ξ゚听)ξバスは走るようです

23: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:05:53.16 ID:VKYAoUBw0



    ( ^ω^)はバスを追うようです



24: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:08:00.87 ID:VKYAoUBw0

ζ(゚ー゚*ζ「好きです――――」

告白の言葉に僕は驚いた。
放課後に呼び出されたから、何となく予想はついたけども。

彼女は昔からよく遊んでいるデレ。
正直、彼女が僕のことをこんな風に想っていたのは分からなかった。

( ^ω^)「・・・ごめん」

僕が重々しく放った言葉に彼女は「やっぱりか」と小さく呟く。
それを聞いて、思わず「え」と声を漏らしてしまった。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンはクーのこと好きでしょう?」

飛行機が青い空に一本の線を引く。
そんな中、彼女は僕にそう言った。



25: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:10:02.01 ID:VKYAoUBw0

(;^ω^)「え?何故それを・・・」

デレはやれやれと大袈裟にアクションを取り、僕に背を向けた。

「私がブーンを見てる時、ブーンはクーを見ているから」

( ^ω^)「・・・」

スカートを翻しながら彼女は振り返る。
そして僕との距離を縮めて目を覗き込んでくる。

すると、また背を見せる。
きっと落ち着かないのだろう。

――――僕だってそうだ。



27: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:12:12.16 ID:VKYAoUBw0

そして沈黙を破ったのはデレ。

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、これからも仲良く友達ということで」

( ^ω^)「これからもよろしくだお」

結局、家が近いということもあって途中まで一緒に帰宅した。
話は不思議と途切れることはなく自然と出ていた。

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあね、ブーン」

( ^ω^)「・・・」

ζ(゚ー゚*ζ「どうかしたの?」

なぜ僕がクーを好きなことを知っていて告白したのか。
それを話題にしたくないのは分かるが、僕は聞いてしまった。

デレは少しむっとした後、しょうがないなぁ、と言って答えてくれた。



28: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:14:00.64 ID:VKYAoUBw0

ζ(゚ー゚*ζ「後悔するのは嫌、これが一番の理由かな」

( ^ω^)「・・・ありがとう」

お礼を聞くと彼女は笑顔を見せた。
そして手をふりながら帰路に着いた。

その日の夜、僕は何とも言えない気分だった。
告白は嬉しいものだし、デレのことだって嫌いじゃない。

だけど、それをいくら考えた所で何も変わらない。
きっとデレは明日も笑って話しかけてくれる。

だから僕もたくさん話せるように――――。



29: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:16:02.37 ID:VKYAoUBw0

――――り。

―――りり。

(  ω )「・・・お?」

じりりりりりりり。

( ^ω^)「あー。朝かお」

考えながらも寝れるとは大したものだと思う。
自分は図太い神経をしているのだと実感する。

「今日は終業式だっけ?」

母親の問いに軽くうなずき、仕度をする。
準備ができるとちょうどいい時間だ。

( ^ω^)「行ってくるお」

僕は靴を履き学校へ向かう。



30: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:18:00.51 ID:VKYAoUBw0

  _
( ゚∀゚)「夏休みだなー」

終業式をさっさと終えて僕は帰路に着いた。
隣で一緒に歩いているのは親友のジョルジュ。

親友という言葉はあまり好きじゃない。
なんだか軽く言っているようで嫌になる。

それでも僕らの関係を表すにはそれがちょうど良かった。
  _
( ゚∀゚)「あそこ行くかー」

( ^ω^)「いいお」

「あそこ」と言うのは僕とジョルジュが前に見つけた避暑地。
そこは少し複雑になっていて人はあまり入ってこない。



31: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:20:00.83 ID:VKYAoUBw0

  _
( ゚∀゚)「ああー。生き返るぜ」

二人で川に足を突っ込む。
ワイシャツは汗で張り付いていて気持ち悪い。

( ^ω^)「ジョルジュ・・・」
  _
( ゚∀゚)「どしたー?」

僕はデレに告白されたことを話した。
ジョルジュはあまり興味がないように相槌を打っていた。
  _
( ゚∀゚)「で、お前はクーに告白するの?」

( ^ω^)「・・・」

僕が黙っているとジョルジュは興味を無くしたようで川に目線を落とす。
そんなこんなで時間は流れ家に帰ることになった。



32: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:22:04.19 ID:VKYAoUBw0

その晩、僕は昨日よりもぼんやりとしていた。
これから始まる夏休みがちっとも楽しそうに思えない。

結局夕飯を取ることすらしなかった。
と言うより、食べる気がおきなかった。

そして時間は3時になりかけていた。
恐ろしくも、その時間まで僕の目はさえていた
そこで、急に携帯が鳴り始める。

(;^ω^)「おおお?」

いきなりのそれに驚くも携帯を手に取る。
ディスプレイに映し出された名前。

――――デレ。

僕は少し気分を沈ませながらも、それに出る。



33: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:24:00.67 ID:VKYAoUBw0

