( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです
- 4: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:39:00.60 ID:BnDT+RQJ0
- 第三話 『牙猫』
本日は祝日で学校は休みだ。
ブーンの休日の過ごし方は、のんびりゴロゴロするか、外へ出るかの二択である。
今回は外出だ。
彼女が、そう決めたのだ。
(;^ω^)「ってか、なんでアンタここにいるの……」
ベッドの上で、目を擦りながら目の前の女性を見る。
川 ゚ -゚)「ほら、起きるんだ。
今日は色々とやることがあるぞ」
- 5: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:40:46.17 ID:BnDT+RQJ0
- 昨日。
頭が混乱したブーンは、埒が明かないので、とりあえず家に帰ることとなった。
彼女の家を聞いてみたが無いと言うので、自分の家に招待することも考えたが
よくよく考えれば自分をこんな状態に巻き込んだのは彼女である。
ブーンはそこまでお人好しではなかった。
とりあえず保健室に彼女を放って帰り、一日の疲れを取るためにベッドへ。
起きたら、これだ。
何故か彼女が自分の家の、しかもベッドの前で仁王立ちしている。
(;^ω^)「ふ、不法侵入だお!」
川 ゚ -゚)「君の母親の許可はとってある」
(;^ω^)「えぇ!?」
見れば、ドアの隙間から母がニヤニヤしながらこちらを見てみる。
J( 'ー`)し「ブーンったら……いつの間に彼女なんて作って」
(;^ω^)「ち、ち、違うお!?」
母は俊敏な動作で、シュバッと消えていった。
- 7: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:42:49.00 ID:BnDT+RQJ0
- (;^ω^)「ア、アンタ、一体かーちゃんにどういう説明したんだお!?」
川 ゚ -゚)「何、簡単だ。
『貴女の息子を護るために、側にいさせてほしい』と頼んだのだ」
(;^ω^)「なんか僕が情けない存在的な展開になってるお!?
ってか、かーちゃん単純すぎだお!?」
川 ゚ -゚)「何、気にするな。
さぁ、早く起きて出かけよう」
(;^ω^)「ど、どこへかお?」
川 ゚ -゚)「出来れば人気の無い場所が望ましい」
(;^ω^)「えー!?
ちょっとwktk……じゃなくて、えー!?」
ブーンは引っ張られるように、彼女と共に家を引きずり出された。
- 8: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:45:11.06 ID:BnDT+RQJ0
- 休日の学校。
生徒はおろか、教師さえいない空間だ。
静かな学校の教室。
その中心付近の椅子に、二人の男女が座っていた。
(;^ω^)「眠いお……まだ7時だお……ってか、勝手に学校に侵入してるお……」
川 ゚ -゚)「早起きは三文の得だ。
ちなみに今のお金に換算すると6円くらいらしい」
(;^ω^)「逆にめっちゃ損した気分だお……」
川 ゚ -゚)「とりあえず、何から話したらいいのか?」
( ^ω^)「えーっと……そういえば、君の名前は?」
川 ゚ -゚)「そうだ、言い忘れていたな。
私の名は『クー』、君の名は?」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお! あだ名はブー――」
川 ゚ -゚)「内藤か」
(;^ω^)「何で最後まで聞かないのかお……」
- 10: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:47:27.84 ID:BnDT+RQJ0
- 川 ゚ -゚)「で、何から話そうか?」
( ^ω^)「これのことが知りたいお」
ポケットから白い指輪を取り出す。
硬質な音を立て、それは机の上を転がった。
川 ゚ -゚)「うむ、それを説明する前に……少し歴史を語ろうか」
( ^ω^)「歴史は嫌いだお」
彼女の手が刀へとのびる。
(;^ω^)「じょ、冗談だお……」
川 ゚ -゚)「事の始まりは数年前だ」
(;^ω^)(勝手に語りだしたお……)
川 ゚ -゚)「『クルト事件』というのを知っているか?」
( ^ω^)「……あ、知ってるお」
