( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです

11: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00:54:10.80 ID:JSi+UFf90
  
('A`)「社長、無茶じゃないですか?」

川`・−)「『スーパーさいたま人セール』ですよ。そこに彼女たちを参加させるなんて・・・」

( ^ω^)「『スーパーさいたま人セール』・・・バーゲンかお?」

(´・ω・`)「うむ。この区だけでなく、首都圏の主婦たちを虜にする年に一度の大売出しだ」

川`・−)「今日の販促セールは実質明日への宣伝みたいなものなの。普通のアイドルが一日店長気分で参加できるようなものじゃないわ。
昔はアイドルも参加したけど、最後まで逃げずにやりとおしたのはひとりも・・・」

ξ゚听)ξ「・・・おもしろいじゃない」



12: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00:57:03.30 ID:JSi+UFf90
  

ξ゚听)ξ「あれだけ練習したのに一日だけ、ってのはもったいないわ。せっかく仕事を買われたんだから、やってみてもいいじゃない」

从'ー'从「わたしもやりたいです。まだまだ元気マンタンですよ〜」

川 ゚ -゚)「申し出を受けたのは私たちだけなんですよね。光栄ですよ」

川`・−)「でも・・・・・・」

(´・ω・`)「決まりだな。では明日もがんばってくれたまえ」

ブーン・アヤカ・ツン・クー「はい!」


(´・ω・`)「あ、それとマーヤ君たちもがんばってくれ。君達の倉庫番っぷりもなかなか評判がよかったよ」

( ^ω^)「やっぱりやめないかお?」

(´・ω・`)「却下」



13: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00:59:30.56 ID:JSi+UFf90
  

('A`)「・・・しかし無茶だよなぁ」

 事務所に戻ってドクオはつぶやいた。

ドクオもこちらに越してきてから何度か行ったことがあったが、日中の混雑ぶりはおそろしい。いくらツン達が上手くても、所詮はアイドル。
商品や規模こそ違えど、その混雑さは『コミックマーケット』に勝るとも劣らない。参加者改め買い物に来る主婦の戦闘力を考えれば、
その込み具合はコミケ以上。普通に考えて素人がなんとかできるものではない。

( ^ω^)「あれだけがんばって運んだものを一日で売り切るなんて大変だお・・・」

川`・−)「こうなったら仕方ないわね・・・みんな、しっかり今日は休んでおくこと」

川 ゚ -゚)「はい」

从'ー'从「それじゃあわたし、そのまま帰りますね」

( ^ω^)「ブーンも途中までいくお」


ξ゚听)ξ「待って、アタシも一緒に帰る」



14: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:01:44.06 ID:JSi+UFf90
  

('A`)「えっ、送らなくていいの?」

ξ゚听)ξ「アンタも疲れてるでしょ。かえってゆっくり休みなさい」

('A`)「う、うん。ありがとう・・・」

ξ゚听)ξ「明日はしっかり迎えにくるのよ」

('A`)「わかったよ」

川`・−)「(・・・どっちがマネージャーだか・・・)」



16: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:04:33.60 ID:JSi+UFf90
  

『スーパーさいたまセール』は毎年五月の最終日曜日に行われる。大きな総合デパートもないこの区において
おそらく最も盛り上がるセールだ。この日だけで通常の一月分売り上げる、という風の噂は過言ではない。


 当日、開店まであと2時間もあるというのに、すでに店の周りには長蛇の列ができている。
時間がたつにつれ太く、いびつになっていく買い物客の列。バイトの兄ちゃんが旗をふりまわし、列に割り込もうとする悪質な輩をガードマンが食い止め、
衛生係のおじさんが徹夜で倒れた老人をかついで運んでゆく。
道のまわりには露店が立ち並び、大道芸人がジャグリングをして拍手を浴びている。
もはや何のイベントか、わからなくなっていた。



