( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです
- 948: 名無しさん :05/12(土) 18:48 EDiOw8pAO
5-chapter4(4)
地上。
ブーンは突如現れた援護に感謝の念を寄せていた。
( ^ω^)「モララーGJ! 今回ばかりは恩に着るお!」
( ・∀・)「いやいや、つー相手に君だけじゃなんとなく不安だったから…ん?」
ふと、気絶しているしぃがモララーの目に留まる。
( ・∀・)「しぃ…?
何故に彼女がここにいる?」
( ^ω^)「僕もよくわからないんだお」
( ・∀・)「とりあえずまずは彼女を起こすか。
ブーンは引き続きつーの相手を頼む。僕も後から出来る限り援護する」
( ^ω^)「把握!」
ブーンは再びつーのいる戦場へ。
- 949: 名無しさん :05/12(土) 18:51 EDiOw8pAO
( ・∀・)「…さて」
モララーは目覚まし電波発生装置を取り出し、しぃのそばで電源を入れる。
妙な音と共に見えない電波が周囲に発信され――
(*つー゚)「うーん…」
すぐにしぃが目を覚ます。
( ・∀・)「やあ、久しぶりだね」
モララーがしぃに話しかけ、そしてしぃは目を丸くする。
(*゚ー゚)「モララー…?
もしやとは思ったけどやっぱり貴方もいたのね」
( ・∀・)「…あまり驚いていないようだが――」
(*゚ー゚)「さては、貴方も魔獣の復活を招いたのね?」
鋭い視線をモララーへと向けるしぃ。
( ・∀・)「(しかも華麗にスルーされたなおい…)」
- 950: 名無しさん :05/12(土) 18:53 EDiOw8pAO
だが、自分達が原因を作ったことは紛れもない事実。
認めざるを得ない。
( ・∀・)「そんなに怖い目で見るな…
でも、確かに君の言う通りだね。だからその責任は取らなくてはならない。
例え僕自身が弱くても、役に立てなくても、ブーンのように飛べなくてもね」
(*゚ー゚)「…うん、わかってるようね。
今だけ協力してくれる?」
( ・∀・)「言うまでもない。とりあえず、仲直りだ」
手を差し伸べるが、しぃはそれには応じない。
(*゚ー゚)「今はそんなことをしてる場合じゃないわ…行くよ」
( ・∀・)「いつからそんなに頑固になったんだ?
…ま、確かに君の言うことは最もなのだが」
- 951: 名無しさん :05/12(土) 18:58 EDiOw8pAO
けど、とモララーは付け加える。
( ・∀・)「これだけは聞いておきたい。
君は何故、今ここにいる?」
しぃは、ギコ達やつーに問われた時のように即座に答える。
(*゚ー゚)「先祖が封印した魔獣を再び封印するため」
( ・∀・)「先祖って…Gとかいう人か。
『世界を救いし英雄』というのはかつて魔獣ギコ・フッサールと戦い、その力を封じ込めたことから来てたんだな?」
あのときの石塔に刻まれていた言葉を思い出しながらモララーは聞き返す。
(*゚ー゚)「やっぱりあの後泉まで侵入していたのね。その通り。
因みに彼女のフルネームは『ジィ・コルト=クロス』よ」
( ・∀・)「(変な名だな…)」
- 952: 名無しさん :05/12(土) 19:01 EDiOw8pAO
魔獣とその魔力や霊力を封じ込めた大賢者=しぃの先祖=英雄?