- 11: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:50:02.59 ID:BnDT+RQJ0
- その名に、ブーンは覚えがあった。
数年前にクルトという博士が、道徳に反する実験・研究をしていたという事実が発覚し
逮捕される、という事件だったはずだ。
ちなみに逮捕直前に、クルト博士は拳銃自殺で死んでいる。
( ^ω^)「その事件がどうしたんだお?」
川 ゚ -゚)「彼の実験内容は知っているか?」
( ^ω^)「それは知らないお」
当時見たニュースでは、その研究内容は明かされていなかった。
川 ゚ -゚)「合成、だよ」
( ^ω^)「合成……?」
川 ゚ -゚)「生物と生物の合成。
クルト博士の研究目的は、地上最強の生物を作ることだった」
- 12: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:52:30.19 ID:BnDT+RQJ0
- (;^ω^)「ち、地上最強生物……?」
まるで漫画のような話に、ブーンは疑問を抱かずにはいられなかった。
(:^ω^)「な、なんで最強生物なんてものを作ろうだなんて思ったんだお?」
川 ゚ -゚)「彼は幼少の頃から、友達と言い合っていたそうだ。
『どの生物が、一番強いのか』と」
(;^ω^)「…………」
ブーンにも憶えはある。
どのゲームのキャラが一番強いだとか、この漫画のどのキャラが強いだとか。
そういう言い合いを子供の頃にしたことがあった。
川 ゚ -゚)「彼は大人になっても、その疑問を忘れることは無かった。
誰に問うても、答えは人それぞれで、明確な答えは出ることがなかった」
(;^ω^)「まさか……」
川 ゚ -゚)「だから、己の手で作ることにしたんだ。
いつか誰もが口を揃えて出す、最強の生物を」
- 15: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:54:26.55 ID:BnDT+RQJ0
- (;^ω^)「そ、それでどうなったんだお……?」
川 ゚ -゚)「彼は実験を繰り返した。
動物の魅力的な部分を摘出し、他の生物と合成する。
まさに悪魔のような実験だ」
だが、と彼女は付け足した。
川 ゚ -゚)「それは完成することはなかった。
たとえばライオンに翼を付けたりしても、狩りを上手く成功させることは出来ない。
たとえばゴリラに強靭な足を付けても、ただバランスが悪い化け物でしかない」
一息。
川 ゚ -゚)「所詮、良いところを合わせて作っても
お互いの良いところを潰し合うような結果しか得られなかったんだ」
(;^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「だが、彼は一つの結論に達していた。
合成など必要しない状態での、今現在存在する生物で最強なもの。
彼は、それに気付いてしまったんだ」
- 18: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:57:11.07 ID:BnDT+RQJ0
- (;^ω^)「そ、それは……?」
川 ゚ -゚)「人間だよ」
(;^ω^)「……!」
川 ゚ -゚)「他の生物を凌駕する知能。
物を掴み、持ち上げ、形を表現し、握れば拳という武器にもなる腕。
歩き、走り、泳ぎ、更には跳躍することの出来る足。
物を見、匂いを嗅ぎ、音を聞き、声で意思を伝え、味を判断できる各能力。
そして複雑な関節機構、バランス調整力、驚異的な再生力――」
彼女は無表情に言葉を並べていく。
川 ゚ -゚)「ただ、人間には致命的な欠点があった」
(;^ω^)「それは……?」
川 ゚ -゚)「獲物を狩る攻撃力。
そして、他の生物より劣る体力と運動神経」
人間には牙が無く、鋭利な爪も無く、強靭な顎や筋肉が無い。
そして高所を駆け上る筋力や、延々と運動し続ける体力が無い。
- 19: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:59:37.54 ID:BnDT+RQJ0
- 川 ゚ -゚)「彼の研究は、合成よりも人間の強化に移った」
(;^ω^)「まさか、この指輪が……!?」
川 ゚ -゚)「そう、人間に攻撃力を与えるための、クルト博士の研究成果だ」
ブーンは改めて指輪を見る。
白色をした綺麗な指輪に、そんな怨念じみた意思が篭っているとは思えなかった。