18: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:08:11.55 ID:JSi+UFf90
  

 ヒートアップしている外とは対照的に、店内は奇妙なほど落ち着いていた。各員、持ち場のまわりに集まってチーフの話を聞いている。
店舗の一番奥、どでかい看板がひときわ目立つ販促コーナー。アヤカたちはその山とつまれたカップラーメンの横で
この販促コーナーのリーダーと打ち合わせを続けていた。
他の『スーパーさいたま』制服と違い、淡い水色のシャツに緑地のミニスカート。黄色のエプロンをつけて珠飾りのついた帽子。
アイドル仕様のアヤカとツン。そしてマーヤ。
30を過ぎた(と思われる)のに、その姿はアヤカやツンと比べて何ら遜色ない。いつものサングラスをしていないが、
かわりに赤くきらめくサンバイザーがその涼しげな目元を隠していた。


从'ー'从「今日はマーヤさんも表で働くんですね」

川`■■)「私はアイドルじゃないんだけど・・・まわされたからにはやるしかないわ」

ξ゚听)ξ「いいじゃない。裏に回って昨日のドクオみたいに真っ白く燃え尽きるのもつらいですよ」



19: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:11:09.98 ID:JSi+UFf90
  

店長『スタッフのみなさん、おはようございます』

店内にアナウンスが響きわたる。

店長『各員、全力で立ち向かってください。目標はもちろん──KANBAIせよ!』

川 ゚ -゚)『以上が店長の言葉です。開店まであと30分、みなさん最終準備にとりかかってください』

クーの声と同時にアナウンスは終わり、各所で最終確認作業が再開される。
今日、クーは本部詰めで各所へのアナウンスを一手にひきうけることになっていた。



21: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:13:15.42 ID:JSi+UFf90
  
('A`)「・・・あ、はじまったみたいだ」

( ^ω^)「ほんとだお。足音がこっちまで聞こえてくるお」

昨日とは違って『スーパーさいたま』の制服を着た二人がつぶやく。店舗入りしてからも荷物整理は続いていた。

倉庫主任「よし、これから在庫不足って報告がどんどん来るからな、今のうちに少しでも休んでおけよ・・・おい、新入り」

( ^ω^)「ブーンは新入りじゃないお!アイドルプロデューサーだお!」

倉庫主任「しぇからしぃ!いいか、お前らにはほとんど期待してない。新米に全コーナーへの配送をまかすのが無理ってもんだ。
だから特設コーナーの在庫搬入だけに気ぃ配ってろ。今はカップラーメンだが、時間とともにあそこの商品はかわる。
それだけきっちり覚えときやがれ」

('A`)「わ、わかりました・・・・・・」



22: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:13:58.59 ID:JSi+UFf90
  

倉庫主任「声が小せぇ!」

( ^ω^)・ドクオ「「把握!!」」

倉庫主任「・・・・・・よし」



( ^ω^)「とりあえず何を運ぶのか覚えておくお。あれだけたくさんはこんだし、しばらくは時間が・・・」

ξ゚听)ξ「ちょっと、特設コーナーカップラーメンを持ってきて!」

('A`)「甘かったか・・・」



27: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:29:15.97 ID:JSi+UFf90
  

開始10分で初期配置の商品が半分消えた。開店後30分までの会計が半額になる、という時点でどれだけブッとんだセールなのかが知れる。
店内は人、人、人。特設コーナーはもとより、乾物や駄菓子の棚列にまで芋をあらうようかのごとく買い物客がひしめいていた。


川 ゚ -゚)『ただいま店内は非常に込み合っています。どうか、人を押しのけないようおね』

主婦A「ちょっとアンタ、どこ割り込んでるのよ!」

主婦B「あーら、何をおっしゃることやら・・・って、どきなさいよ!」

人妻C「会計すました後にならいくらでも」

子供「うぇぇぇぇん、おがぁちゃぁぁぁぁぁん!」

客A「おい、こっちでバーサンが倒れてるぞ」

店員「メーディック、メーディィィィィック!」


も は や 店 内 は 大 混 乱 で す



28: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:33:00.10 ID:JSi+UFf90
  
混雑は昼を回ってもおとろえることはない。さすがに開店当初に比べて人口密度は減ったものの、それでもカートをのんびり
押して回れるような状況ではとてもなかった。通常のパートや裏方のブーンたちはもちろん、アヤカやツンらアイドル達も
ほぼ飲まず喰わずで、休むことなく自らの仕事を続けていた。

