( ^ω^)やまさんのようです

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:45:13.05 ID:MnRRq0n5O
川 ゚ -゚)「それじゃ、師匠、早速ご指導宜しくお願い致します」

(;^ω^)「師匠って、なんだかむず痒いから止めてくれお」

川 ゚ -゚)「じゃあ、やまさん、宜しくお願いします」

(;^ω^)「普通に内藤君って……ああもう面倒くさい、それじゃあ講座を始めるお!」

川 ゚ -゚)「ふっふっふっ、意外とノリノリ」

(;^ω^)「五月蠅い!」


この快晴の空の下、自分は何をやっているのだろうと空しくなってくる。
が、そんな気持ちを押し込めて、目の前にいる頭の良い馬鹿の相手をしてやることにした。

( ^ω^)「まず第一に、それ禁止だお」

川 ゚ -゚)「それって?」

( ^ω^)「……その意味の分からない量に積まれている弁当だお」

一応、ここで昼食を摂っておくつもりだったので、僕も先輩も弁当を持参している。
しかし、先輩の弁当は、一般的な男子生徒の倍以上、どこのフードファイイターだと疑うレベルだった。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:47:30.59 ID:MnRRq0n5O
( ^ω^)「体が弱いことをアピールするためには、小食が基本だお!
       小さい弁当を、半分残すくらいの小食っぷりが望ましいお!」

川 ゚ -゚)「馬鹿な、飯を食わねば健康が疎かになってしまう」

( ^ω^)「だ・か・ら、健康でないことをアピールするのを目指しているんだお?」

川 ゚ -゚)「あっそうか、なるほど……つまり、隠れて食えばいいんだな?」

( ^ω^)「……どうしても食いたきゃいいんじゃないですかお」

ほっと胸を撫で下ろす先輩。
正直、先輩が普通の弁当のサイズを持ってきたたげで異変だと騒がれる気もする。


( ^ω^)「格好の点からいえば、眼鏡、夏でも長袖、黒髪で大体おーけーだお」

川 ゚ -゚)「ほほう、図書館系眼鏡っ子タイプか、中々やるな」

( ^ω^)「良く分からないけど、とりあえず分かってるならそれで良いと思うお」

出来れば貧乳を条件に付け加えたかった。
もっとも、先輩のサイズでは『爆』で表すのが妥当であるので止めておこう。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:48:39.43 ID:MnRRq0n5O
( ^ω^)「運動は御法度、休み時間は常に自分の席で読書。
       夏の日差しで目が眩み、雑踏で気分を害し、200m以上の歩行は不可能」

川 ゚ -゚)「お、おお、急に凄い条件が加わったな!」

( ^ω^)「階段を一階上がる毎に息切れを起こし、声は出来るだけ小さく、どことなく上目遣い。
       寒がりで暑がり、保健室は憩いの場、パンツは白、電化製品は苦手、でも夢はでっかくアイドルになりたいの!」

川 ゚ -゚)「マニアック、マニアックだな、やまさん!!」


どれもジョルジュのネタだったり、僕の趣味だったりするけどまぁいいか。

そもそも先輩が病弱って絶対に無理があるんだもの。
この人、男の子だったら真冬に半袖短パンってレベルの風の子元気の子だもの。

あ、夏の太陽に頭がやられたってことで万事解決か。
……今の僕がその状態なんではないかという疑問は捨てておく。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:51:32.93 ID:MnRRq0n5O
川 ゚ -゚)「……ふむ、これらを実行すれば男共はイチコロか?」

( ^ω^)「ええまぁ」

川 ゚ -゚)「やまさんもかい?」

( ^ω^)「ええまぁ」

そもそも、半分は僕の趣味ですもん。
先輩が実行するとなると話は別ですが。


川 ゚ -゚)「よし、やってやるぞ、目指せ貧血レディー!!」

( ^ω^)「あいあい、頑張ってください貧血レディーさん」

川 ゚ -゚)「あら、立ち眩み」

( ^ω^)「この実行力の早さ……出来る!」


一週間以内に諦めるであろうと僕は予想していた。
正確に言うなら、一週間以内に目を覚ましてくれる……であるのだが。

太陽は今尚、さんさんと降り注いでいる。
やっぱり夏は人を解放させるのだなぁと、しみじみ思った昼下がりであった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:53:35.46 ID:MnRRq0n5O
―――ところが、である。

一週間後のある日のこと、先輩のことをちょっと忘れかけていた時。
帰宅しようとした僕が玄関から出た所、とんでもないものを目にしてしまったのだ。


川 ゚ -゚)「うふふ、ごめんあそばせ」


祭りの神輿のように男たちが台座付きの椅子を担いでいる。
その上には、まるでどこぞの女王様のように、日傘を差して踏ん反り返る先輩の姿が!