川 ゚ -゚)「クルト博士の作った武器……通称『ウェポン』と呼ぶのだが、その数は14。
君の持つその指輪は『8th−W(ウェポン)・クレティウス』と呼ばれるものだ」
( ^ω^)「クレティウス……」
川 ゚ -゚)「クルト博士は、人工知能の研究もしていた。
各武器には、彼が自力で作った擬似精神という高度な人工知能が宿っている。
会話をしたりすることは出来ないが、意思表現くらいは出来るらしい」
( ^ω^)「…………」
こんなちっぽけな指輪に、意思が宿っているとは思えないが……。
- 20: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:02:14.47 ID:BnDT+RQJ0
- (;^ω^)「昨日、君が『指輪が望む心を君が偶然持っていた』っていうのは……」
川 ゚ -゚)「ウェポンは、誰でも扱えるものじゃない。
その擬似精神が望む心を持つ者を主人とし、そのために力を具現化する。
主人以外の人間が持っていても、ただの装飾品に過ぎない」
( ^ω^)「なんでこんなものを君が持っていたんだお……?」
川 ゚ -゚)「この14のウェポンを悪用しようとする者達がいたから」
( ^ω^)「もしかして、昨日の……?」
川 ゚ -゚)「ジョルジュもその組織の一員だ。
ちなみに『9th−W・ユストーン』の使い手でもある」
( ^ω^)「君は、もしかしてその組織にいたのかお?」
川 ゚ -゚)「私は――」
「失敗作、だよな」
(;^ω^)「!?」
- 22: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:05:48.24 ID:BnDT+RQJ0
- 突然、二つの声の他に、もう一つの声が追加された。
慌てて背後を振り返る。
教室の後方の扉に、男女が立っていた。
( ,,゚Д゚)「……その少年が適合者か」
川 ゚ -゚)「お前は……」
( ,,゚Д゚)「お前に用はない。
俺はそこの少年に話がある」
鋭い視線はブーンに注がれている。
(;^ω^)「ぼ、僕かお?」
( ,,゚Д゚)「その指輪を渡せ……話はそれだけだ」
(;^ω^)「え……」
( ,,゚Д゚)「どっちだ、答えろ」
うろたえるブーンの前に、席を立ったクーが立ちはだかった。
- 23: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:09:00.46 ID:BnDT+RQJ0
- 川 ゚ -゚)「お前は何者だ」
( ,,゚Д゚)「関係ない」
川 ゚ -゚)「敵と認識するぞ」
( ,,゚Д゚)「俺はどちらでも構わん。
結果的に指輪が手に入れば、それでいい」
(*゚ー゚)「あの、ギコ君めちゃくちゃ強いから……渡した方が、いいよ?」
男の隣にいる女が心配するように声を発する。
川 ゚ -゚)「……内藤、逃げろ」
(;^ω^)「え?」
川 ゚ -゚)「こいつらは私が引き受ける。
君は指輪を持って逃げるんだ」
(;^ω^)「で、でも……」
川 ゚ -゚)「ここでむざむざ奪われることは許されない。
それに、護ると約束したからな」
- 24: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:12:10.51 ID:BnDT+RQJ0
- クーが刀を抜き、その様子を見た男の隣の女性が
(*゚ー゚)「度胸あるね……」
( ,,゚Д゚)「しぃ、下がっていろ。 ここからは俺の仕事だ」
(*゚ー゚)「うん、任せる」
女はあっさりと引き下がる。
( ,,゚Д゚)「廊下に出ろ……流石にここで暴れたら、跡が残りやすい」
川 ゚ -゚)「いいだろう」
二人は廊下に出る。
その様子をブーンは立ちすくみながら見続けた。
そんな彼に、しぃは話しかける。
(*゚ー゚)「貴方は逃げないの? あの女の人、すぐに死んじゃうよ?」
(;^ω^)「そんな……」
(*゚ー゚)「戦う度胸も逃げる勇気もないなんて……彼女に失礼なんじゃないかな?」
(;^ω^)「…………」
- 26: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:15:11.96 ID:BnDT+RQJ0
- 川 ゚ -゚)「…………」
( ,,゚Д゚)「…………」
二人は決して狭くはない廊下で対峙していた。
クーは日本刀を構えている。
対するギコは素手だ。
その両手は茶色のコートのポケットに収められている。
現在、既に一撃ぶつかり合った後だ。
