( ^ω^)ブーンは大人嫌いのようです。

3: ◆NoxMiNDgA2 [視点変更。] :2006/10/16(月) 22:57:21.63 ID:HiilrKqD0
  
【('A`)】

 成人式の後から、俺は何だかおかしくなっていた。
 常に誰かの視線を感じるのだ。会社に居ても、家に居ても、どこに居てもだ。
 扉を閉め、カーテンを閉め切ろうと、その視線は追ってくる。
 ブーンが会ったという変な客の事も気になる。
 サングラスにマスク、以前プーン君が俺達を付け回していた時の格好によく似ているではないか。
 それらの全てにプーン君が関係しているように思えてならない。
 気にしすぎだろうか。
 怪しい人間が、俺の知る限りではプーン君ぐらいしか居ないからそんな気がしているだけかもしれない。



4: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/16(月) 22:58:54.90 ID:HiilrKqD0
  
( ^ω^)「出かけてくるおー」
 ブーンの声が聞こえ、俺は、はっと我に帰る。
 玄関に向かうと、ブーンは靴を履いているところだった。
('A`)「どこに行くんだ? こんな朝早くに。今日はバイト無い日だろ」
( ^ω^)「友達の所だお」
('A`)「誰だ」
( ^ω^)「友達だお」
('A`)「どこの何て奴だ? 名前は!? 住所は!? 電話番号は!?」
(;^ω^)「何でそこまで気にするんだお。変だお」
('A`)「いや……」
(;^ω^)「行ってきますお!」
 ブーンは俺を振り切って出て行ってしまった。



5: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/16(月) 23:02:51.47 ID:HiilrKqD0
  
 ブーンは、成人式の日に俺とプーン君とのやり取りを見ていて、随分と気にしているようだった。
 プーン君は多分危険だ。関わらない方がいい。
 しかしブーンはプーン君の事を友達だと思っているらしく、何の警戒もせず普通に仲良くしている。
 今日も、ブーンはもしかしたらプーン君の元へ行ったのかもしれない。
 ブーンは鈍すぎる。誰にでもすぐに心を開いて、笑顔で仲良くしてしまう。
 馬鹿だ。他人なんて、そう簡単に信じてはいけないものなのに。
 社会に出てから俺は、人間の汚さを嫌になる程に見てきた。
 自分以外のものは何一つ信じない。自分以外は全て敵だ。そう思うようになった。
 俺は、かつて嫌った汚い大人になってしまった。
 現に大切な弟であるブーンの事ですら信じられずにいる。



7: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/16(月) 23:07:37.77 ID:HiilrKqD0
  
 俺は居ても立っても居られなくなり、家を飛び出した。
 遠くにブーンの姿を見付けた。
 俺はこっそり近付き、ブーンの斜め後ろにある電柱の陰に身を隠す。
 何をしているんだ俺は。尾行なんて……これではプーン君と同じじゃないか!
( ^ω^)「お?」
 ブーンが辺りを見回している。
 気付かれたか!? と焦ったが、ブーンは然程気にしたふうでも無く、再び歩き始めた。
 俺は溜め息を吐く。
 違う。俺はプーン君のような変質者とは違うのだ。弟の事が心配だから付けているだけだ。
 もしもブーンがプーン君のような危険人物に会いに行くのだとしたら。そう考えると放ってはおけなかったのだ。
 だから俺は正しい。正しい事をしているのだ。



9: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/16(月) 23:10:07.08 ID:HiilrKqD0
  
 ブーンは、とある家の前で立ち止まり、呼び鈴を鳴らした。
 表札には荒巻と書かれている。
 知らない名字だ。一応どんな人なのか確かめておこう。
 荒巻家の扉が開き、中から人が現れた。
/ ,' 3 「ブーン、よく来たね」
 大人しそうな男性だった。ブーンと同い年ぐらいに見える。
( ^ω^)「荒巻、遊ぼうお」
/ ,' 3 「どうぞ、中へ」
 二人は荒巻家に入っていった。
 プーン君と違って、あの荒巻という人は無害そうだし、まぁ大丈夫だろう。



10: ◆NoxMiNDgA2 :2006/10/16(月) 23:13:59.29 ID:HiilrKqD0
  
 帰宅すると、郵便受けに何か紙が挟まっていた。
 取り出して見ると、それはブーンが働いているコンビニエンスストアのチラシだった。
 裏には、手書きで大きく文字がある。
「弟を尾行するとか、きんもーっ☆」と。
('A`)「誰だ!!」
 見られていた。やはり俺は何者かに監視されている。
('A`)「どこに居る!! お前は誰なんだ!!」
 今も俺の姿を見ているであろう犯人に向けて、叫ぶ。
 しかし返事など返ってくるはずも無く、俺の声だけがただ虚しく辺りに響き渡っていた。



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