しぃの先祖のフルネームは『ジィ・コルト=クロス』なんだとか
先祖の使命に従い、魔獣を再び封印するためにしぃが動き出した
――どうでもいいことから重大なことまで一気に明らかとなり、モララーの脳内では霧が晴れたよう。
そのためか、今まで以上に冷静となり――
( ・∀・)「聞いておきたかったこと、聞くべきことは全て聞いた…
もうこれ以上もたもたしてられないな。いくぞ!」
(*゚ー゚)「ええ!」
幼なじみである二人の割れていた心が、今再び一つとなったようだ。
- 953: 名無しさん :05/12(土) 19:04 EDiOw8pAO
二人が向かう先では、激しい攻防が展開されている。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ!」
凄まじい速度で大鎌を振り回すつー
(; ^ω^)「おっ!」
それを往なし、カウンターを入れようとするブーン。
互角の戦いに見えるが、やはりブーンが少し押され気味だ。
(; ^ω^)「ハァ、ハァ…」
絶え間なく強いられる回避運動で、ブーンの呼吸が苦しくなってくる。
対し、つーは先程までにフッサールの炎やしぃの雷を何度か受けているにもかかわらず、顔色一つ変えずに次々と攻めてくる。
- 954: 名無しさん :05/12(土) 19:09 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「どうした!
男のくせに情けないぞ?」
(; ^ω^)「君が普通じゃないんだお!」
これではジリ貧だ。
だが、そこに二人が駆けつけたのは間もなくのことである。
(*゚∀゚)「…また来たか」
つーは攻撃の手を止め、飛ぶように退避。
直後、彼女のいた位置を雷が通過。
( ・∀・)「待たせた」
(*゚ー゚)「私も復帰したよ」
モララーとしぃが走ってきていた。
( ^ω^)「おっ、二人共助かったお!」
( ・∀・)「ああ…だが油断は出来ない」
見ると、つーの姿がない。
ブーンが空を仰ぐが、今度は空にも彼女の姿はなかった。
となると、またも姿を消しているようだ。
- 955: 名無しさん :05/12(土) 19:12 EDiOw8pAO
(*゚ー゚)「また…本当に厄介な相手ね」
だが、モララーは落ち着いた表情。
( ・∀・)「…ま、ここは僕の出番だよ」
彼が取り出したのは小型のレンズ。
( ^ω^)「…それだお!」
それを右目にかけ
( ◎∀・)「…そこだ」
一見何もない空間を指差す。
( ^ω^)「しぃ、あそこだお!」
(*゚ー゚)「…?」
不思議がりながらも、しぃは即座にモララーが指差した空間へ雷を放つ。
その先に――
(*゚∀゚)「…!」
つーが姿を現した。
彼女もまた不思議そうな表情をしつつも、避けられないと判断したのかロストで雷を払いのける。
- 956: 名無しさん :05/12(土) 19:19 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「危ない危ない…
何で私の位置が解ったのさ!?」
未だに原因を把握していないつー。
(*゚ー゚)「なんて反射神経…
それにあの鎌が持つ魔力も相当なものね」
( ^ω^)「でも、モララーのレンズで見えるってことは、やっぱりつーは幽霊みたいなもんってことだお!」
( ◎∀・)「確かに…
このレンズがあれば透明人間だろうが姿消してる幽霊だろうが怖くない。
――それに、今のでつーには致命的ともいえる弱点があることが読み取れる」
それは
( ◎∀・)「突然の出来事に対応出来ないんだよ彼女は。要は、意外にも精神力がないってこと」
( ^ω^)「お?」
( ◎∀・)「恐らく彼女は自分が姿を消している間、僕達人間には位置を特定出来ないだろうと高を括っていた。
そこまでは普通かもしれないけど、僕がつーの位置を特定し、しぃがそこへ雷を放ったときに彼女は瞬間移動という手段がありながらも避けきれずにガードした。
結局防がれたけどね」
(; ^ω^)「…僕にはよく解らないお」
- 957: 名無しさん :05/12(土) 19:25 EDiOw8pAO
(*゚ー゚)「…で、結局どうすれば奴を倒せるのかしら?」
( ^ω^)「僕にも簡単に説明頼むお」
モララーは周囲を警戒しつつ、半ば呆れた様子で再び口を開く。
( ◎∀・)「まず、彼女の意表を突くように攻撃すること。さっきので解ったと思うが、これなら瞬間移動で回避されることはない。
そして尚且つ、彼女がガードしきれない程の威力を持った攻撃を叩き込むこと―――」
そこまで言ったとき、つーがモララーの背後へと現れる。
(*゚∀゚)「いつまで作戦会議してるのかなぁ?
