(´・ω・`)の恨み代理店のようです

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:09:16.59 ID:rCUca86J0

<第1話 ご注文をどうぞ>

壁、天井、床に囲まれた空間。
内装はバーのようになっていて、薄暗い。
小学校の教室ほどの大きさのそこに、男女が一人ずつ。

カウンターの向こうには眉が垂れ下がった頼りなさそうな男。
カウンターの前の椅子には金髪で気の強そうな女性が座っている。

(´・ω・`)「何か質問でもある?」

ξ゚听)ξ「・・・」

女性は顔をこちらに向けるも言葉を発しない。
5分の沈黙の後、女性が口を開く。

ξ゚听)ξ「・・・なんなのここ?夢?」

男は少し考え質問に答える。

(´・ω・`)「ここは君が生きてた場所からみた<あの世>、夢か現実かは・・・すまない。はっきりとしていないんだ」

ξ゚听)ξ「・・・やっぱり私死んだの?」

(´・ω・`)「残念ながらね」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:10:16.28 ID:rCUca86J0

ξ゚听)ξ「・・・そう」

女性は興味がなさそうに返事をし、続けて口を開く。

ξ゚听)ξ「あの世ってこんな場所なんだ。イメージと違う」

(´・ω・`)「正しくは<あの世>に逝く途中の場所だけどね」

女性は頭に疑問符を浮かべながら、男と目を合わせる。
男はゆっくりと、この場所について説明をする。

(´・ω・`)「このバーは<恨み代理店>。ある条件を満たした魂が来ることになっている。
      その条件は、天国コースに逝く権利を持っていて、尚かつ<明確な意志>をもって殺されること」

ξ゚听)ξ「恨み・・・代理?天国コース?」

(´・ω・`)「そう、人は死んだら二つのコースに分けられる。一つは地獄コース、もう一つは天国コース。
      そのコースは自分で選ぶことができない、気づいたら逝っているんだ。
      そして<この世>から天国コースまでの途中にあるのがこの店さ。」

女性は必死に理解しようとしているようだったが、男はお構いなしに話を続ける。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:11:19.00 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「君がとれる選択肢は二つ。天国コースへ逝くか、恨みを晴らすか」

男は静かに、しかしはっきりとその言葉を言い放つ。

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと待って!その二つを選ぶとどうなるの?」

(´・ω・`)「そうだった、それを説明しなきゃ選べないね。ごめん」

(´・ω・`)「まず天国コースの説明からするよ、天国コースは善い魂が逝くところだ。普通の生活を送っていれば逝ける。
      ここはでは次の一生を決めることになる、大切だからよく訊いてね。
      まず、人間は80年生きると決められている。だけどそれにとどかず死んでしまう人も多くいる」

ξ゚听)ξ「つまり私はその多くの中の一人ってことね」

(´・ω・`)「そう、そんな人たちは余った分を天国で過ごせる。天国はいいところだよ。
      そして<あの世>と<この世>で合計80年過ごすと転生、つまりまた<この世>に生まれなければならない。
      君だったら58年天国で過ごすわけだね」

ξ;゚听)ξ「そんなにいなきゃ駄目なの?というか何で私の歳知っ(´・ω・`)「続けるよ」

男は女性の話を途中で切る。
女性はムスッとしていたが、気にしていないといった様子で話を続ける。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:12:38.24 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「君はそんなにいなきゃ駄目なの?そう言ったね。天国コースは自分の好きなときに転生できるよ。
      それだけじゃない、余った年数で買い物ができる。次の生き物の種類や、才能、寿命なども買える。
      買わなくても良いんだけど買った方がいいと思う」

ξ゚听)ξ「長生きする人ってみんな寿命を買ってるってこと?あと生き物の種類ってどういうこと?」

(´・ω・`)「その通り、寿命は結構人気があるね。生き物の種類というのはそのままだよ。
      鳥や、魚、植物など、次に何になるか選べるんだ。何も買わないと人のままだよ」