「もしもし?」

( ^ω^)「どしたお?」

「ブーンに伝えなくちゃいけないことがあって」

( ^ω^)「なんだお?」

デレの声はいつもと違う。
告白が終わった後のそれより、明らかに重い。

「実は――――」



35: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:26:00.43 ID:VKYAoUBw0

(;^ω^)「――――ッ!」

朝の四時、僕は全力で走っていた。
辺りはぼんやりと霧で覆われている。

田んぼに囲まれた道を懸命に進む。

『――――転校することになったの』


(;^ω^)「ふざけんなお!まだ言いたい事が山ほどあるお!!」

体が重い。
それでも前に足を出す。

もっと、もっと速く。

ようやく見えてきたバス停。
そこに彼女はいた。



36: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:28:00.48 ID:VKYAoUBw0

(;^ω^)「クーさん!」

僕はバスを待つ彼女に声をかける。
と言うよりも叫ぶと言った方が正しい。

川 ゚ -゚)「内藤君・・・。なぜ君がここに?」

彼女は珍しく驚いているようだった。
表情は相変わらず崩さないけども、声が少し上擦っていた。

息を整えている間に、遠くからバスが来るのが分かる。
今しかない。

大きく息を吸う。
そして言わなくちゃいけない。



37: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:30:00.27 ID:VKYAoUBw0

――――。

蝉の声が休むことなく耳に入ってくる。
川に足をつけながら僕は横になる。

目を細めてみる太陽は白く輝いている。

『好きですお!だから、僕と――――』

格好いいことなんて何も言えなかった。
思った通りの言葉を伝えた。

普段、うまく声をかけられなくて、ぎこちない会話をして。
それでも嫌そうにしない君が好きだった。

それを楽しいと言ってくれた君のことが。

ふいに足音が聞こえた。
ここに入ってくるのはジョルジュだろうと思い、そのまま空を眺めていた。



38: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:32:00.95 ID:VKYAoUBw0

ζ(゚ー゚*ζ「奇遇ですね」

陽を遮るようにして僕の顔を覗き込んだのはデレだった。
僕は驚き急いで顔を上げる。

そして額がぶつかり合う。

ζ(゚ー゚;ζ「いったー」

額を抑えるようにしてデレは屈んでいた。
夏服の制服は涼しげに見える。

(;^ω^)「ご、ごごご、ごめんお」

彼女は僕の隣に座り、裸足になる。
そして僕と同じように川に足をつけていた。



40: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:34:00.56 ID:VKYAoUBw0

(;^ω^)「ど、どうしてここに?」

ζ(゚ー゚*ζ「ジョルジュ君に聞いたんだ」

( ^ω^)「だったら奇遇じゃないお」

ζ(゚ー゚*ζ「それもそうだ・・・」

二人で顔を合せ軽く笑う。
そしてお礼を言う、教えてくれてありがとう、と。

ζ(゚、゚*ζ「・・・お礼なんて言わないでください」

彼女とクーは、それこそ僕とジョルジュの関係のようだった。
だから彼女が転校するのも知っていたのだろう。

ζ(゚、゚*ζ「・・・本当は教えるかどうか迷ったんです」

僕は黙って彼女の話を聞く。
彼女はぼんやりと水面を眺める。



42: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:36:00.60 ID:VKYAoUBw0

ζ(゚、゚*ζ「クーが転校するの、もっと前から知ってたよ」

ζ(゚、゚*ζ「でも、ブーンには教えようか迷った」

ζ( ー *ζ「私は、こんな人間だから。振られちゃうのも仕方ない」

デレが初めて悲しそうな顔を見せた気がする。
もしジョルジュが僕の前からいなくなったら。

そう考えただけでもつらいのにデレは――――。

( ^ω^)「でもデレは教えてくれたお」

それが何よりだった。

( ^ω^)「誰かさんが言ってたお。後悔はしたくない、って」

ζ( ー *ζ「後悔してないの?」

(;^ω^)「ぶっちゃけちょっとしてるけど・・・」

ζ(゚ー゚*ζ「だめじゃん・・・」



43: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:38:00.09 ID:VKYAoUBw0

( ^ω^)「でも、きっとこれは良い後悔だお」

後悔に良いも悪いもあるか、と言ってしまえばそれまでだが。
でも、前程のもやもやは無い。

むしろすっきりしている。

ζ(゚ー゚*ζ「私たち、振られた者同士だね」

(;^ω^)「言っちゃ駄目だお」

蝉の鳴く声に笑い声が混じる。

夏はこれから本格的に暑さを増すだろう。
きっと、これからも沢山の物を好きになる。

ζ(゚ー゚*ζ「まだまだ子供だね、私たち」

( ^ω^)「・・・うん」

空は青く光る。
バスは大好きな人を乗せて走って行ってしまった。
正直、これをきっかけにバスを嫌いになりそうだ。



44: ( ^ω^)はバスを追うようです :2009/02/22(日) 23:40:01.11 ID:VKYAoUBw0

「私が転校する時も、追いかけてきてくれる?」

「・・・さあ」

「ああっ!酷い!!」

「冗談だお」

もし君が乗ってしまうのなら、また僕は追うだろう。
こんな僕の話を何よりも楽しそうに聞いてくれる人はここにもいる。

けど、それは誰かの代わりとかではなくて。
本当に、その人だけとして。

そうだな、君がそのバスに乗るんだったら僕も乗ってみよう。
そうすればもっと話せるんだ。

バスは地面を走っている。
行けない所に行くわけではないのだから。



    ( ^ω^)はバスを追うようです END



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