( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです

10: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:09:11.47 ID:Xn9DpBV10
  

 正直来るべきではなかった。せっかくのオフ、凡俗にもまれて右往左往するのはこの私に似合わない。
入店から2時間、ようやく最奥まできたのだが、人ごみがいっそうひどくなっている。
よく見えないが、前方はかなり混乱しているようだった。個性の欠片もない割烹着を着たパートタイマーや
欲望に目を鈍く輝かせた主婦が争っている。醜い。

????「・・・ん?」

目をこらしてみると、このような地方スーパーに似つかわないデザインと色のエプロンをつけた少女が
慌てふためいているのが見える。胸にはおおきな花模様のバッチ。カラフルに何かが書いてある。

????「(・・・アイドル、か?)」



11: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:12:28.78 ID:Xn9DpBV10
  
ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと下がってくださ!」

主婦A「いいからわたしなさいよ」

主婦B「押すな押すな」

( ^ω^)「どうするお・・・まずいお・・・」

从'ー'从「ど、どうします?!?!?!?!?」

パート「とりあえず救護h」

客「お、おい、くずれるぞ!!」


 前線の客が売り場にどんどん押し寄せる。ふと、客のひとりがもたれかかったポール。横断幕をささえていたそれが、
ゆっくりと後ろ向きに倒れていく。その軌道の先には立ち上がろうとしたブーンが呆然と止まっていた。


从'ー'从「ブーンプロデューサー!」

????「(・・・仕方ない・・・・・・)」



12: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:14:14.47 ID:Xn9DpBV10
  

从'ー'从「ブーンプロデューサー!」

????「(・・・仕方ない・・・・・・)」


 つぶやいて買い物籠を下ろす。全く、下民の中で目立たぬようにわざわざ地味な格好をし、
できるかぎりオーラを隠してきたというのに。
だが、『歌姫<ビジュアルマスター>』として、
(下級とはいえ)アイドルも居合わせた場所でのこの騒動、収めなくてはならない。

 髪をかきあげ、構えをとり、私は右腕をつきだした。



13: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:20:50.86 ID:Xn9DpBV10
  
         ,r'''⌒`ヽ
 _       l゛    `i
r゛ ⌒゛ヽ、    l     .l                            マ
      ヽ   l     ノ
l       `l   .l     j、.                        ト  |
`、       l、  `t,,  ノ ヽ.
 i      .lヽ   l    |                       リ  ブ
 ヽ、     j ヽ,  l    ノ、             ,,---、
   `''、==-   iヽ, ト、_,,,ノ i、         _,,,-=''    i.      パ  ル
    ヾ     ) ヾヽ    ト、,,,, ___,,,;;-='''て"      'j
     ヾ_  .ノ  ヾ_)、  ノ ) ̄〃   (       ノ       |
      \""   V ゛>゛ / /"i    ヾ、 ____ ,,,/
       \    )/  / λヾ、    ⌒/ ⌒         !!
   ,,,--t=τ"'=,,__.ノ   / / ヾ、 "''==-/
  r"   ヾ, ヾ、 /   ,/ イ"  "=t--='"
 .r"   -=、  y   / ,イ' l    ノヾ
 l      `V"  / イ"ト、`、___,,,イ  ヾ



14: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:21:42.63 ID:Xn9DpBV10
  
 i、    r--、ヽ、/ ./ i .l ""'' ノ lヾ  `ヽ                 イ
  ヽ、  l  i У/ / l lフ=''"/  l ヾ   ヾ.   ト           / l
   /⌒""'='ニ"/ ./ ./ ノi _ノ  .ノ  'ヾ,  ヾ,   ヾヽ,  ,x、))))v) / .j
  ,l ''" ̄ ̄""ヾ/  ./ ノ r="  /    ''ヾ、 ヽ,  ヾ v  "''=-,,y''" j
  l     ,-=、 .ヾ_シミニ'"   /"       'j  l,  .トゞゞ、'"οοヾ  jヽ
  ヾ、   (   > l"ヾ、=-,,,-="          j  λ"ゞゞ""v/、ノtjノヾ、 /ヾゞ
   ""'''-==,,,ノ ノ  "i  |           .ノ  ト、> ./,ミ、、/、' t''i゚jフ ‖ ゞ
         ̄ ̄   l  ヽ、         ./  l ヽ()/"i゚j"ゞ、  ヾJl  ,,,
              .l  ヽ、   __,,---="   /  \ヽ 'ノ _,, 、  t
              ヽ、  う'''" ̄      /   .||, ⌒ヾ、  ) 人ヾ
               ヽ  -==,,,,,,____,,,,=-'''"     λ ヾ、\-"/ ヾ、)
                ヾ,   |、            lヽ  ヽヽ\   ヾ
                 ヾ  ヾ、、          l ヽ  ヾi⌒ヽ=-,,,ヾ



15: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:22:42.25 ID:Xn9DpBV10
  
                  "'====ヽ,___          "ヽ  ヾノ、,,  "''
           ,,,---'''"""⌒     ヾ""''==      ヾ、  ノ"'''==-
      ,,-''"""⌒             "ヽ,,        l "'ヾ     
    /                     ヾ==ヾ    ,λ  ヾ、  ,,-
  /                           ヾヽ、/'''"""λ  ヽ ,,- 
/                              ヾ ヾ ,,-''" ヽ、  l l



