( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

15: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 22:53:29.75 ID:wd1GrU6H0
  
―プロローグ―

(  )「……私も、もう終わりか」

暗い研究室とも思える場所で、老人の声が響いた。
その右手には、拳銃。
その左手には――

(  )「やるべきことは全てやった。
     やりたいことは全て終わってはいないが」

苦笑。
人影が無い冷たい空間で、老人は一人笑う。

(  )「さぁ、君はそろそろ行く時間だね」

左手の先に掴んだ小さな手。
その持ち主に老人は語りかける。



17: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 22:55:51.65 ID:wd1GrU6H0
  
( )「?」

(  )「君はね、きっとツライ未来が待っていると思う。
     それは私のせいだ。
     私を恨んでくれても……いや、むしろ恨むんだ」

( )「…………」

(  )「だが、他の人を恨んじゃ駄目だ。
     自分を恨むなんて持っての他……解るね?」

( )「…………」

(  )「君には幸せになってほしい。
     何せ、君は――」



19: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 22:57:52.18 ID:wd1GrU6H0
  
老人の言葉が途中で切れた。
語りかけるべき人間がいなくなったからだ。
その左手の先には、もはや何も握られてはいない。
しばらく老人は何も握られていない左手を見つめ、そして呟いた。

(  )「――さよなら、だ」

暗い部屋に、火薬の破裂音が響いた。
後に残るは静寂。
音は一つも響くことは無かった。



20: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:00:11.35 ID:wd1GrU6H0
  
―数年後―

風が舞う。
夜の闇に、三日月の下に、冷えた空気の中で。

地は砂。
ニューソクという都市の住宅街にある公園だ。

人気がないその地で二つの影が入り乱れる。

( ゚∀゚)「ひょぉぉ!!」

川 ゚ -゚)「ッ!」

金属が鳴る音。
続いて、風が追う。



22: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:02:37.38 ID:wd1GrU6H0
  
男は黒いロングコート。
女も黒いロングコート。

男は右手に長い鎖を。
女は左手に日本刀を。

男の鎖が、女の刀に巻きついており
女の刀は、男の鎖に巻きつかれている。

( ゚∀゚)「おらぁ! こっち来いやぁ!!」

川;゚ -゚)「!?」

男が鎖を引き寄せる。
女は鎖に引き寄せられる。



23: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:04:46.57 ID:wd1GrU6H0
  
鈍い音。
男の握られた拳が、女の顔面にめり込んだ音だ。
女は縦に半回転した後、頭から砂地へ叩きつけられる。

川;゚ -゚)「がっ……!」

鼻を押さえ、もがくように転がる女。
その指の隙間からは大量の血が流れ出している。

( ゚∀゚)「不良品が!」

女の襟を掴み、無理矢理に持ち上げる。

川;´-゚)「はっ……はぁ……!」

鼻血を噴き出しながら苦しむ彼女に

( ゚∀゚)「オラ、さっさと出せよ。
     テメェが持ち出したのは解ってんだ」

殴る、血飛沫。
殴る、血飛沫。
殴る、血飛沫。



26: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:07:13.55 ID:wd1GrU6H0
  
川;´-゚)「うッ……げほっ、がほっ……!」

( ゚∀゚)「苦しいか? 痛いか?」

ヒヒヒ、と笑いながらも、男は殴打をやめない。
口と鼻から血を流しながら、女は息も絶え絶えに口を開く。

川;´-゚)「……ら、に…………い」

( ゚∀゚)「あぁ!? 聞こえねぇぞ!」

顔面を殴り飛ばす。
女はそのまま吹き飛び、地面を転がった。

( ゚∀゚)「はン、所詮は失敗作。
     俺に適う道理がまったくねぇのが現実だ」

鎖をジャラリと振る。
その勢いは段々と増していき、遂には見えぬほどの速度で振り回される。



28: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:08:49.19 ID:wd1GrU6H0
  
( ゚∀゚)「どうしても『8th』を出さねぇってんなら、殺してから服を剥いて調べてやんぜ」

ヒャハハと笑う男。
その顔には狂気が張り付いている。

川;´-゚)「うっ……ッ……」

対する女は、未だ地面に身を伏している。
何度も顔面を殴られた結果、軽い脳震盪を起こしているようだ。
揺れ痛む脳を無理矢理動かし、腕を支えに立ち上がろうとする。
ボタボタと血液が口と鼻から流れ出て、血溜まりを作っていく。

( ゚∀゚)「ヒャハハ! ここで死ぬか失敗作!
     今まで生きてきたのは偶然だったのかなぁ!?」

鎖の速度が最高潮にまで達する。
そこから振り下ろされるのは死の一撃。



33: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:10:37.64 ID:wd1GrU6H0
  
その時だ。
キン、と硬質な音が足元から響く。

( ゚∀゚)「あ?」

見る。
そこには、小さく黒い丸い物体が転がっていた。
閃光手榴弾。
その正体に気付いたときには既に遅かった。

(;゚∀゚)「がッ――!!?」

猛烈な光と甲高い音。
対象の目と耳を封じるその形無いモノが、男の感覚神経に牙を剥いた。
視界は一瞬で白に染まり、耳の機能はその働きを一時的に失う。

数十秒経った頃だろうか。

(;゚∀゚)「く、くそが……!!」

ジョルジュがその感覚の束縛から解かれる頃には、周囲に人の影はなかった。
女が倒れていた場所には血溜りがあるだけで、本体は何処にもいない。



36: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:12:22.68 ID:wd1GrU6H0
  
(;゚∀゚)「あのアマ……逃げ足だけは速ぇ……くそっ!」

悪態を吐きながら鎖を回収。
纏めたそれを握る。
淡い光。
それが消える頃には、男の手のひらには指輪が一つ残るのみとなった。
その指輪をポケットに入れ、男は歩き出す。

( ゚∀゚)「だが、何処に逃げようが無駄だぜ……。
     お前が『8th』を持っている限りな……ヒヒ」

ヒヒヒ、と不気味に笑いながら、男は公園を後にした。



38: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 23:14:24.42 ID:wd1GrU6H0
  
ハ、という定期的に短く息を吐く音が聞こえる。
音の主は、先ほどの女性だ。
よろめきながらも、自分の身体に鞭を打って走る姿は痛々しい。

鼻から下は真っ赤だ。
鼻と口から出る血液が、それを染めている。
彼女はまるで何かに怯えるように、そして健気に走る。

しばらく走った後、女はその足を止めた。
視線の先には、巨大な建物と広大なグラウンドが見える。
学校だ。

川;´-゚)「ここなら……少しは身を隠せるか」

呟き、足を進める。
閉まっている校門を乗り越え、彼女は光一つ無い校舎へと身を走らせて行った。



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