(; ゚ω゚)「えええええええええええええええ!!」

(; ゚ω゚)「えええええええええええええええ!!」

(; ゚ω゚)「っええええええええええええええええええええええええええええ!!」


思わず、叫んでしまった。
多分、今後を考えても僕の人生でトップクラスの衝撃だった。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:54:40.00 ID:MnRRq0n5O
( ・∀・)「凄いよね、彼女」

( ^ω^)「あれ、モララー先生、随分と薄汚れていますお」

( ・∀・)「あの美女神輿を担いでみたかったんだけどね……ふふ、親衛隊の力は凄まじかったよ」

肩を落とし、しょんぼりと項垂れる先生。
色々と突っ込みどころが満載だが、何か事情を知っている雰囲気だったのでスルーしておく。


( ^ω^)「彼女って、クー先輩に何があったんですお?」

( ・∀・)「知らないのかい? 元々人気のあった素直クー。
      新たに病弱設定を加え、今や不動の地位を手に入れた……ってここ最近のトップニュースを」

( ^ω^)「随分と域の限定されていそうなニュースですお」

( ・∀・)「実際のところは、病弱を振る舞おうとしている空回りっぷりが受けてるらしいけどね。
      読書しているかと思ったら空気椅子だったり、トイレに行って帰るとほっぺにご飯粒つけてたり。
      眼鏡がグラサンの時があったり、長袖着てるのに汗だくだったり、ジャニーズに入るとか小声で呟いてたり」

まさかの天然タイプ、さしもの僕もこれは予想外だった。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 19:58:45.74 ID:MnRRq0n5O
( ^ω^)「その結果が、あれですかお」

( ・∀・)「受け狙いの一言で済ませない何かが彼女にはあるからね。
      やまさんのキャラが確立した時以来の衝撃だよ……僕も嬉しいね」

(;^ω^)「貴方は唯の祭り好きですかお」

( ・∀・)「はっはっはっ、神輿がありゃ担ぎ、音楽がありゃ歌って踊り、
      スカートがあれば捲り、遊ぶ時は全力で、生徒の笑顔がいの一番……モララー先生ってのはそういう奴なんだなぁ」

遠くを見ながら黄昏れているのか、それともこれは単なる突っ込み待ちなのか。
恐らく後者だと思うので『ソウデスネ』と返すと、案の定物足りないような顔をされた。


( ・∀・)「でも素直クールも何であんな事を始めたんだろうなぁ。
      私としては、昔の熱血キャラもかなりの高得点だったんだが」

( ^ω^)「さぁ、何ででしょうお」

僕は理由を知っている。
だけど、その根底にあるものだけは知らないし、知りたいとも思わない。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:00:20.67 ID:MnRRq0n5O
先輩は好きな人に気に入られたいから努力している。

その努力は素直に称賛すべきだ。
並大抵の人じゃ、そう簡単にあんな風にはなれない。

でも、やっぱり僕は拍手を送ることが出来ない。
送れたとしても、それは心の底からではない、唯単に手を打ちつけるだけの作業だ。

ここまでくると僕は認めなければならない。
僕は先輩のことが好きなんだと。
過去に忘れた気持ちではなく、今現在の僕が好きなんだと。

だから、好きな人の為に努力している先輩の姿を見るのが辛い。
先輩が笑えば笑うほど、僕の心はぎゅうぎゅうと締め付けられる。

こんな気持ちになるなら、この高校に来なければ良かった。

僕は、そんな後悔を抱かざるを得なかった。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:02:03.21 ID:MnRRq0n5O
次の日の学校は苦痛にしか感じなかった。

きっと今も先輩はどこかの誰かに気に入られる為に演技を続けているんだろう。
その妄想が頭からずっと離れなかったから、机に突っ伏してやり過ごしていた。

理由も分からないまま、元気付けようと奮闘するジョルジュには悪い事をしたと思う。
けど僕はこれといった反応を示すこともなく、そのまま学校も終わってしまった。


( ^ω^)「あーあ、明日はちゃんとしないとなぁ……」

自分に言い聞かせるように呟いた時、右ポケットから震動が伝わる。
携帯に届いたメールは母親からのもので、帰り際に買い物をしてこいとの通達だった。

何もこのタイミングでとも思ったが、一種の気晴らしにもなるだろうと思い、
洋服やら本やら、自分の趣味の類のものもついでに買う事にした。

おかげで、本当に家に帰る頃には、日も暮れかけていた。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:04:45.76 ID:MnRRq0n5O
(;^ω^)「最悪……だお」

