从'ー'从は死神のようです

2: 九話「忍び寄る影」 :2009/02/28(土) 20:28:13.86 ID:2fSffE6VO
夕映えに茜色に染まる街並みの中を、ブーンは当てもなく練り歩いていた。

渡辺から逃げるためである。

( ^ω^)「そろそろ渡辺さんも帰った頃だお。夜怖いですー、とか言いそうだし」

一人そう呟き、ブーンは家路に着こうとしたその時、あまりにも不審な行動を取る人物を見つけ、足を止めた。

姿格好からしてまずおかしい。

つや光る黒ラシャ生地のジャケットは背部の下部が燕の尾のように長く垂らされ、黒ベストの内側に着込んだシャツは白無地イカ胸のウイングカラー、スラックスは両腰に二本の側章がついた、いわゆる執事服の代名詞である燕尾服を着込んでいる。

襟元には白ピケの蝶タイではなく黒ネクタイを着用していることから、位の高い執事ではなく、一般執事、あるいはただのコスプレである可能性が高かった。

目にはしたくなかったのが、白手袋をつけた手で握り締める死神の象徴、大鎌の存在。

もうその時点で渡辺の関係者である可能性は濃厚で、ブーンはすぐさま関わり合いを避ける方策を練り始めた。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:29:55.38 ID:2fSffE6VO
不審者は、渡辺と同年代程の少年だろうか。

淡く輝くアッシュブロンドの髪はそよ風に揺れ、透き通った碧眼はゴミ捨て場のポリバケツの後ろ側に向けられていて、何かを探しているように見える。

ここまで見ると、ハイスペックな少年、つまり美少年に見えるが、よくよく顔をご覧になってほしい。

ああ、眉毛。そのしょぼくれた眉毛がはっきり言って、端正な顔を台無しにしていた。無念。

それだけでも痛い子であるのを察してあげる光景だったが、間違いなく渡辺と同じ死神であろうことは予測がつき、普通の人間には見えていないだろうから通報はされていないはずだ。

だとしたら、ブーンも普通の人間と同じように見えない振りさえすれば、目の前を通り過ぎようとも関わりが出来ることもない。

しかし、決して普通の人間などではないブーンは、心向くまま少年に声をかけた。

( ^ω^)「めいあいへるぷゆー?探し物や不倫調査、可熱と不熱のゴミの仕分けから明日提出の課題まで、お困り事ならなんでもお任せ☆
『隣の隣人』こと、ブーン、ここに参上だお!」

いえーい、とピースを向ける決めポーズも忘れなかった。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:32:16.85 ID:2fSffE6VO
いきなりこんなテンションで声を掛けられたら、誰だって反応に困る。

執事服の少年も、ギョッとした表情でブーンを見やった。

(´・ω・`)「……僕の姿見えるんですか?」

( ^ω^)「いえすあいあむ。君が渡辺さんの命を狙ってる正義の使者かお?男の死神は執事服が制服かお」

(´・ω・`)「綾子ちゃんも知ってるんですか!?」

( ^ω^)「おっおっ!知ってるも何も、ブーンが育てたようなもんだお。
近いうちに、自転車の乗り方と九九をマスターさせてやらないといけないお」

(´・ω・`)「……貴方、何者ですか?」

少年は胡散臭いものを見るような目付きでブーンを睨んだ。

( ^ω^)「まま、そんな警戒しなくていいお。
渡辺さんの知り合いなら、ブーンが渡辺さんの犠牲者、って言えば分かるかお?
ちょっと前に、あのボケ娘に間違えて殺されたんだお!」

(´・ω・`)「そういうことですか……」

納得の色を少年は顔に浮かべ、すぐに苦々しい顔つきに変化させた。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:33:50.98 ID:2fSffE6VO
(´・ω・`)「だとしたら、業務上過失届けと情報漏洩処理申請やらの書類提出も綾子ちゃんは怠っているということですね……」