そんな暇はないはずだよ?」
両手に握る大鎌・ロストを振りかぶる。
- 958: 名無しさん :05/12(土) 19:43 EDiOw8pAO
(; ^ω^)「モララー…危ないお!」
( ・∀・)「…わかってるよ」
すぐさまバリア装置を起動、対象はモララー自身。
暗い虹色というべき不気味な刃と橙のバリアがぶつかり、鈍い音が鳴り響く。
(*゚∀゚)「壊れないね…あのときは楽勝だったのに」
( ・∀・)「耐久力も増した、と言ったはずだよ?」
そしてバリアの中からブーンの方を向き
( ・∀・)「今だよ」
サラリと呟く。
同時に、銀色の篭手を装着したブーンの右拳が唸りをあげてつーへと迫る。
( ^ω^)「本格的に反撃開始だお!」
(*゚∀゚)「当たるもんかい!」
一瞬でつーの姿が消える。
- 959: 名無しさん :05/12(土) 19:52 EDiOw8pAO
今度は――
(*゚ー゚)「…後ろね!」
( ^ω^)「ってことは瞬間移動かお!」
しぃはブーンの背後へと現れたつーへと雷を放つ。
(*゚∀゚)「…ちっ」
翼で飛翔し、回避。
(*゚ー゚)「(瞬間移動の時は背後を警戒し、姿が見えなくなった場合はモララーの指示に従って対処する…か)」
もはや完全につーを術中に嵌めたしぃ。
つーが瞬間移動した場合と姿を消した場合の対処方法を掴んでいる。
( ^ω^)「しぃ…凄いお!」
( ・∀・)「まあ彼女は幼かった頃から観察力と判断力に優れているからな」
モララーが防御と指揮を担当し、しぃが雷で牽制と攻撃を行い、ブーンが攻撃を入れる。
かつては対峙していた者達が、今ではそれが信じがたい程に息を合わせている。
- 960: 名無しさん :05/12(土) 20:37 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「……」
対し、つーは少しずつではあるが追いつめられていた。
いくら自分が瞬間移動や相手から我が身を眩ませるといった業を為せるとはいえ、それらをも見切る相手が三人いては迂闊に攻撃出来ず、
かといって回避してばかりではいずれますます不利になるだろう。
だが、彼女の戦闘に対する、狂気ともいえる姿勢はそんなことで崩れることはない。
(*゚∀゚)「(…ここで降参などしてたまるかい!)」
そう自分に言い聞かせ、地面へ降り立つ。
その時だ。
「おいおい、もうその辺で止めたらどうだ?」
半ばやる気のない、聞き覚えのある声が一帯に響く。
( ^ω^)( ・∀・)「その声は!」
( ^Д^)「そう、俺だよ俺!」
(*゚ー゚)「(こいつ、まだいたのか…)」
見たところ立ちはだかる様子はないため、しぃもタカラに敵意を表すことはしない。
( ^Д^)「待機してんの暇だから俺も来ちまったよ。
…ぶっちゃけると少し前から森に隠れて様子見てたんだけどな」
(# ^ω^)(# ・∀・)(#*゚ー゚)「なら戦えよ!」
( ^Д^)「わりぃわりぃ、俺も元々はこういう奴だ」
- 961: 名無しさん :05/12(土) 20:40 EDiOw8pAO
タカラは面倒臭そうに言うと、今度はつーに目を向ける。
(*゚∀゚)「お前、戦闘の邪魔してまで出て来やがって…何の用?」
( ^Д^)「こいつらと殺り合うのは止めた方がいいぞ。
特にしぃとかいう女はな」
タカラの口から出た言葉は、意外にも平和的だ。
だが
(*゚∀゚)「やなこった! 楽しいのはここからでしょ?」
( ^Д^)「お前相変わらずの命知らずだな。悪いことは言わないから魔界に帰ってくれ」
面倒くさそうに続ける。
(*゚∀゚)「命知らずも何も、私にもアンタにも命なんてないはずだけど?
