( ^ω^)ブーンは大人嫌いのようです。
- 85: ◆NoxMiNDgA2 [視点変更。] :2006/10/15(日) 14:02:27.94 ID:eGc6lE/Q0
- 【( ^ω^)】
( ^ω^)「兄ちゃん、プーンと何話してたんだお」
('A`)「別に、大した事じゃない」
( ^ω^)「深刻そうな様子だったお。僕には言えない事なのかお」
帰り道、僕はさっきの事が気になって仕方が無かった。
どれだけ問い詰めても兄ちゃんはまともな答えを返してくれないし、一体何があったのだろう。
- 87: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 14:10:58.64 ID:eGc6lE/Q0
- 家に帰ってからしばらくして、僕はプーンに電話をかけてみる事にした。
でも僕はプーンの電話番号を覚えていなかった。
そうだ、昔学校で配られた連絡網になら載っているはず。
僕は居間に向かい、押入れの中を探した。
('A`)「何やってるんだ?」
(;^ω^)「わっ、──いてっ」
急に背後から声をかけられ、驚いた僕は押入れの中の物に頭をぶつけた。
( ^ω^)「兄ちゃんか……。何だお」
('A`)「何か探してるのか?」
( ^ω^)「れ、連絡網を」
('A`)「何で?」
( ^ω^)「電話したい奴が居るんだお」
('A`)「誰に?」
(;^ω^)「え……」
プーンに電話するのだという事は兄ちゃんには隠しておいた方がいいと思う。
答えに困る僕を、兄ちゃんは疑うような目で見ている。
- 88: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 14:13:27.72 ID:eGc6lE/Q0
- (;^ω^)「友達に……だお」
('A`)「だから誰。何て友達にだ」
(;^ω^)「あー……」
('A`)「プーン君か?」
(;^ω^)「ち、違うお」
('A`)「本当に?」
(;^ω^)「本当だお」
('A`)「ふーん……。それなら、いいが」
兄ちゃんは一応納得した様子で部屋に入っていった。
- 89: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 14:14:55.60 ID:eGc6lE/Q0
- 兄ちゃんの部屋の扉が閉まるのを確認して、僕は再び押入れの中を探し始めた。
( ^ω^)「あったお!」
連絡網は押入れの奥深くにしまわれていて、埃だらけになっていた。
これでプーンに電話が出来る。
- 91: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 14:39:32.65 ID:eGc6lE/Q0
- 受話器を耳に当て、連絡網を見ながらプーンの番号を押す。
呼び出し音が鳴り出した。
……一回、
……二回、
……三か──?
三回目の呼び出し音が鳴ろうとした時、ぷつ、と変な音が鳴り、それきり受話器からは何も聞こえてこなくなった。
('∀`)「やーっぱりプーン君に電話する気だったんじゃねぇか」
右手にはさみ、左手に切れた電話線を持った兄ちゃんが僕の背後に立っていた。
(;^ω^)「普通そこまでするかおwwwww」
- 142: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:40:16.02 ID:eGc6lE/Q0
- 理由は分からないけど、兄ちゃんは僕とプーンを関わらせたくないみたいだ。
気になる。兄ちゃんに見付からないようにこっそりプーンの家に訪ねて行ってしまおうか。
窓の外はもう暗い。時計を見ると、午後十一時だった。
さすがにこんな時間に人の家に行くのは悪いので、明日にしようと思う。
明日は午前中はアルバイトが入っている。暇な午後にプーンの家に行ってみよう。
- 144: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:42:38.23 ID:eGc6lE/Q0
- 朝、出かける支度をしていた僕を兄ちゃんはずっとじろじろと見ていた。
('A`)「どこ行くんだ?」
( ^ω^)「バイトに決まってるお」
('A`)「まさかプーン君の所に行く気なんじゃ……」
(;^ω^)「い、行かないお。それより、兄ちゃんも急がないと会社遅刻するお」
('A`)「プーン君の所には、行っちゃ駄目だからな」
(;^ω^)「しつこいお」
- 146: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:46:50.78 ID:eGc6lE/Q0