( ^ω^)「おぉ!渡辺さんの口からはでてきそうもない仕事的な単語だお!」

(´・ω・`)「綾子ちゃんの仕事の大半は僕が裏から支えてあげていた部分がほとんどですからね。
ブーンさん殺害の件は、僕自身の仕事が忙しくて綾子ちゃんに付き添えなかった時のことでしょう。
僕が付いてれば、仕事もクビになることなんてなかっただろうに」

はぁ、と溜め息を付く仕草はベテランの域に達していた。

すなわち、渡辺のせいで溜め息ばかり吐いているのが見て取れる。

(´・ω・`)「ともかく、綾子ちゃんの所業の方、僕から謝らせてもらいます。ご迷惑おかけしました」

( ^ω^)「あ、これはご丁寧にどうもだお。今度菓子折り持ってこいお」

礼儀正しくお辞儀する少年に、ブーンもお辞儀を返す。

(´・ω・`)「申し訳ありません。菓子折りの代わりとは言いませんが、これはサービスです」

少年がブーンに一枚の紙を渡す。

恐らく死神界の名刺であろうそれには、『死神界No2 ショボン』と書いてあった。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:35:09.92 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「あ、これはご丁寧にどうもだお。今度菓子折り持ってこいお」

一字一句違わず返事をするブーン。

ツン辺りなら呆れながらも突っ込んでくれるだろうが、相手が違った。

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

すちゃり、と大鎌を構え、ショボンは低い声音で言った。

( ^ω^)「怖っ!でも萌えっ!ツンとしてる態度がそそるお!」

脅されようと全く態度を変えないのがブーンという人間だった。

(´・ω・`)「今のは脅しではないです。
本来なら記憶の消去で済む情報漏洩の事後処理ですが、僕程度の死神になれば正規の手続きをした上で抹殺してしまうことも許されているので」

( ^ω^)「ハァ……ハァ……いいよ、いいよそのクールな対応……もっと……。
ちなみに、ショボン君が捜索中の渡辺さんに関する情報が知りたいなら、安易に抹殺に訴えるのは間違いだと思うお」

(´・ω・`)「問題ないです。綾子ちゃんとは幼馴染みで行動パターンは把握してますから、すぐ見つかるはずです」

( ^ω^)「……ポリバケツの後ろを探される行動パターンってすごい気になるお」

と、そこでブーンはあることに気付いた。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:36:26.37 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「あれ、幼馴染み?渡辺さんの命を付け狙うストーカーさんじゃないのかお?」

(´・ω・`)「誰がストーカーですか、失礼な。
死者の書を勝手に持ち出した件に関して、喚問を拒絶してる綾子ちゃんを強制連行しに来ただけです」

( ^ω^)「連れ戻すだけ、かお?
それじゃあ、渡辺さんが言ってた命を狙う相手はショボン君じゃないのかお?」

その発言には、クールな仮面を取り払った死神の少年が敏感に反応した。

(;´・ω・`)「綾子ちゃんが命狙われてるんですか!?」

( ^ω^)「本人はそう言ってたお。軽く無視したけど」

(;´・ω・`)「無視してどうするんですか!それで本当に綾子ちゃんが殺されでもしたら、貴方の責任にもなりますよ!」

( ^ω^)「おっおっ、頼まれると断りたくなるんだお」

(;´・ω・`)「どんな性格してるんですか……」

( ^ω^)「そりゃもう、人間的魅力の詰まった性格だお。
トラブルを自分で解決する力をつけなきゃ、いつまで経っても渡辺さんはドジっ子のままだお。
谷に我が子を突き落とすライオンの気持ちが痛いほど分かったお」

顔を歪め胸に手を当てて痛ましさを表現しているが、これっぽっちもそんなことを思っていないことは、会って間もないショボンにもよく分かっていた。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:38:32.77 ID:2fSffE6VO
(´・ω・`)「ブーンさん、貴方という人間がよく分かりました。僕とはあまり相性が良くないみたいですね。
綾子ちゃんの情報を素直に提供してくれれば情報漏洩に関して甘めの取り計らいをしますが、断れば遠慮なくぶち殺します」