それに私はまだまだ楽しみたいし!」
( ^Д^)「…じゃあそのまま戦って消滅されて来い。俺は知らん」
- 962: 名無しさん :05/12(土) 20:43 EDiOw8pAO
見限ったのか、タカラは呆れたように返す。
つーはそれを無視。
(*゚∀゚)「…で、あの女ってそんなに強いの?
試しに!」
つーは目標をしぃに定め、一瞬で接近し、そして斬りかかる。
(*゚ー゚)「!」
(; ^ω^)「しぃ、危ないお!」
が、橙のバリアがしぃを包み、大鎌による斬撃を止める。
( ・∀・)「少しは僕を信頼してくれよ。
大の大人が幼なじみの一人や二人護ってやれなくてどうするのさ」
そのままつーに目を向け
( ・∀・)「さて、出来ることならお前を消し去るようなことはしたくない。
こちらとしても撤退なりなんなりしてほしいところなんだが」
(*゚∀゚)「ここまで来てそれはないよ!
それに…こんな人間達に勝てないようじゃ軍師さんを越えることは出来ないし」
( ^ω^)( ・∀・)(*゚ー゚)「ぐ…軍師さん?」
- 963: 名無しさん :05/12(土) 20:47 EDiOw8pAO
聞き慣れぬ単語に戸惑う三人。
(*゚∀゚)「そう…私でもかなわない相手が魔界にはいるんだよ。
私の目標は彼女を越えることでね…」
( ^Д^)「(つーの野郎…俺と出会った当初と全く変わってねえ。
まだそんなこと考えてやがるのか!)」
彼女がこんなにも戦いに執着する理由はタカラにも解らない。
だが、それが彼女の本能であり、彼女が今まで貫いてきた生き様だ。
- 964: 名無しさん :05/12(土) 22:02 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「――だから、アンタら如きにやられる訳にはいかないのさ!」
横に薙ぐような動作をし、そのままロストを投げつける。
それは轟音をあげながら激しく回転し、ブーンへと迫る。
( ^ω^)「これ程度の攻撃、もう当たらないお!」
一瞬で数メートル程飛翔し、回避。
だが
(*゚∀゚)「甘いね…追いかけな!」
彼女の命令と同時に、諸刃の大鎌はそのまま大きくカーブを描きながら、空にいるブーンへと襲いかかる。
(; ^ω^)「おっ!?」
飛び込んでくる大鎌を再び回避。
だがいくら回避しても、意志を持つその大鎌・ロストは絶え間なく次々と迫ってくる。
- 965: 名無しさん :05/12(土) 22:04 EDiOw8pAO
(; ^ω^)「しつこいお…」
このままでは身を切り裂かれるのも時間の問題。
( ^ω^)「なら…!」
篭手状のキルサタンを鎚へと変化させる。
そして高速回転している大鎌の上へ自ら接近し――
( ^ω^)「こうだお!」
大鎌の柄へと鎚を力一杯振り下ろした。
鋭い金属音。
( ^ω^)「…成功だお」
これにより、大鎌は重心を失いふらつく。
( ^ω^)「今だお!」
すぐさまキルサタンを大剣へと変化させ、動きを止めた大鎌へその剣身を殴るように叩きつけた。
結果、破壊とまでは至らずとも大鎌は力なく地に落ちていく。
( ^ω^)「危なかったお…」
ブーンもこれを確認した後、地に降り立った。
- 966: 名無しさん :05/12(土) 22:09 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「!?」
それを地上から見ていたつーは驚きを隠せない。
自分の相棒ともいえる、強力な武器が止められたのだから。
だが、つーもそれを悠長に眺めている場合ではなかった。
(*゚ー゚)「覚悟…!」
しぃが杖を振りかざしているのが見える。
(*゚∀゚)「ブーンとかいう奴…予想以上に出来るね」
翼を広げ、飛翔。
雷を回避するついでに落ちてくるロストを回収し、地面に降り立つ。
(*゚∀゚)「…けど、これは突破出来ないよね!」
再びロストを宙に放つ。
今度は超高速回転によって巻き起こる旋風だ。
(*゚ー゚)「…ッ!」
こればかりは止めようがなく、飛ばされぬよう耐えるしかない。
(; ^ω^)「何とか突破する手段はないのかお?」
その時。
( ・∀・)「中心だ…中心なら影響を受けない!
