( ^ω^)あり得たかも知れない展開が集まるようです

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 15:39:36.03 ID:3k6nelvQ0
 
( ^ω^)「くらえ――!」

勇者くんが剣で魔王を切り刻む。

( ゚∀゚)「させるかよォ!!」

戦士様が斧を振り回して魔王の配下を牽制する。

('A`)「…………」
('、`*川「お願い……っ」

その間、賢者さんが魔法で雑魚を蹴散らす。
僧侶ちゃんが法力で磨耗していく仲間を癒す。


从'ー'从「…………ああ」


そして私は、ただ祈っていた。


魔王封印の『鍵』となる自分は、こんな時どうしようもなく無力だ。
下手に戦いに出て死んでしまえば、今までのことが全て無駄になってしまうから。
本当に神様はずるい。今まで何度も思ってきたような事を、今もこうして実感させるのだから。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 15:42:50.16 ID:3k6nelvQ0
祈っているしかないことが、酷く恨めしい。



私にもっと力があれば、こんな所で縮こまらずに皆と一緒に戦えたのに。



≪ぎゃぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお――!!≫



咆哮に、肩が触れた。
見れば、勇者くんたちの周りに土ぼこりが舞っていた。それは魔王も包み込み、あたりを茶色に染めていく。
作戦通り、賢者さんと僧侶さんの魔法と法力のダブルコンボの後、勇者くんが『あれ』を使ったのだろう。



( ゚∀゚)「やったか――!?」


戦士様が言った。


パターン4『ラスボス戦。満身創痍』
     ジャンル「ファンタジー」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 15:44:47.51 ID:3k6nelvQ0
 

 
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ
 ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!!!!!」



高らかな笑い声が響いた。
違う。
これは違う。
勇者くんのでも戦士様のでも、賢者さんのでも僧侶ちゃんのでも違う。
これは、この笑い声は――



/ ,' 3 ≪こんな、こんな物か! 我々魔族と幾久しく抗争を続けてきた人間の力とは、こんな物なのか――!≫



地響きのような声。しかしそれは、勝ち誇ったような声色でもあった。
凶悪につり上がった眼光に、竜のように大きな巨躯が私たちに向く。
歪な形に歪んだ体にびっしりと蔓延った深緑色の鱗には、傷一つみあたらない。

/ ,' 3 ≪聞かせ、人間!! 貴様達の源は何だ?
 絆か? 危機か? それとも――我々への妬みか!!?≫

鋭利な爪で空中を撫ぜるように、魔王は手を広げた。
ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ、と耳に残る笑い声が響く。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 15:50:52.08 ID:3k6nelvQ0

/ ,' 3 ≪片腹痛い、片腹痛いわ!!!!!!!!!!!!!!!
 そんなものの為に魔族は滅ばん! 貴様らごときなど、脅威ですらない!!≫

ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ、と、魔王は笑う。
その力は、その光景は、余りに強大すぎた。

('、`*川「……そんな、そんなのってないわよ!」

僧侶ちゃんがその場に崩れ落ちた。彼女の法力も、残りわずかだ。

( ゚∀゚)「まじぃな、これは?」
('A`)「ふぅ。まったく……だ」

戦士様と賢者さんが、弱った風に頭を欠く。
私たちがもらした絶望の言葉が、瓦解した玉座を彩った。

悟る。

私たちが今対峙しているモノは、全ての魔物にとって、崇高で絶対的な存在であるのだと。
そして、

/ ,' 3 ≪全て滅ぼそう!! 全て断ち切ってやろう!!!!
 弱い弱い、脆弱な貴様らを、今ここでなァぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!≫

私たちにとって倒すべき敵なのだということを。



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 15:56:42.86 ID:3k6nelvQ0
あるある展開その8『全然痛くないよ』
「やったか!?」って言うとやってませんからの法則。
ぞくに言うフラグ立て展開と言う奴である。

この展開は、「やったか?」の一言がキーになる。
このたった一言でこの展開にロックオンされる。自由度は皆無と言っていいかもしれない。
漫画、小説、アニメなどで使われるこの言葉は、同時に『お約束』や『王道』と言った表現をされる。

一言で言うと、燃えるのだ。

魔王の強大さと絶対的なまでの力を表しながらも、
それに立ち向かう勇者ご一行の果敢さと勇猛さをぎゅっと凝縮させたのがこの展開といっていい。
これはもう、燃えるしかないだろう。
そんな訳で、大好きな展開の一つである。

この展開に持っていく時に重要なのが、なによりも「やったか?」と言う前に
味方を満身創痍にさせること。ズタボロになりながらもさらに立ち向かう感じが出るといいと思う。



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 16:07:02.96 ID:3k6nelvQ0
焚き火が燃えている。
パチパチと、火の粉を穏やかに散らしている。

安楽椅子に腰掛けながら、滔々と語っていた老婆はそこで言葉を止めた。
この地域に伝わる、古い昔話だった。
勇者とその仲間たちそして、『鍵』の少女が繰り広げる冒険譚である。


「ねえねえ、おばあちゃん。それで、勇者たちはどうなったの?」


気がつけば膝元に擦り寄って来ていた孫に、老婆は優しげな瞳を向けた。
頭を撫で付ければ、擽ったそうに身をよじる。

「どうなったと思う?」
「どうなったんだろう?」

「……さあ?」
「もう、おばあちゃんっ!」

瞬間的にむくれた孫娘へ、老婆はあくまで優しく言った。
精悍な光を瞳に宿しながら。

「どうなったん、だろうねぇ」

焚き火が燃えている。
パチパチと、火の粉を穏やかに散らしている。



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/17(日) 16:08:07.75 ID:3k6nelvQ0
あるある展開その9『昔語り』

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄
      O 。
というお話
だったのさ r―-、
      //\ヾ\
____ _((∀`\ )
L|_|_|_/ノへ>/" )ヽ
L_|_|_|\'-') / 丿/
L| 从 \_ ̄ ̄⊂Lノ/
L| 从从 /\__/ ‖
L|//ヘヾ/   ゝ/‖
―――(〜ヽ__|/

      = 完 =

大抵エピローグと幕間に使われる展開。というかそれぐらいしか使えない。
老婆は魔物で子供は魔物でしたー。ってバットエンドも楽しそう。
後味は最高に悪いだろうけど。



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