ξ;゚听)ξ「天国すげぇ」

(´・ω・`)「ちなみに80歳を越えて死んだ人は天国地獄関係なく真っ先に転生だからね、何もかもがランダムさ」

ξ゚听)ξ「なにもかも?」

(´・ω・`)「生物の種類も才能も勝手に決まるんだ、天国コースの説明はこんなところかな。
      もっと詳しいことは天国コースに逝ってから調べると良いよ」

男はコースについて話し終えると、少し休憩しようと提案した。
女性あその間に自分が置かれている状況について考えている。
男はそんな彼女にそっとカクテルを差し出す。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:13:34.05 ID:rCUca86J0

ξ゚听)ξ「私お酒駄目なんだけど・・・」

(´・ω・`)「知ってるよ。それノンアルコールだから」

ξ;゚听)ξ「なんで知ってるのよ・・・」

(´・ω・`)「職業柄さ、食べ物の好き嫌いとかも知ってる」

ξ;゚听)ξ「あんたそれストー・・・・」

女性は途中で言葉を詰まらせ俯く。
カウンターの裏に立っている男は彼女を見下ろす姿勢で言う。

(´・ω・`)「もちろん誰に殺されたか、そいつがどんな奴だったかも」

ξ#゚听)ξ「ッ・・・それ以上言うと」

彼女がカウンターに身を乗り出す。
勢いよく立ちあがったせいで椅子がガタンと音を立て倒れる。

(´・ω・`)「落ち着きなよ、これから話すのはそいつも関わってくるんだし。ね?ツンさん・・・・」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:14:37.65 ID:rCUca86J0

ξ#゚听)ξ「・・・」

ξ゚听)ξ「・・・」

ξ )ξ「・・・なんで私が殺されなくちゃいけなかったのよ」

ξ;凵G)ξ「なんで!なんでよッ!!まだやりたいことが沢山あったのに・・・」

ツンと呼ばれた女性は、「なんで」、この言葉を何度も何度も繰り返し呟く。
カウンターにはいくつもの涙の粒が落ちる。
眉の下がった男はツンの泣いている姿をただ眺めているだけ。
二人しかいない空間にはツンのすすり泣く音のみが漂っていた。

しばらくすると、ツンが泣きやみ顔を上げる。

ξ゚听)ξ「・・・ごめんなさい、みっともないまねをして」

(´・ω・`)「気にしなくて良いよ、それより」

男がそこまで言うとツンがしっかりとした声で言う。

ξ゚听)ξ「恨みについてでしょう。話してちょうだい」

かしこまりました、男はそう言うとまた喋り始めた。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:16:01.37 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「最初にも言ったとおり、ここは<明確な意志>によって命を落とした人が来るんだ。
      <明確な意志>のほとんどは殺意。ツン、君もこれだよ」

男はそう言うと、ツンの反応を待つ。
ツンは潤んだ目を男に向け続きを話すよう促す。

(´・ω・`)「ここに来た人は自分を殺した奴に恨みを持っている人がほとんどさ。無理矢理何もかもを奪われたわけだからね。
      だけど肉体を持たない魂は<この世>に介入する事はできない。だけどその想いは募る一方。
      そんな時に僕、つまり<恨み代理店>の出番ってわけさ」




(´・ω・`)「僕はお客様の望み通りに人を殺める」




そう言い放った男の目は冷たくまるで作り物のようだった。
ツンは何も言わず男を見つめる。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:18:50.94 ID:rCUca86J0

ξ゚听)ξ「じゃあ話は簡単ね、あいつを殺してきて」

ツンはさらりと、それが当たり前だとでも言うように言い放つ。
それは仕方のないことなのかもしれない。
これから望むモノが多かったであろう時間を、その男によって奪われたのだから。

(´・ω・`)「・・・残念だけど、只じゃないんだ」

ξ;゚听)ξ「はあ?なによそれ」

ツンは「どういうことなの」、と怒りを交えた言葉をなげるが、すぐに何かに気づく。

ξ゚听)ξ「・・・余った年数を使うの?」

(´・ω・`)「その通り、しかも全部。それに加えてもう一つ、次の生命から何かを頂くことになる」

ξ゚听)ξ「・・・説明してちょうだい」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:21:12.51 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「いくら向こうが悪いとはいえ、命を奪うわけだからね。こちらも代償を支払わなければならない。
      そしてその代償は次の命に影響する」