- 僕は今、コンビニエンスストアでアルバイトをしている。明るい人ばかりで、とても楽しい職場だ。
高校を卒業してからも進路が決められなかった僕は、フリーターになった。
本当はニートになろうかと思ったけど、兄ちゃんが('A`)「ニートは駄目だぞ」と言うので、とりあえず僕は働いているのだ。
( ^ω^)「いらっしゃいませー」
お客さんが来たので僕は大声で挨拶をする。
( ´●;□;●)「こ、これ下さい……」
サングラスにマスクのお客さんが、お弁当をレジに持ってきた。
( ^ω^)「お弁当、温めますかお?」
( ´●;□;●)「はっ、はい。あ……あと、あと、ボクの心も温めて下さい! なんて、いひ、いひひひひひwww」
( ^ω^)「え……? 何ですかお?」
( ´●;□;●)「あ、いえいえ独り言。あひあひひひひwwwww」
(;^ω^)「あの……」
( ´●;□;●)「いえっwwwその、あ、温めて下さい。お弁当だけでも」
(;^ω^)「はい……」
僕はこのお客さんが恐ろしくて逃げ出したかった。
でも仕事を投げ出す訳にもいかず、震える手でお弁当を電子レンジに入れ、ボタンを押す。
- 147: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:50:21.59 ID:eGc6lE/Q0
- (;^ω^)「五百二十五円ですお」
( ´●;□;●)「あぁ、はいはい。お金ね、お金……ん? あれ!? 財布は!?」
お客さんはズボンのポケットに手を入れ、焦ったように僕に訊く。
(;^ω^)「し、知りませんお」
( ´●;□;●)「えぇ? じゃあボク金持ってねぇよ!!」
(;^ω^)「え……」
ピー、と電子音が鳴った。お弁当が温まったのだろう。
( ´●;□;●)「かっ、帰る!!」
(;^ω^)「困りますお……。お弁当温めちゃったし」
( ´●;□;●)「さようなら!!」
(;^ω^)「あっ」
お客さんは転びそうになりながら物凄い勢いで走り去った。
- 148: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:52:48.04 ID:eGc6lE/Q0
- ( ゚д゚ )「ブーン君、どうしたのかね」
騒ぎに気付いたらしい店長が店の奥から顔を出す。
(;^ω^)「店長、実は……」
僕は店長にさっきのお客さんの事を話した。
( ゚д゚ )「その温めてしまったお弁当はブーン君が買いなさい」
(;^ω^)「何でですかお!?」
( ゚д゚ )「接客をした君の責任だからだよ。給料から引いておくから」
(;^ω^)「そんな……」
- 151: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 21:56:54.60 ID:eGc6lE/Q0
- アルバイトから帰ってきた僕は、買わされたお弁当を台所の机に置いた後に自室に行き、ベッドにうつ伏せになって少し泣いた。
( ;ω;)「酷いお。僕は悪くないお。あの変な客が悪いんだお」
('A`)「ただいまー」
兄ちゃんが仕事から帰ってきた。
僕の泣き顔を見たら兄ちゃんは心配するに違いない。
( ^ω^)「おかえりだおー」
僕は何とか笑顔を作り、玄関へ出迎える。
('A`)「おう。ん? お前何か、目が腫れてないか?」
(;^ω^)「気のせいだお」
('A`)「まさか、プーン君に……」
( ^ω^)「プーン……? あ!」
アルバイトが終わってからプーンの家に行こうと思っていたのに、あの変な客のせいですっかり忘れていた。
でも今日は疲れてしまって一歩も動きたくなかった。また今度にしよう。
- 152: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/15(日) 22:00:20.32 ID:eGc6lE/Q0
- ('A`)「…………」
兄ちゃんは心配そうに僕を見ている。
( ^ω^)「バイトでちょっと困った事があっただけだお」
('A`)「困った事?」
僕が、サングラスにマスクの変な客が来たのだと言うと、兄ちゃんは眉間に皺を寄せ、何やら考え込んでいた。
('A`)「サングラスに、マスク……」
( ^ω^)「大丈夫だおー。僕は変な客なんかに負けないおっ!」
('A`)「あいつ……」
( ^ω^)「あいつ? 誰の事だお?」
('A`)「…………」
兄ちゃんは僕の声なんか聞こえていないかのように俯く。
最近の兄ちゃんはおかしい。
プーンの事ばかり気にしているし、あの変な客にも心当たりがあるみたいだ。
疑いたくないけど……僕は兄ちゃんを疑い始めてしまっていた。
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