('A`)「はーっはっ・・・・・・米袋、もってきました」

( ^ω^)「おつかれさんだお、みんながんばるお。マーヤさん、アヤカ。ちょっと・・・」

川`■■)「どうしたの?」

( ^ω^)「(これ、チョコですお。人数分あるから、これでリフレッシュですお)」

从'ー'从「(ありがとうございます、ブーンP)」

パートA「(ありがとうね)」

ξ゚听)ξ「(気が利くじゃない)」

客「ちょっとアナタ、これだけど・・・・・・」

川`■■)「はい、少々お待ちくださいませ」

( ^ω^)「(・・・退散するお)」



29: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:37:12.63 ID:JSi+UFf90
  


⊂二二二( ^ω^)二二⊃

ドンッ


客「おい、何ぶつかってんだよ」

(;^ω^)「すみませんでしたお・・・・・・」





6時からの3時間セールに備え、販促員たちは交替でつかの間の休憩をとっていた。

パートA「しかしマーヤちゃんは筋がいいわぁ」
川`■■)「そうですか?」
パートB「あのアイドルの子たちもがんばってるけど、やっぱりね・・・マーヤちゃんは違うねぇ。
どうだい、プロデューサーなんて辞めていっしょにパートしないかい」
川`■■)「それは無理ですよ」
パートB「あらあら、残念」



30: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:39:01.46 ID:JSi+UFf90
  

〔『スーパーさいたま』・店外〕

(@e@)「・・・やっぱり混んでるなぁ」

????「・・・ふん、まるで人がゴミのようだ・・・・・・」

(@e@)「(・・・あれ、今のは・・・)」



────キュピーン────

クーの様子を見ようと手早く手元のおにぎりをほおばり、クーは立ち上がろうとしておもわず動きをとめた。

パートA「どうしたんだい、マーヤちゃん」

川`■■)「い、いえ・・・・・・ちょっとクーの様子を見てきます」



32: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:40:48.43 ID:JSi+UFf90
  

川`■■)「(あのプレッシャー・・・・・・ただ者じゃない)」

川`■■)「(・・・何もなきゃいいけど・・・・・・)」



────キュピーン────


从'ー'从「・・・・・・?」

ξ゚听)ξ「アヤカ、どうかしたの?」

从'ー'从「ううん、何でも・・・」

从'ー'从「(なんだろ、変な感じ・・・)」



33: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:43:51.66 ID:JSi+UFf90
  
 ひととおり休憩もおわり、そろそろ6時からの特設セールがはじまろうとしているとき、事件はおこった。


客「5分くらい早くしてもいいじゃない」

パートC「ですから、時間は早められません」

从'ー'从「どいてください!ちょっとけが人が通りまぁす」

客「ねぇ、他のはないの?」

ξ゚听)ξ「すいません、今こちらに運んでいます」

客「あと3分?」

客「ほらほら、早く出しなさいよ」

客「って、押さないでよ。邪魔よ」

(@e@)「(・・・特設コーナーの缶詰は・・・・・・ってうわぁ)」



34: 第9話 :佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 01:46:42.41 ID:JSi+UFf90
  

後ろからの尋常ない怒声におもわず振り向いたトンボは、おされたはずみで後ろによろめく。
運のわるいことに、ちょうどブーンがセールの商品を台車ごとを運んできたことで、客はいっせいに棚のほうへと押し寄せ、たまらずトンボは転倒した。


(@e@)「うわぁぁぁぁぁぁぁっ」

( ;^ω^)「今、誰か人が踏み潰されなかったかお?」

从'ー'从「大変!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと。そんなに詰めたら・・・」


????「(醜い・・・・・・)」


【続く】



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