( ^ω^)「ちょっと冗談を入り混ぜたほうが会話の潤滑油に……まぁいいお。
今後の展開が面白そうだし、素直に冗談提供してやるお」

(´・ω・`)「無駄に命を摘み取らずに済んで助かります」

( ^ω^)「仕事熱心な死神なんて毛嫌いされるだけだお。
命を粗末にしたらお百姓さんに怒られるって、ママに言われなかったかお?」

(´・ω・`)「粗末にしたらお百姓さんが怒るのは食べ物です。
……まぁ、命も粗末にしたら怒るでしょうが」

( ^ω^)「おっおっ!ブーンの言うことに間違いはないのだお!」

わざと間違えた発言ばかりを繰り返す人間のセリフではなかった。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:40:36.86 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「よし、ついてくるお。渡辺さんの家に連れてくるお」

(´・ω・`)「出来るだけ早くお願いします」

( ^ω^)「おっおっ! ……こうして、ブーンは新しいモンスターを仲間にしたのだった」

モンスター扱いされたショボンが怒ったのは言うまでもない。

懲りずにふざけながら、死神の少年を引き連れたブーンは渡辺のダンボールハウスがある公園へと向かったのだった。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:41:57.03 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「着いたお!ここが渡辺さんの住処だお」

(´・ω・`)「……またふざけてるんですか?」

ただの公園に連れて来られたのだから、この反応は当然と言える。

( ^ω^)「いやいやいや!ふざけてばかりいると思われたら心外だお。
渡辺さんはここにいるから、嘘だと思うなら、その二つのブルーアイズで現実を見てみろお!」

(´・ω・`)「……綾子ちゃんがいなかったら狩ります」

( ^ω^)「いなかったら貸せないお、ご主人様」

(´・ω・`)「貴方を狩ります、って意味です」

( ^ω^)「おっおっおっwwwwwwwご指名ありがとうだおwwwwwww三十分一万円で膝枕+耳掻きサービスさせていただくおwwwwwww」

(´・ω・`)「素直に気持ち悪いです」

そろそろブーンの冗談にも慣れ始めたショボンは、率直な感想を放ってブーンを返り討ちにする。

ブーンはその場に膝と手をついて敗北感に打ちひしがれた。

(´・ω・`)「馬鹿は無視して、綾子ちゃん探しますね」

(;^ω^)「あ、ちょっと待つお!」

すたすたと歩き出した少年を見て、慌ててブーンも立ち上がった。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:43:46.69 ID:2fSffE6VO
見渡す限り、人の姿はどこにもない公園を、ショボンは当てもなく歩く。

( ^ω^)「そっちじゃないお。こっちこっち」

手招きするブーンは、すでに東屋の側にいた。

( ^ω^)「これ、だお。立派なもんだお?」

(;´・ω・`)「………」

ブーンが家と言って指差した物体に近付いた少年は、唖然して呆然と立ち尽くして愕然と見つめた。

簡単に言っちゃえば酷く驚いた。

そこにあるのは、ブーンが昼間に見た段ボールハウスが改装されたものだった。

『拾ってください』の文字が×印で消され、辛うじて読める字で『拾わないでくだちい』と上に書かれていた。

「さ」を間違えて「ち」にしちゃったお子様仕様が見て取れる。

段ボールの表面に所々穴が開いているのは、黒ヒゲ危機一髪の結果だろう。

極めつけに、出来損ないの雪だるまの手のように段ボールの左右に木が刺されていて、丁寧にも端っこには手袋が被されていた。

幼児、恐るべし。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:45:01.48 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「渡辺さん、お客さん連れてきたお!起きるお、天然娘」

段ボールの上部から顔だけ突き出した状態で立ったまま寝ている渡辺を、ブーンは起こしにかかった。

从;'ー'从「あぅ……ちょ、もう起きましたから、ブーンさん!
あんまり揺らされると段ボール酔いしちゃいます!」

ぐらぐらと縦に横に段ボールを揺らし続けた結果、目覚めの悪そうな渡辺も飛び起きるように目を覚ました。

( ^ω^)「まだ夕方なのに寝るの早いお。どこの小学生だお」

从'ー'从「だって、ブーンさんを探し回って疲れちゃいましたもん。
それにほら、見てください、これ!寒さ凌ぐのにいいかなー、と思って葉っぱ敷き詰めたんですけど、
これがまた意外と暖かくて!眠気に襲われちゃいました!」