川 ゚ -゚)(初撃の剣撃を防ぐとは……今の指輪はもしや……)
( ,,゚Д゚)「この指輪の正体に気付いたようだな」
ギコが右手をポケットから出す。
その中指には、青い指輪。
( ,,゚Д゚)「ウェポンは通常の武器では壊せない。
使い方次第では、指輪で防御も可能だ」
川 ゚ -゚)「防御だけでは私を倒すことは出来ない」
( ,,゚Д゚)「力の差を見せようとしただけなんだがな……。
直に見ないと解らないか」
- 28: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:17:39.01 ID:BnDT+RQJ0
- ギコが右手を握る。
発光。
数瞬、男の姿が青い光によって見えなくなる。
川 ゚ -゚)「……やはりウェポンか」
発光が途切れる。
( ,,゚Д゚)「…………」
ギコの右手には、先ほどまでは無かった物が握られていた。
青い剣で、その腹部分に『1st』と刻まれている。
刀身は身の丈ほどあり、そして太い。
俗に言う巨剣である。
( ,,゚Д゚)「『1st−W・グラニード』……お前の刀とは比べ物にならん代物だ」
片手で軽々と持ち上げ、肩に乗せる。
( ,,゚Д゚)「それでもやるか?
出来れば人の命を奪うようなことはしたくはない」
- 30: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:20:36.78 ID:BnDT+RQJ0
- 川 ゚ -゚)「私を人だ、と?」
その言葉に、ギコは軽く目を見開く。
そしてすぐに口に歪んだ笑みを浮かべた。
( ,,゚Д゚)「そう、そうだったな……お前は失敗作だったな」
川 ゚ -゚)「遠慮はいらん」
( ,,゚Д゚)「とは言え、お前は人の形をしている。
殺してしまうのは俺の良心が痛むんでな」
ギコは青い巨剣を降ろす。
地に着いた剣は、しかし音を立てなかった。
( ,,゚Д゚)「多少の加減はさせてもらおうか」
川 ゚ -゚)「どちらでも構わん……来い」
静寂が場を支配する。
これから起こる戦いを期待するかのような沈黙。
数秒。
動いたのは同時だった。
- 32: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:22:58.57 ID:BnDT+RQJ0
- ブーンは走っていた。
短く息を吐きながら、校門を目指していた。
怖い。
怖い。
怖い。
あの男が、女が、クーさえも怖かった。
戦いを日常とする者達の、異常な威圧感。
それがブーンには耐えられなかった。
走る。
駆ける。
まるで何かから逃げるように。
その目からは涙が溢れていた。
男から感じて取った恐怖感か。
クーを見捨ててしまった罪悪感か。
そんな自分を許せないという自責感か。
( ;ω;)「う、うぅ……!!」
- 34: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:25:19.25 ID:BnDT+RQJ0
- 今の自分を助けてくれる人などいない。
今の自分を慰めてくれる人などいない。
今の自分を支えてくれる人などいない。
( ;ω;)「あうっ!」
石につまづき、転ぶ。
その拍子に、ポケットから指輪が飛び出した。
白く輝きながら転がる指輪。
ブーンは、それが憎かった。
こんな指輪さえなければ、自分は今このような思いをしなくて済むのだろうに。
その時だ。
校舎の方から、轟音が聞こえた。
ガラスを叩き割る音と、何か苦悶のような声。
明らかにクーの声だった。
( ;ω;)「クーさん……!」
彼女は自分のために、盾になって苦しんでいる。
こんなにも情けない自分のために。
こんなにも臆病な自分のために。
こんなにも……。
- 35: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:27:50.48 ID:BnDT+RQJ0
- ( ;ω;)「う……うぅ……!!」
拳を握り締め、嗚咽する。
彼女は昨日、自分に言ってくれた。
「君を護る」と。
正直、嬉しかった。
しかし同時に疑問を持った。
何故、自分などを護るなどと宣言したのか。
何か裏があるのではないかと。
なおも戦いの音はブーンの耳に響く。
剣撃の音。
風を切る音。
そして……彼女の苦しみの声。
ふと、前を向く。
白い指輪が落ちている。
その指輪が、自分に問いかけているように光った。
―――さぁ、どうする?