16: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:23:35.75 ID:Xn9DpBV10
  
注:>>13>>14>>15はイメージです


( ^ω^)「へ?」

 ブーンの目の前までせまったポールが突如吹き飛ぶ。くくられた横断幕、もう一本のポールも同じように飛んでいき、
特設売り場をこえ、人がちょうどいなかった壁にめりこんだ。
全員「?!?!?!?!?!?」

????「うろたえるな、愚民ども!」



17: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:24:59.16 ID:Xn9DpBV10
  

その声の迫力に、人波がまっぷたつに割れる。その間をまるで民を導く先導者のごとく、ひとりの女が歩いてゆく。
白のタートルネックに淡紫のロングスカート。装飾具も何もない、10〜20代の女性にしてはあまりに派手さのない服装。それでも、美人は着る服を選ばないという言葉の体現がこれほど似合う人間もいないだろう。

 人に注目されるという事を日常として生きてきたという証がそこにあった。
 アイドルのひとつの頂点にたったという証がそこにあった。
 神に挑戦をいどまんとする証がそこにあった。

売り場の前までくると、彼女はくるりと半転し、二の句がつげない客に言い放った。


ミスティ「お前達が秩序を守れないというのなら私が秩序を授けよう。
そう──『愛姫<ビジュアルマスター>』ミスティの、な」

(@e@)「ぐえっ」
 
ミスティに踏まれたトンボがカエルのような声をあげた



18: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:29:15.80 ID:Xn9DpBV10
  

从'ー'从「ブーンP、大丈夫ですか?」

( ^ω^)「う、うん・・・でも、あの美人さんは何だお?」

从'ー'从「『歌姫<ビジュアルマスター>』のミスティさんです。
ウワサでは、生涯で心身ともにひとつも傷をおったことのないというすごい人です」


見ると客を下がらせ、ツンやパートのおばちゃんに指示をあたえているアイドル──ミスティがいた。

周りの客はうごかない。ときおり、スキをついておばちゃんが積みあげられつつある缶詰に突進するが、
ミスティが手を前につきだしただけではじかれていた。


( ^ω^)「これ、完璧なパクリじゃないのかお?」

从'ー'从「作者曰く、『このキャラだけ限定解除』とのことです」

( ^ω^)「うはwwキモスwwww」



19: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:31:09.14 ID:Xn9DpBV10
  

ミスティ「・・・アヤカ・ワタナベ。何をしている、さっさと手伝え」

从'ー'从「えっ?!み、ミスティさん・・・なんでわたしの名前を?」

ミスティ「胸にあるアイドル名の書かれたバッチは飾りか?」

从'ー'从「そ、そうですね・・・」

ミスティ「このミスティの美しさに我を忘れたか・・・無理もない。さぁ、仕事を続けるぞ」

アヤカ・ツン・パートのおばちゃん「はい!」


('A`)「・・・・・・何があったの?」

( ^ω^)「よくわかないお・・・」


それから4時間。“蛍の光”の最後のメロディが流れおわった。



20: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:36:14.86 ID:Xn9DpBV10
  

川 ゚ -゚)『本日の営業は終了いたしました。従業員のみなさま、おつかれさまです』

あちらこちらで歓声と嘆息がきこえる。これから二日間、『スーパーさいたま』は完全休業になる。

ξ゚听)ξ「どこまでもふざけたスーパーね・・・」

(´・ω・`)「だがそれがいい」

川`■■)「社長」

(´・ω・`)「お疲れ様。愛姫の乱入もあったようだが、なんとか乗り切ったようだね」

从'ー'从「そうなんですよ。ミスティさん、本当にテキパキと指示を出していて・・・」

(´・ω・`)「彼女は生まれついてのカリスマだからね」


ミスティ「・・・ショボン社長ですか」



21: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:38:02.99 ID:Xn9DpBV10
  

(´・ω・`)「噂をすれば、ミスティ君か」

( ^ω^)「(知り合いなのかお?)」

ミスティ「彼女たちはあなたの会社のアイドルだったのですね」

(´・ω・`)「うむ、危ないところを世話になったようだね」

ミスティ「あれはどんなアイドル──リョーコ・モモヤマやリツコ・アキヅキでもまわせない。私がいてよかった」

ξ゚听)ξ「(・・・噂どおりのナルシストっぷりね)」

ミスティ「では、私はもう帰ります」

(´・ω・`)「お疲れ様」

6人「ありがとうございました」



22: 第10話 :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 01:39:47.05 ID:Xn9DpBV10
  

(´・ω・`)「では、今日はこれで解散とする。各自ゆっくり体を休めたまえ」

6人「おつかれさまでした」



从'ー'从「ブーンP」
( ^ω^)「どうかしたお?」
電車のつり革にもたれて半分寝ていたブーンが相槌を打つ。

从'ー'从「ネリネさんの時もおもいました。やっぱりトップアイドルはすごいです。
私もがんばって、はやくミスティさんやリョーコさんみたいになりますね」

( ^ω^)「・・・ふぁいと、だお・・・」


【続く】

( ^ω^)「(あれはちょっと・・・)」



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