旋風をくぐり抜けて攻撃するんだ!」
旋風の中でモララーが叫ぶ。
( ^ω^)「……そうかお!」
ブーンはしばし思案し、そしてひらめく。
この状況を突破し、さらにはこの戦闘に終止符を打つ手段を。
- 967: 名無しさん :05/12(土) 22:13 EDiOw8pAO
( ^ω^)「今こそ…アレを使うお!」
ブーンは旋風に飛ばされぬよう注意しつつ、あの怪しい薬の入った瓶と注射器を懐から取り出す。
そして注射器に薬を入れ――
(*゚∀゚)「…何だあれ?」
( ・∀・)「…使うのか!?」
(*゚ー゚)( ^Д^)「……?」
( ^ω^)「注射は怖いけど…いくお!」
皆が呆然として見守る中、自らの左腕に注射器を刺し込む。
その瞬間
( ^ω^)「お…?」
体内を何かが駆け巡るような感覚。
心の底から何かが沸き上がるような感覚。
そして――
( ゚ω゚)「これは…!!」
ブーンに凄まじい身体能力が備わった…!
- 968: 名無しさん :05/12(土) 22:19 EDiOw8pAO
( ・∀・)「おお…成功か!
(これはブームとやらに感謝すべきだな)」
いまいち状況が把握できないしぃとタカラもブーンを暫し眺める。
そして
(*゚ー゚)「アレ何…?」
( ^Д^)「知らん。
それよりお前等、攻撃の準備しておいた方がよさそうだぞ」
( ・∀・)「…そうだ! しぃ、ちょっと頼みがある!」
モララーは懐から何かを取り出し、しぃに見せる。
(*゚ー゚)「これは…!」
( ・∀・)「そう、昔親父が持っていたアレなんだが、こいつを試そうと思う。
そのためには――」
(*゚ー゚)「…わかったわ」
その後、モララーが取り出した『何か』に、しぃが雷を放った。
- 969: 名無しさん :05/12(土) 22:20 EDiOw8pAO
( ゚ω゚)「……」
旋風を前に、その場で立ち尽くすブーン。
その足はしっかりと地を踏み締め、強風にも全く動じない。
(*゚∀゚)「…どうしちまったんだ?」
旋風を巻き起こしているロストの後ろから、不思議そうにブーンを眺めるつー。
と、その時。
( ゚ω゚)「…次の攻撃で、君との戦いは終わらせるお」
(*゚∀゚)「え?」
言葉と同時にブーンの姿が消えた。
…否、消えたのではなく――
(*゚∀゚)「!?」
ロストの回転が突如止まる。
いや、正確には銀色の大剣によって回転を阻まれていた。
先程まで距離をとっていたブーンが、一瞬にしてつーの目の前に現れたのだ。
- 970: 名無しさん :05/12(土) 22:22 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「アンタ…何がどうしてそんなに――」
( ゚ω゚)「強風の影響を受けない、中心を低空飛行でくぐり抜けさせてもらったお」
そして瞬時にキルサタンを篭手状へと戻し
( ゚ω゚)「 お っ!」
渾身の力を籠め、アッパー気味の打撃を放つ。
(*゚∀゚)「くそっ、どうすりゃ…!」
予期せぬ展開に、瞬間移動という回避手段まで頭が回らない。
大剣の阻害から解放された大鎌でガード。
だが、それが間違いだった。
- 971: 名無しさん :05/12(土) 22:26 EDiOw8pAO
薬(?)がブーンに授けた力は凄まじく、先程まで幾度も攻撃を阻んでいた大鎌はいとも簡単にはねのけられる。
( ゚ω゚)「いけるお…!」
そして続け様に打撃を繰り出し
(;*゚∀゚)「ガッ…!?」
篭手状のキルサタンを装着したブーンの拳が、つーの顎を捉えた。
だがそれだけでは終わらない。
( ゚ω゚)「お…!」
自分でも信じられない程の速度、そして自分でも信じられない程の力を持った打撃を、次々とつーへ叩き込んでいく。
(;*゚∀゚)「……」
つーは反撃することが出来ず、ただ出来る限り攻撃をガードするのみだ。
かなりダメージを与えている。
そして
( ゚ω゚)「おっ!」