ξ゚听)ξ「代償というのはなんなの?」

(´・ω・`)「望むやり方にもよるけど・・・主に視力や、脚など、つまりは何かしらの能力だね。
      たとえば脚を代償に出したとしよう、望みが大きければ・・・次の体に脚がないかもしれない。
      小さければ走るのが苦手、この程度ですんだりもする」

ξ;゚听)ξ「・・・」

ツンはポカンとした顔をしていた、それも無理はない。
何もかもを奪った人物を恨むのは当たり前、なのにこちらも何かを奪われるのだから。

(´・ω・`)「あと、こちらが恨みを晴らして少し経ったら君は転生しなければならない。
      ちなみに人のまま、ね」

男がそう言うとすぐにツンから答えが出る。

ξ゚听)ξ「決めたわ」

(´・ω・`)「・・・そう、天国と恨み、どちらにするの?」

ξ゚听)ξ「天国よ」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:22:41.26 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「それが君の答えかい?」

ξ゚听)ξ「ええ。嫌いな奴のために次の人生を棒に振るなんて嫌だわ」

(´・ω・`)「じゃあ一応、君が後悔する前にこれを観せておくよ。
      いいかい?これは君のためだ。天国は<この世>の好きなところを眺められる。
      君が<この世>を見たとき後悔しないよう」

男はそう言って、パチンと指を鳴らす。
上からスクリーンのようなモノが降りてきて、そこに人が映し出される。

( ^ω^)

少し小太りで、色白の男。
一人暮らしなのだろう、その部屋には服などが散乱している。

男は刃物を手に取りそれを見つめる。

ξ゚听)ξ「・・・・・」

ツンは黙ってスクリーンを観ていた。
瞬きもせずに、一度も視線をはずすことなく。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:25:41.11 ID:rCUca86J0

( ^ω^)「・・・・」

男はとても小さな声でボソリと呟く。
ツンはそれを聞き取ったようで、顔から血の気が引いていく。

スクリーンに映る男は手に持っている刃物を鞄にしまう。
部屋の明かりを消すと男は横になった。

そこで映像は消える。

ξ )ξ「これはいつの映像なの?」

(´・ω・`)「たった今さ。君が死んだ日から2日が経ってるよ。時刻は22時丁度だね」

ξ )ξ「あなた卑怯よ・・・。天国の話をした後にこれを観せるなんて・・・。天国なんか知らなきゃ良かった」

(´・ω・`)「それはすまないことをした」

ξ )ξ「さっきの答え・・・変えてもいい?」

(´・ω・`)「・・・構わないよ」

ξ )ξ「・・・い・・藤・・・を・・・」

ξ#゚听)ξ「裂いて!裂いて!何度も裂いて!私の恨みを晴らしてっ!!」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:27:30.84 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「もう一度訊くよ・・・」



                  「あなたのご注文は?」



ξ )ξ「何度も裂いて、それが私の注文よ」

(´・ω・`)「では代償について決めようか」

ξ )ξ「何を貰っても構わないわ」

(´・ω・`)「えっと・・・、確か君はどっちの視力も2.0だったね」

ξ )ξ「目が無くなるのね・・・、構わないから早く」

(´・ω・`)「どっちの視力も1.0貰っておくよ。これで契約成立ッと。次の君の人生、眼鏡っ子になるかもね」

ξ゚听)ξ「へ?」

ツンはキョトンとした顔をして男に問いかける。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:30:40.10 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「だから、次の人生の両目の最高視力1.0だからね」

ξ;゚听)ξ「・・・その程度で良いの?」

(´・ω・`)「だって何度も裂くだけでしょ?そんなの普通の人間にもできるよ」

ツンはあまりの出来事に呆気にとられている。
それと同時に悲しくなる。
自分の失った命は、この程度の視力と同じだったのかもしれないと。

だが同じやり方で命を落とさせる、この考えはかわらなかった。

ξ゚听)ξ「お願いするわ・・・。ところで」

あなたの名前は、とツンが訪ねる。

(´・ω・`)「ショボンと申します」

男はそう言ってツンに背を向け歩き出す。
男が歩き出す方向の壁には先ほどまで無かった扉がついていた。
扉に手をかけると何かを思いだしたかのように振り返りツンに声をかける。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:32:58.01 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「あの男を殺すシーン観たかったらそのベルならしてね」