そう言って渡辺は、段ボールの中から手を出して深緑の葉を見せびらかせる。

見ると、段ボール内部は肩辺りまで葉っぱで埋め尽くされ、布団の役割を果たしている。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:46:24.60 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「なんかもう、逞しすぎするお。
でも思ったけど、寝る時は頭も段ボールの中に入れて上部を閉じたほうが、密閉されて暖気アップ、より快適な睡眠が得られるはずだお」

从*'ー'从「はっ!気付きませんでした!さっそく試してみます!」

言うや否や、ガサッと音を立てて頭を引っ込める渡辺。
ブーンはお手伝いとして上の蓋を閉めてあげた。

( ^ω^)「湯加減いかがだお、お嬢様」

从*'ー'从「…………」

返事がない代わりに、すーすー、と寝息のような音が聞こえてきた。

(;^ω^)「秒殺で寝るなお、マイペース娘!どんだけ寝つきいいんだお!」

从;'ー'从「わわ、起きますから、揺らさないでください!
わわ、目を開けているのに真っ暗です!
暗いの怖いです!!助けてください!!」

( ^ω^)「やっぱり暗いの苦手かお。出して欲しければこちらの要求を飲んでもらうお」

从;'ー'从「飲みます!お汁粉だろうと、コーンポタージュだろうと飲みます!
でも、ビールは苦くて飲めませんから許してください!」

( ^ω^)「……飲み物じゃねーおアホ」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:47:39.27 ID:2fSffE6VO
从;'ー'从「うぅ……要求は後で聞きますから、早く助けてください!!お化け!お化け!!」

お化けを恐れる死神というのもおかしな話だったが、このままだと渡辺が発狂しそうだったのでブーンは仕方なく渡辺を解放した。

从;'ー'从「あぅー、ちょっとやばかったです……」

涙目で頭を出した渡辺は、情けない声を出した。

( ^ω^)「よし、さっそく要求を言うお。面白そうだったから、渡辺さんをストーカーしてる人をここまで連れてきちゃったけど怒るなお」

从'ー'从「お客さん……ですか?」

(´・ω・`)「だからストーカーじゃ……まぁいいや。久しぶり、綾子ちゃん」

きょとんとする渡辺は、その声を聞いてようやくブーンの他にも誰かいることに気付いた。

从'ー'从「その顔と声は……誰ですか!?」

(;´・ω・`)「分かってよ!ショボンだって!幼馴染みでしょ!?」

从'ー'从「おー、ショボちゃんでしたか!久しぶりだから忘れてました」

えへへ、と無邪気な笑顔を見せられても、幼馴染みなのに存在を忘れられていた少年の心を慰めるには至らなかった。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:49:01.27 ID:2fSffE6VO
(;´・ω・`)「僕ってその程度の存在なのか……。あと、ショボちゃんって呼び方はやめろって何度も言ったろう」

从'ー'从「なんでですか?ショボちゃん、女の子みたいに可愛いですから、ちゃんのほうが似合いますよ?」

( ^ω^)「そうだお、ショボちゃんwwwwwww今度女装の仕方教えてあげるおwwwwwww」

お調子者で変態、女装歴十年のブーンも、ここぞとばかりに「ショボちゃん」呼ばわりし始めた。

(;´・ω・`)「貴方は黙っててください!
……女の子みたいだから、その呼び方は嫌いなんだ」

从'ー'从「むっ、褒めてるのに!私なんて、褒められてないのに褒められたって勘違いして喜んじゃうんですよ!」

(´・ω・`)「綾子ちゃんは得してるよ、ほんと」

从*'ー'从「えへへ、お得です」

天然娘は嬉しそうに笑った。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:50:44.49 ID:2fSffE6VO
从'ー'从「それで、ショボちゃんは何しに来たんです?
もうすぐ夜だから、早く帰らないと真っ暗になっちゃいますよー」