一瞬の隙を突き、再びアッパーを繰り出す。
それをまともに受けたつーの身体が宙に飛ぶ。
- 972: 名無しさん :05/12(土) 22:34 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「痛っ…これはピンチかもしれんね」
つーは空中で態勢を整える。
そこに迫るは、橙色の火炎球。
地上を見ると、自分の悪友がそれを放っていることがわかる。
(*゚∀゚)「おい…どさくさに紛れて何でアンタまで」
( ^Д^)「わりぃな、今回ばかりは力尽くだ」
が、彼女は瞬時に手に構えた魔光刃を周囲にばらまき――
(*゚∀゚)「『Rose Shield』!」
魔光刃はつーを護るように一点へ集まり、黒い壁を形成。
それによってタカラが放った火炎球は阻まれる。
- 973: 名無しさん :05/12(土) 22:38 EDiOw8pAO
だが
( ^Д^)「よし…時間稼ぎは終わりだ。準備はいいか?」
( ・∀・)「OK!」
タカラの後ろにはモララー。
その両手に構えるは、青く輝いている大型の見慣れぬ銃器。
( ・∀・)「ついに使えるようになる時が来た…親父が完成出来なかった武器を!」
(*゚∀゚)「…?」
照準を空中にいるつーに合わせる。
同時に銃身が前方へと伸び、銃全体が青白い発光。
( ・∀・)「『ttp:レーザー』の力を最大限引き出すためには強い魔力が必要…
さっき、しぃの魔力の籠もった雷を受けて遂に完成というわけだ」
(*゚ー゚)「そう、これでこの銃には魔力が宿ったわ。
これならば…効くはずよ!」
- 974: 名無しさん :05/12(土) 22:53 EDiOw8pAO
つーにはこの兵器が何なのかが全く理解出来ていないが、本能的に危険と察知。
(*゚∀゚)「させるかい!」
ロストを振り回し、あの不気味な刃をモララー目掛けて放とうとする。
だが、それを阻む影があった。
( ゚ω゚)「そっちこそ、やらせないお!」
(*゚∀゚)「なっ!?」
一瞬でつーと同じ高さまで飛んだブーンが、彼女へ拳を突き出す。
つーは空中で後方に下がり、それを回避。
だが、打撃は次々と飛んでくる。
彼女に、焦りが生まれる。
先にこいつを撃墜すべきか、あの妙な武器を破壊するか―――
- 975: 名無しさん :05/12(土) 23:02 EDiOw8pAO
( ・∀・)「つー…僕達の勝ちだ」
銃器を構えたモララーが静かに呟く。
同時に青白い光は銃に吸い込まれるように消え――
( ・∀・)「さあ喰らいたまえ…僕としぃの共同開発である魔導兵器『http:スペル・メガレーザー』を!」
次の瞬間、轟音と共に青白い光線を発射。
(*゚∀゚)「あれは…?」
もはや高速というには速すぎる速度で宙を一直線に走り――
(;*゚∀゚)「――!」
無論、魔光刃の壁程度で防ぎきれるはずもない。
瞬間移動をさせる隙をも与えず、青白い極太の光線はつーを飲み込んだ。
- 976: 名無しさん :05/12(土) 23:08 EDiOw8pAO
( ・∀・)「ふう…終わったかな?」
銃器を降ろしつつ、モララーは呟く。
そこへ
( ^ω^)「おっ、モララー乙! やっぱりお前は凄いお!」
いつの間にかレーザーから避難していたブーンが近寄ってくる。
( ・∀・)「…内の70%はしぃのお陰さ。
彼女の魔力がなければ『http:スペル・メガレーザー』は完成しなかった。
ところで、もう薬の効き目が切れたのかい?」
( ^ω^)「どうやらそうっぽいお」
( ・∀・)「ハハハ…世の中そんなもんか」
笑い合う二人。
(*゚ー゚)「(まだ魔獣がいるのに…脳天気め)」
だがこの二人の表情、どこか暗い。
やはりそれは、本来倒す必要のない者を消し去ったことに対する罪悪感から来ているのだろうか。
- 977: 名無しさん :05/12(土) 23:12 EDiOw8pAO
――が、その時!