そう言ってショボンはカウンターの上にある銀色のベルを指差す。

ξ゚听)ξ「了解したわ」

ツンからの返事を訊くとショボンはゆっくりと扉を開け部屋を出る。
心なしか、少し笑っている。

ξ゚听)ξ「・・・内藤」

ツンが呟いた言葉は一人だけの空間に消えていった。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:34:47.92 ID:rCUca86J0

暗い夜道を一人の男が歩いている。
事件があった場所の近くなので、人気は少ない。

男の100メートルほど後方にはしょんぼりとした顔の男、ショボンが歩いている。

(´・ω・`)「そろそろかな」

そういうと歩く速度を少しずつ早める。
ショボンが男の20メートルほど後ろに近づくと男は振り向かずに走り始める。
おそらく自分をつける者の存在に気づいたのだろう。

しかし、そう簡単に逃げ切れ無いということには気づけなかったようだ。

男は100メートルほど進んだ場所にある公園へ逃げ込む。
その公園の中にある人工的に作られた林のようなところで息を潜める。
笑い声を必死に押し殺そうとしている男は、近くにいる者の存在に気づいていなかった。

(´・ω・`)「よう」

ショボンは男の後ろから、まるで友達にでも会ったかのように声をかける。
男は振り向き「ひっ」と声を漏らす。
だが次の瞬間にはポケットから小型のナイフをとりだし、ショボンにつきつけていた。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:36:32.93 ID:rCUca86J0

ショボンはナイフを全く気にせずに男に近づく。

(´・ω・`)「何でにやついてたの?まさか僕をまいたとでも?」

冗談はよしてくれよ、とでも言わんばかりにショボンは首を左右に振る。
男の方は今の状況を理解していない様子で、右手に持つナイフをショボンにつきつけたまま固まっている。

(´・ω・`)「ある人に頼まれてね、君を殺s」

男はショボンが全部を言い切るまえに、ショボンを横に斬りつける。
しかし男のナイフは何にも触れずに空を切る。
ショボンは半歩下がり、ギリギリの位置でかわしていた。

(´・ω・`)「怪我したらどうする気だ馬鹿野郎」

ショボンは声を発すると同時に男の右腕を掴む。
次の瞬間には男は仰向けに倒れていた。
ショボンは見事に背負い投げを決めたが、男の持つナイフによって腹部に切り傷ができていた。

(´・ω・`)「痛いよ馬鹿。出血多量で死んだらどうする」

ショボンが着ている服装は黒を基準とした、肩から下がない上着。
その下に白のワイシャツ。バーテンダーの服装なのだろう。
その一部が裂け、ワイシャツが赤黒くにじんでいる。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:38:05.37 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「さてと」

ショボンはいつの間にかナイフを持っていた。
そのナイフをみて男はガクガクとふるえ始める。
ナイフが月明かりに照らされる。それはツンを殺したナイフと同じものだった。

(´・ω・`)「驚いた?君これで人を殺したんだよね?」

ショボンの気持ちが少しずつ高揚していく。
男が逃げようとするとショボンは相手の右脹ら脛を刺す。
そしてナイフを下に引く。
脹ら脛は15センチほど裂けていて、そこから「内側」が見えている。
男は必死に声を出そうとするが声が出ない。

(´・ω・`)「声は出ないようにしたよ。君もそうしただろ?悲鳴が聞こえないのは残念だけど」

ショボンはそう言って男を見下ろす。

(´・ω・`)「早く立ちなよ、抵抗しないの?つまんないよ」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:39:12.43 ID:rCUca86J0