- 36: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:30:16.95 ID:BnDT+RQJ0
- クーの目の前を、凶悪な威圧感と共に巨大な青剣がかすっていく。
彼女は後退していた。
川;゚ -゚)「くっ……!」
強い。
流石はウェポンといったところか。
自分の力量と武器などでは、まともな戦闘にすらならなかった。
( ,,゚Д゚)「どうした、失敗作。
たとえ失敗だろうが、それなりの力は持っているんじゃないのか?」
巨剣の重量を巧みに操りながら、ギコが迫ってくる。
一撃一撃が致命傷になりかねない攻撃力だ。
川;゚ -゚)「ッ……!」
向かってくる威圧感を弾くように、前に足を進める。
手に持つ刀を振るう。
が、それはあっさりと防がれた。
( ,,゚Д゚)「単調な攻撃だな」
- 40: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:32:32.99 ID:BnDT+RQJ0
- ギコが、足を一歩引く。
( ,,゚Д゚)「攻撃ってのはな――」
全身から殺気が溢れ出したのを感じる。
クーは、本能的に身を後ろに投げ出した。
( ,,゚Д゚)「こうやるんだよ……ッ!!」
轟、と音を立てて迫る巨剣。
刀で防ごうとするが、一瞬たりとも止まることなく弾かれる。
クーのバランスが崩れた。
( ,,゚Д゚)「ッつぁ!!」
振り抜いた巨剣を、更に回転させるように振る。
遠心力を用いた連撃だ。
川;゚ -゚)「……っ!」
もはや刀での防御は意味を為さない。
クーは力の限りを込めて、地を蹴り後退する。
が、ギコはそれを逃さない。
- 41: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:34:46.98 ID:BnDT+RQJ0
- 遠心力を利用した斬撃は、もはや断頭台に等しい。
縦に回転するそれは、廊下の天井と床を削りながらクーに迫る。
川;゚ -゚)「!?」
背中に何かがぶつかる。
壁だ。
いつの間にか廊下の端にまで達してしまったらしい。
しまった、とクーは気付いた。
あの男が廊下に誘い出したのは、教室が荒れるのを避けるためではない。
自分の武器にとって有利な廊下での戦いを望んだからだ。
右に見えるのは階段。
前に見えるのは死の回転刃。
クーは迷わず右を目指して走り出す。
階段を下り、踊り場を走り、更にまた階段を駆け下りる。
- 42: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:37:33.97 ID:BnDT+RQJ0
- 「何処へ逃げる?」
声と共に轟音。
辿り着いた1階の天井から、そのコンクリートを突き破りギコが降り立ってきた。
川;゚ -゚)「なっ……!?」
驚愕に目を見開く。
( ,,゚Д゚)「逃げるな、戦え」
天井からの破片や埃をかぶりながら、ギコは巨剣を肩に乗せる。
川;゚ -゚)「ただの巨剣で、そこまでの威力は出せないはずだ……。
それがウェポンの能力……!?」
( ,,゚Д゚)「そこまで考え切れれば上出来だ。
だが、後は知ることは無いだろう」
ギコが接近し、その青い巨剣が横薙ぎに迫ってくる。
まさに殺気の塊。
焦ったクーは咄嗟に刀を縦に構えた。
戻る/携帯用2ページ目