(´・ω・`)「……はぁ。昼間に会って強制連行の話をしたはずなのに、もう忘れたのか」

昼間会っていたのなら、まだそんなに時間も経過していないはずなのに、渡辺は早くも忘れているようだった。

从'ー'从「そういえば、そうでした!寝たら忘れちゃいました!
また私の命を取りに来たんですね!ブーンさん助けて!!」

わー殺されますー、と騒ぎだして、渡辺は段ボールハウスから出ようともがき始めた。

从;'ー'从「あぅ、服が木に引っ掛かってお家から出れません……」

( ^ω^)「ふっふっふ、これでヤツは逃げれないお、兄貴!
今のうちに服を脱がせてすることして命を刈り取ってしまうお!順序は逆でも構わんお」

(´・ω・`)「誰が兄貴ですか。そもそも、僕は天界に連行するのが役目で、殺したりなんてするはずがないです」

从;'ー'从「ショボちゃん、幼馴染みを売るなんてひどいです!
きっと私、天界に連れてかれたら罪を問われて殺されるに決まってます!」

( ^ω^)「幼馴染みを忘れるのも大分ひどいお」

天然の成せる技は侮りがたし。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:52:48.59 ID:2fSffE6VO
(´・ω・`)「厳しい処分を受けるのは予測出来るけど、綾子ちゃんを殺したりなんてしないよ。
そんな処分だったら、僕も反抗して綾子ちゃんを守るために行動してる」

ブーンに対する丁寧な口調とは違う、親しみと優しさが滲む、諭すような口調で少年は渡辺の説得に当たった。

( ^ω^)「ほぅ……?」

从;'ー'从「あぅ……でもでも、殺されはしなくても、死者の書を勝手に持ち出して無くしちゃいましたから、相当重い処分になるのは火を見るより明らかなんです!」

(;´・ω・`)「無くしたの!?持ち出しただけじゃ……綾子ちゃんならあり得るから困る」

ショボちゃんにとって一応は予想範囲の展開だったようだ。

( ^ω^)「愛を交わし合っているとこ申し訳ありませんが、僕がその死者の書を破り捨てました」

从'ー'从「そうです!ブーンさんのせいなんです!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:54:17.67 ID:2fSffE6VO
( ^ω^)「だって、ブーンが対象の死者の書なんて見過ごせるはずないお。
その節は、渡辺さんのおかげで事なきを得て助かったお」

从*'ー'从「いえいえ、お役に立てて光栄です」

( ^ω^)「いえいえいえ、このご恩は一生忘れないといいですお」

从'ー'从「いえいえいえいえ、忘れられる前に恩を返してもらいます!」

( ^ω^)「恩は仇で返すことしか知らないけど、それでいいかお?」

从'ー'从「だめです!私、天界には戻りたくないですから、私を助けて恩返ししてください!」

( ^ω^)「しょうがないお」

根負けしたブーンは、仕方なしに段ボールに突き刺さっている木を取り払ってあげた。

( ^ω^)「はい、これで出れるお。恩はちゃんと返したお」

从;'ー'从「えぇー!?死者の書が無くなって命を狙われなくなった恩返しが、それだけで終わりですか!?」」

( ^ω^)「恩に小さいも大きいもないんだお!
ブーン達はどんな小さい恩も無駄なんて思ったりしないお!
それが現場の刑事の仕事なんだお!!!!」

从'ー'从「でもでも、ブーンさんは刑事じゃありませんから、まだ恩は返しきれてないです」

( ^ω^)「なぜそれを」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:55:50.22 ID:2fSffE6VO
从*'ー'从「ふっふっふー!私にかかれば何でもお見通しです!
他にも、ツンさんの部屋にこっそり盗聴器を仕掛けているのも知ってますよ!」