男は涙で顔を濡らしながら立ち上がり、ショボンを睨み付ける。
その目からは恐怖と怒りが感じられる。

男が立つのを確認するとショボンはもう一度言う。

(´・ω・`)「立つだけじゃ駄目、面白くない。なあ、斉藤またんき」

(#;∀ ;)「・・・」

またんきは左足で跳び、ショボンに斬りかかる。
しかしショボンはそれをかわしまたんきの右足を蹴る。

(#;∀ ;)「・・・・!!」

今ここで声を出せるようにしたのなら、この広い公園いっぱいに声が響くだろう。
しかしそれすらも許されない。

(´・ω・`)「今のは覇気がこもってなかったからやり直しね」

ショボンは冷たく言い放つ。
またんきはまた立ち上がり、ショボンを鋭い眼光で捉える。



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:40:55.61 ID:rCUca86J0

ξ゚听)ξ「・・・」

ツンは黙ってスクリーンを観ている。
映っているのは二人の男。
恨み代理店のショボンとツンを殺した斉藤またんき。

ξ--)ξ「・・・」


「一目見た時から好きでした・・・。付き合って下さい」

「ごめんなさい。私今付き合ってる人いるから・・・」

「そんな奴よりも俺と付き合ってよ」

「そんな奴って・・・」

「内藤とか言うデブだろ?あんなのより俺の方がいいよ」

「あんたがあいつの何を知ってるのよ!とにかくあなたとは付き合えない!!」

「・・・絶対後悔する、いや、させてやる」

「はあ・・・?ちょっと、それどういう事よ?」

「・・・謝っても許さない」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:42:26.76 ID:rCUca86J0

ξ゚听)ξ「そこからストーカー行為、しまいには・・・」

ツンの目から涙が落ちる。

ξ;;)ξ「内藤・・・」

ツンはカウンターにうつ伏せになり、大声で泣き叫ぶ。

ξ;;)ξ「もう会えないの?なんでよ?何で人を好きになって殺されるのよ!!」



誰も観ていないスクリーンでは二人の男が対峙している。
そこでは雨が降り始めた。

観客のいなくなった舞台は終演に向かう。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:45:10.36 ID:rCUca86J0

先ほど降り始めた雨は次第に強くなっていく。
またんきは怒りに満ちた表情、ショボンは笑いを堪えられないといった表情。

またんきは左足に力を入れ、ショボンに向かい地面を蹴りつける。
跳んだ衝撃で右足に痛みが走ったのだろう。
またんきの顔が歪む。

ショボンはそれをひらりとかわす。
またんきは勢いを殺しきれずに地に這い蹲る。

(*´・ω・`)「・・・ぷっ、あははははは」

(#;∀ ;)「・・・・!?」

(*´・ω・`)「ねえ、君さ、少しでも助かると思ってる?僕を殺せば助かるとでも?」

(#;∀ ;)「・・・・」

またんきは無言で立ち上がる、それを見てショボンは一歩ずつまたんきに近づく。

(´・ω・`)「でも残念、僕はもう飽きたからね。君を殺してはいお終い」

ショボンはまたんきを斬りつける。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:47:30.18 ID:rCUca86J0

裂いて。

(*´・ω・`)「あははははは」

裂いて。

(*´・ω・`)「あははははは」

裂いて。

(*´・ω・`)「あははははは」

(  ∀  )「・・・・・・」

何度も。

(*´・ω・`)「あははははは」

倒れ込むことを許さずに。

          「あははははははははははははははははははははははははは」

動かなくなった「ソレ」を何度も斬りつける。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:49:23.56 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「つまんね」

ショボン急にまたんきを斬りつけるのをやめた。
どさりと音を立ててまたんきが崩れ落ちる。

(´・ω・`)「この程度か。前にやった軍人の方が断然ましだよ」

またんきの四肢はどこも深い切り傷がついている。
服は只の布になり、ほとんど黒に近い赤に染まっている。

ショボンはもう魂の入っていない固まりを蹴りつける。

(´・ω・`)「顔は傷つけなかっただけ感謝しろよ」

「まあ、その顔を見たがる奴がいるか知らないけどね」

そう言うとショボンはまた高らかに笑う。

雨は止み、雲に隠れていた月の光が公園に差し込む。
ショボンは雨に濡れた死体を残し姿を消した。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:51:03.15 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「ただいまー」