更には雨まで降ってきた。
単なる夕立ちに過ぎないだろうが、雨宿りに時間を奪われるのは確かだった。

シャッターの閉じた小さな店の屋根は、僕一人入るのがやっとだった。
そこから、ぼーっと過ぎ行く人の波を眺める。

遊び帰りとも見れる小学生達は、濡れる事など気にせずと談笑しながら歩く。
鞄を頭上に掲げて傘代わりにするサラリーマンは、必死の形相で駆け抜ける。
折りたたみ傘を差して歩く老夫婦は、きっとこんな突然の雨にも慣れっこなのだろう。
中には僕と同じように、そこらにある屋根の下で雨宿りしている人もいる。

ほんの少しの時間だったが、夕方の日が沈むのは早い。
雨宿りをしている間に、どんどんと光は失われていく。

雨足も弱まり、そろそろ屋根の下から飛び出そうかと迷う頃。

僕は、見たくもないものを見てしまった。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:07:35.16 ID:MnRRq0n5O
( ^ω^)「……あ」

僕は大した反応も示さず、ただぽつりと声を漏らした。
それからも視線で追うばかりだった。
屋根の下だけが僕の活動出来る範囲だったかのように、見ていることしか出来なかったのだ。


クー先輩は、相合傘で歩いていた。

隣にはジョルジュがいた。

とても楽しそうに、笑いながら、僕になど気付く様子もなく歩いていく。


そういえば、ジョルジュも陸上部だったと、僕は今更そんな事を思い出していた。
二人の姿が小さくなって、遠くの建物の影で見えなくなって、僕はようやく自分の体はもっと自由に動ける事に気付いた。

二歩、三歩と水溜りを乱暴に踏みしめていく。
しかし、踏みだしたのはたったそれだけだった。

気付かない内に雨は止んでいたけど、僕の耳には、未だ降り注ぐ雨音が聞こえている気がした。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:10:21.80 ID:MnRRq0n5O
学校をサボることも考えたが、もうすぐ終業式だからと重たい足を引き摺る。
その過程は千里の道よりも遠く、教室のドアが鋼鉄のように重かった。

( ゚∀゚)「うーす、やまさん、おはよーございまーす」

( ^ω^)「……おはよーだお」

僕の心中など知る由もなく、ジョルジュは今日もへらへらとした笑みを浮かべている。
普段は陽気な奴だと思える態度も、今は無神経なんじゃないかと害されるばかりだった。


( ゚∀゚)「どーした、今日も元気ないのか!」

( ^ω^)「そうみたいだお、そっとしておいてくれお」

( ゚∀゚)「でもよー、ほっておいたらそのままご臨終しちゃいそうだしー?」

( ^ω^)「…………」

今は、今だけは止めてほしい。
ジョルジュの顔を見るのは、きっと、先輩の顔を見るよりもずっと辛いと思うから。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:11:59.67 ID:MnRRq0n5O
( ゚∀゚)「……なぁ本当にどうしたんだよ、悩みとかあるなら言ってくれよ」

( ^ω^)「何でもないお、本当に」

( ゚∀゚)「何もないなら、そんな顔しないだろ? 
     眉間にしわが寄って、本当にお爺ちゃんみたいだぜ?」

( ^ω^)「別に、ただ眠いだけだお」

僕の受け答えが気に食わないのか、ジョルジュが更に詰め寄る。
心配してくれてるのは分かってる、けど、それでどうにかなる問題でもなかった。


( ゚∀゚)「な、俺とお前の仲だろ、言いにくいなら外で聞くしさ!」

( ^ω^)「ほっておいてくれお」

( ゚∀゚)「つれねーなぁー、どうしちまったんだよー!
     本当に病気だったりするんかい、やーまーさん!!」

ああそうだ、ジョルジュは良い奴なんだ。

分かっているのに、なのに。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:14:19.75 ID:MnRRq0n5O
(#^ω^)「ほっとけっつってんだおッ!!」

(;゚∀゚)「…………っ!」


叫ばずにはいられなかった。

教室中が静まり返って、僕達に注目していて、それでも言葉が勝手に飛び出していく。


(#^ω^)「何がやまさんだお、僕は内藤ホライゾンだおっ!!
       いつもそうだ、お前は僕を見下して!! 僕を馬鹿にするんだおっ!!」

(;゚∀゚)「お、俺はそんなつもりじゃ」

(#^ω^)「五月蠅い、僕は何回も止めてくれと言ったじゃないかおっ!!
       それでもお前は止めなかった!! 僕を貶し続けた、これのどこが故意はなかったって言うんだおっ!!