(;^ω^)「ちょwwwwwwwなぜそれをwwwwwww」

これには本気でブーンもびっくりしたようだ。

从*'ー'从「死者の書に書いてあったんです!
このことをツンさんにバラされたくなければ……わかりますよね?」

(;^ω^)「くっ!ツンの弱みでも握ろうと仕掛けたはずが、自分の弱みになってしまうとは!」

从*'ー'从「交渉成立♪そういうわけでショボちゃん!
私を連れ戻したければ、まずブーンさんをどうにかするべきですよ?」

脅迫によって仲間を得た渡辺は強気の姿勢だった。

(´・ω・`)「いいでしょう。元々、気に食わない人でしたから、ぶち殺すのに躊躇いはないです。
……綾子ちゃんに頼られてる存在、というのも面白くないですからね」

すちゃり、と大鎌を構えて見せる少年の目付きは、どう見ても本気です、本当に。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 20:57:47.77 ID:2fSffE6VO
(;^ω^)「もう、何で渡辺さんが絡んでくると毎回命の危険に晒されるんだお!
ええい、やってられんお!車を出せい!やっぱり自分で歩くわ!必殺!渡辺爆弾!」

从;'ー'从「わわ、押さないでください!」

まだダンボールハウスから抜け出せていなかった渡辺を、ブーンは段ボールごとショボンに向かって倒した。

(;´・ω・`)「綾子ちゃん!」

助けようと大鎌を投げ捨てて差し出した少年の手を一瞬早くすり抜け、渡辺はショボンの腰にしがみつくようにして倒れた。

その手は少年のズボンを握り締めたままだったため、必然的にズボンは足元までずれ落ちる。

要するにパンツ丸出し。ブリーフ印。

( ^ω^)「野外ファックはじまったwwwwwwゆとりは野外ファックもお手の物かおwwwwwww
正直羨ましい。じゃあ、あまり邪魔したら悪いから、ブーンはこの辺で退散するお!」

(;´・ω・`)「ちょ、綾子ちゃん、早く手を離して!でも、顔は上に上げないで!」

从;'ー'从「いたたたた……。私の心配もしないで、ショボちゃん自分のことばっかり……
って、な、なんでズボン脱いでるんですか!?ショボちゃんの変態!!!!!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 21:00:21.24 ID:2fSffE6VO
ショボちゃんの変態!!!!
ショボちゃんの変態!!!!!
ショボちゃんの変態!!!!!

\変態!変態!変態!変態!変態!変態!変態!/

野外ファックレイプメイド服幼馴染み天然執事ご主人様しょぼくれ眉毛

このままブリーフを下ろし驚く綾子ちゃんを押し倒して口を口で塞ぎメイド服を引き裂きまだ成長しきっていない乳房を思うままに蹂躙しながら指は未開の地へと

(;´・ω・`)「はっ!あ、綾子ちゃんが脱がしたんだ!いいから、早く手を離して!」

从;'ー'从「あわわ、はい!でもでも、履くのは写真撮ってからじゃだめですか?
ショボちゃん、女の子に意外と人気がありますから、きっと高く売れます!」

(;´・ω・`)「いいわけないだろ!恥じらうどころか写真とっていいかを聞くなんて、綾子ちゃんこそ変態じゃないか!」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/02/28(土) 21:02:37.66 ID:2fSffE6VO
\変態!変態!変態!変態!変態!変態!変態!変態!/

くりくりした目
柔らかいほっぺ
いい匂いの髪の毛
チャーミングな唇
ピュアな心
微笑ましい笑顔


綺麗に並んで歩いた遠足
お弁当を仲良く分け合った遠足

体操服を着てたまいれをした運動会
スクール水着を着て一生懸命後ろに進む水泳の授業

日が暮れるまで鬼ごっこをした公園
転んでしまったときに見えたくまさんパンツ

从'ー'从「私はショボちゃんの下着姿なんて興味ないですから変態ではないです!興味あるのは写真の価値だけですから!」

(;´・ω・`)「はっ!!……はっきり言われると落ち込むな……」

完全にブーンの行動に毒されている渡辺の発言は、ショボンの恋心とか色々を真っ向から打ち砕いた。

日が静々と沈み始め、喧騒も止んだ公園にも夜の帳が下ろされていくのだった。

九話終わり



戻る十話