「いったたた…乱暴な連中だねぇ」
(; ^ω^)(; ・∀・)(;*゚ー゚)「げっ…!?」
先程まで聞いていた声。
そして声主は再び出現する。
(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャ…地獄から蘇ったよ!」
どう見てもそれはつーだった。
その身の至る所に白い傷が多数あり、身に纏った黒いマントは破れ、中に着込んだ紺色のスーツにまで被害は及んでいる。
が、それでも彼女はあのレーザーから生還したのだ。
(; ^ω^)「あれだけの攻撃を受けてまだ生き残るかお…」
( ^Д^)「そりゃ…つーは簡単には消滅しねぇよ。魔界屈指の実力者だし」
(; ^ω^)「ちょ…お前彼女の何知ってるんだお!?」
- 978: 名無しさん :05/12(土) 23:16 EDiOw8pAO
総力を結集したともいえる攻撃にも、彼女は耐えた。
もはや打つ手なしか、と皆が思った時。
(*゚∀゚)「まだまだ殺り合いたいところだけどね…私は今『撤退』というようなことをさせてもらうよ」
( ^ω^)( ・∀・)(*゚ー゚)( ^Д^)「!?」
意外な発言。
(*゚∀゚)「さっき、私はアンタらにやられる訳にはいかない…って言ったけど、
だからって軍師さんを越えられないまま、ここで消滅する訳にもいかないのさ。アンタらが勝ったわけじゃないよ」
あくまで降参はしない、と言いたげな表情だ。
( ^ω^)「魔獣は…いいのかお?」
(*゚∀゚)「フサねぇ…煮るなり焼くなり好きにしたまえよ。
私は疲れたから、今日のところは勘弁してあげるよ」
(; ^ω^)「(今日のところ…?)」
- 979: 名無しさん :05/12(土) 23:27 EDiOw8pAO
(*゚∀゚)「んじゃ、そういうことで…私帰るねー」
( ^ω^)「…これは!」
彼女の周りの空間が歪み始める。
( ^Д^)「お前、帰るのか? ならその前に一つ教えてやる」
(*゚∀゚)「何さ?」
( ^Д^)「あの女…しぃはな、お前があんなに倒したがってる 軍 師 さ ん の末裔なんだよ」
(;*゚∀゚)「え…mjd?」
思わず目を丸くするつー。
( ^Д^)「こんなこと大真面目でなきゃ言わねえよ。
雷撃ったりするとことかあいつにそっくりだったろ?」
(*゚∀゚)「確かに…帰ったら詳しく聞かせろよ」
( ^Д^)「把握」
そして
(*゚∀゚)ノ「じゃ…縁が合ったらまた会おう! シーユーアゲイン!」
彼女は満足したかのようで、しかし悔しそうに魔界へと帰っていった。
( ^ω^)( ・∀・)(*゚ー゚)「……」
(; ^ω^)(; ・∀・)(;*゚ー゚)「(怖かった…)」
もう二度と対峙したくないと誰もが思い、同時にこれでよかったのだ、と誰もが思った。
戦う死神、つー。
彼女は一体、何者だったのだろうか…?
戻る