(;゚∀゚)「俺は……本当に……!」


分かってるんだジョルジュ、悪いのは全部僕だってことも。

でも、今は何かに怒りをぶつけずにはいられなくて、ごめん、本当にごめん。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:16:54.49 ID:MnRRq0n5O
(  ∀ )「ごめん、本当に……俺はそんなつもりじゃ……」

(#;ω;)「泣くなお!! だって、僕は、僕は……!!」

(  ∀ )「ごめんな内藤、俺は、俺は……!!」


なんでジョルジュが謝るんだ。
全部僕が悪いんだ、そう、全て、何もかも。


(#;ω;)「僕が……こんなだから……先輩だって……!!」

(  ∀ )「ごめんな、本当に、ごめん……」


(#;ω;)「う…うう……」

(#;ω;)「……ジョルジュ、分かってるんだお、本当に……ごめんだお」


精一杯の勇気を振り絞り、僕は最後にそう言って、教室から逃げだした。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:18:16.52 ID:MnRRq0n5O
真っ白な視界の中で、昔の記憶が再生されていく。
僕が中学生の頃、それも入って間もない、夏休み前の出来事だった。

僕は校舎裏の人気のない場所で、膝を抱えて蹲っていた。
恥ずかしい話だが、部活をさぼり、その場所で時間が経過するのを只管に耐えていたのだ。
一秒が何倍にも長く感じて、酷く心細かったのを覚えている。

そんな時、誰かが僕の肩を叩いた。
僕は震えた。部活の先生か先輩が、僕を連れ戻しに来たと思ったからだ。


川 ゚ -゚)「泣いているのかい、少年」


けど違った。クー先輩だった。
当時は綺麗な女の人だなと思い、その頬笑みに不思議と心が安らぐのを感じていた。

胸元のバッヂから判断すると、二年生。
大人びて見える風体からは、とても一つ違いには見えなかった。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:20:19.13 ID:MnRRq0n5O
川 ゚ -゚)「どうしたんだ、困ったことでもあるのか」

( ;ω;)「部活が、辛いんですお」

川 ゚ -゚)「ほほう部活、一体何をやっているんだ?」

( ;ω;)「……バスケットボールですお」

川 ゚ -゚)「ふむ、あそこは無駄に厳しいことで有名だからなぁ……。
     でも、好きで入ったんなら最後までやりぬくべきじゃないか?」


( ;ω;)「ちがっ、僕は! 別に、好きで!!」

川 ゚ -゚)「あーいいから、鼻水拭けって、な?」


先輩が差し出したのは、綺麗なハンカチだった。
僕はそれを汚すのを躊躇ったけど、先輩は早くしろと促すばかりで、しょうがなく従った。
良い匂いがして、何だか温かかった。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:23:13.64 ID:MnRRq0n5O
川 ゚ -゚)「で、どうしたって?」

( ;ω;)「担任の先生がバスケ部の顧問で、僕みたいな奴は無理矢理入部させられるんだお。
       根性つけてやるって……皆、辞めていったけど、僕だけは辞めさせて貰えないんだお」

川 ゚ -゚)「何で?」

( ;ω;)「未経験者の中では僕が最後に残っちゃって、僕が抜けると一年生は四人しかいないから、それだと試合が出来ないんだお。
       他の学年の生徒でも良いのに、五人いた方が都合いいからって……」
      
川 ゚ -゚)「でも、部活が嫌で逃げ出してきたと」

( ;ω;)「……はいですお」

川 ゚ -゚)「よし、事情は分かった、それなら先輩に任せんしゃい!」


どんと胸を叩いた先輩を、僕はヒーローみたいに崇めていたと思う。
それくらいにその出来事は衝撃的で、輝かしい思い出だった。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/29(日) 20:25:42.64 ID:MnRRq0n5O
結果的に言うなら、僕はバスケ部を辞めさせて貰えることになった。

先輩は、校長やらPTAやらお偉いさんに自ら掛け合い、この問題を解決した。
顧問の先生も、かなり叱咤を受けたらしく、行き過ぎた熱血の火は大分消化させられてしまった。
卒業する日まで、僕とその先生のギクシャクは続いたけど……今となってはどうでもいい話だ。

部活を辞める事が出来た日、僕は先輩にお礼を言いにいった。
今思えば、これが僕の人生のその後を左右していったんだろう。


( ^ω^)「本当にありがとうございましたですお!」

川 ゚ -゚)「生徒会役員として当然のことをしたまでだよ。
     個人的には、あのままでも別に良かったかなと思うけどな」

( ^ω^)「どうしてですお?」

川 ゚ -゚)「君はあまりになよなよし過ぎている。
     もうちょっと男らしくしないと、女の子にもてないぞ?」

まさかそんなことを言われるとは思いもしなかったので、僕は赤面した。



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