り投げる。
それは空中で妖しく、そして不気味な赤い閃光を発し、やがてつーの元へ落ちてくる。

(*゚∀゚)「ほいっと!」

つーは大鎌をキャッチ。
だが、それは先程までの大鎌ではなく―――



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