ショボンが比較的明るい声でバーに入ってくる。
服には傷も、返り血もついていない。

ξ゚听)ξ「終わったのね・・・」

(´・ω・`)「きっともう少ししたら地獄コースさ」

ξ゚听)ξ「・・・そう」

ツンにはまるで生気が無い。死んでいるのだが。

(´・ω・`)「さて、一段落したことだし、一つ訊いて良いかな?」

ショボンがツンに言葉を投げかけると、ツンは無言のまま頷く。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:53:30.40 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「君は内藤君を見て考えを変えた。それはどうして?」

内藤、この言葉を聞いたときツンは悲しげな表情になる。

ξ゚听)ξ「内藤は私の恋人。いえ元恋人ね」

死んだんだもの、そう言ってツンは自嘲気味に笑う。

ξ゚听)ξ「内藤はきっと私を殺したのがあの男だと気づいたのよ。
      何度も相談していたしね。そして内藤は包丁を鞄に入れた」

(´・ω・`)「きっと殺す気だった・・・と君は考えた?」

ξ゚听)ξ「ええ。私のあとを追うのだったらその場で自分に刺すでしょ、たぶん。
      でも鞄に入れたって事は・・・・ね」

(´・ω・`)「君の代わりに殺してくれるんだったらいいじゃないか」



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:54:53.01 ID:rCUca86J0

ショボンが言った言葉を訊いてツンが怒鳴る。

ξ#゚听)ξ「良いわけないでしょ!好きな人が人を殺して一生を駄目にしようとしてるのよ。
      そんなの私は望まない!!自己満足で自分勝手なのもわかってる!だけどこれ以上・・・」

(´・ω・`)「・・・」

ショボンは黙ってツンの話を聞く。
ツンの眼には少しずつ涙がたまっていく。

ξ;;)ξ「生きてる間だってずっと迷惑かけてたのに・・・死んでまで迷惑かけるなんて絶対嫌。
      私みたいな女がいつまでもつきまとってちゃ駄目なの」

(´・ω・`)「そうかい」

ショボンはそう言って指を鳴らす。
スクリーンには内藤が映る。

ξ;;)ξ「・・・」



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:57:05.25 ID:rCUca86J0

映ったのは病院の中。

真っ白な空間で内藤は叫ぶ。

「ツンに会わせろお!ツンに・・・ツンに」

「落ち着けブーン」

「うるさいお!ツンが・・・ツ・・ンが」

内藤はその場にうずくまる。
周りの眼を気にせず泣き叫ぶ内藤を誰も止めようとしなかった。

ξ;;)ξ「ブーン・・・」

(´・ω・`)「これを観た限り、内藤君は君のことを迷惑だなんて思っていなかったと思うよ」

あくまでこれを観た感じだけどね、そう付け足すとショボンは微笑む。

(´・ω・`)「さて、そろそろ時間だ」



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 00:59:17.82 ID:rCUca86J0

ツンの脚が透けている。
転生の時間が訪れたのだろう。

ξ゚听)ξ「なんか不思議な体験だったわね」

ツンは眼を赤く腫らしている。

ξ゚听)ξ「あなたとっても変。笑いながら人を殺すなんてどうかしてるわ」

(´・ω・`)「そりゃどうも」

ξ゚听)ξ「ふふ、でもありがとね」

(´・ω・`)「これが仕事だからね、でも有り難う」

ξ゚ー゚)ξ「次の人生では80年生きてみせるわ」

ツンはそう言って消えていった。
薄暗い空間にはショボン一人。



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 01:00:17.25 ID:rCUca86J0

(´・ω・`)「笑いながら殺すのは変か・・・」

(´・ω・`)「そうかもな・・でも・・・」

「ふふ、あはは・・・あはははは」

ショボンは突如笑い出す、またんきを殺しているときのように。

(´・ω・`)「楽しい仕事じゃなきゃ続かないもの」


ショボンは笑い終えるとカクテルグラスを洗い始める。

グラスを洗い終え、それをもとあった場所にしまうとカランカランと音が鳴る。
ショボンは音の鳴る方に体を向け一言かける。

  

                      

                      「ご注文をどうぞ」



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/24(日) 01:00:47.26 ID:rCUca86J0


<第1話 ご注文をどうぞ> END



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